説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】インクに対して吸収性又は非吸収性の記録媒体に対しても高品質な画像を形成することができる画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】インクに対して高い吸収性を有する第1の記録媒体を用いた場合は、液滴によって中間転写ベルト5上に形成された画像を、中間転写ベルト5と転写ローラ6との間のニップ部Nで第1の記録媒体に転写させた後に、第1の記録媒体を第1の搬送経路14で排紙部へ向けて搬送し、インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する第2の記録媒体を用いた場合は、第2の記録媒体を第2の搬送経路15側へ搬送して、中間転写ベルト5上の吐出ヘッド2と対向する領域に搬送された第2の記録媒体上に吐出ヘッド2ら液滴を直接吐出して画像を形成した後に、第2の記録媒体を第2の搬送経路15で排紙部へ向けて搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出されたインク液滴を一旦中間転写体上に付着させて画像を形成した後、中間転写体上の画像を記録媒体に転写する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを多数の微小ノズルを通して液滴化し、画像情報に応じて紙等の記録媒体上に直接吐出して画像を形成する、いわゆるインクジェット記録方式が知られている。ところで、上記のように液滴化されたインクを直接記録媒体上に吐出するインクジェット記録方式は、記録媒体のインク吸収性が高品質な画像を得る上で重要なポイントとなる。
【0003】
即ち、インクジェット記録方式の画像形成装置で用いられるインクは成分のほとんどが液体成分であるために、記録媒体のインクに対する吸収浸透性の違いが画像再現性に影響を与える。特に液体を吸収しない(非インク吸収性)記録媒体を用いると、隣接して印字されたインク滴が混ざり合ってしまう現象や、先に着弾したインク滴が後に着弾したインク滴に引き寄せられてしまう現象が起こり易い。このため、このような現象が発生すると、良好な画像形成は困難となり、更に、浸透乾燥が使えず蒸発乾燥になるので、重ね合わせた際の裏移り等の問題を引き起こし、特に高速画像形成動作を行なう場合は乾燥性を確保できなくなる。
【0004】
これに対して、例えば紫外線硬化型の樹脂を含有したインクを用いて、インク浸透性を有する記録媒体に印字した場合には、インクが記録媒体内へ浸透して、インク濃度が低下したり、記録媒体内に浸透した硬化性樹脂に紫外線が届かずに未硬化の状態で残留してしまうという問題がある。
【0005】
このため、上記したこれらの問題を解消するために、一旦中間転写体上にインクジェット記録方式によりインク像を形成し、この中間転写体上のインク像を何らかの手段で増粘させた後に、インク像を中間転写体から記録媒体上に転写する、いわゆる中間転写方式の画像形成装置が従来より提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
前記特許文献1のような中間転写方式の画像形成装置では、記録媒体に転写する前にインク層を増粘させることで、記録媒体に転写後のインク層が記録媒体に吸収する速度が遅くなり、必要以上に内部に吸収される前にインクを硬化させることができる。このため、吸収性の記録媒体でも、浸透による濃度低下や未硬化樹脂が残存するといった問題を引き起こすことなく画像を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1のような中間転写方式の画像形成装置では、非吸収性の記録媒体に対しては、増粘させることで転写時の記録媒体との密着性が十分に得られず、硬化後のインク層が剥がれ易いという課題がある。なお、増粘させないでそのまま非吸収性の記録媒体へ転写させることも考えられるが、この場合には、中間転写体上からインク層を記録媒体上へ転写する際に、転写ムラや転写によるドット形状の変化等の転写による画像の劣化が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体又はインクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体に対しても高品質な画像を形成することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、少なくとも光硬化樹脂及び色材を含むインクを液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴によってその表面に画像が形成される中間転写体と、前記中間転写体に転写された画像を記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、給紙部から給送される記録媒体を、前記中間転写体と前記転写手段との間を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第1の搬送経路と、給紙部から給送される記録媒体を、少なくとも前記中間転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第2の搬送経路とを有し、前記インクに対して高い吸収性を有する第1の記録媒体を用いた場合は、前記液滴によって前記中間転写体上に形成された画像を、前記中間転写体と前記転写手段との間で前記第1の記録媒体に転写させた後に、前記第1の記録媒体を前記第1の搬送経路で排紙部へ向けて搬送し、前記インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する第2の記録媒体を用いた場合は、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路側へ搬送して、前記中間転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域に搬送された前記第2の記録媒体上に前記吐出ヘッドから前記液滴を直接吐出して画像を形成した後に、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路で排紙部へ向けて搬送することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第1の搬送経路の前記転写手段に対して記録媒体搬送方向下流側に、前記第1の記録媒体上に転写された画像を硬化させる第1の光照射手段を有し、前記第2の搬送経路の前記吐出ヘッドに対して記録媒体搬送方向下流側に、前記第2の記録媒体上に形成された画像を硬化させる第2の光照射手段を有していることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記中間転写体の少なくも前記吐出ヘッドが位置する近傍に、前記吐出ヘッドから前記中間転写体上に吐出される前記液滴を増粘させるインク増粘手段を有していることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記インク増粘手段として、前記第2の光照射手段を併用することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記吐出ヘッドを加熱する加熱手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記給紙部は1個の給紙部を有し、該給紙部に前記第1、第2の記録媒体を収納することを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記給紙部は2個の給紙部を有し、一方の給紙部に前記第1の記録媒体を収納し、他方の給紙部に前記第2の記録媒体を収納することを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の発明は、少なくとも光硬化樹脂及び色材を含むインクを液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴によってその表面に画像が形成される中間転写体と、前記中間転写体に転写された画像を記録媒体に転写する転写手段とを備え、給紙部から給送される記録媒体を、前記中間転写体と前記転写手段との間を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第1の搬送経路と、給紙部から給送される記録媒体を、少なくとも前記中間転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第2の搬送経路とを有する画像形成装置による画像形成方法であって、前記インクに対して高い吸収性を有する第1の記録媒体を用いた場合は、前記液滴によって前記中間転写体上に形成された画像を、前記中間転写体と前記転写手段との間で前記第1の記録媒体に転写させた後に、前記第1の記録媒体を前記第1の搬送経路で排紙部へ向けて搬送し、前記インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する第2の記録媒体を用いた場合は、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路側へ搬送して、前記中間転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域に搬送された前記第2の記録媒体上に前記吐出ヘッドから前記液滴を直接吐出して画像を形成した後に、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路で排紙部へ向けて搬送することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、8に記載の発明によれば、インクに対して高い吸収性を有する第1の記録媒体を用いた場合は、中間転写体上に形成された画像を中間転写体と転写手段との間で第1の記録媒体に転写させた後に、第1の記録媒体を第1の搬送経路で排紙部へ向けて搬送し、インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する第2の記録媒体を用いた場合は、第2の記録媒体を第2の搬送経路側へ搬送して、中間転写体上の吐出ヘッドと対向する領域に搬送された第2の記録媒体上に吐出ヘッドから液滴を直接吐出して画像を形成した後に、第2の記録媒体を第2の搬送経路で排紙部へ向けて搬送することにより、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体又はインクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体の両方の記録媒体に対して高品質な画像を形成することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第1の搬送経路で搬送される第1の記録媒体上に転写された画像は第1の光照射手段によって硬化することができ、第2の搬送経路で搬送される第2の記録媒体上に形成された画像は第2の光照射手段によって硬化することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、インク増粘手段によって吐出ヘッドから中間転写体上に吐出される液滴を増粘させることにより、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体であっても必要以上に記録媒体にインク浸透(吸収)することを抑制することができるので、画像品質の低下を防止できる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、インク増粘手段として、第2の光照射手段を併用することにより、新たなインク増粘手段を設ける必要がなくなり、コストの低減を図ることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、吐出ヘッドを加熱する加熱手段を有しているので、常温では粘度が高く、安定して吐出することができないインクでも吐出ヘッドを加熱することによって、安定して吐出ヘッドから液滴を吐出させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第1、第2の記録媒体を1個の給紙部に収納することにより、給紙部のコンパクト化を図ることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、一方の給紙部に前記第1の記録媒体を収納し、他方の給紙部に前記第2の記録媒体を収納することにより、第1、第2の各搬送経路に対応して各給紙部をそれぞれ最適な位置に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図2】本発明の実施形態1に係る画像形成装置において、インクに対する吸収性の高い記録媒体を使用する場合の記録媒体搬送経路を示す図。
【図3】本発明の実施形態1に係る画像形成装置において、インクに対する吸収性の低い記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)を使用する場合の記録媒体搬送経路を示す図。
【図4】本発明の実施形態2に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図5】本発明の実施形態3に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図6】本発明の実施形態3に係る画像形成装置において、インクに対する吸収性の高い記録媒体を使用する場合の記録媒体搬送経路を示す図。
【図7】本発明の実施形態3に係る画像形成装置において、インクに対する吸収性の低い記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)を使用する場合の記録媒体搬送経路を示す図。
【図8】本発明の実施形態4に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図9】本発明の実施形態5に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図10】本発明の実施形態6に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図11】本発明の実施形態7に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図12】本発明の実施形態9に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、中間転写体を有するインクジェット記録方式のプリンタに適用した例である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、インクを吐出する吐出ヘッド2と、駆動ローラ3と従動ローラ4間に張架された無端ベルト状の中間転写体(以下、「中間転写ベルト」という)5と、中間転写ベルト5を介して駆動ローラ3に当接する転写ローラ6と、中間転写ベルト5表面に当接して該中間転写ベルト5を帯電する帯電ローラ7と、第1の硬化装置8及び第2の硬化装置9と、クリーニング部材10と、シート状の記録媒体Pを収納した給紙カセット11を備えている。
【0027】
吐出ヘッド2は、中間転写ベルト5と対向する位置に配置されており、中間転写ベルト5と対向する下面側に列状に並んだ複数のノズル(不図示)と、各ノズル位置に対応したインク室(不図示)を有し、アクチューエータ(不図示)によって各インク室の体積を変化させることによって、任意のノズルから任意のタイミングでインクの液滴を中間転写ベルト5側に吐出することができる。なお、吐出ヘッド2は、本実施形態では主走査方向に必要な数配置して幅方向を一度に画像形成するライン型インクジェット方式である。
【0028】
吐出ヘッド2から吐出されるインクは、例えば、紫外線硬化型インクであり、このインクの主成分として、重合性化合物、光開始剤及び色材を少なくとも含むものである。また、この他に、レベリング剤や反応促進剤、反応禁止剤、増感剤などの添加剤を含んでもよい。
【0029】
前記紫外線硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、これらの両系のインクを用いることができ、また、その混合系のインクも用いることができる。前記色材としては、例えば、黒、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトなどの他に、クリアインクや諧調表現を豊かにする薄色インクを併用することも可能である。
【0030】
中間転写ベルト5は、駆動ローラ3の駆動により矢印A方向に移動する。中間転写ベルト5の吐出ヘッド2と反対側の面には、中間転写ベルト5の移動時に該中間転写ベルト5のブレ等を抑えて安定して移動させるためのガイド部材12が配置されている。
【0031】
中間転写ベルト5は、ベルト基体上に少なくとも導電層、絶縁層が積層されており、表面側の絶縁層が転写ローラ6や帯電ローラ7に接する。前記絶縁層は、例えば、PET、PEI、PVDF、PC、ETFE、PTFEなどの樹脂又はエラストマーで導電制御材を含まない材料により、体積低効率が1012Ωcm以上、望ましくは1015Ωcm以上となるように形成されている。前記導電層は、例えば、各種の樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、フッ素系樹脂等)やエラストマーにカーボンを含有させて、体積低効率が10〜10Ωcmとなるように形成されている。また、前記絶縁層上に、フッ素樹脂・シリコーンゴム等の離型性の材料のより表面層を設けてもよい。
【0032】
帯電ローラ7には、ACバイアス電源13が接続されており、ACバイアス電源13からベルト帯電ローラ7にACバイアスを印加することで中間転写ベルト5を帯電させ、給紙カセット11から搬送される記録媒体を静電吸着させることができる。なお、帯電ローラ7は、中間転写ベルト5に対して接離自在に設けられている。
【0033】
本実施形態の画像形成装置1は、インクに対する吸収性の高い第1の記録媒体としての記録媒体に画像形成を行なう場合には、第1の搬送経路14に記録媒体が搬送され、インクに対する吸収性の低い第2の記録媒体としての記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)に画像形成を行なう場合には、第2の搬送経路15に記録媒体が搬送される(詳細は後述する)。
【0034】
第1の搬送経路14は、転写ローラ6が中間転写ベルト5を介して駆動ローラ3に当接するニップ部Nを通過する記録媒体を、中間転写ベルト5から離間するように搬送する搬送経路である。第2の搬送経路15は、前記ニップ部Nを通過した記録媒体を、中間転写ベルト5表面に沿って中間転写ベルト5の移動方向に搬送する搬送経路である。
【0035】
第1の搬送路14のニップ部Nの記録媒体搬送方向下流側近傍に前記第1の硬化装置8が配置され、第2の搬送経路15には、中間転写ベルト5の移動方向に沿ってクリーニング部材10、押えローラ16、吐出ヘッド2、第2の硬化装置9が配置されている。なお、クリーニング部材10、押えローラ16は、中間転写ベルト5に対して接離自在に設けられている。
【0036】
第1、第2の各硬化装置8、9は、本実施形態では紫外線を照射する紫外線光源を有しており、第1の硬化装置8の紫外線光源から照射される紫外線によって、第1の搬送路14に搬送される記録媒体上に転写された画像を硬化し、また、第2の硬化装置9の紫外線光源から照射される紫外線によって、第2の搬送路15に搬送される記録媒体上に形成された画像を硬化する。前記紫外線光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、LED素子等を用いることができる。特に、LED素子などの紫外線照射光の波長分布が狭い光源が好ましい。
【0037】
次に、本実施形態の画像形成装置(プリンタ)1による画像形成動作を、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体を使用する場合と、インクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体を使用する場合とに分けて説明する。
【0038】
<インクに対して高い吸収性を有する記録媒体を使用する場合>
インクに対する吸収性の高い記録媒体(例えば、普通紙など)が給紙カセット11に収納された場合には、記録媒体の種類を検出する種類検出センサ(不図示)で検出される検出情報に基づいて、画像形成装置1の制御部(不図示)がインクに対する吸収性の高い記録媒体(例えば、普通紙など)であると判断したり、あるいは操作者が記録媒体切替えスイッチ(不図示)を切替え操作して、記録媒体の種類を例えば「普通紙」に設定する。
【0039】
この場合には、図2に示すように、帯電ローラ7が中間転写ベルト5から離間して、中間転写ベルト5が帯電されていない(帯電ローラ7にACバイアスが印加されない)。そして、入力される画像情報に基づいて、吐出ヘッド2から移動している中間転写ベルト5上にインクの液滴を吐出して画像を形成する。この際、中間転写ベルト5は、駆動ローラの駆動により所定の移動速度で矢印A方向に移動している。
【0040】
そして、中間転写ベルト5上の画像が、転写ローラ6が中間転写ベルト5を介して駆動ローラ3に当接するニップ部Nに移動するタイミングに合わせて、給紙カセット11から記録媒体Pをニップ部Nに給紙することにより、ニップ部Nで挟持搬送される記録媒体Pに中間転写ベルト5上の画像が転写される。
【0041】
ニップ部Nを通過した記録媒体Pは中間転写ベルト5から離間して、搬送ガイド部材(不図示)、搬送ローラ17等により第1の搬送路14に搬送される。そして、第1の硬化装置8から照射される紫外線により記録媒体P上に転写されている画像を硬化させて定着させた後に、不図示の排紙トレイ(排紙部)へと排出される。なお、前記転写後に中間転写ベルト5上に残っている転写残インクは、クリーニングブレード等を有するクリーニング部材10により除去され、次の印字が可能な状態に保たれる。
【0042】
<インクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体)を使用する場合>
インクに対する吸収性が低い記録媒体としては、例えばミラーコート紙があり、インクに対して非吸収性の記録媒体としては、例えばOHPシートがある。これらの記録媒体(例えば、ミラーコート紙やOHPシートなど)が給紙カセット11に収納された場合には、記録媒体の種類を検出する種類検出センサ(不図示)で検出される検出情報に基づいて、画像形成装置1の制御部(不図示)がインクに対する吸収性の低い記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)であると判断したり、あるいは操作者の切替え操作によって記録媒体の種類を例えば「ミラーコート紙やOHPシート」に設定する。
【0043】
この場合には、図3に示すように、帯電ローラ7が中間転写ベルト5に接してACバイアス電源13からACバイアス(例えば、2〜3kVのACバイアス)が印加される。この際、中間転写ベルト5は、駆動ローラの駆動により所定の移動速度で矢印A方向に移動している。これにより、帯電ローラ7が当接する中間転写ベルト5の絶縁層に、正と負の電荷が中間転写ベルト5の移動方向Aに対して交互に帯電する。なお、中間転写ベルト5の絶縁層は、前記したように体積低効率が1012Ωcm以上、望ましくは1015Ωcm以上となるように形成されているので、絶縁層に帯電した正と負の電荷が、その境界で移動することを防ぐことができる。よって、中間転写ベルト5の絶縁層に、正と負の電荷を交互に安定して帯電させることができる。
【0044】
そして、給紙カセット11から給送された記録媒体Pがニップ部Nに入って中間転写ベルト5の絶縁層側の表面に接すると、中間転写ベルト5の絶縁層に帯電した正の電荷から負の電荷に導かれる微小電界により記録媒体Pに静電力が作用する。よって、この静電力により記録媒体Pが中間転写ベルト5の表面(絶縁層)に静電吸着される。なお、この状況では、吐出ヘッド2からインクの液滴が吐出されていなので、ニップ部Nで記録媒体に画像が転写されることはない。
【0045】
このように、帯電ローラ7がニップ部Nの記録媒体搬送方向上流近傍で中間転写ベルト5に当接しているので、ニップ部Nで中間転写ベルト5に接する記録媒体Pに確実に静電力を付与して、記録媒体Pを中間転写ベルト5に安定して吸着させることができる。
【0046】
そして、ニップ部Nで中間転写ベルト5に吸着された記録媒体Pは、中間転写ベルト5の移動により駆動ローラ3の外周に沿って、中間転写ベルト5を介して駆動ローラ3に当接する押さえローラ16側の第2の搬送路15に搬送される。この際、クリーニング部材10は、記録媒体Pに接しないように中間転写ベルト5から離れている。
【0047】
そして、押さえローラ17により中間転写ベルト5上に均一に密着された記録媒体Pが、中間転写ベルト5の移動により吐出ヘッド2と対向する位置に達すると、入力される画像情報に基づいて吐出ヘッド2から中間転写ベルト5上の記録媒体Pにインクの液滴を直接吐出して画像を形成する。
【0048】
そして、記録媒体Pが中間転写ベルト5の移動により第2の硬化装置9と対向する位置に達すると、第2の硬化装置9から照射される紫外線により記録媒体P上の画像を硬化させて定着させる。そして、中間転写ベルト5の移動により中間転写ベルト5上の記録媒体Pが従動ローラ4付近に達すると、中間転写ベルト5の絶縁層に帯電した正の電荷と負の電荷がある程度放電して、記録媒体Pへの静電力が小さくなる。よって、従動ローラ4の曲率半径により記録媒体Pは中間転写ベルト5から離間して、不図示の排紙トレイ(排紙部)へと排出される。
【0049】
このように、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体を用いた場合は、中間転写ベルと5上に形成された画像を中間転写ベルト5と転写ローラ6との間で記録媒体に転写させた後に、記録媒体を第1の搬送経路14で排紙部へ向けて搬送し、インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する記録媒体を用いた場合は、記録媒体を第2の搬送経路15側へ搬送して、中間転写ベルト5上の吐出ヘッド2と対向する領域に搬送された記録媒体上に吐出ヘッド2から液滴を直接吐出して画像を形成した後に、記録媒体を第2の搬送経路15で排紙部へ向けて搬送することにより、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体又はインクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体に対しても高品質な画像を形成することができる。
【0050】
また、第1の記録媒体又は第2の記録媒体に画像を形成する場合でも、第1、第2の記録媒体を1個の給紙カセット11に収納することにより、給紙部のコンパクト化を図ることができる。
【0051】
〈実施形態2〉
図4は、本発明の実施形態2に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【0052】
前記実施形態1では、1つの給紙カセット11に、インクに対する吸収性の高い記録媒体か、インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)を選択して一方を収納する構成であったが、本実施形態の画像形成装置1aでは、図4に示すように、一方の給紙カセット11aにインクに対する吸収性の高い記録媒体P1を収納し、他方の給紙カセット11bにインクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)P2を収納する構成である。他の構成は図1に示した実施形態1と同様であり、重複する説明は省略する。
【0053】
このように、本実施形態では、操作者がカセット選択ボタン(不図示)を操作することで、給紙カセット11aを選択したときは、給紙カセット11a内の記録媒体P1を第1の搬送路14に搬送するようにして、前記同様に中間転写ベルト5上に形成された画像を記録媒体に転写する画像形成動作を実行し、給紙カセット11bを選択したときは、給紙カセット11b内の記録媒体P2を第2の搬送路15に搬送するようにして、前記同様に中間転写ベルト5上に吸着された記録媒体にインクの液滴を直接吐出する画像形成動作を実行する。よって、操作者がカセット選択ボタン(不図示)を操作して一方の給紙カセットを選択するだけで、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体又はインクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体の両方の記録媒体に対して高品質な画像を形成することができる。
【0054】
〈実施形態3〉
図5は、本発明の実施形態3に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。なお、図1に示した実施形態1の画像形成装置と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図5に示すように、本実施形態の画像形成装置1aは、ドラム状の中間転写体(以下、「中間転写ドラム」という)20を有しており、中間転写ドラム20に転写ローラ6が当接するニップ部Nの記録媒体搬送方向下流側に第1の硬化装置8を配置している。中間転写ドラム20は、前記中間転写ベルトと同様に、ドラム基体上に少なくとも導電層、絶縁層が積層されている。また、中間転写ドラム20の周囲には、中間転写ドラム20の回転方向(時計周り方向)に沿ってクリーニング部材10、押さえローラ16a、吐出ヘッド2、第2の硬化装置9、押さえローラ16b、帯電ローラ7等が配置されている。なお、クリーニング部材10、押さえローラ16a,16b、帯電ローラ7は、中間転写ベルト5に対して接離自在に設けられている。
【0056】
本実施形態の画像形成装置1aは、インクに対する吸収性の高い記録媒体に画像形成を行なう場合には、第1の搬送経路14に記録媒体が搬送され、インクに対する吸収性の低い記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)に画像形成を行なう場合には、第2の搬送経路15に記録媒体が搬送される(詳細は後述する)。
【0057】
第1の搬送経路14は、転写ローラ6が中間転写ドラム20に当接するニップ部Nから記録媒体を、中間転写ドラム20から離間させて第1の硬化装置8、排紙トレイ(不図示)側へ搬送する搬送経路である。第2の搬送路15は、前記ニップ部Nから記録媒体を、中間転写ドラム20表面に吸着させて中間転写ドラム20の回転方向に沿って搬送し、中間転写ドラム20を一周させた後にニップ部Nから記録媒体を、中間転写ドラム20から離間させて第1の硬化装置8、排紙トレイ(不図示)側へ搬送する搬送経路である。
【0058】
次に、本実施形態の画像形成装置(プリンタ)による画像形成動作を、インクに対する吸収性の高い記録媒体を使用する場合と、インクに対する吸収性の低い記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)を使用する場合とに分けて説明する。
【0059】
<インクに対する吸収性の高い記録媒体を使用する場合>
インクに対する吸収性の高い記録媒体(例えば、普通紙など)が給紙カセット11に収納された場合には、記録媒体の種類を検出する種類検出センサ(不図示)で検出される検出情報に基づいて、画像形成装置の制御部(不図示)がインクに対する吸収性の高い記録媒体(例えば、普通紙など)であると判断したり、あるいは操作者が記録媒体切替えスイッチ(不図示)を切替え操作して、記録媒体の種類を例えば「普通紙」に設定する。
【0060】
この場合には、図6に示すように、帯電ローラ7が中間転写ドラム20から離間して、中間転写ドラム20が帯電されていない(帯電ローラ7にACバイアスが印加されない)。そして、中間転写ドラム20を時計周り方向に回転駆動させて、入力される画像情報に基づいて、吐出ヘッド2から中間転写ドラム20上にインクの液滴を吐出して画像を形成する。
【0061】
そして、中間転写ドラム20上の画像が、転写ローラ6が中間転写ドラム20に当接するニップ部Nに移動するタイミングに合わせて、給紙カセット11から記録媒体Pをニップ部Nに給紙することにより、ニップ部Nで挟持搬送される記録媒体Pに中間転写ドラム20上の画像が転写される。
【0062】
ニップ部Nを通過した記録媒体Pは中間転写ドラム20から離間して直進し、ニップ部Nの記録媒体搬送方向下流側に設けた第1の硬化装置8から照射される紫外線により記録媒体P上に転写されている画像を硬化させて定着させた後に、不図示の搬送ローラ等を介して排紙トレイ(排紙部)へと排出される。なお、前記転写後に中間転写ドラム20上に残っている転写残インクは、クリーニングブレード等を有するクリーニング部材10により除去され、次の印字が可能な状態に保たれる。
【0063】
<インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)を使用する場合>
インクに対する吸収性が低い記録媒体(例えば、ミラーコート紙など)やインクに対して非吸収性の記録媒体(例えば、OHPシートなど)が給紙カセット11に収納された場合には、記録媒体の種類を検出する種類検出センサ(不図示)で検出される検出情報に基づいて、画像形成装置の制御部(不図示)がインクに対する吸収性の低い記録媒体(インクに対して非吸収性の記録媒体も含む)であると判断したり、あるいは操作者の切替え操作によって記録媒体の種類を例えば「ミラーコート紙やOHPシート」に設定する。
【0064】
この場合には、帯電ローラ7を中間転写ドラム20に接触させて、ACバイアス電源13から帯電ローラ7にACバイアス(例えば、2〜3kVのACバイアス)を印加することにより、中間転写ドラム20を帯電する。
【0065】
そして、図7に示すように、給紙カセット11から給送された記録媒体Pがニップ部Nに入って帯電された中間転写ドラム20表面に接することで、記録媒体Pが中間転写ドラム20表面に静電吸着される。なお、この状況では、吐出ヘッド2からインクの液滴が吐出されていなので、ニップ部Nで記録媒体Pに画像が転写されることはない。
【0066】
そして、ニップ部Nで中間転写ドラム20に吸着された記録媒体Pは、中間転写ドラム20の回転により中間転写ドラム20の外周に沿って第2の搬送経路15に搬送される。この際、クリーニング部材10は、記録媒体Pに接しないように中間転写ドラム20から離れている。
【0067】
そして、押さえローラ16aにより中間転写ドラム20上に均一に密着された記録媒体Pが、中間転写ドラム20の回転により吐出ヘッド2と対向する位置に達すると、入力される画像情報に基づいて吐出ヘッド2から中間転写ベルト5上の記録媒体Pにインクの液滴を直接吐出して画像を形成する。
【0068】
そして、記録媒体Pが中間転写ドラム20の回転により第2の硬化装置9と対向する位置に達すると、第2の硬化装置9から照射される紫外線により記録媒体P上の画像を硬化させて定着させる。そして、中間転写ドラム20の回転により記録媒体Pを押さえローラ16bと帯電ローラ7との間を通過させて中間転写ドラム20を一周させ、帯電ローラ7へのACバイアス印加をOFFにすることで、ニップ部Nを再度通過した記録媒体への静電吸着を解除する。これにより、ニップ部Nを通過した記録媒体Pは中間転写ドラム20から離間して直進し、不図示の搬送ローラ等を介して排紙トレイ(排紙部)へと排出される。
【0069】
本実施形態の画像形成装置においても、実施形態1の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0070】
〈実施形態4〉
前記実施形態3では、インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)を使用する場合の搬送経路である第2の搬送経路15は、ニップ部Nから記録媒体を中間転写ドラム20表面に吸着させて中間転写ドラム20の回転方向に沿って搬送し、中間転写ドラム20を一周させた後にニップ部Nから記録媒体を、中間転写ドラム20から離間させて排紙トレイ(排紙部)側へ排出した。
【0071】
これに対して、本実施形態では、図8に示すように、インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)を使用する場合の搬送経路である第2の搬送経路15は、ニップ部Nから記録媒体を中間転写ドラム20表面に吸着させて中間転写ドラム20の回転方向に沿って搬送し、記録媒体が押さえローラ16bを通過後に帯電ローラ7へのACバイアス印加をOFFにして、記録媒体を中間転写ドラム20から離間させて第1の搬送経路14とは別の排紙トレイ(排紙部)側へ排出する構成である。他の構成は、前記実施形態3と同様である。
【0072】
このように、本実施形態では、インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)を使用する場合の第2の搬送経路15では、吐出ヘッド2から中間転写ベルト5上の記録媒体Pにインクの液滴を直接吐出して画像を形成して、第2の硬化装置9から照射される紫外線により記録媒体上の画像を硬化した後に、直に中間転写ドラム20から離間させて排紙トレイ(排紙部)側へ排出することができるので、前記実施形態3の場合よりも搬送経路を短縮することが可能となる。
【0073】
よって、インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)に連続して画像形成動作を行なう場合に、画像形成時間の短縮化を図ることができる。
【0074】
〈実施形態5〉
図9は、本発明の実施形態5に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【0075】
前記実施形態3では、1つの給紙カセット11に、インクに対する吸収性の高い記録媒体か、インクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)を選択して一方を収納する構成であったが、本実施形態の画像形成装置では、図9に示すように、一方の給紙カセット11aにインクに対する吸収性の高い記録媒体P1を収納し、他方の給紙カセット11bにインクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)P2を収納する構成である。他の構成は図5に示した実施形態3と同様であり、重複する説明は省略する。
【0076】
給紙カセット11a内の記録媒体P1が搬送される第1の搬送経路14は、ニップ部Nを通過した記録媒体をニップ部Nの記録媒体搬送方向下流側に設けた第1の硬化装置8、排紙トレイ(排紙部)側へ搬送する搬送経路である。
【0077】
給紙カセット11b内の記録媒体P2が搬送される第2の搬送経路15は、押さえローラ16aの中間転写ドラム回転方向の上流側から中間転写ドラム20に給送される記録媒体を、中間転写ドラム20表面に吸着させて中間転写ドラム20の回転方向に沿って搬送し、押さえローラ16bを通過後に帯電ローラ7へのACバイアス印加をOFFにして、中間転写ドラム20から分離させて第1の搬送経路14とは別の排紙トレイ(排紙部)側へ排出する構成である。
【0078】
このように、本実施形態では、操作者がカセット選択ボタン(不図示)を操作することで、給紙カセット11aを選択したときは、給紙カセット11a内の記録媒体P1を第1の搬送路14に搬送するようにして、前記同様に中間転写ベルト5上の画像を記録媒体に転写する画像形成動作を実行し、給紙カセット11bを選択したときは、給紙カセット11b内の記録媒体P2を第2の搬送路15に搬送するようにして、前記同様に中間転写ベルト5上に吸着された記録媒体にインクの液滴を直接吐出する画像形成動作を実行する。よって、操作者がカセット選択ボタン(不図示)を操作して一方の給紙カセットを選択するだけで、インクに対して高い吸収性を有する記録媒体又はインクに対して低い吸収性(非吸収性の記録媒体も含む)を有する記録媒体に対しても高品質な画像を形成することができる。
【0079】
また、一方の給紙カセット11aにインクに対する吸収性の高い記録媒体P1を収納し、他方の給紙カセット11bにインクに対する吸収性が低い記録媒体(又はインクに対して非吸収性の記録媒体)P2を収納することにより、第1、第2の各搬送経路14、15に対応して各給紙カセット11a,11bをそれぞれ最適な位置に設けることができる。
【0080】
〈実施形態6〉
図10は、本発明の実施形態6に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【0081】
図10に示すように、本実施形態の画像形成装置は、インク増粘手段としての冷却ローラ21を中間転写ドラム20表面に接離可能に配置した構成である。冷却ローラ21は、吐出ヘッド2に対して中間転写ドラム20の回転方向上流側に位置している。他の構成は、図5に示した前記実施形態3と同様である。
【0082】
インクに対する吸収性の高い記録媒体を第1の搬送経路14に搬送して、ニップ部Nで中間転写ドラム20上の画像(吐出されたインクの液滴によって形成された画像)を記録媒体に転写して画像形成を行なう場合、記録媒体の中にインクが必要以上に浸透(吸収)して、画像品質が低下することがある。
【0083】
一般にインクなどの液体の粘度は、温度に対して依存性があり、低温では粘度が高く、高温では粘度が低いという特性を有する。よって、吐出ヘッド2から中間転写ドラム20に吐出されたインクを冷却することによって、吐出されたインクの粘度を高く(増粘)することができる。
【0084】
そこで、本実施形態では、インクに対する吸収性の高い記録媒体を第1の搬送経路14に搬送して、ニップ部Nで中間転写ドラム20上の画像(吐出されたインクの液滴によって形成された画像)を記録媒体に転写して画像形成を行なう場合、中間転写ドラム20に接する冷却ローラ21内に冷却水等の冷却媒体22を循環させて、中間転写ドラム20を冷却する。
【0085】
中間転写ドラム20が吐出ヘッド2の手前で冷却されることにより、吐出ヘッド2から中間転写ドラム20表面に吐出されたインクが増粘される。よって、ニップ部Nで中間転写ドラム20上の画像(吐出されたインクの液滴によって形成された画像)を記録媒体に転写した際に、記録媒体の中にインクが必要以上に浸透(吸収)することを抑制することができるので、画像品質の低下を防止できる。
【0086】
〈実施形態7〉
前記実施形態6では、中間転写ドラム20の表面に接する冷却ローラ21によって、中間転写ドラム20表面に吐出されたインクを増粘させるようにしたが、本実施形態では、図11に示すように、中間転写ドラム20の内部にインク増粘手段としての複数の冷却ローラ21を配置した構成である。
【0087】
本実施形態においても、各冷却ローラ21内に冷却水等の冷却媒体22を循環させて、中間転写ドラム20を内側から冷却することにより、吐出ヘッド2から中間転写ドラム20表面に吐出されたインクを増粘させることができる。
【0088】
〈実施形態8〉
前記した各実施形形態では、吐出ヘッド2から吐出されるインクとして紫外線硬化型インクを用いているので、このインクに紫外線を照射することによって増粘させることができる。よって、例えば、図5に示した実施形態3の画像形成装置では、吐出ヘッド2に対して中間転写ドラム20の回転方向下流側に配置している第2の硬化装置9を、インクに対する吸収性の高い記録媒体を使用する場合にインク増粘手段として併用するようにしてもよい。
【0089】
この場合、第2の硬化装置9から通常の出力強度の紫外線を照射して、中間転写ドラム20表面に吐出されたインクを完全に硬化させてしまうと、その後のニップ部Nでの記録媒体への画像の転写、第1の硬化装置8による定着が困難になる。このため、第2の硬化装置9をインク増粘手段として用いる場合は、通常の出力強度よりも低下させた紫外線を照射して、中間転写ドラム20表面に吐出されたインクを半硬化の状態に硬化させることで、ニップ部Nでの記録媒体への画像の転写を正常に行なうことができ、かつ、転写時に記録媒体の中にインクが必要以上に浸透(吸収)することを抑制することができる。
【0090】
〈実施形態9〉
本実施形態の画像形成装置では、図12に示すように、ヘッド加熱手段としてのヒータ23を吐出ヘッド2内に配置した構成である。他の構成は、図5に示した前記実施形態3と同様である。
【0091】
一般に光硬化型の樹脂液体を含有するインクは粘度が高く、通常の水性インク用の吐出に使用している吐出ヘッドで安定して吐出することは難しい。このため、吐出ヘッド2内のヒータ23に通電して吐出ヘッド2の温度を常温以上に加熱することで、前記紫外線硬化型インクを使用する場合でもこの紫外線硬化型インクの粘度が低下し、安定して吐出ヘッド2から吐出させることができる。ヒータ23による吐出ヘッド2の加熱温度は、温度センサ(不図示)で検出される温度情報に基づいて、ヒータ23への通電をON/OFFすることで制御することができる。
【0092】
また、ヒータ23に通電して吐出ヘッド2の温度を常温以上に加熱してインクを吐出した場合、中間転写ドラム20表面に付着した後のインクは、インク温度が常温程度まで低下することによって、その粘度が増加する。よって、吐出ヘッド2を加熱するヒータ23は、前記インク増粘手段としても有効である。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
2 吐出ヘッド
5 中間転写ベルト
6 転写ローラ
7 帯電ローラ
8 第1の硬化装置
9 第2の硬化装置
13 ACバイアス電源
14 第1の搬送経路
15 第2の搬送経路
20 中間転写ドラム
21 冷却ローラ
23 ヒータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2006−123537号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光硬化樹脂及び色材を含むインクを液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴によってその表面に画像が形成される中間転転写体と、前記中間転転写体に転写された画像を記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
給紙部から給送される記録媒体を、前記中間転転写体と前記転写手段との間を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第1の搬送経路と、
給紙部から給送される記録媒体を、少なくとも前記中間転転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第2の搬送経路とを有し、
前記インクに対して高い吸収性を有する第1の記録媒体を用いた場合は、前記液滴によって前記中間転転写体上に形成された画像を、前記中間転転写体と前記転写手段との間で前記第1の記録媒体に転写させた後に、前記第1の記録媒体を前記第1の搬送経路で排紙部へ向けて搬送し、
前記インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する第2の記録媒体を用いた場合は、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路側へ搬送して、前記中間転転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域に搬送された前記第2の記録媒体上に前記吐出ヘッドから前記液滴を直接吐出して画像を形成した後に、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路で排紙部へ向けて搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の搬送経路の前記転写手段に対して記録媒体搬送方向下流側に、前記第1の記録媒体上に転写された画像を硬化させる第1の光照射手段を有し、前記第2の搬送経路の前記吐出ヘッドに対して記録媒体搬送方向下流側に、前記第2の記録媒体上に形成された画像を硬化させる第2の光照射手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転転写体の少なくも前記吐出ヘッドが位置する近傍に、前記吐出ヘッドから前記中間転転写体上に吐出される前記液滴を増粘させるインク増粘手段を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記インク増粘手段として、前記第2の光照射手段を併用することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吐出ヘッドを加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記給紙部は1個の給紙部を有し、該給紙部に前記第1、第2の記録媒体を収納することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記給紙部は2個の給紙部を有し、一方の給紙部に前記第1の記録媒体を収納し、他方の給紙部に前記第2の記録媒体を収納することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも光硬化樹脂及び色材を含むインクを液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴によってその表面に画像が形成される中間転転写体と、前記中間転転写体に転写された画像を記録媒体に転写する転写手段とを備え、給紙部から給送される記録媒体を、前記中間転転写体と前記転写手段との間を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第1の搬送経路と、給紙部から給送される記録媒体を、少なくとも前記中間転転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域を通過させた後に排紙部へ向けて搬送する第2の搬送経路とを有する画像形成装置による画像形成方法であって、
前記インクに対して高い吸収性を有する第1の記録媒体を用いた場合は、前記液滴によって前記中間転転写体上に形成された画像を、前記中間転転写体と前記転写手段との間で前記第1の記録媒体に転写させた後に、前記第1の記録媒体を前記第1の搬送経路で排紙部へ向けて搬送し、
前記インクに対して低い吸収性又は非吸収性を有する第2の記録媒体を用いた場合は、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路側へ搬送して、前記中間転転写体上の前記吐出ヘッドと対向する領域に搬送された前記第2の記録媒体上に前記吐出ヘッドから前記液滴を直接吐出して画像を形成した後に、前記第2の記録媒体を前記第2の搬送経路で排紙部へ向けて搬送することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−56743(P2011−56743A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208020(P2009−208020)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】