画像形成装置および装置外装ユニット
【課題】開閉部材を閉じるのに伴って転写体が中間転写体と接触する構成を採用した場合に開閉部材を閉じる際に必要な力を小さくすることができる装置を提供する。
【解決手段】トナー像を記録媒体に転写する二次転写ローラと、装置本体に設けられた位置決め溝と接触することで二次転写ローラの位置を決める位置決め部材とを有する二次転写ユニットと、二次転写ローラがトナー像を記録媒体に転写する位置へ記録媒体を案内する転写前案内部材と、二次転写ユニットおよび転写前案内部材を支持するとともに、装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在なカバーユニットとを備え、二次転写ユニットを装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときのカバーユニットの装置本体に対する角度は、転写前案内部材を装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときのカバーユニットの装置本体に対する角度とは異なる。
【解決手段】トナー像を記録媒体に転写する二次転写ローラと、装置本体に設けられた位置決め溝と接触することで二次転写ローラの位置を決める位置決め部材とを有する二次転写ユニットと、二次転写ローラがトナー像を記録媒体に転写する位置へ記録媒体を案内する転写前案内部材と、二次転写ユニットおよび転写前案内部材を支持するとともに、装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在なカバーユニットとを備え、二次転写ユニットを装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときのカバーユニットの装置本体に対する角度は、転写前案内部材を装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときのカバーユニットの装置本体に対する角度とは異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および装置外装ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、転写ローラを支持した開閉部材(カバー)を閉じることで、表面にトナー像を保持する像保持体に転写ローラを押圧するように構成された画像形成装置が提案されている。
例えば特許文献1に記載の画像形成装置は、以下のように構成されている。すなわち、像担持体と、シート供給トレイのシートをシート排出トレイに搬送する途中に設けられ、下方から上方へ搬送されるシートにトナー像を転写する転写ローラと、転写ローラを支持して閉塞位置と開放位置との間で移動可能なカバーであって、閉塞位置においては転写ローラを像担持体表面に当接させ且つ離隔位置においては転写ローラを像担持体表面から離隔させるカバーとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−330352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転写体(転写ローラ)を支持した開閉部材を閉じる際には、転写ローラを像保持体に押し付けつつ閉じなければならないことから、開閉部材を閉じる際の操作荷重が大きくなるおそれがある。
本発明は、開閉部材を閉じるのに伴って転写体が中間転写体と接触する構成を採用した場合に開閉部材を閉じる際に必要な力を小さくすることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を、搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、前記転写ユニットおよび前記案内部をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられた開閉手段と、を備え、前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記開閉手段は、開状態から閉状態になる過程で、前記転写ユニットが前記位置決め部により接触力を受けた場合に、当該接触力に基づく特定の支点回りの回転力による回転方向とは反対方向の回転力を、当該特定の支点から当該接触力が作用する位置までの距離よりも遠い位置にて当該転写ユニットに対して付与する力付与手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記転写ユニットは、前記転写体を保持する保持手段を有し、前記力付与手段は、前記保持手段に接触し前記開閉手段に対する当該保持手段の位置に応じた前記回転力を当該保持手段に付与することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記力付与手段は、弾性部材を介して前記開閉手段に支持され、当該弾性部材の弾性力に応じた力で前記保持手段を押圧する押圧手段を有し、前記弾性部材は、前記開閉手段に対する前記保持手段の位置が近くなるほど大きな弾性力を生じることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、前記保持手段は、前記装置本体に設けられた外面が円筒状の被接触部材に接触する接触部を有し、当該保持手段は、当該接触部が当該被接触部材に接触した状態で当該被接触部材の軸心を回転中心として前記開閉手段に対して回転可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、前記像保持体は、感光体に形成されたトナー像を保持する中間転写体と、当該中間転写体を回転可能に支持する複数の回転部材とを有する中間転写ユニットであり、前記転写ユニットは、前記中間転写ユニットの前記複数の回転部材の内の少なくとも1つの回転部材を押圧し前記中間転写体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写ユニットであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項7に記載の発明は、装置本体の外装を形成する装置外装ユニットであって、トナー像を保持する像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、前記装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられ、前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの当該装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする装置外装ユニットである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、転写ユニットおよび案内部を支持した開閉手段を閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、開閉手段を閉じる際に必要な力を小さくすることを、本発明を採用しない場合に比べて、より簡易な構成で実現することができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力を小さくすることを、より簡易な構成で実現することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力を小さくすることを、より簡易な構成で実現することができる。
【0013】
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、転写ユニットおよび案内部を支持した装置外装ユニットを閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】中間転写ユニットの斜視図である。
【図3】本体フレームの外観を示す図である。
【図4】二次転写ユニットの斜視図である。
【図5】中間転写ユニットと二次転写ユニットとが二次転写部位を形成している状態を示す斜視図である。
【図6】位置決め部材が位置決め溝に嵌り込んだ状態を示す部分断面図である。
【図7】カバーユニットを二次転写ユニットが配置されている側から見た斜視図である。
【図8】力付与ユニットの断面図である。
【図9】装置奥側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、支持板側の上方から見た図である。
【図10】板バネと除電ベースとの接触状態を示す図である。
【図11】装置奥側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、装置奥側の下方から見た図である。
【図12】装置手前側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、支持板側の上方から見た図である。
【図13】装置手前側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、中間転写ユニット側から見た図である。
【図14】カバーユニットの外観図である。
【図15】カバーユニットが開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニットの状態の変化を簡略的に示す図である。
【図16】カバーユニットが開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニットの状態の変化を簡略的に示す図である。
【図17】カバーユニットが開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニットの状態の変化を簡略的に示す図である。
【図18】カバーユニットを閉状態にするのに要する力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態が適用される画像形成装置1の概略構成を示した図である。
画像形成装置1は、記録媒体(以下、代表して「用紙」と記す場合もある。)上に画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10に対して用紙を供給する用紙供給部60と、画像形成部10にて画像が形成された用紙を積載する積載部70とを備えている。また、画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読み取り部80と、各部の動作を制御する制御部90とを備えている。
【0016】
画像形成部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kを備えている。各画像形成ユニット11は、感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を一様に帯電する帯電器13と、後述する光学系ユニット20によるレーザ照射によって形成された静電潜像を予め定められた色成分トナーで現像し可視化する現像器14とを備えている。また、画像形成部10には、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの現像器14に対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。そして、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの下方には、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に対してレーザ光を照射する光学系ユニット20が配置されている。
【0017】
また、画像形成部10は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト31上に多重転写させる中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30上に重畳されて形成されたトナー像を用紙に転写する転写ユニットの一例としての二次転写ユニット40(図4参照)と、用紙上に形成されたトナー像を加熱および加圧して定着する定着装置50とを備えている。
【0018】
光学系ユニット20は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)を偏向走査するポリゴンミラー21と、レーザ光を通過するガラス製のウィンドウ22と、各構成部材を密閉するための直方体状のフレーム23とを備えている。
【0019】
中間転写ユニット30は、中間転写体である像保持体の一例としての中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を駆動するドライブローラ32と、中間転写ベルト31に一定のテンションを付与するテンションローラ33とを備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光体ドラム12と中間転写ベルト31を挟んで対向して感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写するための複数(本実施の形態においては4つ)の一次転写ローラ34と、中間転写ベルト31を介して後述する二次転写ローラ41に対向して設けられたバックアップローラ35とを備えている。
【0020】
中間転写ベルト31は、ドライブローラ32、テンションローラ33、複数の一次転写ローラ34およびバックアップローラ35などの複数の回転部材に、複数の一次転写ローラ34の並び方向の長さがこれら複数の一次転写ローラ34の回転軸を含む平面に直交する方向の長さよりも長くなるように張りかけられるとともに一定のテンションで張りかけられており、駆動モータ(図示せず)によって回転駆動されるドライブローラ32により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト31は、例えば、ゴムまたは樹脂にて成形されたものが使用される。
【0021】
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置36を備えている。クリーニング装置36は、クリーニングブラシ36aと、クリーニングブレード36bとを備えており、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト31の表面から残留トナーや紙粉等を除去する。
このように、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31がドライブローラ32やテンションローラ33などに複数の一次転写ローラ34の並び方向に細長くなるように張りかけられており、この細長く張りかけられた中間転写ベルト31の長手方向の一方の端部に、バックアップローラ35が配置され、長手方向の他方の端部に、クリーニング装置36が配置された細長の形状である。
そして、中間転写ユニット30の手前側には、中間転写ユニット30における手前側の部位を覆うとともに、中間転写ユニット30を、本実施の形態における画像形成装置1の装置本体を構成する本体フレーム200(図3参照)に固定するフロントカバー(不図示)が配置されている。
【0022】
二次転写ユニット40は、中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧することにより中間転写ベルト31との間で二次転写部位を形成し、この二次転写部位にて用紙上にトナー像を二次転写する転写体の一例としての二次転写ローラ41を有している。二次転写ローラ41は中間転写ベルト31上に形成されたトナー像を用紙に転写するために、トナー帯電極性とは反対極性の電荷を用紙に与えて静電気力にて中間転写ベルト31上のトナー像を用紙に転写させるものである。それゆえ、二次転写ローラ41とバックアップローラ35との間に予め定められた転写電界が生成されるようになっている。この二次転写ユニット40は、画像形成装置1における図1で見た場合の左側側面に設けられた開閉手段の一例としてのサイドカバー150に支持されている。その構造については後で詳述する。
定着装置50は、中間転写ユニット30によって二次転写された用紙上の画像(トナー像)を、加熱定着ローラ51と加圧ローラ52とにより、熱および圧力を用いて用紙に定着させる。
【0023】
用紙供給部60は、画像が記録される用紙を収容する用紙収容部61と、用紙収容部61から用紙を取り上げて搬送路64へ供給するナジャーローラ62と、ナジャーローラ62から供給された用紙を1枚ずつ分離して搬送するフィードローラ63とを備えている。また、用紙供給部60は、フィードローラ63により1枚ずつに分離された用紙を二次転写位置に向けて搬送する搬送路64と、搬送路64を介して搬送された用紙に対し、二次転写位置に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストローラ65とを備えている。
【0024】
以上のように構成された画像形成装置1は、以下のように作用する。
画像読み取り部80によって読み取られた原稿の画像や、図示しないパーソナルコンピュータ等から受信した画像データは、予め定められた画像処理が施され、画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、光学系ユニット20に出力される。
【0025】
光学系ユニット20は、入力された色材階調データに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光を、f−θレンズ(不図示)を介してポリゴンミラー21に出射する。ポリゴンミラー21では、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に照射する。
【0026】
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12では、帯電器13で帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト31上に多重転写される。
【0027】
一方、用紙供給部60では、画像形成のタイミングに合わせてナジャーローラ62が回転して用紙収容部61に収容されている用紙を取り上げ、フィードローラ63により1枚ずつ分離された後、搬送路64を経てレジストローラ65に搬送され、一旦、停止される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト31の移動タイミングに合わせてレジストローラ65が回転し、バックアップローラ35および二次転写ローラ41によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される用紙には、圧接力および予め定められた電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された用紙は、定着装置50によって熱および圧力で定着処理を受けた後に排出され、積載部70に積載される。
【0028】
次に、中間転写ユニット30についてより詳しく説明する。
図2は、中間転写ユニット30の斜視図である。
中間転写ユニット30は、上述したように、ドライブローラ32と、テンションローラ33と、一次転写ローラ34と、バックアップローラ35とを備え、さらに、これらのローラを、ローラの回転軸方向(以下、単に「回転軸方向」と称する場合がある。)の両側において支持する支持部材100をさらに備えている。支持部材100は、図1で見た場合の手前側に設けられた手前側支持部材101と、奥側に設けられた奥側支持部材102とを有しており、この手前側支持部材101と奥側支持部材102とで、ドライブローラ32と、テンションローラ33と、複数の一次転写ローラ34と、バックアップローラ35とを回転可能に支持している。そして、ドライブローラ32と、テンションローラ33と、一次転写ローラ34と、バックアップローラ35とに中間転写ベルト31が掛け回されており、中間転写ベルト31は、ドライブローラ32により循環駆動される。
【0029】
このように、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31、ドライブローラ32、テンションローラ33、一次転写ローラ34、バックアップローラ35、クリーニング装置36、支持部材100などがユニット化された部材であり、一体として画像形成装置1の本体フレーム200に取り付けられる。
【0030】
図2に示すように、中間転写ユニット30には、回転軸方向に延びるピンが複数設けられている。すなわち、図1で見た場合の手前側に突き出るように手前側支持部材101に設けられた1つの手前側ピン111と、奥側に突き出るように奥側支持部材102に設けられた2つの奥側ピン112とがある。手前側ピン111および奥側ピン112は、段付き円柱状の部材である。
【0031】
手前側ピン111は、図1で見た場合の水平方向には、画像形成ユニット11Yの感光体ドラム12に対向する一次転写ローラ34と画像形成ユニット11Mの感光体ドラム12に対向する一次転写ローラ34との間の位置に、上下方向には、中間転写ベルト31の内側の位置に設けられている。
【0032】
2つの奥側ピン112は、図1で見た場合の右側に設けられた右奥側ピン112aと、左側に設けられた左奥側ピン112bとからなる。そして、右奥側ピン112aは、中間転写ベルト31を挟んで手前側ピン111と反対側に設けられている。左奥側ピン112bは、図1で見た場合の水平方向には、バックアップローラ35とテンションローラ33との間の位置に、上下方向には、中間転写ベルト31の内側の位置であってバックアップローラ35と同じ高さの位置に設けられている。
【0033】
また、手前側支持部材101の、図1で見た場合の水平方向における左側端部には、孔121が形成されたブラケット120が固定されている。ブラケット120は、図1で見た場合の上下方向には、中間転写ベルト31の上面よりも上側に突き出ており、この突き出た部位に孔121が形成されている。孔121は、図1で見た場合の水平方向には、バックアップローラ35と同じ位置に形成されている。また、ブラケット120には、バックアップローラ35の回転軸心と二次転写ローラ41の回転軸心との距離が予め定められた距離となるようにバックアップローラ35に対する二次転写ローラ41の位置を位置決めする被位置決め部の一例としてのV字形の位置決め溝122が形成されている。位置決め溝122は、図2に示すように、回転軸方向の両端部にそれぞれ形成されている。
【0034】
図3は、本体フレーム200の外観を示す図である。図3は、図1と同じ方向に見た図である。
本体フレーム200は、中間転写ユニット30が挿入される挿入孔201aが形成された手前側フレーム201と、奥側に配置された奥側フレーム202とを有している。奥側フレーム202には、中間転写ユニット30の右奥側ピン112aが嵌め合わされる右奥側嵌合孔211と、左奥側ピン112bが嵌め合わされる左奥側嵌合孔212とが形成されている。
手前側フレーム201には、回転軸方向に延びる棒状の左手前側ピン221が設けられている。中間転写ユニット30のブラケット120の孔121は、この左手前側ピン221とすきま嵌めで嵌合可能な大きさに形成されている。
【0035】
そして、このように構成された本体フレーム200に中間転写ユニット30を位置決め固定する際には、サイドカバー150は開状態とし、中間転写ユニット30を、本体フレーム200の手前側フレーム201の挿入孔201aに、回転軸方向に手前側から奥側へ挿入する。その際、中間転写ユニット30の右奥側ピン112a(図2参照)を本体フレーム200の奥側フレーム202に形成された右奥側嵌合孔211に、左奥側ピン112bを奥側フレーム202に形成された左奥側嵌合孔212にそれぞれ嵌合する。さらに、本体フレーム200の手前側フレーム201の左手前側ピン221に中間転写ユニット30のブラケット120の孔121を嵌合する。これにより、中間転写ユニット30は、本体フレーム200に位置決め固定される前に本体フレーム200に3つの支点で支持され、位置決めされる。
【0036】
本体フレーム200に中間転写ユニット30を嵌合することにより位置決めした後に、つまり、本体フレーム200に中間転写ユニット30を装着した後に、不図示のフロントカバーを本体フレーム200に、フロントカバーに設けたフックと本体フレーム200に形成された溝との連結またはボルトなどを用いて固定する。そして、フロントカバーを本体フレーム200に固定することで、本体フレーム200に位置決めされた中間転写ユニット30を本体フレーム200に対して位置決め固定する。より詳しくは、フロントカバーには、中間転写ユニット30の手前側ピン111が嵌め合わされる右側孔(不図示)と、本体フレーム200の手前側フレーム201の左手前側ピン221が嵌め合わされる左側孔(不図示)とが形成されている。そして、フロントカバーを本体フレーム200に固定する際には、右側孔を中間転写ユニット30の手前側ピン111に、左側孔を本体フレーム200の手前側フレーム201の左手前側ピン221にそれぞれ嵌合するとともにボルトなどを用いて本体フレーム200に固定する。これにより、フロントカバーが本体フレーム200に固定されるとともに中間転写ユニット30が本体フレーム200に対して位置決め固定される。
【0037】
次に、二次転写ユニット40についてより詳しく説明する。
図4は、二次転写ユニット40の斜視図である。図5は、中間転写ユニット30と二次転写ユニット40とが二次転写部位を形成している状態を示す斜視図である。
二次転写ユニット40は、二次転写ローラ41と、二次転写部位よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、かつ二次転写部位を通過した用紙を下流側に案内する転写後案内部材42と、二次転写部位と転写後案内部材42との間に設けられる除電部材43とを備えている。
【0038】
転写後案内部材42は、図4に示すように、例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材からなる支持部材421と、支持部材421に支持されるとともに用紙が通過する側に用紙搬送方向に沿って連続的に延びる数条のリブ422aが設けられた接触部材422とを有している。接触部材422の材料としては高抵抗材料が用いられ、また、摩擦帯電を最小限にするため、リブ422aの形状としては通過する用紙との接触面積が小さい形状、例えば先端が尖っているような形状とすることが好ましい。
【0039】
除電部材43は、用紙が通過する側の先端に尖った針状電極431a(図9参照)が多数配列されSUS等の導電性部材からなる板状の除電ベース431と、除電ベース431を支持する支持部材432とを有する。除電ベース431は、ユーザの手に触れないように、針状電極431aの尖った先端が支持部材432に設けられたリブ432aの用紙が通過する側の面よりも用紙搬送路から奥まった位置になるように取り付けられている。
【0040】
また、二次転写ユニット40は、上述した二次転写ローラ41、転写後案内部材42および除電部材43などを支持する、非導電性の樹脂部材にて成形された保持手段の一例としてのハウジング44と、二次転写ローラ41の回転軸の二次転写ローラ41よりも外側の部位に取り付けられた位置決め部の一例としての円筒状の位置決め部材45を2つ有している。
ハウジング44は、二次転写ローラ41の軸方向に延び二次転写ローラ41、転写後案内部材42および除電部材43を支持する中央ハウジング441と、図1で見た場合の手前側に位置し、二次転写ローラ41の軸方向に直交するように形成された手前側ハウジング442と、奥側に位置し、二次転写ローラ41の軸方向に直交するように形成された奥側ハウジング443とから構成される。手前側ハウジング442と奥側ハウジング443とには後述する支持軸453が挿入される長孔442aが形成されている。また、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部には、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203(図15参照)と接触する接触部の一例としてのV字形の接触部442bが形成されている。
【0041】
位置決め部材45は、後述するように、中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込むことにより、バックアップローラ35の回転軸心と二次転写ローラ41の回転軸心との距離が予め定められた距離となるようにバックアップローラ35に対する二次転写ローラ41の位置を位置決めする。図6は、位置決め部材45が位置決め溝122に嵌り込んだ状態を示す部分断面図である。言い換えれば図5におけるVI−VI断面図である。
【0042】
以上のように構成された二次転写ユニット40は、サイドカバー150に対して回転可能に支持されている。そして、サイドカバー150は、画像形成装置1の外装を形成する装置外装ユニットの一例としてのカバーユニット300の構成部品の一つである。
図7は、カバーユニット300を二次転写ユニット40が配置されている側から見た斜視図である。
カバーユニット300は、サイドカバー150を有している。そして、サイドカバー150には二次転写ユニット40を回転可能に支持する、例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材が折り曲げ加工された支持板451が少なくとも2つのボルト452でネジ止めされている。
【0043】
また、支持板451には、二次転写ローラ41の軸方向に延びる支持軸453が取り付けられており、この支持軸453が、二次転写ユニット40の手前側ハウジング442と奥側ハウジング443とに形成された長孔442aに挿入されることで二次転写ユニット40を仮保持する。
また、支持板451には、二次転写ユニット40に対して図1で見た場合の時計回転方向に回転力を付与する力付与手段の一例としての力付与ユニット46(図8参照)が、二次転写ローラ41の軸方向であって二次転写ローラ41よりも外側の両側に取り付けられている。
【0044】
図8は、力付与ユニット46の断面図である。
図8に示すように、力付与ユニット46は、中央ハウジング441の一部である斜面部441aに接触する押圧手段一例としての押圧部材461と、押圧部材461の下方に位置して上下動するスライダー462と、スライダー462に対して上下方向の力を付与する弾性部材の一例としてのコイルスプリング463と、スライダー462およびコイルスプリング463をカバーするカバー464とを有する。スライダー462の上側には、ボルト465にてスライダー462に固定された断面コの字状の押圧部材461を支持する押圧部材支持部材466が設けられている。押圧部材支持部材466のコの字状の一方の辺から他方の辺にかけて設けられた支持軸467に押圧部材461が嵌合されている。なお、カバー464は、支持板451に取り付けられている。
【0045】
また、支持板451には、2つの力付与ユニット46のそれぞれの上方に、二次転写ユニット40が図8で見た場合の時計回転方向に回転するのを規制する規制部451aが設けられている。規制部451aは、押圧部材461との間に中央ハウジング441の斜面部441aを挟み込み、斜面部441aが時計回転方向に回転するのを規制する。
支持板451と二次転写ユニット40との間には、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部に設けられた接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが予め定められた角度以上となるように、サイドカバー150に対する二次転写ユニット40の傾きを維持するための維持手段の一例としての2つのねじりコイルばねが幅方向に配置されている。言い換えれば、2つのねじりコイルばねは、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部に設けられた接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが予め定められた角度以上となるように、サイドカバー150に対する二次転写ユニット40の姿勢(傾き)を維持する維持手段の一例として機能する。以下では、2つのねじりコイルばねの内、図4で見た場合の右側、つまり装置奥側に配置されたねじりコイルばねをねじりコイルばね251と、図4で見た場合の左側、つまり装置手前側に配置されたねじりコイルばねをねじりコイルばね252と称す。
【0046】
図9は、装置奥側に配置されたねじりコイルばね251の取り付け態様を、支持板451側の上方から見た図である。なお、図9においては、支持板451、転写後案内部材42などを省略して示している。図10は、後述する板バネ260と除電ベース431との接触状態を示す図である。なお、図10においては、転写後案内部材42を省略して示している。図11は、装置奥側に配置されたねじりコイルばね251の取り付け態様を、装置奥側の下方から見た図である。なお、図11においては支持軸453は省略して示している。
【0047】
図9に示すように、ねじりコイルばね251の一方の端部251aはコイル状に成形されており、この一方の端部251aが中央ハウジング441の支持板451側の面と接触している。より詳しくは、図10に示すように、例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材が折り曲げ加工にて成形された板バネ260が、除電部材43の除電ベース431を直接的に押圧して支持部材432に付勢するべく中央ハウジング441に取り付けられており、この板バネ260の外面260aに一方の端部251aが接触している。
【0048】
また、図11に示すように、ねじりコイルばね251の他方の端部251bはコイル状に成形されており、この他方の端部251bは支持板451と接触している。ねじりコイルばね251の一方の端部251aと他方の端部251bとの間には、二次転写ローラ41の軸方向が中心線となるコイル状の第1コイル部251cと、支持板451の板面に直交する方向が中心線となるコイル状の第2コイル部251dとが設けられている。これら第1コイル部251cおよび第2コイル部251dは、支持板451に取り付けられた第1バネ支持部材271に形成された凸部に支持されている。また、第1コイル部251cおよび第2コイル部251dを覆うように第1バネカバー281が支持板451に取り付けられている。第1バネ支持部材271および第1バネカバー281は、例えば樹脂などの非導電性部材にて成形されている。
【0049】
図12は、装置手前側に配置されたねじりコイルばね252の取り付け態様を、支持板451側の上方から見た図である。なお、図12においては、支持板451を省略して示している。図13は、装置手前側に配置されたねじりコイルばね252の取り付け態様を、中間転写ユニット30側から見た図である。なお、図13においては、後述する転写前案内部材47を省略して示している。
【0050】
図12に示すように、ねじりコイルばね252の一方の端部252aはコイル状に成形されており、この一方の端部252aが中央ハウジング441の支持板451側の面と接触している。より詳しくは、亜鉛めっき鋼板等の導電性部材がコの字状に折り曲げ加工されて成形された折り曲げ部材261が、中央ハウジング441に取り付けられており、この折り曲げ部材261のコの字状の一方の辺の外面261aに一方の端部252aが接触している。なお、折り曲げ部材261のコの字状の他方の辺は、転写後案内部材42の支持部材421と接触している。
【0051】
また、図13に示すように、ねじりコイルばね252の他方の端部252bはコイル状に成形されており、この他方の端部252bは例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材が折り曲げ加工にて成形された導通用部材291と接触している。ねじりコイルばね252の一方の端部252aと他方の端部252bとの間には、二次転写ローラ41の軸方向が中心線となるコイル状の第3コイル部252cと、支持板451の板面に直交する方向が中心線となるコイル状の第4コイル部252dとが設けられている。これら第3コイル部252cおよび第4コイル部252dは、支持板451に取り付けられた第2バネ支持部材272に形成された凸部に支持されている。なお、第3コイル部252cおよび第4コイル部252dを覆うように第2バネカバー282が支持板451に取り付けられている。第2バネ支持部材272および第2バネカバー282は、例えば樹脂などの非導電性部材にて成形されている。導通用部材291は、支持板451に取り付けられ、例えば樹脂などの非導電性部材にて成形された導通用部材支持部材292に支持されており、ねじりコイルばね252の他方の端部252bと接触している端部とは異なる端部291aは後述するコイルスプリング471と接触している。
【0052】
かかる構成により、二次転写ユニット40は、ねじりコイルばね251およびねじりコイルばね252により、サイドカバー150に対して予め定められた傾きを維持するように支持される。
そして、ねじりコイルばね251は、除電部材43の除電ベース431を、サイドカバー150を介して接地する機能をも有している。すなわち、除電部材43の除電ベース431が、板バネ260およびねじりコイルばね251を介して支持板451に導通されており、支持板451は接地されているサイドカバー150にボルト452で締結されている。
【0053】
ねじりコイルばね252は、転写後案内部材42を、高抵抗体を介して接地する機能をも有している。
先ず、転写前案内部材47について説明する。図7に示すように、サイドカバー150には、二次転写部位よりも用紙搬送方向の上流側に設けられ、用紙を二次転写部位に向けて案内する案内部の一例としての転写前案内部材47が取り付けられている。転写前案内部材47は、本体フレーム200側に取り付けられた対向部材(不図示)と協働して搬送路64を形成し、用紙を案内する。また、転写前案内部材47が形成する搬送路64の途中のサイドカバー150には、1対のローラからなるレジストローラ65の一方のローラが取り付けられている。なお、レジストローラ65の他方のローラは本体フレーム200側に取り付けられている。
【0054】
転写前案内部材47とサイドカバー150との間にはコイルスプリング471が設けられており、コイルスプリング471に押圧されることにより転写前案内部材47は、協働して搬送路64を形成する対向部材(不図示)の方へ付勢されている。転写前案内部材47は、高抵抗体(不図示)に接続されており、高抵抗体は、サイドカバー150に接地されている。ゆえに、転写前案内部材47は、高抵抗体を介して接地、つまり高抵抗接地されている。
そして、転写後案内部材42の支持部材421は、折り曲げ部材261、ねじりコイルばね252、導通用部材291およびコイルスプリング471を介して転写前案内部材47と導通されているので、転写前案内部材47と同様に高抵抗体を介して接地、つまり高抵抗接地されている。
【0055】
図14は、カバーユニット300の外観図である。
以上説明したように、二次転写ユニット40および転写前案内部材47が取り付けられたサイドカバー150を保持するカバーユニット300は、本体フレーム200に対して図1で見た場合の反時計回転方向に回転することで、図1に示す状態である閉状態から搬送路64を開放する開状態となる。その際、カバーユニット300の幅方向の両サイドの下部に設けられた凹部301が、本体フレーム200に設けられた回転軸(不図示)に嵌合し、この回転軸を回転中心として回転する。
【0056】
カバーユニット300には、図7に示すように、カバーユニット300が図1に示した閉状態である場合に、本体フレーム200に設けられた溝(不図示)に連結されることにより、カバーユニット300を本体フレーム200に連結するフック302が幅方向の両サイドに設けられている。そして、図14に示すように、カバーユニット300の右上部には、フック302を回転させて本体フレーム200に設けられた溝との連結を解除する開閉レバー303が設けられており、ユーザが開閉レバー303を下から上へと回転させることでカバーユニット300を開くことが可能になっている。また、ユーザがカバーユニット300を閉じる際には、カバーユニット300の上部を押すことで、カバーユニット300のフック302が本体フレーム200に設けられた溝に嵌り、カバーユニット300が閉状態となる。
【0057】
以上のように構成された画像形成装置1においては、カバーユニット300が開状態から閉状態に遷移される場合、以下のように作用する。
先ず、カバーユニット300を閉状態にするべく回転させていくと、二次転写ユニット40の手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが本体フレーム200に固定された被接触部材の一例としての円筒状の部材203(図15参照)と接触し始める。
さらにカバーユニット300が回転させられると、二次転写ユニット40の位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込む。その後さらにカバーユニット300が回転させられると、二次転写ユニット40には以下の力が作用する。すなわち、二次転写ユニット40は、位置決め部材45が位置決め溝122から力を受け、接触部442bが本体フレーム200に固定された円筒状の部材203(図15参照)から力を受け、斜面部441aが押圧部材461から力を受ける。他方、力付与ユニット46の押圧部材461は斜面部441aから反力を受ける。
そして、さらにカバーユニット300が回転させられ、力付与ユニット46の押圧部材461が斜面部441aにより受ける力がコイルスプリング463のバネ力よりも大きくなると、二次転写ユニット40は、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203の中心軸を回転中心(支点)として、サイドカバー150に対して反時計回転方向に回転する。
【0058】
図15〜図17は、カバーユニット300が開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニット40の状態の変化を簡略的に示す図である。
図15(a)は、二次転写ユニット40の手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが本体フレーム200に固定された円筒状の部材203と接触し始める前の状態を示している。図15(a)に示すように、二次転写ユニット40は、中間転写ユニット30や本体フレーム200と接触していない状態のときには、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443に形成された長孔442aが支持軸453と接触することで落下することが抑制されるとともに力付与ユニット46の押圧部材461から力を受けた斜面部441aが支持板451の規制部451aにより反時計回転方向に回転することが規制される。また、装置奥側に配置されたねじりコイルばね251と、装置手前側に配置されたねじりコイルばね252により、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部に設けられた接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが予め定められた角度以上となるように、サイドカバー150に対する二次転写ユニット40の姿勢が維持される。
【0059】
その後、カバーユニット300が回転させられると、図15(b)に示すように、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが円筒状の部材203に接触し始める。なお、上述した、ねじりコイルばね251とねじりコイルばね252により、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが維持される予め定められた角度以上とは、カバーユニット300を閉状態にする際に、接触部442bが円筒状の部材203と接触する角度以上である。つまり、なす角αが予め定められた角度未満である場合には、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bの右側の部位が円筒状の部材203に突き当たり、接触部442bが円筒状の部材203と接触しない。
【0060】
そして、図15(b)に示す状態から、さらにカバーユニット300が回転させられると、図16(a)に示すように、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが円筒状の部材203に接触するとともに、中央ハウジング441に支持された位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に接触し始める。すなわち、二次転写ユニット40は、なす角αが予め定められた角度以上に維持されることにより、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bの右側の部位が円筒状の部材203を乗り越えられるように姿勢を維持され、乗り越えたあとに、接触部442bと円筒状の部材203とが接触するよう構成されている。
【0061】
その後、さらにカバーユニット300が回転させられると、図16(b)に示すように、中央ハウジング441に支持された位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込み、位置決め部材45が位置決め溝122のV字形の二辺それぞれと接触する。これにより、二次転写ユニット40が中間転写ユニット30に対して位置決めされる。かかる状態のときには、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが本体フレーム200に固定された円筒状の部材203から力を受けることで、斜面部441aが押圧部材461から力を受けても、長孔442aが支持軸453と接触することなく中間転写ユニット30の姿勢が維持される。
【0062】
その後、さらにカバーユニット300が回転させられると、サイドカバー150は時計回転方向に回転しようとする一方で二次転写ユニット40は本体フレーム200に固定された中間転写ユニット30の位置決め溝122により時計回転方向に回転することができない。その結果、図17(a)に示すように、力付与ユニット46の押圧部材461が中央ハウジング441の斜面部441aから受ける力がコイルスプリング463のバネ力よりも大きくなり、二次転写ユニット40は、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203の中心軸を回転中心(支点)として、サイドカバー150に対して反時計回転方向に回転する。言い換えれば、サイドカバー150が二次転写ユニット40に対して時計回転方向に回転する。
【0063】
図17(b)は、カバーユニット300が閉状態であるときの様子を示す図である。図17(a)の状態からさらにカバーユニット300が回転させられると、サイドカバー150がさらに時計回転方向に回転しようとする一方で、二次転写ユニット40は本体フレーム200に対して固定されているので、押圧部材461が中央ハウジング441の斜面部441aから力を受けてコイルスプリング463を圧縮する。そして、サイドカバー150は、二次転写ユニット40に対してさらに時計回転方向に回転する。そして、カバーユニット300のフック302が本体フレーム200に設けられた溝に嵌り、カバーユニット300が閉状態となる。
【0064】
次に、以上のように構成された画像形成装置1におけるカバーユニット300を閉状態にする際に必要な力について説明する。
先ず、二次転写ユニット40の位置決めに要する力に着目すると、二次転写ユニット40の中央ハウジング441に支持された位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込み、位置決め部材45が位置決め溝122のV字形の二辺それぞれと接触するまでは、二次転写ユニット40は本体フレーム200側からはいかなる力も受けていない。言い換えれば、サイドカバー150は、二次転写ユニット40から、支持軸453にて二次転写ユニット40を支える以外のいかなる力も受けていない。
【0065】
位置決め部材45が位置決め溝122と接触した後は、中央ハウジング441の斜面部441aが力付与ユニット46の押圧部材461を押す力、ひいてはコイルスプリング463から受ける力に抗してカバーユニット300を回転させる必要がある。それゆえ、その分カバーユニット300を閉じ方向へ回転するのに要する力が大きくなる。
【0066】
この力の大きさについて考えると、例えば、二次転写ローラ41がコイルバネを介してサイドカバー150に取り付けられ、カバーユニット300を閉状態とすることで二次転写ローラ41が中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧するように構成されている装置(以下「比較装置」という。)の、カバーユニット300を閉状態とする際に必要な力と比べて小さい。すなわち、かかる場合には、二次転写ローラ41が中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35から受ける反力に抗してカバーユニット300を回転させる必要がある。
【0067】
この比較装置に対して本実施の形態に係る画像形成装置1においては、二次転写ユニット40の中央ハウジング441に作用する力は、位置決め部材45が位置決め溝122から受ける力、言い換えれば中央ハウジング441が位置決め部材45の支持軸から受ける力と斜面部441aが押圧部材461から受ける力である。そして、この中央ハウジング441は、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203の中心軸を回転中心として回転する。ゆえに、二次転写ユニット40に生じる、円筒状の部材203の中心軸回りのモーメントの釣り合いにより、円筒状の部材203の中心軸からの距離が長くなる斜面部441aと押圧部材461との接触部位に生じる力は、位置決め部材45と位置決め溝122との間に生じる力よりも小さくなる。したがって、比較装置において二次転写ローラ41がバックアップローラ35から受ける力の大きさおよび向きと本実施の形態における中央ハウジング441が位置決め部材45の支持軸から受ける力の大きさおよび向きは同じであると仮定すると、円筒状の部材203の中心軸から斜面部441aと押圧部材461との接触部位に生じる力までの距離が長くなる分、本実施の形態に係るカバーユニット300を閉じるのに要する力は、比較装置における力よりも小さくて済む。
【0068】
次に、転写前案内部材47の位置決めに要する力に着目する。上述したように、サイドカバー150には、コイルスプリング471を介して転写前案内部材47が取り付けられている。この転写前案内部材47の幅方向の両サイドには幅方向に延びるピン472がそれぞれ設けられており、本体フレーム200には、これらのピン472が嵌る嵌合溝(不図示)が形成されている。そして、ピン472が嵌合溝に嵌り込むことで転写前案内部材47が本体フレーム200に位置決め固定される。ここで、この嵌合溝は、カバーユニット300が回転する際のピン472の回転軌跡に沿うように形成されているのではなく、地面に平行に形成されている。それゆえ、カバーユニット300を閉状態にする際には、転写前案内部材47のピン472が嵌合溝の入り口に接触した後に嵌合溝にきちんと入るまでに必要な力が大きくなり、一旦ピン472が嵌合溝に入った後に必要な力は徐々に小さくなる。
【0069】
図18は、本実施の形態に係るカバーユニット300を閉状態にするのに要する力を説明するための図である。図18(a)は、カバーユニット300が開状態から閉状態まで回転される際の回転角度に対する転写前案内部材47の位置決め固定に要する力を示す図である。図18(b)は、同じくカバーユニット300の回転角度に対する二次転写ユニット40の位置決め固定に要する力を示す図である。図18(c)は、(a)における操作荷重と(b)における力とを加算した力である。
【0070】
上述したように、図18(a)に示した転写前案内部材47の位置決め固定に要する操作荷重においては、転写前案内部材47のピン472が嵌合溝の入り口に接触した後嵌合溝にきちんと入るまでに必要な力がピークとなり、一旦ピン472が嵌合溝に入った後は徐々に小さくなる。
二次転写ユニット40に関しては、上述したように、図18(b)に示すように、位置決め部材45が位置決め溝122のV字形の二辺それぞれと接触した後に、中央ハウジング441の斜面部441aが力付与ユニット46の押圧部材461を押す力に抗してカバーユニット300を回転させる必要があり、そのときに必要な力はカバーユニット300の回転角度に比例して徐々に大きくなっていく。
そして、カバーユニット300の操作荷重全体としては、図18(c)に示すようになる。したがって、例えば、二次転写ユニット40を位置決め固定するのに要する操作荷重のピークが、転写前案内部材47を位置決め固定するのに要する操作荷重のピークと同じようなタイミングとなる装置と比較すると、最大操作荷重が小さくなる。
【0071】
また、カバーユニット300を閉じるのに必要な力を小さくするために、カバーユニット300を開状態から閉状態にする際に二次転写ローラ41が中間転写ユニット30を押圧しないようにするリトラクト機構を設けることも考えられる。しかしながら、このようなリトラクト機構を設けるには、カバーユニット300のサイズが大きくなってしまうおそれがあり、また、リトラクト機構の分部品点数が増加することとなり、コスト増、重量増となってしまうおそれがある。
したがって、本実施の形態に係る装置構成によれば、リトラクト機構を備える装置と比較して、装置の小型化、軽量化および低価格化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1…画像形成装置、10…画像形成部、20…光学系ユニット、30…中間転写ユニット、40…二次転写ユニット、41…二次転写ローラ、42…転写後案内部材、43…除電部材、44…ハウジング、45…位置決め部材、46…力付与ユニット、47…転写前案内部材、50…定着装置、60…用紙供給部、100…支持部材、150…サイドカバー、200…本体フレーム、251,252…ねじりコイルばね、300…カバーユニット、451…支持板
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および装置外装ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、転写ローラを支持した開閉部材(カバー)を閉じることで、表面にトナー像を保持する像保持体に転写ローラを押圧するように構成された画像形成装置が提案されている。
例えば特許文献1に記載の画像形成装置は、以下のように構成されている。すなわち、像担持体と、シート供給トレイのシートをシート排出トレイに搬送する途中に設けられ、下方から上方へ搬送されるシートにトナー像を転写する転写ローラと、転写ローラを支持して閉塞位置と開放位置との間で移動可能なカバーであって、閉塞位置においては転写ローラを像担持体表面に当接させ且つ離隔位置においては転写ローラを像担持体表面から離隔させるカバーとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−330352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転写体(転写ローラ)を支持した開閉部材を閉じる際には、転写ローラを像保持体に押し付けつつ閉じなければならないことから、開閉部材を閉じる際の操作荷重が大きくなるおそれがある。
本発明は、開閉部材を閉じるのに伴って転写体が中間転写体と接触する構成を採用した場合に開閉部材を閉じる際に必要な力を小さくすることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を、搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、前記転写ユニットおよび前記案内部をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられた開閉手段と、を備え、前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記開閉手段は、開状態から閉状態になる過程で、前記転写ユニットが前記位置決め部により接触力を受けた場合に、当該接触力に基づく特定の支点回りの回転力による回転方向とは反対方向の回転力を、当該特定の支点から当該接触力が作用する位置までの距離よりも遠い位置にて当該転写ユニットに対して付与する力付与手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記転写ユニットは、前記転写体を保持する保持手段を有し、前記力付与手段は、前記保持手段に接触し前記開閉手段に対する当該保持手段の位置に応じた前記回転力を当該保持手段に付与することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記力付与手段は、弾性部材を介して前記開閉手段に支持され、当該弾性部材の弾性力に応じた力で前記保持手段を押圧する押圧手段を有し、前記弾性部材は、前記開閉手段に対する前記保持手段の位置が近くなるほど大きな弾性力を生じることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、前記保持手段は、前記装置本体に設けられた外面が円筒状の被接触部材に接触する接触部を有し、当該保持手段は、当該接触部が当該被接触部材に接触した状態で当該被接触部材の軸心を回転中心として前記開閉手段に対して回転可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、前記像保持体は、感光体に形成されたトナー像を保持する中間転写体と、当該中間転写体を回転可能に支持する複数の回転部材とを有する中間転写ユニットであり、前記転写ユニットは、前記中間転写ユニットの前記複数の回転部材の内の少なくとも1つの回転部材を押圧し前記中間転写体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写ユニットであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項7に記載の発明は、装置本体の外装を形成する装置外装ユニットであって、トナー像を保持する像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、前記装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられ、前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの当該装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする装置外装ユニットである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、転写ユニットおよび案内部を支持した開閉手段を閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、開閉手段を閉じる際に必要な力を小さくすることを、本発明を採用しない場合に比べて、より簡易な構成で実現することができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力を小さくすることを、より簡易な構成で実現することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力を小さくすることを、より簡易な構成で実現することができる。
【0013】
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、開閉手段を閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、転写ユニットおよび案内部を支持した装置外装ユニットを閉じる際に必要な力をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】中間転写ユニットの斜視図である。
【図3】本体フレームの外観を示す図である。
【図4】二次転写ユニットの斜視図である。
【図5】中間転写ユニットと二次転写ユニットとが二次転写部位を形成している状態を示す斜視図である。
【図6】位置決め部材が位置決め溝に嵌り込んだ状態を示す部分断面図である。
【図7】カバーユニットを二次転写ユニットが配置されている側から見た斜視図である。
【図8】力付与ユニットの断面図である。
【図9】装置奥側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、支持板側の上方から見た図である。
【図10】板バネと除電ベースとの接触状態を示す図である。
【図11】装置奥側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、装置奥側の下方から見た図である。
【図12】装置手前側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、支持板側の上方から見た図である。
【図13】装置手前側に配置されたねじりコイルばねの取り付け態様を、中間転写ユニット側から見た図である。
【図14】カバーユニットの外観図である。
【図15】カバーユニットが開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニットの状態の変化を簡略的に示す図である。
【図16】カバーユニットが開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニットの状態の変化を簡略的に示す図である。
【図17】カバーユニットが開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニットの状態の変化を簡略的に示す図である。
【図18】カバーユニットを閉状態にするのに要する力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態が適用される画像形成装置1の概略構成を示した図である。
画像形成装置1は、記録媒体(以下、代表して「用紙」と記す場合もある。)上に画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10に対して用紙を供給する用紙供給部60と、画像形成部10にて画像が形成された用紙を積載する積載部70とを備えている。また、画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読み取り部80と、各部の動作を制御する制御部90とを備えている。
【0016】
画像形成部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kを備えている。各画像形成ユニット11は、感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を一様に帯電する帯電器13と、後述する光学系ユニット20によるレーザ照射によって形成された静電潜像を予め定められた色成分トナーで現像し可視化する現像器14とを備えている。また、画像形成部10には、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの現像器14に対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。そして、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの下方には、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に対してレーザ光を照射する光学系ユニット20が配置されている。
【0017】
また、画像形成部10は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト31上に多重転写させる中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30上に重畳されて形成されたトナー像を用紙に転写する転写ユニットの一例としての二次転写ユニット40(図4参照)と、用紙上に形成されたトナー像を加熱および加圧して定着する定着装置50とを備えている。
【0018】
光学系ユニット20は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)を偏向走査するポリゴンミラー21と、レーザ光を通過するガラス製のウィンドウ22と、各構成部材を密閉するための直方体状のフレーム23とを備えている。
【0019】
中間転写ユニット30は、中間転写体である像保持体の一例としての中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を駆動するドライブローラ32と、中間転写ベルト31に一定のテンションを付与するテンションローラ33とを備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光体ドラム12と中間転写ベルト31を挟んで対向して感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写するための複数(本実施の形態においては4つ)の一次転写ローラ34と、中間転写ベルト31を介して後述する二次転写ローラ41に対向して設けられたバックアップローラ35とを備えている。
【0020】
中間転写ベルト31は、ドライブローラ32、テンションローラ33、複数の一次転写ローラ34およびバックアップローラ35などの複数の回転部材に、複数の一次転写ローラ34の並び方向の長さがこれら複数の一次転写ローラ34の回転軸を含む平面に直交する方向の長さよりも長くなるように張りかけられるとともに一定のテンションで張りかけられており、駆動モータ(図示せず)によって回転駆動されるドライブローラ32により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト31は、例えば、ゴムまたは樹脂にて成形されたものが使用される。
【0021】
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置36を備えている。クリーニング装置36は、クリーニングブラシ36aと、クリーニングブレード36bとを備えており、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト31の表面から残留トナーや紙粉等を除去する。
このように、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31がドライブローラ32やテンションローラ33などに複数の一次転写ローラ34の並び方向に細長くなるように張りかけられており、この細長く張りかけられた中間転写ベルト31の長手方向の一方の端部に、バックアップローラ35が配置され、長手方向の他方の端部に、クリーニング装置36が配置された細長の形状である。
そして、中間転写ユニット30の手前側には、中間転写ユニット30における手前側の部位を覆うとともに、中間転写ユニット30を、本実施の形態における画像形成装置1の装置本体を構成する本体フレーム200(図3参照)に固定するフロントカバー(不図示)が配置されている。
【0022】
二次転写ユニット40は、中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧することにより中間転写ベルト31との間で二次転写部位を形成し、この二次転写部位にて用紙上にトナー像を二次転写する転写体の一例としての二次転写ローラ41を有している。二次転写ローラ41は中間転写ベルト31上に形成されたトナー像を用紙に転写するために、トナー帯電極性とは反対極性の電荷を用紙に与えて静電気力にて中間転写ベルト31上のトナー像を用紙に転写させるものである。それゆえ、二次転写ローラ41とバックアップローラ35との間に予め定められた転写電界が生成されるようになっている。この二次転写ユニット40は、画像形成装置1における図1で見た場合の左側側面に設けられた開閉手段の一例としてのサイドカバー150に支持されている。その構造については後で詳述する。
定着装置50は、中間転写ユニット30によって二次転写された用紙上の画像(トナー像)を、加熱定着ローラ51と加圧ローラ52とにより、熱および圧力を用いて用紙に定着させる。
【0023】
用紙供給部60は、画像が記録される用紙を収容する用紙収容部61と、用紙収容部61から用紙を取り上げて搬送路64へ供給するナジャーローラ62と、ナジャーローラ62から供給された用紙を1枚ずつ分離して搬送するフィードローラ63とを備えている。また、用紙供給部60は、フィードローラ63により1枚ずつに分離された用紙を二次転写位置に向けて搬送する搬送路64と、搬送路64を介して搬送された用紙に対し、二次転写位置に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストローラ65とを備えている。
【0024】
以上のように構成された画像形成装置1は、以下のように作用する。
画像読み取り部80によって読み取られた原稿の画像や、図示しないパーソナルコンピュータ等から受信した画像データは、予め定められた画像処理が施され、画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、光学系ユニット20に出力される。
【0025】
光学系ユニット20は、入力された色材階調データに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光を、f−θレンズ(不図示)を介してポリゴンミラー21に出射する。ポリゴンミラー21では、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に照射する。
【0026】
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12では、帯電器13で帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト31上に多重転写される。
【0027】
一方、用紙供給部60では、画像形成のタイミングに合わせてナジャーローラ62が回転して用紙収容部61に収容されている用紙を取り上げ、フィードローラ63により1枚ずつ分離された後、搬送路64を経てレジストローラ65に搬送され、一旦、停止される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト31の移動タイミングに合わせてレジストローラ65が回転し、バックアップローラ35および二次転写ローラ41によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される用紙には、圧接力および予め定められた電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された用紙は、定着装置50によって熱および圧力で定着処理を受けた後に排出され、積載部70に積載される。
【0028】
次に、中間転写ユニット30についてより詳しく説明する。
図2は、中間転写ユニット30の斜視図である。
中間転写ユニット30は、上述したように、ドライブローラ32と、テンションローラ33と、一次転写ローラ34と、バックアップローラ35とを備え、さらに、これらのローラを、ローラの回転軸方向(以下、単に「回転軸方向」と称する場合がある。)の両側において支持する支持部材100をさらに備えている。支持部材100は、図1で見た場合の手前側に設けられた手前側支持部材101と、奥側に設けられた奥側支持部材102とを有しており、この手前側支持部材101と奥側支持部材102とで、ドライブローラ32と、テンションローラ33と、複数の一次転写ローラ34と、バックアップローラ35とを回転可能に支持している。そして、ドライブローラ32と、テンションローラ33と、一次転写ローラ34と、バックアップローラ35とに中間転写ベルト31が掛け回されており、中間転写ベルト31は、ドライブローラ32により循環駆動される。
【0029】
このように、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31、ドライブローラ32、テンションローラ33、一次転写ローラ34、バックアップローラ35、クリーニング装置36、支持部材100などがユニット化された部材であり、一体として画像形成装置1の本体フレーム200に取り付けられる。
【0030】
図2に示すように、中間転写ユニット30には、回転軸方向に延びるピンが複数設けられている。すなわち、図1で見た場合の手前側に突き出るように手前側支持部材101に設けられた1つの手前側ピン111と、奥側に突き出るように奥側支持部材102に設けられた2つの奥側ピン112とがある。手前側ピン111および奥側ピン112は、段付き円柱状の部材である。
【0031】
手前側ピン111は、図1で見た場合の水平方向には、画像形成ユニット11Yの感光体ドラム12に対向する一次転写ローラ34と画像形成ユニット11Mの感光体ドラム12に対向する一次転写ローラ34との間の位置に、上下方向には、中間転写ベルト31の内側の位置に設けられている。
【0032】
2つの奥側ピン112は、図1で見た場合の右側に設けられた右奥側ピン112aと、左側に設けられた左奥側ピン112bとからなる。そして、右奥側ピン112aは、中間転写ベルト31を挟んで手前側ピン111と反対側に設けられている。左奥側ピン112bは、図1で見た場合の水平方向には、バックアップローラ35とテンションローラ33との間の位置に、上下方向には、中間転写ベルト31の内側の位置であってバックアップローラ35と同じ高さの位置に設けられている。
【0033】
また、手前側支持部材101の、図1で見た場合の水平方向における左側端部には、孔121が形成されたブラケット120が固定されている。ブラケット120は、図1で見た場合の上下方向には、中間転写ベルト31の上面よりも上側に突き出ており、この突き出た部位に孔121が形成されている。孔121は、図1で見た場合の水平方向には、バックアップローラ35と同じ位置に形成されている。また、ブラケット120には、バックアップローラ35の回転軸心と二次転写ローラ41の回転軸心との距離が予め定められた距離となるようにバックアップローラ35に対する二次転写ローラ41の位置を位置決めする被位置決め部の一例としてのV字形の位置決め溝122が形成されている。位置決め溝122は、図2に示すように、回転軸方向の両端部にそれぞれ形成されている。
【0034】
図3は、本体フレーム200の外観を示す図である。図3は、図1と同じ方向に見た図である。
本体フレーム200は、中間転写ユニット30が挿入される挿入孔201aが形成された手前側フレーム201と、奥側に配置された奥側フレーム202とを有している。奥側フレーム202には、中間転写ユニット30の右奥側ピン112aが嵌め合わされる右奥側嵌合孔211と、左奥側ピン112bが嵌め合わされる左奥側嵌合孔212とが形成されている。
手前側フレーム201には、回転軸方向に延びる棒状の左手前側ピン221が設けられている。中間転写ユニット30のブラケット120の孔121は、この左手前側ピン221とすきま嵌めで嵌合可能な大きさに形成されている。
【0035】
そして、このように構成された本体フレーム200に中間転写ユニット30を位置決め固定する際には、サイドカバー150は開状態とし、中間転写ユニット30を、本体フレーム200の手前側フレーム201の挿入孔201aに、回転軸方向に手前側から奥側へ挿入する。その際、中間転写ユニット30の右奥側ピン112a(図2参照)を本体フレーム200の奥側フレーム202に形成された右奥側嵌合孔211に、左奥側ピン112bを奥側フレーム202に形成された左奥側嵌合孔212にそれぞれ嵌合する。さらに、本体フレーム200の手前側フレーム201の左手前側ピン221に中間転写ユニット30のブラケット120の孔121を嵌合する。これにより、中間転写ユニット30は、本体フレーム200に位置決め固定される前に本体フレーム200に3つの支点で支持され、位置決めされる。
【0036】
本体フレーム200に中間転写ユニット30を嵌合することにより位置決めした後に、つまり、本体フレーム200に中間転写ユニット30を装着した後に、不図示のフロントカバーを本体フレーム200に、フロントカバーに設けたフックと本体フレーム200に形成された溝との連結またはボルトなどを用いて固定する。そして、フロントカバーを本体フレーム200に固定することで、本体フレーム200に位置決めされた中間転写ユニット30を本体フレーム200に対して位置決め固定する。より詳しくは、フロントカバーには、中間転写ユニット30の手前側ピン111が嵌め合わされる右側孔(不図示)と、本体フレーム200の手前側フレーム201の左手前側ピン221が嵌め合わされる左側孔(不図示)とが形成されている。そして、フロントカバーを本体フレーム200に固定する際には、右側孔を中間転写ユニット30の手前側ピン111に、左側孔を本体フレーム200の手前側フレーム201の左手前側ピン221にそれぞれ嵌合するとともにボルトなどを用いて本体フレーム200に固定する。これにより、フロントカバーが本体フレーム200に固定されるとともに中間転写ユニット30が本体フレーム200に対して位置決め固定される。
【0037】
次に、二次転写ユニット40についてより詳しく説明する。
図4は、二次転写ユニット40の斜視図である。図5は、中間転写ユニット30と二次転写ユニット40とが二次転写部位を形成している状態を示す斜視図である。
二次転写ユニット40は、二次転写ローラ41と、二次転写部位よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、かつ二次転写部位を通過した用紙を下流側に案内する転写後案内部材42と、二次転写部位と転写後案内部材42との間に設けられる除電部材43とを備えている。
【0038】
転写後案内部材42は、図4に示すように、例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材からなる支持部材421と、支持部材421に支持されるとともに用紙が通過する側に用紙搬送方向に沿って連続的に延びる数条のリブ422aが設けられた接触部材422とを有している。接触部材422の材料としては高抵抗材料が用いられ、また、摩擦帯電を最小限にするため、リブ422aの形状としては通過する用紙との接触面積が小さい形状、例えば先端が尖っているような形状とすることが好ましい。
【0039】
除電部材43は、用紙が通過する側の先端に尖った針状電極431a(図9参照)が多数配列されSUS等の導電性部材からなる板状の除電ベース431と、除電ベース431を支持する支持部材432とを有する。除電ベース431は、ユーザの手に触れないように、針状電極431aの尖った先端が支持部材432に設けられたリブ432aの用紙が通過する側の面よりも用紙搬送路から奥まった位置になるように取り付けられている。
【0040】
また、二次転写ユニット40は、上述した二次転写ローラ41、転写後案内部材42および除電部材43などを支持する、非導電性の樹脂部材にて成形された保持手段の一例としてのハウジング44と、二次転写ローラ41の回転軸の二次転写ローラ41よりも外側の部位に取り付けられた位置決め部の一例としての円筒状の位置決め部材45を2つ有している。
ハウジング44は、二次転写ローラ41の軸方向に延び二次転写ローラ41、転写後案内部材42および除電部材43を支持する中央ハウジング441と、図1で見た場合の手前側に位置し、二次転写ローラ41の軸方向に直交するように形成された手前側ハウジング442と、奥側に位置し、二次転写ローラ41の軸方向に直交するように形成された奥側ハウジング443とから構成される。手前側ハウジング442と奥側ハウジング443とには後述する支持軸453が挿入される長孔442aが形成されている。また、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部には、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203(図15参照)と接触する接触部の一例としてのV字形の接触部442bが形成されている。
【0041】
位置決め部材45は、後述するように、中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込むことにより、バックアップローラ35の回転軸心と二次転写ローラ41の回転軸心との距離が予め定められた距離となるようにバックアップローラ35に対する二次転写ローラ41の位置を位置決めする。図6は、位置決め部材45が位置決め溝122に嵌り込んだ状態を示す部分断面図である。言い換えれば図5におけるVI−VI断面図である。
【0042】
以上のように構成された二次転写ユニット40は、サイドカバー150に対して回転可能に支持されている。そして、サイドカバー150は、画像形成装置1の外装を形成する装置外装ユニットの一例としてのカバーユニット300の構成部品の一つである。
図7は、カバーユニット300を二次転写ユニット40が配置されている側から見た斜視図である。
カバーユニット300は、サイドカバー150を有している。そして、サイドカバー150には二次転写ユニット40を回転可能に支持する、例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材が折り曲げ加工された支持板451が少なくとも2つのボルト452でネジ止めされている。
【0043】
また、支持板451には、二次転写ローラ41の軸方向に延びる支持軸453が取り付けられており、この支持軸453が、二次転写ユニット40の手前側ハウジング442と奥側ハウジング443とに形成された長孔442aに挿入されることで二次転写ユニット40を仮保持する。
また、支持板451には、二次転写ユニット40に対して図1で見た場合の時計回転方向に回転力を付与する力付与手段の一例としての力付与ユニット46(図8参照)が、二次転写ローラ41の軸方向であって二次転写ローラ41よりも外側の両側に取り付けられている。
【0044】
図8は、力付与ユニット46の断面図である。
図8に示すように、力付与ユニット46は、中央ハウジング441の一部である斜面部441aに接触する押圧手段一例としての押圧部材461と、押圧部材461の下方に位置して上下動するスライダー462と、スライダー462に対して上下方向の力を付与する弾性部材の一例としてのコイルスプリング463と、スライダー462およびコイルスプリング463をカバーするカバー464とを有する。スライダー462の上側には、ボルト465にてスライダー462に固定された断面コの字状の押圧部材461を支持する押圧部材支持部材466が設けられている。押圧部材支持部材466のコの字状の一方の辺から他方の辺にかけて設けられた支持軸467に押圧部材461が嵌合されている。なお、カバー464は、支持板451に取り付けられている。
【0045】
また、支持板451には、2つの力付与ユニット46のそれぞれの上方に、二次転写ユニット40が図8で見た場合の時計回転方向に回転するのを規制する規制部451aが設けられている。規制部451aは、押圧部材461との間に中央ハウジング441の斜面部441aを挟み込み、斜面部441aが時計回転方向に回転するのを規制する。
支持板451と二次転写ユニット40との間には、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部に設けられた接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが予め定められた角度以上となるように、サイドカバー150に対する二次転写ユニット40の傾きを維持するための維持手段の一例としての2つのねじりコイルばねが幅方向に配置されている。言い換えれば、2つのねじりコイルばねは、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部に設けられた接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが予め定められた角度以上となるように、サイドカバー150に対する二次転写ユニット40の姿勢(傾き)を維持する維持手段の一例として機能する。以下では、2つのねじりコイルばねの内、図4で見た場合の右側、つまり装置奥側に配置されたねじりコイルばねをねじりコイルばね251と、図4で見た場合の左側、つまり装置手前側に配置されたねじりコイルばねをねじりコイルばね252と称す。
【0046】
図9は、装置奥側に配置されたねじりコイルばね251の取り付け態様を、支持板451側の上方から見た図である。なお、図9においては、支持板451、転写後案内部材42などを省略して示している。図10は、後述する板バネ260と除電ベース431との接触状態を示す図である。なお、図10においては、転写後案内部材42を省略して示している。図11は、装置奥側に配置されたねじりコイルばね251の取り付け態様を、装置奥側の下方から見た図である。なお、図11においては支持軸453は省略して示している。
【0047】
図9に示すように、ねじりコイルばね251の一方の端部251aはコイル状に成形されており、この一方の端部251aが中央ハウジング441の支持板451側の面と接触している。より詳しくは、図10に示すように、例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材が折り曲げ加工にて成形された板バネ260が、除電部材43の除電ベース431を直接的に押圧して支持部材432に付勢するべく中央ハウジング441に取り付けられており、この板バネ260の外面260aに一方の端部251aが接触している。
【0048】
また、図11に示すように、ねじりコイルばね251の他方の端部251bはコイル状に成形されており、この他方の端部251bは支持板451と接触している。ねじりコイルばね251の一方の端部251aと他方の端部251bとの間には、二次転写ローラ41の軸方向が中心線となるコイル状の第1コイル部251cと、支持板451の板面に直交する方向が中心線となるコイル状の第2コイル部251dとが設けられている。これら第1コイル部251cおよび第2コイル部251dは、支持板451に取り付けられた第1バネ支持部材271に形成された凸部に支持されている。また、第1コイル部251cおよび第2コイル部251dを覆うように第1バネカバー281が支持板451に取り付けられている。第1バネ支持部材271および第1バネカバー281は、例えば樹脂などの非導電性部材にて成形されている。
【0049】
図12は、装置手前側に配置されたねじりコイルばね252の取り付け態様を、支持板451側の上方から見た図である。なお、図12においては、支持板451を省略して示している。図13は、装置手前側に配置されたねじりコイルばね252の取り付け態様を、中間転写ユニット30側から見た図である。なお、図13においては、後述する転写前案内部材47を省略して示している。
【0050】
図12に示すように、ねじりコイルばね252の一方の端部252aはコイル状に成形されており、この一方の端部252aが中央ハウジング441の支持板451側の面と接触している。より詳しくは、亜鉛めっき鋼板等の導電性部材がコの字状に折り曲げ加工されて成形された折り曲げ部材261が、中央ハウジング441に取り付けられており、この折り曲げ部材261のコの字状の一方の辺の外面261aに一方の端部252aが接触している。なお、折り曲げ部材261のコの字状の他方の辺は、転写後案内部材42の支持部材421と接触している。
【0051】
また、図13に示すように、ねじりコイルばね252の他方の端部252bはコイル状に成形されており、この他方の端部252bは例えば亜鉛めっき鋼板等の導電性部材が折り曲げ加工にて成形された導通用部材291と接触している。ねじりコイルばね252の一方の端部252aと他方の端部252bとの間には、二次転写ローラ41の軸方向が中心線となるコイル状の第3コイル部252cと、支持板451の板面に直交する方向が中心線となるコイル状の第4コイル部252dとが設けられている。これら第3コイル部252cおよび第4コイル部252dは、支持板451に取り付けられた第2バネ支持部材272に形成された凸部に支持されている。なお、第3コイル部252cおよび第4コイル部252dを覆うように第2バネカバー282が支持板451に取り付けられている。第2バネ支持部材272および第2バネカバー282は、例えば樹脂などの非導電性部材にて成形されている。導通用部材291は、支持板451に取り付けられ、例えば樹脂などの非導電性部材にて成形された導通用部材支持部材292に支持されており、ねじりコイルばね252の他方の端部252bと接触している端部とは異なる端部291aは後述するコイルスプリング471と接触している。
【0052】
かかる構成により、二次転写ユニット40は、ねじりコイルばね251およびねじりコイルばね252により、サイドカバー150に対して予め定められた傾きを維持するように支持される。
そして、ねじりコイルばね251は、除電部材43の除電ベース431を、サイドカバー150を介して接地する機能をも有している。すなわち、除電部材43の除電ベース431が、板バネ260およびねじりコイルばね251を介して支持板451に導通されており、支持板451は接地されているサイドカバー150にボルト452で締結されている。
【0053】
ねじりコイルばね252は、転写後案内部材42を、高抵抗体を介して接地する機能をも有している。
先ず、転写前案内部材47について説明する。図7に示すように、サイドカバー150には、二次転写部位よりも用紙搬送方向の上流側に設けられ、用紙を二次転写部位に向けて案内する案内部の一例としての転写前案内部材47が取り付けられている。転写前案内部材47は、本体フレーム200側に取り付けられた対向部材(不図示)と協働して搬送路64を形成し、用紙を案内する。また、転写前案内部材47が形成する搬送路64の途中のサイドカバー150には、1対のローラからなるレジストローラ65の一方のローラが取り付けられている。なお、レジストローラ65の他方のローラは本体フレーム200側に取り付けられている。
【0054】
転写前案内部材47とサイドカバー150との間にはコイルスプリング471が設けられており、コイルスプリング471に押圧されることにより転写前案内部材47は、協働して搬送路64を形成する対向部材(不図示)の方へ付勢されている。転写前案内部材47は、高抵抗体(不図示)に接続されており、高抵抗体は、サイドカバー150に接地されている。ゆえに、転写前案内部材47は、高抵抗体を介して接地、つまり高抵抗接地されている。
そして、転写後案内部材42の支持部材421は、折り曲げ部材261、ねじりコイルばね252、導通用部材291およびコイルスプリング471を介して転写前案内部材47と導通されているので、転写前案内部材47と同様に高抵抗体を介して接地、つまり高抵抗接地されている。
【0055】
図14は、カバーユニット300の外観図である。
以上説明したように、二次転写ユニット40および転写前案内部材47が取り付けられたサイドカバー150を保持するカバーユニット300は、本体フレーム200に対して図1で見た場合の反時計回転方向に回転することで、図1に示す状態である閉状態から搬送路64を開放する開状態となる。その際、カバーユニット300の幅方向の両サイドの下部に設けられた凹部301が、本体フレーム200に設けられた回転軸(不図示)に嵌合し、この回転軸を回転中心として回転する。
【0056】
カバーユニット300には、図7に示すように、カバーユニット300が図1に示した閉状態である場合に、本体フレーム200に設けられた溝(不図示)に連結されることにより、カバーユニット300を本体フレーム200に連結するフック302が幅方向の両サイドに設けられている。そして、図14に示すように、カバーユニット300の右上部には、フック302を回転させて本体フレーム200に設けられた溝との連結を解除する開閉レバー303が設けられており、ユーザが開閉レバー303を下から上へと回転させることでカバーユニット300を開くことが可能になっている。また、ユーザがカバーユニット300を閉じる際には、カバーユニット300の上部を押すことで、カバーユニット300のフック302が本体フレーム200に設けられた溝に嵌り、カバーユニット300が閉状態となる。
【0057】
以上のように構成された画像形成装置1においては、カバーユニット300が開状態から閉状態に遷移される場合、以下のように作用する。
先ず、カバーユニット300を閉状態にするべく回転させていくと、二次転写ユニット40の手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが本体フレーム200に固定された被接触部材の一例としての円筒状の部材203(図15参照)と接触し始める。
さらにカバーユニット300が回転させられると、二次転写ユニット40の位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込む。その後さらにカバーユニット300が回転させられると、二次転写ユニット40には以下の力が作用する。すなわち、二次転写ユニット40は、位置決め部材45が位置決め溝122から力を受け、接触部442bが本体フレーム200に固定された円筒状の部材203(図15参照)から力を受け、斜面部441aが押圧部材461から力を受ける。他方、力付与ユニット46の押圧部材461は斜面部441aから反力を受ける。
そして、さらにカバーユニット300が回転させられ、力付与ユニット46の押圧部材461が斜面部441aにより受ける力がコイルスプリング463のバネ力よりも大きくなると、二次転写ユニット40は、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203の中心軸を回転中心(支点)として、サイドカバー150に対して反時計回転方向に回転する。
【0058】
図15〜図17は、カバーユニット300が開状態から閉状態に遷移される場合の二次転写ユニット40の状態の変化を簡略的に示す図である。
図15(a)は、二次転写ユニット40の手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが本体フレーム200に固定された円筒状の部材203と接触し始める前の状態を示している。図15(a)に示すように、二次転写ユニット40は、中間転写ユニット30や本体フレーム200と接触していない状態のときには、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443に形成された長孔442aが支持軸453と接触することで落下することが抑制されるとともに力付与ユニット46の押圧部材461から力を受けた斜面部441aが支持板451の規制部451aにより反時計回転方向に回転することが規制される。また、装置奥側に配置されたねじりコイルばね251と、装置手前側に配置されたねじりコイルばね252により、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の下部に設けられた接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが予め定められた角度以上となるように、サイドカバー150に対する二次転写ユニット40の姿勢が維持される。
【0059】
その後、カバーユニット300が回転させられると、図15(b)に示すように、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが円筒状の部材203に接触し始める。なお、上述した、ねじりコイルばね251とねじりコイルばね252により、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bのV字形の一方の辺442cと支持板451の表面とのなす角αが維持される予め定められた角度以上とは、カバーユニット300を閉状態にする際に、接触部442bが円筒状の部材203と接触する角度以上である。つまり、なす角αが予め定められた角度未満である場合には、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bの右側の部位が円筒状の部材203に突き当たり、接触部442bが円筒状の部材203と接触しない。
【0060】
そして、図15(b)に示す状態から、さらにカバーユニット300が回転させられると、図16(a)に示すように、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが円筒状の部材203に接触するとともに、中央ハウジング441に支持された位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に接触し始める。すなわち、二次転写ユニット40は、なす角αが予め定められた角度以上に維持されることにより、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bの右側の部位が円筒状の部材203を乗り越えられるように姿勢を維持され、乗り越えたあとに、接触部442bと円筒状の部材203とが接触するよう構成されている。
【0061】
その後、さらにカバーユニット300が回転させられると、図16(b)に示すように、中央ハウジング441に支持された位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込み、位置決め部材45が位置決め溝122のV字形の二辺それぞれと接触する。これにより、二次転写ユニット40が中間転写ユニット30に対して位置決めされる。かかる状態のときには、手前側ハウジング442および奥側ハウジング443の接触部442bが本体フレーム200に固定された円筒状の部材203から力を受けることで、斜面部441aが押圧部材461から力を受けても、長孔442aが支持軸453と接触することなく中間転写ユニット30の姿勢が維持される。
【0062】
その後、さらにカバーユニット300が回転させられると、サイドカバー150は時計回転方向に回転しようとする一方で二次転写ユニット40は本体フレーム200に固定された中間転写ユニット30の位置決め溝122により時計回転方向に回転することができない。その結果、図17(a)に示すように、力付与ユニット46の押圧部材461が中央ハウジング441の斜面部441aから受ける力がコイルスプリング463のバネ力よりも大きくなり、二次転写ユニット40は、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203の中心軸を回転中心(支点)として、サイドカバー150に対して反時計回転方向に回転する。言い換えれば、サイドカバー150が二次転写ユニット40に対して時計回転方向に回転する。
【0063】
図17(b)は、カバーユニット300が閉状態であるときの様子を示す図である。図17(a)の状態からさらにカバーユニット300が回転させられると、サイドカバー150がさらに時計回転方向に回転しようとする一方で、二次転写ユニット40は本体フレーム200に対して固定されているので、押圧部材461が中央ハウジング441の斜面部441aから力を受けてコイルスプリング463を圧縮する。そして、サイドカバー150は、二次転写ユニット40に対してさらに時計回転方向に回転する。そして、カバーユニット300のフック302が本体フレーム200に設けられた溝に嵌り、カバーユニット300が閉状態となる。
【0064】
次に、以上のように構成された画像形成装置1におけるカバーユニット300を閉状態にする際に必要な力について説明する。
先ず、二次転写ユニット40の位置決めに要する力に着目すると、二次転写ユニット40の中央ハウジング441に支持された位置決め部材45が中間転写ユニット30のブラケット120に形成された位置決め溝122に嵌り込み、位置決め部材45が位置決め溝122のV字形の二辺それぞれと接触するまでは、二次転写ユニット40は本体フレーム200側からはいかなる力も受けていない。言い換えれば、サイドカバー150は、二次転写ユニット40から、支持軸453にて二次転写ユニット40を支える以外のいかなる力も受けていない。
【0065】
位置決め部材45が位置決め溝122と接触した後は、中央ハウジング441の斜面部441aが力付与ユニット46の押圧部材461を押す力、ひいてはコイルスプリング463から受ける力に抗してカバーユニット300を回転させる必要がある。それゆえ、その分カバーユニット300を閉じ方向へ回転するのに要する力が大きくなる。
【0066】
この力の大きさについて考えると、例えば、二次転写ローラ41がコイルバネを介してサイドカバー150に取り付けられ、カバーユニット300を閉状態とすることで二次転写ローラ41が中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧するように構成されている装置(以下「比較装置」という。)の、カバーユニット300を閉状態とする際に必要な力と比べて小さい。すなわち、かかる場合には、二次転写ローラ41が中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35から受ける反力に抗してカバーユニット300を回転させる必要がある。
【0067】
この比較装置に対して本実施の形態に係る画像形成装置1においては、二次転写ユニット40の中央ハウジング441に作用する力は、位置決め部材45が位置決め溝122から受ける力、言い換えれば中央ハウジング441が位置決め部材45の支持軸から受ける力と斜面部441aが押圧部材461から受ける力である。そして、この中央ハウジング441は、本体フレーム200に固定された円筒状の部材203の中心軸を回転中心として回転する。ゆえに、二次転写ユニット40に生じる、円筒状の部材203の中心軸回りのモーメントの釣り合いにより、円筒状の部材203の中心軸からの距離が長くなる斜面部441aと押圧部材461との接触部位に生じる力は、位置決め部材45と位置決め溝122との間に生じる力よりも小さくなる。したがって、比較装置において二次転写ローラ41がバックアップローラ35から受ける力の大きさおよび向きと本実施の形態における中央ハウジング441が位置決め部材45の支持軸から受ける力の大きさおよび向きは同じであると仮定すると、円筒状の部材203の中心軸から斜面部441aと押圧部材461との接触部位に生じる力までの距離が長くなる分、本実施の形態に係るカバーユニット300を閉じるのに要する力は、比較装置における力よりも小さくて済む。
【0068】
次に、転写前案内部材47の位置決めに要する力に着目する。上述したように、サイドカバー150には、コイルスプリング471を介して転写前案内部材47が取り付けられている。この転写前案内部材47の幅方向の両サイドには幅方向に延びるピン472がそれぞれ設けられており、本体フレーム200には、これらのピン472が嵌る嵌合溝(不図示)が形成されている。そして、ピン472が嵌合溝に嵌り込むことで転写前案内部材47が本体フレーム200に位置決め固定される。ここで、この嵌合溝は、カバーユニット300が回転する際のピン472の回転軌跡に沿うように形成されているのではなく、地面に平行に形成されている。それゆえ、カバーユニット300を閉状態にする際には、転写前案内部材47のピン472が嵌合溝の入り口に接触した後に嵌合溝にきちんと入るまでに必要な力が大きくなり、一旦ピン472が嵌合溝に入った後に必要な力は徐々に小さくなる。
【0069】
図18は、本実施の形態に係るカバーユニット300を閉状態にするのに要する力を説明するための図である。図18(a)は、カバーユニット300が開状態から閉状態まで回転される際の回転角度に対する転写前案内部材47の位置決め固定に要する力を示す図である。図18(b)は、同じくカバーユニット300の回転角度に対する二次転写ユニット40の位置決め固定に要する力を示す図である。図18(c)は、(a)における操作荷重と(b)における力とを加算した力である。
【0070】
上述したように、図18(a)に示した転写前案内部材47の位置決め固定に要する操作荷重においては、転写前案内部材47のピン472が嵌合溝の入り口に接触した後嵌合溝にきちんと入るまでに必要な力がピークとなり、一旦ピン472が嵌合溝に入った後は徐々に小さくなる。
二次転写ユニット40に関しては、上述したように、図18(b)に示すように、位置決め部材45が位置決め溝122のV字形の二辺それぞれと接触した後に、中央ハウジング441の斜面部441aが力付与ユニット46の押圧部材461を押す力に抗してカバーユニット300を回転させる必要があり、そのときに必要な力はカバーユニット300の回転角度に比例して徐々に大きくなっていく。
そして、カバーユニット300の操作荷重全体としては、図18(c)に示すようになる。したがって、例えば、二次転写ユニット40を位置決め固定するのに要する操作荷重のピークが、転写前案内部材47を位置決め固定するのに要する操作荷重のピークと同じようなタイミングとなる装置と比較すると、最大操作荷重が小さくなる。
【0071】
また、カバーユニット300を閉じるのに必要な力を小さくするために、カバーユニット300を開状態から閉状態にする際に二次転写ローラ41が中間転写ユニット30を押圧しないようにするリトラクト機構を設けることも考えられる。しかしながら、このようなリトラクト機構を設けるには、カバーユニット300のサイズが大きくなってしまうおそれがあり、また、リトラクト機構の分部品点数が増加することとなり、コスト増、重量増となってしまうおそれがある。
したがって、本実施の形態に係る装置構成によれば、リトラクト機構を備える装置と比較して、装置の小型化、軽量化および低価格化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1…画像形成装置、10…画像形成部、20…光学系ユニット、30…中間転写ユニット、40…二次転写ユニット、41…二次転写ローラ、42…転写後案内部材、43…除電部材、44…ハウジング、45…位置決め部材、46…力付与ユニット、47…転写前案内部材、50…定着装置、60…用紙供給部、100…支持部材、150…サイドカバー、200…本体フレーム、251,252…ねじりコイルばね、300…カバーユニット、451…支持板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を、搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、
前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、
前記転写ユニットおよび前記案内部をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられた開閉手段と、
を備え、
前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉手段は、開状態から閉状態になる過程で、前記転写ユニットが前記位置決め部により接触力を受けた場合に、当該接触力に基づく特定の支点回りの回転力による回転方向とは反対方向の回転力を、当該特定の支点から当該接触力が作用する位置までの距離よりも遠い位置にて当該転写ユニットに対して付与する力付与手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ユニットは、前記転写体を保持する保持手段を有し、
前記力付与手段は、前記保持手段に接触し前記開閉手段に対する当該保持手段の位置に応じた前記回転力を当該保持手段に付与することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記力付与手段は、弾性部材を介して前記開閉手段に支持され、当該弾性部材の弾性力に応じた力で前記保持手段を押圧する押圧手段を有し、
前記弾性部材は、前記開閉手段に対する前記保持手段の位置が近くなるほど大きな弾性力を生じる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記装置本体に設けられた外面が円筒状の被接触部材に接触する接触部を有し、当該保持手段は、当該接触部が当該被接触部材に接触した状態で当該被接触部材の軸心を回転中心として前記開閉手段に対して回転可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像保持体は、感光体に形成されたトナー像を保持する中間転写体と、当該中間転写体を回転可能に支持する複数の回転部材とを有する中間転写ユニットであり、
前記転写ユニットは、前記中間転写ユニットの前記複数の回転部材の内の少なくとも1つの回転部材を押圧し前記中間転写体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写ユニットである
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置本体の外装を形成する装置外装ユニットであって、
トナー像を保持する像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、前記装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、
前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、
をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられ、
前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの当該装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする装置外装ユニット。
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を、搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、
前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、
前記転写ユニットおよび前記案内部をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられた開閉手段と、
を備え、
前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記開閉手段の前記装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉手段は、開状態から閉状態になる過程で、前記転写ユニットが前記位置決め部により接触力を受けた場合に、当該接触力に基づく特定の支点回りの回転力による回転方向とは反対方向の回転力を、当該特定の支点から当該接触力が作用する位置までの距離よりも遠い位置にて当該転写ユニットに対して付与する力付与手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ユニットは、前記転写体を保持する保持手段を有し、
前記力付与手段は、前記保持手段に接触し前記開閉手段に対する当該保持手段の位置に応じた前記回転力を当該保持手段に付与することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記力付与手段は、弾性部材を介して前記開閉手段に支持され、当該弾性部材の弾性力に応じた力で前記保持手段を押圧する押圧手段を有し、
前記弾性部材は、前記開閉手段に対する前記保持手段の位置が近くなるほど大きな弾性力を生じる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記装置本体に設けられた外面が円筒状の被接触部材に接触する接触部を有し、当該保持手段は、当該接触部が当該被接触部材に接触した状態で当該被接触部材の軸心を回転中心として前記開閉手段に対して回転可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像保持体は、感光体に形成されたトナー像を保持する中間転写体と、当該中間転写体を回転可能に支持する複数の回転部材とを有する中間転写ユニットであり、
前記転写ユニットは、前記中間転写ユニットの前記複数の回転部材の内の少なくとも1つの回転部材を押圧し前記中間転写体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写ユニットである
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置本体の外装を形成する装置外装ユニットであって、
トナー像を保持する像保持体と接触することで当該像保持体に保持されたトナー像を搬送路を搬送される記録媒体に転写する転写体と、前記装置本体に設けられた被位置決め部と接触することで当該像保持体に対する当該転写体の位置を決める位置決め部とを有する転写ユニットと、
前記転写体が前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体に転写する位置へ当該記録媒体を案内する案内部と、
をそれぞれ支持するとともに、前記装置本体に対して予め定められた回転中心を中心として開閉自在に設けられ、
前記転写ユニットを前記装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの前記装置本体に対する角度は、前記案内部を当該装置本体に対して位置決めするのに要する力の最大値が生ずるときの当該装置本体に対する角度とは異なることを特徴とする装置外装ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−102860(P2011−102860A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257301(P2009−257301)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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