説明

画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラム、及び記録媒体

【課題】表示しない場合でも機器の各種設定情報の種類に応じて印刷を実行するか否かを選択可能とすることにより、印刷が可能であれば印刷出力の動作を優先することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタコントローラ部20は、タイマー制御部21と、各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部22と、印刷データを解析するデータ制御部23と、各種情報を表示する情報表示部25と、印刷データを格納するデータ記憶部24と、出力制御を行う出力制御部27と、表示の可否を選択するユーザインタフェース制御部29と、用紙サイズ・向きの情報を格納する用紙情報記憶部31と、用紙サイズ・向きの情報を表示するか否か、印刷を実行するか否かの制御を行なう情報表示制御部26と、印刷を実行しないと判定する印刷判定制御部28と、印刷用紙サイズを検知する用紙サイズ検知部32と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、パーソナルコンピュータやワークステーション等の出力装置として用いられるプリンタや複写機能を持つMFP及びそれらを制御するプリンタドライバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からパーソナルコンピュータなどから印刷を行う際には、プリンタなどの画像形成装置に対して様々なアプリケーションから所望するサイズの用紙に印刷を実行している。このときに何らかの要因で印刷が行えない場合に、情報表示部にその理由などを表示して、ユーザに対して次のアクションを取るように促しその指示に従って次の動作を行っていた。
従来技術として特許文献1には、キャリッジに設けられたサイズ検知手段としての赤外線センサで、給紙部としての給紙トレイや手差しトレイなどの用紙サイズを検知し、また、用紙サイズの検知結果を給紙トレイや手差しトレイと関連づけて記憶部に記憶する画像形成装置について開示されている。
また特許文献2には、ネットワークを介して転送されてきたデータに基づいて記録媒体に可視画像を形成する画像形成装置において、前記データには印刷パラメータと印刷データとが含まれ、前記画像形成装置のメインコントローラは、印刷開始前に前記記録媒体の残量と前記印刷パラメータとから、前記転送されてきた前記データの印刷が可能か否かを判断し、印刷不能と判断した場合、前記データの転送元に記録媒体が不足している旨を報知するとともに、その旨を表示させる指示を送信する画像形成装置について開示されている。
【特許文献1】特開2006−036429公報
【特許文献2】特開2005−193394公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている従来技術においては、従来は通常情報として画像形成装置における情報表示部に印刷が行われない理由などを示すことでユーザに対して次の必要な作業を促すことを可能とし画像形成装置が、どのような状態・状況であるかを認識することができ非常に有用な機能である。しかし、場合によっては、その情報を表示し続けることによって、ユーザの次の行動がなければ、それ以降の処理を行なわないことにもなり、早急に印刷を行いたい時などには、逆にデメリットとなる虞もある。
本発明は、かかる課題に鑑み、機器の装置情報を表示することを任意に選択できるようにして、表示しない場合でも機器の各種設定情報の種類に応じて印刷を実行するか否かを選択可能とすることにより、印刷が可能であれば印刷出力の動作を優先することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、プリンタコントローラ部とプリンタエンジン部とを有し、前記プリンタコントローラ部は、時間を制御するタイマー制御部と、画像形成装置内の各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部と、印刷データを解析するデータ制御部と、各種情報を表示する情報表示部と、前記印刷データを格納するデータ記憶部と、前記印刷データと前記情報記憶部に記憶されている情報に基づいて出力制御を行う出力制御部と、を備え、当該画像形成装置の状態を表す装置情報及び前記印刷データに基づいて印刷を実行するか否かを判定する印刷判定制御部を有する画像形成装置において、前記情報表示部に対して表示の可否を任意に設定する情報表示制御部を備えたことを特徴とする。
本発明は、各種情報の表示の可否を切り替えることができ、表示をさせない設定のときには、ユーザの次の指示を待たずに次の処理を行うことを可能として待機時間をなくすことで効率的に画像形成装置を使用することが可能となる。
請求項2は、前記プリンタコントローラ部は、前記情報表示部に対する表示の可否を前記画像形成装置内の各種設定情報の種類に応じて選択するユーザインタフェース制御部を備えたことを特徴とする。
各種情報には、例えば用紙ジャムなどで搬送経路上の異物を取り除かなければ次の印刷実行が困難な状態も存在する。したがって、このようなユーザ側での処理が必須になるものについては、その旨の情報を表示して人的な作業を行ったほうがよいため、一概に表示可否だけではなく、その表示内容に応じて装置のユーザインタフェース制御部より選択させることにより、状態によって動作を変更することを可能とする。
【0005】
請求項3は、前記情報表示制御部は、前記情報表示部に対して表示を否とした場合、次の処理として前記印刷データの印刷の可否を選択することを特徴とする。
本発明は、ある状態において情報を表示させない場合に、その状態ごとに次の動作として印刷を実行する或いは印刷を行なわない設定を可能とするものである。
請求項4は、前記情報表示制御部は、外部からのコマンド指示によって、前記表示の可否を選択可能としたことを特徴とする。
例えばカラー出力を可能とする画像形成装置において、ある色のトナー、インクが空になって色が表現できない状態にあったとしても、文字原稿などで字さえ見えればよく色は多少異なっても構わなければ印刷を実行させたり、空になったのが黒色のトナー、インクであれば印刷を実行させないなど用途に応じた設定ができることになる。またこういった設定は、ネットワークなどに接続された画像形成装置を複数のユーザが共有する場合、かかる画像形成装置で設定を行うと同一の設定がユーザ全員に適用されるケースも考えられる。本発明このような状況を脱する方法として、それぞれのユーザからコマンドとして指示を受けることを画像形成装置が許容することにより実現させることが可能となる。
請求項5は、前記コマンドは、PJLコマンドにより前記表示の可否を指示することを特徴とする。
コマンドをPCにインストール可能なプリンタドライバに持たせることで、更にドライバのUI上でその設定が容易に行えるようにすることにより、ユーザはコマンドを知らずとも概念のみを持つことで所望の動作を設定することができるようになる。このようなドライバは記憶媒体に格納することにより簡単にPCにインストールして使用することができるようになる。
【0006】
請求項6は、プリンタコントローラ部とプリンタエンジン部とを有し、前記プリンタコントローラ部は、時間を制御するタイマー制御部と、画像形成装置内の各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部と、該情報記憶部に各トレイごとの用紙サイズ・向きの情報を格納する用紙情報記憶部と、印刷データを解析するデータ制御部と、各種情報を表示する情報表示部と、前記印刷データを格納するデータ記憶部と、前記印刷データと前記用紙情報記憶部に保持される用紙サイズ・向きに基づいて出力制御を行う出力制御部と、前記印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに印刷を実行しないと判定する印刷判定制御部と、を備え、前記用紙情報記憶部に保持される用紙サイズ・向きの情報を前記情報表示部に表示し、前記情報表示部に対する表示の可否を前記画像形成装置内の各種設定情報の種類に応じて選択するユーザインタフェース制御部からの次の指示を待機する画像形成装置において、前記用紙情報記憶部に保持される用紙サイズ・向きの情報を前記情報表示部に表示するか否か、及び、その後処理としての印刷を実行するか否かの制御を行なう情報表示制御部を備えたことを特徴とする。
特に表示情報として頻繁に発生しうる事象、状態に用紙サイズのミスマッチのケースがある。画像形成装置が用紙サイズ検知部を持ち、各トレイに設定された用紙サイズがどのようなサイズであるかといった情報であるが、これらを用紙情報記憶部に保持する。このような機能は画像形成装置では一般的に組み込まれているものが多いが、特にこの情報を元に用紙サイズのミスマッチが発生した場合には、その旨画像形成装置上の情報表示部に表示し、該用紙の挿入を促すか、或いは強制的に印刷を実施するなどのユーザアクションが必要であった。こういったアクションがなくても次の動作に移行することにより効率的な画像形成装置の利用を可能とする。
【0007】
請求項7は、前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、且つ前記印刷データを印刷しない場合は、前記送られてくる印刷データを前記データ記憶部に一時的に退避させることを特徴とする。
ネットワークプリンタの場合、得てして印刷指示を出した後にすぐに取りに行くことを忘れてしまい、画像形成装置はある意味で放置された状態に陥ってしまうことが起こりうる。この状態において、ユーザのアクションを待つことなく一旦、データ記憶部にそのJobを保持する動作を行い、ユーザのJobを処理行列から取り除くことで、次のユーザの印刷Jobの処理を進めることが可能となり、時間効率のよい利用ができる。
請求項8は、前記データ記憶部に一時的に退避された印刷データを前記ユーザインタフェース制御部を介して印字再開を指示することを可能としたことを特徴とする。
データ記憶部に保持されたユーザのJobの処理をユーザインタフェース制御部を介して例えば、本発明により一時的に退避されたリストの表示などのボタンを押すと一覧が表示され、その中からユーザが印刷したJobを選んで所定の用紙をセットして印刷再開を実行することで、同じドキュメントを2度印刷指示することなく出力結果を得られることができるようになる。
【0008】
請求項9は、前記データ記憶部に一時的に退避された印刷データとマッチする印刷用紙サイズが設定された場合に、前記印刷用紙サイズを検知する用紙サイズ検知部を有し、該用紙サイズ検知部により検知された印刷用紙サイズに該当する退避データの印刷を自動的に開始することを特徴とする。
該当する用紙サイズが画像形成装置に設定されたことを用紙サイズ検知部が検知し、用紙情報記憶部に保持されたと同時に該当する用紙サイズミスマッチによりデータ記憶部に一時的に退避されていたJobの印刷実行を開始することで、一覧を表示して印刷指示を出すという手順を省いて所望の出力結果を得ることができる。
請求項10は、前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、且つ前記印刷データを印刷しない場合は、該印刷データ自体を破棄することを特徴とする。
印刷Jobはデータ記憶部に保持する必要がない場合は、該画像形成装置の効率的な活用を優先して対象Jobを破棄することで同様に次の印刷Jobの処理動作を迅速に行うことが可能となる。
【0009】
請求項11は、前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、前記印刷データを印刷する場合は、特定の用紙サイズで印刷を実行することを特徴とする。
特定の用紙サイズを設定しておくことを可能とし、例えば、その特定サイズとしてA3サイズを指定しておくと、用紙サイズミスマッチ状態になったときに直ちにA3用紙サイズへの印刷を実行し、欲しい出力情報として用紙サイズが違っても入手することが可能となる。これは、体裁には拘らないが紙に出したものをチェックしたい、目で追いたいなど一般のPC上での表示では実施しにくいと感じるユーザに対して即座にその作業を可能とする。
請求項12は、前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、前記印刷データを印刷する場合は、特定のトレイに設置されている用紙サイズで印刷を実行することを特徴とする。
指定を用紙サイズではなく、給紙トレイにすることで、例えば大量に給紙可能なトレイを設定することで、用紙無しになる状態が最も少なくなり、確実に即時に印刷される状況が得られやすいメリットがある。
請求項13は、前記印刷データに含まれる印刷用紙サイズが定型用紙の半分の用紙サイズであり、且つ該画像形成装置に設置されている用紙サイズの該当する定型用紙サイズが存在する場合、該定型用紙に印刷データ2ページ分のデータを印刷することを特徴とする。
例えば、B5サイズに対して一つ大きいB4サイズの用紙がトレイにセットされていれば、B5のドキュメント2ページ分を1つのB4用紙に印刷することで印字文字の大きさを変えずに見た目も美しい出力結果を得ることができ、やはり次の処理動作に迅速に移行することができる。
【0010】
請求項14は、時間を制御するタイマー制御部により、一定の或いは指定された時間の間は情報を表示し、当該時間が経過後に次の処理動作を行うことを特徴とする。
本発明はある一定時間を表示のために使用し、その所定の時間経過後に次の処理動作を行うものである。このときの時間単位も設定可能とすることによりユーザの要望に応じた処理を更にフレキシブルに実現させることができる。
請求項15は、請求項6乃至14記載の画像形成装置に対して、すべての設定をPCソフトウェアからのPJLコマンドによる外部コマンドにより実現させることを特徴とする。
以上を画像形成装置上で設定しなくても、プリンタドライバなどのソフトウェアを介して指定できるようにすると、ユーザごとにまた印刷Job単位で動作を変更することができるようになる。
請求項16は、請求項15に記載の画像形成方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする。
請求項17は、請求項16に記載の画像形成プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリンタコントローラ部とプリンタエンジン部とを有し、プリンタコントローラ部は、時間を制御するタイマー制御部と、画像形成装置内の各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部と、印刷データを解析するデータ制御部と、各種情報を表示する情報表示部と、印刷データを格納するデータ記憶部と、印刷データと情報記憶部に記憶されている情報に基づいて出力制御を行う出力制御部と、を備え、当該画像形成装置の状態を表す装置情報及び印刷データに基づいて印刷を実行するか否かを判定する印刷判定制御部を有する画像形成装置において、情報表示部に対して表示の可否を任意に設定する情報表示制御部を備えたので、印刷が即座に実施できない理由を表示するか否かを設定することにより情報取得のメリットと効率的な時間利用との双方の機能を有することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の画像形成装置のブロック概念図である。この画像形成装置1は、プリンタコントローラ部20とプリンタエンジン部10とを有し、プリンタコントローラ部20は、時間を制御するタイマー制御部21と、画像形成装置1内の各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部22と、印刷データを解析するデータ制御部23と、各種情報を表示する情報表示部25と、印刷データを格納するデータ記憶部24と、印刷データと情報記憶部22に記憶されている情報に基づいて出力制御を行う出力制御部27と、情報表示部25に対する表示の可否を画像形成装置内の各種設定情報の種類に応じて選択するユーザインタフェース制御部29と、情報記憶部22に各トレイごとの用紙サイズ・向きの情報を格納する用紙情報記憶部31と、用紙情報記憶部31に保持される用紙サイズ・向きの情報を情報表示部25に表示するか否か、及び、その後処理としての印刷を実行するか否かの制御を行なう情報表示制御部26と、印刷データに含まれる出力用紙サイズと出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに印刷を実行しないと判定する印刷判定制御部28と、データ記憶部24に一時的に退避された印刷データとマッチする印刷用紙サイズが設定された場合に、印刷用紙サイズを検知する用紙サイズ検知部32と、を備えて構成されている。
【0013】
また、50は、一般的にパーソナルコンピュータと呼ばれる情報機器であり、画像形成装置1とは40I/F(インターフェース)で繋がっているものとする。このI/Fはネットワーク、USB、パラレルなど多種のものが知られているがこの発明においては特に限定するものではない。
一般に画像形成装置には装置自体の各種情報、設定情報などを情報記憶部22に保持している。またその情報の内容に応じてユーザに対して情報表示部25を介在して知らしめることを可能とする。さて、印刷を行うにあたって例えばある色のトナーが非常に少なくなったり、或いはほぼなくなる状態になると情報表示部25にその旨のメッセージを表示することで、ユーザに対して状態を伝えている。ユーザはその情報を情報表示部25より知ることができ、また直接表示を見なくてもネットワーク上のツールを介して知ることもできる。その表示情報によっては、印刷指示に対して必要な情報を表示させた上で次のユーザの指示があるまで待機している。
【0014】
図2は本発明の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。まず情報表示制御部26により情報表示すると指示された場合は(S1のNO)、通常設定を行なう(S5)。情報表示しないと指示された場合は(S1のYES)、状態ごとの個別設定をするか否かを判断し(S2)、個別設定しなければ(S2のNO)、印刷実行するか否かを判断し(S6)、印刷を実行する場合は情報表示せずに印刷実行の設定を行い(S7)、印刷を実行しない場合は情報表示せずに印刷しない設定を行う(S8)。一方、ステップS2で状態ごとの個別設定をする場合は、情報表示状態ごとの設定を行い(S3)、設定可能状態がなくなるまで繰り返す(S4)。
即ち、本発明の第1の実施形態においては、その情報の表示をさせる/させないを切り替えることができ、表示をさせない設定のときには、ユーザの次の指示を待たずに次の処理を行うことを可能とし、待機時間をなくすことで効率的に画像形成装置を使用することが可能となる。各種情報には、例えば用紙ジャムなどで、搬送経路上の異物を取り除かなければ次の印刷実行が困難な状態も存在する。
したがって、本発明の第2の実施形態としては、このようなユーザ側での処理が必須になるものについては、その旨の情報を表示して人的な作業を行ったほうがよいため、一概に表示させる/させないではなく、その表示内容に応じて装置のユーザインタフェース制御部29より選択させることにより状態によって動作を変更することを可能とする。
【0015】
また本発明の第3の実施形態としては、ある状態において情報を表示させない場合に、その状態ごとに次の動作として印刷を実行する或いは印刷を行なわない設定を可能とする。例えばカラー出力を可能とする画像形成装置において、ある色のトナー、インクが空になって色が表現できない状態にあったとしても文字原稿などで字さえ見えればよく、色は多少異なっても構わなければ印刷を実行させたり、空になったのが黒色のトナー、インクであれば印刷を実行させないなど用途に応じた設定ができることになる。
また本発明の第4の実施形態としては、こういった設定は、ネットワークなどに接続された画像形成装置を複数のユーザが共有する場合、かかる画像形成装置で設定を行うと同一の設定がユーザ全員に適用されるケースも考えられる。かかる状況を脱する方法として、それぞれのユーザからコマンドとして指示を受けることを画像形成装置が許容することによりそれを実現させることが可能となる。
また本発明の第5の実施形態としては、このコマンドをPC50にインストール可能なプリンタドライバに持たせることで、更にドライバのUI上でその設定が容易に行えるようにすることにより、ユーザはコマンドを知らずとも概念のみを持つことで所望の動作を設定することができるようになる。このようなドライバは記憶媒体に格納することにより簡単にPC50にインストールして使用することができるようになる。
【0016】
図3はコマンドの一例を示す図である。さて本発明の第6の実施形態としては、特に該表示情報として頻繁に発生しうる事象、状態に用紙サイズのミスマッチのケースがある。画像形成装置1が用紙サイズ検知部32を持ち、各トレイに設定された用紙サイズがどのようなサイズであるか、これは例えばトレイ1がA4、トレイ2がA3、トレイ3がB4、トレイ4がLetterといった情報であるが、これらを用紙情報記憶部に保持する。このような機能は画像形成装置では一般的に組み込まれているものが多いが、特にこの情報を元に用紙サイズのミスマッチが発生した場合には、その旨を画像形成装置上の情報表示部25に表示し、該用紙の挿入を促すか或いは強制的に印刷を実施するなどのユーザアクションが必要であった。こういったアクションがなくても次の動作に移行することにより、効率的な画像形成装置の利用を可能とする。
【0017】
図4は本発明の画像形成装置の他の動作フローチャートである。
まず情報表示制御部26により情報表示の可否を判断し(S11)、情報表示すると設定した場合は、タイマーを開始し(S12)、所定の時間が経過すると(S13)、表示情報を消去する(S14)。そして印刷データの解析と印刷用紙サイズZの情報を取得する(S15)。そして機器にサイズZの用紙がセットされているか否かをチエックし(S16)、セットされていれば通常設定を行い(S18)、セットされていなければ印刷を実行する指定がされているか否かをチエックし(S17)、指定されていなければ、印刷データ破棄が指定されているか否かをチエックし(S19)、指定されていれば対象データを破棄する(S22)。S19で指定されていなければ、データ記憶部24に保存に必要な領域があるか否かをチエックし(S20)、領域が無ければ対象データを破棄し(S22)、領域があれば印刷ジョブを保存する(S21)。
一方、S17で印刷実行するが指定されている場合は、フローのS31に進み、用紙サイズは定型サイズか否かをチエックし(S31)、定型サイズであれば、サイズZの一つ上の定型サイズがトレイにセットされているか否かをチエックし(S32)、セットされていれば2頁分データを1枚に印刷し(S36)、セットされていなければ特定用紙サイズが指定されているかをチエックし(S33)、指定されていれば指定用紙サイズに印刷し(S37)、指定されていなければ、特定トレイが指定されているか否かをチエックし(S34)、指定されていれば指定トレイから給紙して印刷し(S38)、指定されていなければ、情報を表示する(S35)。
【0018】
本発明の第7の実施形態としては、例えば上記の4つのトレイにそれぞれ記載した用紙が設定され、用紙情報記憶部に情報として保持されている、またネットワークに接続され複数のユーザがシェアする画像形成装置を例にとって以下を説明していく。あるユーザAがB5サイズのドキュメントを印刷した場合、上記画像形成装置においては一般的には「B5サイズの用紙がありません」の類のメッセージを情報表示部25に示してユーザのアクションを待つことになる。この状態において、別のユーザBから同一の画像形成装置に対して印刷を実行した場合、先のユーザAの印刷Jobは用紙ミスマッチによって動作が止まってしまったような状況になる。ネットワークプリンタの場合、得てして印刷指示を出した後にすぐに取りに行くことを忘れてしまい、画像形成装置はある意味で放置された状態に陥ってしまうことが起こりうる。この状態において、ユーザのアクションを待つことなく一旦、データ記憶部24にそのJobを保持する動作を行い、ユーザAのJobを処理行列から取り除くことで、次のユーザBの印刷Jobの処理を進めることが可能となり、時間効率のよい利用ができる。
【0019】
また、本発明の第8の実施形態としては、このとき、データ記憶部24に保持されたユーザAのJobの処理をユーザインタフェース制御部を介して例えば、本発明により一時的に退避されたリストの表示などのボタンを押すと一覧が表示され、その中からユーザAが印刷したJobを選んで所定の用紙をセットして印刷再開を実行することで同じドキュメントを2度印刷指示することなく出力結果を得られることができるようになる。
また本発明の第9の実施形態としては、更に手間を省き、上記で説明した状態において該当する用紙サイズ(この例の場合はB5)が画像形成装置1に設定されたことを用紙サイズ検知部32が検知し、用紙情報記憶部31に保持されたと同時に該当する用紙サイズミスマッチによりデータ記憶部24に一時的に退避されていたJobの印刷実行を開始することで、一覧を表示して印刷指示を出すという手順を省いて所望の出力結果を得ることができる。
また本発明の第10の実施形態としては、こういった印刷Jobはデータ記憶部24に保持する必要がない場合は、該画像形成装置の効率的な活用を優先して対象Jobを破棄することで同様に次の印刷Jobの処理動作を迅速に行うことが可能となる。
【0020】
また本発明の第11の実施形態としては、別のケースとして、とにかく今印刷されればそれで構わないという要望で印刷される場合もある。特定の用紙サイズを設定しておくことを可能とし、例えば上記環境においてはその特定サイズとしてA3サイズを指定しておくと、用紙サイズミスマッチ状態になったときに直ちにA3用紙サイズへの印刷を実行し、欲しい出力情報として用紙サイズが違っても入手することが可能となる。これは、体裁には拘らないが紙に出したものをチェックしたい、目で追いたいなど一般のPC上での表示では実施しにくいと感じるユーザに対して即座にその作業を可能とならしめる。
また、本発明の第12の実施形態としては、指定を用紙サイズではなく、給紙トレイにすることで、例えば大量に給紙可能なトレイを設定することで用紙無しになる状態が最も少なくなり、確実に即時に印刷される状況が得られやすいメリットがある。
今までの実施形態では、とにかくすぐに出力結果を得られて、次の処理動作に進むことが可能であるが、もう少し出力結果として体裁のよいものを得るために本発明の第13の実施形態としては、この例の場合B5サイズに対して一つ大きいB4サイズの用紙がトレイにセットされていれば、B5のドキュメント2ページ分を1つのB4用紙に印刷することで印字文字の大きさを変えずに見た目も美しい出力結果を得ることができ、やはり次の処理動作に迅速に移行することができる。
【0021】
図4のフローチャートでは、各実施形態について該フローのように示されているが、これら実施形態に関する判断ルーチンの制御順序は特に図4のフローに限定されるものではなく、ユーザの要望度に応じて優先順位を変えることも可能である。
また本発明の第14の実施形態としては、以上のように次の処理動作を迅速に人が介在せずに進めるために、まずこの類の警告メッセージの表示をさせないことを可能とすることで実現させているが、情報としてやはり表示したい、でも装置の時間的有効利用を図りたいという要望が共存する場合もありうる。双方を満たすためにはある一定時間を表示のために使用し、その所定の時間経過後に次の処理動作を行うことで代用可能である。このときの時間単位も設定可能とすることによりユーザの要望に応じた処理を更にフレキシブルに実現させることができる。
また本発明の第15の実施形態としては、以上を画像形成装置1上で設定せずとも、プリンタドライバなどのソフトウェアを介して指定できるようにするとユーザごとにまた印刷Job単位で動作を変更することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画像形成装置のブロック概念図である。
【図2】本発明の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明のコマンドの一例を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の他の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1 画像形成装置、10 プリンタエンジン部、20 プリンタコントローラ部、21 タイマー制御部、22 情報記憶部、23 データ制御部、24 データ記憶部、25 情報表示部、26 情報表示制御部、27 出力制御部、28印刷判定制御部、29 ユーザインタフェース制御部、31 用紙情報記憶部、32 用紙サイズ検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタコントローラ部とプリンタエンジン部とを有し、
前記プリンタコントローラ部は、時間を制御するタイマー制御部と、画像形成装置内の各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部と、印刷データを解析するデータ制御部と、各種情報を表示する情報表示部と、前記印刷データを格納するデータ記憶部と、前記印刷データと前記情報記憶部に記憶されている情報に基づいて出力制御を行う出力制御部と、を備え、
当該画像形成装置の状態を表す装置情報及び前記印刷データに基づいて印刷を実行するか否かを判定する印刷判定制御部を有する画像形成装置において、
前記情報表示部に対して表示の可否を任意に設定する情報表示制御部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プリンタコントローラ部は、前記情報表示部に対する表示の可否を前記画像形成装置内の各種設定情報の種類に応じて選択するユーザインタフェース制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報表示制御部は、前記情報表示部に対して表示を否とした場合、次の処理として前記印刷データの印刷の可否を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報表示制御部は、外部からのコマンド指示によって、前記表示の可否を選択可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コマンドは、PJLコマンドにより前記表示の可否を指示することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
プリンタコントローラ部とプリンタエンジン部とを有し、
前記プリンタコントローラ部は、時間を制御するタイマー制御部と、画像形成装置内の各種設定及びプリンタ情報を保持する情報記憶部と、該情報記憶部に各トレイごとの用紙サイズ・向きの情報を格納する用紙情報記憶部と、印刷データを解析するデータ制御部と、各種情報を表示する情報表示部と、前記印刷データを格納するデータ記憶部と、前記印刷データと前記用紙情報記憶部に保持される用紙サイズ・向きに基づいて出力制御を行う出力制御部と、前記印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに印刷を実行しないと判定する印刷判定制御部と、を備え、
前記用紙情報記憶部に保持される用紙サイズ・向きの情報を前記情報表示部に表示し、前記情報表示部に対する表示の可否を前記画像形成装置内の各種設定情報の種類に応じて選択するユーザインタフェース制御部からの次の指示を待機する画像形成装置において、
前記用紙情報記憶部に保持される用紙サイズ・向きの情報を前記情報表示部に表示するか否か、及び、その後処理としての印刷を実行するか否かの制御を行なう情報表示制御部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、且つ前記印刷データを印刷しない場合は、前記送られてくる印刷データを前記データ記憶部に一時的に退避させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記データ記憶部に一時的に退避された印刷データを前記ユーザインタフェース制御部を介して印字再開を指示することを可能としたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記データ記憶部に一時的に退避された印刷データとマッチする印刷用紙サイズが設定された場合に、前記印刷用紙サイズを検知する用紙サイズ検知部を有し、該用紙サイズ検知部により検知された印刷用紙サイズに該当する退避データの印刷を自動的に開始することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、且つ前記印刷データを印刷しない場合は、該印刷データ自体を破棄することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、前記印刷データを印刷する場合は、特定の用紙サイズで印刷を実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記情報表示制御部は、送られてくる印刷データに含まれる出力用紙サイズと該出力用紙サイズに該当する印刷用紙が設定されていないときに、用紙ミスマッチを表示せず、前記印刷データを印刷する場合は、特定のトレイに設置されている用紙サイズで印刷を実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記印刷データに含まれる印刷用紙サイズが定型用紙の半分の用紙サイズであり、且つ該画像形成装置に設置されている用紙サイズの該当する定型用紙サイズが存在する場合、該定型用紙に印刷データ2ページ分のデータを印刷することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
時間を制御するタイマー制御部により、一定の或いは指定された時間の間は情報を表示し、当該時間が経過後に次の処理動作を行うことを特徴とする請求項7乃至13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
請求項6乃至14記載の画像形成装置に対して、すべての設定をPCソフトウェアからのPJLコマンドによる外部コマンドにより実現させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
請求項15に記載の画像形成方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の画像形成プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−23808(P2008−23808A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197955(P2006−197955)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】