説明

画像形成装置及びプレ転写チャージャの清掃方法

【課題】プレ転写チャージャの汚れの有無を検出することができる画像形成装置、及びプレ転写チャージャの清掃方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、記憶部202、プレ転写チャージャ7、及び制御部200を備える。制御部200は、清掃判断モードの実行指示を受け付けると、記憶部202に格納された清掃用画像データ203を用いてトナー像を感光体ドラム3Aに形成する(S11〜S13)。制御部200は、トナー像を中間転写ベルト61に一次転写して(S14)、中間転写ベルト61上に形成されるトナー像の形成領域の全域にトナー像を形成する。制御部200は、プレ転写チャージャ7に印加電圧を印加して(S15)、トナー像を用紙Sに二次転写し(S16)、プレ転写チャージャ7に印加している印加電圧を停止して(S17)、引き続きトナー像を用紙Sに二次転写する(S18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プレ転写チャージャを備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、像担持体、一次転写体、中間転写体、プレ転写チャージャ、及び二次転写体を備え、用紙に電子写真方式の画像形成処理を行うものがある。像担持体の表面には、画像データを用いて静電潜像が形成され、静電潜像がトナーによって現像化されてトナー像が形成される。一次転写体は、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する。プレ転写チャージャは、用紙の搬送方向と直交するように配置され、トナー像の帯電極性と同極性の印加電圧を中間転写体に印加してトナー像の帯電極性を安定させる。二次転写体は、中間転写体からトナー像を用紙に二次転写する。
【0003】
特許文献1に記載の画像読取装置は、画像形成処理時にトナー像の帯電極性と同極性の印加電圧をプレ転写チャージャによって中間転写体に印加し、非画像形成処理時にトナー像の帯電極性と逆極性の印加電圧を中間転写体にプレ転写チャージャによって印加することで、トナー像の帯電極性を安定させて二次転写効率を向上させるとともに、次の用紙の画像形成処理時における汚れの原因となる残留トナーが二次転写体に付着しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−14995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置は、プレ転写チャージャに残留トナーが付着すると、残留トナーが付着した箇所に対応する中間転写体上に形成されたトナー像の帯電極性を安定させることができない。トナー像の帯電極性が安定していない箇所は、トナー像が転写されずに、画像形成処理後の用紙に白スジが形成される。白スジを視認し難いため、プレ転写チャージャが汚れていることに気がつかないことが多い。
【0006】
この発明の目的は、プレ転写チャージャの汚れの有無を検出することができる画像形成装置、及びプレ転写チャージャの清掃方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の画像形成装置は、中間転写体の移動方向に沿って、画像データを用いて像担持体上に形成されたトナー像を前記中間転写体に一次転写する一次転写体、及び中間転写体からトナー像を用紙に二次転写する二次転写体が配置された電子写真方式の画像形成装置であって、プレ転写チャージャ、記憶部、及び制御部を備える。
【0008】
プレ転写チャージャは、移動方向において一次転写体の下流側で且つ二次転写体の上流側に配置され、一次転写した後で且つ二次転写する前に、移動方向に直交する直交方向に沿って中間転写体を帯電する。記憶部は、中間転写体の直交方向における画像形成領域の全域に清掃用トナー像を形成するための清掃用画像データを記憶する。制御部は、プレ転写チャージャの清掃の有無を判断する清掃判断モードの実行指示を受け付けると、プレ転写チャージャに印加電圧を印加した状態で清掃用トナー像を中間転写体から用紙に二次転写する第1印加制御、及びプレ転写チャージャへの印加電圧の印加を停止した状態で清掃用トナー像を中間転写体から用紙に二次転写する第2印加制御を行う。
【0009】
この構成では、制御部は、プレ転写チャージャへ印加電圧を印加した状態と、印加電圧の印加を停止した状態とのそれぞれで、中間転写体の直交方向における画像形成領域の全域に形成した清掃用トナー像を中間転写体から用紙に二次転写する。
【0010】
この構成において、清掃用画像データは、ドットパターンの画像データであることが好ましい。
【0011】
これにより、均一の濃度で用紙に画像を形成することができため、白スジを容易に認識することができる。
【0012】
また、原稿から画像を読み取る画像読取部と、プレ転写チャージャを清掃する清掃部材と、清掃部材を直交方向に往復移動させる移動部と、をさらに備え、制御部はプレ転写チャージャの清掃を実行する清掃実行モードの実行指示を受け付けると、画像読取部が読み取った画像から、第1印加制御によって形成された画像及び第2印加制御によって形成された画像を取得して比較して、相違箇所を判別し、移動部に清掃部材を移動させて、相違箇所に該当するプレ転写チャージャの箇所を清掃する構成であることが好ましい。
【0013】
この構成では、制御部は、プレ転写チャージャの清掃を実行する清掃実行モードの実行指示を受け付けると、清掃判断モードの実行により排紙した用紙から画像読取部によって画像を読み取る。制御部は、読み取った画像から第1印加制御によって形成された画像と第2印加制御によって形成された画像を取得して比較し、相違箇所を判別する。制御部は、プレ転写チャージャの汚れに起因して相違箇所が画像に生じるため、相違箇所に該当するプレ転写チャージャの箇所を清掃部材によって清掃する。
【0014】
これにより、制御部は、清掃判断モードの実行により排紙した用紙からプレ転写チャージャの汚れの有無を自動で判断することができ、汚れている箇所のみを清掃することができる。この結果、プレ転写チャージャの清掃を効果的に行うことができ、さらに清掃部材の消耗を低減することができる。
【0015】
また、清掃用画像データは、直交方向に目盛を形成するための目盛データを含むことが好ましい。
【0016】
この構成では、制御部は、プレ転写チャージャへ印加電圧を印加した状態、及び印加電圧の印加を停止した状態のそれぞれのトナー像と、目盛とを用紙に二次転写する。
【0017】
これにより、白スジが形成されている箇所がプレ転写チャージャのどの箇所に該当するかをより容易に判断することができる。
【0018】
この発明のプレ転写チャージャの清掃方法は、第1〜第4ステップを行う。第1ステップでは、プレ転写チャージャの清掃の有無を判断する清掃判断モードの実行指示を受け付けると、中間転写体の移動方向に直交する直交方向における画像形成領域の全域に清掃用トナー像を形成するための清掃用画像データを用いて像担持体上に清掃用トナー像を形成し、清掃用トナー像を像担持体から中間転写体へ一次転写する。第2ステップでは、プレ転写チャージャに印加電圧を印加した状態で、清掃用トナー像を中間転写体から用紙に二次転写する。第3ステップでは、プレ転写チャージャへの印加電圧の印加を停止した状態で、清掃用トナー像を中間転写体から用紙に二次転写する。第4ステップでは、第2ステップ及び第3ステップによって画像形成処理が行われた用紙を排紙する。
【0019】
この構成では、清掃判断モードの実行指示を受け付けると、記憶部に記憶している清掃用画像データを用いて、中間転写体の直交方向における画像形成領域の全域に清掃用トナー像を中間転写体上に形成する。そして、プレ転写チャージャへ印加電圧を印加した状態と、印加電圧の印加を停止した状態とのそれぞれで、当該清掃用トナー像を中間転写体から用紙に二次転写して、当該用紙を排紙する。
【0020】
この構成において、第5〜第7ステップをさらに備える。第5ステップでは、プレ転写チャージャの清掃を実行する清掃実行モードの実行指示を受け付けると、第4ステップにおいて排紙した用紙から画像読取部によって画像を読み取る。第6ステップでは、画像読取部が読み取った画像から第2ステップによって形成された画像及び第3ステップによって形成された画像を取得して比較し、相違箇所を判別する。第7ステップでは、相違箇所に該当するプレ転写チャージャの箇所にプレ転写チャージャの清掃部材を移動して清掃する。
【0021】
この構成では、清掃判断モードの実行により排紙した用紙から画像を読み取る。そして、読み取った画像から第2ステップで形成された画像と第3ステップで形成された画像を取得して比較し、相違箇所を判別する。相違箇所に該当するプレ転写チャージャの箇所を清掃部材によって清掃する。
【0022】
これにより、清掃判断モードの実行により排紙した用紙からプレ転写チャージャの汚れの有無を自動で判断することができ、汚れている箇所のみを清掃することができる。この結果、プレ転写チャージャの清掃を効果的に行うことができ、さらに清掃部材の消耗を低減することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の画像形成装置、及びプレ転写チャージャの清掃方法は、排紙された用紙から容易にプレ転写チャージャの汚れの有無を検出ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略の正面図である。
【図2】同画像形成装置が備えるプレ転写チャージャの模式図である。
【図3】同画像形成装置の一部の機能を示すブロック図である。
【図4】同画像形成装置における清掃判断モードの実行処理を示すフローチャートである。
【図5】同画像形成装置における清掃判断モードの実行後に排紙する用紙の一例である。
【図6】同画像形成装置における清掃実行モードの処理を示すフローチャートである。
【図7】同画像形成装置における清掃処理を示すフローチャートである。
【図8】図8(A)は、同画像形成装置が備えるプレ転写チャージャにおいて清掃パッドがホームポジションに位置する場合を示す。図8(B)は、清掃パッドが終了位置に位置する場合を示す。図8(C)は、清掃パッドが開始位置に位置する場合を示す。
【図9】同画像形成装置における清掃判断モードの実行後に排紙する用紙の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、画像形成装置100は、給紙部80、画像読取部90、及び画像形成部110を備え、原稿から読み取った画像データを用いて、記録媒体である用紙に電子写真方式による多色又は単色の画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、外部装置から入力される画像データに基づく画像形成処理を行うものであってもよい。
【0026】
画像読取部90は、上面に原稿台92,93を備えている。画像読取部90の上面には、載置トレイ121に載置された原稿を搬送する自動原稿搬送装置120が背面側端部を支軸に開閉自在に装着されている。画像読取部90は、自動原稿搬送装置120の搬送によって原稿台93上を通過する原稿、又はオペレータによる自動原稿搬送装置120の開閉を伴う手動操作によって原稿台92上に載置された原稿から画像データを読み取る。
【0027】
画像形成部110は、露光ユニット1、画像形成ユニット10A〜10D、中間転写ユニット60、二次転写ユニット(本発明の二次転写体に相当する。)30、定着ユニット70を備えている。
【0028】
画像形成ユニット10Aは、現像器2A、感光体ドラム(本発明の像担持体に相当する。)3A、クリーナユニット4A、帯電器5Aを備え、ブラック(Bk)の画像を形成する。帯電器5Aは、感光体ドラム3Aの表面を所定の電位に均一に帯電させる。現像器2Aは、露光ユニット1の露光によって感光体ドラム3A上に形成された静電潜像を、Bkのトナー像に顕像化する。クリーナユニット4Aは、感光体ドラム3Aの周面に残留したトナーを回収する。画像形成ユニット10B〜10Dは、画像形成ユニット10Aと同様に構成されており、それぞれシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のトナー像を感光体ドラム3B〜3Dの表面に形成する。
【0029】
露光ユニット1は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射ミラー等の光学系部品を備えたレーザスキャニングユニットである。露光ユニット1は、Bk、C、M、Yのそれぞれの画像データで変調されたレーザ光のそれぞれで画像形成ユニット10A〜10Dの感光体ドラム3A〜3Dの表面を軸方向に沿って露光走査し、静電潜像を形成する。
【0030】
中間転写ユニット60は、中間転写ベルト(本発明の中間転写体に相当する。)61、駆動ローラ62、従動ローラ63、一次転写ローラ(本発明の一次転写体に相当する。)64A〜64D、クリーニングユニット65、プレ転写チャージャ7、及び対向ローラ66を有する。中間転写ベルト61は、駆動ローラ62、従動ローラ63、及び対向ローラ66に張架され、画像形成ユニット10D,10C,10B,10Aをこの順に通過する循環経路に沿って移動する。一次転写ローラ64A〜64Dのそれぞれは、中間転写ベルト61を挟んで感光体ドラム3A〜3Dに対向して配置されており、感光体ドラム3A〜3Dの周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト61の表面に一次転写する。
カラー画像形成処理時には、中間転写ベルト61が循環経路に沿って移動する間に、Y,M,C,Bkのトナー像が中間転写ベルト61の表面に順次重ね合わせて転写される。モノクロ画像形成処理時には、中間転写ベルト61が循環経路に沿って移動する間に、Bkのトナー像のみが中間転写ベルト61の表面に転写される。
【0031】
プレ転写チャージャ7は、コロナ放電器であり、中間転写ベルト61の循環経路に沿う移動方向において、感光体ドラム3Aの下流側で且つ二次転写ユニット30の上流側に配置される。プレ転写チャージャ7は、二次転写に先立って、トナーと同極性の電荷を中間転写ベルト61上のトナー像に付与する。対向ローラ66は、中間転写ベルト61の循環経路に沿う移動方向において、一次転写ローラ64Dの下流側で且つ駆動ローラ62の上流側に配置される。プレ転写チャージャ7と対向ローラ66とは、それぞれ中間転写ベルト61を挟んで対向する位置に配置される。
【0032】
二次転写ユニット30は、二次転写ローラ31及び二次転写ベルト32を備えている。二次転写ベルト32は、複数のローラに張架され、所定の循環経路に沿って移動する。二次転写ローラ31は、二次転写ベルト32及び中間転写ベルト61を挟んで駆動ローラ62に対向するように配置されている。二次転写ユニット30は、中間転写ベルト61の表面のトナー像を、中間転写ベルト61と二次転写ベルト32との間の二次転写位置に搬送された用紙へ二次転写する。二次転写後の中間転写ベルト61の表面に残留したトナーは、クリーニングユニット65によって回収される。
【0033】
定着ユニット70は、二次転写位置を通過してトナー像が転写された用紙を加熱及び加圧する。用紙に転写されたトナー像が、用紙の表面に堅牢に定着する。定着ユニット70を通過した用紙は、画像形成部110の上方に配置された排紙トレイ91に排出される。
【0034】
給紙部80は、給紙カセット81及び手差しトレイ82を備えている。給紙カセット81は、画像形成処理に使用する複数枚の用紙を収納しており、露光ユニット1の下側に設けられている。手差しトレイ82は、画像形成装置100の側面に装備されている。給紙部80は、給紙カセット81又は手差しトレイ82から用紙を1枚ずつ用紙搬送路40に給紙する。用紙搬送路40は、給紙部80から中間転写ベルト61と二次転写ユニット30との間及び定着ユニット70を経由して排紙トレイ91に至る間に形成されている。
【0035】
図2に示すように、プレ転写チャージャ7は、筐体51、コロナワイヤ52、清掃部材53、ホームポジション検知センサ54、エンコーダ55、モータ56、及びウォームギア57を備える。
【0036】
筐体51は、直方形状からなり、上面に開口部511が形成されている。筐体51は、長手方向が対向ローラ66の軸方向に一致し、開口部511が中間転写ベルト61の表面に対向するように配置される。筐体51は、長手方向にコロナワイヤ52を張架している。コロナワイヤ52は、タングステンワイヤに金メッキが施された放電ワイヤである。コロナワイヤ52は、直流電源が接続されており、3.5〜8kVの電圧が印加される。好ましくは4.0〜5.5kVの電圧が印加され、この時の電流値が300〜1000μAである。コロナワイヤ52の放電領域は、対向ローラ66の軸方向において、中間転写ベルト61上に転写されるトナー像の形成面を含む領域に一致する。
【0037】
以下、対向ローラ66の軸方向におけるコロナワイヤ52の両端の位置をそれぞれホームポジションP及びリターンポジションQとする。ホームポジションPは画像形成装置100の正面側に位置し、リターンポジションQは画像形成装置100の背面側に位置する。
【0038】
清掃部材53は、搬送スクリュー531と清掃パッド532とから構成される。搬送スクリュー531は、螺旋状の棒であり、コロナワイヤ52と平行に配置されている。搬送スクリュー531は、自身の回転に伴って、長手方向に移動するように清掃パッド532が取り付けられている。
【0039】
清掃パッド532は、コロナワイヤ52によって貫通されており、コロナワイヤ52の外周面を囲う。清掃パッド532は、非清掃時においてホームポジションPに位置する。清掃パッド532は、搬送スクリュー531の正回転に伴って、ホームポジションPからリターンポジションQへ向かう方向に移動し、搬送スクリュー531の逆回転に伴って、リターンポジションQからホームポジションPへ向かう方向に移動する。
【0040】
ホームポジション検知センサ54は、清掃パッド532がホームポジションPに位置することを検知する。
【0041】
エンコーダ55は、例えば、平行方向の移動を計測するリニアエンコーダであり、ホームポジションPからの清掃パッド532の移動距離を計測する。
【0042】
モータ56は、正逆回転可能であり、ウォームギア57に回転を供給する。
【0043】
ウォームギア57は、ウォーム571及びウォームホイル572から構成される。ウォーム571は、モータ56からの回転を減速してウォームホイル572に伝達し、ウォームホイル572は、回転を搬送スクリュー531に伝達する。ウォームギア57は、モータ56から正回転が供給されると、搬送スクリュー531に正回転を伝達し、モータ56から逆回転が供給されると、搬送スクリュー531に逆回転を伝達する。
【0044】
以上より、清掃パッド532は、モータ56の正回転時にホームポジションPからリターンポジションQへ向かう方向に移動し、モータ56の逆回転時にリターンポジションQからホームポジションPへ向かう方向に移動する。
【0045】
図3に示すように、画像形成装置100は、給紙部80、画像読取部90、及び画像形成部110の他に、操作部201、記憶部202、及び制御部200を備える。
【0046】
操作部201は、原稿から画像を読み取るスキャンモード、原稿を複写する複写モード等の他に、プレ転写チャージャ7の清掃の有無を判断する清掃判断モード、プレ転写チャージャ7の清掃を行う清掃実行モードの実行指示をユーザから受け付ける。
【0047】
記憶部202は、プレ転写チャージャ7の清掃時に使用する清掃用画像データ203が格納されている。清掃用画像データ203は、ドットパターンの画像データであり、感光体ドラム3Aの軸方向において、中間転写ベルト61上に形成されるトナー像の形成領域の全域と一致し、中間転写ベルト61の移動方向において、所定の間隔を設けて形成される所定幅の画像データである。
【0048】
制御部200は、各機能部を制御する。
【0049】
図4に示すように、制御部200は、ユーザによる操作部201の操作や、所定回数の画像形成処理毎に、清掃判断モードの実行指示を受け付ける(S11)。制御部200は、清掃判断モードの実行指示を受け付けると、清掃用画像データ203に基づく静電潜像を感光体ドラム3Aに生成する(S12)。制御部200は、静電潜像をトナーで現像化してトナー像を感光体ドラム3Aに形成する(S13)。なお、制御部200は、感光体ドラム3B〜3Dにトナー像を形成してもよい。
【0050】
制御部200は、トナー像を中間転写ベルト61に一次転写して(S14)、中間転写ベルト61上に形成されるトナー像の形成領域の全域に、トナー像を形成する。制御部200は、プレ転写チャージャ7に印加電圧を印加して(S15)、トナー像を用紙Sに二次転写する(S16)。制御部200は、プレ転写チャージャ7に印加している印加電圧を停止して(S17)、引き続きトナー像を用紙Sに二次転写する(S18)。制御部200は、一例として図5に示す用紙Sを排紙する(S19)。
【0051】
排紙した用紙Sには、プレ転写チャージャ7に印加電圧を印加した状態でトナー像を二次転写して形成した第1画像SAと、プレ転写チャージャ7へ印加している印加電圧を停止した状態でトナー像を二次転写して形成した第2画像SBと、が所定の間隔を設けて印刷される。
【0052】
以上より、プレ転写チャージャ7のコロナワイヤ52に汚れが付着している場合には白スジが形成されるため、ユーザは、排紙された用紙を目視するだけで、プレ転写チャージャ7のコロナワイヤ52に汚れが付着しているか否かを容易に判断することができる。
【0053】
なお、本発明の第1ステップはS11〜14の処理に相当し、第2ステップはS15,16の処理に相当する。第3ステップはS17,18の処理に相当し、第4ステップはS19の処理に相当する。
【0054】
図6に示すように、制御部200は、原稿台92に用紙Sを載置した状態で、ユーザによる操作部201の操作や、清掃判断モードの実行直後に、清掃実行モードの実行指示を受け付ける(S21)。制御部200は、清掃実行モードの実行指示を受け付けると、画像読取部90によって用紙Sから画像を読み取り(S22)、白地部分で分割して第1画像SAと第2画像SBとを取得する(S23)。制御部200は、第1画像SAの濃度と第2画像の濃度を比較して(S24)、所定値以上の差がある箇所を相違箇所として判別する。(S25)。この相違箇所は、プレ転写チャージャ7の印加の有無に応じて生じるため、コロナワイヤ52に付着した汚れに起因するものであることが分かる。
【0055】
制御部200は、相違箇所がある場合には清掃処理を行い(S26)、相違箇所がない場合には処理を終了する。なお、本発明の第5ステップはS21,22の処理に相当し、第6ステップはS23〜25に相当し、第7ステップはS26の処理に相当する。
【0056】
S26における清掃処理について説明する。図7に示すように、制御部200は、相違箇所に対応するコロナワイヤ52上の位置(開始位置X及び終了位置Y)を特定する(S31)。具体的には、制御部200は、相違箇所において、濃度が低い画像(白スジ)を第1画像SAであると判断する。制御部200は、第1画像SA及び第2画像SBの配置関係から、コロナワイヤ52に付着した汚れの位置を特定する。例えば、図5に示すように、第1画像SAを第2画像SBより先に読み取った場合は、矢印WはリターンポジションQからホームポジションPへ向かう方向を示すため、相違箇所に対応するコロナワイヤ52の位置を特定することができる。
【0057】
以下、図8に示すように、コロナワイヤ52上において、ホームポジションP、開始位置X、終了位置Y、リターンポジションQの順に位置するとして説明する。
【0058】
制御部200は、ホームポジションPから開始位置Xまで清掃パッド532を移動させるのに必要なモータ56の第1回転数と、ホームポジションPから終了位置Yまで清掃パッド532を移動させるのに必要なモータ56の第2回転数と、を算出する(S32)。
【0059】
制御部200は、第2回転数だけモータ56を正回転して、ホームポジションP(図8(A)参照。)から終了位置Y(図8(B)参照。)に清掃パッド532を移動させる(S33)。制御部200は、清掃パッド532の位置をエンコーダ55によって検知し、清掃パッド532が終了位置Yに位置しない時には、モータ56を正回転又は逆回転させて、清掃パッド532を終了位置Yに移動させる。
【0060】
制御部200は、第2回転数から第1回転数を減算した数だけモータ56を逆回転して、終了位置Y(図8(B)参照。)から開始位置X(図8(C)参照。)に清掃パッド532を移動させる(S34)。制御部200は、清掃パッド532の位置をエンコーダ55によって検知し、清掃パッド532が開始位置Xに位置しない時には、モータ56を正回転又は逆回転させて、清掃パッド532を開始位置Xに移動させる。
【0061】
制御部200は、第2回転数から第1回転数を減算した数だけモータ56を正回転して、開始位置X(図8(C)参照。)から終了位置Y(図8(B)参照。)に清掃パッド532を移動させる(S35)。制御部200は、清掃パッド532の位置をエンコーダ55によって検知し、清掃パッド532が終了位置Yに位置しない時には、モータ56を正回転又は逆回転させて、清掃パッド532を終了位置Yに移動させる。
【0062】
制御部は、所定回数の間、S34,35の処理を繰り返し行い(S36)、第2回転数だけモータ56を逆回転して、終了位置Y(図8(C)参照。)からホームポジションP(図8(A)参照。)に清掃パッド532を移動させる(S37)。制御部200は、清掃パッド532の位置をホームポジション検知センサ54によって検知し、清掃パッド532がホームポジションPに位置しない時には、モータ56を正回転又は逆回転させて、清掃パッド532をホームポジションPに移動させる。
【0063】
以上のように、制御部200は、清掃判断モードの実行により排紙した用紙Sからコロナワイヤ52に付着した汚れの有無を自動で判断することができる。制御部200は、コロナワイヤ52に付着した汚れの箇所のみを清掃することで、コロナワイヤ52の清掃を効果的に行うことができ、さらに清掃パッド532の消耗を低減することができる。
【0064】
また、制御部200は、清掃パッド532を移動させる度にホームポジション検知センサ54又はエンコーダ55によって移動後の位置を確認するため、確実に清掃パッド532を移動させることができる。
【0065】
なお、上述の実施例では、第1画像SA及び第2画像SBを1枚の用紙Sに形成したが、異なる用紙に形成してもよい。制御部200は、第1画像SAが形成された用紙と第2画像SBが形成された用紙とから画像を画像読取部90によってスキャンすればよい。
【0066】
また、清掃用画像データ203として、目盛データを含む画像データを用いてもよい。図9に示すように、用紙S’上に第1画像SA、第2画像SB、目盛が印刷される。ユーザは、目盛を参照することで、コロナワイヤ52に付着した汚れの位置を容易に特定することができる。
【0067】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
3A〜3D…感光体ドラム
7…プレ転写チャージャ
30…二次転写ユニット
61…中間転写ベルト
64A〜64D…一次転写ローラ
66…対向ローラ
200…制御部
202…記憶部
203…清掃用画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体の移動方向に沿って、画像データを用いて像担持体上に形成されたトナー像を前記中間転写体に一次転写する一次転写体、及び前記中間転写体からトナー像を用紙に二次転写する二次転写体が配置された、電子写真方式の画像形成装置であって、
前記移動方向において前記一次転写体の下流側で且つ前記二次転写体の上流側に配置され、前記一次転写した後で且つ前記二次転写する前に前記移動方向に直交する直交方向に沿って前記中間転写体を帯電するプレ転写チャージャと、
前記中間転写体の前記直交方向における画像形成領域の全域に清掃用トナー像を形成するための清掃用画像データを記憶する記憶部と、
前記プレ転写チャージャの清掃の有無を判断する清掃判断モードの実行指示を受け付けると、前記プレ転写チャージャに印加電圧を印加した状態で前記清掃用トナー像を前記中間転写体から用紙に二次転写する第1印加制御、及び前記プレ転写チャージャへの印加電圧の印加を停止した状態で前記清掃用トナー像を前記中間転写体から用紙に二次転写する第2印加制御を行う制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃用画像データは、ドットパターンの画像データである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
原稿から画像を読み取る画像読取部と、
前記プレ転写チャージャを清掃する清掃部材と、
前記清掃部材を前記直交方向に往復移動させる移動部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記プレ転写チャージャの清掃を実行する清掃実行モードの実行指示を受け付けると、前記画像読取部が読み取った画像から、前記第1印加制御によって形成された画像及び前記第2印加制御によって形成された画像を取得して比較して、相違箇所を判別し、前記移動部に前記清掃部材を移動させて、前記相違箇所に該当する前記プレ転写チャージャの箇所を清掃する請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃用画像データは、前記直交方向に目盛を形成するための目盛データを含む請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
プレ転写チャージャの清掃の有無を判断する清掃判断モードの実行指示を受け付けると、中間転写体の移動方向に直交する直交方向における画像形成領域の全域に清掃用トナー像を形成するための清掃用画像データを用いて像担持体上に清掃用トナー像を形成し、前記清掃用トナー像を前記像担持体から前記中間転写体へ一次転写する第1ステップと、
前記プレ転写チャージャに印加電圧を印加した状態で、前記清掃用トナー像を前記中間転写体から用紙に二次転写する第2ステップと
前記プレ転写チャージャへの印加電圧の印加を停止した状態で、前記清掃用トナー像を前記中間転写体から用紙に二次転写する第3ステップと、
前記第2ステップ及び前記第3ステップによって画像形成処理が行われた用紙を排紙する第4ステップと、を行うプレ転写チャージャの清掃方法。
【請求項6】
請求項5に記載のプレ転写チャージャの清掃方法における第1〜第4ステップと、
前記プレ転写チャージャの清掃を実行する清掃実行モードの実行指示を受け付けると、前記第4ステップにおいて排紙した用紙から画像読取部によって画像を読み取る第5ステップと、
前記画像読取部が読み取った画像から前記第2ステップによって形成された画像及び前記第3ステップによって形成された画像を取得して比較し、相違箇所を判別する第6ステップと、
前記相違箇所に該当する前記プレ転写チャージャの箇所に前記プレ転写チャージャの清掃部材を移動して清掃する第7ステップと、を行うプレ転写チャージャの清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54149(P2013−54149A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191276(P2011−191276)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】