説明

画像形成装置および電子装置

【課題】発熱する機器を効果的に冷却することができ、防塵フィルタを取り付けなくても機器を埃等から守ることができ、機器の駆動音が漏れるのを抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、筐体3の内部に発熱する機器であるレーザスキャナ部38が配置され、筐体3の外部から空気を取り入れて、機器38を冷却するよう構成されている。筐体3の内部には、機器38の全体を覆うカバー51が配置されている。そして、カバー51の内部には、カバー51の内部の空気を攪拌する内部ファン52が配置されている。更に、カバー51の外部には、筐体3の外部の空気を筐体3の内部に取り入れる外部ファン53が配置されている。そして、カバー51には、凹凸形状に加工された熱交換部51aが形成され、内部ファン52及び外部ファン53が熱交換部51aに対向して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンを利用して装置内を空冷する画像形成装置および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置として、シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部により画像形成されたシートを筐体の外部に排出するシート排出部とを備えた画像形成装置が一般的に知られている。この種の画像形成装置には、動作をするときに発熱を伴う機器が含まれている。例えば、画像形成装置は、電源部と、電源部により電力供給されて動作し、帯電された像担持体に対する露光を行うことにより像担持体表面に静電潜像を形成する露光部とを備えている。そして、電源部や露光部等の機器は通電の際に発熱するものであり、機器の温度上昇が機器の性能劣化や寿命低下の原因となっている。従って、発熱する機器の性能劣化や寿命低下を抑制するために、機器を冷却ファンで強制的に空冷するのが一般的である。通常、電源部や露光部等の機器は、通気口が形成された筐体の内部に配置されている。
【0003】
そして、冷却ファンを運転することにより、筐体の外部から通気口を通じて筐体の内部に空気が導入され、導入された空気が電源部や露光部等の発熱する機器に吹き付けられ、機器が冷却される。
【0004】
このような冷却ファンによる空冷方法では、冷却対象の機器によっては大きな冷却ファンが必要であり、それに応じて通気口も大きくする必要がある。そして、冷却ファンから離れた部分を冷却するためには、より大きな風圧と風量を得るために冷却ファンの回転数を上げる必要があり、冷却ファンの稼働音も大きくなっていた。
【0005】
そこで、ファンの回転数を制御することにより騒音を抑えるようにした技術が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平5−204221号公報
【特許文献2】特開平7−121089号公報
【特許文献3】特開平9−197922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記冷却ファンの制御では、冷却ファンの騒音を抑えることはできるが、筐体内の機器の稼動音を抑えることはできず、機器の稼動音が筐体の通気口から漏れてしまうという問題があった。
【0008】
また、冷却ファンにより筐体外部の空気を筐体内部に吸い込んだ場合、空気中に浮遊する埃等も同時に吸い込んでしまうこととなる。そして、冷却対象の機器には、冷却ファンによって空気と共に埃等も吹き付けられてしまい、埃等が機器に堆積して動作不良を起こすおそれがあった。
【0009】
そこで、筐体内の機器を埃から守るために、埃除去用の防塵フィルタを筐体の通気口に設けるのが一般的であるが、防塵フィルタが埃等で目詰まりした場合には、空気の導入が円滑に行われず、冷却効果が低下してしまっていた。
【0010】
そこで本発明は、発熱する機器を効果的に冷却することができ、防塵フィルタを取り付けなくても機器を埃等から守ることができ、機器の駆動音が漏れるのを抑えることができる画像形成装置および電子装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像形成されたシートを筐体の外部に排出するシート排出部とを備え、前記筐体の内部に発熱する機器が配置され、前記筐体の外部から空気を取り入れて、発熱する前記機器を冷却する画像形成装置において、前記筐体の内部に配置され、前記機器の全体を覆うカバーと、前記カバーの内部に配置され、前記カバーの内部の空気を攪拌する内部ファンと、前記カバーの外部に配置され、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部に取り入れる外部ファンと、を備え、前記カバーに、前記外部ファンにより前記筐体の内部に取り入れた空気と、前記内部ファンにより攪拌した空気との間で熱交換する熱交換部を形成し、前記内部ファン及び前記外部ファンを前記熱交換部に対向させて配置したことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、筐体の内部に発熱する機器が配置された電子装置において、前記筐体の内部に配置され、前記発熱する機器を覆い、略密閉構造となっているカバーと、前記カバーの内部に配置され、前記カバーの内部の空気を攪拌する内部ファンと、前記カバーの外部に配置され、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部に取り入れる外部ファンと、を備え、前記カバーに、前記外部ファンにより前記筐体の内部に取り入れた空気と、前記内部ファンにより攪拌した空気との間で熱交換する熱交換部を形成し、前記内部ファン及び前記外部ファンを前記熱交換部に対向させて配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発熱する機器をカバーで覆い、カバーに形成した熱交換部に対向して内部ファン及び外部ファンを配置したことにより、カバー内の機器を効果的に冷却することができる。また、カバーにより機器が遮蔽されているので、機器の稼動音が外へ漏れるのを抑制できる。また、防塵フィルタを取り付けなくても、カバーにより機器に埃が侵入するのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略縦断面図であり、図2は、本第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略横断面図である。なお、本第1実施形態では、電子装置としての画像形成装置が画像形成を行う複写機である場合について説明するが、これに限るものではなく、画像形成装置が画像形成を行うプリンタ、ファクシミリ等でもよい。
【0016】
画像形成装置としての複写機1は、原稿の画像を読み取る画像読取部69、シートSに画像を形成する画像形成部2、画像形成部2にシートSを供給するシート供給部8、搬送ベルト17、定着部25及びシート排出部としての排出ローラ対26を備えている。また、複写機1は、これら各部の動作に必要な電力を供給する電源部70を備えている。複写機1は、筐体3を備えており、この筐体3内に、画像読取部69、画像形成部2、シート供給部8、搬送ベルト17、定着部25、排出ローラ対26及び電源部70が配置されている。ここで、画像形成部2の上部には、画像読取部69が配置されており、画像形成部2の下部には、シート供給部8、更にその下部には、電源部70が配置されている。
【0017】
画像読取部69は、原稿がセットされる原稿載置台5と、原稿載置台5上にセットされた原稿を押さえる原稿押さえ部材33と、原稿載置台5上にセットされた原稿を、露光走査することによって読み取る走査光学系4とを備えて構成される。
【0018】
走査光学系4は、原稿載置台5上の原稿に対して走査しながら光を照射する移動光源6を備えている。また、走査光学系4は、照射した光の反射光の光路を偏向するミラー39と、ミラー39により偏向された光を集光するレンズ7と、レンズ7を透過した光を電気的なデジタル信号に変換して画像形成部2に伝送するCCDユニット36と、を備えている。
【0019】
複写機1は、CCDユニット36のデジタル信号を自己の画像形成部2に伝送すればコピー機として機能し、他の複写機の画像形成部へ、あるいはファクシミリ装置の画像形成部へ伝送すればファクシミリ装置として機能する。
【0020】
画像形成部2は、像担持体として、アルミニウム等からなる導電性のドラム基体とその外周面上に形成される感光体層とを有するドラム形の電子写真感光体(以下、感光体ドラムという)10を備えている。また、画像形成部2は、一次帯電器13、露光部としてのレーザスキャナ部38、現像器11、ポスト帯電器14、転写帯電器15及び分離帯電器16を備え、これらが感光体ドラム10の回転方向に沿って感光体ドラム10の周りに順次配設されている。また、画像形成部2は、クリーナ12を備えており、感光体ドラム10の表面に残ったトナーが除去される。
【0021】
画像形成部2は、シート供給部8に装填した給紙カセット9a,9bから、給送ローラ19a,19b、搬送ローラ対20a,20bによって搬送された紙或いは合成樹脂等のシートSに対して電子写真方式によってトナー像を形成するようになっている。
【0022】
詳述すると、図1の矢印方向へ回転する感光体ドラム10の表面は、一次帯電器13によって一様に帯電される。そして、レーザスキャナ部38は、画像読取部69或いはパソコン等から伝送された画像情報に基づいて帯電された感光体ドラム10の表面に光照射して露光することにより、感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成する。この感光体ドラム10の表面に形成された潜像は、現像器11でトナー現像されて、可視像化される。そして、感光体ドラム10上のトナー像の帯電量を均一にするポスト帯電器14によって、感光体ドラム10上に形成されたトナー像がシートSに転写されやすい状態となる。この感光体ドラム10上のトナー像は、搬送されてくるシートSに転写帯電器15によって転写される。トナー像が転写されたシートSは、分離帯電器16によって感光体ドラム10表面から剥離される。
【0023】
分離帯電器16のシート搬送方向の下流側には、搬送ベルト17が配置されている。搬送ベルト17は、搬送ローラ17a,17b間に巻き付けられている。この搬送ベルト17のシート搬送方向の下流側には、定着部25が配置されている。定着部25は、加熱ローラ25aと、この加熱ローラ25aに圧接する加圧ローラ25bとを有している。
【0024】
分離帯電器16によって剥離されたシートSは、搬送ベルト17により搬送されて定着部25に導かれ、定着部25で加熱・加圧され、トナー像が定着される。最後にシートSは、排出ローラ対26によって筐体3の外部に排出される。
【0025】
ところで、本第1実施形態では、レーザスキャナ部38及び電源部70が、動作時の通電により発熱する機器であり、これら機器38,70を空冷する構成としている。
【0026】
筐体3には、図2に示すように、レーザスキャナ部38及び電源部70に対向して、2つの通気口41,41が形成されている。各通気口41には、風向を変えるルーバ41aが設けられている。
【0027】
筐体3の内部には、筐体3の内部に配置された各部2,8,17,25,26,69,70を通気口41,41から導入される空気から遮蔽する仕切り板42が設けられている。そして、筐体3の内部には、仕切り板42と筐体3の通気口41,41が形成される側の側板とで囲まれる風路Rが形成される。これにより、筐体3の外部の空気が通気口41,41を通じて風路Rに導かれると共に、風路Rの空気が通気口41,41を通じて筐体3の外部に排出される。このように、各通気口41は、吸気口及び排気口として機能している。なお、本第1実施形態では、各通気口41が吸気口及び排気口として機能する場合について説明したが、これに限るものではなく、通気口41を吸気口或いは排気口として機能させてもよく、その場合、別途排気口或いは吸気口を設ければよい。
【0028】
ここで、レーザスキャナ部38は、不図示の半導体レーザやポリゴンミラー等の部材を有しており、画像品質の劣化を抑制するために、レーザスキャナ部38を構成する各部材に埃等が付着しないようにしなければならない。また、電源部70は、不図示のスイッチング素子やコンデンサ等の部材を有しており、短絡を抑制するために、電源部70を構成する各部材に埃等が付着しないようにしなければならない。
【0029】
そこで、本第1実施形態では、レーザスキャナ部38は、金属製のカバー51で全体が覆われており、レーザ光が出射される部分や配線引き出し部分だけが僅かに開口する略密閉構造となっている。同様に、電源部70は、金属製のカバー71で全体が覆われており、配線引き出し部分だけが僅かに開口する略密閉構造となっている。このように各機器38,70の全体をカバー51,71で覆うことにより、カバー51,71の内部に埃が侵入するのを抑制することができる。また、このようにカバー51,71で機器38,70の全体を覆うことにより、外部に稼動音が漏れるのを抑制することができる。
【0030】
ここで、本第1実施形態では、レーザスキャナ部38及び電源部70は発熱するので、熱がカバー51,71内にこもらないよう冷却する構造としている。以下にその冷却構造について詳述する。
【0031】
図3は、レーザスキャナ部の冷却構造を説明するための概略断面図であり、図4は、電源部の冷却構造を説明するための概略断面図である。また、図5は、カバーの熱交換部近傍の概略を示す説明図である。
【0032】
仕切り板42には、図3及び図4に示すように、カバー51,71の一部が風路Rに露出するよう開口42a,42bが形成されており、仕切り板42の開口42a,42bに、カバー51,71の一部が近接或いは嵌入している。そして、風路Rに露出したカバー51,71の一部には、カバー51,71の内外の空気間で熱交換する熱交換部51a,71aが形成されている。
【0033】
まず、レーザスキャナ部38の冷却構造について説明する。レーザスキャナ部38を覆うカバー51の内部には、図3に示すように、カバー51の内部に収納されたレーザスキャナ部38を空冷するため、カバー51の内部の空気を攪拌する内部ファン52が設置されている。レーザスキャナ部38の不図示の半導体レーザは他の部材に比べて高温となるので、性能劣化や寿命低下を抑制するには冷却する必要があるが、放熱を促進させるには内部ファン52で空冷するのが効果的である。そして、半導体レーザ以外にも冷却が必要な部材がある場合には、この内部ファン52により同時に冷却することができる。従って、内部ファン52によってカバー51の内部の空気を攪拌することで、レーザスキャナ部38の各部材を空冷することができる。この内部ファン52は、熱交換部51a近傍であって、熱交換部51aに対向して配置されている。そして、内部ファン52の吸い込み側がレーザスキャナ部38に対向しており、内部ファン52の吹き出し側が熱交換部51aに対向している。
【0034】
カバー51の外部には、筐体3の外部の空気を筐体3の内部の風路Rに取り入れる外部ファン53が、筐体3の内部の風路Rに設置されている。この外部ファン53は、カバー51の熱交換部51aに空気を吹き付けるよう、熱交換部51a近傍に配置されている。そして、外部ファン53の吸い込み側が通気口41に対向し、外部ファン53の吹き出し側が熱交換部51aに対向している。
【0035】
そして、内部ファン52及び外部ファン53を動作させることにより、レーザスキャナ部38が熱交換部51aを介して放熱される。つまり、内部ファン52を動作させることにより、レーザスキャナ部38により暖められた空気が、矢印Aの如くカバー内側から熱交換部51aに吹き付けられる。そして、この熱交換部51aに吹き付けられた空気は、熱交換部51aで熱が奪われて冷却される。この冷却された空気は、矢印Bの如く熱交換部51aで反射され、矢印Cの如くレーザスキャナ部38に戻され、レーザスキャナ部38の熱を奪って暖められる。
【0036】
また、外部ファン53を動作させることにより、通気口41を介して筐体3の外部の冷たい空気が、矢印Dの如く筐体3の内部の風路Rに吸い込まれ、カバー51の内部で暖められた熱交換部51aにカバー外側から吹き付けられる。そして、熱交換部51aに吹き付けられた空気は、熱交換部51aの熱を奪って暖められ、矢印Eの如く熱交換部51aで反射され、通気口41を介して筐体3の外部に排出される。
【0037】
次に、電源部70の冷却構造について説明するが、レーザスキャナ部38の冷却構造と同様である。つまり、電源部70を覆うカバー71の内部には、図4に示すように、カバー71の内部に収納された電源部70を空冷するため、カバー71の内部の空気を攪拌する内部ファン72が設置されている。電源部70の不図示のスイッチング素子は他の部材に比べて高温となるので、性能劣化や寿命低下を抑制するには冷却する必要があるが、放熱を促進させるには内部ファン72で空冷するのが効果的である。そして、スイッチング素子以外にも冷却が必要な部材がある場合には、この内部ファン72により同時に冷却することができる。従って、内部ファン72によってカバー71の内部の空気を攪拌することで、電源部70の各部材を空冷することができる。この内部ファン72は、熱交換部71a近傍であって、熱交換部71aに対向して配置されている。そして、内部ファン72の吸い込み側が電源部70に対向しており、内部ファン72の吹き出し側が熱交換部71aに対向している。また、カバー71の外部には、筐体3の外部の空気を筐体3の内部の風路Rに取り入れる外部ファン73が、筐体3の内部の風路Rに設置されている。この外部ファン73は、カバー71の熱交換部71aに空気を吹き付けるよう、熱交換部71a近傍に配置されている。そして、外部ファン73の吸い込み側が通気口41に対向し、外部ファン73の吹き出し側が熱交換部71aに対向している。
【0038】
そして、内部ファン72及び外部ファン73を動作させることにより、電源部70が熱交換部71aを介して放熱される。つまり、内部ファン72を動作させることにより、電源部70により暖められた空気が、矢印A’の如く熱交換部71aに吹き付けられて冷却され、矢印B’の如く反射され、矢印C’の如く電源部70に戻され、電源部70の熱を奪って暖められる。また、外部ファン73を動作させることにより、矢印D’の如く熱交換部71aに吹き付けられた空気は、熱交換部71aの熱を奪って暖められ、矢印E’の如く熱交換部71aで反射され、通気口41を介して筐体3の外部に排出される。
【0039】
熱交換部51a,71aは、図5に示すように、カバー51,71の内側及び外側から見て連続して延びる断面凹凸形状に加工して形成されている。これにより、熱交換部51a,71aに吹き付けられた空気は、熱交換部51a,71aの凹凸に沿って流れる。従って、内部ファン52,72によって熱交換部51a,71aの内側に吹き付けられる空気と、外部ファン53,73によって熱交換部51a,71aの外側に吹き付けられる空気との間で効果的に熱交換が行われる。本第1実施形態では、内部ファン52,72及び外部ファン53,73は、それぞれ、一定の回転数に維持され、熱交換部51a,71aにおいて安定して熱交換が行われる。
【0040】
以上の構成により、内部ファン52,72及び外部ファン53,73を動作させることで、熱交換部51a,71aでの放熱が促進される。従って、カバー51,71の内部に配置された機器38,70は、外部ファン53,73により筐体3の外部の空気を直接吹き付けなくても、効果的に冷却することができる。
【0041】
また、カバー51,71の内部の熱は、ほとんどが風路Rに露出した熱交換部51a,71aで放熱され、カバー51,71の熱交換部51a,71a以外の部分ではほとんど放熱しない。そして、熱交換部51a,71aで熱交換して暖められた風路Rの空気は、外部ファン53,73により筐体3の外部に排出され、筐体3の内部に熱がこもるのを抑制できる。
【0042】
更に、冷却対象である機器38,70にはカバー51,71で覆うことにより筐体3の外部の空気が直接当たることはないので、機器38,70に筐体3の外部の埃が吹き付けられることはなく、機器38,70に埃が堆積するのを抑制することができる。しかも、機器38,70をカバー51,71で覆うことにより、稼動音が外部に漏れるのを抑制することができる。
【0043】
また、冷却対象外の機器も風路Rから仕切り板42で仕切られているので、外部ファン53,73を動作させても、冷却対象外の機器に外部ファン53,73による空気が直接当たることはなく、埃が冷却対象外の機器に吹き付けられるもない。従って、冷却対象の機器38,70のみならず、冷却対象外の機器にも埃が吹き付けられるのを抑制でき、防塵フィルタを省略することが可能である。
【0044】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、外部ファンの回転数を変更しない画像形成装置について説明したが、本第2実施形態では、外部ファンの回転数を変更する画像形成装置について説明する。なお、本第2実施形態において、上記第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置の機器の冷却構造を説明するための概略断面図である。本第2実施形態では、画像形成装置としての複写機は、カバー51,71内部の温度を検知する温度検知部80,90と、内部ファン52,72及び外部ファン53,73を制御する制御部81とを備えている。
【0046】
温度検知部80は、カバー51の内部に設置され、制御部81に接続されている。そして、制御部81は、温度検知部80の温度検知結果に基づいて、外部ファン53の回転数(回転速度)を変更する制御を行う。同様に、温度検知部90は、カバー71の内部に設置され、制御部81に接続されている。そして、制御部81は、温度検知部90の温度検知結果に基づいて、外部ファン73の回転数を変更する制御を行う。
【0047】
具体的に説明すると、制御部81は、温度検知部80の検知温度が低下するに従って外部ファン53の回転数を直線的に或いは段階的に低下する制御を行う。言い換えれば、制御部81は、温度検知部80の検知温度が上昇するに従って外部ファン53の回転数を直線的に或いは段階的に上昇する制御を行う。同様に、制御部81は、温度検知部90の検知温度が低下するに従って外部ファン73の回転数を直線的に或いは段階的に低下する制御を行う。言い換えれば、制御部81は、温度検知部90の検知温度が上昇するに従って外部ファン73の回転数を直線的に或いは段階的に上昇する制御を行う。
【0048】
以上、本第2実施形態によれば、温度検知結果に基づく外部ファン53,73の制御により、外部ファン53,73の回転数を低下させたときに外部ファン53,73の稼動音を低下させることができる。そして、外部ファン53,73の回転数を上昇させたときには、機器38,70を効果的に冷却することができる。
【0049】
なお、第2実施形態における制御部81の外部ファン53,73の回転数の変更制御は、これに限定するものではない。例えば、制御部81は、検知温度が閾値(例えば、30℃)以上か否かを判断し、温度検知部80、90の検知温度が閾値(例えば、30℃)未満の場合には、外部ファン53、73の回転数を0に変更してもよい。即ち、外部ファン53、73の運転を停止するように制御してもよい。そして、検知温度が閾値(例えば、30℃)以上の場合、制御部81は、温度上昇に伴って外部ファン53,73の回転数を直線的或いは段階的に上昇させる制御を行うようにしてもよいし、外部ファン53,73の回転数を一定に制御してもよい。これによれば、外部ファン53,73の運転を停止させた場合には、外部ファン53,73の騒音がなくなり、外部ファン53,73を運転させた場合には、機器38,70を効果的に冷却することができる。
【0050】
また、上記第1及び第2実施形態では、発熱する機器がレーザスキャナ部38と電源部70の場合について説明したが、これに限定するものではなく、他の発熱する機器を冷却する場合についても上述の冷却構造を適用することができる。例えば、露光走査のための光源や電源等の発熱する機器を備えている画像読取部69にも上述の冷却構造を適用できる。画像形成装置を例示して説明したが、発熱する機器を内包した電子装置であれば本発明を適用可能である。
【0051】
また、上記第1及び第2実施形態では、熱交換部51a,71aとして、カバー51,71に断面凹凸形状の加工を施して、カバー51,71の内側と外側の両方に凹凸を形成した場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、カバーの一部であって、その内側と外側の両方に別途フィン部材をそれぞれ密着固定して熱交換部を形成するようにしてもよい。
【0052】
また、上記第1及び第2実施形態では、カバー51,71は、略密閉構造としたが、これに限定するものではなく、完全に密閉できるのであれば、密閉構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略横断面図である。
【図3】レーザスキャナ部の冷却構造を説明するための概略断面図である。
【図4】電源部の冷却構造を説明するための概略断面図である。
【図5】カバーの熱交換部近傍の概略を示す説明図である。
【図6】第2実施形態に係る画像形成装置の機器の冷却構造を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 複写機(画像形成装置、電子装置)
2 画像形成部
3 筐体
26 排出ローラ対(シート排出部)
38 レーザスキャナ部(機器)
41 通気口
51 カバー
51a 熱交換部
52 内部ファン
53 外部ファン
70 電源部(機器)
71 カバー
71a 熱交換部
72 内部ファン
73 外部ファン
80 温度検知部
90 温度検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像形成されたシートを筐体の外部に排出するシート排出部とを備え、前記筐体の内部に発熱する機器が配置され、前記筐体の外部から空気を取り入れて、発熱する前記機器を冷却する画像形成装置において、
前記筐体の内部に配置され、前記機器の全体を覆うカバーと、
前記カバーの内部に配置され、前記カバーの内部の空気を攪拌する内部ファンと、
前記カバーの外部に配置され、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部に取り入れる外部ファンと、を備え、
前記カバーに、前記外部ファンにより前記筐体の内部に取り入れた空気と、前記内部ファンにより攪拌した空気との間で熱交換する熱交換部を形成し、
前記内部ファン及び前記外部ファンを前記熱交換部に対向させて配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記熱交換部は、前記カバーの一部を凹凸形状に加工して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記内部ファンは、前記機器により暖められた空気を前記熱交換部に吹き付けるよう、吸い込み側が前記機器に対向し、吹き出し側が前記熱交換部に対向していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記筐体には、通気口が形成されており、
前記外部ファンは、前記通気口から空気を取り入れて前記熱交換部に吹き付けるよう、吸い込み側が前記通気口に対向し、吹き出し側が前記熱交換部に対向していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カバーの内部の温度を検知する温度検知部を備え、
前記温度検知部の温度検知結果に基づいて、前記外部ファンの回転数を変更することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
筐体の内部に発熱する機器が配置された電子装置において、
前記筐体の内部に配置され、前記発熱する機器を覆い、略密閉構造となっているカバーと、
前記カバーの内部に配置され、前記カバーの内部の空気を攪拌する内部ファンと、
前記カバーの外部に配置され、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部に取り入れる外部ファンと、を備え、
前記カバーに、前記外部ファンにより前記筐体の内部に取り入れた空気と、前記内部ファンにより攪拌した空気との間で熱交換する熱交換部を形成し、
前記内部ファン及び前記外部ファンを前記熱交換部に対向させて配置したことを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−198681(P2009−198681A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38783(P2008−38783)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】