説明

画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法及び画像形成装置

【課題】画像形成装置を長期間使用せずに放置するような場合でも、現像ローラの、それへの当接部材からの圧力による凹み等のクリープ変形を簡単に抑制する。
【解決手段】エンドシーケンス処理において、現像ローラ41の表面にトナー層を形成して該トナー層を現像ローラ41とトナー規制部材43等との間に介在させ、その状態で該エンドシーケンス処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動される感光体の表面を帯電器により所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法及び該方法を実施できる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転駆動される感光体の表面を帯電器により所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置では、装置を使用しないで長期間放置すると該現像ローラの弾性表面部分が該現像ローラに当接する前記部材のうち1又は2以上からの圧力により凹み(クリープ変形して凹み)、該凹みはその後のトナー画像形成において所謂筋状画像ノイズを招く。
【0003】
表面部分が弾性を有し、静電潜像現像において1又は2以上の部材が当接された状態で使用される現像ローラについての従来技術をみると、例えば、特開平5−281854号公報、特開平7−234552号公報には、感光体及び現像ローラを備えた交換可能のプロセスカートリッジを画像形成装置本体に搭載する前に長期間保存するときに該現像ローラと感光体との相互当接によるクリープ変形を防止するため、該カートリッジを画像形成装置本体に搭載していないときには、感光体と現像ローラとを離反させる機構を設けることが記載されている。
【0004】
また、例えば特開平8−22236号公報には、現像ローラが停止している間は現像ローラと感光体とが離れ、現像ローラが駆動されると現像ローラと感光体とが接触する機構を設けた画像形成装置が記載されている。
【0005】
特開2005−316507号公報には、感光体及び現像ローラを含むプロセスカートリッジであって、使用前の保管時には、感光体と現像ローラとの間に現像ローラの凹みを抑制する緩衝シートを介在させ、画像形成装置本体へ装着するにあたって該シートを取り外すことが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−281854号公報
【特許文献2】特開平7−234552号公報
【特許文献3】特開平8−22236号公報
【特許文献4】特開2005−316507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開平5−281854号公報や特開平7−234552号公報に記載されているようにプロセスカートリッジにその保管中は現像ローラと感光体とを離反させる機構を設けることはプロセスカートリッジの構成を複雑化するし、プロセスカートリッジを一旦画像形成装置本体へ装着してしまうと、該機構では、該画像形成装置を長期間使用せずに放置する場合でも、感光体と現像ローラを離反させておくことはできない。
【0008】
また、特開平8−22236号公報に記載の、現像ローラが停止時は現像ローラと感光体とが離れ、現像ローラ駆動時には現像ローラと感光体とが接触する機構は画像形成装置構成を複雑化する。
特開2005−316507号公報記載のプロセスカートリッジは、これを画像形成装置本体へ装着するにあたり、緩衝シートを取り外してしまうと、その後、該画像形成装置を長期間使用せずに放置する場合でも、取り外された該緩衝シートでは現像ローラのクリープ変形を抑制することはできない。
【0009】
また画像形成装置によっては、感光体は現像ローラに接触配置されないが、現像ローラ上のトナー量やトナー層厚を規制する規制部材等が現像ローラに当接している場合もあり、それらと感光体が共に現像ローラに当接している場合もある。
このような場合にも、前記公報記載の従来技術では、現像ローラに当接する1又は2以上の部材によるクリープ変形を抑制することはできない。
また、そのような部材を現像ローラから離す機構を設けると画像形成装置構成がそれだけ複雑化する。
【0010】
そこで本発明は、回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置において、該画像形成装置を長期間使用せずに放置するような場合でも、該現像ローラに当接する前記部材からの圧力による該現像ローラの凹み等のクリープ変形を簡単に抑制できる画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法を提供することを第1の課題とする。
【0011】
また本発明は、回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置であって、該画像形成装置を長期間使用せずに放置するような場合でも、該現像ローラに当接する前記部材からの圧力による該現像ローラの凹み等のクリープ変形を簡単に抑制できる画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は前記課題を解決するため研究を重ね、現像ローラのクリープ変形は現像ローラ表面にトナー層を形成し、該トナー層を現像ローラとこれに当接する、クリープ変形を招く部材との間に介在させておけば、画像形成装置を使用しないで放置した場合でも、該トナー層が緩衝材となって現像ローラの凹み等のクリープ変形が抑制されること、及びそのようなトナー層はトナー画像形成処理後のエンドシーケンス処理において形成すれば、画像形成に支障がないことを見い出した。
【0013】
本発明はこのような知見に基づき次の画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法及び画像形成装置を提供する。
(1)画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法
回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置において該現像ローラ表面のクリープ変形を抑制する方法であり、トナー画像形成処理後の、前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止、前記現像ローラ停止、前記感光体帯電の停止及び該感光体の停止を行うエンドシーケンス処理において、前記現像ローラ表面にトナー層を形成して該トナー層を該現像ローラと該現像ローラに当接する前記部材のうち少なくとも一つとの間に介在させた状態で該エンドシーケンス処理を終了する画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法。
ここで、「現像ローラに当接される1又は2以上の部材」とは、感光体、現像ローラ上のトナー層厚を規制するトナー規制部材、現像ローラへトナーを供給するトナー供給ローラ、現像器からのトナー漏れを防止するためのシール部材等の部材のうち現像ローラに当接する部材である。
【0014】
(2)画像形成装置
回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置であり、
前記感光体を回転駆動する感光体駆動モータと、 前記感光体表面を帯電させるための帯電器と、
前記帯電器へ帯電用電圧を印加する帯電用電源と、
前記現像ローラを回転駆動する現像ローラ駆動モータと、
前記現像器の現像ローラを含むバイアス印加対象部材へバイアスを印加するための現像器用バイアス電源と、
前記感光体駆動モータ、前記帯電用電源、前記現像ローラ駆動モータ及び前記現像器用バイアス電源を制御する制御部とを有し、
該制御部は、トナー画像形成処理後の、前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止、前記現像ローラ停止、前記感光体帯電の停止及び該感光体の停止を行うエンドシーケンス処理において、前記現像ローラ表面にトナー層を形成させて該トナー層を該現像ローラと該現像ローラに当接する前記部材のうち少なくとも一つとの間に介在させた状態で該エンドシーケンス処理を終了するように該感光体駆動モータ、該帯電用電源、該現像ローラ駆動モータ及び該現像器用バイアス電源を制御する画像形成装置。
ここで、「現像ローラに当接される1又は2以上の部材」とは、感光体、現像ローラ上のトナー層厚を規制するトナー規制部材、現像ローラへトナーを供給するトナー供給ローラ、現像器からのトナー漏れを防止するためのシール部材等の部材のうち現像ローラに当接する部材である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置において、該画像形成装置を長期間使用せずに放置するような場合でも、該現像ローラに当接する部材からの圧力による該現像ローラの凹み等のクリープ変形を簡単に抑制できる画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法を提供することができる。
【0016】
また本発明によると、回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置であって、該画像形成装置を長期間使用せずに放置するような場合でも、該現像ローラに当接する部材からの圧力による該現像ローラの凹み等のクリープ変形を簡単に抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る実施形態の画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法及び画像形成装置は、回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置に関する次のものである。
【0018】
(1)現像ローラクリープ変形抑制方法
トナー画像形成処理後の、前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止、前記現像ローラ停止、前記感光体帯電の停止及び該感光体の停止を行うエンドシーケンス処理において、前記現像ローラ表面にトナー層を形成して該トナー層を該現像ローラと該現像ローラに当接する前記部材のうち少なくとも一つとの間に介在させた状態で該エンドシーケンス処理を終了する画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法。
【0019】
ここで「前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止」における「現像器へのバイアスの印加」とは、現像ローラへの該現像バイアスの印加のほか、例えば現像ローラに対しトナー供給ローラが設けられていて該トナー供給ローラにバイアスを印加する場合の該バイアス印加や、現像ローラに対しトナー規制部材が設けられていて該トナー規制部材にバイアスを印加する場合の該バイアス印加等である。
【0020】
(2)画像形成装置
前記感光体を回転駆動する感光体駆動モータと、 前記感光体表面を帯電させるための帯電器と、
前記帯電器へ帯電用電圧を印加する帯電用電源と、
前記現像ローラを回転駆動する現像ローラ駆動モータと、
前記現像器の現像ローラを含むバイアス印加対象部材へバイアスを印加するための現像器用バイアス電源と、
前記感光体駆動モータ、前記帯電用電源、前記現像ローラ駆動モータ及び前記現像器用バイアス電源を制御する制御部とを有し、
該制御部は、トナー画像形成処理後の、前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止、前記現像ローラ停止、前記感光体帯電の停止及び該感光体の停止を行うエンドシーケンス処理において、前記現像ローラ表面にトナー層を形成させて該トナー層を該現像ローラと該現像ローラに当接する前記部材のうち少なくとも一つとの間に介在させた状態で該エンドシーケンス処理を終了するように該感光体駆動モータ、該帯電用電源、該現像ローラ駆動モータ及び該現像器用バイアス電源を制御する画像形成装置。
【0021】
ここで「前記現像器の現像ローラを含むバイアス印加対象部材」とは、該現像ローラのほか、例えば現像ローラに対しトナー供給ローラが設けられていて該トナー供給ローラにバイアスを印加する場合の該トナー供給ローラや、現像ローラに対しトナー規制部材が設けられていて該トナー規制部材にバイアスを印加する場合の該トナー規制部材等である。
【0022】
また、「現像器用バイアス電源」とは、現像ローラへ現像バイアスを印加するための現像バイアス電源のほか、例えば現像ローラに対しトナー供給ローラが設けられていて該トナー供給ローラにバイアスを印加する場合の該バイアス電源や、現像ローラに対しトナー規制部材が設けられていて該トナー規制部材にバイアスを印加する場合の該バイアス電源等を指している。これらバイアス電源は例えば一部が複数のバイアス印加対象部材に対し共通のものであってもよい。
【0023】
また、「前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止」における「現像器へのバイアスの印加」とは、現像ローラへの該現像バイアスの印加のほか、例えば現像ローラに対しトナー供給ローラが設けられていて該トナー供給ローラにバイアスを印加する場合の該バイアス印加や、現像ローラに対しトナー規制部材が設けられていて該トナー規制部材にバイアスを印加する場合の該バイアス印加等である。
【0024】
これらについてさらに説明する。
(1−1)現像ローラクリープ変形抑制方法について
上記現像ローラクリープ変形抑制方法においては、前記トナー画像形成処理における前記現像バイアスは、直流バイアスでもよいし、直流電圧に交流電圧を重畳した直流交流バイアスでもよい。
【0025】
現像バイアスとして直流バイアスを採用する場合、前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成するにあたっては、一旦前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加を停止し、該現像ローラを停止させ、その後再び該現像器に所定バイアスを印加し、該現像ローラを回転駆動して該現像ローラ表面に前記トナー層を形成し、その後に該現像器への該所定バイアス印加を停止し、該現像ローラを停止させる例を挙げることができる。
【0026】
ここで「その後再び該現像器に所定バイアスを印加し」における該「所定バイアス」とは現像ローラ表面にトナー層を形成するためのバイアスであり、「所定バイアスの印加」とは、現像ローラへの現像バイアス印加、例えばトナー供給ローラが設けられている場合における該トナー供給ローラへのバイアス印加、例えばトナー規制部材が設けられている場合における該トナー規制部材へのバイアス印加等のうち1又は2以上のバイアス印加であり、現像ローラ表面にトナー層を形成するためのバアイアス印加である。
この点は、このあと述べる「(2−1)画像形成装置について」における「所定バイアス」、「所定バイアスの印加」についても同様である。
【0027】
現像バイアスとして直流交流バイアスを採用する場合、前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成するにあたっては、該直流交流現像バイアスのうち交流電圧のピークツーピーク電圧を一旦静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧より小さい電圧に下げ、その後に該交流電圧のピークツーピーク電圧を該静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧へ上げて前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成し、その後に該現像バイアスを含む該現像器へのバイアス印加を停止し、該現像ローラを停止させる例を挙げることができる。
【0028】
いずれにしても、上記現像ローラクリープ抑制方法においては、より確実に前記トナー層を前記現像ローラと該現像ローラに当接する部材との間に介在させるために、前記現像ローラ表面のトナー層形成後、該現像ローラを停止するに先立ち該現像ローラを逆転させ〔例えば1回転より少ない量逆転させ(若干逆転させる程度でもよい)〕、その後に該現像ローラを停止させてもよい。
【0029】
いずれにしても、上記現像ローラクリープ抑制方法によると、エンドシーケンス処理において現像ローラ表面にトナー層を形成し、該トナー層を現像ローラと現像ローラに当接する部材のうち少なくとも一つとの間に介在させるので、その後画像形成装置が使用されずに放置されても、該トナー層が緩衝材として機能することで、現像ローラの該当接部材からの圧力による凹み等のクリープ変形発生が抑制される。また、該トナー層はエンドシーケンス処理におてい形成するので、トナー画像の形成に支障はない。
【0030】
(2−1)画像形成装置について
画像形成装置においては、前記現像器用バイアス電源は前記現像ローラへ現像バイアスを印加するための現像バイアス電源を含むことができる。該現像バイアス電源は、直流電源でもよいし、直流電圧に交流電圧を重畳した直流交流バイアスを印加できる直流交流バイアス電源でもよい。
【0031】
現像バイアス電源が直流現像バイアス電源である場合の前記制御部として次の例を挙げることができる。すなわち、
前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成させるにあたり、一旦前記現像器への前記現像器用バイアス電源による前記現像バイアスを含むバイアスの印加を停止させ、前記現像ローラ駆動モータによる該現像ローラ駆動を停止させ、その後再び前記現像器用バイアス電源により該現像器に所定バイアスを印加させるとともに前記現像ローラ駆動モータにより該現像ローラを回転駆動させて該現像ローラ表面に前記トナー層を形成させ、その後に該現像器用バイアス電源による前記現像器への該所定バイアスの印加を停止させ、該現像ローラ駆動モータによる該現像ローラ駆動を停止させる制御部である。
【0032】
現像バイアス電源が直流交流現像バイアス電源である場合の前記制御部として次の例を挙げることができる。すなわち、
前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成させるにあたり、前記現像バイアス電源に前記現像ローラへ印加する直流交流現像バイアスの交流電圧のピークツーピーク電圧を一旦静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧より小さい電圧に下げさせ、その後に該交流電圧のピークツーピーク電圧を該静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧へ上げさせて前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成させ、その後に該現像バイアス電源を含む前記現像器用バイアス電源による前記現像器へのバイアス印加を停止させ、前記現像ローラ駆動モータによる該現像ローラの駆動を停止させる制御部である。
【0033】
いずれにしても、上記画像形成装置においては、より確実に前記トナー層を前記現像ローラと該現像ローラに当接する部材との間に介在させるために、前記制御部は、前記現像ローラ表面のトナー層形成後、該現像ローラを停止させるに先立ち、前記現像ローラ駆動モータに該現像ローラを逆転させ〔例えば1回転より少ない量逆転させ(若干逆転させる程度でもよい)〕、その後に該現像ローラ駆動モータによる該現像ローラの駆動を停止させてもよい。
【0034】
いずれにしても、上記画像形成装置によると、エンドシーケンス処理において現像ローラ表面にトナー層を形成し、該トナー層を現像ローラとこれに当接する部材のうち少なくとも一つとの間に介在させるので、その後画像形成装置が使用されずに放置されても、該トナー層が緩衝材として機能することで現像ローラの該当接部材からの圧力による凹み等のクリープ変形発生が抑制される。また、トナー層はエンドシーケンス処理におてい形成するので、トナー画像の形成に支障はない。
【0035】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及び該画像形成装置における現像ローラクリープ抑制方法について説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例を示している。図2は画像形成装置10の制御回路の概略を示すブロック図である。
図1の画像形成装置10は所謂4サイクル型カラー画像形成装置である。
【0036】
画像形成装置10は、ドラム型感光体1を備えており、その周囲に帯電器2、現像装置4、中間転写ベルト6及びクリーニング装置5がこの順序で配置されている。帯電器2と現像装置4の間から感光体1へ画像露光を行う画像露光装置3が設けられており、その下方に記録媒体供給部9が設けられている。
【0037】
感光体1は感光体駆動モータM1(図2参照)により図中時計方向に回転駆動される。 帯電器2には出力可変の帯電用電源PW1から所定のタイミングで感光体帯電電圧が印加される。
【0038】
現像装置4は現像器ラック40にブラック現像器4K、シアン現像器4C、マゼンタ現像器4M及びイエロー現像器4Yを搭載したものである。ラック40はステッピングモータを含む図示省略の駆動部により図中反時計方向まわりに回転駆動可能である。現像器は90度の等中心角度間隔で、ラック回転方向に現像器4K、4C、4M、4Yの順序でラック40に搭載されている。
【0039】
ブラック現像器4KにはブラックトナーカートリッジKCが、シアン現像器4CにはシアントナーカートリッジCCが、マゼンタ現像器4MにはマゼンタトナーカートリッジMCが、イエロー現像器4YにはイエロートナーカートリッジYCがそれぞれ交換可能に搭載されている。各現像器には感光体1上の静電潜像を現像するための現像ローラ(トナー担持体ローラ)41が搭載されている。各現像ローラ41は表層部が弾性を有するものである。
【0040】
図2に示すように、各現像器は、上記現像ローラ41のほか、該ローラへトナーを供給するトナー供給ローラ42、ローラ42から供給されるトナーの現像ローラ上での層厚を規制するトナー規制ブレード43等も含んでいる。
各現像器は負帯電性トナーを用いて感光体1上の静電潜像を反転現像できる。
【0041】
各現像器は現像器ラック40を回動させることで感光体1上の静電潜像を現像ローラ41で現像する現像位置に配置することができる。現像位置に配置された現像ローラ41は感光体1表面に臨み、出力可変の現像バイアス電源PW2(図2参照)から現像バイアス印加が可能となる。また、現像位置に配置された現像ローラ41は現像ローラ駆動モータM2により図上反時計方向に回転駆動可能となる。さらに、供給ローラ42へは出力可変の電源PW3からトナー供給バイアスを印加できるようになり、トナー規制ブレード43には出力可変のバイアス電源PW4からバイアスを印加できるようになる。電源PW2、PW3及びPW4は現像器用バイアス電源を構成している。
【0042】
なお、ここでは現像バイアス電源PW2は現像ローラ41へ直流現像バイアスを印加する直流電源であるが、直流電圧に交流電圧を重畳した直流交流バイアスを印加できる電源でもよい。
【0043】
中間転写ベルト6は駆動ローラ61、これに対向する従動対向ローラ62、感光体1に対向配置された1次転写ローラ63、ローラ63と共同してベルト6を感光体1に当接させるローラ64からなるローラ群に巻き掛けられている。
【0044】
1次転写ローラ63には図示省略の1次転写電源から1次転写電圧を印加できる。
駆動ローラ61を図示省略の転写ベルト駆動モータにより図中反時計方向まわりに回転駆動することでベルト6を反時計方向回りに回転させることができる。
【0045】
中間転写ベルト6の駆動ローラ61に巻き掛けられた部分に対して2次転写ローラ7が配置されている。2次転写ローラ7は所定のタイミングでベルト6に対し接離される。ローラ7には図示省略の2次転写電源から2次転写電圧を印加できる。
【0046】
ベルト6の対向ローラ62に巻き掛けられた部分に対して2次転写残トナー等を除去清掃するクリーニング装置65が配置されている。
【0047】
2次転写ローラ7の上方には定着装置8が、さらにその下流側には記録媒体排出ローラR3及び記録媒体排出トレイTが順次設けられている。 2次転写ローラ7の下方にはタイミングローラ対R2及び記録媒体収容部9からの記録媒体Sをタイミングローラ対R2へ案内する案内ローラ対R1が配置されている。
【0048】
画像形成装置10における動作する各部は図2に示す制御回路における制御部Contの指示に基づいて所定のタイミングで動作する。
制御部Contには既述の感光体駆動モータM1、帯電用電源PW1、現像バイアス電源PW2、電源PW3、電源PW4、現像ローラ駆動モータM2等が接続されている。
【0049】
制御部Contには、さらに、画像形成装置10の操作パネル100も接続されており、該パネルには、画像形成を指示するスタートキー101、画像形成枚数等を設定するテンキー等のキー群102、各種情報を表示する液晶表示部103等が設けられている。
【0050】
以上説明した画像形成装置10によると、制御部Contの指示のもとに4K、4C、4M及び4Yの現像器のうち1又は2以上を用いて記録媒体(記録紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等)上にトナー画像を形成することができる。四つの現像器を用いてフルカラー画像を形成する例を以下に説明する。
【0051】
先ず、図示省略のラック駆動部により現像器ラック40を回動させてイエロー現像器4Yをその現像ローラ41が感光体1に当接する現像位置に配置するとともに、感光体1を感光体駆動モータM1により図中時計方向に回転させ、中間転写ベルト5も回転させる。この段階では2次転写ローラ7はベルト6から離反させておく。
【0052】
回転する感光体1の表面を帯電用電源PW1から帯電用電圧が印加された帯電器2で一様に所定電位に帯電させ、その帯電域に画像露光装置3から折り返し反射ミラー31、32を経てイエロー画像のための画像露光を施してイエロー静電潜像を形成し、該潜像を現像器4Yで現像してイエロートナー像を形成する。このイエロートナー像を1次転写電圧が印加された1次転写ローラ63によりベルト6上に1次転写する。
【0053】
さらに、イエロートナー像の形成の場合と同様にして、マゼンタ現像器4Mを現像位置に配置して感光体1上にマゼンタトナー像を形成し、これをベルト6上に転写し、次いでシアン現像器4Cを現像位置に配置して感光体1上にシアントナー像を形成し、これをベルト6上に転写し、次いでブラック現像器4Kを現像位置に配置して感光体1上にブラックトナー像を形成し、これをベルト6上に転写する。各色トナー像の感光体1への形成及びベルト6への1次転写はこれらトナー像が重ねてベルト6上に転写されるタイミングで行う。
【0054】
一方、記録媒体(例えば記録紙)Sを記録媒体供給部9から供給ローラ91により引き出してタイミングローラ対R2へ向け供給し、記録媒体先端がタイミングローラ対R2の出口側にある図示省略のタイミングセンサに検出されると、タイミングローラ対R2を停止させ、記録媒体Sをそこで待機させておく。
【0055】
そして、前記ベルト6上の多重トナー像がベルト6の回転により2次転写ローラ7へ到達するに先立って該ローラ71をベルト6へ接触させ、多重トナー像が2次転写領域に到達するタイミングで記録媒体Sもタンミングローラ対R2で2次転写領域へ送り込む。
【0056】
かくして記録媒体Sに多重トナー像が2次転写される。
多重トナー像が転写された記録媒体Sは定着装置8でそのトナー像が定着され、排出ローラR3にて排出トレイTに排出される。
かくしてフルカラー画像が形成された記録媒体Sを得ることができる。
【0057】
感光体1上の1次転写残トナー等はクリーニング装置5により除去清掃され、ベルト6上の2次転写残トナー等はクリーニング装置65により除去清掃される。
【0058】
このようにして画像形成処理が終了すると、エンドシーケンス処理を行う。
図3のタイミングチャートは、感光体駆動モータM1、帯電器2(帯電用電源PW1)、現像ローラ駆動モータM2及び現像器用バイアス電源(電源PW2、PW3、PW4)に関する、エンドシーケンス処理を含む動作シーケンスを示す。図3のタイミングチャートにおいて現像ローラ41は現像位置に配置され感光体1に臨んでいる現像ローラである。
【0059】
図3に示すように、例えば操作パネル100においてスタートキー101による画像形成指示があると、或いは図示を省略しているが制御部Contに接続されたコンピュータ等から画像形成指示があると、制御部Contは、感光体駆動モータM1をオンして感光体1を回転させ、帯電用電源PW1から帯電器2へ帯電用電圧を印加させ、現像ローラ駆動モータM2をオンして現像ローラ41を回転させ、さらに直流現像バイアス電源PW2から現像ローラ41へ現像バイアスを、電源PW3からトナー供給ローラ42へトナー供給バイアスを、電源PW4からトナー規制部材43へもバイアスをそれぞれ印加させる。
【0060】
次いで、操作パネル100等での設定に応じて、1枚の記録媒体へ、或いは複数枚の記録媒体への画像形成処理を実施し、その後に画像形成処理において最後に用いた現像ローラ41が現像位置にある状態でエンドシーケンス処理を実施する。
エンドシーケンス処理においては、一旦現像器用バイアス電源(PW2、PW3及びPW4)から現像器への(現像ローラ41、供給ローラ42及びトナー規制部材43への)各バイアス印加を停止させ、モータM2による現像ローラ41の駆動を停止させ、電源PW1から帯電器2への帯電用電圧印加を停止させ、モータM1による感光体1の駆動を停止させる。
【0061】
従来であれば、図5に示すように、この段階でエンドシーケンス処理を終了していたが、ここでは、図3に示すように、現像器へのバイアス印加停止、現像ローラ停止、帯電用電圧印加停止、感光体停止のあと、再び現像器用バイアス電源から現像器へ所定バアイアスを印加させるとともにモータM2に現像ローラ41を回転駆動させ、それにより現像ローラ41の表面にトナー層を形成させ、該トナー層を現像ローラ41とトナー規制部材43等との間に介在させ、その状態で現像器への前記所定バイアスの印加を停止させるとともに現像ローラ41を停止させてエンドシーケンスを終了する。
【0062】
ここで現像器用バイアス電源から現像器へ印加する所定バアイアスは、電源PW3から供給ローラ42へのバイアス印加及び電源PW4からトナー規制部材43へのバイアス印加である。電源PW2から現像ローラ41へのバイアス印加は行わない。
【0063】
このように、エンドシーケンス処理において現像ローラ41表面にトナー層を形成し、該トナー層を現像ローラ41とトナー規制部材43等との間に介在させるので、その後画像形成装置10が使用されずに放置されても、該トナー層が緩衝材として機能することで現像ローラ41のトナー規制部材43等からの圧力による凹み等のクリープ変形発生が抑制される。また、該トナー層はエンドシーケンス処理におてい形成するので、トナー画像の形成に支障はない。
【0064】
ここで現像ローラ41のトナー規制部材43によるクリープ変形が抑制されたことを確認した実験例について説明しておく、実験条件は以下のとおりである。
以下の実験において、
使用トナーは、スチレンアクリル系重合トナー(負帯電性トナー)であり、粒径6.5μmであり、
現像ローラ41は、金属シャフト上にベースゴム層、中間層及び表面層を順次形成したもので、表面硬度はアスカーC硬度で35°で、表面部分は弾性を有し、回転方向は図2において反時計方向である。
また、トナー規制ブレード43は、ステンレススチール製であり、現像ローラ41への当接力は30N/mである。
【0065】
<画像形成時のバイアス等の条件>
帯電電源PW1による感光体帯電電位:−500V
電源PW2による現像バイアス:−400V
電源PW3によるトナー供給バイアス:−500V
電源PW4によるトナー規制ブレードへのバアイス:−500V
【0066】
<エンドシーケンス処理における現像ローラ41表面のトナー層形成条件(図3参照)> 帯電電源PW1による感光体帯電電位:0V
電源PW2による現像バイアス:0V
電源PW3によるトナー供給バイアス:−100V
電源PW4によるトナー規制ブレードへのバアイス:−100V
【0067】
以上の条件で画像形成後のエンドシーケンス処理において現像ローラ41上にトナー層を形成し、その後画像形成装置10を1ケ月放置した後、現像ローラ41表面のトナー規制部材43との接触部分の凹み量を測定したところ、5.0μmであった。凹み量の測定については、東京精密社製の三次元表面粗さ測定機SURFCOM−3DFを用い、現像ローラの外径形状を測定し、現像ローラ外径(16mm)位置からのズレの最大値をもって凹み量とした。
【0068】
比較のため、現像ローラ41、トナー規制部材43等のそれぞれは、材質、構造、サイズ等について上記実験条件に示すものと同じものを用い、図5に示す従来のエンドシーケンスでエンドシーケンス処理を終了した画像形成装置を1ケ月放置した後、現像ローラ41表面のトナー規制部材43との接触部分の凹み量を測定したところ、14.1μmであった。
【0069】
このことから、現像ローラ41にトナー層を形成し、これを現像ローラ41とトナー規制部材43やトナー供給ローラ42との間に介在させておくことで、現像ローラ41のクリープ変形が抑制されることが分かる。
なお、現像器において現像ローラ41にトナー規制部材43、トナー供給ローラ42以外の部材、例えば感光体、トナー漏れ防止シール部材等が当接しているときには、前記トナー層は該部材と現像ローラ41との間にも介在させることができ、そうすることで該部材によるクリープ変形も抑制できる。
【0070】
以上説明した画像形成装置10では、現像バイアス電源として直流電源を採用したが、現像バイアス電源は直流電圧に交流電圧を重畳した直流交流現像バイアスを印加するものでもよい。
【0071】
図4のタイミングチャートは、現像バイアス電源PW2として直流交流バイアス電源を採用したときの、感光体駆動モータM1、帯電用電源PW1、現像ローラ駆動モータM2及び現像器用バイアス電源(直流交流バイアス電源PW2、前記と同じ電源PW3及びPW4)に関する、エンドシーケンス処理を含む動作シーケンス例を示している。
【0072】
図4に示すように、例えば操作パネル100においてスタートキー101による画像形成指示があると、制御部Contは、感光体駆動モータM1をオンして感光体1を回転させ、帯電用電源PW1から帯電器2へ帯電用電圧を印加させ、現像ローラ駆動モータM2をオンして現像ローラ41を回転させ、さらに直流交流現像バイアス電源PW2から現像ローラ41へ現像バイアスを、電源PW3からトナー供給ローラ42へトナー供給バイアスを、電源PW4からトナー規制部材43へもバイアスをそれぞれ印加させる。
【0073】
現像バイアス印加においては、先ず直流バイアスを印加開始し、次いでピークツーピーク電圧が静電潜像現像のためのものより小さい交流バイアスを重畳印加開始し、さらにその後交流バアイスをそのピークツーピーク電圧が静電潜像現像のための大きさのものに切り替え、その状態で画像形成処理を実施する。
【0074】
画像形成処理が終了するとエンドシーケンス処理に入り、該処理では、感光体1及び現像ローラ41は回転させたままとするとともに帯電器2へ帯電用電圧を印加したままの状態で、現像バイアスにおける交流バアイスを一旦ピークツーピーク電圧が静電潜像現像のためのものより小さいものに切り替え、その後再びピークツーピーク電圧を静電潜像現像のための大きさに戻し、それにより現像ローラ41表面にトナー層を形成させ、該トナー層を現像ローラ41と感光体1との間に介在させ、その後、現像器用バイアス電源(PW2、PW3、PW4)によるバイアスの印加停止、現像ローラの停止、帯電用電圧印加停止、感光体停止を順次行ってエンドシーケンス処理を終了する。
【0075】
現像バイアス電源として直流交流バイアス電源を採用する場合の具体例を以下に記す。<画像形成時のバイアス等の条件>
帯電電源PW1による感光体帯電電位:−500V
電源PW2による現像バイアス:直流成分 −400V
交流成分
画像形成時のピークツーピーク電圧−1400V
画像形成前後のピークツーピーク電圧−700V
電源PW3によるトナー供給バイアス:−500V
電源PW4によるトナー規制ブレードへのバアイス:−500V
【0076】
<エンドシーケンス処理における現像ローラ41表面のトナー層形成条件(図4参照)> 帯電電源PW1による感光体帯電電位:−500V
電源PW2による現像バイアス:直流成分 −400V
交流成分 ピークツーピーク電圧−1400V
電源PW3によるトナー供給バイアス:−500V
電源PW4によるトナー規制ブレードへのバアイス:−500V
【0077】
この場合も、トナー規制部材43等による現像ローラ41のクリープ変形を抑制できる。
なお、図6は、このようなトナー層を形成しない従来のエンドシーケンス処理例を参考に示したものである。
【0078】
このようにして現像ローラ41表面にトナー層を形成し、該トナー層を現像ローラ41とトナー規制部材43等との間に介在させることで、その後画像形成装置10が使用されずに放置されても、該トナー層が緩衝材として機能することで現像ローラ41のトナー規制部材43等からの圧力による凹み等のクリープ変形発生が抑制される。また、該トナー層はエンドシーケンス処理におてい形成するので、トナー画像の形成に支障はない。
【0079】
現像バイアス電源が直流電源であれ、直流交流電源であれ、より確実に前記トナー層を前記現像ローラとトナー規制部材等との間に介在させるために、現像ローラ表面のトナー層形成後、現像ローラ41を停止するに先立ち現像ローラ41を若干逆転させ、その後に現像ローラ41を停止させてもよい。
【0080】
以上説明した現像ローラ表面への緩衝材として機能するトナー層の形成は、画像形成処理において最後に現像位置にある現像器の現像ローラについて行ったが、画像形成処理後に各現像器につき、順次現像ローラ表面上トナー層を形成することで、各現像器において、現像ローラのクリープ変形をそれだけ抑制することができる。
【0081】
以上説明した画像形成装置10は4サイクル型のカラー画像形成装置であったが、本発明はタンデム型等の他のタイプのカラー画像形成装置にも適用でき、また、モノクロ画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、画像形成装置を長期間使用せずに放置するような場合でも、現像ローラの、それへの当接部材からの圧力による凹み等のクリープ変形を簡単に抑制できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御回路の概略を示すブロック図である。
【図3】現像ローラのクリープ変形抑制のための画像形成装置におけるエンドシーケンス処理等の1例を示すタイミングチャートである。
【図4】現像ローラのクリープ変形抑制のための画像形成装置におけるエンドシーケンス処理等の他の例を示すタイミングチャートである。
【図5】画像形成装置における従来のエンドシーケンス処理等の1例を示すタイミングチャートである。
【図6】画像形成装置における従来のエンドシーケンス処理等の他の例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 感光体
2 帯電器
3 画像露光装置
4 現像装置
40 現像器ラック
4K ブラック現像器
4C シアン現像器
4M マゼンタ現像器
4Y イエロー現像器
KC ブラックトナーカートリッジ
CC シアントナーカートリッジ
MC マゼンタトナーカートリッジ
YC イエロートナーカートリッジ
41 現像ローラ
42 トナー供給ローラ
43 トナー規制部材
5 クリーニング装置
6 中間転写ベルト
61 駆動ローラ
62 対向ローラ
63 1次転写ローラ
64 ローラ
65 クリーニング装置
7 2次転写ローラ
8 定着装置
9 記録媒体供給部
91 媒体供給ローラ
R1 記録媒体案内ローラ対
R2 タイミングローラ対
R3 記録媒体排出ローラ対
T 記録媒体排出トレイ
Cont 制御部
M1 感光体駆動モータ
M2 現像ローラ駆動モータ
PW1 帯電用電源
PW2 現像バイアス電源
PW3 トナー供給バイアス電源
PW4 トナー規制部材用電源
100 操作パネル
101 スタートキー
102 テンキー等のキー群
103 液晶表示部
S 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置において該現像ローラ表面のクリープ変形を抑制する方法であり、トナー画像形成処理後の、前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止、前記現像ローラ停止、前記感光体帯電の停止及び該感光体の停止を行うエンドシーケンス処理において、前記現像ローラ表面にトナー層を形成して該トナー層を該現像ローラと該現像ローラに当接する前記部材のうち少なくとも一つとの間に介在させた状態で該エンドシーケンス処理を終了することを特徴とする画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法。
【請求項2】
前記トナー画像形成処理における前記現像バイアスとして直流バイアスを採用し、前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成するにあたっては、一旦前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加を停止し、該現像ローラを停止させ、その後再び該現像器に所定バイアスを印加し、該現像ローラを回転駆動して該現像ローラ表面に前記トナー層を形成し、その後に該現像器への該所定バイアス印加を停止し、該現像ローラを停止させる請求項1記載の画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法。
【請求項3】
前記トナー画像形成処理における前記現像バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した直流交流現像バイアスを採用し、前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成するにあたっては、該直流交流現像バイアスのうち交流電圧のピークツーピーク電圧を一旦静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧より小さい電圧に下げ、その後に該交流電圧のピークツーピーク電圧を該静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧へ上げて前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成し、その後に該現像バイアスを含む該現像器へのバイアス印加を停止し、該現像ローラを停止させる請求項1記載の画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法。
【請求項4】
前記現像ローラ表面のトナー層形成後、該現像ローラを停止するに先立ち該現像ローラを逆転させ、その後に該現像ローラを停止させる請求項1、2又は3記載の画像形成装置における現像ローラクリープ変形抑制方法。
【請求項5】
回転駆動される感光体の表面を所定電位に帯電させ、該感光体表面帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を、少なくとも表面部分が弾性を有し、1又は2以上の部材が当接され、現像バイアスが印加され、回転駆動される現像ローラを有する現像器の該現像ローラで現像してトナー画像を形成できる画像形成装置であり、
前記感光体を回転駆動する感光体駆動モータと、 前記感光体表面を帯電させるための帯電器と、
前記帯電器へ帯電用電圧を印加する帯電用電源と、
前記現像ローラを回転駆動する現像ローラ駆動モータと、
前記現像器の現像ローラを含むバイアス印加対象部材へバイアスを印加するための現像器用バイアス電源と、
前記感光体駆動モータ、前記帯電用電源、前記現像ローラ駆動モータ及び前記現像器用バイアス電源を制御する制御部とを有し、
該制御部は、トナー画像形成処理後の、前記現像器への前記現像バイアスを含むバイアスの印加停止、前記現像ローラ停止、前記感光体帯電の停止及び該感光体の停止を行うエンドシーケンス処理において、前記現像ローラ表面にトナー層を形成させて該トナー層を該現像ローラと該現像ローラに当接する前記部材のうち少なくとも一つとの間に介在させた状態で該エンドシーケンス処理を終了するように該感光体駆動モータ、該帯電用電源、該現像ローラ駆動モータ及び該現像器用バイアス電源を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記現像器用バイアス電源には前記現像ローラへ現像バイアスを印加するための現像バイアス電源が含まれており、該現像バイアス電源は直流現像バイアス電源であり、
前記制御部は、前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成させるにあたり、一旦前記現像器への前記現像器用バイアス電源による前記現像バイアスを含むバイアスの印加を停止させ、前記現像ローラ駆動モータによる該現像ローラ駆動を停止させ、その後再び前記現像器用バイアス電源により該現像器に所定バイアスを印加させるとともに前記現像ローラ駆動モータにより該現像ローラを回転駆動させて該現像ローラ表面に前記トナー層を形成させ、その後に該現像器用バイアス電源による前記現像器への該所定バイアスの印加を停止させ、該現像ローラ駆動モータによる該現像ローラ駆動を停止させる請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像器用バイアス電源には前記現像ローラへ現像バイアスを印加するための現像バイアス電源が含まれており、該現像バイアス電源は直流電圧に交流電圧を重畳した直流交流現像バイアスを前記現像ローラに印加する電源であり、
前記制御部は、前記エンドシーケンス処理において前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成させるにあたり、前記現像バイアス電源に前記現像ローラへ印加する直流交流現像バイアスの交流電圧のピークツーピーク電圧を一旦静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧より小さい電圧に下げさせ、その後に該交流電圧のピークツーピーク電圧を該静電潜像現像のためのピークツーピーク電圧へ上げさせて前記現像ローラ表面に前記トナー層を形成させ、その後に該現像バイアス電源を含む前記現像器用バイアス電源による前記現像器へのバイアス印加を停止させ、前記現像ローラ駆動モータによる該現像ローラの駆動を停止させる請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記現像ローラ表面のトナー層形成後、該現像ローラを停止させるに先立ち、前記現像ローラ駆動モータに該現像ローラを逆転させ、その後に該現像ローラ駆動モータによる該現像ローラの駆動を停止させる請求項5、6又は7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−287101(P2008−287101A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133304(P2007−133304)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】