説明

画像形成装置および露光モジュール

【課題】 長期間にわたる連続使用が可能な画像形成装置および露光モジュールを提供すること。
【解決手段】 露光ヘッド10は、二組の発光素子アレイ11,12を備え、発光素子アレイ11,12のアノード側は、駆動電圧の供給を行う駆動スイッチ13a,13b…のドレイン端子に接続されている。また、カソード側は、電極線22,23を介して接地線との接続切り替えを行う切り替え回路24に接続されている。寿命管理部3は、発光素子アレイ11と連動して動作するダミー発光素子25の輝度検出の結果に基づいて当該発光素子アレイの寿命監視を行い、発光素子アレイ11が寿命に到達したと判断すると、切り替え回路24によって、発光素子アレイ12への動作切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子アレイを備えた画像形成装置および露光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
感光体上に露光手段を用いて潜像を形成し、トナー等を用いて当該潜像を可視画像化する画像形成装置は、コピー機や印刷機として現在広く利用されている。潜像形成のための露光方式としては、光源からの光をポリゴンミラーで反射させて走査を行うタイプや、ライン状に配列された複数の発光素子(発光素子アレイ)でライン走査を行うタイプがある。
【0003】
上述の発光素子アレイに用いられる発光素子としては、半導体材料を用いた無機発光ダイオードやレーザダイオードなどが知られている。また、近年では、有機材料のエレクトロルミネッセンス(EL)効果を利用した有機EL素子を用いたものについても実用化の研究がなされている。
【0004】
ところで、有機EL素子は、その長寿命化が実用化のための重要な技術課題である。例えば、特許文献1に係る画像形成装置においては、発光素子に供給する電気信号の制御により素子の長寿命化が図られている。
【0005】
【特許文献1】特開平4−363264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような技術を用いても、発光素子アレイの寿命を飛躍的に延ばすことは困難であり、長期間使用するためには途中に煩雑な交換作業が必要であった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、長期間にわたる連続使用が可能な画像形成装置および露光モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、並列して設けられた複数組の発光素子アレイと、前記複数組の発光素子アレイから一の前記発光素子アレイを選択して動作可能にする動作選択手段と、前記発光素子アレイの寿命を監視する寿命監視手段と、を備え、前記動作選択手段は、前記寿命監視手段が前記一の発光素子アレイの寿命到達を判断した際に、寿命に到達していない他の前記発光素子アレイの選択を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明の画像形成装置によれば、一の発光素子アレイが寿命に到達したときに、動作対象が他の発光素子アレイに切り替えられるようになっているため、並列して設けられた発光素子アレイの数に応じて、長期間にわたる連続使用が可能である。
【0010】
また好ましくは、前記画像形成装置において、前記寿命監視手段は、前記発光素子アレイの動作履歴に基づいて前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする。
この発明の画像形成装置によれば、簡単な態様で寿命監視手段を構成することができる。
【0011】
また好ましくは、前記画像形成装置において、前記寿命監視手段は、前記発光素子アレイの輝度特性に基づいて前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする。
この発明の画像形成装置によれば、発光素子アレイの寿命を効果的に判断することができる。
【0012】
また好ましくは、前記発光素子アレイと連動して動作するダミー発光素子を備える前記画像形成装置において、前記寿命監視手段は、前記ダミー発光素子の輝度を検出して前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする。
この発明の画像形成装置によれば、ダミー発光素子の輝度を検出することにより間接的に発光素子アレイの輝度を知ることができ、輝度検出のための構成を簡素化することができる。
【0013】
また好ましくは、前記画像形成装置において、前記寿命監視手段は、前記発光素子アレイの駆動に係る電気特性に基づいて前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする。
この発明の画像形成装置によれば、比較的簡単な態様で寿命監視手段を構成することができる。
【0014】
また好ましくは、前記複数組の発光素子アレイがモジュール化されて搭載された前記画像形成装置において、前記発光素子アレイが搭載されたモジュール内に、前記発光素子アレイの寿命に係る情報を記録することを特徴とする。
この発明の画像形成装置によれば、発光素子アレイの寿命に係る情報がモジュールに記録されるので、複数のモジュールが混在して用いられるような場合においても、各モジュール毎における発光素子アレイの寿命の管理を適切に行うことができる。
【0015】
また好ましくは、前記画像形成装置において、前記動作選択手段が前記発光素子アレイの選択を切り替える際に、前記発光素子アレイの動作タイミングの切り替えを行うことを特徴とする。
この発明の画像形成装置によれば、発光素子アレイの選択の切り替えに伴う露光位置の変化を、動作タイミング(走査タイミング)の切り替えによって補償することができる。
【0016】
本発明の露光モジュールは、並列して設けられた複数組の発光素子アレイと、前記複数組の発光素子アレイから一の前記発光素子アレイを選択して動作可能にする動作選択手段と、前記発光素子アレイの寿命を監視する寿命監視手段と、を備え、前記動作選択手段は、前記寿命監視手段の判断に基づいて、寿命に到達していない前記発光素子アレイの選択を行うことを特徴とする。
【0017】
この発明の露光モジュールによれば、一の発光素子アレイが寿命に到達したときに、動作対象が他の発光素子アレイに切り替えられるようになっているため、並列して設けられた発光素子アレイの数に応じて、長期間にわたる連続使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0019】
(画像形成装置)
まずは、図1を参照して本発明に係る画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置の一例の内部構成を示す断面図である。
【0020】
図1において、画像形成装置100は、駆動ローラ51、従動ローラ52、テンションローラ53と、これらのローラ51,52,53によって図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50と、を備えている。また、画像形成装置100は、中間転写ベルト50と対向して所定間隔で配置された、同構成の4個の感光体ドラム41K,41C,41M,41Yを備えている。感光体ドラム41K,41C,41M,41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
【0021】
上述ないし図中の符号に付記されたK,C,M,Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味しており、K,C,M,Yが付記された符号の要素(部品)は、それぞれ各色に対応して設けられた要素を表している。各色の要素は構成が共通しているため、以降では記述の煩雑さを避けるため、それぞれの要素についてK,C,M,Yの付記を省略して説明を行う。
【0022】
感光体ドラム41は、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。感光体ドラム41の周囲には、感光体ドラム41の感光体面(外周面)を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42と、感光体ドラム41の回転に同期して感光体面をライン走査する露光モジュールとしての露光ヘッド10と、が設けられている。ここで、露光ヘッド10の発光エネルギーピーク波長と感光体面の感度ピーク波長とは略一致するように設定されており、露光ヘッド10による上記走査により、感光体面には潜像(静電像)が形成される。
【0023】
また、各感光体ドラム41の周囲には、感光体面の潜像にトナーを付与して可視画像(トナー像)を形成する現像装置44と、トナー像を中間転写ベルト50に転写する一次転写ローラ45と、一次転写後に感光体面に残留しているトナーを除去するクリーニング装置46と、が設けられている。
【0024】
現像装置44は、トナーを例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体ドラム41の感光体面に接触させて感光面の電位レベルに応じて現像剤を付着させるようになっている。
【0025】
黒、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれに対応して形成された各トナー像は、一次転写ローラ45に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0026】
定着部61には、加熱ローラを用いた熱ロール方式のものや、光照射を利用したフラッシュ方式のものなどが用いられる。フラッシュ方式の場合、その照射手段として、後述する露光ヘッド10と同構成のものを採用することができる。
【0027】
なお、図中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0028】
(露光ヘッド)
次に、図2、図3を参照して露光ヘッドの構成について説明する。
図2は、露光ヘッドの外観構成の一例を示す概略平面図である。図3は、露光ヘッドに係る電気的構成を示す図である。
【0029】
図2において、露光ヘッド10は、その出射面10aにおいて、並列して設けられた二組の発光素子アレイ11,12を備えている。発光素子アレイ11,12は、それぞれ、感光体ドラム41(図1参照)の回転軸方向に沿ってライン状に配列された複数の発光素子11a,11b…,12a,12b…で構成されており、いずれか一方のアレイが選択されて動作(光を出射)するようになっている。尚、露光ヘッド10の外観構成は、図2の態様に限定されるものではなく、例えば、発光素子を千鳥配列させて一組の発光素子アレイを構成することもできるし、3組以上の発光素子アレイを並列することもできる。
【0030】
露光ヘッド10はまた、出射面10aの端部に設けられたダミー発光素子25,26と、ダミー発光素子25,26と対向して(平面視方向で重なるように)設けられた輝度検出部27と、を備えている。ダミー発光素子25,26は、発光素子11a,11b…,12a,12b…と同じ構造であり、これらと同時に形成される。また、輝度検出部27は、ダミー発光素子25,26から出射される光の輝度を検出可能な受光素子28,29(図3参照)を備えている。
【0031】
図3に示すように、露光ヘッド10は、発光素子アレイ11,12を含んでモジュール化されており、画像形成装置100(図1参照)に付属したプリントコントローラ101および電源回路102と、インターフェース(I/F)2を介して接続されるようになっている。プリントコントローラ101は、平面展開されたビットマップデータを走査タイミングと同期した発光素子毎の時系列データ(データ信号DAT)にデコードして、潜像形成の制御を行うほか、上述したトナー像形成や転写に関する制御も行う。
【0032】
発光素子11a,11b…,12a,12b…には、それぞれ、公知の有機EL素子が用いられており、アノード電極、正孔輸送層、有機EL材料層、電子輸送層、カソード電極が積層された構造となっている。
【0033】
発光素子アレイ11,12のアノード側は、並び順単位で電圧供給のスイッチングを行う駆動スイッチ13a,13b…のドレイン端子と接続されている。すなわち、発光素子アレイ11,12の第1番目の発光素子11a,12aは駆動スイッチ13aにより、第2番目の発光素子11b,12bは駆動スイッチ13bにより(以下、同様の対応で)、駆動制御されるようになっている。
【0034】
発光素子アレイ11,12のカソード側は、電力線22,23とそれぞれ接続されており、電力線22,23の一端は、動作選択手段としての切り替え回路24と接続されている。この切り替え回路24は、電子スイッチを含むロジック回路によって構成されており、電力線22ないし23のいずれか一方の端子を選択して接地することにより、駆動可能(アクティブ)な発光素子アレイ11,12の選択を行うことができる。尚、以降では、図示のように、発光素子アレイ11がアクティブになっているものとして説明を行う。
【0035】
駆動スイッチ13a,13b…のソース端子は、駆動電圧VDが供給される電力線14と接続されている。また、駆動スイッチ13a,13b…のゲート端子は、制御回路15と接続されている。
【0036】
制御回路15は、信号線19および信号線20と接続されるシフトレジスタ16と、シフトレジスタ16の出力端子および信号線21と接続されるラッチ回路17と、ラッチ回路17の出力端子と接続されるデコーダ回路18と、を備えている。ここで、信号線19にはクロック信号CLKが、信号線20にはデータ信号DATが、信号線21にはラッチ信号LATがそれぞれ供給される。
【0037】
データ信号DATは、発光素子11a,11b…毎の駆動階調値(多値)で構成されたシリアルデータ信号である。クロック信号CLKに同期されてシフトレジスタ16に転送されたデータ信号DATは、記録周期に対応したタイミングでラッチされ、デコーダ回路18で各階調値に応じたパルス波にデコードされる。そして、各駆動スイッチ13a,13b…のゲート端子にパルス波が印加されることで、各発光素子11a,11b…に駆動電圧VDが供給され、光が出射される。パルス波は、例えば、階調値が大きくなるほど時間成分が長くなるような矩形波であり、一記録周期内における電圧供給時間の差で階調制御がなされるようになっている。
【0038】
ダミー発光素子25,26のカソード側は電力線22,23とそれぞれ接続され、アノード側は駆動スイッチ30,31のドレイン端子とそれぞれ接続されている。そして、駆動スイッチ30,31のソース端子は電力線14と接続され、駆動スイッチ30,31のゲート端子は、デコーダ回路18の第1番目の出力端子(発光素子11a,12aに対応)と接続されている。
【0039】
上述の構成により、発光素子アレイ11がアクティブにされているときはダミー発光素子25が、発光素子アレイ12がアクティブにされているときはダミー発光素子26が、第1番目の発光素子11a,12aの駆動と連動して発光する。そして、ダミー発光素子25,26からの出射光は、対向して設けられた受光素子28,29によってそれぞれ輝度検出され、その検出値が寿命管理部3に送られるようになっている。このような輝度検出は、印刷ページ毎や印刷ジョブ毎に行うようになっている。
【0040】
寿命管理部3は、露光ヘッド10内に設けられたロジック回路であり、受光素子28,29から送られてきた輝度検出値に基づいて間接的に発光素子アレイ11,12の寿命を監視、管理する役割を果たしている。すなわち、受光素子28,29(輝度検出部27)および寿命管理部3は、本発明における寿命監視手段を構成している。
【0041】
このように、ダミー発光素子25,26を利用して発光素子アレイ11,12の間接的な輝度検出を行う構成としたのは、装置構成の簡素化のためである。すなわち、発光素子アレイ11,12の輝度を直接的に検出しようとする場合には、露光ヘッド10の出射面10a(図2参照)が感光体ドラム41(図1参照)に対向する構成となっているために、露光ヘッド10を移動させる特別な機構等が必要となるが、本実施形態の態様ならばそのような機構は不要である。
【0042】
発光素子アレイ11が累積動作によって劣化し、受光素子28における輝度検出値が所定臨界値を下回った場合、寿命管理部3は、発光素子アレイ11の寿命到達を判断し、切り替え回路24に発光素子アレイ12をアクティブにするように命令信号を送る。また、寿命管理部3は、発光素子アレイ11が寿命に到達した旨の情報を、プリントコントローラ101に伝送すると共に自身のメモリ内に記録する。
【0043】
発光素子アレイ11の寿命到達の情報を受けたプリントコントローラ101は、駆動制御に係る各種信号LAT,DAT等の発信タイミングの切り替えを行う。これは、発光素子アレイ11から発光素子アレイ12に動作切り替えが行われることに伴い、感光体ドラム41(図1参照)の感光体面に対する走査位置が変化してしまうので、これを補償するために行うものである。
【0044】
かくして、それまで温存されていた発光素子アレイ12がアクティブにされることにより、この露光ヘッド10は、発光素子アレイ11の寿命到達後も継続して動作を行う。以降、発光素子アレイ12についても上述の場合と同様の寿命監視が行われる。
【0045】
発光素子アレイ11,12に関する寿命の情報は、上述のように寿命管理部3内のメモリに記録されて、露光ヘッド10の個体毎に管理されるようになっている。これにより、一旦装置本体から取り外された露光ヘッド10が再び取り付けられたような場合においても、適切な寿命管理が行われ、個体毎の寿命に係る情報が錯綜することがない。
【0046】
(変形例1)
次に、図4を参照して、本発明の変形例1について、先の実施形態との相違点を中心に説明する。図4は、変形例1における露光ヘッドに係る電気的構成を示す図である。
【0047】
この変形例1に係る露光ヘッド10は、先の実施形態のようなダミー発光素子や輝度検出部を備えておらず、代わりに、電力線14に供給される電流量を検出する電流センサ4を備えている。そして、寿命管理部3は、検出される当該電流量に基づいて、発光素子アレイ11,12の寿命を監視、管理するようになっている。すなわち、寿命管理部3と電流センサ4は、本発明における寿命監視手段を構成している。
【0048】
寿命の監視は、例えば、印刷のページ毎や印刷ジョブ毎に所定の条件で発光素子11a,11b…を駆動(例えば、全発光素子について最大階調のパルスで駆動)し、あらかじめ寿命管理部3内のメモリに記憶しておいた初期値と比較することで行われる。累積動作により発光素子アレイ11が劣化すると、上記検出値は初期値から低下することになり、寿命管理部3は、その低下量が臨界値を超えたときをもって寿命到達と判断する。
【0049】
(変形例2)
次に、図5を参照して、本発明の変形例2について、先の実施形態との相違点を中心に説明する。図5は、変形例2における露光ヘッドに係る電気的構成を示す図である。
【0050】
この変形例2に係る露光ヘッド10においては、発光素子アレイ11のカソード側および発光素子アレイ12のアノード側が共通の電力線33に接続され、発光素子アレイ12のカソード側が駆動スイッチ13a,13b…のドレイン端子と接続されている。電力線33および電力線14の一端は、動作選択手段としての切り替え回路32と接続されている。
【0051】
切り替え回路32は、電力線33および電力線14の一端を、接地線または駆動電圧VDの供給線に切り替え接続することにより、発光素子アレイ11,12の一方を選択して駆動可能(アクティブ)にすることができる。すなわち、図示の状態のときは、発光素子アレイ11が順バイアスとなって駆動される。また、回路の切り替えによって電力線33が駆動電圧の供給線に、電力線14が接地線に接続されたときは、発光素子アレイ12が順バイアスとなって駆動される。尚、回路の切り替えが行われたときは、駆動スイッチ13a,13b…のソース/ドレインの機能は入れ替わることになる。このため、駆動スイッチ13a,13b…には、極性を問わないFET等が用いられている。
【0052】
発光素子アレイ11が順バイアス駆動されている間、発光素子アレイ12には逆バイアスの電圧が印加されることになるが、このことによる発光素子12a,12b…の特性劣化は発生しない。EL現象が生じない逆バイアス下では構成材料の劣化は起こらず、また、素子中の不純物が電界で移動することによる影響は、発光素子アレイ12がアクティブにされて順バイアス駆動されることで実質的に相殺されることになるからである。
【0053】
切り替え回路32は、寿命管理部3と電気的に接続されており、寿命管理部3で発光素子アレイ11の寿命到達が判断されると、発光素子アレイ11から発光素子アレイ12への動作切り替えを行う。ここで、寿命管理部3は、プリントコントローラ101内の印刷履歴カウンタ103から送られる情報に基づいて、発光素子アレイ11,12の寿命の監視、管理を行うようになっており、具体的には、印刷履歴カウンタ103が計上した印刷枚数や印刷時間等の累積値を発光素子アレイ11,12に与えられた駆動負荷と擬制し、寿命の監視を行う。すなわち、寿命管理部3と印刷履歴カウンタ103は、本発明における寿命監視手段を構成している。
【0054】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、上述の発光素子には、無機発光ダイオードなどを採用することもできる。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】画像形成装置の一例の内部構成を示す断面図。
【図2】露光ヘッドの外観構成の一例を示す概略平面図。
【図3】露光ヘッドに係る電気的構成を示す図。
【図4】変形例1における露光ヘッドに係る電気的構成を示す図。
【図5】変形例2における露光ヘッドに係る電気的構成を示す図。
【符号の説明】
【0056】
3…寿命監視手段を構成する寿命管理部、4…寿命監視手段を構成する電流センサ、10…露光モジュールとしての露光ヘッド、10a…出射面、11,12…発光素子アレイ、11a〜11l,12a〜12l…発光素子、13a〜13e…駆動スイッチ、14…電力線、15…制御回路、16…シフトレジスタ、17…ラッチ回路、18…デコーダ回路、19…信号線、20…信号線、21…信号線、22,23…電力線、24…動作選択手段としての切り替え回路、25,26…ダミー発光素子、27…輝度検出部、28,29…寿命監視手段を構成する受光素子、30,31…駆動スイッチ、32…動作選択手段としての切り替え回路、33…電力線、41…感光体ドラム、100…画像形成装置、101…プリントコントローラ、102…電源回路、103…寿命監視手段を構成する印刷履歴カウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列して設けられた複数組の発光素子アレイと、
前記複数組の発光素子アレイから一の前記発光素子アレイを選択して動作可能にする動作選択手段と、
前記発光素子アレイの寿命を監視する寿命監視手段と、を備え、
前記動作選択手段は、前記寿命監視手段が前記一の発光素子アレイの寿命到達を判断した際に、寿命に到達していない他の前記発光素子アレイの選択を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記寿命監視手段は、前記発光素子アレイの動作履歴に基づいて前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記寿命監視手段は、前記発光素子アレイの輝度特性に基づいて前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光素子アレイと連動して動作するダミー発光素子を備える請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記寿命監視手段は、前記ダミー発光素子の輝度を検出して前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記寿命監視手段は、前記発光素子アレイの駆動に係る電気特性に基づいて前記発光素子アレイの寿命到達を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数組の発光素子アレイがモジュール化されて搭載された請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記発光素子アレイが搭載されたモジュール内に、前記発光素子アレイの寿命に係る情報を記録することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記動作選択手段が前記発光素子アレイの選択を切り替える際に、前記発光素子アレイの動作タイミングの切り替えを行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
並列して設けられた複数組の発光素子アレイと、
前記複数組の発光素子アレイから一の前記発光素子アレイを選択して動作可能にする動作選択手段と、
前記発光素子アレイの寿命を監視する寿命監視手段と、を備え、
前記動作選択手段は、前記寿命監視手段の判断に基づいて、寿命に到達していない前記発光素子アレイの選択を行うことを特徴とする露光モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−98744(P2007−98744A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290807(P2005−290807)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】