説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム

【課題】サーバ装置から取得するパケットに応じて、画像形成装置の起動処理をアイドル状態、または高速起動状態のいずれかで実行してより節電効果を向上する。
【解決手段】サーバ装置と通信可能な画像形成装置の制御方法であって、サーバ装置から画像形成装置を異なる状態で起動させるためのパケットを取得する(S101)。そして、取得したパケットの内容が画像形成装置本体を画像形成可能なアイドル状態で起動させるパケットであるか、または、画像形成装置本体の主メモリへの通電以外を制限する高速起動状態で起動させるパケットであるかを判断する(S102,S105)。そして、CPUがパケットに従い、画像形成装置を前記アイドル状態で起動させるか、画像形成装置を前記高速起動状態で起動させる(S107,S110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動処理を変更可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置を用いて遠隔操作で画像形成装置に電源投入を制御する方式は、画像形成装置が持つ全ての機能を使用できる状態であるアイドル状態まで起動する技術が確立されている。また、装置のシステムセットアップ情報によって、システムをアイドル状態にするか電源オフにするかを制御する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−89864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔操作による電源投入方式では、定刻になるとサーバ装置が自動で画像形成装置に電源投入を行う方式が一般的である。しかし、自動で画像形成装置に電源投入される場合には、電源投入された画像形成装置の近くに当該画像形成装置をすぐに使用したい人がいる可能性は少なく、画像形成装置の自動電源投入後から実際に使用するまでには時間差がある。このため、すぐに使用されないにも関わらず画像形成装置は必ずアイドル状態で待機してしまい、その間に無駄な電力を消費してしまう。
【0005】
一方、画像形成装置をすぐに使わない場合でも、いざ使うときにはすぐに動作可能な状態になって欲しいという要望もある。このため、サーバ装置から画像形成装置への電源投入時には、画像形成装置をアイドル状態で起動するか高速起動可能な状態のいずれかを選択できないという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、サーバ装置から取得するパケットに応じて、画像形成装置の起動処理をアイドル状態、または高速起動状態のいずれかで実行してより節電効果を向上できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は以下に示す構成を備える。
サーバ装置と通信可能な画像形成装置であって、前記サーバ装置から前記画像形成装置を異なる状態で起動させるためのパケットを取得する取得手段と、前記取得手段が取得したパケットの内容が画像形成装置本体を画像形成可能なアイドル状態で起動させるパケットであるか、または、画像形成装置本体の主メモリへの通電以外を制限する高速起動状態で起動させるパケットであるかを判断する判断手段と、前記判断手段が判断するパケットに従い、前記画像形成装置を前記アイドル状態で起動させるか、前記画像形成装置を前記高速起動状態で起動させる起動制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サーバ装置から取得するパケットに応じて、画像形成装置の起動処理をアイドル状態、または高速起動状態のいずれかで実行してより節電効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態を示す画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の制御部の全体構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したコントローラ制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示した画像形成装置の操作部の構成を表す図である。
【図5】本実施形態を示す画像形成装置の電源の遷移状態を示す図である。
【図6】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
【0010】
図1は、本実施形態を示す画像形成装置の構成を示す図である。本例に示す画像形成装置は、イメージリーダ200およびプリンタ部300からなる画像形成装置本体、折り装置500およびフィニッシャ600を含んでいる。イメージリーダ200の上部には、原稿搬送装置100が装着されている。また、フィニッシャ600の上部には、インサータ700が設けられている。なお、画像形成装置は、後述する通信制御部450を介してサーバ装置453と通信可能に構成され、後述する起動処理を制御するためのパケットを取得する。
【0011】
図1において、原稿搬送装置100は、原稿トレイ105上にセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ給紙し、湾曲したパスを介して原稿台ガラス205の上へと搬送する。片面原稿を読取る方法には2つの読取モードがある。まず、原稿台ガラス205上の読取位置R1へ原稿の後端を搬送、停止させ、スキャナユニット206を左から右へ移動させることにより、原稿の読取りを行う原稿固定読取モード(第1の読取モード)がある。また、原稿をある読取り速度で読取位置R1へ搬送し、スキャナユニット206を読取位置R1で固定したまま原稿の読取りを行う原稿流し読取モード(第2の読取モード)がある。その後、いずれのモードの場合も、読取った原稿を排紙トレイ106に排出する。
【0012】
両面原稿を読取る方法としては、スキャナユニット206で表面を読取り、原稿搬送装置100内に配置した光学ユニット110を使用して裏面を読取る方法がある。詳細な説明は後述する。光学ユニット110内には図示しないイメージセンサおよび光源等が配置されている。
【0013】
レンズ207を介してイメージセンサ208により読取られた原稿の画像は、プリンタ制御部301を介して露光制御部305に送られる。露光制御部305は、画像信号に応じたレーザ光を出力する。このレーザ光が感光ドラム306に照射されると、感光ドラム306上には静電潜像が形成される。感光ドラム306上の静電潜像は現像器307により現像され、感光ドラム306上の現像剤はカセット308、309、手差し給紙部310および両面搬送パス311のいずれかから給送されたシートに転写部312で転写される。
【0014】
現像剤が転写されたシートは定着部313に導かれると、現像剤の定着処理が施される。定着部313を通過したシートを、図示しないフラッパにより、一旦、パス315からパス314に導き、シートの後端がパス315を抜けた後、シートをスイッチバックさせてパス316から排出ローラ317に導く。これにより、現像剤が転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)にして排出ローラ317によりプリンタ部300から排出することが可能である。これを反転排紙という。このように、フェイスダウンで排出することにより、原稿搬送装置100を用いて複数枚の原稿を読取った画像をプリントする場合など、先頭頁から正しい頁順で画像形成を行うことが可能である。
【0015】
尚、手差し給紙部310からOHPシートなどの硬いシートに画像形成を行う場合、パス315に導くことなく、現像剤が転写された面を上向きの状態(フェイスアップ)のままで排出ローラ317から排出する。
【0016】
また、シートの両面に画像形成を行う場合、シートを定着部313からパス315、パス314に導き、シートの後端がパス315を抜けた直後にシートをスイッチバックさせ、図示しないフラッパにより両面搬送パス311に導く。両面搬送パス311に導かれたシートに対し、再度、転写部312で静電潜像が転写され、定着部313で定着処理が施される。
【0017】
このように、転写部312から両面搬送パス311を経由して再び転写部312に戻る一巡のパスの中に、A4、B5等のハーフサイズ用紙が5枚入った状態でも搬送可能なように、パス長、ローラ配置、駆動系の分割がなされている。尚、これらの処理による排出頁順は、奇数頁が下向きになるように排出されるので、両面コピー時の頁順を合わせることができる。
【0018】
排出ローラ317から排出されたシートは折り装置500に送り込まれる。折り装置500はシートをZ折りに折りたたむ処理を行う。A3サイズやB4サイズのシートで折り処理の指定がなされている場合、折り装置500で折り処理が行われた後にフィニッシャ600に送り込まれるが、それ以外のサイズのシートはそのままフィニッシャ600に送り込まれる。フィニッシャ600は製本処理、綴じ処理、穴あけなどの処理を行う。また、フィニッシャ600の上部には、インサータ700が設けられており、表紙、合紙等をフィニッシャ600に給送する。
コントローラ制御部400はイメージリーダ200、プリンタ部300、折り装置500およびフィニッシャ600と通信を行い、画像形成装置全体の制御を司る。
図2は、図1に示した画像形成装置の制御部の全体構成を示すブロック図である。本例は、画像形成装置全体を制御するコントローラ制御部400を中心に構成されている。
【0019】
図2において、コントローラ制御部400には、操作部800の設定やサーバ装置453からの指示で原稿搬送装置100を制御する原稿搬送装置制御部101がある。また、コントローラ制御部400はイメージリーダ200を制御するイメージリーダ制御部201と通信を行い入力される原稿の画像データを取得する。さらに、プリンタ部300を制御するプリンタ制御部301と通信を行い、画像データをシートに印刷する。折り装置500を制御する折り装置制御部501、フィニッシャ600を制御するフィニッシャ制御部601と通信を行い、印刷されたシートにステイプルやパンチ穴といった所望の出力を実現する。
【0020】
通信I/F451はサーバ装置453を接続するインターフェース4であり、例えばネットワークやUSBなどの外部バス452で接続しサーバ装置453からのプリントデータを画像に展開して出力することを行う。
図3は、図2に示したコントローラ制御部400の構成を示すブロック図である。
【0021】
図3において、コントローラ制御部400は、主制御部410内のCPU401で制御され、オペレーティングシステム(以下、OS)で制御される。バスブリッジ408はCPU401の初期起動プログラムを格納しているROM403、CPU401の制御データを一時的に保持し、制御に伴う演算の作業領域として用いられる主記憶メモリ(主メモリ)405が接続されている。
【0022】
記憶ストレージ402には、CPU401のOSを含むメインプログラムを格納している。また、本実施例での画像形成装置が動作状態である場合の画像データの一時的な記憶領域としても使用する。
また、ネットワークやUSBインターフェースを制御する通信制御部450、操作部800を制御する操作部制御部406が接続されている。
【0023】
CPU401は、バスブリッジ408を介して、デバイス制御部407間の通信を行う。デバイス制御部407は原稿搬送装置制御部101、イメージリーダ制御部201、プリンタ制御部301、折り装置制御部501、フィニッシャ制御部601と接続され制御を司る。
【0024】
電源制御部418は、画像形成装置全体の電源を制御する。原稿搬送装置制御部101、イメージリーダ制御部201、プリンタ制御部301、折り装置制御部501、フィニッシャ制御部601への電源制御およびコントローラ制御部400内の省電力モードへの電源制御を実施する。
第1の電源ON/OFF切り替え器412は、通信制御部450に電源を供給している第1の電源411のON/OFFを切り替える。
第2の電源ON/OFF切り替え器415はコントローラ制御部400内のCPU401、記憶ストレージ402、ROM403に電源を供給している第2の電源413のON/OFFを切り替える。
第3の電源ON/OFF切り替え器417はコントローラ制御部400内の主記憶メモリ405に電源を供給している第3の電源416のON/OFFを切り替える。
通信制御部450は、第1の電源ON/OFF切り替え器412に接続され、通信I/F451を介して受信したパケットを判断してフラグレジスタ414を制御する。
メインSW420は、ユーザによる直接操作があったことを電源制御部418に伝える。ここで、メインSW420は、電源投入を電源制御部418に対して指示する。そして、メインSW420からの電源オン指示を高速起動状態で受け付けた場合、CPU401は画像形成装置を高速起動状態からアイドル状態に移行させる制御を後述する図6,図7に示す手順に従い実行する。なお、電源制御部418は、後述するアイドル状態時において、第1〜第3の電源からの通電を許可して、画像形成装置を画像形成可能な状態に遷移させる。
【0025】
図4は、図2に示した画像形成装置の操作部800の構成を表す図である。
図4において、LCD表示部900は、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーがユーザの操作に従って押されるとその位置情報をコントローラ制御部400に伝える。テンキー801はコピー枚数など、数字の入力時に使用する。スタートキー802は、ユーザ所望の条件を設定した後、複写動作、原稿の読取り動作を開始する時などに用いる。ストップキー803は稼働中の動作を止めるときに使用する。省エネキー804はユーザが省電力モードへの移行、復帰を行うのに使用する。
【0026】
また、805はガイドキーであり、キーの機能が解らないとき押すとそのキーの説明が表示される。806はコピーモードキーであり、複写を行うときに押す。807はファクスキーであり、ファクスに関する設定を行うときに押す。808はファイルキーであり、ファイルデータを出力したいときに押す。809はプリンタキーであり、コンピュータ等の外部装置からのプリント出力に関する設定などを行うときに使用する。
図5は、本実施形態を示す画像形成装置の電源の遷移状態を示す図である。以下、本実施形態の画像形成装置における電源状態について詳細に説明する。
【0027】
まず、商用電源(ACコンセント)がOFFの状態の場合、装置は全てOFF状態(P103)となる。このとき、装置には電源が全く来ていない状態なので、電気的な全ての操作を受け付けない。
【0028】
全てOFF状態(P103)のとき、商用電源がONされると、画像形成装置の電源状態は、シャットダウン状態(P104)に状態遷移する。このとき、まず、電源制御部418に通電され、次に電源制御部418が第1の電源ON/OFF切り替え器412をONすることで、サーバ装置453からのリモートONパケット受信のための通信制御部450が起動する。
【0029】
シャットダウン状態(P104)のとき、サーバ装置453から高速起動状態(P102)への移行命令パケットが来たとき、画像形成装置は高速起動状態(P102)へ状態遷移する。このように、メインSW420からの電源オフ指示を高速起動状態で受け付けた場合、CPU401が画像形成装置をアイドル状態から高速起動状態に移行させる。この状態のとき、電源制御部418は第3の電源ON/OFF切り替え器417をONし、主制御部410のうち、主記憶メモリ405と電源制御部418のみ通電されている状態である。
【0030】
また、高速起動状態(P102)のとき、ユーザがメインSW420をONすると、画像形成装置の電源状態は、アイドル状態(P100)に状態遷移する。このように、メインSW420からの電源オン指示を前記高速起動状態で受け付けた場合、画像形成装置を高速起動状態からアイドル状態に移行させる。
このアイドル状態のとき、第1の電源ON/OFF切り替え器412、第2の電源ON/OFF切り替え器415及び第3の電源ON/OFF切り替え器417は全てONされている状態である。
また、操作部制御部406とデバイス制御部407にも通電されており、画像形成装置は全て駆動されている状態である。
【0031】
アイドル状態(P100)のとき、予め装置に設定された一定時間を経過すると、スリープ状態(P101)に状態遷移する。この状態のとき、第1の電源ON/OFF切り替え器412及び第3の電源ON/OFF切り替え器417はONされた状態であるが、コントローラ制御部400内の主記憶メモリ405を除く部分は全て電源がOFFされている状態である。
以下、本実施形態を示す画像形成装置のリモート電源制御方法および利用方法に関して詳細に説明する。本実施形態では、通信制御部450が取得したパケットの内容が画像形成装置本体を画像形成可能なアイドル状態で起動させるパケットであるか、または、画像形成装置本体の主メモリへの通電以外を制限する高速起動状態で起動させるパケットであるかを判断する。
【0032】
図6は、本実施形態を示す画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、画像形成装置が高速起動可能状態で待機する命令パケットをサーバから受信した場合の起動処理例である。なお、各ステップは、電源制御部418と、CPU401とが連係して処理する。ここで、CPU401は、ROM403から制御プログラムを主記憶メモリ405にロードして実行することで実現する。以下、サーバ装置453から取得するパケットに従い、画像形成装置をアイドル状態あるいは高速起動状態に遷移させる起動制御について説明する。
まず、画像形成装置の電源制御部418及び通信制御部450のみに電源が供給されている状態(P104)にあるものとする。
コントローラ制御部400内の通信制御部450は、サーバ装置453から起動パケットである否かを待機している状態である(S101)。
【0033】
ここで、通信制御部450が起動パケットを受信したと判断すると、通信制御部450はそのパケットが高速起動状態で待機する命令パケットであるか否かを判断し、そうであれば高速起動フラグをフラグレジスタ414に立て(S102)、S104へ進む。
一方、S102で、CPU401は、通信制御部450が高速起動状態で待機する命令パケットでないと判断した場合は、操作部800に初期化中であることをユーザに伝える表示をする(S103)。
【0034】
そして、S102の判定で高速起動フラグが立っていると電源制御部418が判断した場合、S104へ進む。そして、電源制御部418は第2の電源ON/OFF切り替え器415及び第3の電源ON/OFF切り替え器417を電源ONし、CPU401はデバイス制御部407、操作部制御部406を除くコントローラ制御部400の起動処理を行う(S104)。
【0035】
S104の起動処理時に、CPU401は高速起動フラグが立っているか否かを判断し(S105)、高速起動フラグが立っているとCPU401が判断した場合は、S104の処理が完了した後(S106)、高速起動状態で待機する(S107)。
【0036】
また、高速起動状態のとき、電源制御部418は第2の電源ON/OFF切り替え器415及び第1の電源ON/OFF切り替え器412をOFFする。しかし、第3の電源ON/OFF切り替え器417はONすることで、主記憶メモリ405のデータを保持し、ユーザによってメインSW420がONされたとき高速で起動する。
一方、S105で、高速起動フラグが立っていないとCPU401が判断した場合は、S104の後にS104で行われなかった残りの起動処理フロー(S110)に入る。
次に、メインSW420がONされると、CPU401は、省電力モードを解除して(S108)、操作部800に初期化中であることをユーザに伝える表示を行う(S109)。
【0037】
そして、S104の起動処理で行われなかった残りのデバイス制御部407の起動処理を行う(S110)。ここでは、例えば、モータやソレノイドなど、原稿、シートの搬送に必要な処理であったり、画像を形成するのに必要な処理であったり、振動・衝撃等が発生するものを示す。
【0038】
次に、コントローラ制御部400と周辺装置とのネゴシエーションを行う(S111)。例えば、コントローラ制御部400は周辺装置の情報を取得したり、通信が正常に行われているか否かのチェックを行ったりする。
以上の処理が終わると、画像形成装置の起動処理を終え、装置はアイドル状態となる(S112)。
これにより、遠隔操作による電源投入後の画像形成装置の立ち上げ段階を、サーバ装置からのパケットの種類に応じて決定することができる。これによって、すぐに使われない画像形成装置の待機時消費電力を抑えることができる。
また、画像形成装置の立ち上げ段階を、ユーザの普段のセットアップ状態に応じて変えることができる。これによってユーザの普段の設定で画像形成装置を起動することができる。
〔第2実施形態〕
【0039】
上記実施形態では、高速起動するパケットを受信した場合には、必ず高速起動処理を実行する場合について説明した。しかしながら、画像形成装置を共有するユーザ環境によっては、そのような起動処理を好まない場合もある。そこで、上記パケットを受信しても、あらかじめ操作部800より当該パケットを無効化する設定がなされている場合には、高速起動処理を実行することなく、アイドル状態で起動するように制御してもよい。以下、その実施形態について詳述する。
図7は、本実施形態を示す画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、画像形成装置が高速起動可能状態で待機する命令パケットをサーバから受信した場合の起動処理例である。なお、各ステップは、電源制御部418と、CPU401とが連係して処理する。ここで、CPU401は、ROM403から制御プログラムを主記憶メモリ405にロードして実行することで実現する。以下、サーバ装置453から取得するパケットに従い、高速起動処理を制限する設定の有効/無効を判断して画像形成装置をアイドル状態あるいは高速起動状態に遷移させる起動制御について説明する。
本例では、画像形成装置の電源制御部418及び通信制御部450のみに電源が供給されている状態にあるものとする。
コントローラ制御部400内の通信制御部450は、サーバ装置453からの起動パケットが送信されてくるか否かを待機している状態である(S201)。
【0040】
通信制御部450が起動パケットを受信したことを認識すると、通信制御部450はそのパケットが高速起動状態で待機する命令パケットであるか否かを判断し、そうであれば高速起動フラグをフラグレジスタ414上に立て(S202)、S205へ進む。
【0041】
一方、S202で、高速起動フラグが立っていないと通信制御部450が判断した場合は、さらに、画像形成装置の設定が高速起動禁止するための高速起動禁止フラグが立っているかどうかを判断する(S203)。
【0042】
例えば、高速起動はメインSW420のOFF時に主記憶メモリ405の通電を伴うため、それを禁止したい場合に高速起動禁止設定を行うことができる。高速起動禁止フラグが主記憶メモリ405上で立っているとCPU401が判断した場合は、S204に進み、高速起動禁止フラグが立っていないと判断した場合は、S205へ進む。
なお、S204では、CPU401は、操作部800に初期化中であることをユーザに伝える表示をする(S204)。
【0043】
そして、電源制御部418は第2の電源ON/OFF切り替え器415及び第3の電源ON/OFF切り替え器417を電源ONし、CPU401はデバイス制御部407、操作部制御部406を除くコントローラ制御部の起動処理を行う(S205)。
【0044】
S205の起動処理時に、CPU401は高速起動フラグ及び高速起動禁止フラグが立っているか否かを判断し(S206、S207)、高速起動フラグONかつ高速起動禁止フラグOFFの場合は、S205の処理が完了するのを待機する(S208)。そして、CPU401は、S205の処理が完了した後、高速起動状態で待機する(S209)。
【0045】
この高速起動状態のとき、電源制御部418は第2の電源ON/OFF切り替え器415及び第1の電源ON/OFF切り替え器412をOFFする。しかし、第3の電源ON/OFF切り替え器417はONすることで、主記憶メモリ405のデータを保持し、ユーザによってメインSW420がONされたとき高速で起動する。
【0046】
次に、CPU401は、メインSW420がONされることにより、高速起動状態を解除指示されているかどうかを判断する(S210)。ここで、高速起動状態を解除指示されたとCPU401が判断した場合、CPU401は、操作部800に初期化中であることをユーザに伝える表示を行う(S211)。
【0047】
次に、S206,S207において、高速起動フラグOFFまたは高速起動禁止フラグONであるとCPU401が判断した場合は、S205の後にS205で行われなかった残りの起動処理フローに入る(S212)。具体的には、S205の起動処理で行われなかった残りのデバイス制御部407の起動処理を行う。例えば、モータやソレノイドなど、原稿、シートの搬送に必要な処理であったり、画像を形成するのに必要な処理であったり、振動・衝撃等が発生するものを示す。
【0048】
次に、コントローラ制御部400と周辺装置とのネゴシエーションを行う(S213)。例えば、コントローラ制御部400は周辺装置の情報を取得したり、通信が正常に行われているか否かのチェックを行ったりする。
以上の処理が終わると、画像形成装置の起動処理を終え、装置はアイドル状態となる(S214)。
これにより、第1実施形態の効果に加えて、ユーザ勝手のよい起動処理を画像形成装置に実行させることが可能となる。
【0049】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0050】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0051】
400 コントローラ制御部
401 CPU
410 主制御部
418 電源制御部
414 フラグレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と通信可能な画像形成装置であって、
前記サーバ装置から前記画像形成装置を異なる状態で起動させるためのパケットを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したパケットの内容が画像形成装置本体を画像形成可能なアイドル状態で起動させるパケットであるか、または、画像形成装置本体の主メモリへの通電以外を制限する高速起動状態で起動させるパケットであるかを判断する判断手段と、
前記判断手段が判断するパケットに従い、前記画像形成装置を前記アイドル状態で起動させるか、前記画像形成装置を前記高速起動状態で起動させる起動制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記サーバ装置と通信を行う通信制御部へ通電する第1の電源と、
前記主メモリを除くコントローラの各部へ通電する第2の電源と
前記主メモリへ通電する第3の電源と、
前記第1〜第3の電源からの通電を前記パケットに従い制御する電源制御手段とを備え、
前記起動制御手段が前記パケットに従い前記画像形成装置を前記アイドル状態で起動させる場合、前記電源制御手段は、前記第1〜第3の電源からの通電を許可し、前記起動制御手段が前記パケットに従い前記画像形成装置を前記高速起動状態で起動させる場合、前記電源制御手段は、前記第1の電源と前記第2の電源からの通電を制限し、前記第3の電源からの通電を許可することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
電源投入を指示する指示手段を備え、
前記指示手段からの電源オン指示を前記高速起動状態で受け付けた場合、前記起動制御手段が前記画像形成装置を高速起動状態からアイドル状態に移行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
電源投入を指示する指示手段を備え、
前記指示手段からの電源オフ指示を前記高速起動状態で受け付けた場合、前記起動制御手段が前記画像形成装置をアイドル状態から前記高速起動状態に移行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置を高速起動状態で起動させることを制限する設定を行う設定手段を備え、
前記設定手段による設定が有効である場合、前記起動制御手段が前記パケットに従い前記画像形成装置を前記高速起動状態で起動させることなく、前記画像形成装置を前記アイドル状態で起動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
サーバ装置と通信可能な画像形成装置の制御方法であって、
前記サーバ装置から前記画像形成装置を異なる状態で起動させるためのパケットを取得する取得工程と、
前記取得工程が取得したパケットの内容が画像形成装置本体を画像形成可能なアイドル状態で起動させるパケットであるか、または、画像形成装置本体の主メモリへの通電以外を制限する高速起動状態で起動させるパケットであるかを判断する判断工程と、
前記判断工程が判断するパケットに従い、前記画像形成装置を前記アイドル状態で起動させるか、前記画像形成装置を前記高速起動状態で起動させる起動制御工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−252454(P2012−252454A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123476(P2011−123476)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】