画像形成装置及びその処理方法
【課題】 印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合に、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させた装置及び方法を提供する。
【解決手段】 印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置において、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する。ここで、オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、印刷ジョブをオブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する。そして、待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて、オブジェクトの登録が行われると、格納された待機ジョブの印刷を開始する。
【解決手段】 印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置において、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する。ここで、オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、印刷ジョブをオブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する。そして、待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて、オブジェクトの登録が行われると、格納された待機ジョブの印刷を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブで指定されるリソースを共有可能に構成された画像形成装置及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文書を固定部分と可変部分に分け、可変部分のデータをデータベースやCVSファイル等から供給する差し込み印刷を利用し、一枚毎に少しずつ異なる内容の印刷を大量に行う技術がある。かかる技術を用いて行う印刷は、可変情報印刷(VDP)として知られている。
【0003】
このVDPを実現するための文書フォーマット技術として、PODi(Digital Print Initiative)で策定されたPPML(Personalized Printing Markup Language)がある。PPMLは、XML(eXtensible Markup Language)をベースとし、文書を固定部分と可変部分とに分けて記述するための標準仕様となる言語である。文書の固定部分と可変部分とはそれぞれRIP(Raster Image Processing)され、RIPされた結果を保存して再利用することが可能となる。
【0004】
PPMLの仕様では、可変部分の有効な区間を指定するScopeという属性がある。Scopeのとりうる値は、ジョブ内の一部の区間のみ有効なJob、Document、同一ジョブ内で有効なPPML、ジョブにまたがって有効なGlobalなどである。ScopeがGlobalである可変部分のオブジェクトは、ジョブにまたがってグローバルに再利用可能なリソースであるため、以下、グローバルリユーザブルオブジェクトと称する。グローバルリユーザブルオブジェクトを用いると、リソースをジョブ毎に繰り返し送信する必要がなく、またジョブ毎にRIPする必要がなくなるため、装置内のリソースを使用しない場合に比べてスループットが向上するという効果がある。
【0005】
しかしながら、指定されたリソースが実際には装置内に存在しない場合、装置はジョブを印刷することができず、ジョブがキャンセルされてしまう。この場合、オペレータは該当するリソースを装置に登録した上で、再びジョブ全体を装置に送信する必要があり、オペレータにとって大きな負荷になると共に、スループットの低下の原因となっていた。
【0006】
この問題に対応するため、例えば、特許文献1では、データ送信前に不足しているリソースがないかどうかを確認する技術が公開されている。更に、データ送信前にリソースが不足している場合、リソースの取得先をオペレータに入力させ、データを受信した装置にネットワーク経由でリソースを取得させる技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US7672010B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術でも、データの送信先がリソースを取得できない場合、ジョブがキャンセルされてしまい、印刷を行うためにはジョブ全体を再度投入しなければならないという問題があった。VDPは主に、大量の出力を伴う帳票印刷などで使用されることが多く、その場合、ジョブ全体の再投入やRIPには多くの時間がかかり、スループットが大きく低下する。
【0009】
また、VDPの印刷システムは非常に巨大であるため、装置側に様々なアプリケーションとの連携が求められており、VDPアプリケーション側でリソースチェックが十分になされない状況下でもスループットを向上させる技術が求められている。
【0010】
本発明は、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合に、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させた装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置であって、
印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する判定手段と、
前記オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、前記印刷ジョブを前記オブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する格納手段と、
前記待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて前記オブジェクトを装置に登録する登録手段とを有し、
前記オブジェクトの登録が行われると、前記格納された待機ジョブの印刷を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合に、印刷ジョブを装置内に格納し、印刷ジョブと不足しているオブジェクトの識別情報とを関連付けて管理することができる。これにより、指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合には、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、不足しているオブジェクトのみを投入すれば印刷が開始できる。従って、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における画像形成システムの構成の一例を示す図。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】コントロールユニット(コントローラ)の一構成例を示すブロック図。
【図4】操作部210の構成を示す図。
【図5】キー入力部402の構成を示す図。
【図6】印刷ジョブ、レコード、ページの関係を階層的に示す図。
【図7】PDLデータの一種であるPPMLデータの一例を示す図。
【図8】PDLデータの一種であるPPMLデータの一例を示す図。
【図9】ミスヒットオブジェクト管理テーブル901の構成を示す図。
【図10】本実施形態における印刷処理を示すフローチャート。
【図11】グローバルリユーザブルオブジェクトの登録処理を示すフローチャート。
【図12】代替オブジェクトの一例を示す図。
【図13】操作部210に表示されるUIの一例を示す図。
【図14】出力される不足オブジェクト一覧の一例を示す図。
【図15】出力されるサムネイルの一例を示す図。
【図16】操作部210に表示されるUIの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0015】
<画像形成システムの構成>
まず、本実施形態に適用可能な画像形成システムの構成について説明する。図1は、本実施形態における画像形成システムの構成の一例を示す図である。画像形成システムは、少なくとも画像形成装置10、プリントサーバ20、ファイルサーバ30、クライアントPC40で構成される。また、画像形成装置10、プリントサーバ20、ファイルサーバ30、クライアントPC40は、LAN,WANなどのネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
ここで画像形成装置10は、スキャン、プリント、コピーなどの様々な機能を有する。プリントサーバ20は、入力された印刷ジョブや、ネットワーク50を介して接続されている画像形成装置10を管理する。プリントサーバ20は、接続されている画像形成装置10と全ての印刷ジョブの状況を監視できると共に、印刷ジョブの一時停止、設定変更、印刷再開、或いはジョブの複製、移動、削除などの制御を行うことができる。
【0017】
ファイルサーバ30は、バリアブル印刷に使用されるバリアブルデータとして、例えば宛先、住所、氏名などの顧客データからなる顧客データベースを保管する。クライアントPC40は、アプリケーションファイルの編集や印刷の指示を行う機能を有する。また、クライアントPC40は、プリントサーバ20内で管理されている画像形成装置10や印刷ジョブの監視や制御を補佐する機能を有する。オペレータはクライアントPC40を利用して印刷ジョブのステータスなどを確認することができる。
【0018】
<画像形成装置10の構成>
次に、画像形成装置10として複合機(MFP)を例に挙げて、そのハードウェア構成を、図2を用いて説明する。図2に示すように、MFPはスキャナ部101、レーザ露光部102、作像部103、定着部104、給紙/搬送部105で構成される。これらは、不図示のプリンタ制御部によって制御される。
【0019】
スキャナ部101は、原稿台に置かれた原稿に対して照明を当て、原稿画像を光学的に読み取り、その像を電気信号に変換して画像データを作成する。レーザ露光部102は、画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)に入射させ、反射走査光として感光ドラムに照射する。
【0020】
作像部103は、感光ドラムを回転駆動し、帯電器によって帯電させると共に、レーザ露光部102によって感光ドラム上に形成された潜像をトナーによって現像化する。そして、トナー像をシートに転写し、転写されずに感光ドラム上に残った微小トナーを回収する。この一連の電子写真プロセスを実行して作像する際に、シートが転写ベルトの所定位置に巻きつき、4回転する間に、現像ユニット(現像ステーション)が入れ替わりで順次この電子写真プロセスを繰り返し実行する。ここで、現像ユニットは、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーを持つ。そして、4回転の後、4色のフルカラートナー像が転写されたシートは転写ドラムを離れ、定着部104へ搬送される。
【0021】
定着部104は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、作像部103によってトナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。
【0022】
給紙/搬送部105は、シートカセットやペーパーデッキに代表されるシート収納庫を一つ以上備え、プリンタ制御部の指示に応じてシート収納庫に収納された複数のシートの中から一枚を分離し、作像部103、定着部104へ搬送する。シートは作像部103の転写ドラムに巻きつけられ、4回転した後に定着部104へ搬送される。4回転する間に上述したYMCK各色のトナー像がシートに転写される。また、シートの両面に画像形成する場合は、定着部104を通過したシートを再度作像部103へ搬送する両面搬送経路を通るように制御する。
【0023】
プリンタ制御部は、複合機全体を制御するコントロールユニットと通信し、その指示に応じて制御を実行する。また、上述したスキャナ部101、レーザ露光部102、作像部103、定着部104、給紙/搬送部105の各部の状態を管理しながら、全体が調和を保って円滑に動作できるよう指示を行う。
【0024】
<コントロールユニットの構成>
図3は、画像形成装置10におけるコントロールユニット(コントローラ)の一構成例を示すブロック図である。コントロールユニット200は、画像入力デバイスであるスキャナ201や画像出力デバイスであるプリンタエンジン202と接続し、画像データの読み取りやプリント出力のための制御を行う。また、コントロールユニット200は、LANや公衆回線204と接続することで、画像情報やデバイス情報をネットワーク経由で入出力するためのユニットでもある。
【0025】
コントロールユニット200において、CPU205は、システム全体を制御するための中央処理装置である。RAM206は、CPU205が動作するためのシステムワークメモリであり、入力された画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM207は、ブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD208は、ハードディスクドライブであり、各種処理のためのシステムソフトウェア及び入力された画像データや後述する文書データなどを格納する。
【0026】
操作部I/F209は、画像データなどを表示可能な表示画面を有する操作部210に対するインタフェースであり、操作部210に対して画像データを出力する。また、操作部I/F209は、操作部210から操作者(即ち、カラー複合機の使用者)が入力した情報をCPU205に伝える。更に、ネットワークI/F211は、例えばLANカードで実現され、LAN10に接続して外部装置との間で情報の入出力を行う。また、モデム212は公衆回線204に接続して外部装置との間で情報の入出力を行う。以上の各デバイスがコントロールユニット200のシステムバス213上に配置されている。
【0027】
次に、イメージバスI/F214は、システムバス213と後述する画像バス215とを接続するインタフェースであり、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス215は、画像データを高速に転送するバスであり、PCIバス又はIEEE1394で構成される。この画像バス215上には、後述するRIP216、デバイスI/F217、スキャナ画像処理218、プリンタ画像処理219、画像編集用画像処理部220、CMM230といったデバイスが接続される。
【0028】
RIP(ラスタイメージプロセッサ)216は、ディスプレイリスト(DL)を解釈し、ラスタイメージ及びラスタイメージの各ピクセルに対応する属性情報(属性ビット)を作成(レンダリング)する。デバイスI/F217は、スキャナ201及びプリンタエンジン202とコントロールユニット200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0029】
また、スキャナ画像処理218は、入力画像データに対して、補正、加工、編集などの各種処理を行う。プリンタ画像処理219は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等の処理を行う。画像編集用画像処理部220は、画像データの回転や画像データの圧縮伸長処理、RIP216の生成した属性ビットに基づく各種画像処理を行う。CMM(カラーマネージメントモジュール)230は、画像データに対して、プロファイルやキャリブレーションデータに基づいて色変換処理を施す専用ハードウェアモジュールである。
【0030】
ここで、プロファイルとは、機器に依存した色空間で表現したカラー画像データを機器に依存しない色空間(例えば、Labなど)に変換するための関数のような情報である。キャリブレーションデータとは、スキャナ201やプリンタエンジン202の色再現特性を修正するためのデータである。
【0031】
<操作部210の構成>
次に、画像形成装置10における操作部210の構成を、図4、図5を用いて説明する。図4に示すように、操作部210は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を有する。
【0032】
また、キー入力部402は、図5に示すように、操作部電源スイッチ501を有する。操作部電源スイッチ501のユーザ操作に応答して、CPU205がスタンバイモードとスリープモードを選択的に切り替えるように制御する。但し、スタンバイモードは、通常動作状態であり、スリープモードは、ネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止し、消費電力を抑えている状態である。そして、CPU205は、操作部電源スイッチ501のユーザ操作を、システム全体への電源供給を行うための主電源スイッチ(不図示)がON状態で受付可能に制御する。
【0033】
スタートキー503は、処理対象となる印刷ジョブのコピー動作や送信動作などユーザにより指示された種類の印刷ジョブの処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にするためのキーである。またストップキー502は、受け付けた印刷ジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にするためのキーである。
【0034】
テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にするためのキーである。クリアキー507は、テンキー506を介してユーザにより設定された置数などの各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象の印刷ジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、また設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受け付けるためのキーである。ユーザモードキー505は、ユーザ毎のシステム設定画面に移行するためのキーである。
【0035】
<印刷ジョブ、レコード、ページの関係>
ここで、画像形成装置10における印刷ジョブ、レコード、ページの関係を、階層的に示す図6を用いて説明する。ここで印刷ジョブ601は、複数のレコード602を持つ。このレコード602の基となるレコード情報はファイルサーバ30に格納されている。
【0036】
各レコード602は一枚以上のページ603を含む。ここで、各レコード602に含まれるページ数は必ずしも同一ページ数である必要はなく、各レコード602で指示される印刷内容によって異なる場合もある。
【0037】
<画像形成装置10が処理対象とするデータ>
画像形成装置10が処理対象とするデータには、描画命令などを含むPDLデータと、印刷設定などを含むジョブチケットとが含まれる。このPDLの一例としては、PPML、PDF/VTなどがある。
【0038】
図7及び図8は、PDLデータの一種であるPPMLデータの一例を示す抜粋である。図7に示す例では、PPMLデータと共に送られてくるtiger.pdfが、識別情報GLOBALID_0001を持つグローバルリユーザブルオブジェクトとして画像形成装置10に登録される。図8に示す例では、識別情報GLOBALID_0001を持つグローバルリユーザブルオブジェクトが画像形成装置10から抽出され、ジョブ内の所定のページにレイアウトされる。PPMLの仕様の詳細については、その説明を省略する。尚、画像形成装置10が処理対象とするPDLデータは図7及び図8に示した形態に限定されないことはいうまでもない。
【0039】
<ミスヒットオブジェクト管理テーブル901の構成>
次に、画像形成装置10が待機ジョブと不足オブジェクトの関連を管理するために保持しているミスヒットオブジェクト管理テーブル901の構成を、図9を用いて説明する。ミスヒットオブジェクト管理テーブル901には、待機ジョブ902と不足オブジェクト903とが関連付904によって関連付けられて保持される。つまり、関連付904は、待機ジョブ902と不足オブジェクト903とを関連付け、待機ジョブ902が関連付けられた不足オブジェクト903が全て登録されることで印刷可能になることを示している。図9に示す例では、待機ジョブJOB−1は、オブジェクト識別情報GLOBALID_0001を持つ不足オブジェクトのみと関連付けられており、このオブジェクトの登録によって印刷可能になることを示している。
【0040】
<印刷処理>
次に、本実施形態における印刷処理を、図10を用いて説明する。まず、S101で、CPU205はネットワーク50経由で送信された印刷ジョブ(PPMLデータとする)をネットワークI/F211経由で受信し、HDD208に格納する。そして、S102で、CPU205はPPMLデータの解析を開始する。
【0041】
次に、S103で、CPU205はPPMLデータ内にRIP済でないオブジェクトが存在するか否かを判定する。PPMLデータ内にRIP済でないオブジェクトが存在する場合はS104へ進む。このS104で、CPU205はRIP済でないオブジェクトがデータ内又はHDD208内に存在するか否かを判定する。ここで、RIP済でないオブジェクトがデータ内又はHDD208内に存在する場合はS105へ進み、CPU205は存在したRIP済でないオブジェクトをRIPする。そして、この処理が終了すると、S103に戻り、残りのRIPされていないオブジェクトの処理を行う。
【0042】
また、S104で、データ内及びHDD208内にRIP済でないオブジェクトが存在しなかった場合は、RIP済でないオブジェクトを不足オブジェクトと認定し、S106へ進む。S106では、CPU205は不足オブジェクトがグローバルリユーザブルオブジェクトであるか否かを判定する。判定の結果、不足オブジェクトがグローバルリユーザブルオブジェクトである場合はS107へ進む。このS107で、CPU205はフラグ[ミスヒット]をTRUEにセットする。フラグ[ミスヒット]は、印刷ジョブがデータ内及びHDD208内に存在しないグローバルリユーザブルオブジェクトを参照しているか否かを示すフラグであり、印刷処理開始時点ではFALSEにセットされている。
【0043】
次に、S108で、CPU205は印刷ジョブの識別情報とオブジェクトの識別情報を関連付けてミスヒットオブジェクト管理テーブル901に登録する。S109で、CPU205は不足オブジェクトの代替オブジェクトをRIPする。代替オブジェクトの一例を、図12に示す。図12に示すように、代替オブジェクトには、不足オブジェクトをオペレータが特定するのに必要な情報がヒント情報として埋め込まれている。
【0044】
この例では、不足オブジェクトの識別情報、ファイル名、サイズ、ジョブ、レコード・ページの情報などがヒント情報として代替オブジェクトに埋め込まれている。この処理で、代替オブジェクトにヒント情報を埋め込むことにより、オペレータが不足オブジェクトを特定することが容易になり、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることが可能となる。尚、代替オブジェクトには、CPU205が識別可能な形式で、不足オブジェクトの識別情報が関連付けられている。そして、RIP処理が終了すると、S103に戻り、残りのRIPされていないオブジェクトの処理を行う。
【0045】
また、上述のS106で、不足オブジェクトがグローバルリユーザブルオブジェクトでなかった場合はS110へ進み、CPU205はエラー処理を行う。このエラー処理は、オペレータへのエラー通知や印刷ジョブの終了処理などを含む。
【0046】
尚、印刷ジョブを終了させず、印刷ジョブを待機状態にしてオペレータによる不足オブジェクトの投入を受け付け可能に構成してもよい。エラー処理は、本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。エラー処理が終了すると、CPU205はこの処理を終了する。
【0047】
上述のS104〜S109までの処理により、全てのオブジェクトのRIPが完了すると、S103で「NO」、PPMLデータ内にRIP済でないオブジェクトが存在しないと判定されてS111へ進み、PPMLデータの解析を終了する。そして、S112で、CPU205はフラグ[ミスヒット]がTRUEであるか否かを判定する。判定の結果、フラグ[ミスヒット]がTRUEでない場合はS113に進み、CPU205はプリンタエンジン202を用いて、通常の印刷処理を行う。印刷処理は、本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。印刷処理が終了すると、CPU205はこの処理を終了する。
【0048】
一方、S112で、フラグ[ミスヒット]がTRUEであった場合はS114へ進み、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901から、印刷ジョブに関連付けられた不足オブジェクトの一覧を取得する。そして、S115で、CPU205は操作部210にエラーの内容を表示すると共に、オペレータに処理の選択を促す。ここで操作部210に表示されるUIの一例を図13に示す。
【0049】
次に、オペレータが操作部210を介して処理を選択すると、S116へ進み、CPU205はオペレータが選択した処理が「あとで印刷する」であるか否かを判定する。判定の結果、オペレータが選択した処理が「あとで印刷する」である場合はS117に進み、CPU205はプリンタエンジン202を用いて不足オブジェクト一覧を出力する。
【0050】
ここで出力される不足オブジェクト一覧の一例を図14に示す。図14に示すように、不足オブジェクト一覧には、不足オブジェクトをオペレータが特定するのに必要な情報がヒント情報として印刷されている。本実施形態では、ジョブ、オブジェクトの識別情報、ファイル名、サイズ、レコード・ページの情報などがヒント情報として代替オブジェクトに印刷されている。ここで、不足オブジェクト一覧にヒント情報を印刷することにより、オペレータが不足オブジェクトを特定することが容易になり、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることが可能となる。
【0051】
次に、S118で、CPU205はプリンタエンジン202を用いて印刷ジョブのサムネイルを出力する。ここで出力されるサムネイルの一例を、図15に示す。図15に示すように、サムネイルには、S109でRIPされた代替オブジェクトが、不足オブジェクトが描画されるべき領域に描画されている。サムネイルの出力により、オペレータが代替オブジェクトの描画領域及び代替オブジェクトに埋め込まれたヒント情報から不足オブジェクトを特定することが容易になる。これにより、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることが可能となる。そして、S119で、CPU205は印刷ジョブを待機ジョブとしてHDD208に格納し、この処理を終了する。
【0052】
また、上述のS116で、オペレータが選択した処理が「あとで印刷する」でなかった場合はS120へ進み、CPU205はその他の処理を行う。その他の処理は、不足オブジェクトを含むページやレコードをスキップさせて印刷を続行するスキップ印刷処理や、印刷ジョブのキャンセル処理などを含む。その他の処理は、本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。その他の処理が終了すると、CPU205はこの処理を終了する。
【0053】
以上の処理により、印刷ジョブで指定されたリソースがデータ内又はHDD208内に存在しない場合、その印刷ジョブを待機ジョブとしてHDD208に格納する。これにより、指定されたリソースが装置内に存在しない場合に、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、不足しているリソースのみを登録すれば印刷が開始できるため、オペレータによる再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることができる。
【0054】
更に、存在するリソースについては、全てRIPした状態でHDD208に格納する。これにより、不足しているリソースが登録された際に、印刷ジョブ全体をRIP処理する必要がなくなり、そのリソースのみをRIPすることにより高速に印刷を開始することができる。従って、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0055】
また、リソースが存在しない場合に出力するエラー通知、不足オブジェクト一覧、サムネイルに、不足オブジェクトをオペレータが特定する補助となるヒント情報を表示する。そして、サムネイルの不足オブジェクトが描画されるべき領域に代替オブジェクトを描画する。これにより、オペレータが代替オブジェクトの描画領域や代替オブジェクトに埋め込まれたヒント情報から、不足オブジェクトを特定することが容易になり、オペレータの再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることが可能となる。
【0056】
<グローバルリユーザブルオブジェクト登録処理>
次に、本実施形態におけるグローバルリユーザブルオブジェクトの登録処理を、図11を用いて説明する。まず、S201で、CPU205はネットワーク50経由で送られてくるデータをネットワークI/F211経由で受信する。そして、S202で、CPU205は受信したデータに含まれるグローバルリユーザブルオブジェクトをRIPする。
【0057】
次に、S203で、CPU205はグローバルリユーザブルオブジェクトをHDD208に格納する。尚、グローバルリユーザブルオブジェクトには、CPU205が識別可能な形式で、データ内で指定されたオブジェクト識別情報が関連付けられている。
【0058】
次に、S204で、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901に、そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されているか否かを判定する。この処理は、新しく登録されたグローバルリユーザブルオブジェクトのオブジェクト識別情報と不足オブジェクトのオブジェクト識別情報とが一致すれば、そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されていると判定する処理である。
【0059】
そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されていない場合は、このグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。また、そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されている場合はS205へ進む。このS205で、CPU205はその不足オブジェクトに関連する待機ジョブをHDD208から順次展開し、待機ジョブに含まれる代替オブジェクトを新しく登録されたグローバルリユーザブルオブジェクトと差し替える。
【0060】
次に、S206で、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901から、その不足オブジェクトを削除する。そして、S207で、CPU205は新しく印刷可能になった待機ジョブが存在するか否かを判定する。この処理は、S206でミスヒットオブジェクト管理テーブル901に登録されている待機ジョブが、何れの不足オブジェクトとも関連付けされていない場合に、そのジョブが新しく印刷可能になったと判定する処理である。
【0061】
判定した結果、新しく印刷可能になった待機ジョブが存在しない場合は、グローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。一方、新しく印刷可能になった待機ジョブが存在する場合はS208へ進み、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901から、新しく印刷可能になった待機ジョブを削除する。
【0062】
次に、S209で、CPU205は印刷可能になった待機ジョブの一覧をオペレータに通知する。ここでは、操作部210に印刷可能になった待機ジョブの一覧を表示すると共に、オペレータに処理の選択を促す。操作部210に表示されるUIの一例を図16に示す。尚、印刷可能になった待機ジョブの一覧の通知は、これだけに限られず、例えば印刷可能になった待機ジョブの一覧を印刷出力することによって行ってもよい。
【0063】
ここで画像形成装置10にリソースが登録された場合、HDD208に格納されている待機ジョブの中で、新しく印刷可能になった待機ジョブの一覧がオペレータに通知される。これにより、オペレータがリソースの登録によって印刷可能になった待機ジョブを容易に知ることができ、再印刷時のオペレータの負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0064】
S209で、オペレータが操作部210を介して処理を選択すると、S210へ進み、CPU205はオペレータが選択した処理が「印刷開始」であるか否かを判定する。オペレータが選択した処理が「印刷開始」である場合はS211へ進み、CPU205はプリンタエンジン202を用いて、選択されたジョブの印刷処理を行う。印刷処理は本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。印刷処理が終了すると、CPU205はグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。
【0065】
また、上述のS210で、オペレータが選択した処理が「印刷開始」でなかった場合はS212へ進み、CPU205はその他の処理を行う。その他の処理は本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。そしてその他の処理が終了すると、CPU205はグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。
【0066】
以上の処理により、画像形成装置10にリソースが登録されると、HDD208に格納されている待機ジョブの中で、新しく印刷可能になった待機ジョブの一覧をオペレータに通知する。これにより、オペレータがリソースの登録によって印刷可能になった待機ジョブを容易に知ることができ、再印刷時のオペレータの負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0067】
また、画像形成装置10は、新しく登録されたリソースのみをRIP処理して、HDD208に格納されている印刷ジョブ内の代替オブジェクトと差し替えて印刷を開始する。これにより、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、新しく登録されたリソースのみをRIP処理すれば印刷が開始できるため、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0068】
尚、本実施形態において、印刷処理とグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理とは別個に行うように構成したが、本発明はこれだけに限らない。例えば、PPMLの中にグローバルリユーザブルオブジェクトが含まれていた場合、グローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を続けて行うようにしてもよい。PPML中にグローバルリユーザブルオブジェクトが含まれていた場合には、PPMLデータの印刷処理の後、新しく印刷可能になったジョブの一覧を通知するなどの構成が考えられる。
【0069】
また、本実施形態において、不足オブジェクトの一覧やサムネイルを自動的に出力するように構成したが、オペレータの指示により任意のタイミングで不足オブジェクトの一覧やサムネイルを出力可能に構成してもよい。
【0070】
本実施形態によれば、印刷ジョブで指定されたリソースが装置内に存在しない場合に、印刷ジョブを装置内に格納し、その印刷ジョブと不足しているリソースの識別情報とを関連付けて管理することができる。これにより、印刷ジョブで指定されたリソースが装置内に存在しない場合、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、不足しているリソースのみを投入すれば印刷が開始できる。これにより、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0071】
[他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブで指定されるリソースを共有可能に構成された画像形成装置及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文書を固定部分と可変部分に分け、可変部分のデータをデータベースやCVSファイル等から供給する差し込み印刷を利用し、一枚毎に少しずつ異なる内容の印刷を大量に行う技術がある。かかる技術を用いて行う印刷は、可変情報印刷(VDP)として知られている。
【0003】
このVDPを実現するための文書フォーマット技術として、PODi(Digital Print Initiative)で策定されたPPML(Personalized Printing Markup Language)がある。PPMLは、XML(eXtensible Markup Language)をベースとし、文書を固定部分と可変部分とに分けて記述するための標準仕様となる言語である。文書の固定部分と可変部分とはそれぞれRIP(Raster Image Processing)され、RIPされた結果を保存して再利用することが可能となる。
【0004】
PPMLの仕様では、可変部分の有効な区間を指定するScopeという属性がある。Scopeのとりうる値は、ジョブ内の一部の区間のみ有効なJob、Document、同一ジョブ内で有効なPPML、ジョブにまたがって有効なGlobalなどである。ScopeがGlobalである可変部分のオブジェクトは、ジョブにまたがってグローバルに再利用可能なリソースであるため、以下、グローバルリユーザブルオブジェクトと称する。グローバルリユーザブルオブジェクトを用いると、リソースをジョブ毎に繰り返し送信する必要がなく、またジョブ毎にRIPする必要がなくなるため、装置内のリソースを使用しない場合に比べてスループットが向上するという効果がある。
【0005】
しかしながら、指定されたリソースが実際には装置内に存在しない場合、装置はジョブを印刷することができず、ジョブがキャンセルされてしまう。この場合、オペレータは該当するリソースを装置に登録した上で、再びジョブ全体を装置に送信する必要があり、オペレータにとって大きな負荷になると共に、スループットの低下の原因となっていた。
【0006】
この問題に対応するため、例えば、特許文献1では、データ送信前に不足しているリソースがないかどうかを確認する技術が公開されている。更に、データ送信前にリソースが不足している場合、リソースの取得先をオペレータに入力させ、データを受信した装置にネットワーク経由でリソースを取得させる技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US7672010B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術でも、データの送信先がリソースを取得できない場合、ジョブがキャンセルされてしまい、印刷を行うためにはジョブ全体を再度投入しなければならないという問題があった。VDPは主に、大量の出力を伴う帳票印刷などで使用されることが多く、その場合、ジョブ全体の再投入やRIPには多くの時間がかかり、スループットが大きく低下する。
【0009】
また、VDPの印刷システムは非常に巨大であるため、装置側に様々なアプリケーションとの連携が求められており、VDPアプリケーション側でリソースチェックが十分になされない状況下でもスループットを向上させる技術が求められている。
【0010】
本発明は、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合に、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させた装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置であって、
印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する判定手段と、
前記オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、前記印刷ジョブを前記オブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する格納手段と、
前記待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて前記オブジェクトを装置に登録する登録手段とを有し、
前記オブジェクトの登録が行われると、前記格納された待機ジョブの印刷を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合に、印刷ジョブを装置内に格納し、印刷ジョブと不足しているオブジェクトの識別情報とを関連付けて管理することができる。これにより、指定されたオブジェクトが装置内に存在しない場合には、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、不足しているオブジェクトのみを投入すれば印刷が開始できる。従って、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における画像形成システムの構成の一例を示す図。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】コントロールユニット(コントローラ)の一構成例を示すブロック図。
【図4】操作部210の構成を示す図。
【図5】キー入力部402の構成を示す図。
【図6】印刷ジョブ、レコード、ページの関係を階層的に示す図。
【図7】PDLデータの一種であるPPMLデータの一例を示す図。
【図8】PDLデータの一種であるPPMLデータの一例を示す図。
【図9】ミスヒットオブジェクト管理テーブル901の構成を示す図。
【図10】本実施形態における印刷処理を示すフローチャート。
【図11】グローバルリユーザブルオブジェクトの登録処理を示すフローチャート。
【図12】代替オブジェクトの一例を示す図。
【図13】操作部210に表示されるUIの一例を示す図。
【図14】出力される不足オブジェクト一覧の一例を示す図。
【図15】出力されるサムネイルの一例を示す図。
【図16】操作部210に表示されるUIの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0015】
<画像形成システムの構成>
まず、本実施形態に適用可能な画像形成システムの構成について説明する。図1は、本実施形態における画像形成システムの構成の一例を示す図である。画像形成システムは、少なくとも画像形成装置10、プリントサーバ20、ファイルサーバ30、クライアントPC40で構成される。また、画像形成装置10、プリントサーバ20、ファイルサーバ30、クライアントPC40は、LAN,WANなどのネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
ここで画像形成装置10は、スキャン、プリント、コピーなどの様々な機能を有する。プリントサーバ20は、入力された印刷ジョブや、ネットワーク50を介して接続されている画像形成装置10を管理する。プリントサーバ20は、接続されている画像形成装置10と全ての印刷ジョブの状況を監視できると共に、印刷ジョブの一時停止、設定変更、印刷再開、或いはジョブの複製、移動、削除などの制御を行うことができる。
【0017】
ファイルサーバ30は、バリアブル印刷に使用されるバリアブルデータとして、例えば宛先、住所、氏名などの顧客データからなる顧客データベースを保管する。クライアントPC40は、アプリケーションファイルの編集や印刷の指示を行う機能を有する。また、クライアントPC40は、プリントサーバ20内で管理されている画像形成装置10や印刷ジョブの監視や制御を補佐する機能を有する。オペレータはクライアントPC40を利用して印刷ジョブのステータスなどを確認することができる。
【0018】
<画像形成装置10の構成>
次に、画像形成装置10として複合機(MFP)を例に挙げて、そのハードウェア構成を、図2を用いて説明する。図2に示すように、MFPはスキャナ部101、レーザ露光部102、作像部103、定着部104、給紙/搬送部105で構成される。これらは、不図示のプリンタ制御部によって制御される。
【0019】
スキャナ部101は、原稿台に置かれた原稿に対して照明を当て、原稿画像を光学的に読み取り、その像を電気信号に変換して画像データを作成する。レーザ露光部102は、画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)に入射させ、反射走査光として感光ドラムに照射する。
【0020】
作像部103は、感光ドラムを回転駆動し、帯電器によって帯電させると共に、レーザ露光部102によって感光ドラム上に形成された潜像をトナーによって現像化する。そして、トナー像をシートに転写し、転写されずに感光ドラム上に残った微小トナーを回収する。この一連の電子写真プロセスを実行して作像する際に、シートが転写ベルトの所定位置に巻きつき、4回転する間に、現像ユニット(現像ステーション)が入れ替わりで順次この電子写真プロセスを繰り返し実行する。ここで、現像ユニットは、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーを持つ。そして、4回転の後、4色のフルカラートナー像が転写されたシートは転写ドラムを離れ、定着部104へ搬送される。
【0021】
定着部104は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、作像部103によってトナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。
【0022】
給紙/搬送部105は、シートカセットやペーパーデッキに代表されるシート収納庫を一つ以上備え、プリンタ制御部の指示に応じてシート収納庫に収納された複数のシートの中から一枚を分離し、作像部103、定着部104へ搬送する。シートは作像部103の転写ドラムに巻きつけられ、4回転した後に定着部104へ搬送される。4回転する間に上述したYMCK各色のトナー像がシートに転写される。また、シートの両面に画像形成する場合は、定着部104を通過したシートを再度作像部103へ搬送する両面搬送経路を通るように制御する。
【0023】
プリンタ制御部は、複合機全体を制御するコントロールユニットと通信し、その指示に応じて制御を実行する。また、上述したスキャナ部101、レーザ露光部102、作像部103、定着部104、給紙/搬送部105の各部の状態を管理しながら、全体が調和を保って円滑に動作できるよう指示を行う。
【0024】
<コントロールユニットの構成>
図3は、画像形成装置10におけるコントロールユニット(コントローラ)の一構成例を示すブロック図である。コントロールユニット200は、画像入力デバイスであるスキャナ201や画像出力デバイスであるプリンタエンジン202と接続し、画像データの読み取りやプリント出力のための制御を行う。また、コントロールユニット200は、LANや公衆回線204と接続することで、画像情報やデバイス情報をネットワーク経由で入出力するためのユニットでもある。
【0025】
コントロールユニット200において、CPU205は、システム全体を制御するための中央処理装置である。RAM206は、CPU205が動作するためのシステムワークメモリであり、入力された画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM207は、ブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD208は、ハードディスクドライブであり、各種処理のためのシステムソフトウェア及び入力された画像データや後述する文書データなどを格納する。
【0026】
操作部I/F209は、画像データなどを表示可能な表示画面を有する操作部210に対するインタフェースであり、操作部210に対して画像データを出力する。また、操作部I/F209は、操作部210から操作者(即ち、カラー複合機の使用者)が入力した情報をCPU205に伝える。更に、ネットワークI/F211は、例えばLANカードで実現され、LAN10に接続して外部装置との間で情報の入出力を行う。また、モデム212は公衆回線204に接続して外部装置との間で情報の入出力を行う。以上の各デバイスがコントロールユニット200のシステムバス213上に配置されている。
【0027】
次に、イメージバスI/F214は、システムバス213と後述する画像バス215とを接続するインタフェースであり、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス215は、画像データを高速に転送するバスであり、PCIバス又はIEEE1394で構成される。この画像バス215上には、後述するRIP216、デバイスI/F217、スキャナ画像処理218、プリンタ画像処理219、画像編集用画像処理部220、CMM230といったデバイスが接続される。
【0028】
RIP(ラスタイメージプロセッサ)216は、ディスプレイリスト(DL)を解釈し、ラスタイメージ及びラスタイメージの各ピクセルに対応する属性情報(属性ビット)を作成(レンダリング)する。デバイスI/F217は、スキャナ201及びプリンタエンジン202とコントロールユニット200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0029】
また、スキャナ画像処理218は、入力画像データに対して、補正、加工、編集などの各種処理を行う。プリンタ画像処理219は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等の処理を行う。画像編集用画像処理部220は、画像データの回転や画像データの圧縮伸長処理、RIP216の生成した属性ビットに基づく各種画像処理を行う。CMM(カラーマネージメントモジュール)230は、画像データに対して、プロファイルやキャリブレーションデータに基づいて色変換処理を施す専用ハードウェアモジュールである。
【0030】
ここで、プロファイルとは、機器に依存した色空間で表現したカラー画像データを機器に依存しない色空間(例えば、Labなど)に変換するための関数のような情報である。キャリブレーションデータとは、スキャナ201やプリンタエンジン202の色再現特性を修正するためのデータである。
【0031】
<操作部210の構成>
次に、画像形成装置10における操作部210の構成を、図4、図5を用いて説明する。図4に示すように、操作部210は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を有する。
【0032】
また、キー入力部402は、図5に示すように、操作部電源スイッチ501を有する。操作部電源スイッチ501のユーザ操作に応答して、CPU205がスタンバイモードとスリープモードを選択的に切り替えるように制御する。但し、スタンバイモードは、通常動作状態であり、スリープモードは、ネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止し、消費電力を抑えている状態である。そして、CPU205は、操作部電源スイッチ501のユーザ操作を、システム全体への電源供給を行うための主電源スイッチ(不図示)がON状態で受付可能に制御する。
【0033】
スタートキー503は、処理対象となる印刷ジョブのコピー動作や送信動作などユーザにより指示された種類の印刷ジョブの処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にするためのキーである。またストップキー502は、受け付けた印刷ジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にするためのキーである。
【0034】
テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にするためのキーである。クリアキー507は、テンキー506を介してユーザにより設定された置数などの各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象の印刷ジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、また設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受け付けるためのキーである。ユーザモードキー505は、ユーザ毎のシステム設定画面に移行するためのキーである。
【0035】
<印刷ジョブ、レコード、ページの関係>
ここで、画像形成装置10における印刷ジョブ、レコード、ページの関係を、階層的に示す図6を用いて説明する。ここで印刷ジョブ601は、複数のレコード602を持つ。このレコード602の基となるレコード情報はファイルサーバ30に格納されている。
【0036】
各レコード602は一枚以上のページ603を含む。ここで、各レコード602に含まれるページ数は必ずしも同一ページ数である必要はなく、各レコード602で指示される印刷内容によって異なる場合もある。
【0037】
<画像形成装置10が処理対象とするデータ>
画像形成装置10が処理対象とするデータには、描画命令などを含むPDLデータと、印刷設定などを含むジョブチケットとが含まれる。このPDLの一例としては、PPML、PDF/VTなどがある。
【0038】
図7及び図8は、PDLデータの一種であるPPMLデータの一例を示す抜粋である。図7に示す例では、PPMLデータと共に送られてくるtiger.pdfが、識別情報GLOBALID_0001を持つグローバルリユーザブルオブジェクトとして画像形成装置10に登録される。図8に示す例では、識別情報GLOBALID_0001を持つグローバルリユーザブルオブジェクトが画像形成装置10から抽出され、ジョブ内の所定のページにレイアウトされる。PPMLの仕様の詳細については、その説明を省略する。尚、画像形成装置10が処理対象とするPDLデータは図7及び図8に示した形態に限定されないことはいうまでもない。
【0039】
<ミスヒットオブジェクト管理テーブル901の構成>
次に、画像形成装置10が待機ジョブと不足オブジェクトの関連を管理するために保持しているミスヒットオブジェクト管理テーブル901の構成を、図9を用いて説明する。ミスヒットオブジェクト管理テーブル901には、待機ジョブ902と不足オブジェクト903とが関連付904によって関連付けられて保持される。つまり、関連付904は、待機ジョブ902と不足オブジェクト903とを関連付け、待機ジョブ902が関連付けられた不足オブジェクト903が全て登録されることで印刷可能になることを示している。図9に示す例では、待機ジョブJOB−1は、オブジェクト識別情報GLOBALID_0001を持つ不足オブジェクトのみと関連付けられており、このオブジェクトの登録によって印刷可能になることを示している。
【0040】
<印刷処理>
次に、本実施形態における印刷処理を、図10を用いて説明する。まず、S101で、CPU205はネットワーク50経由で送信された印刷ジョブ(PPMLデータとする)をネットワークI/F211経由で受信し、HDD208に格納する。そして、S102で、CPU205はPPMLデータの解析を開始する。
【0041】
次に、S103で、CPU205はPPMLデータ内にRIP済でないオブジェクトが存在するか否かを判定する。PPMLデータ内にRIP済でないオブジェクトが存在する場合はS104へ進む。このS104で、CPU205はRIP済でないオブジェクトがデータ内又はHDD208内に存在するか否かを判定する。ここで、RIP済でないオブジェクトがデータ内又はHDD208内に存在する場合はS105へ進み、CPU205は存在したRIP済でないオブジェクトをRIPする。そして、この処理が終了すると、S103に戻り、残りのRIPされていないオブジェクトの処理を行う。
【0042】
また、S104で、データ内及びHDD208内にRIP済でないオブジェクトが存在しなかった場合は、RIP済でないオブジェクトを不足オブジェクトと認定し、S106へ進む。S106では、CPU205は不足オブジェクトがグローバルリユーザブルオブジェクトであるか否かを判定する。判定の結果、不足オブジェクトがグローバルリユーザブルオブジェクトである場合はS107へ進む。このS107で、CPU205はフラグ[ミスヒット]をTRUEにセットする。フラグ[ミスヒット]は、印刷ジョブがデータ内及びHDD208内に存在しないグローバルリユーザブルオブジェクトを参照しているか否かを示すフラグであり、印刷処理開始時点ではFALSEにセットされている。
【0043】
次に、S108で、CPU205は印刷ジョブの識別情報とオブジェクトの識別情報を関連付けてミスヒットオブジェクト管理テーブル901に登録する。S109で、CPU205は不足オブジェクトの代替オブジェクトをRIPする。代替オブジェクトの一例を、図12に示す。図12に示すように、代替オブジェクトには、不足オブジェクトをオペレータが特定するのに必要な情報がヒント情報として埋め込まれている。
【0044】
この例では、不足オブジェクトの識別情報、ファイル名、サイズ、ジョブ、レコード・ページの情報などがヒント情報として代替オブジェクトに埋め込まれている。この処理で、代替オブジェクトにヒント情報を埋め込むことにより、オペレータが不足オブジェクトを特定することが容易になり、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることが可能となる。尚、代替オブジェクトには、CPU205が識別可能な形式で、不足オブジェクトの識別情報が関連付けられている。そして、RIP処理が終了すると、S103に戻り、残りのRIPされていないオブジェクトの処理を行う。
【0045】
また、上述のS106で、不足オブジェクトがグローバルリユーザブルオブジェクトでなかった場合はS110へ進み、CPU205はエラー処理を行う。このエラー処理は、オペレータへのエラー通知や印刷ジョブの終了処理などを含む。
【0046】
尚、印刷ジョブを終了させず、印刷ジョブを待機状態にしてオペレータによる不足オブジェクトの投入を受け付け可能に構成してもよい。エラー処理は、本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。エラー処理が終了すると、CPU205はこの処理を終了する。
【0047】
上述のS104〜S109までの処理により、全てのオブジェクトのRIPが完了すると、S103で「NO」、PPMLデータ内にRIP済でないオブジェクトが存在しないと判定されてS111へ進み、PPMLデータの解析を終了する。そして、S112で、CPU205はフラグ[ミスヒット]がTRUEであるか否かを判定する。判定の結果、フラグ[ミスヒット]がTRUEでない場合はS113に進み、CPU205はプリンタエンジン202を用いて、通常の印刷処理を行う。印刷処理は、本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。印刷処理が終了すると、CPU205はこの処理を終了する。
【0048】
一方、S112で、フラグ[ミスヒット]がTRUEであった場合はS114へ進み、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901から、印刷ジョブに関連付けられた不足オブジェクトの一覧を取得する。そして、S115で、CPU205は操作部210にエラーの内容を表示すると共に、オペレータに処理の選択を促す。ここで操作部210に表示されるUIの一例を図13に示す。
【0049】
次に、オペレータが操作部210を介して処理を選択すると、S116へ進み、CPU205はオペレータが選択した処理が「あとで印刷する」であるか否かを判定する。判定の結果、オペレータが選択した処理が「あとで印刷する」である場合はS117に進み、CPU205はプリンタエンジン202を用いて不足オブジェクト一覧を出力する。
【0050】
ここで出力される不足オブジェクト一覧の一例を図14に示す。図14に示すように、不足オブジェクト一覧には、不足オブジェクトをオペレータが特定するのに必要な情報がヒント情報として印刷されている。本実施形態では、ジョブ、オブジェクトの識別情報、ファイル名、サイズ、レコード・ページの情報などがヒント情報として代替オブジェクトに印刷されている。ここで、不足オブジェクト一覧にヒント情報を印刷することにより、オペレータが不足オブジェクトを特定することが容易になり、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることが可能となる。
【0051】
次に、S118で、CPU205はプリンタエンジン202を用いて印刷ジョブのサムネイルを出力する。ここで出力されるサムネイルの一例を、図15に示す。図15に示すように、サムネイルには、S109でRIPされた代替オブジェクトが、不足オブジェクトが描画されるべき領域に描画されている。サムネイルの出力により、オペレータが代替オブジェクトの描画領域及び代替オブジェクトに埋め込まれたヒント情報から不足オブジェクトを特定することが容易になる。これにより、オペレータの再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることが可能となる。そして、S119で、CPU205は印刷ジョブを待機ジョブとしてHDD208に格納し、この処理を終了する。
【0052】
また、上述のS116で、オペレータが選択した処理が「あとで印刷する」でなかった場合はS120へ進み、CPU205はその他の処理を行う。その他の処理は、不足オブジェクトを含むページやレコードをスキップさせて印刷を続行するスキップ印刷処理や、印刷ジョブのキャンセル処理などを含む。その他の処理は、本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。その他の処理が終了すると、CPU205はこの処理を終了する。
【0053】
以上の処理により、印刷ジョブで指定されたリソースがデータ内又はHDD208内に存在しない場合、その印刷ジョブを待機ジョブとしてHDD208に格納する。これにより、指定されたリソースが装置内に存在しない場合に、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、不足しているリソースのみを登録すれば印刷が開始できるため、オペレータによる再投入の負荷を軽減し、スループットを向上させることができる。
【0054】
更に、存在するリソースについては、全てRIPした状態でHDD208に格納する。これにより、不足しているリソースが登録された際に、印刷ジョブ全体をRIP処理する必要がなくなり、そのリソースのみをRIPすることにより高速に印刷を開始することができる。従って、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0055】
また、リソースが存在しない場合に出力するエラー通知、不足オブジェクト一覧、サムネイルに、不足オブジェクトをオペレータが特定する補助となるヒント情報を表示する。そして、サムネイルの不足オブジェクトが描画されるべき領域に代替オブジェクトを描画する。これにより、オペレータが代替オブジェクトの描画領域や代替オブジェクトに埋め込まれたヒント情報から、不足オブジェクトを特定することが容易になり、オペレータの再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることが可能となる。
【0056】
<グローバルリユーザブルオブジェクト登録処理>
次に、本実施形態におけるグローバルリユーザブルオブジェクトの登録処理を、図11を用いて説明する。まず、S201で、CPU205はネットワーク50経由で送られてくるデータをネットワークI/F211経由で受信する。そして、S202で、CPU205は受信したデータに含まれるグローバルリユーザブルオブジェクトをRIPする。
【0057】
次に、S203で、CPU205はグローバルリユーザブルオブジェクトをHDD208に格納する。尚、グローバルリユーザブルオブジェクトには、CPU205が識別可能な形式で、データ内で指定されたオブジェクト識別情報が関連付けられている。
【0058】
次に、S204で、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901に、そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されているか否かを判定する。この処理は、新しく登録されたグローバルリユーザブルオブジェクトのオブジェクト識別情報と不足オブジェクトのオブジェクト識別情報とが一致すれば、そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されていると判定する処理である。
【0059】
そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されていない場合は、このグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。また、そのオブジェクトが不足オブジェクトとして登録されている場合はS205へ進む。このS205で、CPU205はその不足オブジェクトに関連する待機ジョブをHDD208から順次展開し、待機ジョブに含まれる代替オブジェクトを新しく登録されたグローバルリユーザブルオブジェクトと差し替える。
【0060】
次に、S206で、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901から、その不足オブジェクトを削除する。そして、S207で、CPU205は新しく印刷可能になった待機ジョブが存在するか否かを判定する。この処理は、S206でミスヒットオブジェクト管理テーブル901に登録されている待機ジョブが、何れの不足オブジェクトとも関連付けされていない場合に、そのジョブが新しく印刷可能になったと判定する処理である。
【0061】
判定した結果、新しく印刷可能になった待機ジョブが存在しない場合は、グローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。一方、新しく印刷可能になった待機ジョブが存在する場合はS208へ進み、CPU205はミスヒットオブジェクト管理テーブル901から、新しく印刷可能になった待機ジョブを削除する。
【0062】
次に、S209で、CPU205は印刷可能になった待機ジョブの一覧をオペレータに通知する。ここでは、操作部210に印刷可能になった待機ジョブの一覧を表示すると共に、オペレータに処理の選択を促す。操作部210に表示されるUIの一例を図16に示す。尚、印刷可能になった待機ジョブの一覧の通知は、これだけに限られず、例えば印刷可能になった待機ジョブの一覧を印刷出力することによって行ってもよい。
【0063】
ここで画像形成装置10にリソースが登録された場合、HDD208に格納されている待機ジョブの中で、新しく印刷可能になった待機ジョブの一覧がオペレータに通知される。これにより、オペレータがリソースの登録によって印刷可能になった待機ジョブを容易に知ることができ、再印刷時のオペレータの負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0064】
S209で、オペレータが操作部210を介して処理を選択すると、S210へ進み、CPU205はオペレータが選択した処理が「印刷開始」であるか否かを判定する。オペレータが選択した処理が「印刷開始」である場合はS211へ進み、CPU205はプリンタエンジン202を用いて、選択されたジョブの印刷処理を行う。印刷処理は本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。印刷処理が終了すると、CPU205はグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。
【0065】
また、上述のS210で、オペレータが選択した処理が「印刷開始」でなかった場合はS212へ進み、CPU205はその他の処理を行う。その他の処理は本発明を説明する限りにおいては重要でないため、詳細な説明は省略する。そしてその他の処理が終了すると、CPU205はグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を終了する。
【0066】
以上の処理により、画像形成装置10にリソースが登録されると、HDD208に格納されている待機ジョブの中で、新しく印刷可能になった待機ジョブの一覧をオペレータに通知する。これにより、オペレータがリソースの登録によって印刷可能になった待機ジョブを容易に知ることができ、再印刷時のオペレータの負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0067】
また、画像形成装置10は、新しく登録されたリソースのみをRIP処理して、HDD208に格納されている印刷ジョブ内の代替オブジェクトと差し替えて印刷を開始する。これにより、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、新しく登録されたリソースのみをRIP処理すれば印刷が開始できるため、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0068】
尚、本実施形態において、印刷処理とグローバルリユーザブルオブジェクト登録処理とは別個に行うように構成したが、本発明はこれだけに限らない。例えば、PPMLの中にグローバルリユーザブルオブジェクトが含まれていた場合、グローバルリユーザブルオブジェクト登録処理を続けて行うようにしてもよい。PPML中にグローバルリユーザブルオブジェクトが含まれていた場合には、PPMLデータの印刷処理の後、新しく印刷可能になったジョブの一覧を通知するなどの構成が考えられる。
【0069】
また、本実施形態において、不足オブジェクトの一覧やサムネイルを自動的に出力するように構成したが、オペレータの指示により任意のタイミングで不足オブジェクトの一覧やサムネイルを出力可能に構成してもよい。
【0070】
本実施形態によれば、印刷ジョブで指定されたリソースが装置内に存在しない場合に、印刷ジョブを装置内に格納し、その印刷ジョブと不足しているリソースの識別情報とを関連付けて管理することができる。これにより、印刷ジョブで指定されたリソースが装置内に存在しない場合、印刷ジョブ全体を再投入する必要がなくなり、不足しているリソースのみを投入すれば印刷が開始できる。これにより、オペレータによる再投入の負荷を軽減でき、スループットを向上させることができる。
【0071】
[他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置であって、
印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する判定手段と、
前記オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、前記印刷ジョブを前記オブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する格納手段と、
前記待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて前記オブジェクトを装置に登録する登録手段とを有し、
前記オブジェクトの登録が行われると、前記格納された待機ジョブの印刷を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段によって存在しないと判定されたオブジェクトの識別情報の一覧を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記待機ジョブで前記判定手段によって存在しないと判定されたオブジェクトが描画されるべき領域に代替のデータを描画したサムネイルを出力する手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記待機ジョブが印刷可能となった際に、印刷可能な待機ジョブの一覧を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置の処理方法であって、
判定手段が、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する判定工程と、
格納手段が、前記オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、前記印刷ジョブを前記オブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する格納工程と、
登録手段が、前記待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて前記オブジェクトを装置に登録する登録工程とを有し、
前記オブジェクトの登録が行われると、前記格納された待機ジョブの印刷を開始することを特徴とする画像形成装置の処理方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置であって、
印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する判定手段と、
前記オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、前記印刷ジョブを前記オブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する格納手段と、
前記待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて前記オブジェクトを装置に登録する登録手段とを有し、
前記オブジェクトの登録が行われると、前記格納された待機ジョブの印刷を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段によって存在しないと判定されたオブジェクトの識別情報の一覧を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記待機ジョブで前記判定手段によって存在しないと判定されたオブジェクトが描画されるべき領域に代替のデータを描画したサムネイルを出力する手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記待機ジョブが印刷可能となった際に、印刷可能な待機ジョブの一覧を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷ジョブで指定されたオブジェクトを登録する画像形成装置の処理方法であって、
判定手段が、印刷ジョブで指定されたオブジェクトが装置内に存在するか否かを判定する判定工程と、
格納手段が、前記オブジェクトが装置内に存在しないと判定された場合、前記印刷ジョブを前記オブジェクトの識別情報と関連付けて待機ジョブとして格納する格納工程と、
登録手段が、前記待機ジョブに関連付けられたオブジェクトの識別情報に基づいて前記オブジェクトを装置に登録する登録工程とを有し、
前記オブジェクトの登録が行われると、前記格納された待機ジョブの印刷を開始することを特徴とする画像形成装置の処理方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図15】
【公開番号】特開2012−83921(P2012−83921A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229036(P2010−229036)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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