説明

画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム

【課題】出力画像の濃度変動量に応じた最適な濃度補正処理を行うことにより、生産性を低下させることなく高品質な印刷物を出力する。
【解決手段】画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて印刷画像データの濃度を補正するための濃度補正特性を補正する第1の濃度補正手段と、記録紙に印刷された濃度補正パッチを用いて前記濃度補正特性を補正する第2の濃度補正手段と、印刷した出力画像を読み取った検査画像データの画像濃度と印刷画像データの画像濃度を比較し、前記印刷した出力画像の濃度変動量を検査する画像検査装置130と、画像検査装置130が検査した濃度変動量に応じて、第1または第2の濃度補正手段を選択して前記濃度補正特性を補正する濃度制御部105と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の濃度変動を検査して出力画像の濃度を補正する画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリントオンデマンドプリンターには、通常、画像補正装置に加えて画像検査装置が装備され、画像検査装置で出力画像の濃度変動を検査して、濃度変動が発生した場合には変動を抑える補正処理を行い、印刷物の品質の一つである正確な色や濃度を保証している。この濃度補正処理には大別して以下に示す第1および第2の2つの技術がある。
【0003】
第1には、現像ドラムや中間転写ベルト上の印刷画像の画像形成領域外に濃度補正パッチを形成し、その濃度を検知することで濃度補正処理を行う技術がある(例えば、特許文献1を参照)。また、第2には、記録紙上に濃度補正パッチを形成し、その濃度を検知することで濃度補正処理を行う技術がある(例えば、特許文献2を参照)。なお、MFP(多機能複写機)で一般的に行われているスキャナを用いて濃度を検知する自動階調補正(ACC)でもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記に示されるような従来の第1の技術にあっては、実際に出力紙上のパッチ濃度を測定していないので濃度補正の精度は劣るが、印刷画像の画像形成領域外に濃度補正パッチを形成するので、ユーザー画像の出力を停止することなく(あるいは停止したとしてもごく短時間)、画像の濃度補正ができるという利点がある。
【0005】
一方、上記第2の技術は、実際に出力紙上のパッチ濃度を検出するので濃度補正の精度は良いという利点があるが、濃度補正パッチを記録紙に出力するため、ユーザー画像の出力を停止する必要があり、生産性が低下する。よって、これらの濃度補正処理を最適に制御することが求められている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、出力画像の濃度変動量に応じた最適な濃度補正処理を行うことにより、生産性を低下させることなく高品質な印刷物を出力する画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて印刷画像データの濃度を補正するための濃度補正特性を補正する第1の濃度補正手段と、記録紙に印刷された濃度補正パッチを用いて前記濃度補正特性を補正する第2の濃度補正手段と、印刷した出力画像を読み取った検査画像データの画像濃度と印刷画像データの画像濃度を比較し、前記印刷した出力画像の濃度変動量を検査する画像検査手段と、前記画像検査手段が検査した濃度変動量に応じて、前記第1または第2の濃度補正手段を選択して前記濃度補正特性を補正する濃度制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷画像で実際に発生した濃度変動の大きさに基づいて濃度補正処理の動作を制御するため、生産性を低下させることなく出力画像の濃度変動を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態にかかるシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1における画像形成部の主要部分を示す説明図である。
【図3】図3は、図1における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図1における画像検査装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、画像形成領域外に濃度補正用のパッチ(4パッチ×4列の16パッチ)を形成した一例を示す説明図である。
【図6】図6は、記録紙に濃度補正用のパッチ(16パッチ×4列の64パッチ)を印刷した一例を示す説明図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態にかかる濃度制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、第1の実施の形態にかかるテーブル記憶部の記憶内容を示す図表である。
【図9】図9は、第1の実施の形態にかかる制御動作例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2の実施の形態にかかる濃度制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態にかかるテーブル記憶部の記憶内容を示す図表である。
【図12】図12は、第2の実施の形態にかかる制御動作例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるシステム構成を示すブロック図である。本システムは、クライアントPC110と、デジタルフロントエンド(DFE)と呼ばれるプリントサーバー1120と、画像形成装置100と、画像検査装置130、画像読取装置140と、を有する。
【0012】
クライアントPC110がプリントを指示すると、プリントサーバーDFE120は、プリンタ言語の解析、画像の描画を行ない、最終的には、接続されている画像形成装置100が受け取れる出力ビット数にあったビットマップ画像を生成する。この実施の形態では、600dpi(dot per inch)、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の8ビットのRIP画像データを生成し、この画像データが画像形成装置100に送られて印刷出力される。
【0013】
画像形成装置100は、画像形成部103、画像処理部104、濃度制御部105、書込制御部107、を備える。
【0014】
図2は、図1における画像形成部103の主要部分を示す説明図である。画像形成装置100は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),Bk(ブラック)のトナー像を用いてカラー画像を形成する一般的な電子写真方式のカラー画像形成装置である。
【0015】
図2に示すように、中間転写ベルト112に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部が並設されている。なお、装置本体100に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2において、作像部6と感光体ドラム108と1次転写バイアスローラ114とにおける符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)を付し、以下、一色の構成・動作について説明する。
【0016】
図2を参照して、作像部は、像担持体としての感光体ドラム108と、感光体ドラム108の周囲に配設された帯電装置109、現像部としての現像装置110、クリーニング部111、等で構成されている。感光体ドラム108上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム108上に所望のトナー像が形成される。
【0017】
図2を参照して、感光体ドラム108は、不図示の駆動部によって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置109により感光体ドラム108の表面が一様に帯電される(帯電工程)。ここでは、帯電手段として感光体ドラム108に接触させる帯電ローラ109を用いているが、帯電チャージャ等の感光体ドラム108に対して非接触に配設するものを用いてもよい。
【0018】
その後、感光体ドラム108の表面は、レーザ書込み装置107から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。
【0019】
その後、感光体ドラム108の表面は、現像装置114の現像ローラとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
【0020】
その後、感光体ドラム108の表面は、中間転写ベルト112及び第1転写バイアスローラ113との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム108上のトナー像が中間転写ベルト112上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム108上には、僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体ドラム108の表面は、クリーニング部111との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム108上に残存した未転写トナーがクリーニングブレードによって回収される(クリーニング工程)。
【0021】
そして、中間転写ベルト113上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録紙P上に転写される。こうして、中間転写ベルト11上で行われる一連の転写プロセスが終了する。ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録紙Pは、装置本体の下方に配設された給紙部から、給紙ローラやレジストローラ対等を経由して搬送されたものである。こうして、記録紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録紙Pは、定着装置117の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録紙P上に定着される。その後、記録紙Pは、排紙ローラ対のローラ間を経て、装置外へと排出される。
【0023】
図2において、符号114Y,114M,114C,114Kは、各感光体ドラム108上に形成されたトナーの付着量を検出するトナー付着量検出センサ、符号115は中間転写ベルト112上に転写して形成されたトナーの付着量を検出するトナー付着量検出センサ、符号116は被転写材P上の画像濃度を検出する濃度検出センサである。
【0024】
図3は、図1における画像処理装置104の構成を示すブロック図である。画像処理装置104は、プリントサーバーDFE120から送られてきた画像データに対して、補正テーブルにしたがった補正を行うγ補正処理部201、中間調処理を行う中間調処理部202を有する。
【0025】
帯電装置109は、感光体ドラム108の表面に所望の電荷を与える機能を持ち、その帯電量は帯電電位制御信号を制御することによって変えることができる。現像装置111は感光体ドラム108上にトナーを現像する機能を持ち、現像バイアスVbを現像バイアス制御信号によって変えることができる。レーザ書込み装置107は画像信号に合わせて感光体ドラム108上に潜像を形成する機能を持ち、レーザ発光時の露光光量をLDパワー制御信号によって変えることができる。
【0026】
印刷出力された記録紙は、画像検査装置130に接続されている画像読取装置140によって画像情報が読み取られる。上記RIP画像データは正解画像(元画像データ)として画像検査装置130にも転送されている。画像検査装置130では、このRIP画像データと画像読取装置140で読み取られた読取画像データを色変換して得られるとデータを比較することで画像の検査を行なう。
【0027】
図4は、図1における画像検査装置104の構成を示すブロック図である。画像読取装置140で読み取られた画像データは、RGBデータとして出力され、この画像データは色変換装置301でL*a*b*値に変換される(これを読取画像データという)。同時にプリントサーバーDEF120から送られている正解画像データ(CMYK各8bit)は、色変換装置302でL*a*b*値に変換される(これを元画像データという)。画像比較装置303は、この元画像データと読取画像データの2つのデータを比較して、印刷された出力画像の色差ΔEを検出する。
ΔE=((L*−L*)+(a*−a*)+(b*−b*))1/2
【0028】
つぎに、画像形成装置100の濃度制御部105によって実行される濃度補正処理を説明する。画像形成装置100は、前述の図2に示すように、感光体ドラム108上に形成された画像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出センサ114、中間転写ベルト111上に転写された画像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出センサ115、記録紙上に転写された画像像の濃度を検出する濃度検出センサ116を備えている。濃度制御装置105は、これらのセンサの検出結果を用いて画像の濃度補正処理を行う。
【0029】
濃度制御装置105が実行する第1の濃度補正処理は、画像形成過程の補正パッチによるγ補正処理の補正テーブルを調整する処理である。
【0030】
ユーザー画像(クライアントPC110よりプリント指示が行なわれた画像)の紙間、あるいは、ユーザー画像の画像形成領域外(主走査方向の端部)の感光体ドラム108上に、濃度補正用のトナー像(未定着のパッチ画像)を形成し、そのトナー付着量をトナー付着量検出センサ114で検出する。その検出結果に基づいて、画像処理装置106におけるγ補正処理部201の補正テーブルを調整する。
【0031】
図5は、画像形成領域外に濃度補正用のパッチ(4パッチ×4列の16パッチ)を形成した一例を示す説明図である。なお、中間転写ベルト112上のトナー付着量検出センサ115で測定したトナー付着量に基づいた制御でもよい。
【0032】
濃度制御装置113が実行する第2の濃度補正処理は、記録紙上の補正パッチによるγ補正処理の補正テーブルを調整する処理である。
【0033】
ユーザー画像の出力間に、濃度補正用のパッチ画像を記録紙に出力し、紙面上の濃度検出センサ116により、そのパッチ画像の濃度を取得する。その検出結果に基づいて、画像処理装置106におけるγ補正処理部201の補正テーブルを調整する。
【0034】
図6は、記録紙に濃度補正用のパッチ(16パッチ×4列の64パッチ)を印刷した一例を示す説明図である。
【0035】
なお、記録紙面上の画像濃度を検出する濃度検出センサ116の代わりに、画像読取装置140でパッチ画像の濃度を取得する構成や、画像形成装置100上に設置された画像読取装置(スキャナ)でパッチ画像の濃度を取得する構成でもよい。
【0036】
本実施の形態では、画像検査装置130で検出した出力画像(ユーザー画像)の色差(濃度変動の大きさ)に基づいて、濃度制御装置105の動作を制御する。画像検査装置130で検出した色差は、画像形成装置103の濃度制御装置105に送られる。
【0037】
図7は、第1の実施の形態にかかる濃度制御装置105の構成を示すブロック図である。図7において、符号401,402は、上記した第1濃度補正処理部、第2濃度補正処理部、符号404は、テーブル記憶部405を参照して、色差に応じて第1濃度補正処理部401、第2濃度補正処理部402を選択する選択部、符号405は、図8または図11に示すテーブルが記憶されているテーブル記憶部である。
【0038】
この実施の形態1では、濃度制御装置105は第1濃度補正処理部401、第2濃度補正処理部402を有し、テーブル記憶部405には、図8のテーブルが記憶されている。
【0039】
濃度制御装置105の選択部404は、図8に示すように、色差の大きさに応じて、第1濃度補正処理部401または第2濃度補正処理部402を選択し、動作を制御する(○が実行を示す)。
【0040】
図8において、色差の小/中/大は以下の通りである。
ΔE≦3のとき 色差「小」
3<ΔE≦8のとき 色差「中」
8<ΔEのとき 色差「大」
【0041】
図9は、第1の実施の形態にかかる制御動作例を示すフローチャートである。この図9において、まず、クライアントPC110がプリントの指示を行うと(ステップS11)、プリントサーバー120は、前述したように、プリンタ言語の解析、画像の描画を行ない、最終的には、接続されている画像形成装置100が受け取れる出力ビット数にあったビットマップ画像を生成する(ステップS12)。画像形成装置100は上記ビットマップ画像にしたがった画像を最終的に記録紙に出力する(ステップS13)。この記録紙に出力された画像をプリント画像という。続いて、このプリント画像を画像読取装置140で読み取り、読取画像データを取得する(ステップS14)。そして、この読取画像データを画像検査装置130に送信する(ステップS15)。画像検査装置130は、画像読取装置140で読み取った読取画像データを色変換装置301で色変換するとともにプリントサーバー120から送られた画像データを色変換装置302で色変換して、変換後の画像データの色差を求める(ステップS16)。そして、この求めた色差が、上述したように定めた小、中、大の何れかであるかを判断する(ステップS17)。
【0042】
ステップS17において色差が小さいと判断した場合は、濃度補正の必要はないので濃度補正処理は実行しない。一般的に色差ΔEが3程度ならば濃度変動は目立たない。
【0043】
一方、ステップS17において色差が中程度と判断した場合は、生産性を落とさないために、第1濃度補正処理部401を選択して第1の濃度補正処理を実行する(ステップS18)。本第1の実施の形態では、色差ΔEを8以下と設定しているが、これは第1濃度補正処理部401の補正精度と同程度の値に設定することが望ましい。つまり、第1の濃度補正処理部401で補正できる範囲内であれば、生産性を低下させることなく補正することを意味する。
【0044】
また、ステップS17において色差が大きいと判断した場合は、第2濃度補正処理部402を選択して第2の濃度補正処理を実行する(ステップS19)。これは第1濃度補正処理部401では合わせきれない可能性があるためで、このような場合にのみ、ユーザー画像の出力を停止して高精度な補正を行う。
【0045】
したがって、上述した実施の形態によれば、印刷画像で実際に発生した濃度変動の大きさに基づいて濃度補正処理の動作を制御することで、生産性の低下を最低限に抑えながら出力画像の濃度変動を抑えることができる。また、濃度変動が小さい場合には濃度補正処理を行わないので、濃度補正用パッチを形成するためのトナー消費も最低限に抑えることができる。
【0046】
なお、第2の濃度補正処理を実行する際に、その実行を画像出力装置の操作パネルやアラームランプなどで画像形成装置100の操作者に通知するようにしてもよい。これは濃度補正用のパッチ画像を印刷した用紙とユーザー画像を印刷した用紙とが同じ排紙口に出力される場合や、濃度補正用のパッチ画像の濃度を画像出力装置上のスキャナで読み取る場合に有効である。
【0047】
(第2の実施の形態)
この第2の実施の形態は、第1、第2の濃度補正処理は、γ補正処理の補正テーブルを調整するものである。画像形成装置100の最高濃度が濃く出るように変動した場合には、補正テーブルで最高濃度が薄くなるように補正することで画像濃度を合わせることが可能であるが、反対に画像形成装置100の最高濃度が薄く出るように変動した場合には、補正テーブルの調整では画像濃度を合わせることができない。そこで、最高濃度を合わせるための濃度補正処理が必要となる。このような濃度補正処理として、以下に示すプロセス調整が公知の技術としてある。
【0048】
図8は、第2の実施の形態にかかる濃度制御装置105の構成を示すブロック図である。本構成は、第1の実施の形態で前述した図7の構成に対して第3濃度処理部403が付加された構成である。なお、テーブル記憶部405には、図11のテーブルが記憶されている。なお、他の構成は図7と同様であるので、図7と同一符号を付し、重複説明については省略する。
【0049】
濃度制御装置105の第3濃度処理部403が実行する第3の濃度補正処理は、プロセス調整である。第1の濃度補正処理と同様に、感光体ドラム108上に濃度補正用のトナー像(未定着のパッチ画像)を形成して、感光体ドラム108上のトナー付着量検出センサ114と中間転写ベルト112上のトナー付着量検出センサ115でトナー付着量を検出する。その検出結果に基づいて、プロセス条件(前述したLDパワー制御信号、現像バイアス制御信号、帯電電位制御信号)を調整する。
【0050】
この第3濃度補正処理部403による第3の濃度補正処理はプロセス条件を調整するため、ユーザー画像の出力を一時停止する必要があり、生産性が低下する(一般的には、第2の濃度補正処理に比べると停止時間は短くて済む)。しかし、第1、第2の濃度補正処理では不可能な最高濃度が薄くなった場合の調整が可能である。
【0051】
図10に示すように、濃度制御装置105の選択部404は、画像検査装置130で検出した出力画像(ユーザー画像)の色差に基づいて、第1〜第3濃度補正処理部401〜403を選択し、動作を制御する。
【0052】
図12は、第2の実施の形態にかかる制御動作例を示すフローチャートである。この図12のステップS21〜S26は前述した図9のステップS11〜S16と同様である。ただし、ステップS26において、では、色差を、高濃度領域と低中濃度領域毎に個別に検出する(低濃度領域は0〜85、中濃度領域は86〜170、高濃度領域は171〜255)。また、色差の小/中/大は、第1の実施の形態と同じように算出するが、高濃度領域の色差については、色差が「中」の場合に本来再現するべき濃度よりも濃く変動しているか、薄く変動しているかを検出する。これは、明度の変動(L*−L*)が正の値であれば薄く変動、負の値であれば濃く変動していると判定することができる。
【0053】
つぎにステップS26において求めた色差について上述したように予め定めた小、中、大の何れかであるかを判断する(ステップS27)。
【0054】
ステップS27において高濃度の色差が小さいと判断した場合、最高濃度の調整は不要であるため第3濃度補正処理部403は実行する必要がなく、第1、第2濃度補正処理部401、402を低中濃度の色差の大きさに応じて前述した第1の実施の形態と同様に制御する(ステップS28)。
【0055】
一方、ステップS27において高濃度の色差が中程度で濃く変動していると判断した場合は、最高濃度は第1、第2濃度補正処理部401または402合わせればよいため、第3濃度補正処理部403は実行しない。低中濃度の色差が第1濃度補正処理部401で補正できる範囲内(中程度以下)であれば、第1濃度補正処理部401により生産性を落とさずに補正する。それ以上であれば、第2の濃度補正処理部402によりユーザー画像の出力を停止して高精度な補正を行う(ステップS29)。
【0056】
また、ステップS27において高濃度の色差が中程度で薄く変動していると判断した場合、または、高濃度の色差が大きい場合最高濃度を第3濃度補正処理部403によるプロセス制御での第3の濃度補正処理を実行する(ステップS30)。なお、低中濃度の色差が小さければ、高濃度のみを調整すればよいので、第3濃度補正処理部403のみを実行する。低中濃度の色差が中程度または大きい場合には、第1濃度補正処理部401または第2濃度補正処理部402も合わせて実行する。
【0057】
第2濃度補正処理部402と第3濃度補正処理部403の両方を実施する場合には、ユーザー画像の出力を停止する時間が長くなるが、図11の12通り中の2通りのみであり、必要最低限の場合に限られている。
【0058】
以上の構成により、印刷画像で実際に発生した各濃度領域の濃度変動の大きさに基づいて濃度補正処理の動作を制御することで、生産性の低下を最低限に抑えながら濃度変動を抑えることができる。
【0059】
図13は、画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、この画像形成装置(複合機)は、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、画像形成装置全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0060】
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス215で接続した構成となる。また、MEM−P212は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory)212bと、をさらに有する。
【0061】
CPU211は、画像形成装置の全体制御をおこなうものであり、NB213、MEM−P212およびSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0062】
NB213は、CPU211とMEM−P212、SB214、AGPバス215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0063】
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0064】
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0065】
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス215、PCIバス、HDD218およびMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC216に直接接続されている。
【0066】
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0067】
AGPバス215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0068】
この実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、この実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、この実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0069】
また、この実施の形態のプログラムを、ROM等にあらかじめ組み込んで提供するように構成してもよい。本実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムは、上述した画像形成装置各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記録媒体から画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0070】
100 画像形成装置
103 画像形成部
104 画像処理部
105 濃度制御部
107 書込制御部
110 クライアントPC
120 デジタルフロントエンド(DFE)
130 画像検査装置
140 画像読取装置
107 レーザ書き込み装置
108Y,M,C,Bk 感光体ドラム
109Y,M,C,Bk 帯電装置
110Y,M,C,Bk 現像装置
112 中間転写ベルト
401 第1濃度補正処理部
402 第2濃度補正処理部
403 第3濃度補正処理部
405 テーブル記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2008−158504号公報
【特許文献2】特開2007−274438号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて印刷画像データの濃度を補正するための濃度補正特性を補正する第1の濃度補正手段と、
記録紙に印刷された濃度補正パッチを用いて前記濃度補正特性を補正する第2の濃度補正手段と、
印刷した出力画像を読み取った検査画像データの画像濃度と印刷画像データの画像濃度を比較し、前記印刷した出力画像の濃度変動量を検査する画像検査手段と、
前記画像検査手段が検査した濃度変動量に応じて、前記第1または第2の濃度補正手段を選択して前記濃度補正特性を補正する濃度制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度制御手段は、前記濃度変動量が所定値未満の場合に、前記第1の濃度補正手段を用いて画像濃度を補正し、前記濃度変動量が所定値以上の場合に、前記第2の濃度補正手段を用いて画像濃度を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度変動量の所定値は、前記第1の濃度補正手段の補正精度と同程度の値であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて印刷画像データの濃度を補正するため濃度補正特性を補正する第1の濃度補正手段と、
記録紙に印刷された濃度補正パッチを用いて前記濃度補正特性を補正する第2の濃度補正手段と、
画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて画像形成プロセス条件を調整する第3の濃度補正手段と、
前記画像形成手段で印刷した出力画像を読み取った検査画像データの画像濃度と前記印刷画像データの画像濃度とを比較し、高濃度領域と低中濃度領域の2つの階調領域における濃度変動量と、前記高濃度領域における濃度変動が濃い方向または薄い方向の何れの方向に変動しているかを検査する画像検査手段と、
前記画像検査手段による前記濃度変動量と濃度変動方向に応じて、前記第1、第2、第3の濃度補正手段を制御する濃度制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記濃度制御手段は、前記高濃度領域の濃度変動方向が濃い方向に変動している場合に、前記第1または第2の濃度補正手段を用いて高濃度領域の画像濃度を補正し、前記高濃度領域の濃度変動方向が薄い方向に変動している場合に、前記第3の濃度補正手段を用いて高濃度領域の画像濃度を補正することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記濃度制御手段は、前記高濃度領域の濃度変動量が所定値以上の場合に、前記高濃度領域の濃度変動方向に関わらず前記第3の濃度補正手段を用いて高濃度領域の画像濃度を補正することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の濃度補正手段の実行を操作者に通知する通知手段を有することを特徴とする請求項2または5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて印刷画像データの濃度を補正するための濃度補正特性を補正する第1の濃度補正工程と、
記録紙に印刷された濃度補正パッチを用いて前記濃度補正特性を補正する第2の濃度補正工程と、
印刷した出力画像を読み取った検査画像データの画像濃度と印刷画像データの画像濃度を比較し、前記印刷した出力画像の濃度変動量を検査する画像検査工程と、
前記画像検査工程で検査した濃度変動量に応じて、前記第1または第2の濃度補正工程を選択して前記濃度補正特性を補正する濃度制御工程と
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
画像形成過程において形成された濃度補正パッチを用いて印刷画像データの濃度を補正するための濃度補正特性を補正する第1の濃度補正ステップと、
記録紙に印刷された濃度補正パッチを用いて前記濃度補正特性を補正する第2の濃度補正ステップと、
印刷した出力画像を読み取った検査画像データの画像濃度と印刷画像データの画像濃度を比較し、前記印刷した出力画像の濃度変動量を検査する画像検査ステップと、
前記画像検査ステップで検査した濃度変動量に応じて、前記第1または第2の濃度補正ステップを選択して前記濃度補正特性を補正する濃度制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−42924(P2012−42924A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114693(P2011−114693)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】