画像形成装置、感光体の駆動制御方法、及び駆動制御プログラム
【課題】モノクロ画像形成からカラー画像形成に移り変わるときに、中間転写ベルトモータの負荷トルクの急激な増加を回避し、画像劣化を防止する。
【解決手段】カラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置において、前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに(S101−Y)、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する(S102)。そして接触後は、感光体の回転速度を元の速に戻す(S103,S104)
【解決手段】カラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置において、前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに(S101−Y)、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する(S102)。そして接触後は、感光体の回転速度を元の速に戻す(S103,S104)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作像ステーションを通過する間に1色ずつ画像を形成し、1色ずつ形成された画像を重畳してカラー画像を形成する画像形成装置、所謂、タンデム方式で画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置、これらの画像形成装置で実行される感光体の駆動制御方法、及びこの駆動制御方法をコンピュータで実行するための駆動制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンデム型画像形成装置として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色トナー像を各々の感光体ドラムに形成し、中間転写体である中間転写ベルトに1次転写し、中間転写ベルト上で4色の画像を重畳してフルカラー画像を形成し、その後、用紙に2次転写して画像を形成する間接転写方式のもの、あるいは搬送転写ベルト上に吸着されて搬送される用紙上に順に前記各色のトナー像を1色ずつ重畳してフルカラー画像を形成する直接転写方式のものが知られている。これらの画像形成装置では、感光体の寿命を長くするため、モノクロ画像形成時であればカラー用感光体を中間転写体から離間させるようになっている。その際、カラー画像形成時とモノクロ画像形成時では中間転写ベルトに接触する感光体ドラムの数が異なるため、中間転写ベルトを駆動するモータの負荷が異なる。
【0003】
一方、カラー画像とモノクロ画像を混合して出力する際に、高生産性を意図する場合には、混合出力間に作像系のモータは停止することなく動作させておく必要がある。しかし、感光体ドラムと中間転写ベルトの離間及び接触の際に、中間転写ベルト駆動モータの負荷変動が大きくなるため、中間転写駆動モータの速度が安定するまでに時間が必要になる。あるいは、安定せず制御不能に陥ることもある。
【0004】
そこで、従来は感光体と中間転写装置の離間、接触の前に、作像系モータを一旦停止し、再度立ち上げることによって制御不能に陥らないようにしていた。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2006−139063号公報)記載の発明では、複数のロールに張架され所定の方向に回転自在に駆動される無端ベルト状部材と、このベルト状部材に対向し所定の位置に配設されたブラック用感光体と、該ベルト状部材に沿ってブラック用感光体に並設され、該ベルト状部材と接離可能に移動する複数のカラー用感光体とを有し、モノクロ画像形成時には、前記ブラック用感光体とベルト状部材とが接触すると共に、カラー用感光体が該ベルト状部材と離間するように移動する画像形成装置において、回転変動抑制手段により前記モノクロ画像を形成する際の前記カラー用感光体の移動に伴う前記ベルト状部材の回転変動を抑制するようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、タンデム方式のカラー画像形成装置における中間転写ベルトの駆動モータは、カラー画像形成時とモノクロ画像形成時で負荷トルクが異なり、モノクロ画像形成時にはカラー用感光体ドラムが中間転写ベルトと離間することにより、感光体ドラムと中間転写ベルトとの接触摩擦抵抗が変化し、負荷トルクが小さくなる。そのため、モノクロ画像形成からカラー画像形成に変るときに、中間転写ベルトを駆動するモータが安定して回転することが困難であった。
【0007】
また、特許文献1記載の発明では、回転変動抑制手段によって負荷をコントロールしているが、慣性負荷の接続時に負荷変動が発生するは否定できず、画像の劣化を生じる虞がある。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、モノクロ画像形成からカラー画像形成に移り変わるときに、中間転写ベルトモータの負荷トルクの急激な増加を回避し、画像劣化を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置において、前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへモードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、モノクロ画像形成モード時にブラック色以外の感光体と前記画像形成媒体とを離間させる接離手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を上げることを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第1又は第2の手段において、前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を下げることを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記画像形成媒体を回転駆動するモータのトルク指示値を検出するトルク指示値検出手段を備え、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記トルク指示値検出手段によって検出されたトルク指示値に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記画像形成媒体を回転駆動するモータのモータ電流を検出する電流検出手段を備え、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記電流検出手段によって検出された電流に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第5又は第6の手段において、前記制御手段は、前記感光体と前記画像形成媒体とが接触した後、前記感光体と前記画像形成媒体を徐々に元の速度に戻すことを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、第7の手段において、前記制御手段は、前記複数ある感光体の回転速度を画像形成の上流に配置された感光体の駆動モータから順に元の速度へ戻すことを特徴とする。
【0017】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段において、前記画像形成媒体が中間転写ベルト、又は搬送ベルトであることを特徴とする。
【0018】
第10の手段は、複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御方法であって、前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更することを特徴とする。
【0019】
第11の手段は、複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御をコンピュータによって実行するための感光体の駆動制御プログラムであって、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する手順を備えていることを特徴とする。
【0020】
なお、後述の実施形態では、感光体は符号1(1Y,1C,1M,1B)に、制御手段はメインCPU110に、離間手段は接離モータ16に、トルク指示値検出手段はプリドライバ220aに、電流検出手段は電流検出抵抗40に、画像形成媒体を駆動するモータは中間転写ベルトモータ15に、中間転写ベルトは符号5に、画像形成媒体は中間転写ベルト5あるいは記録紙を含む搬送ベルト30に、画像記録媒体は用紙に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モノクロ画像形成モードからカラー画像形成モードへモードを変更するときに、感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、モノクロ画像形成モード時のモータ電流と同等になるように感光体の回転速度を変更するので、モノクロ画像形成からカラー画像形成に移り変わるときに、中間転写ベルトモータの負荷トルクの急激な増加を回避し、画像劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における間接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における直接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るタンデム型画像形成装置における画像形成に関係するモータの駆動部の制御構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示したモータの制御構成を示す図である。
【図5】感光体ドラムモータの速度と中間転写ベルトモータの必要トルクの関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態におけるモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の処理手順における制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施形態におけるモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの他の例に係る制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】画像形成上流側に位置する感光体ドラムモータから順に元の速度に戻す場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図9の処理手順における制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】カラー画像形成時における中間転写ベルトモータの電流を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】カラー画像形成時における中間転写ベルトモータ15のトルク指示値を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】モノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときに、感光体ドラムモータの電流値から、感光体ドラムモータの速度制御を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前述のように、タンデム方式のカラー画像形成装置における中間転写ベルトの駆動モータは、カラー画像形成時とモノクロ画像形成時で負荷トルクが異なり、モノクロ画像形成時にはカラー用感光体ドラムが中間転写ベルトと離間することにより、負荷トルクが小さくなる。そのため、モノクロ画像形成からカラー画像形成に変るときに、中間転写ベルトを駆動するモータが安定して回転することができず、画質が劣化することがある。
【0024】
そこで、本実施形態では、モノクロ画像形成からカラー画像形成に変るときの負荷変動を抑えるため、中間転写ベルトを駆動するモータに流れる電流に注目し、カラー画像形成時にY,M,C各色の感光体ドラムに接触したときの前記モータに流れる電流と、モノクロ画像形成時に前記モータに流れる電流が等しくなるように、Y,M,Cの感光体の回転速度を上げ、あるいは下げるように制御することを特徴としている。
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本実施形態における間接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。
【0027】
図1において、本実施形態に係る画像形成装置は、Y,M,C,K各色の画像を形成するための各色の作像ステーションが設けられている。各作像ステーションは、感光体ドラム1と、この感光体ドラム1の外周に沿って配置された帯電装置6、現像装置2、転写装置3、クリーニング装置7、除電装置8とからなり、この作像ステーションがY(イエロー),C(シアン),M(マゼンタ),B(ブラック)の色毎に中間転写ベルト5の移動方向に、この順で配置されている。図では、各色の感光体1、帯電装置6、現像装置2、1次転写装置3、クリーニング装置7、除電装置8にそれぞれ、Y,C,M,Bの添え字を付し、色の区別をしている。なお、各色共通、言い換えれば、前記各装置を総括的に示す場合には、色を示す添え字は省略する。
【0028】
この間接転写方式のタンデム型画像形成装置では、各感光体1上にそれぞれ単色のトナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を中間転写ベルト5に接触させて中間転写ベルト5上に順次転写し、複数のトナー画像を重畳させて合成カラー画像を形成する。一方、中間転写ベルト5は駆動ローラ21と第1及び第2の従動ローラ22,23間に張設され、駆動ローラと従動ローラ間に張設された転写ベルト24とのニップに転写媒体としての用紙を搬送すると、中間転写ベルト5上の合成カラー画像が用紙に転写され、図示しない定着装置に導かれて定着された後、排紙される。
【0029】
この画像形成装置は、各感光体1から中間転写ベルト5に画像を転写する際、各転写位置で必要に応じて転写装置(転写ローラ)3Y,3C,3M,3Bを上下させる。転写装置3は接離機構4YMC,4Bを駆動することによって上下動し、中間転写ベルト5との接触及び離間が可能となっている。なお、潜像は、前記各感光体1へのレーザ書込部9から、画像信号に基づいて変調する色毎のレーザ光による走査によって形成される。
【0030】
図2は直接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。図1の間接転写方式のタンデム型画像形成装置の各要素と対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
この直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、色の異なる画像が間接転写方式のタンデム型画像形成装置と同様にそれぞれの作像ステーションで形成され、転写搬送ベルト30に吸着されて搬送されてくる用紙に各作像ステーションで各色のトナー画像が転写され、最終的に合成カラー画像が用紙上に形成される。各作像ステーションの転写位置では、必要に応じて転写装置(転写ローラ)3Y,3C,3M,3Bが上下動する。転写装置3は接離機構4YCM,4Bにより上下方向に駆動され、転写搬送ベルト30に対する接触・離間動作が可能となっている。なお、符号13は感光体ドラムモータであり、間接転写方式のタンデム型画像形成装置における感光体ドラムモータ14に対応する。
【0032】
また、転写搬送ベルト30は、搬送駆動モータ31により回転される駆動ローラ32と従動ローラ33との間に張架されて矢示方向に回動する。
【0033】
なお、図1及び図2に示したタンデム型画像形成装置における画像形成の動作は、公知の画像形成装置と同様であり、本発明には直接関係しないことから省略する。
【0034】
図3はタンデム型画像形成装置における画像形成に関係するモータの駆動部の制御構成を示すブロック図である。同図において、モータ駆動部はメイン制御部100とモータ制御部200とを備え、モータ制御部200は、各作像ステーションの感光体ドラム1を駆動するモータ14と、中間転写ベルト5を駆動する中間転写ベルトモータ15の駆動制御を行う。
【0035】
メイン制御部100は、メインCPU110、画像処理部120及びメモリ130を備えている。メインCPU110は、画像形成に関係する画像データや駆動負荷、ここでは、転写装置4を駆動する接離モータ16を制御する。画像データは書込装置20によりレーザ光をポリゴンモータ21により駆動され、高速回転しているポリゴンミラーへ照射し、感光体ドラム1へ静電潜像を形成する。
【0036】
モータ制御部200は、ドライバCPU210、モータ駆動部(モータドライバ)220(220B,220M,220C,220Y,220A)を備え、ドライバCPU210はメインCPU110と接続され、メインCPU110から指令を受けて、各感光体ドラム1(1B,1M,1C,1Y)を駆動するモータ14(14B,14C,14M,14Y)、及び中間転写ベルトモータ15の起動、停止制御、及び各モータ14,15の回転速度制御を実行する。モータ制御部200ではメイン制御部100から受信した指示にしたがい各モータ1の回転速度を決め、回転駆動させる。また、メイン制御部100ではカラー画像形成及びモノクロ画像形成かを判断し、カラー用転写装置4の当接・離間制御を接離モータ16によって行う。なお、符号17は転写装置4の位置を検出するセンサである。また、メインCPU110は中間転写ベルト5の位置を検出する位置検出センサ18の位置情報に基づいて中間転写ベルトモータ15の駆動制御信号をドライバCPU210側に送る。各モータ制御部220は、各モータ14,15に付設されたエンコーダ19(19B,19M,19C,19Y,19A)からの信号に基づいてモータを駆動制御する。
【0037】
図4は図3に示したモータの制御構成を示す図で、本実施形態では3相モータを使用しているので、ここでは3相モータの制御部の構成を示している。本実施形態では、ドライバCPU210の後段にプリドライバ220aが配置され、更にその後段にドライバ220bが配置されている。ここでは、プリドライバ220aとドライバ220bによってモータ駆動部220が構成されている。図4において、ドライバCPU210はエンコーダ19によってモータ14(15)の回転数を監視し、また、電流検出抵抗40からモータ電流を電圧変換し、Vtを監視する。モータ回転数の監視結果からプリドライバ220aへトルク指示値τを出力する。アナログ値でもPWMでもよい。プリドライバ220aはトルク指示値からモータに流す電流の大きさ制御する。また、プリドライバ220aはホールIC41と接続されており、モータ14(15)のロータ位置から通電する相を選択する。ドライバ220bはFET又はトランジスタによって構成され、プリドライバ220aから各相の信号をレベル変換し、モータ14(15)を駆動する。
【0038】
図5は感光体ドラムモータ14の速度と中間転写ベルトモータ15の必要トルクの関係を示す図である。図5における速度差0の点線は、中間転写ベルト5の表面速度と感光体ドラム1の表面速度の速度差が0であり、感光体ドラムモータ14の回転速度が遅く、前記速度差が負になると、動摩擦抵抗により中間転写ベルトモータ15の負荷が大きくなり、モータの必要トルクは大きくなる。また、感光体ドラムモータ14が速く、前記速度差が正になると中間転写ベルトモータ15の負荷は小さくなる。感光体ドラム1は、B,C,M,Yの4色分あるため、4つの感光体1が中間転写ベルト5に接触したときの負荷と1つの感光体1が接触したときでは中間転写ベルトモータ15の負荷は異なってくる。そこで、この移り変わり時の負荷変動を緩やかに変化するように、感光体ドラムモータ14の速度を変化させる。そこで、本実施形態では、カラー画像を形成する際の感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bが4個接触したときの中間転写ベルトモータ15の必要トルクT2からモノクロ画像を形成する際の感光体1Bのみが接触したときのトルクT1に滑らかに変化するように、感光体ドラム1Y,1C,1Mの周速度(回転速度)を増速している。
【0039】
図6はモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの処理手順を示すフローチャート、図7はこの処理手順におけるタイミングチャートである。ただし、この例は、画像形成時に感光体ドラム速度の方が中間転写ベルト速度より遅い場合の例である。なお、図7及び図7以降に示すタイミングチャートでは、図において縦軸は正方向が速度が遅く、負方向が速度が速くなっている。
【0040】
図6において、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると(ステップS101−Y)、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度Vy,Vc,Vmを各々ΔV速い速度に変更する(ステップS102−TM1)。次いで、Ta時間後に接離機構4YCMを駆動し、1次転写装置3Y,3C,3Mを移動させて感光体ドラム1に中間転写ベルト5を接触させる(ステップS103−TM2)。その後、同時に、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度を元の設定速度Vy,Vc,Vmに変更する(ステップS104−TM3)。なお、TM3のタイミングから感光体ドラムモータ14の回転速度を元に設定速度Vy,Vc,Vmに戻す際、図7の例では一度に戻しているが、数ステップに分け段階的に戻してもよい。また、図6の処理及び図7のタイミングでは、Y、C、M色の3つの感光体ドラムモータ14の速度を変えているが少なくとも1つの感光体ドラムモータ14の速度を変えるだけでもよい。
【0041】
また、画像形成時に感光体ドラム速度の方が中間転写ベルト速度より速い場合は、中間転写ベルト5を接触させる前にΔV遅い速度に変更する。処理手順自体は図6のフローチャートにおいて感光体ドラムモータ14の増速と減速の関係が逆になるだけ図6の手順と同等である。図8はこのときの処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【0042】
図8から分かるように、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると(ステップS101−Y)、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度Vy,Vc,Vmを各々ΔV遅い速度に変更する(ステップS102−TM1’)。その後、Ta時間後にカラー用転写装置4YMCを駆動し、感光体ドラム1と中間転写ベルト5を接触させる(ステップS103−TM2’)。その後、同時に、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度を元の設定速度Vy,Vc,Vmに戻す(ステップS104−TM3’)。なお、この場合も回転速度を元に設定速度Vy,Vc,Vmに戻す際、数ステップに分け段階的に戻してもよい。
【0043】
このように帯電したトナーで現像された像担持体上の現像像を中間転写体上に1次転写した後、これを中間転写体から転写材上へ2次転写することにより画像を形成する画像形成装置では、像担持体の周速よりも中間転写体の周速を速く、あるいは遅く設定し、像担持体と中間転写体の周速に速度差を持たせた方が、転写の際のトナー像の白抜け状態等に起因する画質の劣化を防止することができる場合がある。そこで、本実施形態では、このような画質の劣化を防止するために速度差を持たせている。
【0044】
図9は画像形成上流側に位置する感光体ドラムモータ14から順に元の速度に戻す場合、すなわちモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの処理手順を示すフローチャート、図10はそのときのタイミングを示すタイミングチャートである。
【0045】
図9において、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を各々ΔV速い速度に変更する(ステップS202−TM4)。次いで、Ta時間後に接離機構4YCMを駆動し、1次転写装置3Y,3C,3Mを移動させて感光体ドラム1Y,1C,1Mに中間転写ベルト5を接触させる(ステップS203−TM5〜TM6)。その後、Y色用感光体ドラムモータ14Yの回転速度を元の設定速度へ変更し(ステップS204−T7)、Tb時間経過後にC色用感光体ドラムモータ14Cの回転速度を元の設定速度へ変更し(ステップS205−T8)、更にTb時間経過後にM色用感光体ドラムモータ14Mの回転速度を元の設定速度へ変更する(ステップS206−TM9)。
【0046】
なお、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を元に設定速度に戻す際、数ステップに分け段階的に戻してもよい。また、次画像形成時は感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を設定値に戻した後であればすぐに画像を形成してもよい。
【0047】
図11はカラー画像形成時における中間転写ベルトモータ15の電流を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
同図において、メインCPU110が接離モータ16を駆動してカラー用転写装置3Y,3M,3Cを中間転写ベルト5に接触させ(ステップS301)、中間転写ベルトモータ15を駆動する(ステップS302)。次いで、中間転写ベルトモータ15を駆動したときの当該モータ15の電流値をモニタし(ステップS303a)、平均電流Imをメモリ130に記憶しておく(ステップS304a)。
【0049】
次に中間転写ベルト5を感光体ドラム1Y,1C,1Mに接触させ、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変更して中間転写ベルトモータ15の電流Itが、モノクロ画像形成の場合と同程度の電流か否かを判断するときの下限値をIm1、上限値をIm2としたときに、
Im1<It<Im2 ・・・(1)
となるように調整する(ステップS306,S307a)。調整後、そのときの感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度Vym,Vcm,Vmmを記憶しておく(ステップS308)。なお、前記電流Im1,Im2は、平均電流Imに対して
Im1<Im<Im2 ・・・(2)
の関係にあり、前記電流の下限値Im1及び上限値Im2により負荷に対して許容できる範囲を設定する。具体的にはモノクロ画像形成時の中間転写ベルトモータ15の電流値に対して±5%程度の範囲である。
【0050】
モノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときには、前記(1)式及び(2)式で設定される電流Itによって規定される感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度値にして、感光体ドラム1Y,1C,1Mに対して中間転写ベルト5を接触させる。図11のフローチャートで示した処理は、電源投入時、又は画像形成装置の機内温度に予め設定した温度変化があったときに実行する。
【0051】
図12はカラー画像形成時における中間転写ベルトモータ15のトルク指示値を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。なお、図12では、図11に示したフローチャートと同一の処理には同一の参照符号を付している。
【0052】
同図において、メインCPU110が接離モータ16を駆動してカラー用転写装置3Y,3M,3Cを中間転写ベルト5に接触させ(ステップS301)、中間転写ベルトモータ15を駆動する(ステップS302)。次いで、中間転写ベルトモータ15を駆動したときの当該モータ15の平均トルク指示値をモニタし(ステップS303b)、平均トルク指示値τmをメモリ130に記憶しておく(ステップS304b)。
【0053】
次に中間転写ベルト5を感光体ドラム1Y,1C,1Mに接触させ、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変更して中間転写ベルトモータ15のトルク指示値τtが、モノクロ画像形成の場合と同程度のトルク指示値か否かを判断するときの下限値をτm1、上限値をτm2としたときに、
τm1<τt<τm2 ・・・(3))
となるように調整する(ステップS306,S307b)。調整後、そのときの感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度Vym,Vcm,Vmmを記憶しておく(ステップS308)。なお、前記トルク指示値の下限値τm1及び上限値τm2は、平均トルク指示値τmに対して
τm1<τm<τm2 ・・・(4)
の関係にあり、トルク指示値の下限値τm1及び上限値τm2より、負荷に対して許容できる範囲を設定する。モノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときには、前記(3)式及び(4)式で設定される平均トルク指示値によって規定される感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度値にして、感光体ドラムドラム1Y,1C,1Mと中間転写ベルト5を接触させる。図12のフローチャートで示した処理は、電源投入時、又は画像形成装置の機内温度に予め設定した温度変化があったときに実行する。
【0054】
図13はモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときに、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの電流値から、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度制御を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
同図において、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると(ステップS201b−Y)、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変更し(ステップS202)をメモリ130に記憶しておいた速度で駆動させる。次いで、接離機構4YCMを駆動し、1次転写装置3Y,3C,3Mを移動させて感光体ドラム1Y,1C,1Mに中間転写ベルト5を接触させる(ステップS203)。その後、Y色用感光体ドラムモータ14Y、C色用感光体ドラムモータ14C、及びM色用感光体ドラムモータ14Mの回転速度を元の設定速度へ変更する(ステップS204,S205,S206)。そして、次画像のカラー画像を形成する。
【0056】
なお、図13のフローチャートではY、C、M色の3つの感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変えているが少なくとも1つの感光体ドラムモータを変えるだけでもよいし、バラバラのタイミングで変えてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、
1)中間転写ベルトモータ15のモータ電流がモノクロ画像形成モード時とカラー画像形成モード時とで同等になるように、感光体ドラム1と中間転写ベルト5の接触前にブラック用感光体モータ14BK以外のモータの回転速度を変更することによって接触時の負荷トルクの変動を抑制することができるので、モノクロ画像形成からカラー画像形成に移行する際でも、急激な負荷変動を生じることがなく、高品質な画像形成が可能となる。
2)中間転写ベルトモータ15の電流値を事前に記憶し、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を調整するので、接触前後の負荷変動を低減することができる。
3)中間転写ベルトモータ15の制御トルク指示値を事前に記憶し、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を調整するので、接触前後の負荷変動を低減することができる。
4)感光体ドラム1Y,1C,1Mと中間転写ベルト5の接触後に元の感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度に戻すので、色ずれに関して高品質の画像を形成することができる。
5)画像形成時に上流側にあたる感光体ドラム1のドラムモータ14の速度から元の速度に戻すことので、中間転写ベルトモータ14の負荷制御を徐々に実行することが可能となり、画像の高画質化に寄与することができる。
などの効果を奏する。
【0058】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となる
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、複数の感光体を使用してカラー画像を形成する画像形成装置に適用され、特に、タンデム方式で画像を形成する画像形成装置に好適である。
【符号の説明】
【0060】
1,1Y,1C,1M,1B 感光体
5 中間転写ベルト
13Y,13C,13M,13B、14Y,14C,14M,14B 感光体ドラムモ
ータ
15 中間転写ベルトモータ
16 接離モータ
30 転写搬送ベルト
31 搬送駆動モータ
40 電流検出抵抗
110 メインCPU
210 ドライバCPU
220 モータ駆動部
220a プリドライバ
220b ドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2006−139063号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作像ステーションを通過する間に1色ずつ画像を形成し、1色ずつ形成された画像を重畳してカラー画像を形成する画像形成装置、所謂、タンデム方式で画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置、これらの画像形成装置で実行される感光体の駆動制御方法、及びこの駆動制御方法をコンピュータで実行するための駆動制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンデム型画像形成装置として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色トナー像を各々の感光体ドラムに形成し、中間転写体である中間転写ベルトに1次転写し、中間転写ベルト上で4色の画像を重畳してフルカラー画像を形成し、その後、用紙に2次転写して画像を形成する間接転写方式のもの、あるいは搬送転写ベルト上に吸着されて搬送される用紙上に順に前記各色のトナー像を1色ずつ重畳してフルカラー画像を形成する直接転写方式のものが知られている。これらの画像形成装置では、感光体の寿命を長くするため、モノクロ画像形成時であればカラー用感光体を中間転写体から離間させるようになっている。その際、カラー画像形成時とモノクロ画像形成時では中間転写ベルトに接触する感光体ドラムの数が異なるため、中間転写ベルトを駆動するモータの負荷が異なる。
【0003】
一方、カラー画像とモノクロ画像を混合して出力する際に、高生産性を意図する場合には、混合出力間に作像系のモータは停止することなく動作させておく必要がある。しかし、感光体ドラムと中間転写ベルトの離間及び接触の際に、中間転写ベルト駆動モータの負荷変動が大きくなるため、中間転写駆動モータの速度が安定するまでに時間が必要になる。あるいは、安定せず制御不能に陥ることもある。
【0004】
そこで、従来は感光体と中間転写装置の離間、接触の前に、作像系モータを一旦停止し、再度立ち上げることによって制御不能に陥らないようにしていた。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2006−139063号公報)記載の発明では、複数のロールに張架され所定の方向に回転自在に駆動される無端ベルト状部材と、このベルト状部材に対向し所定の位置に配設されたブラック用感光体と、該ベルト状部材に沿ってブラック用感光体に並設され、該ベルト状部材と接離可能に移動する複数のカラー用感光体とを有し、モノクロ画像形成時には、前記ブラック用感光体とベルト状部材とが接触すると共に、カラー用感光体が該ベルト状部材と離間するように移動する画像形成装置において、回転変動抑制手段により前記モノクロ画像を形成する際の前記カラー用感光体の移動に伴う前記ベルト状部材の回転変動を抑制するようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、タンデム方式のカラー画像形成装置における中間転写ベルトの駆動モータは、カラー画像形成時とモノクロ画像形成時で負荷トルクが異なり、モノクロ画像形成時にはカラー用感光体ドラムが中間転写ベルトと離間することにより、感光体ドラムと中間転写ベルトとの接触摩擦抵抗が変化し、負荷トルクが小さくなる。そのため、モノクロ画像形成からカラー画像形成に変るときに、中間転写ベルトを駆動するモータが安定して回転することが困難であった。
【0007】
また、特許文献1記載の発明では、回転変動抑制手段によって負荷をコントロールしているが、慣性負荷の接続時に負荷変動が発生するは否定できず、画像の劣化を生じる虞がある。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、モノクロ画像形成からカラー画像形成に移り変わるときに、中間転写ベルトモータの負荷トルクの急激な増加を回避し、画像劣化を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置において、前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへモードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、モノクロ画像形成モード時にブラック色以外の感光体と前記画像形成媒体とを離間させる接離手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を上げることを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第1又は第2の手段において、前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を下げることを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記画像形成媒体を回転駆動するモータのトルク指示値を検出するトルク指示値検出手段を備え、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記トルク指示値検出手段によって検出されたトルク指示値に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記画像形成媒体を回転駆動するモータのモータ電流を検出する電流検出手段を備え、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記電流検出手段によって検出された電流に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第5又は第6の手段において、前記制御手段は、前記感光体と前記画像形成媒体とが接触した後、前記感光体と前記画像形成媒体を徐々に元の速度に戻すことを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、第7の手段において、前記制御手段は、前記複数ある感光体の回転速度を画像形成の上流に配置された感光体の駆動モータから順に元の速度へ戻すことを特徴とする。
【0017】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段において、前記画像形成媒体が中間転写ベルト、又は搬送ベルトであることを特徴とする。
【0018】
第10の手段は、複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御方法であって、前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更することを特徴とする。
【0019】
第11の手段は、複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御をコンピュータによって実行するための感光体の駆動制御プログラムであって、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する手順を備えていることを特徴とする。
【0020】
なお、後述の実施形態では、感光体は符号1(1Y,1C,1M,1B)に、制御手段はメインCPU110に、離間手段は接離モータ16に、トルク指示値検出手段はプリドライバ220aに、電流検出手段は電流検出抵抗40に、画像形成媒体を駆動するモータは中間転写ベルトモータ15に、中間転写ベルトは符号5に、画像形成媒体は中間転写ベルト5あるいは記録紙を含む搬送ベルト30に、画像記録媒体は用紙に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モノクロ画像形成モードからカラー画像形成モードへモードを変更するときに、感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、モノクロ画像形成モード時のモータ電流と同等になるように感光体の回転速度を変更するので、モノクロ画像形成からカラー画像形成に移り変わるときに、中間転写ベルトモータの負荷トルクの急激な増加を回避し、画像劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における間接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における直接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るタンデム型画像形成装置における画像形成に関係するモータの駆動部の制御構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示したモータの制御構成を示す図である。
【図5】感光体ドラムモータの速度と中間転写ベルトモータの必要トルクの関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態におけるモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の処理手順における制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施形態におけるモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの他の例に係る制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】画像形成上流側に位置する感光体ドラムモータから順に元の速度に戻す場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図9の処理手順における制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】カラー画像形成時における中間転写ベルトモータの電流を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】カラー画像形成時における中間転写ベルトモータ15のトルク指示値を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】モノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときに、感光体ドラムモータの電流値から、感光体ドラムモータの速度制御を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前述のように、タンデム方式のカラー画像形成装置における中間転写ベルトの駆動モータは、カラー画像形成時とモノクロ画像形成時で負荷トルクが異なり、モノクロ画像形成時にはカラー用感光体ドラムが中間転写ベルトと離間することにより、負荷トルクが小さくなる。そのため、モノクロ画像形成からカラー画像形成に変るときに、中間転写ベルトを駆動するモータが安定して回転することができず、画質が劣化することがある。
【0024】
そこで、本実施形態では、モノクロ画像形成からカラー画像形成に変るときの負荷変動を抑えるため、中間転写ベルトを駆動するモータに流れる電流に注目し、カラー画像形成時にY,M,C各色の感光体ドラムに接触したときの前記モータに流れる電流と、モノクロ画像形成時に前記モータに流れる電流が等しくなるように、Y,M,Cの感光体の回転速度を上げ、あるいは下げるように制御することを特徴としている。
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本実施形態における間接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。
【0027】
図1において、本実施形態に係る画像形成装置は、Y,M,C,K各色の画像を形成するための各色の作像ステーションが設けられている。各作像ステーションは、感光体ドラム1と、この感光体ドラム1の外周に沿って配置された帯電装置6、現像装置2、転写装置3、クリーニング装置7、除電装置8とからなり、この作像ステーションがY(イエロー),C(シアン),M(マゼンタ),B(ブラック)の色毎に中間転写ベルト5の移動方向に、この順で配置されている。図では、各色の感光体1、帯電装置6、現像装置2、1次転写装置3、クリーニング装置7、除電装置8にそれぞれ、Y,C,M,Bの添え字を付し、色の区別をしている。なお、各色共通、言い換えれば、前記各装置を総括的に示す場合には、色を示す添え字は省略する。
【0028】
この間接転写方式のタンデム型画像形成装置では、各感光体1上にそれぞれ単色のトナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を中間転写ベルト5に接触させて中間転写ベルト5上に順次転写し、複数のトナー画像を重畳させて合成カラー画像を形成する。一方、中間転写ベルト5は駆動ローラ21と第1及び第2の従動ローラ22,23間に張設され、駆動ローラと従動ローラ間に張設された転写ベルト24とのニップに転写媒体としての用紙を搬送すると、中間転写ベルト5上の合成カラー画像が用紙に転写され、図示しない定着装置に導かれて定着された後、排紙される。
【0029】
この画像形成装置は、各感光体1から中間転写ベルト5に画像を転写する際、各転写位置で必要に応じて転写装置(転写ローラ)3Y,3C,3M,3Bを上下させる。転写装置3は接離機構4YMC,4Bを駆動することによって上下動し、中間転写ベルト5との接触及び離間が可能となっている。なお、潜像は、前記各感光体1へのレーザ書込部9から、画像信号に基づいて変調する色毎のレーザ光による走査によって形成される。
【0030】
図2は直接転写方式のタンデム型画像形成装置の作像系の概略構成を示す図である。図1の間接転写方式のタンデム型画像形成装置の各要素と対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
この直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、色の異なる画像が間接転写方式のタンデム型画像形成装置と同様にそれぞれの作像ステーションで形成され、転写搬送ベルト30に吸着されて搬送されてくる用紙に各作像ステーションで各色のトナー画像が転写され、最終的に合成カラー画像が用紙上に形成される。各作像ステーションの転写位置では、必要に応じて転写装置(転写ローラ)3Y,3C,3M,3Bが上下動する。転写装置3は接離機構4YCM,4Bにより上下方向に駆動され、転写搬送ベルト30に対する接触・離間動作が可能となっている。なお、符号13は感光体ドラムモータであり、間接転写方式のタンデム型画像形成装置における感光体ドラムモータ14に対応する。
【0032】
また、転写搬送ベルト30は、搬送駆動モータ31により回転される駆動ローラ32と従動ローラ33との間に張架されて矢示方向に回動する。
【0033】
なお、図1及び図2に示したタンデム型画像形成装置における画像形成の動作は、公知の画像形成装置と同様であり、本発明には直接関係しないことから省略する。
【0034】
図3はタンデム型画像形成装置における画像形成に関係するモータの駆動部の制御構成を示すブロック図である。同図において、モータ駆動部はメイン制御部100とモータ制御部200とを備え、モータ制御部200は、各作像ステーションの感光体ドラム1を駆動するモータ14と、中間転写ベルト5を駆動する中間転写ベルトモータ15の駆動制御を行う。
【0035】
メイン制御部100は、メインCPU110、画像処理部120及びメモリ130を備えている。メインCPU110は、画像形成に関係する画像データや駆動負荷、ここでは、転写装置4を駆動する接離モータ16を制御する。画像データは書込装置20によりレーザ光をポリゴンモータ21により駆動され、高速回転しているポリゴンミラーへ照射し、感光体ドラム1へ静電潜像を形成する。
【0036】
モータ制御部200は、ドライバCPU210、モータ駆動部(モータドライバ)220(220B,220M,220C,220Y,220A)を備え、ドライバCPU210はメインCPU110と接続され、メインCPU110から指令を受けて、各感光体ドラム1(1B,1M,1C,1Y)を駆動するモータ14(14B,14C,14M,14Y)、及び中間転写ベルトモータ15の起動、停止制御、及び各モータ14,15の回転速度制御を実行する。モータ制御部200ではメイン制御部100から受信した指示にしたがい各モータ1の回転速度を決め、回転駆動させる。また、メイン制御部100ではカラー画像形成及びモノクロ画像形成かを判断し、カラー用転写装置4の当接・離間制御を接離モータ16によって行う。なお、符号17は転写装置4の位置を検出するセンサである。また、メインCPU110は中間転写ベルト5の位置を検出する位置検出センサ18の位置情報に基づいて中間転写ベルトモータ15の駆動制御信号をドライバCPU210側に送る。各モータ制御部220は、各モータ14,15に付設されたエンコーダ19(19B,19M,19C,19Y,19A)からの信号に基づいてモータを駆動制御する。
【0037】
図4は図3に示したモータの制御構成を示す図で、本実施形態では3相モータを使用しているので、ここでは3相モータの制御部の構成を示している。本実施形態では、ドライバCPU210の後段にプリドライバ220aが配置され、更にその後段にドライバ220bが配置されている。ここでは、プリドライバ220aとドライバ220bによってモータ駆動部220が構成されている。図4において、ドライバCPU210はエンコーダ19によってモータ14(15)の回転数を監視し、また、電流検出抵抗40からモータ電流を電圧変換し、Vtを監視する。モータ回転数の監視結果からプリドライバ220aへトルク指示値τを出力する。アナログ値でもPWMでもよい。プリドライバ220aはトルク指示値からモータに流す電流の大きさ制御する。また、プリドライバ220aはホールIC41と接続されており、モータ14(15)のロータ位置から通電する相を選択する。ドライバ220bはFET又はトランジスタによって構成され、プリドライバ220aから各相の信号をレベル変換し、モータ14(15)を駆動する。
【0038】
図5は感光体ドラムモータ14の速度と中間転写ベルトモータ15の必要トルクの関係を示す図である。図5における速度差0の点線は、中間転写ベルト5の表面速度と感光体ドラム1の表面速度の速度差が0であり、感光体ドラムモータ14の回転速度が遅く、前記速度差が負になると、動摩擦抵抗により中間転写ベルトモータ15の負荷が大きくなり、モータの必要トルクは大きくなる。また、感光体ドラムモータ14が速く、前記速度差が正になると中間転写ベルトモータ15の負荷は小さくなる。感光体ドラム1は、B,C,M,Yの4色分あるため、4つの感光体1が中間転写ベルト5に接触したときの負荷と1つの感光体1が接触したときでは中間転写ベルトモータ15の負荷は異なってくる。そこで、この移り変わり時の負荷変動を緩やかに変化するように、感光体ドラムモータ14の速度を変化させる。そこで、本実施形態では、カラー画像を形成する際の感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bが4個接触したときの中間転写ベルトモータ15の必要トルクT2からモノクロ画像を形成する際の感光体1Bのみが接触したときのトルクT1に滑らかに変化するように、感光体ドラム1Y,1C,1Mの周速度(回転速度)を増速している。
【0039】
図6はモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの処理手順を示すフローチャート、図7はこの処理手順におけるタイミングチャートである。ただし、この例は、画像形成時に感光体ドラム速度の方が中間転写ベルト速度より遅い場合の例である。なお、図7及び図7以降に示すタイミングチャートでは、図において縦軸は正方向が速度が遅く、負方向が速度が速くなっている。
【0040】
図6において、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると(ステップS101−Y)、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度Vy,Vc,Vmを各々ΔV速い速度に変更する(ステップS102−TM1)。次いで、Ta時間後に接離機構4YCMを駆動し、1次転写装置3Y,3C,3Mを移動させて感光体ドラム1に中間転写ベルト5を接触させる(ステップS103−TM2)。その後、同時に、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度を元の設定速度Vy,Vc,Vmに変更する(ステップS104−TM3)。なお、TM3のタイミングから感光体ドラムモータ14の回転速度を元に設定速度Vy,Vc,Vmに戻す際、図7の例では一度に戻しているが、数ステップに分け段階的に戻してもよい。また、図6の処理及び図7のタイミングでは、Y、C、M色の3つの感光体ドラムモータ14の速度を変えているが少なくとも1つの感光体ドラムモータ14の速度を変えるだけでもよい。
【0041】
また、画像形成時に感光体ドラム速度の方が中間転写ベルト速度より速い場合は、中間転写ベルト5を接触させる前にΔV遅い速度に変更する。処理手順自体は図6のフローチャートにおいて感光体ドラムモータ14の増速と減速の関係が逆になるだけ図6の手順と同等である。図8はこのときの処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【0042】
図8から分かるように、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると(ステップS101−Y)、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度Vy,Vc,Vmを各々ΔV遅い速度に変更する(ステップS102−TM1’)。その後、Ta時間後にカラー用転写装置4YMCを駆動し、感光体ドラム1と中間転写ベルト5を接触させる(ステップS103−TM2’)。その後、同時に、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14の回転速度を元の設定速度Vy,Vc,Vmに戻す(ステップS104−TM3’)。なお、この場合も回転速度を元に設定速度Vy,Vc,Vmに戻す際、数ステップに分け段階的に戻してもよい。
【0043】
このように帯電したトナーで現像された像担持体上の現像像を中間転写体上に1次転写した後、これを中間転写体から転写材上へ2次転写することにより画像を形成する画像形成装置では、像担持体の周速よりも中間転写体の周速を速く、あるいは遅く設定し、像担持体と中間転写体の周速に速度差を持たせた方が、転写の際のトナー像の白抜け状態等に起因する画質の劣化を防止することができる場合がある。そこで、本実施形態では、このような画質の劣化を防止するために速度差を持たせている。
【0044】
図9は画像形成上流側に位置する感光体ドラムモータ14から順に元の速度に戻す場合、すなわちモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときの処理手順を示すフローチャート、図10はそのときのタイミングを示すタイミングチャートである。
【0045】
図9において、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を各々ΔV速い速度に変更する(ステップS202−TM4)。次いで、Ta時間後に接離機構4YCMを駆動し、1次転写装置3Y,3C,3Mを移動させて感光体ドラム1Y,1C,1Mに中間転写ベルト5を接触させる(ステップS203−TM5〜TM6)。その後、Y色用感光体ドラムモータ14Yの回転速度を元の設定速度へ変更し(ステップS204−T7)、Tb時間経過後にC色用感光体ドラムモータ14Cの回転速度を元の設定速度へ変更し(ステップS205−T8)、更にTb時間経過後にM色用感光体ドラムモータ14Mの回転速度を元の設定速度へ変更する(ステップS206−TM9)。
【0046】
なお、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を元に設定速度に戻す際、数ステップに分け段階的に戻してもよい。また、次画像形成時は感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を設定値に戻した後であればすぐに画像を形成してもよい。
【0047】
図11はカラー画像形成時における中間転写ベルトモータ15の電流を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
同図において、メインCPU110が接離モータ16を駆動してカラー用転写装置3Y,3M,3Cを中間転写ベルト5に接触させ(ステップS301)、中間転写ベルトモータ15を駆動する(ステップS302)。次いで、中間転写ベルトモータ15を駆動したときの当該モータ15の電流値をモニタし(ステップS303a)、平均電流Imをメモリ130に記憶しておく(ステップS304a)。
【0049】
次に中間転写ベルト5を感光体ドラム1Y,1C,1Mに接触させ、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変更して中間転写ベルトモータ15の電流Itが、モノクロ画像形成の場合と同程度の電流か否かを判断するときの下限値をIm1、上限値をIm2としたときに、
Im1<It<Im2 ・・・(1)
となるように調整する(ステップS306,S307a)。調整後、そのときの感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度Vym,Vcm,Vmmを記憶しておく(ステップS308)。なお、前記電流Im1,Im2は、平均電流Imに対して
Im1<Im<Im2 ・・・(2)
の関係にあり、前記電流の下限値Im1及び上限値Im2により負荷に対して許容できる範囲を設定する。具体的にはモノクロ画像形成時の中間転写ベルトモータ15の電流値に対して±5%程度の範囲である。
【0050】
モノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときには、前記(1)式及び(2)式で設定される電流Itによって規定される感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度値にして、感光体ドラム1Y,1C,1Mに対して中間転写ベルト5を接触させる。図11のフローチャートで示した処理は、電源投入時、又は画像形成装置の機内温度に予め設定した温度変化があったときに実行する。
【0051】
図12はカラー画像形成時における中間転写ベルトモータ15のトルク指示値を検出するときの処理手順を示すフローチャートである。なお、図12では、図11に示したフローチャートと同一の処理には同一の参照符号を付している。
【0052】
同図において、メインCPU110が接離モータ16を駆動してカラー用転写装置3Y,3M,3Cを中間転写ベルト5に接触させ(ステップS301)、中間転写ベルトモータ15を駆動する(ステップS302)。次いで、中間転写ベルトモータ15を駆動したときの当該モータ15の平均トルク指示値をモニタし(ステップS303b)、平均トルク指示値τmをメモリ130に記憶しておく(ステップS304b)。
【0053】
次に中間転写ベルト5を感光体ドラム1Y,1C,1Mに接触させ、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変更して中間転写ベルトモータ15のトルク指示値τtが、モノクロ画像形成の場合と同程度のトルク指示値か否かを判断するときの下限値をτm1、上限値をτm2としたときに、
τm1<τt<τm2 ・・・(3))
となるように調整する(ステップS306,S307b)。調整後、そのときの感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度Vym,Vcm,Vmmを記憶しておく(ステップS308)。なお、前記トルク指示値の下限値τm1及び上限値τm2は、平均トルク指示値τmに対して
τm1<τm<τm2 ・・・(4)
の関係にあり、トルク指示値の下限値τm1及び上限値τm2より、負荷に対して許容できる範囲を設定する。モノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときには、前記(3)式及び(4)式で設定される平均トルク指示値によって規定される感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度値にして、感光体ドラムドラム1Y,1C,1Mと中間転写ベルト5を接触させる。図12のフローチャートで示した処理は、電源投入時、又は画像形成装置の機内温度に予め設定した温度変化があったときに実行する。
【0054】
図13はモノクロ画像形成時からカラー画像形成時に切り替えるときに、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの電流値から、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度制御を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
同図において、メインCPU110より次画像形成がカラー画像形成と判断されると(ステップS201b−Y)、Y,C,M色用の感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変更し(ステップS202)をメモリ130に記憶しておいた速度で駆動させる。次いで、接離機構4YCMを駆動し、1次転写装置3Y,3C,3Mを移動させて感光体ドラム1Y,1C,1Mに中間転写ベルト5を接触させる(ステップS203)。その後、Y色用感光体ドラムモータ14Y、C色用感光体ドラムモータ14C、及びM色用感光体ドラムモータ14Mの回転速度を元の設定速度へ変更する(ステップS204,S205,S206)。そして、次画像のカラー画像を形成する。
【0056】
なお、図13のフローチャートではY、C、M色の3つの感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度を変えているが少なくとも1つの感光体ドラムモータを変えるだけでもよいし、バラバラのタイミングで変えてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、
1)中間転写ベルトモータ15のモータ電流がモノクロ画像形成モード時とカラー画像形成モード時とで同等になるように、感光体ドラム1と中間転写ベルト5の接触前にブラック用感光体モータ14BK以外のモータの回転速度を変更することによって接触時の負荷トルクの変動を抑制することができるので、モノクロ画像形成からカラー画像形成に移行する際でも、急激な負荷変動を生じることがなく、高品質な画像形成が可能となる。
2)中間転写ベルトモータ15の電流値を事前に記憶し、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を調整するので、接触前後の負荷変動を低減することができる。
3)中間転写ベルトモータ15の制御トルク指示値を事前に記憶し、感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの回転速度を調整するので、接触前後の負荷変動を低減することができる。
4)感光体ドラム1Y,1C,1Mと中間転写ベルト5の接触後に元の感光体ドラムモータ14Y,14C,14Mの速度に戻すので、色ずれに関して高品質の画像を形成することができる。
5)画像形成時に上流側にあたる感光体ドラム1のドラムモータ14の速度から元の速度に戻すことので、中間転写ベルトモータ14の負荷制御を徐々に実行することが可能となり、画像の高画質化に寄与することができる。
などの効果を奏する。
【0058】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となる
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、複数の感光体を使用してカラー画像を形成する画像形成装置に適用され、特に、タンデム方式で画像を形成する画像形成装置に好適である。
【符号の説明】
【0060】
1,1Y,1C,1M,1B 感光体
5 中間転写ベルト
13Y,13C,13M,13B、14Y,14C,14M,14B 感光体ドラムモ
ータ
15 中間転写ベルトモータ
16 接離モータ
30 転写搬送ベルト
31 搬送駆動モータ
40 電流検出抵抗
110 メインCPU
210 ドライバCPU
220 モータ駆動部
220a プリドライバ
220b ドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2006−139063号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、
単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、
が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置において、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する制御手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
モノクロ画像形成モード時にブラック色以外の感光体と前記画像形成媒体とを離間させる接離手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を上げることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を下げることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成媒体を回転駆動するモータのトルク指示値を検出するトルク指示値検出手段を備え、
ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記トルク指示値検出手段によって検出されたトルク指示値に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成媒体を回転駆動するモータのモータ電流を検出する電流検出手段を備え、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記電流検出手段によって検出された電流に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記感光体と前記画像形成媒体とが接触した後、前記感光体と前記画像形成媒体を徐々に元の速度に戻すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記複数ある感光体の回転速度を画像形成の上流に配置された感光体の駆動モータから順に元の速度へ戻すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成媒体が中間転写ベルト、又は搬送ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、
単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、
が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御方法であって、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更することを特徴とする感光体の駆動制御方法。
【請求項11】
複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、
単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、
が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御をコンピュータによって実行するための感光体の駆動制御プログラムであって、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する手順を備えていることを特徴とする感光体の駆動制御プログラム。
【請求項1】
複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、
単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、
が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置において、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する制御手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
モノクロ画像形成モード時にブラック色以外の感光体と前記画像形成媒体とを離間させる接離手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を上げることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を下げることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成媒体を回転駆動するモータのトルク指示値を検出するトルク指示値検出手段を備え、
ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記トルク指示値検出手段によって検出されたトルク指示値に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成媒体を回転駆動するモータのモータ電流を検出する電流検出手段を備え、ブラック用感光体以外の少なくとも1つの感光体の回転速度を前記電流検出手段によって検出された電流に基づいて調整した後、前記接離手段はブラック用感光体以外の色用の感光体と前記画像形成媒体とを接触させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記感光体と前記画像形成媒体とが接触した後、前記感光体と前記画像形成媒体を徐々に元の速度に戻すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記複数ある感光体の回転速度を画像形成の上流に配置された感光体の駆動モータから順に元の速度へ戻すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成媒体が中間転写ベルト、又は搬送ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、
単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、
が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御方法であって、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更することを特徴とする感光体の駆動制御方法。
【請求項11】
複数の感光体を用いて画像形成を行うカラー画像形成モードと、
単一の感光体を用いて画像形成を行うモノクロ画像形成モードと、
が設定され、前記カラー画像形成モードと前記モノクロ画像形成モードで前記感光体の回転速度が異なる画像形成装置の感光体の駆動制御をコンピュータによって実行するための感光体の駆動制御プログラムであって、
前記モノクロ画像形成モードから前記カラー画像形成モードへ画像形成モードを変更するときに、前記感光体と接して画像が転写される画像形成媒体を駆動するモータのモータ電流が、前記モノクロ画像形成モード時の前記モータ電流と同等になるように前記感光体の回転速度を変更する手順を備えていることを特徴とする感光体の駆動制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−217436(P2010−217436A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63395(P2009−63395)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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