画像形成装置および画像形成方法
【課題】異なる結像光学系の露光領域が重複する構成において、良好な潜像の形成を実現可能とする技術の提供を目的とする。
【解決手段】潜像担持体と、第1方向MDに配された複数の発光素子、および、複数の発光素子からの光を結像して潜像担持体に集光部SP_1、SP_2を形成する結像光学系を有する露光ヘッドとを備え、第1の結像光学系が形成する集光部SG_1と第2の結像光学系が形成する集光部SG_2とは、第1方向MDに隣り合うとともに第1方向MDに直交もしくは略直交する第2方向SDから見て重なっており、当該重複する領域EX_olでは、第1の結像光学系は第1方向MDに第1ビームスポット中心間距離Dsp_1でビームスポットSPを形成し、第2の結像光学系は第1方向MDに第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2でビームスポットSPを形成する。
【解決手段】潜像担持体と、第1方向MDに配された複数の発光素子、および、複数の発光素子からの光を結像して潜像担持体に集光部SP_1、SP_2を形成する結像光学系を有する露光ヘッドとを備え、第1の結像光学系が形成する集光部SG_1と第2の結像光学系が形成する集光部SG_2とは、第1方向MDに隣り合うとともに第1方向MDに直交もしくは略直交する第2方向SDから見て重なっており、当該重複する領域EX_olでは、第1の結像光学系は第1方向MDに第1ビームスポット中心間距離Dsp_1でビームスポットSPを形成し、第2の結像光学系は第1方向MDに第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2でビームスポットSPを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子からの光を結像する露光ヘッドにより、潜像担持体を露光する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主走査方向に並ぶ複数のレンズが結像する光により、潜像担持体の表面(被露光面、像面)を露光するプリンタヘッド(露光ヘッド)が提案されている(特許文献1)。このプリンタヘッドでは、各レンズが主走査方向において互いに異なる領域を露光することができる。つまり、各レンズに対しては複数の発光素子からなる発光素子アレイが設けられている。各レンズはこれらの発光素子からの光を結像して、それぞれの露光領域に主走査方向に並ぶ複数のスポットを形成することができる。そして、形成すべき潜像に対応した位置にプリンタヘッドがスポットを形成することで、潜像担持体に潜像を形成することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−158705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、後述するように、異なる結像光学系(レンズ)の露光領域が主走査方向に重複するように露光ヘッドを構成することができる。そして、このような構成では、スポット間の主走査方向における距離が、良好な潜像を形成する上で重要な要素となる。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、異なる結像光学系の露光領域が重複する構成において、良好な潜像の形成を実現可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために潜像担持体と、発光して潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された発光素子からの光を結像して潜像担持体に集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドとを備え、第1の結像光学系により形成される集光部及び第2の結像光学系により形成される集光部は、第1方向に隣り合うとともに重なっており、当該重なり領域における第1の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1でビームスポットを形成し、第2の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2でビームスポットを形成することを特徴としている。
【0007】
この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、発光して潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された発光素子からの光を結像して潜像担持体にして集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドにより、潜像担持体に潜像を形成する工程を備え、第1の結像光学系により形成される集光部と第2の結像光学系により形成される集光部とは、第1方向に隣り合うとともに第1方向に重なってしており、当該重なり領域において第1の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1で集光部を構成するビームスポットを形成し、第2の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2で集光部を構成するビームスポットを形成することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明(画像形成装置、画像形成方法)では、結像光学系が集光部を潜像担持体に形成する。また、第1の結像光学系が形成する集光部と第2の結像光学系が形成する集光部とは、第1方向に隣り合うとともに重なっており、すなわち重複露光領域を形成している。そして、当該重なり領域(重複露光領域)における第1の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1でビームスポットを形成し、第2の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2でビームスポットを形成する。つまり、本発明では、第1の結像光学系と第2の結像光学系とが異なるビームスポット中心間距離で、重複露光領域にビームスポットを形成する。こうして、良好な潜像形成の実現が図られている。
【0009】
また、画像信号に応じて発光素子を点灯して潜像担持体にビームスポットを形成するとともに、重複露光領域で潜像形成に用いる発光素子を選択する制御手段を備えるように構成しても良い。このように潜像形成に用いる発光素子を選択する制御手段を備えた構成は、第1の結像光学系で形成されたビームスポットと第2の結像光学系で形成されたビームスポットとの距離を調整することができ、良好な潜像を形成することができる。
【0010】
また、このような制御手段を備えた構成では、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.5×Dsp_2
あるいは、
0.5×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、異なる結像光学系で形成されたビームスポット同士の距離と第1ビームスポット中心間距離Dsp_1との差を、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1の1/2より小さく抑えることができ、より良好な潜像を形成することができる。
【0011】
さらには、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.25×Dsp_2
あるいは、
0.75×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、異なる結像光学系で形成されたビームスポット同士の距離と第1ビームスポット中心間距離Dsp_1との差を、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1の1/4より小さく抑えることができ、さらに良好な潜像を形成することができる。
【0012】
なお、第1の結像光学系と第2の結像光学系とは第1方向に直交もしくは略直交する第2方向に配されても良い。なぜなら、後述するように、第2方向に結像光学系を配した構成に対しては、本発明を適用することが好適だからである。
【0013】
また、結像光学系は、異なる基板に形成された複数のレンズで構成されても良い。なぜなら、後述する理由により、かかる構成に対しては、本発明を適用することが好適だからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、まず、露光ヘッドとしてのラインヘッド、および該ラインヘッドを装備した画像形成装置の基本構成について説明する。そして、基本構成の説明に続いて、本発明の実施形態について説明することとする。
【0015】
基本構成
図1はラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0016】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0017】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラムは、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0018】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0019】
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えている。これらの発光素子は、ヘッドコントローラHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0020】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0021】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0022】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0023】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0024】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0025】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0026】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0027】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0028】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0029】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
【0030】
図3は、ラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図4は、図3に示したラインヘッドのA−A線部分断面図であり、レンズの光軸に平行な断面を示す。このA−A線は、後述する発光素子グループ列295Cやレンズ列LSCと平行もしくは略平行である。上述した通り、ラインヘッド29の長手方向LGDは主走査方向MDに平行もしくは略平行であり、ラインヘッド29の幅方向LTDは副走査方向SDに平行もしくは略平行であり、ラインヘッド29の長手方向LGDと幅方向LTDは互いに直交もしくは略直交している。ラインヘッド29が備える各発光素子は感光体ドラム21の表面に向けて光ビームを射出する。そこで、本明細書では、長手方向LGDおよび幅方向LTDに直交する方向であって、発光素子から感光体ドラム表面に向う方向を、光ビームの進行方向Doaとする。この光ビームの進行方向Doaは、光軸OA(図4)と平行もしくは略平行である。
【0031】
ラインヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そして更に、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
【0032】
ケース291の内部には、ヘッド基板293、遮光部材297、および2枚のレンズアレイ299(299A,299B)が配置されている。ヘッド基板293の表面293−hにはケース291の内部が当接する一方、ヘッド基板293の裏面293−tには裏蓋2913が当接している。この裏蓋2913は、固定器具2914によりヘッド基板293を介してケース291内部に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291内部側(図4における上側)に押圧する弾性力を有しており、かかる弾性力により裏蓋が押圧されることで、ケース291の内部が光密に(換言すれば、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉される。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向LGDに複数箇所設けられている。
【0033】
ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループ295が設けられている。ヘッド基板293はガラス等の光透過性部材で形成されており、発光素子グループ295の各発光素子が射出した光ビームは、ヘッド基板293の裏面293−tから表面293−hへと透過可能である。この発光素子はボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子であり、封止部材294により覆われている。
【0034】
図5は、発光素子の構造を示す図であり、発光素子の縦構造を示す部分断面図(図5の上段「断面図」)と、発光素子の平面構造を示す平面図(図5の下段「平面図」)とが併記されている。同図に示すように、ヘッド基板293の裏面には、配線層261が形成されている。図示は省略するが、配線層261は、導電層と絶縁層とが積層した構成を有している。導電層は、発光素子2951の光量を制御する能動素子(トランジスタ)や各種の信号を伝送する配線などを有する層である。絶縁層は、各導電層を電気的に絶縁するようにして積層されている。配線層の表面には、第1電極262が形成されている。この第1電極262は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性の導電材料によって形成され、発光素子2951の陽極として機能する。
【0035】
配線層261および第1電極262に対して積層するようにして、絶縁層263が形成されている。絶縁層263は絶縁性の膜体である。この絶縁層263には、光の進行方向Doaから見て第1電極262と重なる領域に開口部264が設けられている。この開口部264は、絶縁層263を厚さ方向に貫通する孔として、第1電極262毎に形成されている。第1電極262および絶縁層263は、有機EL材料からなる発光層265に覆われている。発光層265は、スピンコート法などの成膜技術によって、複数の発光素子2951にわたって連続して形成される。なお、発光層265は複数の発光素子2951に連続して形成されるものの、第1電極262は発光素子2951毎に独立して形成される。したがって、発光素子2951の光量は、第1電極262から供給される電流に応じて、発光素子2951毎に個別に制御される。もっとも、例えば液滴吐出法(インクジェット法)などの印刷技術によって、発光素子2951毎に発光層265を形成しても良い。
【0036】
発光層265に積層するようにして、第2電極267が形成されている。第2電極267は光反射性の導電膜であり、複数の発光素子2951にわたって連続して形成される。このように、発光層265は、第1電極262と第2電極267とで縦方向に挟まれており、第1電極262から第2電極267に流れる駆動電流に応じた強度で発光する。発光層265から第1電極262側へ射出される射出光と、第2電極267の表面で反射された反射光とは、図5の白抜の矢印で示すように、第1電極263とヘッド基板293とを透過して後述する結像光学系へと射出される。第1電極262と第2電極267との間であって絶縁層263が介在する領域には電流は流れないため、発光層265のうち絶縁層263と重なり合う部分は発光しない。すなわち、図5に示すように、第1電極262、発光層265および第2電極267から成る積層構造のうち、開口部264の内側に位置する部分が発光素子2951として機能する。したがって、光の進行方向Doaから平面視したときの発光素子2951の位置や形態(サイズ、形状)は開口部264の位置や形態に応じて決まる(同図の「平面図」の欄を参照)。よって、本明細書の図では、光の進行方向Doaから平面視した場合の発光素子2951は、開口部264で代表して表されている。また、本明細書では、必要に応じて発光素子2951の位置との表現を用いるが、発光素子2951の位置Teとは、平面視したときの発光素子2951(の開口部264)の幾何重心とする。また、発光素子2951の中心は、発光素子形状の幾何重心とする。
【0037】
このようにしてヘッド基板293に形成された各発光素子2951は、互いに等しい波長の光ビームを射出する。この発光素子2951はいわゆる完全拡散面光源であり、発光面から射出される光ビームはランバートの余弦則に従う。
【0038】
図6はヘッド基板の裏面の構成を示す平面図であり、ヘッド基板の表面側から裏面を見た場合に相当する。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、ヘッド基板裏面293−tにレンズLSが形成されていることを示すものではない。同図に示すように、15個の発光素子2951をグループ化して1つの発光素子グループ295が構成されており、ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子グループ295が配置されている。同図に示すように、ヘッド基板293において、複数の発光素子グループ295は2次元的に配置されている。詳細は次の通りである。
【0039】
幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個の発光素子グループ295を配置して発光素子グループ列295Cが構成されている。発光素子グループ列295Cを構成する3個の発光素子グループ295は、長手方向LGDに発光素子グループ間距離Degをおいて並んでいる。さらに、複数の発光素子グループ列295Cが、長手方向LGDに発光素子グループ列間距離(=Deg×3)をおいて並んでいる。こうして、ヘッド基板293の各発光素子グループ295は長手方向LGDに発光素子グループ間距離Degをおいて並んでおり、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは互いに異なっている。
【0040】
別の見方をすると、発光素子グループ295は次のように配置されているとも言える。つまり、ヘッド基板293の裏面293−tでは、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295を並べて発光素子グループ行295Rが構成されるとともに、3個の発光素子グループ行295Rが幅方向LTDの互いに異なる位置に設けられている。これら3個の発光素子グループ行295Rは幅方向LTDに発光素子グループ行間距離Degrをおいて並んでいる。しかも、各発光素子グループ行295Rは、発光素子グループ間距離Degに相当する長さだけ、長手方向LGDに相互にずれている。したがって、ヘッド基板293の各発光素子グループ295は長手方向LGDに発光素子グループ間距離Degをおいて並ぶこととなり、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは互いに異なっている。
【0041】
ここで、発光素子グループ295の位置は、光の進行方向Doaから見た場合における発光素子グループ295の重心として求めることができる。発光素子グループ295の重心は、光の進行方向Doaから発光素子グループ295を構成する複数の発光素子2951を見た場合における、当該複数の発光素子2951の重心として求めることができる。また、長手方向LGDにおける位置Tegが隣り合う2つの発光素子グループ295(例えば、発光素子グループ295_1、295_2)の長手方向LGDにおける各位置Tegの間隔として、発光素子グループ間距離Degは求めることができる。なお、図6において、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは、発光素子グループ295の位置から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0042】
図3、図4に戻って説明を続ける。ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が当接配置されている。遮光部材297には、複数の発光素子グループ295毎に導光孔2971が設けられている(換言すれば、複数の発光素子グループ295に対して一対一で複数の導光孔2971が設けられている)。各導光孔2971は、光ビームの進行方向Doaに貫通する孔として、遮光部材297に形成されている。また、遮光部材297の上側(ヘッド基板293の反対側)には、2枚のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。
【0043】
このように、光ビームの進行方向Doaにおいて、発光素子グループ295とレンズアレイ299との間には、発光素子グループ295毎に導光孔2971を設けた遮光部材297が配置されている。したがって、発光素子グループ295から出た光ビームは、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971を通過してレンズアレイ299へと向う。逆に言うと、発光素子グループ295から射出された光ビームのうち、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971以外に向う光ビームは、遮光部材297により遮光されることとなる。こうして、導光孔2971以外に向う迷光のレンズアレイ299への入射が、遮光部材297により抑制される。
【0044】
図7は、レンズアレイの構成を示す平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、同図における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。図6等にも示したとおり、レンズアレイ299では、発光素子グループ295毎にレンズLSが設けられている。つまり、各レンズアレイ299において、複数のレンズLSは2次元的に配置されている。詳細は次の通りである。
【0045】
幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個のレンズLSを配置してレンズ列LSCが構成されている。レンズ列LSCを構成する3個のレンズLSは、長手方向LGDにレンズ間距離Dlsをおいて並んでいる。さらに、複数のレンズ列LSCが長手方向LGDにレンズ列間距離(=Pls×3)をおいて並んでいる。こうして、レンズアレイ299の各レンズLSは長手方向LGDにレンズ間距離Plsをおいて並んでおり、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは互いに異なっている。
【0046】
別の見方をすると、レンズLSは次のように配置されているとも言える。つまり、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3個のレンズ行LSRが幅方向LTDの互いに異なる位置に設けられている。これら3個のレンズ行LSRは幅方向LTDにレンズ行間距離Dlsrで並んでいる。しかも、各レンズ行LSRはレンズ間距離Plsに相当する長さだけ、長手方向LGDに相互にずれている。したがって、レンズアレイ299の各レンズLSは長手方向LGDにレンズ間距離Plsをおいて並ぶこととなり、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは互いに異なっている。
【0047】
なお、同図においては、レンズLSの位置は、レンズLSの頂点(つまり、サグが最大となる点)で代表されており、レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは、レンズLSの頂点から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0048】
図8は、レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図であり、レンズアレイに形成されたレンズLSの光軸を含む長手方向断面を示している。レンズアレイ299は長手方向LGDに長尺であって光透過性のレンズアレイ基板2991を有している。このレンズアレイ基板2991は、線膨張係数の比較的小さいガラスにより形成されている。レンズアレイ基板2991の表面2991−hおよび裏面2991−tのうち、レンズアレイ基板2991の裏面2991−tにレンズLSが形成されている。レンズLSは例えば光硬化性樹脂により形成することができる。
【0049】
このラインヘッド29では、光学設計の自由度向上を図るべく、このような構成を有するレンズアレイ299が2枚(299A,299B)光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。これら2枚のレンズアレイ299A,299Bは台座296を挟んで対向しており(図3、図4)、この台座296はレンズアレイ299A,299Bの間隔を規定する機能を果たしている。こうして、光ビームの進行方向Doaに並ぶ2枚のレンズLS1,LS2が各発光素子グループ295毎に配置されることとなる(図3、図4、図8)。ここで、光ビームの進行方向Doaの上流側のレンズアレイ299AのレンズLSが第1レンズLS1であり、光ビームの進行方向Doaの下流側のレンズアレイ299BのレンズLSが第2レンズLS2である。
【0050】
発光素子グループ295から射出された光ビームLBは、当該発光素子グループ295に対向配置された2枚のレンズLS1、LS2により結像されて、感光体ドラム表面(潜像形成面)にスポットSPが形成される。つまり、2枚のレンズLS1、LS2により結像光学系が構成されており、各発光素子グループ295毎にこの結像光学系が対向配置されている。結像光学系の光軸OAは光の進行方向Doaと平行であり、発光素子グループ295の重心位置を通る。この結像光学系はいわゆる反転光学系であり、結像光学系は倒立像を結像する。
【0051】
図9は、発光素子グループの構成、および当該発光素子グループによるスポット形成動作を示す平面図である。まず、同図の「発光素子グループ」の欄を参照しつつ、発光素子グループの構成について説明する。なお、同欄において、第1直線AL_mdは、光軸OAを通り主走査方向MDに平行な直線であり、第2直線AL_sdは、光軸OAを通り副走査方向SDに平行な直線である。これら第1直線AL_mdおよび第2直線AL_sdは、発光素子2951が形成されたヘッド基板裏面293−t上の仮想線である。
【0052】
発光素子グループ295では、15個の発光素子2951が長手方向LGDに2列千鳥で配置されており、各発光素子2951は長手方向LGDにおいて互いに異なる位置にある。これらの発光素子2951は、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delをおいて並んでいる。ここで、発光素子中心間距離Delは、主方向位置Tel(長手方向LGDあるいは主走査方向MDにおける位置)が隣り合う2つの発光素子2951(例えば、発光素子EL_1、EL_2)間の長手方向LGD(主走査方向MD)における距離(例えば、主方向位置Te1_1、Te1_2間距離)である。また、同図において、主方向位置Te1は、発光素子2951の位置Teから長手方向軸LGD(主走査方向軸MD)に下ろした垂線の足で表されている。なお、以後の説明のため、発光素子EL_1、EL_2のように、主方向位置Te1が隣り合う関係にある2つの発光素子2951を「隣接発光素子対」と称することとする。
【0053】
この発光素子グループ295は、発光素子行2951Rを構成するように配置されている。この発光素子行2951Rは、長手方向LGDの互いに異なる位置に配置された2個以上の発光素子2951により構成されている。詳述すると、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delの2倍の距離をおいて8個の発光素子2951を並べて発光素子行2951R_1が構成されるとともに、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delの2倍の距離をおいて7個の発光素子2951を並べて発光素子行2951R_2が構成されている。これら発光素子行2951R_1、2951R_2は、幅方向LTDに発光素子行間距離Delrをおいて並んでおり、幅方向LTDの互いに異なる位置にある。しかも、各発光素子行2951R_1、2951R_2は、発光素子中心間距離Delに相当する長さだけ長手方向LGDに互いにずらして配置されている。
【0054】
各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は直線的に並んでいる。換言すれば、各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は、幅方向LTDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、発光素子行2951R_1を用いて例示するように、幅方向LTDにおける発光素子2951と第1直線AL_mdとの距離ΔEL(副方向素子光軸間距離ΔEL)は、各発光素子2951の間で等しい。同欄では、このような発光素子2951の配列態様を示すために、配列線LN(仮想線)が併記されている。なお、副方向素子光軸間距離ΔELは、発光素子2951の位置Teと第1直線AL_mdとの幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
【0055】
このように構成された発光素子グループ295は、発光素子グループ幅Weg=(15−1)×Delを有することとなる。ここで、発光素子グループ幅Wegは、長手方向LGDにおいて発光素子グループ295の両端にある発光素子2951の各位置Teの間の距離である。発光素子グループ295は、第2直線AL_sdに対して対称となっている。
【0056】
次に、図9の「スポットグループ」の欄を参照しつつ、発光素子グループによるスポット形成動作について説明する。同欄において、第1投影直線PJ(AL_md)は、第1直線AL_mdを光の進行方向Doaから感光体ドラム表面に投影した仮想直線であり、第2投影直線PJ(AL_sd)は、第2直線AL_sdを光の進行方向Doaから感光体ドラム表面に投影した仮想直線である。
【0057】
発光素子行2951R_1の各発光素子2951が発光した光は、結像光学系により反転結像されて、スポット行SPR_1が形成される。このスポット行SPR_1は、主走査方向MDに8個のスポットSPをスポット中心間距離Dspの2倍の距離をおいて並べたものである。また、発光素子行2951R_2の各発光素子2951が発光した光は、結像光学系により反転結像されて、スポット行SPR_2が形成される。このスポット行SPR_2は、主走査方向MDに7個のスポットSPをスポット中心間距離Dspの2倍のピッチで並べたものである。このように、各発光素子行2951Rは、複数の発光素子2951を同時に発光させて、主走査方向MDに複数のスポットSPが並ぶスポット行SPRを形成可能である。各スポット行SPRでは、複数のスポットSPは、副走査方向SDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、スポット行SPR_1を用いて例示するように、副走査方向SDにおけるスポットSPと第1投影直線PJ(AL_md)との距離ΔSP(副方向スポット光軸間距離ΔSP)は、各スポットSPの間で等しい。なお、副方向スポット光軸間距離ΔSPは、スポットSPの重心と第1投影直線PJ(AL_md)との副走査方向SDにおける距離として求めることができる。
【0058】
そして、これらスポット行SPR_1、SPR_2は副走査方向SDの互いに異なる位置に並べて形成されている。しかも、各スポット行SPR_1、SPR_2は、スポット中心間距離Dspに相当する長さだけ長手方向LGDに互いにずらして形成されている。こうして、15個のスポットSPが2次元的に配置されたスポットグループSGが形成される。そして、同欄に示すように、スポットグループSGにおいて、これら15個のスポットSPは主走査方向MDにスポット中心間距離Dspをおいて並んでおり、各スポットSPは主走査方向MDの互いに異なる位置にある。ここで、スポット中心間距離Dspは、主方向位置Ts1(主走査方向MDにおける位置)が隣り合う2つのスポット(例えば、スポットSP_1、SP_2)間の主走査方向MDにおける距離(例えば、主方向位置Ts1_1、Ts1_2間距離)である。また、同図において、主方向位置Ts1は、スポットSPの中心から主走査方向軸MDに下ろした垂線の足で表されている。さらに、スポットSPの中心は次の通りである。
【0059】
図10はスポット中心の説明図である。同図上段の欄は光の進行方向Doaから見た場合のスポットのビームプロファイルを示している。同欄では、ビームプロファイルが等強度線で示されている。また、同図下段の欄は光の進行方向Doaを含む断面におけるビームプロファイルを示す。ビームプロファイルのピーク強度Imaxに対して半分の強度0.5Imax以上の強度を有する領域(上段の欄のハッチングが施されている領域)がスポットSPに相当する。そして、こうして定義されるスポットSPの幾何重心が、スポットSPの中心である。
【0060】
ところで、図6に示したとおり、複数の発光素子グループ295が離散的かつ2次元的に配置されている。したがって、各発光素子グループ295が同時発光すると、感光体ドラム21表面には、複数のスポットグループSGが離散的かつ2次元的に形成される(図11)。ここで、図11は、各発光素子グループが同時発光した場合に感光体ドラム表面に形成されるスポットグループを示す平面図である。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これはスポットグループSGとレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、感光体ドラム表面にレンズLSが形成されていることを示すものではない。また、スポットグループSG_1、SG_2、SG_3はそれぞれ発光素子グループ295_1、295_2、295_3により形成されるスポットグループである。
【0061】
スポットグループSGの形成位置の詳細は次の通りである。つまり、複数のスポットグループSG_1、SG_2、SG_3、…がこの順番で、主走査方向MDにスポットグループ間距離Dsgをおいて並んでいる。また、隣り合う3個のスポットグループSG_1、SG_2、SG_3は副走査方向SDの異なる位置にある。
【0062】
なお、スポットグループSGの主走査方向MDの両端に位置するスポットSP_r、SP_lの中心間距離をスポットグループSGの幅Wsgとする。スポットグループ幅Wsgを2分するとともに主走査方向MDに垂直な直線と主走査方向軸MDとの交点(換言すれば、スポットグループ幅Wsgを2分する点を主走査方向軸MDに正投影した点)の位置を、スポットグループSGの主走査方向位置Tsgとする。また、主走査方向位置Tsgが隣り合う関係にある2個のスポットグループSGを、「主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSG」と表現する。また、スポットグループ間距離Dsgは、主走査方向MDに隣り合うスポットグループSGそれぞれの主走査方向方向位置Tsgの間の距離として与えられる。
【0063】
図11に示したとおり、複数の発光素子グループ295を同時点灯させた場合は、複数のスポットグループSGが離散的かつ2次元的に形成される。そこで、このようなラインヘッド29を用いて主走査方向MDに延びるライン潜像を形成する場合は、各発光素子グループ295の発光タイミングが次のように制御される。図12は、ラインヘッドによる潜像形成動作を示す図である。以下に、図6、図9、図12を参照しつつラインヘッドによる潜像形成動作を説明する。概略としては、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じたタイミングで、ヘッド制御モジュール54が各発光素子2951を発光させて、複数のスポットSPを主走査方向MDに並べて形成する。詳細は以下の通りである。
【0064】
まず最初に、副走査方向SDに最上流の発光素子グループ行295R_Aに属する発光素子グループ295_1の発光素子行2951R_2が発光すると、スポット行SPRが形成される。こうして、各スポットSPが形成された領域が露光されて、図12の「1回目」のハッチングパターンで示す7個のスポット潜像が形成される。なお、図12において、白抜きの丸印は未だ形成されておらず今後形成される予定のスポット潜像を表す。また、同図において、符号295_1,295_2,295_3でラベルされたスポットは、それぞれに付された符号に対応する発光素子グループ295により形成されるスポット潜像であることを示す。
【0065】
発光素子行2951R_2に続いて発光素子行2951R_1が発光して、図12の「2回目」のハッチングパターンで示す8個のスポット潜像が形成される。このように、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delで配置された2つの発光素子2951は、主走査方向MDに並んで隣接する2つのスポット潜像(例えば、スポット潜像Lsp1、Lsp2)を形成することができる。ここで、副走査方向SDの下流側の発光素子行2951Rから順番に発光したのは、結像光学系が倒立特性を有することに対応するためである。
【0066】
次に、副走査方向SDにおいて発光素子グループ行295R_Aの下流側の発光素子グループ行295R_Bに属する発光素子グループ295_2が、上述の発光素子グループ行295R_Aと同様の発光動作を行なって、図12の「3回目」〜「4回目」のハッチングパターンで示すスポット潜像が形成される。また、副走査方向SDにおいて発光素子グループ行295R_Bの下流側の発光素子グループ行295R_Cに属する発光素子グループ295(295_3等)が、上述の発光素子グループ行295R_Aと同様の発光動作を行なって、図12の「5回目」〜「6回目」のハッチングパターンで示すスポット潜像が形成される。このように、1〜6回目までの発光動作が実行されることで、主走査方向MDに複数のスポット潜像が並んで、ライン潜像が形成される。
【0067】
実施形態
ところで、感光体ドラム21に対してラインヘッド29がスキューすること等により、主走査方向MDに隣り合うするスポットグループSG間距離が変動する場合がある。図13は、スキューにより隙間が発生する様子を表す平面図であり、各発光素子グループ295が同時発光することで形成される複数のスポットグループSGを表している。同図に示すように、ラインヘッド29の長手方向LGDが感光体ドラム21の回転軸に対して角度θだけスキューしている。このスキューにより、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSG_3、SG_1とのスポットグループ間距離が距離Dsgから変動幅ΔDsg_31だけ短くなっている。その結果、スポットグループSG_3、SG_1とが、幅ΔDsg_31だけ重複している。一方、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSG_1、SG_2とのスポットグループ間距離は、距離Dsgから変動幅ΔDsg_12だけ長くなっている。その結果、スポットグループSG_1、SG_2との間に、幅ΔDsg_12の隙間が発生している。しかしながら、このような隙間部分にはスポットSPを形成することができないため、潜像を形成できない範囲が発生してしまう。そこで、本実施形態では、予め(つまり、スキューが無い状態において)、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSGを重複して形成することができるように、ラインヘッド29が構成されている。
【0068】
図14は、本実施形態で形成される複数のスポットグループを示す平面図である。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これはスポットグループSGとレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、感光体ドラム表面にレンズLSが形成されていることを示すものではない。同図が示すように、幅方向LTDの異なる位置のレンズLSは、副走査方向SDの互いに異なる位置にスポットグループSGを形成する。主走査方向MDに隣り合う2つのスポットグループSGは、主走査方向MDにおいて互いに重複しており、その重複幅は幅Wolである。そして、本実施形態では、スポットグループSGが重複する領域に形成されるスポットSPのスポット中心間距離Dsgを、2つのスポットグループSGの間で異ならせている。具体的には、スポットグループSGを形成する発光素子グループ295を次に説明するように構成している。
【0069】
図15は、本実施形態における発光素子グループの構成を示す平面図である。なお、図13、図14と同様にレンズLSは、レンズLSと発光素子グループ295との関係を示すために記載されているものである。図15に示すように、発光素子グループ295では、14個の発行素子2951を長手方向LGDに並べて発光素子行2951Rが構成されるとともに、4個の発光素子行2951R_1〜2951R_4が幅方向LTDの互いに異なる位置に配置されている。各発光素子行2951R_1〜2951R_4は、長手方向LGDに相互にずれており、その結果、4×14個の発光素子2951が長手方向LGDにおいて互いに異なる位置にある。
【0070】
また、これらの発光素子2951には、長手方向LGDに第1発光素子中心間距離Delをおいて並ぶ第1発光素子EL_1(同図の白丸印)と、長手方向LGDに第2発光素子中心間距離Del_2をおいて並ぶ第2発光素子EL_2(同図のハッチングが施された丸印)とがある。つまり、発光素子グループ295の長手方向LGDの一方側の端部に、4個の第2発光素子EL_2がある。また、これら4個の第2発光素子EL_2以外の発光素子2951は、いずれも第1発光素子EL_1である。そして、第1発光素子中心間距離Del_1と第2発光素子中心間距離Del_2とは、次式
Del_2=Del_1×7/6
を満たしている。なお、後述するように、Dsp_1は第1スポット中心間距離であり、Dsp_2は第2スポット中心間距離であり、βは結像光学系の光学倍率の絶対値である。そして、これらは次式
Del_1=Dsp_1/β
Del_2=Dsp_2/β
を満たす。
【0071】
図16は、発光素子グループにより形成されるスポットグループを示す平面図である。なお、図13、図14と同様にレンズLSは、レンズLSとスポットグループSGとの関係を示すために記載されているものである。図16に示すように、発光素子グループ295から射出された光ビームが結像光学系により反転結像されて、スポットグループSGが形成される。具体的には、各発光素子行2951Rが主走査方向MDに直線状に並ぶ14個のスポットSPを形成するため、合計4×14個のスポットSPが主走査方向MDにおいて互いに異なる位置に形成される。なお、図16では、第1発光素子EL_1で形成されたスポットは第1スポットSP_1として白丸印で表されており、第2発光素子EL_2で形成されたスポットは第2スポットSP_2としてハッチングが施された丸印で表されている。同図に示すように、スポットグループSGの主走査方向MDの他方側の端部に、4個の第2スポットSP_2が形成されている。また、これら4個の第2スポットSP_2以外の発光素子2951はいずれも第1スポットSP_1である。第1スポットSP_1は、主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1をおいて並んでいる。一方、4個の第2スポットSP_2は、主走査方向MDに第2スポット中心間距離Dsp_2をおいて並んでいる。そして、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とは、次式
Dsp_2=Dsp_1×7/6
を満たしている。
【0072】
そして、上述の通り、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSGが重複して形成される。図17は、スポットグループの重複領域の近傍を拡大した平面図である。スポットグループSGの主走査方向MDの一方側端部には第1スポットSP_1がある。また、スポットグループSGの主走査方向MDの他方側端部には第2スポットSP_2がある。そして、スポットグループSG_1の一方側端部と、スポットグループSG_2の他方側端部とが、主走査方向MDにおいて(換言すれば、主走査方向MDに直交する方向から見て)互いに重複している。このように主走査方向MDに隣り合うスポットグループSGが互いに重複して、重複露光領域EX_olを形成している。ここで、重複露光領域EX_olは次のように定義できる。つまり、スポットグループSGの走査方向MDの一方側の最端にあるスポットSPを通って主走査方向MDに直交する仮想直線L1とし、スポットグループSGの走査方向MDの他方側の最端にあるスポットSPを通って主走査方向MDに直交する仮想直線L2としたとき、仮想直線L1と仮想直線L2とで挟まれる範囲が、重複露光領域EX_olである。また、この重複露光領域EX_olの範囲内に中心があるスポットSPを、重複スポットSP_olと称することとする。さらに、この重複スポットSP_olを形成する発光素子2951を重複発光素子と称することとする。
【0073】
そして、本実施形態では、重複露光領域EX_olの幅Wolに応じて(換言すれば、スポットグループSGの重複の程度に応じて)、潜像形成に実際に用いる重複発光素子を選択する。つまり、選択された重複発光素子に対応する重複スポットSP_olのみが潜像形成に使用され、選択されなかった重複発光素子に対応する重複スポットSP_olは潜像形成に使用されない。かかる潜像形成動作は、ヘッドコントローラHCがラインヘッド29を制御することで実行することができる。次に潜像形成動作について次に説明する。
【0074】
図18および図19は潜像形成動作で使用されるスポットを示す図であり、重複露光領域EX_olの幅Wol毎に使用するスポットのパターンを示している。これらの図では、潜像形成で使用されるスポットは白丸印で表され、潜像形成で使用されないスポットはハッチングが施された丸印で表されている。なお、図17等で示したとおり、スポットグループSGを構成する複数のスポットSPは2次元的に並んでいる。しかしながら、図18および図19では、潜像形成動作の理解を容易とするために、各スポットグループにおける複数のスポットは主走査方向MDに直線的に並んで表記されている。また、第2スポットSP_2は第1スポットSP_1より太い線の丸印で表されている。
【0075】
これらの図の左側の欄から順に説明する。最左端の欄は、重複露光領域EX_olの幅Wol毎に使用するスポットのパターンに対して1から順番に付したナンバを示している。「ΔDsg」の欄は、スキューが無い状態でのスポットグループ間距離Dsgと、スキューが発生した状態でのスポットグループ間距離Dsgとの差(グループ間距離ずれΔDsg)を表している。なお、スポットグループ間距離が短くなる方にずれた場合は、グループ間距離ずれDsgは負の値をとり、スポットグループ間距離が長くなる方にずれた場合は、グループ間距離ずれDsgは正の値をとる。「ΔDsp」の欄は、境界スポット対を構成する2つのスポットSP間のスポット中心間距離(境界スポット中心間距離Dnx)が第1スポット中心間距離Dsp_1に対してどの程度ずれているかを表す、境界スポット中心間距離ずれΔDspを示している。この境界スポット中心間距離ずれΔDspは、次式
ΔDsg=Dnx−Dsp_1
で与えられる。ここで、境界スポット対とは、互いに異なるスポットグループSGに属するスポットであって、実際の潜像形成動作で主走査方向MDに隣接して形成される2つのスポットSPからなる対である。つまり、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、異なるスポットグループSGにより主走査方向MDに隣接して形成される2個のスポットSPの間の距離であり、良好な潜像を形成するためには境界スポット中心間距離ずれΔDspが小さいことが好適である。また、「内容」の欄は、使用されるスポットのパターンを示している。なお、「パターン内容」の欄において、最も細かい目盛りは、第1スポット中心間距離Dsp_1の1/4倍(同欄の「Dsp_1×1/4」の表記を参照)に相当する。
【0076】
これらの図では、グループ間距離ずれΔDsgが−4/12×Dsp_1〜12/12×Dsp_1まで発生した場合における、各パターン1〜17が示されている。パターン1では、グループ間距離ずれΔDsg=−4/12×Psp_1に対して、第1スポットグループSG_1の一方側から5個の第1スポットSP_1が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDsp=0/12×Psp_1(=0)となっている。パターン2では、グループ間距離ずれΔDsg=−3/12×Psp_1に対して、第2スポットグループSG_2の他方側から4個の第2スポットSP_2が形成されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDsp=−3/12×Psp_1となっている。パターン3〜6では、パターン2と同様に、第2スポットグループSG_2の他方側から4個の第2スポットSP_2が形成されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、−2/12×Psp_1〜1/12×Psp_1となっている。パターン7、8では、スポットグループSG_1の一方側の端にある第1スポットSP_1が使用されないとともに、スポットグループSG_2の他方側から3個の第2スポットSP_2が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、パターン7で0/12×Psp_1(=0)となるとともに、パターン8で1/12×Psp_1となっている。パターン9、10では、スポットグループSG_1の一方側から2個の第1スポットSP_1が使用されないとともに、スポットグループSG_2の他方側から2個の第2スポットSP_2が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、パターン9で0/12×Psp_1(=0)となるとともに、パターン10で1/12×Psp_1となっている。パターン16、17では、スポットグループSG_1の他方側から4個の第1スポットSP_1が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、パターン16で3/12×Psp_1となるとともに、パターン17で−2/12×Psp_1となっている。このように、潜像形成に使用するスポットSPを制御することで、境界スポット対を構成する2個のスポットSPのスポット中心間距離Dnxを調整することができる。よって、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/4×Dsp_1より小さく抑えることができ、良好な潜像の形成が可能となっている。
【0077】
以上のように、本実施形態では、結像光学系がスポットグループSGを感光体ドラム21表面に形成する。また、第1の結像光学系が形成するスポットグループSGとスポットグループSG1)と第2の結像光学系が形成するスポットグループSGとは(例えば、スポットグループSG1とスポットグループSG2とは)、主走査方向MDに隣り合うとともに主走査方向MDに直交する方向から見て重複しており、すなわち重複露光領域EX_olを形成している。そして、重複露光領域EX_olでは、第1の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1でスポットSPを形成し、第2の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1と異なる第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成する。つまり、本実施形態では、第1の結像光学系と第2の結像光学系とが異なるスポット中心間距離で、重複露光領域にスポットSPを形成する。こうして、良好な潜像形成の実現が図られている。
【0078】
さらに本実施形態では、ヘッドコントローラHCが、重複露光領域EX_olの重複程度に応じて、潜像形成に用いる発光素子を選択している。その結果、図18、図19に示したように、境界スポット対を構成する2個のスポットSPのスポット中心間距離Dnxを調整して、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/4×Dsp_1より小さく抑えることができ、良好な潜像の形成が可能となっている。
【0079】
なお、本発明は、本実施形態のように、結像光学系幅方向LTDの異なる位置に配した構成に対しては特に好適である。つまり、図13に示したように、この構成では、スキューに起因して、主走査方向MDにおけるスポットグループ間距離Dsgが変動してしまう場合がある。そして、このような場合には、重複露光領域を設けて本発明を適用して、良好な潜像形成を実行可能とすることが好適である。
【0080】
このように、本実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当している。長手方向LGDおよび主走査方向MDが本発明の「第1方向」に相当し、幅方向LTDおよび副走査方向SDが本発明の「第2方向」に相当する。また、レンズLS1、LS2が本発明の「結像光学系」として機能している。また、スポットSPが本発明の「ビームスポット」に相当し、スポットグループSGが本発明の「集光部」に相当し、第1スポット中心間距離Dsp_1が本発明の「第1ビームスポット中心間距離Dsp_1」に相当し、第2スポット中心間距離Dsp_1が本発明の「第2ビームスポット中心間距離Dsp_2」に相当している。また、ビデオデータVDが本発明の「画像信号」に相当している。
【0081】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とは、次式
Dsp_2=Dsp_1×7/6
を満たす関係にある。しかしながら、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2がかかる関係を満たすことは本発明に必須ではなく、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2が異なっていればよい。
【0082】
このとき、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とが次の不等式
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.5×Dsp_2
あるいは、次の不等式
0.5×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの不等式を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/2×Dsp_1より小さく抑制することができる。
【0083】
あるいは、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とが次の不等式
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.25×Dsp_2
あるいは、次の不等式
0.75×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの不等式を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/4×Dsp_1より小さく抑えることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、重複露光領域EX_ol以外のスポットSPは第1スポット中心間距離Dsp_1で並んでいる。しかしながら、重複露光領域EX_ol以外のスポットSPが第1スポット中心間距離Dsp_1で並ぶことは必須ではなく、第1スポット中心間距離Dsp_1と異なるスポット中心間距離Dspで並んでいても良い。
【0085】
また、上記実施形態では、重複露光領域EX_olにある第2スポットグループSGのスポットSPは、いずれも第2スポット中心間距離Dsp_2で並ぶ第2スポットSP_2であった。しかしながら、重複露光領域EX_olにある第2スポットグループSGのスポットSPのうち、一部のスポットSPのみが第2スポットSP_2である一方、他のスポットSPは第1スポットSP_2であっても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、隣り合うスポットグループSG間の隙間が発生する原因として、スキューを取り上げた。しかしながら、かかる隙間の発生原因はスキューには限られない。例えば、図8に示したように、異なるレンズアレイ基板2991に形成された2枚以上のレンズLSで結像光学系を構成した場合、これらのレンズLSの位置関係がずれることによっても、隙間が発生する場合がある。したがって、かかる構成に対しては本発明を適用することが好適である。また、次に説明する実施形態のようにレンズアレイを構成した場合にも、さらに別の理由により隙間が発生する場合がある。これについて説明する。
【0087】
図20は別の実施形態におけるレンズアレイの概略部分斜視図である。図21は別の実施形態におけるレンズアレイの長手方向部分断面図である。また、図22は別の実施形態におけるレンズアレイの平面図である。図20および図21において、レンズアレイ299は、透明基板としてのガラス基板2991と複数(この実施形態では8枚)のプラスチックレンズ基板2992を備えている。これらの図は部分図なので、すべての部品を現しているわけではない。
【0088】
図20および図21において、プラスチックレンズ基板2992はガラス基板2991の両面に設けられている。すなわち、ガラス基板2991の一方面には、図22に示すように、4枚のプラスチックレンズ基板2992が一直線状に組み合わされて接着剤2994により接着される。レンズアレイ299を平面視した場合の形状は、長方形である。これに対し、プラスチックレンズ基板2992の形状は平行四辺形であり、4枚のプラスチックレンズ基板2992の間には、すき間部2995が形成されている。また、図21および図22に示すように、すき間部2995には、光吸収材2996が充填されていてもよく、光吸収材2996としては、発光素子2951から射出された光ビームを吸収する特性を有する材料を広く用いることができ、例えばカーボンの微粒子を含んだ樹脂等を用いることができる。なお、図22中の円内には、すき間部2995付近の拡大図が図示されている。
【0089】
レンズ2993は、レンズアレイ299の長手方向LGDに3つのレンズ行LSR1〜LSR3を形成するように配列されている。各行は、長手方向LGDに少しずれて配置され、レンズ列LSCはレンズアレイ299を平面視した場合の長方形の短辺に対し、斜めに配列されている。すき間部2995は、レンズ列LSCに沿ってレンズ列LSC間に形成されている。ここおで、レンズ列LSCは、長方形の短辺に対して斜めに配列された3個のレンズLSから構成された列である。
【0090】
各すき間部2995は、レンズ2993のレンズ有効範囲LEにかからないように形成されている。レンズの有効範囲LEとは、発光素子グループ295から射出された光が透過する領域である。すき間部2995をレンズの有効範囲LEにかからないように形成する方法としては、予めプラスチックレンズ基板のすき間部2995を形成する端面をレンズの有効範囲LEにかからないように成形する方法と、複数のプラスチックレンズ基板を一体で成形し、その後、レンズの有効範囲LEにかからないように切断する方法がある。
【0091】
また、他方面側にも4枚のプラスチックレンズ基板2992が上記4枚のレンズ基板2992に対応して接着剤2994により接着される。こうして、ガラス基板2991を挟むように一対一で配置された2枚のレンズ2993により両凸レンズが結像レンズとして構成されている。なお、プラスチックレンズ基板2992およびレンズ2993については、型を用いた樹脂の射出成形により一体で形成することができる。
【0092】
結像レンズを構成する2枚のレンズ2993は、相互に図中一点鎖線で示した光軸OAを共通にする。また、これら複数のレンズは、図6に示した複数の発光素子グループ295に一対一で配置されている。このラインヘッド29では、このように構成されたレンズアレイ299が一枚だけ設けられており、図21において光軸OA方向に並ぶ2枚のレンズ2993、2993により結像光学系が構成されている。そして、各発光素子グループ295毎に結像光学系が配置されるように、レンズアレイ299は構成されている。
【0093】
上記のようにすき間部2995を設けた場合、つまり複数のレンズ基板2992を組み合わせてレンズアレイ299を形成する場合には、レンズ基板2992を設計通りに組み合わせることは困難であり、すき間部2995を挟んで配置されたレンズLSにおいて相対的な位置ずれが発生することがある。そして、この位置ずれの結果、異なるレンズ基板2992に形成されるとともに、主走査方向MDにおいて隣り合うスポットグループSGを形成する2つの結像光学系(例えば、図22の結像光学系OS_1、OS_2)が、スポットグループSGを隙間を介して形成してしまう場合がある。そこで、結像光学系OS_1(第1の結像光学系)が形成するスポットグループSGと、結像光学系OS_2(第2の結像光学系)とが主走査方向MDに重複露光領域EX_olを形成するように構成し、さらに、重複露光領域EX_olでは、第1の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1でスポットSPを形成し、第2の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1と異なる第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成するように構成すると良い。これにより、良好な潜像形成の実現を図ることが可能となる。
【0094】
また、上記実施形態では、発光素子2951は円形であったが、発光素子の形状はこれに限られず、長方形であっても良いし、楕円形であってもよい。また、何れの形状においても、発光素子2951の位置は、平面視における発光素子2951の重心として求めることができる。
【0095】
また、発光素子グループ295における発光素子2951の個数、あるいは、発光素子行2951Rの個数等も適宜変更可能である。また、発光素子行2951Rを構成する発光素子2951の個数についても適宜変更可能である。
【0096】
また、発光素子グループ行295Rあるいはレンズ行LSRの個数も適宜変更可能である。
【0097】
また、上記実施形態では、発光素子2951としてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子2951として用いても良く、あるいは、LED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、結像光学系として、反転の光学特性を有するものを用いたが、結像光学系はこれに限られず、正転の光学特性を有するものを用いることができる。また、結像光学系の倍率に関しても、拡大・縮小のいずれの倍率を有する結像光学系も用いることができる。
【0099】
また、上記実施形態では、発光素子グループ295において、第1発光素子中心間距離Del_1と第2発光素子中心間距離Del_2とで発光素子2951を並べることで、スポットグループSGにおいて、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成していた。しかしながら、発光素子グループ295において発光素子中心間距離Delが一定であっても、結像光学系の光学特性を調整することで、スポットグループSGにおいて第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成することもできる。これについて次に説明する。
【0100】
図23は、さらに別の実施形態のレンズデータを示す図である。図24はさらに別の実施形態の光学諸元を示す図である。図25はさらに別の実施形態の光学系の主走査方向における断面図であり、図26はさらに別の実施形態の光学系の副走査方向における断面図であり、図25、図26はそれぞれの断面における光路を併せて示している。なお、これらの図では、X軸は主走査方向MDに相当し、Y軸は副走査方向SDに相当する。
【0101】
発光素子グループ295では、複数の発光素子2951が主走査方向MDに一定の発光素子中心間距離Del(=28μm)で並んでいる。一方、スポットグループSGでは、スポット中心間距離Dspは主走査方向MDにおける位置によって異なっている。つまり、図24、図25に示すように、X軸方向のマイナス側のスポットグループSG端部近傍の領域AR(-)では、スポット中心間距離Dspは44.2μmであり、スポットグループSGの光軸近傍の領域AR(0)では、スポット中心間距離Dspは41.4μmであり、X軸方向のプラス側のスポットグループSG端部近傍の領域AR(+)では、スポット中心間距離Dspは37.8μmである。このように、さらに別の実施形態でも、主走査方向MDの一方側端部でのスポット中心間距離と他方側端部でのスポット中心間距離とが互いに異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】ラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】図3に示したラインヘッドのA−A線部分断面図。
【図5】発光素子の構造を示す図。
【図6】ヘッド基板の裏面の構成を示す平面図。
【図7】レンズアレイの構成を示す平面図。
【図8】レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図。
【図9】発光素子グループおよび当該発光素子グループのスポット形成動作を示す図。
【図10】スポット中心の説明図。
【図11】各発光素子グループが同時発光して形成されるスポットグループを示す図。
【図12】ラインヘッドによる潜像形成動作を示す図。
【図13】スキューにより隙間が発生する様子を表す平面図。
【図14】本実施形態で形成される複数のスポットグループを示す平面図。
【図15】本実施形態における発光素子グループの構成を示す平面図。
【図16】発光素子グループにより形成されるスポットグループを示す平面図。
【図17】スポットグループの重複領域の近傍を拡大した平面図。
【図18】潜像形成動作で使用されるスポットを示す図。
【図19】潜像形成動作で使用されるスポットを示す図。
【図20】別の実施形態におけるレンズアレイの概略部分斜視図。
【図21】別の実施形態におけるレンズアレイの長手方向部分断面図。
【図22】別の実施形態におけるレンズアレイの平面図。
【図23】さらに別の実施形態のレンズデータを示す図。
【図24】さらに別の実施形態の光学諸元を示す図。
【図25】さらに別の実施形態の光学系の主走査方向における断面図。
【図26】さらに別の実施形態の光学系の副走査方向における断面図。
【符号の説明】
【0103】
21Y,21K…感光体ドラム(潜像担持体)、 29…ラインヘッド(露光ヘッド) 295…発光素子グループ、 2951…発光素子、 299…レンズアレイ、 MD…主走査方向、 SD…副走査方向、 LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 SP…スポット、 SG…スポットグループ、 VD…ビデオデータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子からの光を結像する露光ヘッドにより、潜像担持体を露光する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主走査方向に並ぶ複数のレンズが結像する光により、潜像担持体の表面(被露光面、像面)を露光するプリンタヘッド(露光ヘッド)が提案されている(特許文献1)。このプリンタヘッドでは、各レンズが主走査方向において互いに異なる領域を露光することができる。つまり、各レンズに対しては複数の発光素子からなる発光素子アレイが設けられている。各レンズはこれらの発光素子からの光を結像して、それぞれの露光領域に主走査方向に並ぶ複数のスポットを形成することができる。そして、形成すべき潜像に対応した位置にプリンタヘッドがスポットを形成することで、潜像担持体に潜像を形成することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−158705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、後述するように、異なる結像光学系(レンズ)の露光領域が主走査方向に重複するように露光ヘッドを構成することができる。そして、このような構成では、スポット間の主走査方向における距離が、良好な潜像を形成する上で重要な要素となる。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、異なる結像光学系の露光領域が重複する構成において、良好な潜像の形成を実現可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために潜像担持体と、発光して潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された発光素子からの光を結像して潜像担持体に集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドとを備え、第1の結像光学系により形成される集光部及び第2の結像光学系により形成される集光部は、第1方向に隣り合うとともに重なっており、当該重なり領域における第1の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1でビームスポットを形成し、第2の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2でビームスポットを形成することを特徴としている。
【0007】
この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、発光して潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された発光素子からの光を結像して潜像担持体にして集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドにより、潜像担持体に潜像を形成する工程を備え、第1の結像光学系により形成される集光部と第2の結像光学系により形成される集光部とは、第1方向に隣り合うとともに第1方向に重なってしており、当該重なり領域において第1の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1で集光部を構成するビームスポットを形成し、第2の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2で集光部を構成するビームスポットを形成することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明(画像形成装置、画像形成方法)では、結像光学系が集光部を潜像担持体に形成する。また、第1の結像光学系が形成する集光部と第2の結像光学系が形成する集光部とは、第1方向に隣り合うとともに重なっており、すなわち重複露光領域を形成している。そして、当該重なり領域(重複露光領域)における第1の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1でビームスポットを形成し、第2の結像光学系は第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2でビームスポットを形成する。つまり、本発明では、第1の結像光学系と第2の結像光学系とが異なるビームスポット中心間距離で、重複露光領域にビームスポットを形成する。こうして、良好な潜像形成の実現が図られている。
【0009】
また、画像信号に応じて発光素子を点灯して潜像担持体にビームスポットを形成するとともに、重複露光領域で潜像形成に用いる発光素子を選択する制御手段を備えるように構成しても良い。このように潜像形成に用いる発光素子を選択する制御手段を備えた構成は、第1の結像光学系で形成されたビームスポットと第2の結像光学系で形成されたビームスポットとの距離を調整することができ、良好な潜像を形成することができる。
【0010】
また、このような制御手段を備えた構成では、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.5×Dsp_2
あるいは、
0.5×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、異なる結像光学系で形成されたビームスポット同士の距離と第1ビームスポット中心間距離Dsp_1との差を、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1の1/2より小さく抑えることができ、より良好な潜像を形成することができる。
【0011】
さらには、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.25×Dsp_2
あるいは、
0.75×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、異なる結像光学系で形成されたビームスポット同士の距離と第1ビームスポット中心間距離Dsp_1との差を、第1ビームスポット中心間距離Dsp_1の1/4より小さく抑えることができ、さらに良好な潜像を形成することができる。
【0012】
なお、第1の結像光学系と第2の結像光学系とは第1方向に直交もしくは略直交する第2方向に配されても良い。なぜなら、後述するように、第2方向に結像光学系を配した構成に対しては、本発明を適用することが好適だからである。
【0013】
また、結像光学系は、異なる基板に形成された複数のレンズで構成されても良い。なぜなら、後述する理由により、かかる構成に対しては、本発明を適用することが好適だからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、まず、露光ヘッドとしてのラインヘッド、および該ラインヘッドを装備した画像形成装置の基本構成について説明する。そして、基本構成の説明に続いて、本発明の実施形態について説明することとする。
【0015】
基本構成
図1はラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0016】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0017】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラムは、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0018】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0019】
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は、長手方向に並べて配置された複数の発光素子を備えている。これらの発光素子は、ヘッドコントローラHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0020】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0021】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0022】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0023】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0024】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0025】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0026】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0027】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0028】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0029】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
【0030】
図3は、ラインヘッドの概略を示す斜視図である。また、図4は、図3に示したラインヘッドのA−A線部分断面図であり、レンズの光軸に平行な断面を示す。このA−A線は、後述する発光素子グループ列295Cやレンズ列LSCと平行もしくは略平行である。上述した通り、ラインヘッド29の長手方向LGDは主走査方向MDに平行もしくは略平行であり、ラインヘッド29の幅方向LTDは副走査方向SDに平行もしくは略平行であり、ラインヘッド29の長手方向LGDと幅方向LTDは互いに直交もしくは略直交している。ラインヘッド29が備える各発光素子は感光体ドラム21の表面に向けて光ビームを射出する。そこで、本明細書では、長手方向LGDおよび幅方向LTDに直交する方向であって、発光素子から感光体ドラム表面に向う方向を、光ビームの進行方向Doaとする。この光ビームの進行方向Doaは、光軸OA(図4)と平行もしくは略平行である。
【0031】
ラインヘッド29は、ケース291を備えるとともに、かかるケース291の長手方向LGDの両端には、位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そして更に、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
【0032】
ケース291の内部には、ヘッド基板293、遮光部材297、および2枚のレンズアレイ299(299A,299B)が配置されている。ヘッド基板293の表面293−hにはケース291の内部が当接する一方、ヘッド基板293の裏面293−tには裏蓋2913が当接している。この裏蓋2913は、固定器具2914によりヘッド基板293を介してケース291内部に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291内部側(図4における上側)に押圧する弾性力を有しており、かかる弾性力により裏蓋が押圧されることで、ケース291の内部が光密に(換言すれば、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉される。なお、固定器具2914は、ケース291の長手方向LGDに複数箇所設けられている。
【0033】
ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子をグループ化した発光素子グループ295が設けられている。ヘッド基板293はガラス等の光透過性部材で形成されており、発光素子グループ295の各発光素子が射出した光ビームは、ヘッド基板293の裏面293−tから表面293−hへと透過可能である。この発光素子はボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子であり、封止部材294により覆われている。
【0034】
図5は、発光素子の構造を示す図であり、発光素子の縦構造を示す部分断面図(図5の上段「断面図」)と、発光素子の平面構造を示す平面図(図5の下段「平面図」)とが併記されている。同図に示すように、ヘッド基板293の裏面には、配線層261が形成されている。図示は省略するが、配線層261は、導電層と絶縁層とが積層した構成を有している。導電層は、発光素子2951の光量を制御する能動素子(トランジスタ)や各種の信号を伝送する配線などを有する層である。絶縁層は、各導電層を電気的に絶縁するようにして積層されている。配線層の表面には、第1電極262が形成されている。この第1電極262は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性の導電材料によって形成され、発光素子2951の陽極として機能する。
【0035】
配線層261および第1電極262に対して積層するようにして、絶縁層263が形成されている。絶縁層263は絶縁性の膜体である。この絶縁層263には、光の進行方向Doaから見て第1電極262と重なる領域に開口部264が設けられている。この開口部264は、絶縁層263を厚さ方向に貫通する孔として、第1電極262毎に形成されている。第1電極262および絶縁層263は、有機EL材料からなる発光層265に覆われている。発光層265は、スピンコート法などの成膜技術によって、複数の発光素子2951にわたって連続して形成される。なお、発光層265は複数の発光素子2951に連続して形成されるものの、第1電極262は発光素子2951毎に独立して形成される。したがって、発光素子2951の光量は、第1電極262から供給される電流に応じて、発光素子2951毎に個別に制御される。もっとも、例えば液滴吐出法(インクジェット法)などの印刷技術によって、発光素子2951毎に発光層265を形成しても良い。
【0036】
発光層265に積層するようにして、第2電極267が形成されている。第2電極267は光反射性の導電膜であり、複数の発光素子2951にわたって連続して形成される。このように、発光層265は、第1電極262と第2電極267とで縦方向に挟まれており、第1電極262から第2電極267に流れる駆動電流に応じた強度で発光する。発光層265から第1電極262側へ射出される射出光と、第2電極267の表面で反射された反射光とは、図5の白抜の矢印で示すように、第1電極263とヘッド基板293とを透過して後述する結像光学系へと射出される。第1電極262と第2電極267との間であって絶縁層263が介在する領域には電流は流れないため、発光層265のうち絶縁層263と重なり合う部分は発光しない。すなわち、図5に示すように、第1電極262、発光層265および第2電極267から成る積層構造のうち、開口部264の内側に位置する部分が発光素子2951として機能する。したがって、光の進行方向Doaから平面視したときの発光素子2951の位置や形態(サイズ、形状)は開口部264の位置や形態に応じて決まる(同図の「平面図」の欄を参照)。よって、本明細書の図では、光の進行方向Doaから平面視した場合の発光素子2951は、開口部264で代表して表されている。また、本明細書では、必要に応じて発光素子2951の位置との表現を用いるが、発光素子2951の位置Teとは、平面視したときの発光素子2951(の開口部264)の幾何重心とする。また、発光素子2951の中心は、発光素子形状の幾何重心とする。
【0037】
このようにしてヘッド基板293に形成された各発光素子2951は、互いに等しい波長の光ビームを射出する。この発光素子2951はいわゆる完全拡散面光源であり、発光面から射出される光ビームはランバートの余弦則に従う。
【0038】
図6はヘッド基板の裏面の構成を示す平面図であり、ヘッド基板の表面側から裏面を見た場合に相当する。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これは発光素子グループ295とレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、ヘッド基板裏面293−tにレンズLSが形成されていることを示すものではない。同図に示すように、15個の発光素子2951をグループ化して1つの発光素子グループ295が構成されており、ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子グループ295が配置されている。同図に示すように、ヘッド基板293において、複数の発光素子グループ295は2次元的に配置されている。詳細は次の通りである。
【0039】
幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個の発光素子グループ295を配置して発光素子グループ列295Cが構成されている。発光素子グループ列295Cを構成する3個の発光素子グループ295は、長手方向LGDに発光素子グループ間距離Degをおいて並んでいる。さらに、複数の発光素子グループ列295Cが、長手方向LGDに発光素子グループ列間距離(=Deg×3)をおいて並んでいる。こうして、ヘッド基板293の各発光素子グループ295は長手方向LGDに発光素子グループ間距離Degをおいて並んでおり、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは互いに異なっている。
【0040】
別の見方をすると、発光素子グループ295は次のように配置されているとも言える。つまり、ヘッド基板293の裏面293−tでは、長手方向LGDに複数の発光素子グループ295を並べて発光素子グループ行295Rが構成されるとともに、3個の発光素子グループ行295Rが幅方向LTDの互いに異なる位置に設けられている。これら3個の発光素子グループ行295Rは幅方向LTDに発光素子グループ行間距離Degrをおいて並んでいる。しかも、各発光素子グループ行295Rは、発光素子グループ間距離Degに相当する長さだけ、長手方向LGDに相互にずれている。したがって、ヘッド基板293の各発光素子グループ295は長手方向LGDに発光素子グループ間距離Degをおいて並ぶこととなり、各発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは互いに異なっている。
【0041】
ここで、発光素子グループ295の位置は、光の進行方向Doaから見た場合における発光素子グループ295の重心として求めることができる。発光素子グループ295の重心は、光の進行方向Doaから発光素子グループ295を構成する複数の発光素子2951を見た場合における、当該複数の発光素子2951の重心として求めることができる。また、長手方向LGDにおける位置Tegが隣り合う2つの発光素子グループ295(例えば、発光素子グループ295_1、295_2)の長手方向LGDにおける各位置Tegの間隔として、発光素子グループ間距離Degは求めることができる。なお、図6において、発光素子グループ295の長手方向LGDにおける位置Tegは、発光素子グループ295の位置から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0042】
図3、図4に戻って説明を続ける。ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が当接配置されている。遮光部材297には、複数の発光素子グループ295毎に導光孔2971が設けられている(換言すれば、複数の発光素子グループ295に対して一対一で複数の導光孔2971が設けられている)。各導光孔2971は、光ビームの進行方向Doaに貫通する孔として、遮光部材297に形成されている。また、遮光部材297の上側(ヘッド基板293の反対側)には、2枚のレンズアレイ299が光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。
【0043】
このように、光ビームの進行方向Doaにおいて、発光素子グループ295とレンズアレイ299との間には、発光素子グループ295毎に導光孔2971を設けた遮光部材297が配置されている。したがって、発光素子グループ295から出た光ビームは、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971を通過してレンズアレイ299へと向う。逆に言うと、発光素子グループ295から射出された光ビームのうち、該発光素子グループ295に対応する導光孔2971以外に向う光ビームは、遮光部材297により遮光されることとなる。こうして、導光孔2971以外に向う迷光のレンズアレイ299への入射が、遮光部材297により抑制される。
【0044】
図7は、レンズアレイの構成を示す平面図であり、像面側(光ビームの進行方向Doa側)からレンズアレイを見た場合に相当する。なお、同図における各レンズLSはレンズアレイ基板2991の裏面2991−tに形成されており、同図はこのレンズアレイ基板裏面2991−tの構成を示している。図6等にも示したとおり、レンズアレイ299では、発光素子グループ295毎にレンズLSが設けられている。つまり、各レンズアレイ299において、複数のレンズLSは2次元的に配置されている。詳細は次の通りである。
【0045】
幅方向LTDにおいて互いに異なる位置に3個のレンズLSを配置してレンズ列LSCが構成されている。レンズ列LSCを構成する3個のレンズLSは、長手方向LGDにレンズ間距離Dlsをおいて並んでいる。さらに、複数のレンズ列LSCが長手方向LGDにレンズ列間距離(=Pls×3)をおいて並んでいる。こうして、レンズアレイ299の各レンズLSは長手方向LGDにレンズ間距離Plsをおいて並んでおり、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは互いに異なっている。
【0046】
別の見方をすると、レンズLSは次のように配置されているとも言える。つまり、長手方向LGDに複数のレンズLSを並べてレンズ行LSRが構成されるとともに、3個のレンズ行LSRが幅方向LTDの互いに異なる位置に設けられている。これら3個のレンズ行LSRは幅方向LTDにレンズ行間距離Dlsrで並んでいる。しかも、各レンズ行LSRはレンズ間距離Plsに相当する長さだけ、長手方向LGDに相互にずれている。したがって、レンズアレイ299の各レンズLSは長手方向LGDにレンズ間距離Plsをおいて並ぶこととなり、各レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは互いに異なっている。
【0047】
なお、同図においては、レンズLSの位置は、レンズLSの頂点(つまり、サグが最大となる点)で代表されており、レンズLSの長手方向LGDにおける位置Tlsは、レンズLSの頂点から長手方向軸LGDに下ろした垂線の足で表されている。
【0048】
図8は、レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図であり、レンズアレイに形成されたレンズLSの光軸を含む長手方向断面を示している。レンズアレイ299は長手方向LGDに長尺であって光透過性のレンズアレイ基板2991を有している。このレンズアレイ基板2991は、線膨張係数の比較的小さいガラスにより形成されている。レンズアレイ基板2991の表面2991−hおよび裏面2991−tのうち、レンズアレイ基板2991の裏面2991−tにレンズLSが形成されている。レンズLSは例えば光硬化性樹脂により形成することができる。
【0049】
このラインヘッド29では、光学設計の自由度向上を図るべく、このような構成を有するレンズアレイ299が2枚(299A,299B)光ビームの進行方向Doaに並べて配置されている。これら2枚のレンズアレイ299A,299Bは台座296を挟んで対向しており(図3、図4)、この台座296はレンズアレイ299A,299Bの間隔を規定する機能を果たしている。こうして、光ビームの進行方向Doaに並ぶ2枚のレンズLS1,LS2が各発光素子グループ295毎に配置されることとなる(図3、図4、図8)。ここで、光ビームの進行方向Doaの上流側のレンズアレイ299AのレンズLSが第1レンズLS1であり、光ビームの進行方向Doaの下流側のレンズアレイ299BのレンズLSが第2レンズLS2である。
【0050】
発光素子グループ295から射出された光ビームLBは、当該発光素子グループ295に対向配置された2枚のレンズLS1、LS2により結像されて、感光体ドラム表面(潜像形成面)にスポットSPが形成される。つまり、2枚のレンズLS1、LS2により結像光学系が構成されており、各発光素子グループ295毎にこの結像光学系が対向配置されている。結像光学系の光軸OAは光の進行方向Doaと平行であり、発光素子グループ295の重心位置を通る。この結像光学系はいわゆる反転光学系であり、結像光学系は倒立像を結像する。
【0051】
図9は、発光素子グループの構成、および当該発光素子グループによるスポット形成動作を示す平面図である。まず、同図の「発光素子グループ」の欄を参照しつつ、発光素子グループの構成について説明する。なお、同欄において、第1直線AL_mdは、光軸OAを通り主走査方向MDに平行な直線であり、第2直線AL_sdは、光軸OAを通り副走査方向SDに平行な直線である。これら第1直線AL_mdおよび第2直線AL_sdは、発光素子2951が形成されたヘッド基板裏面293−t上の仮想線である。
【0052】
発光素子グループ295では、15個の発光素子2951が長手方向LGDに2列千鳥で配置されており、各発光素子2951は長手方向LGDにおいて互いに異なる位置にある。これらの発光素子2951は、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delをおいて並んでいる。ここで、発光素子中心間距離Delは、主方向位置Tel(長手方向LGDあるいは主走査方向MDにおける位置)が隣り合う2つの発光素子2951(例えば、発光素子EL_1、EL_2)間の長手方向LGD(主走査方向MD)における距離(例えば、主方向位置Te1_1、Te1_2間距離)である。また、同図において、主方向位置Te1は、発光素子2951の位置Teから長手方向軸LGD(主走査方向軸MD)に下ろした垂線の足で表されている。なお、以後の説明のため、発光素子EL_1、EL_2のように、主方向位置Te1が隣り合う関係にある2つの発光素子2951を「隣接発光素子対」と称することとする。
【0053】
この発光素子グループ295は、発光素子行2951Rを構成するように配置されている。この発光素子行2951Rは、長手方向LGDの互いに異なる位置に配置された2個以上の発光素子2951により構成されている。詳述すると、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delの2倍の距離をおいて8個の発光素子2951を並べて発光素子行2951R_1が構成されるとともに、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delの2倍の距離をおいて7個の発光素子2951を並べて発光素子行2951R_2が構成されている。これら発光素子行2951R_1、2951R_2は、幅方向LTDに発光素子行間距離Delrをおいて並んでおり、幅方向LTDの互いに異なる位置にある。しかも、各発光素子行2951R_1、2951R_2は、発光素子中心間距離Delに相当する長さだけ長手方向LGDに互いにずらして配置されている。
【0054】
各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は直線的に並んでいる。換言すれば、各発光素子行2951Rでは、複数の発光素子2951は、幅方向LTDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、発光素子行2951R_1を用いて例示するように、幅方向LTDにおける発光素子2951と第1直線AL_mdとの距離ΔEL(副方向素子光軸間距離ΔEL)は、各発光素子2951の間で等しい。同欄では、このような発光素子2951の配列態様を示すために、配列線LN(仮想線)が併記されている。なお、副方向素子光軸間距離ΔELは、発光素子2951の位置Teと第1直線AL_mdとの幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
【0055】
このように構成された発光素子グループ295は、発光素子グループ幅Weg=(15−1)×Delを有することとなる。ここで、発光素子グループ幅Wegは、長手方向LGDにおいて発光素子グループ295の両端にある発光素子2951の各位置Teの間の距離である。発光素子グループ295は、第2直線AL_sdに対して対称となっている。
【0056】
次に、図9の「スポットグループ」の欄を参照しつつ、発光素子グループによるスポット形成動作について説明する。同欄において、第1投影直線PJ(AL_md)は、第1直線AL_mdを光の進行方向Doaから感光体ドラム表面に投影した仮想直線であり、第2投影直線PJ(AL_sd)は、第2直線AL_sdを光の進行方向Doaから感光体ドラム表面に投影した仮想直線である。
【0057】
発光素子行2951R_1の各発光素子2951が発光した光は、結像光学系により反転結像されて、スポット行SPR_1が形成される。このスポット行SPR_1は、主走査方向MDに8個のスポットSPをスポット中心間距離Dspの2倍の距離をおいて並べたものである。また、発光素子行2951R_2の各発光素子2951が発光した光は、結像光学系により反転結像されて、スポット行SPR_2が形成される。このスポット行SPR_2は、主走査方向MDに7個のスポットSPをスポット中心間距離Dspの2倍のピッチで並べたものである。このように、各発光素子行2951Rは、複数の発光素子2951を同時に発光させて、主走査方向MDに複数のスポットSPが並ぶスポット行SPRを形成可能である。各スポット行SPRでは、複数のスポットSPは、副走査方向SDにおいて互いに同じ位置に配置されている。したがって、スポット行SPR_1を用いて例示するように、副走査方向SDにおけるスポットSPと第1投影直線PJ(AL_md)との距離ΔSP(副方向スポット光軸間距離ΔSP)は、各スポットSPの間で等しい。なお、副方向スポット光軸間距離ΔSPは、スポットSPの重心と第1投影直線PJ(AL_md)との副走査方向SDにおける距離として求めることができる。
【0058】
そして、これらスポット行SPR_1、SPR_2は副走査方向SDの互いに異なる位置に並べて形成されている。しかも、各スポット行SPR_1、SPR_2は、スポット中心間距離Dspに相当する長さだけ長手方向LGDに互いにずらして形成されている。こうして、15個のスポットSPが2次元的に配置されたスポットグループSGが形成される。そして、同欄に示すように、スポットグループSGにおいて、これら15個のスポットSPは主走査方向MDにスポット中心間距離Dspをおいて並んでおり、各スポットSPは主走査方向MDの互いに異なる位置にある。ここで、スポット中心間距離Dspは、主方向位置Ts1(主走査方向MDにおける位置)が隣り合う2つのスポット(例えば、スポットSP_1、SP_2)間の主走査方向MDにおける距離(例えば、主方向位置Ts1_1、Ts1_2間距離)である。また、同図において、主方向位置Ts1は、スポットSPの中心から主走査方向軸MDに下ろした垂線の足で表されている。さらに、スポットSPの中心は次の通りである。
【0059】
図10はスポット中心の説明図である。同図上段の欄は光の進行方向Doaから見た場合のスポットのビームプロファイルを示している。同欄では、ビームプロファイルが等強度線で示されている。また、同図下段の欄は光の進行方向Doaを含む断面におけるビームプロファイルを示す。ビームプロファイルのピーク強度Imaxに対して半分の強度0.5Imax以上の強度を有する領域(上段の欄のハッチングが施されている領域)がスポットSPに相当する。そして、こうして定義されるスポットSPの幾何重心が、スポットSPの中心である。
【0060】
ところで、図6に示したとおり、複数の発光素子グループ295が離散的かつ2次元的に配置されている。したがって、各発光素子グループ295が同時発光すると、感光体ドラム21表面には、複数のスポットグループSGが離散的かつ2次元的に形成される(図11)。ここで、図11は、各発光素子グループが同時発光した場合に感光体ドラム表面に形成されるスポットグループを示す平面図である。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これはスポットグループSGとレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、感光体ドラム表面にレンズLSが形成されていることを示すものではない。また、スポットグループSG_1、SG_2、SG_3はそれぞれ発光素子グループ295_1、295_2、295_3により形成されるスポットグループである。
【0061】
スポットグループSGの形成位置の詳細は次の通りである。つまり、複数のスポットグループSG_1、SG_2、SG_3、…がこの順番で、主走査方向MDにスポットグループ間距離Dsgをおいて並んでいる。また、隣り合う3個のスポットグループSG_1、SG_2、SG_3は副走査方向SDの異なる位置にある。
【0062】
なお、スポットグループSGの主走査方向MDの両端に位置するスポットSP_r、SP_lの中心間距離をスポットグループSGの幅Wsgとする。スポットグループ幅Wsgを2分するとともに主走査方向MDに垂直な直線と主走査方向軸MDとの交点(換言すれば、スポットグループ幅Wsgを2分する点を主走査方向軸MDに正投影した点)の位置を、スポットグループSGの主走査方向位置Tsgとする。また、主走査方向位置Tsgが隣り合う関係にある2個のスポットグループSGを、「主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSG」と表現する。また、スポットグループ間距離Dsgは、主走査方向MDに隣り合うスポットグループSGそれぞれの主走査方向方向位置Tsgの間の距離として与えられる。
【0063】
図11に示したとおり、複数の発光素子グループ295を同時点灯させた場合は、複数のスポットグループSGが離散的かつ2次元的に形成される。そこで、このようなラインヘッド29を用いて主走査方向MDに延びるライン潜像を形成する場合は、各発光素子グループ295の発光タイミングが次のように制御される。図12は、ラインヘッドによる潜像形成動作を示す図である。以下に、図6、図9、図12を参照しつつラインヘッドによる潜像形成動作を説明する。概略としては、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じたタイミングで、ヘッド制御モジュール54が各発光素子2951を発光させて、複数のスポットSPを主走査方向MDに並べて形成する。詳細は以下の通りである。
【0064】
まず最初に、副走査方向SDに最上流の発光素子グループ行295R_Aに属する発光素子グループ295_1の発光素子行2951R_2が発光すると、スポット行SPRが形成される。こうして、各スポットSPが形成された領域が露光されて、図12の「1回目」のハッチングパターンで示す7個のスポット潜像が形成される。なお、図12において、白抜きの丸印は未だ形成されておらず今後形成される予定のスポット潜像を表す。また、同図において、符号295_1,295_2,295_3でラベルされたスポットは、それぞれに付された符号に対応する発光素子グループ295により形成されるスポット潜像であることを示す。
【0065】
発光素子行2951R_2に続いて発光素子行2951R_1が発光して、図12の「2回目」のハッチングパターンで示す8個のスポット潜像が形成される。このように、長手方向LGDに発光素子中心間距離Delで配置された2つの発光素子2951は、主走査方向MDに並んで隣接する2つのスポット潜像(例えば、スポット潜像Lsp1、Lsp2)を形成することができる。ここで、副走査方向SDの下流側の発光素子行2951Rから順番に発光したのは、結像光学系が倒立特性を有することに対応するためである。
【0066】
次に、副走査方向SDにおいて発光素子グループ行295R_Aの下流側の発光素子グループ行295R_Bに属する発光素子グループ295_2が、上述の発光素子グループ行295R_Aと同様の発光動作を行なって、図12の「3回目」〜「4回目」のハッチングパターンで示すスポット潜像が形成される。また、副走査方向SDにおいて発光素子グループ行295R_Bの下流側の発光素子グループ行295R_Cに属する発光素子グループ295(295_3等)が、上述の発光素子グループ行295R_Aと同様の発光動作を行なって、図12の「5回目」〜「6回目」のハッチングパターンで示すスポット潜像が形成される。このように、1〜6回目までの発光動作が実行されることで、主走査方向MDに複数のスポット潜像が並んで、ライン潜像が形成される。
【0067】
実施形態
ところで、感光体ドラム21に対してラインヘッド29がスキューすること等により、主走査方向MDに隣り合うするスポットグループSG間距離が変動する場合がある。図13は、スキューにより隙間が発生する様子を表す平面図であり、各発光素子グループ295が同時発光することで形成される複数のスポットグループSGを表している。同図に示すように、ラインヘッド29の長手方向LGDが感光体ドラム21の回転軸に対して角度θだけスキューしている。このスキューにより、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSG_3、SG_1とのスポットグループ間距離が距離Dsgから変動幅ΔDsg_31だけ短くなっている。その結果、スポットグループSG_3、SG_1とが、幅ΔDsg_31だけ重複している。一方、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSG_1、SG_2とのスポットグループ間距離は、距離Dsgから変動幅ΔDsg_12だけ長くなっている。その結果、スポットグループSG_1、SG_2との間に、幅ΔDsg_12の隙間が発生している。しかしながら、このような隙間部分にはスポットSPを形成することができないため、潜像を形成できない範囲が発生してしまう。そこで、本実施形態では、予め(つまり、スキューが無い状態において)、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSGを重複して形成することができるように、ラインヘッド29が構成されている。
【0068】
図14は、本実施形態で形成される複数のスポットグループを示す平面図である。なお、同図では、レンズLSが二点差線で示されているが、これはスポットグループSGとレンズLSとの対応関係を示すためのものであり、感光体ドラム表面にレンズLSが形成されていることを示すものではない。同図が示すように、幅方向LTDの異なる位置のレンズLSは、副走査方向SDの互いに異なる位置にスポットグループSGを形成する。主走査方向MDに隣り合う2つのスポットグループSGは、主走査方向MDにおいて互いに重複しており、その重複幅は幅Wolである。そして、本実施形態では、スポットグループSGが重複する領域に形成されるスポットSPのスポット中心間距離Dsgを、2つのスポットグループSGの間で異ならせている。具体的には、スポットグループSGを形成する発光素子グループ295を次に説明するように構成している。
【0069】
図15は、本実施形態における発光素子グループの構成を示す平面図である。なお、図13、図14と同様にレンズLSは、レンズLSと発光素子グループ295との関係を示すために記載されているものである。図15に示すように、発光素子グループ295では、14個の発行素子2951を長手方向LGDに並べて発光素子行2951Rが構成されるとともに、4個の発光素子行2951R_1〜2951R_4が幅方向LTDの互いに異なる位置に配置されている。各発光素子行2951R_1〜2951R_4は、長手方向LGDに相互にずれており、その結果、4×14個の発光素子2951が長手方向LGDにおいて互いに異なる位置にある。
【0070】
また、これらの発光素子2951には、長手方向LGDに第1発光素子中心間距離Delをおいて並ぶ第1発光素子EL_1(同図の白丸印)と、長手方向LGDに第2発光素子中心間距離Del_2をおいて並ぶ第2発光素子EL_2(同図のハッチングが施された丸印)とがある。つまり、発光素子グループ295の長手方向LGDの一方側の端部に、4個の第2発光素子EL_2がある。また、これら4個の第2発光素子EL_2以外の発光素子2951は、いずれも第1発光素子EL_1である。そして、第1発光素子中心間距離Del_1と第2発光素子中心間距離Del_2とは、次式
Del_2=Del_1×7/6
を満たしている。なお、後述するように、Dsp_1は第1スポット中心間距離であり、Dsp_2は第2スポット中心間距離であり、βは結像光学系の光学倍率の絶対値である。そして、これらは次式
Del_1=Dsp_1/β
Del_2=Dsp_2/β
を満たす。
【0071】
図16は、発光素子グループにより形成されるスポットグループを示す平面図である。なお、図13、図14と同様にレンズLSは、レンズLSとスポットグループSGとの関係を示すために記載されているものである。図16に示すように、発光素子グループ295から射出された光ビームが結像光学系により反転結像されて、スポットグループSGが形成される。具体的には、各発光素子行2951Rが主走査方向MDに直線状に並ぶ14個のスポットSPを形成するため、合計4×14個のスポットSPが主走査方向MDにおいて互いに異なる位置に形成される。なお、図16では、第1発光素子EL_1で形成されたスポットは第1スポットSP_1として白丸印で表されており、第2発光素子EL_2で形成されたスポットは第2スポットSP_2としてハッチングが施された丸印で表されている。同図に示すように、スポットグループSGの主走査方向MDの他方側の端部に、4個の第2スポットSP_2が形成されている。また、これら4個の第2スポットSP_2以外の発光素子2951はいずれも第1スポットSP_1である。第1スポットSP_1は、主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1をおいて並んでいる。一方、4個の第2スポットSP_2は、主走査方向MDに第2スポット中心間距離Dsp_2をおいて並んでいる。そして、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とは、次式
Dsp_2=Dsp_1×7/6
を満たしている。
【0072】
そして、上述の通り、主走査方向MDに隣り合う2個のスポットグループSGが重複して形成される。図17は、スポットグループの重複領域の近傍を拡大した平面図である。スポットグループSGの主走査方向MDの一方側端部には第1スポットSP_1がある。また、スポットグループSGの主走査方向MDの他方側端部には第2スポットSP_2がある。そして、スポットグループSG_1の一方側端部と、スポットグループSG_2の他方側端部とが、主走査方向MDにおいて(換言すれば、主走査方向MDに直交する方向から見て)互いに重複している。このように主走査方向MDに隣り合うスポットグループSGが互いに重複して、重複露光領域EX_olを形成している。ここで、重複露光領域EX_olは次のように定義できる。つまり、スポットグループSGの走査方向MDの一方側の最端にあるスポットSPを通って主走査方向MDに直交する仮想直線L1とし、スポットグループSGの走査方向MDの他方側の最端にあるスポットSPを通って主走査方向MDに直交する仮想直線L2としたとき、仮想直線L1と仮想直線L2とで挟まれる範囲が、重複露光領域EX_olである。また、この重複露光領域EX_olの範囲内に中心があるスポットSPを、重複スポットSP_olと称することとする。さらに、この重複スポットSP_olを形成する発光素子2951を重複発光素子と称することとする。
【0073】
そして、本実施形態では、重複露光領域EX_olの幅Wolに応じて(換言すれば、スポットグループSGの重複の程度に応じて)、潜像形成に実際に用いる重複発光素子を選択する。つまり、選択された重複発光素子に対応する重複スポットSP_olのみが潜像形成に使用され、選択されなかった重複発光素子に対応する重複スポットSP_olは潜像形成に使用されない。かかる潜像形成動作は、ヘッドコントローラHCがラインヘッド29を制御することで実行することができる。次に潜像形成動作について次に説明する。
【0074】
図18および図19は潜像形成動作で使用されるスポットを示す図であり、重複露光領域EX_olの幅Wol毎に使用するスポットのパターンを示している。これらの図では、潜像形成で使用されるスポットは白丸印で表され、潜像形成で使用されないスポットはハッチングが施された丸印で表されている。なお、図17等で示したとおり、スポットグループSGを構成する複数のスポットSPは2次元的に並んでいる。しかしながら、図18および図19では、潜像形成動作の理解を容易とするために、各スポットグループにおける複数のスポットは主走査方向MDに直線的に並んで表記されている。また、第2スポットSP_2は第1スポットSP_1より太い線の丸印で表されている。
【0075】
これらの図の左側の欄から順に説明する。最左端の欄は、重複露光領域EX_olの幅Wol毎に使用するスポットのパターンに対して1から順番に付したナンバを示している。「ΔDsg」の欄は、スキューが無い状態でのスポットグループ間距離Dsgと、スキューが発生した状態でのスポットグループ間距離Dsgとの差(グループ間距離ずれΔDsg)を表している。なお、スポットグループ間距離が短くなる方にずれた場合は、グループ間距離ずれDsgは負の値をとり、スポットグループ間距離が長くなる方にずれた場合は、グループ間距離ずれDsgは正の値をとる。「ΔDsp」の欄は、境界スポット対を構成する2つのスポットSP間のスポット中心間距離(境界スポット中心間距離Dnx)が第1スポット中心間距離Dsp_1に対してどの程度ずれているかを表す、境界スポット中心間距離ずれΔDspを示している。この境界スポット中心間距離ずれΔDspは、次式
ΔDsg=Dnx−Dsp_1
で与えられる。ここで、境界スポット対とは、互いに異なるスポットグループSGに属するスポットであって、実際の潜像形成動作で主走査方向MDに隣接して形成される2つのスポットSPからなる対である。つまり、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、異なるスポットグループSGにより主走査方向MDに隣接して形成される2個のスポットSPの間の距離であり、良好な潜像を形成するためには境界スポット中心間距離ずれΔDspが小さいことが好適である。また、「内容」の欄は、使用されるスポットのパターンを示している。なお、「パターン内容」の欄において、最も細かい目盛りは、第1スポット中心間距離Dsp_1の1/4倍(同欄の「Dsp_1×1/4」の表記を参照)に相当する。
【0076】
これらの図では、グループ間距離ずれΔDsgが−4/12×Dsp_1〜12/12×Dsp_1まで発生した場合における、各パターン1〜17が示されている。パターン1では、グループ間距離ずれΔDsg=−4/12×Psp_1に対して、第1スポットグループSG_1の一方側から5個の第1スポットSP_1が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDsp=0/12×Psp_1(=0)となっている。パターン2では、グループ間距離ずれΔDsg=−3/12×Psp_1に対して、第2スポットグループSG_2の他方側から4個の第2スポットSP_2が形成されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDsp=−3/12×Psp_1となっている。パターン3〜6では、パターン2と同様に、第2スポットグループSG_2の他方側から4個の第2スポットSP_2が形成されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、−2/12×Psp_1〜1/12×Psp_1となっている。パターン7、8では、スポットグループSG_1の一方側の端にある第1スポットSP_1が使用されないとともに、スポットグループSG_2の他方側から3個の第2スポットSP_2が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、パターン7で0/12×Psp_1(=0)となるとともに、パターン8で1/12×Psp_1となっている。パターン9、10では、スポットグループSG_1の一方側から2個の第1スポットSP_1が使用されないとともに、スポットグループSG_2の他方側から2個の第2スポットSP_2が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、パターン9で0/12×Psp_1(=0)となるとともに、パターン10で1/12×Psp_1となっている。パターン16、17では、スポットグループSG_1の他方側から4個の第1スポットSP_1が使用されない。その結果、境界スポット中心間距離ずれΔDspは、パターン16で3/12×Psp_1となるとともに、パターン17で−2/12×Psp_1となっている。このように、潜像形成に使用するスポットSPを制御することで、境界スポット対を構成する2個のスポットSPのスポット中心間距離Dnxを調整することができる。よって、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/4×Dsp_1より小さく抑えることができ、良好な潜像の形成が可能となっている。
【0077】
以上のように、本実施形態では、結像光学系がスポットグループSGを感光体ドラム21表面に形成する。また、第1の結像光学系が形成するスポットグループSGとスポットグループSG1)と第2の結像光学系が形成するスポットグループSGとは(例えば、スポットグループSG1とスポットグループSG2とは)、主走査方向MDに隣り合うとともに主走査方向MDに直交する方向から見て重複しており、すなわち重複露光領域EX_olを形成している。そして、重複露光領域EX_olでは、第1の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1でスポットSPを形成し、第2の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1と異なる第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成する。つまり、本実施形態では、第1の結像光学系と第2の結像光学系とが異なるスポット中心間距離で、重複露光領域にスポットSPを形成する。こうして、良好な潜像形成の実現が図られている。
【0078】
さらに本実施形態では、ヘッドコントローラHCが、重複露光領域EX_olの重複程度に応じて、潜像形成に用いる発光素子を選択している。その結果、図18、図19に示したように、境界スポット対を構成する2個のスポットSPのスポット中心間距離Dnxを調整して、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/4×Dsp_1より小さく抑えることができ、良好な潜像の形成が可能となっている。
【0079】
なお、本発明は、本実施形態のように、結像光学系幅方向LTDの異なる位置に配した構成に対しては特に好適である。つまり、図13に示したように、この構成では、スキューに起因して、主走査方向MDにおけるスポットグループ間距離Dsgが変動してしまう場合がある。そして、このような場合には、重複露光領域を設けて本発明を適用して、良好な潜像形成を実行可能とすることが好適である。
【0080】
このように、本実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当している。長手方向LGDおよび主走査方向MDが本発明の「第1方向」に相当し、幅方向LTDおよび副走査方向SDが本発明の「第2方向」に相当する。また、レンズLS1、LS2が本発明の「結像光学系」として機能している。また、スポットSPが本発明の「ビームスポット」に相当し、スポットグループSGが本発明の「集光部」に相当し、第1スポット中心間距離Dsp_1が本発明の「第1ビームスポット中心間距離Dsp_1」に相当し、第2スポット中心間距離Dsp_1が本発明の「第2ビームスポット中心間距離Dsp_2」に相当している。また、ビデオデータVDが本発明の「画像信号」に相当している。
【0081】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とは、次式
Dsp_2=Dsp_1×7/6
を満たす関係にある。しかしながら、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2がかかる関係を満たすことは本発明に必須ではなく、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2が異なっていればよい。
【0082】
このとき、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とが次の不等式
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.5×Dsp_2
あるいは、次の不等式
0.5×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの不等式を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/2×Dsp_1より小さく抑制することができる。
【0083】
あるいは、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2とが次の不等式
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.25×Dsp_2
あるいは、次の不等式
0.75×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの不等式を満たすように構成しても良い。このように構成した場合、境界スポット中心間距離ずれΔDspの絶対値を1/4×Dsp_1より小さく抑えることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、重複露光領域EX_ol以外のスポットSPは第1スポット中心間距離Dsp_1で並んでいる。しかしながら、重複露光領域EX_ol以外のスポットSPが第1スポット中心間距離Dsp_1で並ぶことは必須ではなく、第1スポット中心間距離Dsp_1と異なるスポット中心間距離Dspで並んでいても良い。
【0085】
また、上記実施形態では、重複露光領域EX_olにある第2スポットグループSGのスポットSPは、いずれも第2スポット中心間距離Dsp_2で並ぶ第2スポットSP_2であった。しかしながら、重複露光領域EX_olにある第2スポットグループSGのスポットSPのうち、一部のスポットSPのみが第2スポットSP_2である一方、他のスポットSPは第1スポットSP_2であっても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、隣り合うスポットグループSG間の隙間が発生する原因として、スキューを取り上げた。しかしながら、かかる隙間の発生原因はスキューには限られない。例えば、図8に示したように、異なるレンズアレイ基板2991に形成された2枚以上のレンズLSで結像光学系を構成した場合、これらのレンズLSの位置関係がずれることによっても、隙間が発生する場合がある。したがって、かかる構成に対しては本発明を適用することが好適である。また、次に説明する実施形態のようにレンズアレイを構成した場合にも、さらに別の理由により隙間が発生する場合がある。これについて説明する。
【0087】
図20は別の実施形態におけるレンズアレイの概略部分斜視図である。図21は別の実施形態におけるレンズアレイの長手方向部分断面図である。また、図22は別の実施形態におけるレンズアレイの平面図である。図20および図21において、レンズアレイ299は、透明基板としてのガラス基板2991と複数(この実施形態では8枚)のプラスチックレンズ基板2992を備えている。これらの図は部分図なので、すべての部品を現しているわけではない。
【0088】
図20および図21において、プラスチックレンズ基板2992はガラス基板2991の両面に設けられている。すなわち、ガラス基板2991の一方面には、図22に示すように、4枚のプラスチックレンズ基板2992が一直線状に組み合わされて接着剤2994により接着される。レンズアレイ299を平面視した場合の形状は、長方形である。これに対し、プラスチックレンズ基板2992の形状は平行四辺形であり、4枚のプラスチックレンズ基板2992の間には、すき間部2995が形成されている。また、図21および図22に示すように、すき間部2995には、光吸収材2996が充填されていてもよく、光吸収材2996としては、発光素子2951から射出された光ビームを吸収する特性を有する材料を広く用いることができ、例えばカーボンの微粒子を含んだ樹脂等を用いることができる。なお、図22中の円内には、すき間部2995付近の拡大図が図示されている。
【0089】
レンズ2993は、レンズアレイ299の長手方向LGDに3つのレンズ行LSR1〜LSR3を形成するように配列されている。各行は、長手方向LGDに少しずれて配置され、レンズ列LSCはレンズアレイ299を平面視した場合の長方形の短辺に対し、斜めに配列されている。すき間部2995は、レンズ列LSCに沿ってレンズ列LSC間に形成されている。ここおで、レンズ列LSCは、長方形の短辺に対して斜めに配列された3個のレンズLSから構成された列である。
【0090】
各すき間部2995は、レンズ2993のレンズ有効範囲LEにかからないように形成されている。レンズの有効範囲LEとは、発光素子グループ295から射出された光が透過する領域である。すき間部2995をレンズの有効範囲LEにかからないように形成する方法としては、予めプラスチックレンズ基板のすき間部2995を形成する端面をレンズの有効範囲LEにかからないように成形する方法と、複数のプラスチックレンズ基板を一体で成形し、その後、レンズの有効範囲LEにかからないように切断する方法がある。
【0091】
また、他方面側にも4枚のプラスチックレンズ基板2992が上記4枚のレンズ基板2992に対応して接着剤2994により接着される。こうして、ガラス基板2991を挟むように一対一で配置された2枚のレンズ2993により両凸レンズが結像レンズとして構成されている。なお、プラスチックレンズ基板2992およびレンズ2993については、型を用いた樹脂の射出成形により一体で形成することができる。
【0092】
結像レンズを構成する2枚のレンズ2993は、相互に図中一点鎖線で示した光軸OAを共通にする。また、これら複数のレンズは、図6に示した複数の発光素子グループ295に一対一で配置されている。このラインヘッド29では、このように構成されたレンズアレイ299が一枚だけ設けられており、図21において光軸OA方向に並ぶ2枚のレンズ2993、2993により結像光学系が構成されている。そして、各発光素子グループ295毎に結像光学系が配置されるように、レンズアレイ299は構成されている。
【0093】
上記のようにすき間部2995を設けた場合、つまり複数のレンズ基板2992を組み合わせてレンズアレイ299を形成する場合には、レンズ基板2992を設計通りに組み合わせることは困難であり、すき間部2995を挟んで配置されたレンズLSにおいて相対的な位置ずれが発生することがある。そして、この位置ずれの結果、異なるレンズ基板2992に形成されるとともに、主走査方向MDにおいて隣り合うスポットグループSGを形成する2つの結像光学系(例えば、図22の結像光学系OS_1、OS_2)が、スポットグループSGを隙間を介して形成してしまう場合がある。そこで、結像光学系OS_1(第1の結像光学系)が形成するスポットグループSGと、結像光学系OS_2(第2の結像光学系)とが主走査方向MDに重複露光領域EX_olを形成するように構成し、さらに、重複露光領域EX_olでは、第1の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1でスポットSPを形成し、第2の結像光学系は主走査方向MDに第1スポット中心間距離Dsp_1と異なる第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成するように構成すると良い。これにより、良好な潜像形成の実現を図ることが可能となる。
【0094】
また、上記実施形態では、発光素子2951は円形であったが、発光素子の形状はこれに限られず、長方形であっても良いし、楕円形であってもよい。また、何れの形状においても、発光素子2951の位置は、平面視における発光素子2951の重心として求めることができる。
【0095】
また、発光素子グループ295における発光素子2951の個数、あるいは、発光素子行2951Rの個数等も適宜変更可能である。また、発光素子行2951Rを構成する発光素子2951の個数についても適宜変更可能である。
【0096】
また、発光素子グループ行295Rあるいはレンズ行LSRの個数も適宜変更可能である。
【0097】
また、上記実施形態では、発光素子2951としてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子2951として用いても良く、あるいは、LED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、結像光学系として、反転の光学特性を有するものを用いたが、結像光学系はこれに限られず、正転の光学特性を有するものを用いることができる。また、結像光学系の倍率に関しても、拡大・縮小のいずれの倍率を有する結像光学系も用いることができる。
【0099】
また、上記実施形態では、発光素子グループ295において、第1発光素子中心間距離Del_1と第2発光素子中心間距離Del_2とで発光素子2951を並べることで、スポットグループSGにおいて、第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成していた。しかしながら、発光素子グループ295において発光素子中心間距離Delが一定であっても、結像光学系の光学特性を調整することで、スポットグループSGにおいて第1スポット中心間距離Dsp_1と第2スポット中心間距離Dsp_2でスポットSPを形成することもできる。これについて次に説明する。
【0100】
図23は、さらに別の実施形態のレンズデータを示す図である。図24はさらに別の実施形態の光学諸元を示す図である。図25はさらに別の実施形態の光学系の主走査方向における断面図であり、図26はさらに別の実施形態の光学系の副走査方向における断面図であり、図25、図26はそれぞれの断面における光路を併せて示している。なお、これらの図では、X軸は主走査方向MDに相当し、Y軸は副走査方向SDに相当する。
【0101】
発光素子グループ295では、複数の発光素子2951が主走査方向MDに一定の発光素子中心間距離Del(=28μm)で並んでいる。一方、スポットグループSGでは、スポット中心間距離Dspは主走査方向MDにおける位置によって異なっている。つまり、図24、図25に示すように、X軸方向のマイナス側のスポットグループSG端部近傍の領域AR(-)では、スポット中心間距離Dspは44.2μmであり、スポットグループSGの光軸近傍の領域AR(0)では、スポット中心間距離Dspは41.4μmであり、X軸方向のプラス側のスポットグループSG端部近傍の領域AR(+)では、スポット中心間距離Dspは37.8μmである。このように、さらに別の実施形態でも、主走査方向MDの一方側端部でのスポット中心間距離と他方側端部でのスポット中心間距離とが互いに異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】ラインヘッドを装備した画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】図3に示したラインヘッドのA−A線部分断面図。
【図5】発光素子の構造を示す図。
【図6】ヘッド基板の裏面の構成を示す平面図。
【図7】レンズアレイの構成を示す平面図。
【図8】レンズアレイおよびヘッド基板等の長手方向の断面図。
【図9】発光素子グループおよび当該発光素子グループのスポット形成動作を示す図。
【図10】スポット中心の説明図。
【図11】各発光素子グループが同時発光して形成されるスポットグループを示す図。
【図12】ラインヘッドによる潜像形成動作を示す図。
【図13】スキューにより隙間が発生する様子を表す平面図。
【図14】本実施形態で形成される複数のスポットグループを示す平面図。
【図15】本実施形態における発光素子グループの構成を示す平面図。
【図16】発光素子グループにより形成されるスポットグループを示す平面図。
【図17】スポットグループの重複領域の近傍を拡大した平面図。
【図18】潜像形成動作で使用されるスポットを示す図。
【図19】潜像形成動作で使用されるスポットを示す図。
【図20】別の実施形態におけるレンズアレイの概略部分斜視図。
【図21】別の実施形態におけるレンズアレイの長手方向部分断面図。
【図22】別の実施形態におけるレンズアレイの平面図。
【図23】さらに別の実施形態のレンズデータを示す図。
【図24】さらに別の実施形態の光学諸元を示す図。
【図25】さらに別の実施形態の光学系の主走査方向における断面図。
【図26】さらに別の実施形態の光学系の副走査方向における断面図。
【符号の説明】
【0103】
21Y,21K…感光体ドラム(潜像担持体)、 29…ラインヘッド(露光ヘッド) 295…発光素子グループ、 2951…発光素子、 299…レンズアレイ、 MD…主走査方向、 SD…副走査方向、 LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 SP…スポット、 SG…スポットグループ、 VD…ビデオデータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
発光して前記潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された前記発光素子からの光を結像して前記潜像担持体に集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドと
を備え、
第1の結像光学系により形成される前記集光部及び第2の結像光学系により形成される前記集光部は、前記第1方向に隣り合うとともに重なっており、当該重なり領域における前記第1の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1で前記ビームスポットを形成し、前記第2の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2で前記ビームスポットを形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像信号に応じて前記発光素子を点灯して前記潜像担持体にビームスポットをを形成するように、前記発光素子を選択する制御手段を備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と前記第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.5×Dsp_2
あるいは、
0.5×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を有する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と前記第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.25×Dsp_2
あるいは、
0.75×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を有する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の結像光学系と前記第2の結像光学系とは前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2方向に配される請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記結像光学系は、異なる基板に形成された複数のレンズで構成されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
発光して潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された前記発光素子からの光を結像して潜像担持体にして集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドにより、前記潜像担持体に潜像を形成する工程を備え、
第1の結像光学系により形成される前記集光部と第2の結像光学系により形成される前記集光部とは、前記第1方向に隣り合うとともに前記第1方向に重なってしており、当該重なり領域において前記第1の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1で前記集光部を構成する前記ビームスポットを形成し、前記第2の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2で前記集光部を構成する前記ビームスポットを形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
潜像担持体と、
発光して前記潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された前記発光素子からの光を結像して前記潜像担持体に集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドと
を備え、
第1の結像光学系により形成される前記集光部及び第2の結像光学系により形成される前記集光部は、前記第1方向に隣り合うとともに重なっており、当該重なり領域における前記第1の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1で前記ビームスポットを形成し、前記第2の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2で前記ビームスポットを形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像信号に応じて前記発光素子を点灯して前記潜像担持体にビームスポットをを形成するように、前記発光素子を選択する制御手段を備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と前記第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.5×Dsp_2
あるいは、
0.5×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を有する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と前記第2ビームスポット中心間距離Dsp_2とが
1.0×Dsp_2<Dsp_1<1.25×Dsp_2
あるいは、
0.75×Dsp_2<Dsp_1<1.0×Dsp_2
のいずれかの関係を有する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の結像光学系と前記第2の結像光学系とは前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2方向に配される請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記結像光学系は、異なる基板に形成された複数のレンズで構成されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
発光して潜像担持体にビームスポットを形成する発光素子、および第1方向に配された前記発光素子からの光を結像して潜像担持体にして集光部を形成する結像光学系を有する露光ヘッドにより、前記潜像担持体に潜像を形成する工程を備え、
第1の結像光学系により形成される前記集光部と第2の結像光学系により形成される前記集光部とは、前記第1方向に隣り合うとともに前記第1方向に重なってしており、当該重なり領域において前記第1の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1で前記集光部を構成する前記ビームスポットを形成し、前記第2の結像光学系は前記第1方向に第1ビームスポット中心間距離Dsp_1と異なる第2ビームスポット中心間距離Dsp_2で前記集光部を構成する前記ビームスポットを形成することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−76389(P2010−76389A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250623(P2008−250623)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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