説明

画像形成装置および携帯端末

【課題】認証処理におけるユーザの操作負担を減らし、且つ、不適切な端末からの接続を排除できる携帯端末および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置と携帯端末のそれぞれに、近距離通信が可能な第1無線通信手段と、高速通信が可能な第2無線通信手段とを備えておく。まず、携帯端末を画像形成装置の所定の位置にかざすことで、画像形成装置は第1無線通信手段により携帯端末のアクセス情報を取得し、携帯端末は第1無線通信手段により画像形成装置のアクセス情報と画像形成装置が発行する秘密鍵を取得する。その後、画像形成装置は秘密鍵を携帯端末に送信し、携帯端末は画像形成装置からの接続要求待ち状態に移行する。画像形成装置から第2無線通信手段により携帯端末に対し接続要求が出されると、携帯端末は第1無線通信手段にて画像形成装置で生成された秘密鍵と照合して画像形成装置の接続を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および携帯端末に関し、画像形成装置と携帯端末間における認証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末は、多機能になってきており、情報を入力し記憶保持することが可能になってきている。
このような携帯端末に保持されたデータを印刷出力しようとする場合では、携帯端末を外部のプリンタ装置に接続して印刷出力を依頼することになる。
【0003】
特許文献1では、携帯端末を画像形成装置の所定の位置にかざすと、双方に設けられた短距離無線通信(非接触ICカードおよカードリーダ)を用いて、相互の無線LAN(Local Area Network)のアドレスを交換し、ユーザおよびユーザ権限を認証してから、携帯端末の保持しているデータを無線LANにより画像形成装置に転送して印刷している。
【特許文献1】特開2007−79639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、無線LANやBluetooth(登録商標)などの無線通信を用いる場合は、通信に必要な秘密鍵や端末の物理アドレス情報などの認証情報を管理者等によって事前に設定する必要がある。
【0005】
したがって、特定の端末と印刷装置間でのみ提供されるサービスに限定されており、認証情報の設定が済んでいない他の印刷装置と通信を行ないたい場合には、その都度通信前に認証情報の設定を手動で行う必要がある。
このような設定は、利用知識の少ないユーザにとっては、作業そのものが困難であったり、そうでないユーザにとっても大きな不便を強いるものである。
【0006】
上記の特許文献1では、携帯端末と印刷装置あるいは無線アクセスポイント間で事前に設定されるべき認証情報の設定について言及されておらず、事前に管理者等によって設定されているものと見られる。また、本人確認のため、ユーザが暗証番号を入力する必要がある。
【0007】
本発明は、上記のような実情を考慮してなされたものであり、携帯端末と画像形成装置間の認証処理におけるユーザの操作負担を減らし、且つ、不適切な端末からの接続を排除できる画像形成装置および携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明は、画像形成装置と携帯端末間で通信接続するものであって、次のような構成をとる。
【0009】
画像形成装置は、前記携帯端末と近距離の通信が可能な第1の無線通信手段と、前記携帯端末と前記第1の無線通信手段よりも長い距離の通信が可能な第2の無線通信手段とを、備え、通信接続の際、前記第1の無線通信手段は、前記携帯端末の接近を検知すると、前記第2の無線通信手段が前記携帯端末と通信するためのアクセス情報を取得するとともに、生成したランダムな秘密鍵および前記携帯端末が前記第2の無線通信手段と通信するためのアクセス情報を送信し、前記取得した前記携帯端末とのアクセス情報を前記第2の無線通信手段に設定し、前記第2の無線通信手段は、前記携帯端末に送信した秘密鍵を前記携帯端末に送信して接続認証を要求する。
【0010】
携帯端末は、前記画像形成装置と近距離の通信が可能な第1の無線通信手段と、前記画像形成装置と前記第1の無線通信手段よりも長い距離の通信が可能な第2の無線通信手段とを、備え、通信接続の際、前記第1の無線通信手段は、前記画像形成装置の接近を検知すると、前記第2の無線通信手段が前記画像形成装置と通信するためのアクセス情報を送信するとともに、前記画像形成装置から送信された秘密鍵および前記第2の無線通信手段が前記画像形成装置と通信するためのアクセス情報を受信し、前記受信した前記画像形成装置とのアクセス情報を前記第2の無線通信手段に設定し、前記第2の無線通信手段は、前記画像形成装置から受信した秘密鍵と、前記第1の無線通信手段で受信した秘密鍵とを照合して接続認証する。
【0011】
これらの画像形成装置および携帯端末は、前記認証の後、それぞれの前記第1の無線通信手段が通信距離範囲外に離れた場合、それぞれに関する認証動作をリセットする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯端末と画像形成装置間の認証処理におけるユーザの操作負担を減らし、且つ、不適切な端末からの接続を排除できるので、コンビニエンスストアに設置された複合機などにおけるサービスを不特定多数のユーザに安全に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な一実施形態について説明する。
本発明は、次にあげる印刷サービスを例にして説明するが、携帯端末と画像形成装置間の認証処理を対象とするものであって、携帯端末と画像形成装置間のサービスはこれに限定されるものではない。
【0014】
ユーザは、コンビニエンスストア等に設置された画像形成装置の所定の場所に携帯端末をかざす、または、所定の場所に置くことにより、携帯端末と画像形成装置間での認証処理が自動的に行われる。
認証後、画像形成装置は、携帯端末に保持されたデータの一覧を取得して、その一覧表を表示する。
ユーザは、画像形成装置の表示装置上に表示された一覧表から所望のデータを選択して、印刷の実行を指示する。
印刷実行後、ユーザが携帯端末をこの画像形成装置から遠ざけると、認証処理に使われた情報が画像形成装置および携帯端末から削除され、印刷サービスが終了する。
【0015】
次に、本実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置および携帯端末の概略構成図である。図1に示すように、本実施形態は、表示装置1002を備える画像形成装置1001と携帯端末1005とからなっており、これらの画像形成装置1001と携帯端末1005は、ともに2つの通信方式によって接続可能である。
【0016】
第1の通信方式は、例えば、数cmから数十cm程度の近距離での伝送ができる非接触通信方式であり、画像形成装置1001と携帯端末1005との間で指示やデータを送信(書き込み)および受信(読み取り)する。
本実施形態では、携帯端末1005にパッシブ型ICチップを搭載し、画像形成装置1001に非接触リーダ/ライタを搭載するものとする。
【0017】
第2の通信方式は、第1の通信方式よりも長距離の通信が可能であり、且つ、第1の通信方式よりも高速な無線通信が可能な非接触通信方式とする。
本実施形態では、Bluetooth通信を用いて、携帯端末1005に保持されたデータ(画像データやドキュメント等)を画像形成装置1001へ転送する。
本実施形態では上記の通信方式を用いるが、勿論、それぞれ他の非接触通信方式を採用することもできる。
【0018】
表示装置1002は、画像形成装置1001に設けられたLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等であり、画像処理の設定情報を確認したり画像処理の状況を表示するのに使う。また、表示装置1002には、タッチパネルが備えられており、ユーザが値を入力するのに使う。
【0019】
図2は、画像形成装置2001と携帯端末2020が備える機能構成を示す図である。
画像形成装置2001は、携帯端末2020の保持するデータを印刷、ファクシミリ送信、電子メール送信等が行える多機能な画像形成装置(複合機)であり、第1無線通信部2002、第2無線通信部2003、制御部2005、画像入力部2006、指示入力部2007、表示部2008、記憶部2009、印字部2010を備えている。
【0020】
また、携帯端末2020は、画像形成装置2001で印刷するデータを保持する携帯電話やPDA、携帯型PC等であり、第1無線通信部2022、第2無線通信部2023、制御部2025、指示入力部2027、表示部2028、記憶部2029を備えている。
【0021】
まず、画像形成装置2001の各構成要素の機能について説明する。
制御部2005は、記憶部2009に記憶された制御プログラムをCPU(中央処理ユニット)によって実行することによって、当該装置の各構成要素を制御する。
記憶部2009は、読み取りまたは受信した画像データや当該装置の制御プログラムやデータ等を蓄積する。また、当該装置の処理中のデータ等も一時的に記憶する。
【0022】
第1無線通信部2002は、非接触リーダ/ライタであり、携帯端末2020に搭載された非接触型ICチップが電磁誘導圏にはいると、電磁誘導作用により電力を供給し、携帯端末2020からデータを読み取ったり、データを書き込んだりする。
第2無線通信部2003は、携帯端末2020の第2無線通信部2023とBluetooth通信により携帯端末2020が保持しているデータの問い合わせやデータの受信を行う。
これらの各無線通信部は、当該装置に内蔵されていてもよいし、あるいは、外部接続インタフェースによって接続されてもよい。
【0023】
画像入力部2006は、原稿に照射した光の画像に応じた反射光を光電変換して画像データを読み取る。
指示入力部2007は、ユーザによる設定や命令等の入力操作を表示装置1002のタッチパネルより行う。
表示部2008は、駆動条件、装置状態、あるいは入力情報等の各種情報や、携帯端末2020との通信に関する情報等を表示装置1002に表示する。
【0024】
印字部2010は、画像入力部2006により読み取った画像データ、携帯端末2020より受信した画像データを記録紙に形成して排出する。記録方式は、レーザビームプリンタ等の電子写真方式とするが、インク液滴を吐出するタイプでも構わず、その方式の種類は問わない。
【0025】
次に、携帯端末2020の各構成要素の機能について説明する。
制御部2025は、記憶部2029に記憶された制御プログラムをCPU(中央処理ユニット)によって実行することによって、当該端末の各構成要素を制御する。
記憶部2029は、当該端末の制御プログラムやデータ等を蓄積する。また、当該端末の処理中のデータ等も一時的に記憶する。
【0026】
第1無線通信部2022は、非接触型ICチップからなり、画像形成装置2001の第1無線通信部2002の電磁誘導圏内にきたときに、供給される電力によって動作が開始され、動作の開始によって起動される連携アプリケーションにより、第1無線通信部2002からのデータの読み出しや書き込みに応答する。
第2無線通信部2023は、画像形成装置2001の第2無線通信部2003とBuluetooth通信により、当該端末が保持しているデータの一覧や指定されたデータの送信を行う。
【0027】
指示入力部2027は、ユーザによる設定や命令等の入力操作を当該端末の備えているキーやボタン等により行う。
表示部2028は、当該端末に入力した各種情報や、画像形成装置2001との通信に関する情報等を表示する。
【0028】
次に、画像形成装置2001と携帯端末2020における制御の流れについて説明する。
まず、画像形成装置2001の制御の流れを図3のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
第1無線通信部2002(非接触リーダ/ライタ)は、携帯端末2020(非接触ICチップ)が電磁誘導圏内にくると(ステップS1)、実行可能なアプリの種類を問い合わせ、このアプリの種類が印刷サービスに対応していなければ(ステップS2でNO)、処理を終了する。
【0030】
一方、検出した第1無線通信部2022(非接触ICチップ)が印刷サービスに対応していれば(ステップS2でYES)、通信可能な携帯端末2020が電磁誘導圏内にあることを制御部2005に通知し、制御部2005は、第1無線通信部2002を介して携帯端末2020の第2無線通信部2023に関するアクセス情報の送信を要求する(ステップS3)。
【0031】
ここで要求したアクセス情報は、Bluetooth通信のときには、第2無線通信部2023の物理アドレス情報、機器名称などである。しかし、第2無線通信部の通信方式が無線LANのように、他の通信方式であれば、物理アドレス情報に加えて、SSID(Service Set Identifier)、暗号化方式や暗号キーなどのアクセスポイント情報を要求する。
【0032】
制御部2005は、携帯端末2020から受信した第2無線通信部2023のアクセス情報をもとに第2無線通信部2003との通信の設定を行ない、接続するときに照合される秘密鍵(パスフレーズ)をランダムに生成し(ステップS4)、第1無線通信部2002を介して、生成した秘密鍵と第2無線通信部2003に関するアクセス情報を携帯端末2020へ送信する(ステップS5)。
【0033】
ここで、第2無線通信部2003に関するアクセス情報は、上記の携帯端末と同様である。尚、秘密鍵はランダムに生成するので、仮に同じ携帯端末と画像形成装置の組み合わせであっても毎回秘密鍵が異なるため、盗聴などのリスクから回避される。
【0034】
その後、双方の第1無線通信部による通信は、接続が切断されるまで継続するとともに、制御部2005は、第2無線通信部2003を起動するとともに第2無線通信部2003を介して携帯端末2020の第2無線通信部2023に接続要求を行う(ステップS6)。この接続要求には、先に生成した秘密鍵をつけて送信する。
携帯端末2020から接続拒否信号が送られてくるか、または、所定時間が経過しても応答がない場合には(ステップS7でNO)ステップS11へ進む。
【0035】
一方、制御部2005は、携帯端末2020の第2無線通信部2023との接続に成功したときには(ステップS7でYES)、印刷すべきデータの選択および印刷処理の指定を行うユーザ操作が実行される(ステップS8)。
ここまでの双方の装置の第1無線通信部と第2無線通信部の一連の動作により、従来管理者などが各携帯端末に対して個別に手動で設定していた秘密鍵の設定が自動化される。
この自動化により、どのような秘密鍵が交換されたかは携帯端末の使用者すら知る必要がないので、秘密鍵の漏洩あるいは入力ミスなどのリスクが回避される。
【0036】
このステップS8では、次のような処理が行われる。
制御部2005は、第2無線通信部2003と2023が接続されると、携帯端末2020に対して印刷可能なファイルの一覧を要求する。
これに対して携帯端末2020は、記憶部2029に保存されている印刷可能なファイルの一覧を画像形成装置に送る。このときに送られる情報は、ファイル名やタイムスタンプなどのテキスト情報や画像の縮小イメージ(サムネイル)など、小容量であり短時間で転送できる情報のみとする。
【0037】
制御部2005は、受け取ったファイルの一覧を記憶部2009に取り込み、図4に例示するように、表示部2008を介して受け取ったファイルの一覧を表示装置1002に表示する。
【0038】
図4(A)は、表示画面4001の上半分には携帯端末から受信したファイル名4003の一覧を表示するリスト領域4002と、リスト領域4002で選択されたファイル名4008がプレビューされるプレビュー領域4004と、選択したファイルの内容の印刷が開始される印刷開始ボタン4005とを備えている。
プレビュー領域4004を持つことにより、印刷開始前に、選択したファイルが所望するファイルであるかを確認することができる。
【0039】
また、図4(B)は、表示画面4001の上半分には携帯端末から受信したファイルのサムネイル4006の一覧を表示するリスト領域4002と、リスト領域4002で選択されたチェックマーク付きのサムネイル4007がプレビューされるプレビュー領域4004と、選択したファイルの内容の印刷が開始される印刷開始ボタン4005とを備えている。
【0040】
ユーザは、表示装置1002に表示されたファイルの一覧から、指示入力部2007を操作して印刷を所望する1つのファイルを選択する。
ここで、ファイルの選択は一回に1つであっても良いし、複数選択可能であっても良い。複数のファイルを選択する場合は、既に選択されたファイルについてチェックマーク(4007)を表示したり、表示を反転(4008)させるなどして、未選択ファイルとの区別が容易にできる表示を行う。
【0041】
制御部2005は、ファイルが選択されると、第2無線通信部2003を介して携帯端末2020より選択されたファイルの内容をダウンロードし、ダウンロードしたファイルは記憶部2009に展開され、そのプレビュー画像がプレビュー領域4004に表示される。
【0042】
最後に、ユーザは、プレビュー領域4004に表示されたプレビュー画像が印刷したいファイルであることを確認したのち、印刷開始ボタン4005を押して印刷を開始する。
【0043】
次に、携帯端末2020の第1無線通信部(非接触ICチップ)2022が第1無線通信部(非接触リーダ/ライタ)2002の電磁誘導圏外となったときに(ステップS9でYES)、第1無線通信部(非接触リーダ/ライタ)2002は、制御部2005に携帯端末2020が圏外になったことを通知し、制御部2005は第2無線通信部2002による通信を切断し(ステップS10)、当該装置内に一時保存されていた携帯端末2020の第2無線通信部2022に関するアクセス情報と秘密鍵を全て消去し(ステップS11)、処理を終了する。
【0044】
尚、上記のように、第1無線通信部が近距離無線通信の通信圏外に移動させたときに、第2無線通信部2003による通信を切断する処理は、第2無線通信部2003の通信方式として想定されるBluetooth通信や無線LAN通信の通信距離が数メートル以上と長距離であるため、無線通信を行ったままになることを防ぐためである。
【0045】
また、携帯端末2020との通信の際に取り交わしたアクセス情報や秘密鍵などをすべて削除するのは、一度の使用かもしれない携帯端末の情報を大量に保持することによる記憶容量の圧迫や、接続情報の漏洩などを防止することができる。
【0046】
次に、携帯端末2020の制御の流れについて説明する。
図5は、携帯端末2020の制御の流れを示すフローチャートである。
【0047】
第1無線通信部2022(非接触型ICチップ)は、画像形成装置2001(非接触リーダ/ライタ)が電磁誘導圏内にくると、画像形成装置2001(非接触リーダ/ライタ)が圏内にあることを制御部2025に通知する(ステップS21)。
制御部2025は、連携アプリケーションを起動し、当該端末が適用可能なアプリの種類を送信する(ステップS22)。
【0048】
制御部2025は、第1無線通信部2022を介して携帯端末2020の第2無線通信部2023に関するアクセス情報の要求を受信し(ステップS23)、第2無線通信部2003に関するアクセス情報を送信する(ステップS24)。ここで、送信するアクセス情報は、上述のごとく、Bluetoothアドレスおよび機器名等である。
【0049】
画像形成装置2001からの第2無線通信部2003に関するアクセス情報と秘密鍵を受信し(ステップS25、S26)、制御部2025は、画像形成装置2001から受信した第2無線通信部2003のアクセス情報をもとに第2無線通信部2023との通信の設定を行ない、秘密鍵を記憶するとともに、第2無線通信部2023を起動する(ステップS27)。
【0050】
その後、双方の第1無線通信部による通信は、接続が切断されるまで継続し、制御部2025は、画像形成装置2001からの接続要求が検出されると、事前に交換した秘密鍵との照合が成功すると、第2無線通信部2003に接続可を返信するとともに、第2無線通信部2023による通信を開始する(ステップS28)。
【0051】
第2無線通信部2023にて画像形成装置2001からの情報送信要求を待ち受け、携帯端末(非接触型ICチップ)2020が第1無線通信部(非接触リーダ/ライタ)2002の電磁誘導圏外になるまで、画像形成装置2001からの要求に応じて携帯端末2020に保存されている情報を送信する(ステップS29、S30,S31)。
【0052】
制御部2025は、第1無線通信部(非接触リーダ/ライタ)2002の電磁誘導圏外になったことを検知すると、第2無線通信部2023における通信を切断し(ステップS32)、通信を行った画像形成装置2001の第2無線通信部2003に関するアクセス情報および秘密鍵を削除して処理を終了する(ステップS33)。
【0053】
尚、上記のように、第1無線通信部が近距離無線通信の通信圏外に移動させたときに、第2無線通信部2023による通信を切断する処理は、第2無線通信部2023の通信方式として想定されるBluetooth通信や無線LAN通信の通信距離が数メートル以上と長距離であるため、無線通信を行ったままになることを防ぐためである。
【0054】
また、画像形成装置2001との通信に使用したアクセス情報および秘密鍵をすべて削除するのは、使用頻度の低い画像形成装置の接続情報が次々と貯まっていき、使用頻度の高い機器の情報の検索性が悪化したり、あるいは、限られた機器登録数を使い切ってしまうなどの不具合を防止することができる。
【0055】
上記のように実施形態を構成することによって、秘密鍵など認証に必要な情報の手動設定など面倒な作業からユーザを解放し、且つ、不適切な端末からの接続も排除することができるセキュアな無線通信を自動で確立することができるので、コンビニエンスストアに設置された複合機などにおけるサービスを不特定多数のユーザに安全に提供できる。
【0056】
上記の実施形態では、第2無線通信部に関する秘密鍵は、画像形成装置側で生成していたが、携帯端末が画像形成装置の第2無線通信部に関する情報を受信したときに、携帯端末側で秘密鍵を生成して、画像形成装置へ返送するようにしてもよい。
【0057】
また、第2無線通信部が接続された時点で第1無線通信部の通信を切断するようにしてもよい。この場合には、サービスの終了がユーザから通知された時点で、画像形成装置から携帯端末にサービスの終了を通知する。この通知によって、双方の第2無線通信部の切断と、相互に一時的に保存していた情報を削除するようにする。
【0058】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
上述の実施形態では、コンビニエンスストアなど不特定多数のユーザであり、且つ、同じ画像形成装置を使用する頻度が少ない場合を想定していたが、オフィス内で使用するものとしても構わない。この場合、オフィス内などで通信する携帯端末と画像形成装置がある程度固定される環境であるので、接続情報や秘密鍵情報を削除しなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置および携帯端末の概略構成図である。
【図2】画像形成装置と携帯端末の備える機能構成を示す図である。
【図3】画像形成装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】ファイル一覧の表示例である。
【図5】携帯端末の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1001…画像形成装置、1002…表示装置、1005…携帯端末、2001…画像形成装置、2002…第1無線通信部、2003…第2無線通信部、2005…制御部、2006…画像入力部、2007…指示入力部、2008…表示部、2009…記憶部、2010…印字部、2020…携帯端末、2022…第1無線通信部、2023…第2無線通信部、2025…制御部、2027…指示入力部、2028…表示部、2029…記憶部、4001…表示画面、4002…リスト領域、4003…ファイル名、4004…プレビュー領域、4005…印刷開始ボタン、4006…サムネイル、4007…チェックマーク付きのサムネイル、4008…選択されたファイル名。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と通信接続する画像形成装置であって、
前記携帯端末と近距離の通信が可能な第1の無線通信手段と、前記携帯端末と前記第1の無線通信手段よりも長い距離の通信が可能な第2の無線通信手段とを、備え、
通信接続の際、前記第1の無線通信手段は、前記携帯端末の接近を検知すると、前記第2の無線通信手段が前記携帯端末と通信するためのアクセス情報を取得するとともに、生成した秘密鍵および前記携帯端末が前記第2の無線通信手段と通信するためのアクセス情報を送信し、前記取得した前記携帯端末とのアクセス情報を前記第2の無線通信手段に設定し、
前記第2の無線通信手段は、前記携帯端末に送信した秘密鍵を前記携帯端末に送信して接続認証を要求することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記認証の後、前記携帯端末が前記第1の無線通信手段の通信距離範囲外に離れた場合、前記携帯端末に関する認証動作をリセットすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1の無線通信手段は、前記秘密鍵をランダムに生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置と通信接続する携帯端末であって、
前記画像形成装置と近距離の通信が可能な第1の無線通信手段と、前記画像形成装置と前記第1の無線通信手段よりも長い距離の通信が可能な第2の無線通信手段とを、備え、
通信接続の際、前記第1の無線通信手段は、前記画像形成装置の接近を検知すると、前記第2の無線通信手段が前記画像形成装置と通信するためのアクセス情報を送信するとともに、前記画像形成装置から送信された秘密鍵および前記第2の無線通信手段が前記画像形成装置と通信するためのアクセス情報を受信し、前記受信した前記画像形成装置とのアクセス情報を前記第2の無線通信手段に設定し、
前記第2の無線通信手段は、前記画像形成装置から受信した秘密鍵と、前記第1の無線通信手段で受信した秘密鍵とを照合して接続認証することを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯端末において、前記認証の後、前記画像形成装置が前記第1の無線通信手段の通信距離範囲外に離れた場合、前記画像形成装置に関する認証動作をリセットすることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−41563(P2010−41563A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204147(P2008−204147)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】