説明

画像形成装置のフレーム構造

【課題】画像読取部を支持する上部フレームの底板の変形を抑えることにより正確な画像読み取り処理を行うことができるようにする。
【解決手段】用紙貯留部14、画像形成部12および定着部13が内装される下部フレーム21と、画像読取部16が装着される上部フレーム50と、これら下部フレーム21および上部フレーム50の各一方の側部間に介設される連結フレーム23とを備え、下部フレーム21および上部フレーム50間に印刷処理後の用紙を排出する排紙部15が形成されてなる画像形成装置10に適用される画像形成装置10のフレーム構造20であり、底板51には、当該底板51の変形を阻止するべく絞り加工が施された絞り部56が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成部等が内装された下部筐体と、画像読取部が形成された上部筐体との間の空間に排紙部が形成されてなる、いわゆる胴内排紙型の画像形成装置のフレーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような胴内排紙型の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、用紙貯留部や画像形成部さらには定着部等が内装された下部筐体と、画像読取部が設けられた上部筐体との間の空間に排紙部が形成されてなるものであり、排紙部が筐体から外部に突出していないことから、装置本体のコンパクト化に貢献し、省スペース上好都合であることから、現在では各所で多用されている。
【0003】
ところで、上部筐体には、光源やミラー、さらにはこれらを移動させる移動機構や読み取った画像情報をディジタル信号に変換するCCD(charge coupled device)等を備えた重量物である画像読取部が装着されるため、その支持構造を適切なものにしなければ、画像読取部が傾いたりして精密に水平姿勢を維持し得なくなり、正確な原稿画像の読み取り処理が行い得なくなるという不都合が生じる。特に胴内排紙型の画像形成装置にあっては、上部フレームが片持ち状態で下部フレームに支持されていることから、その支持構造については特に意が払われている。
【0004】
具体的には、画像読取部を上部フレームにおいて3点で支持するようになされ、1点と画像読取部の重心とを結ぶ直線と、他の2点を結ぶ直線とが互いに直交するように3点の位置が設定されている。特許文献1には、このような支持点の位置決めを行うことにより、画像読取装置の変形や撓み、歪み等の発生を抑えることができ、結果として読み取り画像の画質が低下することを抑えることができると記載されている(特許文献1の段落〔0012〕参照)。
【特許文献1】特開2005−260665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像読取装置を上部筐体により3点支持で支持する支持構造にあっては、当該3点支持により全体的な支持バランスは良好になるものの、上部筐体の底板における支持点の位置が局所的に下方へ撓むことについては考慮されていないため、結果として、特許文献1のものは、この局所的な底板の撓みで画像読取装置の精密な水平姿勢が損なわれるという問題点を有している。
【0006】
本発明は、従来のかかる問題点を解消するためになされたものであって、上部筐体(上部フレーム)の底板の変形を有効に抑えることが可能であり、これによって正確な画像読み取り処理を行うことができる画像形成装置のフレーム構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、用紙貯留部、画像形成部および定着部が内装される下部フレームと、画像読取部が装着される上部フレームと、これら下部および上部フレームの一方の側部間に介設される連結部とを備え、前記下部および上部フレーム間に印刷処理後の用紙を排出する排紙部が形成されてなる画像形成装置のフレーム構造において、前記上部フレームは、前記画像読取部を支持する平板フレームと、この平板フレームの周縁から立設された環状フレームとを備え、前記平板フレームには、当該平板フレームの変形を阻止するべく絞り加工が施された絞り部と、前記環状フレームの変形を阻止するための補助片とが設けられ、前記補強片は、前記環状フレームに沿って絞り加工が施された絞り部を横断して前記平板フレームに固定されていることを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成によれば、上部フレームは、画像読取部が据え付けられる平板フレームと、この平板フレームの周縁から立設された環状フレームとからなっているため、特に環状フレームの存在で全体的な強度が向上され、重量物である画像読取部を支持するのに適したものになっている。
【0009】
そして、平板フレームには、当該平板フレームの変形を阻止するべく絞り加工が施された絞り部と、環状フレームの変形を阻止するための補助片とが設けられているため、平板フレームが局所的に撓んだり、環状フレームが変形したりすることが防止され、これによって画像形成部に悪影響が及ぶことが防止され、結果として原稿画像が正確に読み取られる。
【0010】
また、特に補強片は、環状フレームに沿って絞り加工が施され、これによって強度が高くなった絞り部を横断して平板フレームに固定されているため、このような補強片の存在で環状フレームの変形が有効に防止される。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記補強片が横断する絞り部は、下方に向かって凸になるように絞り加工が施されていることを特徴とするものである。
【0012】
かかる構成によれば、平板フレームにおける補強片が設けられる部分、すなわち、平板フレームにおいて大きな力が加わると想定される部分に形成された絞り部は、下に凸とされているため、平板フレームのこの部分で画像読取部を支持させることにより、当該画像読取部は、絞り部と干渉することなく好適に平板フレームに支持される。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記補強片は、前記環状フレームにおける所定の操作パネルが取り付けられる部分の近傍に設けられている特徴とするものである。
【0014】
かかる構成によれば、環状フレームにおける補強片に対応した部分は変形し難くなっているため、この部分に重量物である操作パネルを付設しても、環状フレームが変形するような不都合が回避される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置のフレーム構造によれば、上部フレームの構成要素である平板フレームは、その周縁から立設された環状フレームにより全体的な強度が向上されているため、重量物である画像読取部を支持することができる。
【0016】
また、平板フレームには、当該平板フレームの変形を阻止するべく絞り加工が施された絞り部が形成されているため、この絞り部の存在で平板フレームが局所的に撓んだり、歪んだりすることを防止することができ、これによって画像読取部の水平姿勢を維持させることが可能になり、結果として原稿画像を正確に読み取ることができる。
【0017】
そして、平板フレームには、環状フレームに沿うように絞り部を横断して固定された補強片が設けられているため、この補強片の存在で環状フレームの変形を有効に防止することができる。
【0018】
また、絞り部は、下に凸とされているため、当該絞り部との干渉を回避した状態で画像読取部を平板フレームに支持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に係るフレーム構造20が適用された画像形成装置10の一実施形態を示す外観視の斜視図であり、前面カバーが外された状態を示している。また、図2は、画像形成装置10の内部構造の概要を説明するための正面断面視の説明図である。なお、図1および図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0020】
まず、図1に示すように、画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部(操作パネル)17とが形成されている。そして、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって前記排紙部15が形成され、これにより当該画像形成装置10が胴内排紙型と称されている。
【0021】
前記装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部筐体111と、この下部筐体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部筐体112と、この上部筐体112と前記下部筐体111との間に介設された連結部113とを備えている。前記連結部113は、下部筐体111と上部筐体112との間に排紙部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、下部筐体111の左部から立設されている。前記上部筐体112は、その左部がかかる連結部113の上端部に支持されているとともに、右部が後に詳述する補強フレーム40(図5)に支持されている。
【0022】
そして、前記下部筐体111には、画像形成部12、定着部13および用紙貯留部14が内装されているとともに、前記上部筐体112には画像読取部16および操作部17が装着されている。前記操作部17は、本実施形態においては、上部筐体112の前縁部から前方に向かって突設された状態で当該上部筐体112に取り付けられている。
【0023】
前記用紙貯留部14は、装置本体11に対して挿脱自在の用紙カセット141を有している。この用紙カセット141には用紙束P1(図2)が貯留されている。そして、画像形成処理が行われるに際し、この用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに印刷処理が施される。本実施形態では、用紙カセット141は2段で設けられている。
【0024】
前記排紙部15は、下部筐体111と上部筐体112との間に形成されている。かかる排紙部15は、下部筐体111の上面に形成された胴内排紙トレイ151を有し、画像形成部12からのトナー画像が転写された用紙Pは、連結部113の下部からこの胴内排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0025】
前記画像読取部16は、上部筐体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構を有する光学系163とを備えている。
【0026】
そして、光学系163によって読み取られた原稿画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換された後に後述する露光ユニット123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0027】
前記操作部17は、画像形成処理に関する処理情報を入力操作するためのものであり、用紙Pの処理枚数を入力するためのテンキー171やその他の各種の操作キー、さらにはタッチ入力を行うためのLCD(Liquid crystal display)172等が設けられている。
【0028】
また、下部筐体111の右面には、用紙貯留部14の直上位置に手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支持軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。
【0029】
このような手差しトレイ18と前記画像形成部12の後述する感光体ドラム121との間には搬送ユニット184と、中継ユニット185とが設けられ、手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙P(図2)は、これら搬送ユニット184および中継ユニット185を介して感光体ドラム121と後述する転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0030】
また、前記下部筐体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー19が設けられているとともに、このメンテナンスドアー19の直上位置には、開閉可能な胴外排紙トレイ152が設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152および前記胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0031】
以下、図2を基に画像形成装置10の内部構造についてその概要を説明する。図2に示すように、前記画像形成部12には、その略中央部に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電ユニット122により周面が一様に帯電される。そして、前記画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づく露光ユニット123からのレーザビームにより感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像ユニット124から現像剤(以下、トナーという)が供給され、これにより感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
【0032】
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙貯留部14のいずれかの用紙カセット141から送り出された用紙Pが用紙縦搬送路101およびレジストローラ対142を介して送り込まれる。そして、この用紙Pには、感光体ドラム121の左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0033】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄化処理され、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
【0034】
前記定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた定着ローラ131と、左方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とを有している。そして、画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ローラ131と加圧ローラ132との間のニップ部を通過しながら熱を得てトナー像の定着処理が施される。
【0035】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方に設けられた排紙搬送路102を介して選択的に排紙部15の胴内排紙トレイ151へ排出されたり、胴外排紙トレイ152へ排出されたりする。
【0036】
一方、定着処理後の用紙Pが片面の印刷処理が完了した両面印刷用のものである場合には、排紙搬送路102の上方に設けられた往復搬送路103を介して前半が胴内排紙トレイ151の上方に形成された一時退避空間153に排紙されたのち後述する逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、排紙トレイ151または胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0037】
このような画像形成装置10において、下部筐体111には、メンテナンスドアー19の直ぐ内側に、画像形成部12に対して開閉可能なカバー部材195が設けられている。このカバー部材195は、閉止された前記メンテナンスドアー19の右面側に包持された状態で配設されている。かかるカバー部材195は、その下端部がメンテナンスドアー19の下端部より若干上方に位置した状態で当該下端部が下部筐体111に支持された支軸195a回りに回動自在に軸支されている。そして、このようなカバー部材195は、支軸195a回りに正逆回動することで、画像形成部12の左面を閉止した閉止姿勢(図2に実線で表示)と、同左面を開放した開放姿勢(図2に二点鎖線で表示)との間で姿勢変更可能とされている。
【0038】
そして、カバー部材195が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、当該カバー部材195の右面側に用紙カセット141や手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための前記用紙縦搬送路101が形成されている。
【0039】
このようなカバー部材195が設けられるのは、画像形成部12の左面に対応した用紙縦搬送路101で紙詰りが生じたときに、カバー部材195を開放姿勢に姿勢変更させて詰まった用紙Pを外部に露出させて取り除くことができるようにするためである。
【0040】
また、閉止姿勢に姿勢設定された前記メンテナンスドアー19の右面と、閉止姿勢に姿勢設定された前記カバー部材195の左面との間には、用紙Pに両面印刷を施すに際し、片面のみに印刷処理が施された用紙Pを逆送させるための逆送搬送路104が形成されている。この逆送搬送路104に沿って逆送された用紙Pは、表裏が反転された状態で感光体ドラム121より下方の用紙縦搬送路101へ導入され、これによって当該用紙Pの裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151または胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0041】
そして、本実施形態においては、手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、当該手差しトレイ18の奥部(左方)に設けられた繰り出しローラ182の駆動により左方に向けて繰り出され、搬送ローラ対183、搬送ユニット184および中継ユニット185を介して前記用紙縦搬送路101における感光体ドラム121より若干下方位置へ導入される。
【0042】
図3および図4は、画像形成装置10のフレーム構造20の一実施形態を示す斜視図であり、図3は、光学系用フレーム30および補強フレーム40が装着される直前の状態、図4は、光学系用フレーム30および補強フレーム40が装着された状態をそれぞれ示している。なお、図3および図4におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0043】
まず、図3に示すように、フレーム構造20は、装置本体11の下部筐体111に対応した下部フレーム21と、同上部筐体112に対応した、後に詳述する上部フレーム50と、同連結部113に対応した連結フレーム23と、前記上部フレーム50に支持される光学系用フレーム30と、前記下部フレーム21および上部フレーム50間に架設された補強フレーム(補強部材)40とを備えている。
【0044】
そして、前記下部フレーム21と、補強フレーム40により補強され、かつ、光学系用フレーム30を支持した上部フレーム50と、連結フレーム23とにそれぞれ表装材が取り付けられたり、必要な場合には所定の艤装が施されたりすることによって下部筐体111,上部筐体112および連結部113からなる装置本体11が形成される。
【0045】
前記下部フレーム21は、左右寸法の方が前後寸法より若干長尺に設定された平面視で矩形状を呈する底板211と、この底板211の四隅部から立設された4本の支柱212と、前方の2本の支柱212における上下方向の略中央部間に架設された前板213と、後方の2本の支柱間の前面に亘って架設された後板214と、左方の2本の支柱212における最下部間に架設された左側板215と、右方の2本の支柱212における最下部間に架設された右側板216とを備えている。
【0046】
前記4本の支柱212の内の左側の2本および右側後方の1本は、それぞれ長さ寸法が前記上部フレーム50を支持し得るように長尺に設定されているのに対し、右側前方の1本は、前記連結フレーム23の略上下寸法分だけ他の支柱212より短く設定されている。このようにされるのは、この部分に支柱212が存在すると、胴内排紙トレイ151(図1)へ排出された用紙を取り出すのに邪魔になるからである。
【0047】
また、前記前板213の下縁部の高さ位置には、4本の支柱212に支持された状態で、画像形成部12と用紙貯留部14とを仕切る仕切り板217が設けられている。
【0048】
前記連結フレーム23は、左側の前後2本の支柱212の上部位置と、前記上部フレーム50の構成要素である後述の左フレーム54と、前記前板213の左方上縁と前記後板214との間に架設された堰フレーム231とを備えている。堰フレーム231の下端縁部から右方に向けて胴内排紙トレイ151(図1)が延設される。
【0049】
前記光学系用フレーム30は、内部に光源やミラーさらには、これらを移動させる移動機構、原稿面からの反射光が入光されるCCD(charge coupled device)等からなる前記光学系163(図2)を内装するためのものであり、扁平な直方体状に形成されている。かかる光学系用フレーム30は、前記上部フレーム50の底板(平板フレーム)51より若干小さめの底板31と、この底板31の周縁から立設された環状壁32とを備えている。このような光学系用フレーム30は、前記上部フレーム50の底板51上に載置された状態でねじ止め等により上部フレーム50に固定される。
【0050】
前記補強フレーム40は、下部フレーム21と上部フレーム50との間に介設されて上部フレーム50の前方右角部が下方に撓まないように補強するためのものである。以下、図5を基に必要に応じて図1〜図4を参照しながら補強フレーム40について説明する。図5は、補強フレーム40の一実施形態を示す斜視図である。なお、図5におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0051】
補強フレーム40は、下部フレーム21および上部フレーム50(図3)に亘るように右側後方の支柱212の右面に密着状態でねじ止めにより固定される補強用主支柱41と、前記補強用主支柱41の上端から前方に向けて一体的に延設された、前記上部フレーム50の右フレーム55に密着状態で固定される上部補強用梁材42と、前記補強用主支柱41の上下方向の略中央部から前方に向けて一体的に延設された、右方の前後の支柱212間に架設される中間補強用梁材43と、この中間補強用梁材43の前端から一体的に垂下された、右側前方の支柱212に固定される垂下補強用支柱44とを備えて構成されている。
【0052】
このような補強フレーム40の周縁には、当該周縁が所定のプレス処理によって左方に向かって所定の幅寸法だけ折り返されることにより形成した折り返し縁部45が設けられている。そして、補強フレーム40における応力が集中され易い部分、具体的には、上部補強用梁材42の下縁部から補強用主支柱41の前縁部を介して中間補強用梁材43の中間補強用梁材43に到るC字状を呈した縁部には、所定の絞り型を用いたプレス処理による絞り加工が施され、これによって絞り部46が形成されている。
【0053】
前記絞り部46は、上部補強用梁材42の前半部分に形成された上方絞り部461と、補強用主支柱41の前縁部に形成された主支柱絞り部462と、この主支柱絞り部462および前記上方絞り部461間に形成された側面視で直角三角形状の筋交い絞り部463と、前記中間補強用梁材43の上縁部に形成された下方絞り部464とからなっている。
【0054】
そして、補強フレーム40は、このような絞り部46が形成されることにより剛的な強度が向上する。特に補強用主支柱41と上部補強用梁材42との間に筋交い絞り部463が形成されていることにより、上部補強用梁材42が下方に向けて撓むことが有効に防止される。
【0055】
かかる構成の補強フレーム40によれば、補強フレーム40が下部フレーム21および上部フレーム50に取り付けられた状態では、図4に示すように、前記上部補強用梁材42は、下部フレーム21および上部フレーム50に亘って固定され、上部補強用梁材42は、上部フレーム50に固定され、中間補強用梁材43は、下部フレーム21の右側面に固定され、補強用主支柱41の略下半分、中間補強用梁材43および垂下補強用支柱44は、それぞれ下部フレーム21の右面側に固定された状態になっている。
【0056】
従って、上部フレーム50は、たとえ光学系用フレーム30を支持した状態であっても、補強フレーム40の存在でその右側前方角部が弾性変形して下方へ下がるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0057】
そして、特に補強フレーム40において応力が集中する部分である補強用主支柱41と上部補強用梁材42との接合位置には、筋交いの役割を果たす筋交い絞り部463が絞り加工によって形成されているため、上部補強用梁材42の先端が下方に向けて撓むような不都合の発生は確実に防止することができる。
【0058】
以下、画像読取部16を支持する上部フレーム50について図6および図7を基に、必要に応じて図1〜図5を参照しながら説明する。図6および図7は、上部フレーム50の一実施形態を示す斜視図であり、図6は、前方側から見た一部切り欠き斜視図、図7は、後方側から見た斜視図である。なお、図6および図7において円内に補強片57を拡大斜視図で示している。また、図6および図7におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0059】
図6および図7に示すように、上部フレーム50は、平面視で矩形状の底板51と、この底板51の前縁部から立設された前フレーム52と、前記底板51の後縁部からその略全長に亘って立設された後フレーム53と、底板51の左縁部からその略全長に亘り立設された左フレーム54と、底板51の右縁部からその略全長に亘り立設された右フレーム55とを備えている。これら前フレーム52、後フレーム53、左フレーム54および右フレーム55により本発明に係る環状フレーム501が形成されている。
【0060】
前フレーム52と右フレーム55との接合位置は、右側前方の支柱212の上端(図3)と対向されている。また、前フレーム52の前面に前記操作部17(図1)が取り付けられる。
【0061】
前記底板51には、絞り加工が施されることにより形成された絞り部56が設けられている。この絞り部56は、底板51において前フレーム52に隣設された左右方向の略全長に亘って延びる第1絞り部561と、この第1絞り部561の後方に形成された第2絞り部562とを備えている。
【0062】
前記第1絞り部561は、底板51の上面から下方に向かってプレス処理が施されることにより、下に凸の状態で形成されている。これに対し、前記第2絞り部562は、底板51に対し上方に向かってプレス処理が施され、これにより上に凸の状態で形成されている。かかる第2絞り部562は、底板51における後フレーム53の前方位置で左右方向の略全長に亘って形成された横絞り条563と、この横絞り条563の左右方向の中央部から前方に向かって延設された縦絞り条564とからなっている。
【0063】
これら第1絞り部561および第2絞り部562の存在で、底板51は、構造的な強度が向上し、これによって画像読取部16が搭載された光学系用フレーム30が上部フレーム50の底板51上に据え付けられても、底板51が撓んだり歪んだりことはなく、従って、光学系用フレーム30の水平姿勢が維持される。
【0064】
そして、本実施形態においては、第1絞り部561を跨いだ状態で底板51に固定される補強片57が採用されている。この補強片57は、側面視でL字状に形成されており、第1絞り部561を跨ぐ跨溝板571と、下部がこの跨溝板571の左縁面に固定されたL字板572と、このL字板572の上部に固定された、補強片57を前フレーム52に固定するための取付板573と、前記跨溝板571の前縁から前記L字板572の上方へ延びた部分に沿うように延設された沿線板574とを備えている。
【0065】
前記L字板572は、前後方向に延びる水平部572aと、この水平部572aの前端から上方へ延びる垂直部572bとから構成されている。そして、前記跨溝板571は、L字板572の水平部572aの下縁部から右方に向かって突設されている。また、前記取付板573は、L字板572の垂直部572bの後縁部から左方に向かって突設されている。
【0066】
前記跨溝板571には、前後一対の貫通孔571aが穿設されているとともに、前記取付板573にも上下一対の貫通孔573aが穿設されている。
【0067】
一方、前記上部フレーム50の前フレーム52には、左右方向の中央部より若干左方によった位置に、補強片57の跨溝板571およびL字板572の水平部572aを挿通させるためのL字孔521が穿設されている。また、上部フレーム50の底板51には、第1絞り部561を挟んだ状態で跨溝板571の一対の貫通孔571aに対応した貫通孔が穿設されているとともに、前フレーム52には、補強片57の一対の貫通孔573aに対応した貫通孔が穿設されている。
【0068】
そして、跨溝板571およびL字板572の水平部572aを前フレーム52の外側からL字孔521に差し通した状態で、各貫通孔571a,573aおよびこれらに対応した上部フレーム50側の貫通孔にリベットを差し通し、当該リベットにかしめ処理を施すことにより、補強片57が、図6および図7に示すように、上部フレーム50に取り付けられた状態になる。
【0069】
そして、補強片57が上部フレーム50に装着された状態では、当該補強片57の跨溝板571が第1絞り部561を跨いで底板51に固定されているため、底板51に前後方向に向かう引っ張り力が作用したり、逆に圧縮力が作用しても、跨溝板571に阻止されることで第1絞り部561の溝幅が拡幅したり縮幅したりすることはない。従って、当該上部フレーム50に支持されている光学系用フレーム30の姿勢が変化することはなく、光学系用フレーム30に支持された画像読取部16による常に適正な画像読取処理が実現する。
【0070】
以上詳述したように、本発明に係るフレーム構造20は、いわゆる胴内排紙型の画像形成装置10を対象とするものであり、用紙貯留部14、画像形成部12および定着部13が内装される下部フレーム21と、画像読取部16が装着される上部フレーム50と、これら下部フレーム21および上部フレーム50の各一方の側部間に介設される連結フレーム23とを備え、下部フレーム21および上部フレーム50間に印刷処理後の用紙を排出する排紙部15が形成されてなる画像形成装置10に適用されるものである。
【0071】
そして、上部フレーム50は、画像読取部16を支持する底板51と、この底板51の周縁から立設された、前フレーム52、後フレーム53、左フレーム54および右フレーム55からなる環状フレーム501とを備えているため、かかる環状フレーム501の存在で全体的な強度が向上され、重量物である画像読取部16を支持することができる。
【0072】
そして、底板51には、当該底板51の変形を阻止するべく絞り加工が施された絞り部56が形成されているため、この絞り部56の存在で底板51が局所的に撓んだり、歪んだりすることを防止することができ、これによって画像読取部16の水平姿勢を維持させることが可能になり、結果として原稿画像を正確に読み取ることができる。
【0073】
また、上部フレーム50の底板51には、絞り部56を横断して当該底板51に固定された補強片57が設けられているため、この補強片57の存在で前フレーム52の変形を有効に防止することができる。
【0074】
また、上部フレーム50の底板51に形成される絞り部56は、互いに交差する方向に延びるように少なくとも2条(本実施形態においては、第1絞り部561と第2絞り部562)が形成されているため、互いに交差する方向に延びる少なくとも2条の絞り部56により、2方向に亘って底板51の変形が防止され、結果として底板51を全体的に変形し難くすることができる。
【0075】
さらに、下部フレーム21と上部フレーム50との間には、連結フレーム23と対向配置された補強フレーム40が介設されているため、上部フレーム50は、連結フレーム23のみによる片持ち状態が解消され、連結フレーム23と補強フレーム40とによる両持ち状態で支持され、これにより上部フレーム50を変形することなく下部フレーム21に確実に支持させることができる。
【0076】
そして、特に、補強片57が横断する絞り部(本実施形態では第1絞り部561)は、下方に向かって凸になるように絞り加工が施されているため、上部フレーム(平板フレーム)50における補強片57が設けられる部分、すなわち、上部フレーム50において大きな力が加わると想定される部分に形成された第1絞り部561は、下に凸とされているため、上部フレーム50のこの部分で画像読取部16を支持させることにより、当該画像読取部16は、第1絞り部561と干渉することなく好適に上部フレーム50に支持される。
【0077】
また、補強片57は、環状フレーム501における操作部(操作パネル)17が取り付けられる部分(本実施形態では前フレーム52)の近傍に設けられているため、前フレーム52は変形し難くなっており、この部分に重量物である操作部17を付設しても、上部フレーム50や環状フレーム501が変形するような不具合の発生を有効に防止することができる。
【0078】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0079】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、ファクシミリ装置であってもよい。
【0080】
(2)上記の実施形態において、原稿押さえカバー162の上部に原稿自動読取装置を装着し、原稿の束から1枚ずつの原稿をコンタクトガラス161へ向けて送り込むことができるようにしてもよい。
【0081】
(3)上記の実施形態においては、補強フレーム40に絞り部46が形成されているが、補強フレーム40が肉厚の材料によって形成されている場合や、補強用主支柱41と上部補強用梁材42との間に筋交いが介設されているような場合などであって、補強フレーム40の強度が十分に大きく設定されているときには、補強フレーム40に特に絞り部46を設けなくてもよい。
【実施例1】
【0082】
上部フレーム50の底板51に絞り部56が形成されることによる効果を確認するために、一方の側部を連結フレーム23により支持し、他方の側部を補強フレーム40で支持した状態の上部フレーム50の前フレーム52に10kgの荷重を加え、この状態における底板51の撓み量を測定する試験を実施した。
【0083】
この試験で、試料として採用した上部フレーム50は、底板51に絞り部56を形成させるとともに補強片57を採用したもの(第1実施例)と、底板51に絞り部56を形成させたが補強片57を採用しなかったもの(第2実施例)と、底板51に絞り部56を形成させなかったが補強片57を採用したもの(第3比較例)と、底板51に絞り部56を形成させないでかつ補強片57を採用しなかったもの(比較例)との4点とした。
【0084】
試験結果は以下のとおりであった。
【0085】
絞り部 補強片 撓み量(m)
・第1実施例: あり あり 0.81×10−3
・第2実施例: あり なし 1.70×10−3
・第3実施例: なし あり 0.87×10−3
・比較例: なし なし 1.76×10−3
なお、撓み量は、前フレーム52の左右方向(X−X方向)の中央部における当該前フレーム52の上縁部の前後方向へ向かう変位(図6に矢印Zで表示)を測定することによって得た値である。
【0086】
この試験結果から明らかなように、上部フレーム50の底板51に絞り部56および補強片57のいずれか一方を設けることにより(第1〜第3実施例)、これらを設けない場合(比較例)に比較して撓み量が小さいこと(すなわち、上部フレーム50が光学系用フレーム30を支持して状態で当該上部フレーム50があまり変形しないこと)を確認することができた。特に、上部フレーム50の底板51に絞り部56および補強片57の双方を設けた場合(第1実施例)には、上部フレーム50の撓み量が最小になることを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るフレーム構造が適用された画像形成装置の一実施形態を示す外観視の斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の内部構造の概要を説明するための正面断面視の説明図である。
【図3】画像形成装置のフレーム構造の一実施形態を示す斜視図であり、光学系用フレームおよび補強フレームが装着される直前の状態を示している。
【図4】画像形成装置のフレーム構造の一実施形態を示す斜視図であり、光学系用フレームおよび補強フレームが装着された状態をそれぞれ示している。
【図5】補強フレームの一実施形態を示す斜視図である。
【図6】上部フレームの一実施形態を示す前方側から見た一部切り欠き斜視図である。
【図7】図6に示す上部フレームを前方側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
10 画像形成装置 101 用紙縦搬送路
102 排紙搬送路 103 往復搬送路
104 逆送搬送路 11 装置本体
111 下部筐体 112 上部筐体
113 連結部 12 画像形成部
121 感光体ドラム 122 帯電ユニット
123 露光ユニット 124 現像ユニット
125 転写ローラ 126 クリーニング装置
13 定着部 131 定着ローラ
132 加圧ローラ 14 用紙貯留部
141 用紙カセット 142 レジストローラ対
15 排紙部 151 胴内排紙トレイ
152 胴外排紙トレイ 153 一時退避空間
16 画像読取部 161 コンタクトガラス
162 原稿押さえカバー 163 光学系
17 操作部(操作パネル) 171 テンキー
18 トレイ 181 支持軸
182 ローラ 183 搬送ローラ対
184 搬送ユニット 185 中継ユニット
19 メンテナンスドアー 195 カバー部材
195a 支軸 20 フレーム構造
21 下部フレーム 211 底板
212 支柱 213 前板
214 後板 215 左側板
216 右側板 217 仕切り板
23 連結フレーム 231 堰フレーム
30 光学系用フレーム 31 底板
32 環状壁 40 補強フレーム(補強部材)
41 補強用主支柱 42 上部補強用梁材
43 中間補強用梁材 44 垂下補強用支柱
45 折り返し縁部 46 絞り部
461 上方絞り部 462 主支柱絞り部
463 筋交い絞り部 464 下方絞り部
50 上部フレーム(平板フレーム)
501 環状フレーム 51 底板
52 前フレーム 521 L字孔
53 後フレーム 54 左フレーム
55 右フレーム 56 絞り部
561 第1絞り部 562 第2絞り部
563 横絞り条 564 縦絞り条
57 補強片 571 跨溝板
571a 貫通孔 572 L字板
572a 水平部 572b 垂直部
573 取付板 573a 貫通孔
574 沿線板 P 用紙
P1 用紙束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙貯留部、画像形成部および定着部が内装される下部フレームと、画像読取部が装着される上部フレームと、これら下部および上部フレームの一方の側部間に介設される連結部とを備え、前記下部および上部フレーム間に印刷処理後の用紙を排出する排紙部が形成されてなる画像形成装置のフレーム構造において、
前記上部フレームは、前記画像読取部を支持する平板フレームと、この平板フレームの周縁から立設された環状フレームとを備え、
前記平板フレームには、当該平板フレームの変形を阻止するべく絞り加工が施された絞り部と、前記環状フレームの変形を阻止するための補助片とが設けられ、
前記補強片は、前記環状フレームに沿って絞り加工が施された絞り部を横断して前記平板フレームに固定されていることを特徴とする画像形成装置のフレーム構造。
【請求項2】
前記補強片が横断する絞り部は、下方に向かって凸になるように絞り加工が施されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置のフレーム構造。
【請求項3】
前記補強片は、前記環状フレームにおける所定の操作パネルが取り付けられる部分の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置のフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−233162(P2008−233162A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68298(P2007−68298)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】