説明

画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法、プログラム、記録媒体

【課題】画像形成装置におけるファームウェアのアップデートを、確実に、かつ、装置の稼働率を低下させずにおこなえるようにすることを目的とする。
【解決手段】外部記憶手段から新しいファームウェアが装置内のハードディスクにすべてコピーされた後、既存のファームウェアが格納されているフラッシュメモリへの書き換えの実行(アップデート)、書き換え終了後の再起動を、装置の非作動状態(節電モード、スリープモード)で実行されるモードが選択されている場合(F1=1,F2=1)、タイマーの計時値tが時間T1に達して節電モードになると(S44/Y)、アップデートを実行し(S50)、その後さらにタイマーの計時値tが時間T2に達してスリープモードになると(S43/Y)、再起動を実行する(S59)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法、プログラム、記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、装置の動作制御をファームウェアにより実現している機器においては、その機能拡張や機器の不具合解消のために、ファームウェアの書き換え(アップデート)が行なわれる。
ファームウェアのバージョンアップにともなう書き換え作業を簡素化し、作業の効率化を図る技術として、例えば特許文献1にみられるような、現在使用している機器のファームウェアの既存バージョンについて、チェック済みか否かの確認を行い、確認が終了していなければ、機器から既存バージョンを読み出して、該既存バージョンが最新バージョンと一致しているか否かを比較し、一致していない場合は、最新バージョンの出力制御用ファームウェアを機器へ転送し、転送した最新バージョンが既存バージョンに代わって正しく書き換えられているか否かを判断し、判断結果に応じて最新バージョン又は既存バージョンのいずれかを選択して、所定の出力処理を実行するものがある。
【0003】
また、特許文献2のように、ファームウェアのバージョンアップ時に新しいファームウェアのダウンロードや書き換え処理にかかる時間を短縮できるようファームウェアを格納するメモリを複数の領域に分割し、領域毎に複数のモジュール群に分割されたファームウェア本体を配置し、ファームウェアのバージョンアップ時に変更のあるモジュール群が格納された領域のみを書き換えるようにしたものも提案されている。
【特許文献1】特開2002−35809号公報
【特許文献2】特開2002−342100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、携帯性に優れセキュリティー機能も備えているUSBメモリの普及にともない、業務用機器の分野においても、機器に設定用のソフトウェアを供給するための外部記憶手段として利用され始めている。しかしながら、外部から新バージョンのファームウェアを供給する外部記憶手段としてUSBメモリを採用した場合、データの読み取り/書き込み中でもプラグから引き抜くことができる状態で挿入されているため、ファームウェアに必要なデータをハードディスクにコピーしている途中に引き抜かれたりすると、ファームアップが正しく行えなくなるという問題がある。
また、ファームウェアは通常、EEPROMであるフラッシュメモリに格納されているが、読み取り/書き込み速度が遅いことからアップデートに時間がかかり、画像形成装置を頻繁に利用する業務を行っているところでは就業時間中にファームアップ作業を行った場合、業務に支障をきたすことになる。さらに、バージョンアップにより追加された新しい機能は、アップデートが終了した後、再起動することが行われるが、再起動をかけるとそれまで利用者が行った各種の設定値などがクリアされてしまったり、連動して動作している他の処理を停止させることになり、やはり業務に支障を来すことになるという問題があるが、上記の従来技術はこれらの問題については考慮されていない。
【0005】
本発明は、上述のごとき現状に鑑み、確実に、かつ、装置の稼働率を低下させずにファームアップ作業を行えるようにした画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法、プログラム、記憶媒体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述のごとき課題を解決するために、以下の各技術手段により構成される。
第1の技術手段は、ファームウェアを格納するための第1の記憶手段、前記第1の記憶手段からファームウェアをコピーし、ファームウェアを実行するのに用いられる第2の記憶手段、外部記憶手段から供給されるファームウェアを一時的に記憶する第3の記憶手段、を備えた画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法であって、前記外部記憶手段に記憶されている新しいファームウェアを前記第3の記憶手段に一時的にコピーし、すべてコピーをした後に前記第1の記憶手段に格納されているファームウェアの書き換え処理を実行することを特徴とする。
【0007】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記第1の記憶手段への書き換え処理は、装置が非作動状態のときに行われることを特徴とする。
【0008】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記装置の非作動状態は節電モードであることを特徴とする。
【0009】
第4の技術手段は、第1から3のいずれかの技術手段において、前記第1の記憶手段のファームウェアの書き換えに伴って行われる装置の再起動は、前記書き換え処理が実行された後、装置が非作動状態のときに行われることを特徴とする。
【0010】
第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記第1の記憶手段のファームウェアの書き換え処理に伴って行われる装置の再起動は、前記書き換え処理が実行された後、装置が非作動状態のときに行われることを特徴とする。
【0011】
第6の技術手段は、第1から6のいずれかの技術手段において、前記第1の記憶手段はフラッシュメモリであり、前記第2の記憶手段はRAMであり、前記第3の記憶手段はハードディスクであることを特徴とする。
【0012】
第7の技術手段は、第1から6のいずれかの技術手段において、前記新しいファームウェアは、USBメモリから供給されることを特徴とする。
【0013】
第8の技術手段は、第1から7のいずれかの技術手段であるファームウェアのアップデート方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0014】
第9の技術手段は、第8の技術手段であるプログラムがコンピュータによって読み取り可能に格納された記録媒体であること特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、USBメモリなどの外部記憶手段からハードディスクへのコピーが終了してからアップデートが行われるので、アップデートに必要なデータが不足した状態での不完全なファームアップ処理が実行されるようなことを無くすことができる。また、処理に時間のかかるフラッシュメモリ(EEPROM)へのファームウェアの書き換えを、装置が利用されていない状況下で実行させることが可能となり、業務への支障を最小限にしてファームアップ作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法を、デジタル複合機に適用した場合の実施形態を説明するためのブロック構成図で、デジタル複合機1は、ファクシミリ装置,ネットワークスキャナ装置,プリンタ装置,メール送信装置などの機能を有しており、本実施形態においては、外部からファームアップ用のファームウェアを供給するためのUSBメモリ2を装着するUSBコネクタ(不図示)を備えている。図1において、10は装置全体の動作を制御する機器制御部で、セクション「ICU MIN」(メイン制御部)のファームウェア10a,セクション「ICU BOOT」(起動制御部)のファームウェア10bを備えている。20は、原稿画像を画像データとして取り込むためのCCD21、原稿の有無を検知する原稿検知センサ22などを有する画像読み取り部で、セクション「SCU」(スキャナ制御部)のファームウェア10aを備えている。30は、画像読み取り部20が生成した画像データやネットワークを介して外部機器から送られてくる画像データを一時的に記憶しておくメモリ31、メモリ31に記憶した画像データから画像を形成して記録用紙に記録する印字部(LSU)32などを有する画像形成部で、セクション「PCU」(プリンタ制御部)のファームウェア30aを備えている。40は、メモリに取り込まれたデジタル画像データに対し、編集や拡大・縮小その他各種の画像処理を行う画像処理部40で、セクション「IMG ASIC」(画像処理部)のファームウェア40aを備えている。
【0017】
50は操作表示部で、使用者の操作により各種の指定、モード選択、その他の情報を入力するためのタッチパネルと操作のために必要な情報その他各種の情報を表示する液晶パネルとが一体的に構成されている。60は画像処理部40が生成した画像データ等の画像処理に係る画像データをはじめ各種の情報を記憶しておくハードディスクで、ファームアップを行う場合にUSBメモリ2からのデータを取り込んで一旦保存するときにも利用される。70はデジタル複合機1が実行する各種の処理を管理するための管理情報(各種の制御情報)を記憶する管理部である。
【0018】
以上の構成は、従来のデジタル複合機と同様であり、画像読み取り部20が生成するなどした画像データを通信部(NIC)からパーソナルコンピュータ(PC)へ送信することができ、ネットワークスキャナ装置として機能する。また、生成した画像データをハードディスク60に保存する場合には、デジタル複合機1は単なるスキャナ装置として機能することとなる。また、デジタル複合機1は、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)から送信された画像データを通信部(NIC)で受信し、受信した画像データから画像形成部30で画像を形成することができ、プリンタ装置として機能する。
【0019】
上述したようなデジタル複合機において、ファームウェアのアップデートを行うために本実施形態では、外部から新しいファームウェアを供給する外部記憶メモリとしてUSBメモリを採用しており、外部から最新バージョンのファームウェアを供給するためのUSBメモリ2との間でデータの送受信を可能にするUSBインターフェース80を備えている。
【0020】
本発明によるファームウェアのアップデート方法を実行するためのプログラムを備えているファームアップ管理部90は、バージョン情報取得部91、バージョンアップ判定部92、バージョンアップ処理部93を有しており、後述するファームアップ・モードにおいて、操作表示部50における各種の入力操作に応じてファームアップに関する処理を実行する機能を備えている。
【0021】
バージョン情報取得部91は、上述した各セクションに設けられている既存ファームウェア(10a,10b,20a,30a,40a)のバージョン情報および外部記憶媒体であるUSBメモリ2から供給される最新バージョンのファームウェアのバージョン情報を取得する機能を有している。
【0022】
バージョンアップ判定部92は、バージョン情報取得部91で取得したバージョン情報、各セクションのファームウェアのバージョンアップ履歴情報、他のセクションのファームウェアとの関連情報などにもとづいて、ファームアップ可能なファームウェアの判定、ファームアップの組み合わせの適否の判定、アップデートの優先順の判定などを行う機能を有している。
【0023】
バージョンアップ処理部93は、バージョンアップ判定部92の判定結果にもとづいて、ファームアップ可能なファームウェアの選択、アップデートを実行するファームウェアの自動選択、関連するアップデートの必要なファームウェアの選択、アップデートを実行する順番の決定などの処理を行う機能を有している。
【0024】
また、ファームアップ管理部90は、選択されたファームウェアのバージョン情報その他ファームアップ処理中の各段階での表示情報を機器制御部10を介して操作表示部50送信する制御機能を有している。
【0025】
図2は、図1に示したデジタル複合機おける機器制御部10の詳細ブロック図で、CPUが搭載された制御部11、制御プログラムなどが格納されているROM12、起動時にファームウェア10aをコピーしたり、装置の動作中における各種のデータを一時的に記憶しておくRAM13などを含み、ファームアップを行う場合にUSBメモリ2に格納されているバージョン情報の取得やハードディスクへのファームウェアのコピー動作の制御を行う。
図3は、図1おける操作表示部50の一例を示す図で、液晶パネルからなる表示部51は前述したようにタッチパネルと一体になっており、画面に表示されている項目やキーにタッチすることで各種の設定や指定、モード選択などが行えるようになっている。
【0026】
次に、デジタル複合機に適用した本発明の実施形態におけるファームウェアのアップデート方法について、操作表示部における操作手順と表示画面をの例をもちいて説明する。ファームアップを行うには、先ず、ファームアップ用の最新バージョンのファームウェアが記憶されているUSBメモリ2を本体側のUSBコネクタ(不図示)に挿入し、図3に示すようにユーザ設定キー52にタッチする。すると表示画面は図4に示すユーザ設定画面に切り替るので「サービスプログラム」を選択し、図4の画面で入力部のテンキー53(図3)からファームアップに対応しているサービスコードを入力すると図5の画面に切り替わり、さらにキーオペレータコードを入力(図6)すると図7の表示画面になる。
【0027】
図7の表示画面でシュミレーションコードを例えば“55−01”と入力しOKすると、ファームアップ・モードが設定され、USBメモリ2に記憶されている最新バージョンのファームウェアのバージョン情報が読み込まれ、その最新バージョン情報をもとに既存ファームウェアについてファームアップ可能なファームウェアがどのセクションのものか判定され、該当するファームウェアのバージョン名とリリース日が図8に示すようにセクション毎に表示される。
【0028】
クライアントとのサポート契約内容やその他の理由で、アップデートするファームウェアが決まっているような限定的なファームアップ作業の場合は、図8の表示画面で表示されているリストの中から該当するファームウェアを指定することにより、最短の処理,操作でアップデート実行開始を決定する表示画面(図11)に進むことができる。
【0029】
ファームアップ作業が上述したような限定的ではない場合は、図8の表示画面でファームウェアの指定は行わずそのままOKにすると、図9に示すように、USBメモリを取り外さないよう注意を促すメッセージが表示され、システムがUSBメモリ2に記憶されているファームウェアの存在を認識したことを意味するメッセージも表示される。
所定時間経過後またはOKするとことで図10の表示画面になり、USBメモリ2から供給される最新のファームウェアとそれに対応する既存のファームウェア双方のバージョン名とリリース日がセクション毎に対比されて表示される。
【0030】
図10で反転表示されているセクション「ICU(MAIN)」「ICU(BOOT)」,「IMAGE ASIC」,「SCU」については、USBメモリ2から供給されたバージョンアップ情報とファームアップ管理部90に保存されているバージョンアップ情報にもとづいてアップデート状況が判定され、自動選択されたことを表している。
【0031】
図10の表示画面においてファームアップ作業者は、矢印キーで次ページ以降の画面を順次表示させ、ファームアップ用のマニュアルや資料と表示画面を見ながら引き続きアップデートするファームウェアの指定を行っていく。外部から供給されるファームウェアの中には、例えば他の作業者により既にバージョンアップされているケースもあり、そのような場合は同じバージョン名とリリース日が表示されるのでアップデートの対象から除外する。このように、図10の表示画面によって、アップデートを実行するファームウェアの指定作業を効率良く、確実に行うことができ、無駄なアップデートも避けることができる。4ページ目までの確認、指定作業が終了し、間違のないことを確認してOKすると画面は図11の表示になる。図11の表示例は、作業者による指定および自動選択されたファームウェアは6個であり、アップデートを実行すると、表示されているセクションのファームウェアが表示されているリリース日のバージョンに更新されることを表している。
【0032】
本発明は、第3の記憶手段であるハードディスク60に、外部記憶手段であるUSBメモリ2から新しいファームウェアをすべてコピーした後に、すぐにアップデートは行わず、装置が非作動状態になったときにアップデートを実行する機能を含むものであるが、その具体的な実現方法として、例えば、アップデートが節電モードになったら実行される機能を、プログラムとしてファームアップ管理部90の制御プログラムに記述しておき、図11の表示画面でその機能を選択するキーを用意しておくことも一つの実施形態とすることができる。この実施形態については、フローチャート図を参照しながら後述する。
【0033】
図11の表示画面で、すぐにアップデートを実行する場合は、セクション毎に表示されているファームウェアを確認のうえOKし、スタートキー54(図3)を押下することによりアップデートが開始される。
図12は、アップデートの進行状況を表示している画面を表しており、セクション「ICU(BOOT)」,「PCU」,「ICU(MAIN)」のアップデートが終り、セクション「IMAGE ASIC」がアップデート中であることを示している。選択されたファームウェアのアップデートがすべて終了すると図13の画面になり、装置の再起動を促すメッセージが表示される。
【0034】
本発明は、アップデートを実行した後に行う再起動をすぐに実行せず、装置が作動状態になったときに再起動する機能も含むものでるが、その具体的な実現方法としては、例えば、機器制御部10に備えられている起動プログラムに自動起動できる自動起動プログラムを記述しておくなどして、装置がスリープモードになったときにその自動起動プログラムを利用して再起動させるプログラムを、例えば、ファームアップ管理部90の制御プログラムに記述しておき、図13の表示画面にその機能を選択するキーを用意しておくことも一つの実施形態とすることができる。
なお、図13の表示画面で、すぐに再起動できる状況であれば、手動で再起動しても良いことは当然である。
【0035】
次に、上述したデジタル複合機におけるファームアップの処理について、図14、15のフロー図により説明する。前述したように図3の画面で「ユーザ設定」を選択して順次操作を行ない、図7の画面でファームアップのサービスコードを入力しOKすることでステップS1のファームアップ・モードになる。ステップS2でファームアップ用のUSBメモリ2が本体のUSBコネクタに挿入されているか否かのチェック行なわれ、USBメモリ2が挿入されていることが確認されるとステップS3に進み、ファームアップ管理部90におけるバージョン情報取得部91がUSBメモリ2から供給される最新バージョンのファームウェアのバージョン情報を取得し、ステップS4で同様にバージョン情報取得部91が既存ファームウェアのバージョン情報を取得し、取得した既存ファームウェアのバージョン情報を表示部52に表示する(図8)。
【0036】
図8の表示画面で、あらかじめファームアップするセクションが決まっている限定的なファームアップ作業のような場合は該当するファームウェアのみを指定する(ステップS5/Y)。図8の表示画面で特定のファームウェアを指定せずにそのままOKすれば(ステップS5/N)、前述したように注意を促すメッセージが表示され(図9)、ステップS6に進み、既存のファームウェアと新しいバージョンのファームウェアとのバージョン名およびリリース日が対比されて表示される(図10)。表示されているファームウェアをファームアップする場合はALLキーですべて選択しOKすることによりステップS8に進み、表示されているファームアップ可能なファームウェアの選択処理が実行される。
【0037】
図8の画面で、特定のファームウェアを指定した場合はステップS9からステップS10に進み、指定したファームアップの組み合わせが適切か否か判定され、適切な場合はステップS11に進み、指定したファームウェアの選択処理が行なわれ、ステップS14に進む。ステップS10で指定したファームアップの組み合わせが適切でないと判定された場合はエラーメッセージが表示され(ステップS12)、その場合はステップ5に戻り、指定をやり直すことができる(ステップS13/Y)。
【0038】
ステップS8あるいはステップS11で操作者が指定したファームウェアの選択処理が実行され、さらにステップS14で関連するアップデートの必要なファームウェアが選択処理され、ステップS15でアップデートの優先順が決定されてステップS16に進み、図11の画面を表示し、表示されているファームウェアのアップデートを実行して良いかの確認メッセージが表示され、操作者はアップデートするファームウェアの最終確認をしてOKするとアップデートの実行処理が開始される。
【0039】
以上は、ファームアップ作業として、USBメモリ2から新バージョンのファームウェアをハードディスクにコピーし終わった後、継続してアップデートを行う通常の方法についての説明である。
【0040】
次に、アップデートを後で行う本発明の実施形態について、図16,17のフローチャートにもとづいて説明する。
図16において、ステップS20からステップS26までは、図14,15の場合と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、ステップS26でハードディスク60にコピーされた新バージョンのファームウェアと対応する既存ファームウェアのバージョン情報がセクション毎に表示された図10の表示画面でOKするとステップS27に進み、アップデートを節電モードで実行するか否かを選択できる画面が表示され(不図示)、節電モードでの実行を選択するとフラグF1を“1”にセットし(ステップS27)、ファームアップ・モードを終了し(ステップS29)。
ステップS27で、すぐにアップデートの実行を選択すれば、ステップS30,31,32と、前述した図14,15の場合と同様の処理が行われ、ファームアップ作業を終了することになる。
【0041】
次に、節電モードになったときにアップデートを実行する場合、および、アップデート終了後の再起動をスリープモードで実行する場合について、図17のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS40で装置の電源がオンになると、所定の条件で装置を「節電モード」「スリープモード」にするための時間を計測するタイマーがスタートし(ステップS41)、計時値tに“0”がセットされる。ステップS43はタイマーの計時値tが装置をスリープモードにする時間T2に達したか否かを監視するステップで、例えばT2は、最後に発生したイベントからの経過時間として「2時間」に設定されている。ステップS44は同じく節電モードの時間T1を監視するステップSで、例えばT1は、「1時間」に設定されている。
【0042】
装置の電源がオンになった直後は、計時値tは、当然T1,T2には達していないので、ステップS45に進み、図3のメニュー選択画面が表示される。選択操作がなければステップS46からステップS43に戻り、タイマーの計時値tがT1又はT2に達するまでこの間のステップを繰り返す。ステップS46で選択操作がなされるとステップS47に進み、選択した機能による処理が実行され、処理が終了すると(ステップS48)ステップS42に戻り、タイマーの計時値tがリセットされる。
【0043】
ステップS44で、タイマーの計時値tがT1に達していると、ステップS49に進み、フラグF1が“1”すなわち、アップデートを節電モードで実行する選択がされていると、ステップS50に進みアップデートが実行される。アップデートが終了すると(ステップS52)、終了メッセージ(図13参照)が表示され(ステップS53)し、フラグF1を“0”に戻しステップS54に進む。このステップは、例えば図13の表示画面でOKした後、再起動をすぐには実行せず、スリープモードになる時に実行すること選択できる表示画面を用意しておくことで実現される。
【0044】
装置がスリープモードになるときに再起動を実行する選択にした場合、ステップS55に進みフラッグF2が“1”にセットされ、ステップS56で装置は節電モードになる。節電モードになった後もタイマーは計時動作を続け、ステップS43でタイマーの計時値tがT2に達すると、ステップS58に進み、フラグF2が“1”すなわち、ステップS54でスリープモードでの再起動が選択されていると、ステップS59で装置の再起動が自動的に行われる。
【0045】
以上に説明した実施形態では、装置の非作動状態である節電モードやスリープモードになったことを検出するのにタイマー出力を利用する例を示したが、装置が非作動状態になったことを検出する方法として、例えば節電モードやスリープモードになると電力が供給されなくなる部位の電圧を監視するようにしても良い。
【0046】
また、節電モードでアップデートを実行する際に装置を通常モードに戻さず、アップデート処理に必要な部位にのみ電力を供給し、アップデート処理が終了したら再び節電モードにするようにしても良い。なお、上述した実施形態では、アップデートを節電モードになったときに実行する例を示したが、スリープモードで実行するようにしても良く、その場合もスリープモードのまま、アップデートに必要な部位にのみ電力を供給するようにすればさらに省エネルギーになる。さらに、再起動をスリープモードで自動的に行う場合、新しいファームウェアでの起動が完了したらすぐにスリープモードになるようにすれば、無駄な電力消費を大幅に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施態様にかかるデジタル複合機のブロック構成図である。
【図2】図1における機器制御部の詳細ブロック図である。
【図3】操作表示部の一例を示す図である。
【図4】ユーザ設定画面でサービスプログラムを選択する表示画面を示す図である。
【図5】ユーザ設定画面でキーオペレータコードを入力する表示画面を示す図である。
【図6】ユーザ設定画面でキーオペレータコードを入力した表示画面を示す図である。
【図7】ユーザ設定画面でシュミレーションコード入力する表示画面を示す図である。
【図8】ファームアップ可能なファームウェアのバージョン情報が表示された表示画面を示す図である。
【図9】新しいファームウェアを認識したことを示すメッセージを表示している表示画面を示す図である。
【図10】既存ファームウェアと新しいファームウェアのバージョン情報を対比して表示した表示画面を示す図である。
【図11】アップデートするファームウェアの確認を促す表示画面を示す図である。
【図12】アップデートの進行状況を表す表示画面を示す図である。
【図13】アップデートが終了したことを知らせるメッセージを表示した表示画面を示す図である。
【図14】本発明の実施態様におけるファームウェアのアップデート方法を説明するためのフロー図である。
【図15】図14の続きの図である。
【図16】本発明の実施形態におけるファームウェアのアップデート方法において、ファームアップ・モードにおける処理ついて説明するためのフロー図である。
【図17】本発明の実施形態におけるファームウェアのアップデート方法において、アップデートおよび再起動における処理ついて説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0048】
1…デジタル複合機、2…USBメモリ、10…機器制御部、20…画像読み取り部、30…画像形成部、40…画像処理部、50…操作表示部、60…ハードディスク、70…管理部、80…USBインターフェース、90…ファームアップ管理部、10a,10b,20a,30a,40a…ファームウェア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファームウェアを格納するための第1の記憶手段、前記第1の記憶手段からファームウェアをコピーし、ファームウェアを実行するのに用いられる第2の記憶手段、外部記憶手段から供給されるファームウェアを一時的に記憶する第3の記憶手段、を備えた画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法であって、
前記外部記憶手段に記憶されている新しいファームウェアを前記第3の記憶手段にすべてコピーした後に、前記第1の記憶手段に格納されているファームウェアの書き換え処理を実行することを特徴とする画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法。
【請求項2】
前記第1の記憶手段への書き換え処理は、装置が非作動状態のときに行われることを特徴とする請求項1に記載のファームウェアのアップデート方法。
【請求項3】
前記装置の非作動状態は節電モードであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法。
【請求項4】
前記第1の記憶手段のファームウェアの書き換えに伴って行われる装置の再起動は、前記書き換え処理が実行された後、装置が非作動状態のときに行われることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法。
【請求項5】
前記装置の非作動状態はスリープモードであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法。
【請求項6】
前記第1の記憶手段はフラッシュメモリであり、前記第2の記憶手段はRAMであり、前記第3の記憶手段はハードディスクであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法。
【請求項7】
前記新しいファームウェアは、USBメモリから供給されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置におけるファームウェアのアップデート方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のファームウェアのアップデート方法を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムをコンピュータが読み取り可能に格納された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−310783(P2007−310783A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141344(P2006−141344)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】