説明

画像形成装置、現像装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】トナー塊や飛散トナーを光学式センサへ到達する手前で効率的に回収して、光学式センサによる正確なトナー像の常時検出を可能にした画像形成装置を提供する。
【解決手段】光学式センサ101のセンサホルダ105に風切り壁109を設けてセンサホルダ105の上面と現像容器40と感光ドラム1と現像スリーブ42で囲まれた第1の空間111を形成する。感光ドラム1の回転に伴って第1の空間111に滞留するトナーを含んだ空気をダクト110を通じて吸引して排気する。風切り壁109で仕切られた第2の空間112にはトナーを含んだ空気がほとんど流れ込まなくなる。濃度検出部102の近傍に濃度検出部上部の空間110の空気を吸引する吸引口107を設け、濃度検出部上部に飛散するトナーを吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体に現像剤を担持させて像担持体の静電像を現像する画像形成装置、詳しくは現像に伴う飛散トナーを効率的に回収する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現像剤担持体に現像剤を担持させて、像担持体の静電像を現像する画像形成装置が広く用いられている。画像形成装置では、静電像の電位やトナーの帯電量が変化すると現像されるトナー像の濃度が大きく変動する。このため、像担持体の回転方向に沿った現像装置とトナー像の転写部との間で、像担持体に対向させて、トナー像からの反射光を検出する光学式センサを配置する場合がある(図2参照)。光学式センサを用いて、トナー像のトナー載り量を測定して、静電像の電位やトナーの帯電量にフィードバックすることで、トナー像の濃度の再現性を確保するためである。
【0003】
しかし、現像装置とトナー像の転写部との間に光学式センサを配置すると、光学式センサが、現像装置から落下してくるトナー塊や現像に伴って発生する飛散トナーの影響を受け易くなる。像担持体の回転に伴う気流に乗って光学式センサの検出光路にトナー塊や飛散トナーが侵入すると、光学式センサの出力ノイズが増える。光学式センサの透明窓に飛散トナーが付着すると、トナー載り量の測定誤差が大きくなる。このため、光学式センサの出力に対するトナー塊や飛散トナーの影響を軽減する様々な提案がされている。
【0004】
特許文献1では、光学式センサの透明窓を定期的に自動清掃する機構を設けて、付着したトナーの清掃している。しかし、この場合、自動清掃している間は光学式センサによるトナー像の検出を行えず、トナー像の検出中は、光学式センサの出力がトナー塊や飛散トナーの影響を受けてしまう。
【0005】
そこで、特許文献2では、光学式センサの透明窓に常時エアを噴き付け、そのエアを吸引することで付着したトナーを除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−158318号公報
【特許文献2】特開2000−056643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学式センサで回収したトナーを単に落下させたのでは、落下したトナーが新たな汚染を引き起す可能性がある。しかし、近年の現像装置の小型化に伴って、回収したトナーの回収構造を含めて、光学式センサと像担持体との間の狭い隙間に、特許文献1、2のような特別な構造を設けることは困難になっている。部品点数の削減や機構の簡素化に反する側面もある。
【0008】
本発明は、トナー塊や飛散トナーを光学式センサへ到達する手前で効率的に回収して、光学式センサによる正確なトナー像の常時検出を可能にした画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、現像剤を担持して前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の下方に配置されて前記像担持体のトナー像を光学的に検出する検出手段とを備えたものである。そして、前記検出手段の少なくとも前記現像剤担持体側を覆って配置されたカバー部材と、前記カバー部材の上の空気を吸引して前記像担持体の長手方向の一端側へ排気する排気手段とを備え、前記カバー部材は、前記像担持体の回転方向に沿った前記現像剤担持体と前記検出手段の間に、前記像担持体の長手方向に連通し、前記像担持体の回転に伴う気流の一部を分離して滞留させる第1の空間を形成している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置では、感光ドラムに連れ回る気流の一部が、筒状の空間で気流を形成して、トナーを舞い上がらせた状態で滞留する。このトナーを含んで滞留する空気を、排気手段が筒状の空間から吸引して排気するため、筒状の空間の床面にトナーを降り積もらせることなく、現像剤担持体と検出手段との間で効率的にトナーを回収できる。
【0011】
従って、トナー塊や飛散トナーを光学式センサへ到達する手前で効率的に回収して、光学式センサによる正確なトナー像の常時検出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】画像形成部の構成の説明図である。
【図3】画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】画像形成装置の画像濃度制御のフローチャートである。
【図5】実施例1のトナー回収構造の説明図である。
【図6】現像装置の部分的な斜視図である。
【図7】実施例1のトナー回収構造における空気の流れの説明図である。
【図8】プロセスカートリッジの排気構造の説明図である。
【図9】実施例2のトナー回収構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、現像スリーブと光学式センサとの間に、感光ドラムに接する筒状の空間を準備して長手方向に排気を行う限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0014】
従って、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤を用いる現像装置でも実施できる。二成分現像剤を用いる現像装置においては、攪拌スクリューを上下に配置する縦型(図2)のみならず、攪拌スクリューを水平に並べる横型の現像装置でも実施できる。そのような現像装置は、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/直接転写型の画像形成装置において、区別無く実施できる。
【0015】
本実施形態では、トナー像の形成に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
【0016】
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0017】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図2は画像形成部の構成の説明図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置20は、中間転写ベルト7に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Py、Pm、Pc、Pbを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0019】
画像形成部Pyでは、感光ドラム1にイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。画像形成部Pmでは、感光ドラム1にマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。画像形成部Pc、Pbでは、それぞれ感光ドラム1、1にシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。
【0020】
中間転写ベルト7は、駆動ローラ6a、対向ローラ6b、及びテンションローラ6cに掛け渡され、駆動ローラ6aによって矢印R2方向へ回転される。中間転写ベルト7に転写された四色のトナー像は、二次転写部Tnへ搬送されて記録材Pへ二次転写される。
【0021】
ピックアップローラ11によって記録材カセット10から取り出された記録材Pは、1枚ずつに分離してレジストローラ13へ給送される。レジストローラ13は、中間転写ベルト7のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部Tnへ記録材Pを送り出す。
【0022】
記録材Pの片面だけに画像を形成する場合、トナー像を転写された記録材Pは、定着装置15で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、外部トレイ18へ排出される。これに対して、記録材Pの両面に画像を形成する場合、定着装置15から排出された記録材Pを切換フラッパ16で下方の反転搬送路12bに案内する。反転搬送路12bでは、記録材Pの後端が反転ポイントRpに達したとき記録材Pをスイッチバックし、画像担持面を上側にしその状態で両面用搬送路12cに送り出す。両面用搬送路12cにて、記録材Pは、搬送路12aを通じてレジストローラ13に搬送する。
【0023】
画像形成部Py、Pm、Pc、Pbは、現像装置4、4、4、4で用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一に構成されるため、以下では、画像形成部Pyについて説明する。
【0024】
図2に示すように、画像形成部Pyは、感光ドラム1の周囲に、コロナ帯電器2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ8、及びドラムクリーニング装置5を配置している。画像形成部Pyは、現像スリーブ42の下方に配置されて感光ドラム1のトナー像を光学的に検出するセンサユニット100を備えて、画像形成装置20に対して一体に交換可能に装着されるプロセスカートリッジである。
【0025】
像担持体の一例である感光ドラム1は、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性を持たせた感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。帯電手段の一例であるコロナ帯電器2は、感光ドラム1の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光手段の一例である露光装置3は、レーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1の表面に画像の静電像を書き込む。現像手段の一例である現像装置4は、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて静電像を現像して感光ドラム1にトナー像を形成する。
【0026】
一次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の内側面を押圧して、感光ドラム1と中間転写ベルト7との間に一次転写部T1を形成する。一次転写ローラ8に正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム1に担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト7へ一次転写される。ドラムクリーニング装置5は、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1に残った転写残トナーを回収する。
【0027】
トナー画像転写後の中間転写ベルト7は、中間転写ベルト7表面に残留している転写残トナーがベルトクリーナ9によって除去され、次の画像形成に供される。
【0028】
<現像装置>
図2に示すように、現像スリーブ41、42は、感光ドラム1の回転方向に沿って相互に対向させた状態で複数配置される。現像装置4は、現像剤担持体の一例である現像スリーブ41、42にトナー(非磁性)とキャリア(磁性)を含む二成分現像剤を担持させて、感光ドラム1の静電像を現像する。
【0029】
現像容器40には、隔壁48を隔てて、現像室45と攪拌室46が縦に並べて配置され、現像室45と攪拌室46は、隔壁48の両端部に設けた開口を通じて上下方向に連通している。現像スクリュー43は、現像室45の現像剤を搬送しつつ現像スリーブ41に供給する。攪拌スクリュー44は、現像スリーブ42から回収した現像剤と攪拌室46の現像剤を混合しつつ現像スクリュー43とは逆方向に搬送して、現像室45との間で現像剤を循環させる。
【0030】
現像容器40には、上下に並べて一対の現像スリーブ41、42が回転可能に設けられ、現像スリーブ41、42の内側には、キャリア(磁性)を引き付けるための非回転のマグネット51、52が配置されている。現像スリーブ41が感光ドラム1に対向する現像領域の回転方向上流には層厚規制ブレード47が配置され、現像スリーブ41に担持される現像剤の厚さを規制している。
【0031】
現像スリーブ41に担持された現像剤は、感光ドラム1に対向する第1の現像部で静電像の現像に関与した後に、現像スリーブ41と現像スリーブ42の対向部で現像スリーブ42に移転する。現像スリーブ42に担持された現像剤は、感光ドラム1に対向する第2の現像部で再び静電像の現像に関与した後に、現像容器40に回収される。そのように、現像スリーブ41、42の内側のマグネット51、52の磁極が配置されている。
【0032】
<光学式センサ>
図3は画像形成装置の制御系のブロック図である。図4は画像形成装置の画像濃度制御のフローチャートである。
【0033】
図1に示すように、電子写真方式の画像形成装置20では、温度の変化や現像剤の状態によって発生する画像の濃度や色味の変化に対応するため、感光ドラム1にテストパッチのトナー像を形成して濃度を検出している。制御部19は、テストパッチの濃度を検出して、画像形成条件の制御を行い、画像の濃度や色味についての画質を調整する。
【0034】
図2に示すように、感光ドラム1の回転方向に沿った現像スリーブ42の下方に、感光ドラム1のトナー像を光学的に検出する光学式センサ101が設置される。光学式センサ101は、投光部と受光部からなる濃度検出部102を有し、感光ドラム1に対向するように配設されている。
【0035】
テストパッチの濃度検出は、濃度検出手段の一例である光学式センサ101によって行う。テストパッチの濃度検出は、画像形成部Pyによって感光ドラム1にテストパッチを作像し、そのテストパッチに対して濃度検出部102の投光部から測定光を発して反射光を測定し、測定光と反射光との割合によって判別される。そのため、光学式センサ101の濃度検出部102がトナー等で汚れると、濃度の検出精度の低下を引き起こして濃度や色味の変化を引き起こす一因となる。
【0036】
図3に示すように、制御部19は、CPUとROMやRAMなどのメモリとからなっている。制御部19は、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から出力されるプリント指令信号を入力すると、メモリに記憶されている画像形成制御シーケンスに従って画像形成部Py、Pm、Pc、Pbを順次動作する。
【0037】
図3を参照して図4に示すように、制御部19は、所定枚数の画像形成ごとのタイミング(S11のYES)で、画像の間隔に、露光装置3によりテストパッチの静電像を書き込む。テストパッチの静電像は、現像装置4に現像されて感光ドラム1に各色のテストパッチが形成される(S13)。各色のテストパッチは、画像形成部Py、Pm、Pc、Pbにそれぞれ設けた光学式センサ101によって検出される(S13)。制御部19は、光学式センサ101の検出結果に基づいて画像形成部Py、Pm、Pc、Pb毎に最適な画像形成条件を設定する(S14)。
【0038】
具体的には、画像形成ごとに補給されるトナー量を調整してトナーの帯電量を制御する。テストパッチのトナー載り量が多い場合(画像濃度が高くなる)には、補給されるトナー量を減らしてトナーの摩擦機会を増やして帯電量を高めることにより、一定の電気量の静電像に付着するトナー量を減らす。逆に、テストパッチのトナー載り量が少ない場合(画像濃度が低くなる)には、補給されるトナー量を増してトナーの摩擦機会を減らして帯電量を低下させることにより、一定の電気量の静電像に付着するトナー量を増やす。
【0039】
ところで、図2に示すように、濃度検出処理時において、光学式センサ101が感光ドラム1上のテストパッチを検出している際、感光ドラム1と光学式センサ101濃度検出部102の間を飛散トナーが通過することがある。このとき、光学式センサ101は、飛散トナーをテストパッチの一部と誤認識して実際よりもトナー載り量が多いという出力を発生することがある。この様な場合、光学式センサ101の本来の性能が損なわれ、テストパッチの濃度を精度よく検出できなくなる。
【0040】
これに関して、特許文献1(特開平05−158318号公報)では、濃度検出部の窓を定期的に自動清掃する機構を設け、濃度検出部の窓に付着したトナー等の清掃を行っている。また、特許文献2(特開2000−056643号公報)では、濃度検出部の窓にエアを噴き付け、そのエアを吸引することで、トナーが飛散してきても濃度検出部の窓にトナーが付着しないようにしている。
【0041】
しかし、これらの従来技術では、いずれも濃度検出部が感光ドラム1のテストパッチの濃度を検出しているときに、濃度検出部とテストパッチの間を飛散トナーが通過する場合がある。このとき、濃度検出部が誤って飛散トナーをテストパッチの一部として検出し、濃度検出手段の出力値とテストパッチの濃度が異なることがあった。このようなことが起こると、間違った画像形成条件が設定され、濃度や色味の変化に対して悪影響を与えていた。
【0042】
そこで、以下の実施例では、飛散トナーを吸引する空気吸引構造を設け、光学式センサ101近傍に吸引口を配置することで、光学式センサ101の濃度検出部102と感光ドラム1との間を飛散トナーが通過しないようにしている。
【0043】
<実施例1>
図5は実施例1のトナー回収構造の説明図である。図6は現像装置の部分的な斜視図である。図7は実施例1のトナー回収構造における空気の流れの説明図である。
【0044】
図5に示すように、実施例1のトナー回収構造では、光学式センサ101の感光ドラム1側と現像スリーブ42側とが一体の上カバー103で覆われている。上カバー103の上面の縁が感光ドラム1へ向かって棚状に突き出すことにより、感光ドラム1の長手方向に沿って上カバー103の上面と感光ドラム1とに接する筒状の空間が形成されている。
【0045】
センサユニット100は、光学式センサ101とセンサホルダ105によって構成され、現像装置4の下方に取り付けて画像形成部(プロセスカートリッジ)Pyに組み立てられている。光学式センサ101は、センサホルダ105に設けられた検出窓106から濃度検出部102を感光ドラム1に対向させている。濃度検出部102は、感光ドラム1に形成されるテストパッチに赤外光を照射してその反射光を検出する。センサホルダ105は、光学式センサ101をカバーする上カバー103と下カバー104によって形成される。
【0046】
図5に示すように、センサホルダ105は、光学式センサ101の現像スリーブ側(現像剤担持体側)と感光ドラム側(像担持体側)とを一体に覆って配置される。センサホルダ105は、感光ドラム1の長手方向の一部分にて、感光ドラム1に所定の間隔で対向する。
【0047】
センサホルダ105上面と濃度検出部102との間に、感光ドラム1に向かって棚状に突き出した風切り壁109が設けられている。風切り壁109の先端が、センサホルダ105の上面にある第1の空間111と、濃度検出部102と感光ドラム1の間にある第2の空間とを仕切って、感光ドラム1との間に狭いギャップを形成している。
【0048】
図6に示すように、濃度検出部102近傍を感光ドラム1側から見たとき、センサホルダ105の感光ドラム1の長手方向奥側に、センサホルダ105上面の空気を吸引するためのダクト110が配置される。排気管路の一例であるダクト110は、現像装置4の長手方向に直角なセンサホルダ105の断面内に納めて、センサホルダ105とほぼ同じ高さに配置されている。
【0049】
ダクト110は、感光ドラム1の長手方向に直角なセンサホルダ105の断面内に収まるように感光ドラム1の長手方向に沿って配置され、ダクト110の先端の開口の下縁とセンサホルダ105の上面とが斜面で連絡されている。ダクト110は、センサホルダ105の上面の空気を吸引できるように、先端の吸引口107の底面とセンサホルダ105の上面とを斜面108で接続している。ダクト110の下面を上面に比べて長く延長して斜め上方に傾け、センサホルダ105上面近傍まで延伸された斜面108を持つように吸引口107が配置されている。
【0050】
斜面108がセンサホルダ105上面よりも上方へ突き出た場合、斜面108とセンサホルダ105上面の受け渡し部で、空気吸引によって発生する気流に乱流が生じる場合がある。このため、斜面108の末端は、センサホルダ105上面よりも若干下方になるように配置されている。
【0051】
センサホルダ105の上面と現像装置4と感光ドラム1とによって筒状に囲まれて、感光ドラム1の軸方向に連通する第1の空間111が形成され、吸引口107がセンサホルダ105の奥側に隠れるように配置される。
【0052】
図5に示すように、センサホルダ105の上面と風切り壁109は平坦に連続し、センサホルダ105の上面と感光ドラム1の交差角度は90度以上である。このため、飛散トナーを含んで感光ドラム1に連れ回る気流の大部分は、風切り壁109ですくい取られて、第1の空間111で渦を形成して滞留し、濃度検出部102へはほとんど向かわない。感光ドラム1の回転によって発生する気流122の大部分は、風切り壁109によってセンサホルダ105の上面に分流されることで、第1の空間111に向かうこととなり、第2の空間112へ流入する気流は微少である。
【0053】
感光ドラム1と風切り壁109の隙間は狭いため、吸引口(107:図6)を通じた吸引によって発生する気流の大部分は、破線で示すように、センサホルダ105の上部を通過する。このため、飛散トナーや堆積トナーを巻き込んだ空気は、風切り壁109の下に形成された検出窓106と感光ドラム1の間の第2の空間112へは、ほとんど到達しない。到達したとしても、風切り壁109に遮られて検出窓106から離れた位置を通過するため、検出窓106からセンサホルダ105内へ侵入して濃度検出部102へ侵入することは極めて稀である。
【0054】
さらに、センサホルダ105の上面は、感光ドラム1の回転に伴って発生する強い気流に晒されるため、トナーが降り積もることがない。帯電したトナーは壁面や床面に付着し易く、付着を起点として帯電量の少ないトナーが堆積し、トナーの帯電の減衰に伴って塊状に分離して落下する場合がある。第1の空間111には、感光ドラム1の回転に伴って強い気流が発生するため、このような付着や堆積が回避される。現像スリーブ42方面から落下してきたトナー塊でも、堆積させることなく気流の渦による混合攪拌状態で第1の空間111に滞留させて、感光ドラム1の長手方向に押し流すことができる。
【0055】
図7に示すように、飛散トナーを含んだ気流は、第1の空間111で渦を形成して滞留するため、トナーをセンサホルダ105の上面に降り積もらせることなく、感光ドラム1の長手方向へ移動する。第1の空間111に滞留した空気は、センサホルダ105を通り過ぎたところで、斜面108に案内されて吸引口107へ導かれる。第1の空間111の空気は、吸引口107から吸引されることで、感光ドラム1の長手方向に沿った気流120、121を形成する。吸引口107から吸引された気流120、121は、合流してダクト110内を通る気流123となる。
【0056】
このため、現像装置4より発生した飛散トナーは、第1の空間111を通過する時点で、気流120、121によって吸引口107に吸引される。また、感光ドラム1の回転による気流122によって飛散した飛散トナーも、気流122に乗って第1の空間111に向かうため、第2の空間112に到達する飛散トナーは大幅に削減される。
【0057】
この結果、濃度検出部102と感光ドラム1との間を通過する飛散トナーは削減され、光学式センサ101が 感光ドラム1上に形成されたテストパッチを検出する際に、飛散トナーを誤認識する可能性を低くすることが可能となる。これより、濃度の検出精度を高めることが可能となり、画像濃度や色味をより安定させることが可能となる。
実施例1においては、感光ドラム1の直径は84mm、上の現像スリーブ41の直径はφ24.5mm、下の現像スリーブ42の直径はφ20mmである。上カバー103の上面の縁と感光ドラム1との対向間隔は2.3mmに設定されている。センサホルダ105は、その上面の突き出した縁と感光ドラム1の対向間隔(クリアランス)が1.5mm以上2.5mm以下となるように形成されている。
【0058】
飛散トナーを回収するためには、クリアランスは小さいほど好ましいが、実施例1では、感光ドラム1が比較的に大口径であるため、2.0mm程度の隙間を残しても、センサホルダ105の上面に十分な気流を分流できる。また、1.5mm以下とすると、組み立て時や分解時に、感光ドラム1がセンサホルダ105に接触して損傷する可能性が高まるため、2.3mmとした。風切り壁109と感光ドラム1の距離が近すぎると、風切り壁109との隙間を通過する際の感光ドラム1表面の圧力変化で、トナーが吹き飛ばされる可能性も出てくる。1.5mm以上あれば、感光ドラム1の回転中はもとより、メンテナンス時に感光ドラム1を引き出した際も、感光ドラム1とセンサホルダ105が接触することはない。
【0059】
実施例1によれば、光学式センサ101が飛散トナーをテストパッチの一部として検出する可能性を低くすることが可能となり、光学式センサ101の出力値とテストパッチの濃度が異なるという事態が起こる可能性が低くなった。これより、画像形成条件の制御をより的確にすることが可能となり、画像の濃度や色味をより安定させられるようになった。
【0060】
実施例1によれば、光学式センサ101のカバー部材であるセンサホルダ105の上方で飛散しているトナーを吸引するダクト110があり、センサホルダ105と濃度検出部102との間に感光ドラム1に近接する風切り壁109がある。このため、吸引による気流の大部分は、センサホルダ105の上部を通過し、濃度検出部102の前はほとんど通過しないように設定可能となり、濃度検出部102と感光ドラム1の間を通過する飛散トナーを減少させられる。
【0061】
実施例1によれば、トナーを供給する現像スリーブが2個以上あるため、現像スリーブが1個の現像手段に対してトナー飛散の発生量自体は多い傾向となる。このため、濃度検出部102と感光ドラム1の間を通過する飛散トナーを減少させる効果はさらに大きくなる。
【0062】
実施例1によれば、風切り壁109と感光ドラム1の隙間は2.5mm以下となっているため、画像形成部Pyの性能や、感光ドラム1のメンテナンス性を損なわず、第1の空間111と第2の空間112をより明確に区別することが可能となる。ダクト110を通じた空気の吸引によって発生する気流のうち、第2の空間112を流れる気流をさらに少なくできるため、濃度検出部102と感光ドラム1の間を通過する飛散トナーを減少させる効果はさらに大きくなる。
【0063】
実施例1によれば、ダクト110の断面積に対して、第1の空間111の断面積を小さくすることで、吸引口107によって発生する気流の大部分がダクト110を通過する。
【0064】
<プロセスカートリッジ>
図8はプロセスカートリッジの排気構造の説明図である。図8に示すように、現像装置4の第1の空間111の空気を吸引する構成は、吸引口107、斜面108、ダクト110、トナーフィルタ121、ファン122、オゾンフィルタ123、排気口124によって構成される。
【0065】
画像形成部(プロセスカートリッジ)Pyには、コロナ帯電器2と感光ドラム1が対向する帯電領域から空気を吸引するためのダクト125が設けられている。ダクト110は、画像形成部(プロセスカートリッジ)Py内でダクト125に合流させている。帯電領域から吸引した空気には、飛散トナーとオゾンが含まれているため、画像形成装置20には、トナーフィルタ121に加えてオゾンフィルタ123が設けられている。
【0066】
実施例1によれば、ダクト125にダクト110を合流させているため、吸引口107から吸引した空気だけを吸引するための配管、ファン、フィルター等が不要となっている。画像形成部(プロセスカートリッジ)Pyを画像形成装置20へ取り付ける際の管路の接続を減らして着脱時の作業性を高めている。
【0067】
<実施例2>
図9は実施例2のトナー回収構造の説明図である。実施例2は、図5に示す第1の空間111に円筒電極53を配置して、トナー回収力を高める以外は実施例1と同様に構成される。従って、図9中、実施例1と共通する構成には図5と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0068】
図9に示すように、現像剤担持体の一例である現像スリーブ42は、現像剤を担持して感光ドラム1の静電像をトナー像に現像しており、現像容器40は、現像スリーブ42から回収した現像剤を循環させている。
【0069】
壁部材の一例である風切り壁109は、感光ドラム1の回転方向に沿った現像スリーブ42の下方で感光ドラム1へ向かって壁状に突き出して配置される。風切り壁109を含むセンサホルダ105の上面と現像容器40と現像スリーブ42と感光ドラム1とに囲まれて、感光ドラム1の長手方向に連通する第1の空間111が形成される。
【0070】
排気手段の一例であるダクト(110:図6)は、感光ドラム1の回転に伴って風切り壁109によって分離されてセンサホルダ105の上面の上で滞留する空気を、感光ドラム1の長手方向に吸引して排気させる。風切り壁109の下側には、感光ドラム1に接する第2の空間112が形成される。
【0071】
円柱状の電極部材53は、現像スリーブ42と対向させて第1の空間111に配置され、現像スリーブ42との対向面が現像容器内へ向かって回転するように回転駆動されている。電源D52は、電極部材52にトナーの帯電極性と逆極性であるプラスの電圧を印加する。回収手段の一例であるゴムブレード54は、電極部材52に吸着したトナーを分離して現像容器40に回収する。
【0072】
実施例2では、実施例1と同様に、第1の空間111に混合攪拌状態で滞留させたトナー粒子を含む空気をダクト110を通じて吸引して感光ドラム1の長手方向の一端側へ排出させる。と同時に、第1の空間111に滞留させた空気から正規の帯電極性に帯電したトナーを電極部材52に吸着させて取り出し、ゴムブレード54で分離して現像容器40へ回収して、現像に再利用する。
【0073】
実施例2によれば、ダクト110のみに頼ってトナーを排出する場合よりもトナーが節約される。また、節約した分、帯電したトナーがダクト110内壁に付着しにくくなり、ダクト110の風量が少なくても、ダクト110内にトナーが堆積しにくい。
【0074】
実施例2では、感光ドラム1の表面を内周の一部に取り込んだ長手方向に連続した仮想的な転写残トナー回収ダクトを構成する。これにより、感光ドラム1に連れ回る空気の一部を取り込んで転写残トナー回収ダクト内の壁面に沿った気流を確保することにより、転写残トナー回収ダクトの底面へのトナー降り積もりを回避している。そのような気流を確保することで、長手方向の気流の速度が低くても、転写残トナー回収ダクトの底面へのトナー降り積もりが回避され、効率的に飛散トナーを回収できる。
【0075】
したがって、風切り壁109を感光ドラム1に突き出して構成される転写残トナー回収ダクトは、光学式センサ101の範囲の外側にまで延長させて設けてもよい。現像スリーブ42の長手方向の中央部に限定されず、現像スリーブ42の長手方向全体をカバーするように設けてもよい。光学式センサ101が付設されない現像装置に設けてもよい。
【0076】
そして、ダクト110を設けないで、電極部材53のみで飛散トナーを回収する構成としてもよい。光学式センサ101が付設されない現像装置の場合、ダクト110を長手方向の全長に渡って連通させ、長手方向の複数箇所から、転写残トナー回収ダクト内の飛散トナーを含む空気を吸引させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
Py、Pm、Pc、Pb 画像形成部
1 感光ドラム、2 コロナ帯電器、3 露光装置
4 現像装置、19 制御部、20 画像形成装置
100 センサユニット、101 光学式センサ
105 センサホルダ、107 吸引口、108 斜面
109 風切り壁、110、125 ダクト
111 第1の空間、112 第2の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、現像剤を担持して前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の下方に配置されて前記像担持体のトナー像を光学的に検出する検出手段と、を備えた画像形成装置において、
前記検出手段の少なくとも前記現像剤担持体側を覆って配置されたカバー部材と、前記カバー部材の上の空気を吸引して前記像担持体の長手方向の一端側へ排気する排気手段とを備え、
前記カバー部材は、前記像担持体の回転方向に沿った前記現像剤担持体と前記検出手段の間に、前記像担持体の長手方向に連通し、前記像担持体の回転に伴う気流の一部を分離して滞留させる第1の空間を形成していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記検出手段の前記像担持体側を一体に覆って配置され、
前記カバー部材の上面の縁が前記像担持体へ向かって壁状に突き出すことにより、前記カバー部材の上面に接して前記第1の空間が形成され、
前記カバー部材の上面の壁状に突き出した縁の下側に、前記カバー部材と前記像担持体とが対向する第2の空間が形成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材の上面と前記像担持体との交差角度が90度以上であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記像担持体の長手方向の一部分にて前記像担持体に所定の間隔で対向し、
前記排気手段は、前記像担持体の長手方向に直角な前記カバー部材の断面内に収まるように前記像担持体の長手方向に沿って配置された排気管路を有し、
前記排気管路の先端の開口が前記第1の空間に連通していることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排気管路の先端の開口の下縁と前記カバー部材の上面とが斜面で連絡されていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体は、前記像担持体の回転方向に沿って相互に対向して複数配置されることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カバー部材は、壁状に突き出した縁と前記像担持体の対向間隔が1.5mm以上2.5mm以下であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
像担持体と、現像剤を担持して前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体から回収した現像剤を循環させる現像容器と、を備えた画像形成装置において、
前記像担持体の回転方向に沿った前記現像剤担持体の下方で前記像担持体へ向かって壁状に突き出した壁部材と、
前記像担持体の回転に伴って前記壁部材が前記像担持体から分離して前記壁部材の上で滞留させた空気を、前記像担持体の長手方向に吸引して排気させる排気手段と、を備え、
前記壁部材の上面と前記現像容器と前記現像剤担持体と前記像担持体とに囲まれて前記像担持体の長手方向に筒状に連通した第1の空間が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤担持体と対向させて前記第1の空間に配置され、前記現像剤担持体との対向面が前記現像容器内へ向かって回転するように回転駆動される円柱状の電極部材と、
前記円柱状の電極部材にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加する電源と、
前記円柱状の電極部材に吸着したトナーを前記現像容器に回収する回収手段と、を備えたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
像担持体と、現像剤を担持して前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の下方に配置されて前記像担持体のトナー像を光学的に検出する検出手段と、を備えた現像装置において、
前記検出手段の前記像担持体側と前記現像剤担持体側とが一体のカバー部材で覆われ、
前記像担持体の回転方向に沿った前記現像剤担持体と前記検出手段の間に、前記像担持体の長手方向に連通し、前記像担持体の回転に伴う気流の一部を分離して滞留させる第1の空間を形成するように、前記カバー部材の上面の縁が前記像担持体へ向かうように棚状に突き出し、
前記第1の空間から吸引した空気を排出するための排気管路が組み込まれていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、現像剤を担持して前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の下方に配置されて前記像担持体のトナー像を光学的に検出する検出手段と、を備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記検出手段の前記像担持体側と前記現像剤担持体側とが一体のカバー部材で覆われ、
前記像担持体の回転方向に沿った前記現像剤担持体と前記検出手段の間に、前記像担持体の長手方向に連通し、前記像担持体の回転に伴う気流の一部を分離して滞留させる第1の空間を形成するように、前記カバー部材の上面の縁が前記像担持体へ向かうように棚状に突き出し、
前記第1の空間から吸引した空気を排出するための排気管路が、前記帯電手段による前記像担持体の帯電領域の空気を排出するための排気管路に合流して組み込まれていることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−232680(P2011−232680A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105245(P2010−105245)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】