説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】ネットワークに接続された直後から、最適な省エネ移行時間の設定を可能にする画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【解決手段】他の画像形成装置とネットワークを介して通信可能に接続され、画像形成処理が直ちに実行可能な動作モードと消費電力を低く抑えた省エネモードの状態をとり、省エネモードのときに画像形成処理の要求に対応して動作モードに切り替わり、所定の省エネモード移行時間経過後に動作モードから省エネモードに移行し、画像形成処理の実行回数を日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データとして記録し、実行頻度データから省エネモード移行時間を算出する画像形成装置において、画像形成装置がネットワークに新規に接続された際に、既に接続されている他の画像形成装置から日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データを取得する実行頻度データ取得部11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、ネットワークに接続され省エネ機能を備えた画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、例えば、画像形成要求を受け付け、画像形成処理を実行する場合、通常、画像形成要求の受付前は消費電力を低く抑えた省電力モード(以下、「省エネモード」と言う。)状態で待機し、画像形成要求を受け付けると画像形成処理の実行が可能な状態(以下、「動作モード」と言う。)に移行する。動作モードに移行し画像形成処理を実行した後、所定時間経過すると再び省エネモードに移行する。
【0003】
この場合、画像形成処理の実行終了から省エネモードに移行する省エネ移行時間は、画像形成要求の受付頻度が低いときは短い方が省エネになり、また、画像形成処理の受付頻度が高いときは、省エネ移行時間が短いと動作モードと省エネモードの切り替えが頻繁になり、制御電力が増加すると共に、ジョブの処理時間が長くなる懸念がある。
【0004】
これに対し、例えば、特許文献1には、過去3週間分の曜日別、時間帯別に画像形成装置の画像形成処理の実行頻度に応じて、画像形成処理実行後の動作モードから省エネモードへの移行時間を設定することが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2には、一定期間、連続する画像形成処理の開始時刻から終了時刻を記録し、当該記録に基づいて曜日別、時間帯別の画像形成処理の頻度を算出し、算出した画像形成処理の頻度に応じて動作モードから省エネモードへの移行時間を設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−248047号公報
【特許文献2】特開2007−82222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載の画像形成装置は、いずれも画像形成装置自身の使用状況のデータに基づいて当該画像係形成装置の使用実態に則した省エネ移行時間の設定がされる。
しかしながら、このような従来の画像形成装置であっても、ネットワークに最初に接続するときは、使用実績がないので、例えば、一律に一定移行時間を設定する等していた。つまり、接続当初は、必ずしも最適な省エネ移行時間を設定することができなかった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、ネットワークに接続された直後から、最適な省エネ移行時間の設定を可能にする画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、他の画像形成装置とネットワークを介して通信可能に接続され、画像形成処理が直ちに実行可能な動作モードと消費電力を低く抑えた省エネモードの状態をとり、直接又は前記ネットワークを介して画像形成処理の要求を受け付けて該画像形成処理を実行し、前記省エネモードのときに画像形成処理の要求に対応して動作モードに切り替わり、所定の省エネモード移行時間経過後に前記動作モードから前記省エネモードに移行し、前記画像形成処理の実行回数を日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データとして記録し、該実行頻度データから前記省エネモード移行時間を算出する画像形成装置において、該画像形成装置が前記ネットワークに新規に接続された際に、既に接続されている他の画像形成装置から日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データを取得する実行頻度データ取得部を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記他の画像形成装置は、カラー又はモノクロに画像形成する画像形成機能が共通する画像形成装置であることを特徴としている。
【0011】
本発明の第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、画像形成処理速度が最も近い画像形成装置であることを特徴としている。
【0012】
本発明の第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、画像形成処理回数が最も多い画像形成装置であることを特徴としている。
【0013】
ネットワークを介して複数の画像形成装置が接続され、各画像形成装置は、画像形成処理が直ちに実行可能な動作モードと消費電力を低く抑えた省エネモードの状態をとり、直接又は前記ネットワークを介して画像形成処理の要求を受け付けて該画像形成処理を実行し、前記省エネモードのときに画像形成処理の要求に対応して動作モードに切り替わり、所定の省エネモード移行時間経過後に前記動作モードから前記省エネモードに移行し、前記画像形成処理の実行回数を日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データとして記録し、該実行頻度データから前記省エネモード移行時間を算出する画像形成システムにおいて、画像形成装置が前記ネットワークに新規に接続された際に、既に接続されている所定の他の画像形成装置から日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データを取得する実行頻度データ取得部を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置は、ネットワーク接続直後から最適な省エネモード移行時間を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2(A)が画像形成実行回数カウントテーブルを示す図であり、図2(B)が画像形成実行回数平均値テーブルを示す図である。
【図3】移行時間算出テーブルを示す図である。
【図4】画像形成装置情報テーブルを示す図である。
【図5】実行頻度データ取得部の機能ブロック図である。
【図6】本発明に係る画像形成システムの一例を示す図である。
【図7】モード切替部のフローチャート図である。
【図8】初期設定部のフローチャート図である。
【図9】画像形成装置情報テーブルに画像形成装置データが格納された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図5を参照して、画像形成装置の各機能及び使用されるテーブルについて説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略構成を示す図である。図2は、(A)が画像形成実行回数カウントテーブルを示す図であり、(B)が画像形成実行回数平均値テーブルを示す図である。図3は、移行時間算出テーブルを示す図である。図4は、画像形成装置情報テーブルを示す図である。図5は、実行頻度データ取得部の機能ブロック図である。
図1に示す通り、画像形成装置1は、制御部2と、記憶部3と、画像読取部4と、画像形成部5と、通信部6と、時計部7と、操作部8と、モード切替部10と、実行頻度データ取得部11と、実行頻度記録部12と、省エネ移行時間算出部13と、を備えている。
【0017】
制御部2は、CPU2aを有し、画像形成装置1の本体を総括的に制御する。
記憶部3は、ROMとRAMとHDDとを有している。ROMは、CPU2aによって実行されるプログラム等を記憶する。RAMは、CPUの演算に伴う一時的な情報を記憶し、また各種のデータを一時的に記憶するワークエリアとして用いられる。HDDは、各種データ、例えば、画像読取部4が生成した画像データ等の画像処理に係る画像データを記憶する。
また、記憶部3には、画像形成装置1で使用される画像形成実行回数カウントテーブル21、画像形成実行回数平均値テーブル22、移行時間算出テーブル23、画像形成装置情報テーブル24が作成される。
【0018】
図2(A)に示す画像形成実行回数カウントテーブル21は、各曜日別に1時間毎の画像形成実行回数の累計を記憶するメモリテーブルであり、月曜日〜日曜日の列が形成され、1時間帯毎の行と、各曜日の日数の行と、画像形成実行回数合計の行が形成されている。
【0019】
図2(B)に示す画像形成実行回数平均値テーブル22は、各曜日別の1時間毎における画像形成処理の平均実行回数を記憶するメモリテーブルである。画像形成実行回数平均値テーブル22は、月曜日〜日曜日の列が形成され、1時間帯毎の行が形成されている。図2(B)では、9時00分から12時59分の間に具体例が格納されている。図2(B)の具体例によれば、水曜日の11時00分から11時59分の時間帯に平均19回、金曜日の9時00分から9時59分の時間帯に平均12回の画像形成が実行されている事を示している。
【0020】
図3に示す、移行時間算出テーブル23は、画像形成装置1が動作モードから省エネモードに切り替わる時間を記憶するメモリテーブルである。移行時間算出テーブル23には、例えば、1時間毎の時間帯における画像形成処理の平均実行回数が省エネモードに切り替わる時間(省エネモード移行時間)に対応付けされて予め初期値として格納されている。
【0021】
図4を参照して、画像形成装置情報テーブル24を説明する。画像形成装置情報テーブル24は、ネットワークに繋がれている他の画像形成装置1の情報を記憶するメモリテーブルである。画像形成装置情報テーブル24は、ネットワークに繋がれている他の画像形成装置のIPアドレス、画像形成実行回数、カラー画像形成機能の有無、画像形成速度の情報が格納される。ここで、画像形成実行回数とは、その画像形成装置の画像形成処理が実行された総回数である。カラー画像形成機能の有無とは、その画像形成装置がカラー機能を有しているか否かである。画像形成速度とは、1分間あたり何枚のシートに画像形成することができるかである。
【0022】
図1に戻って、画像読取部4は、用紙に記録された画像を読み取って画像データを生成する。画像読取部4は、読取ガラスに搬送された原稿に光を照射し、用紙から反射された光束をミラーで所定方向へ導いた後、その反射された光束をレンズで結像させ、その結像位置に配置したCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)4aで画像を読み取るようになっている。
【0023】
画像形成部5は、給紙カセット内(不図示)に積載された複数枚の記録用紙のうちの一枚を用紙搬送路に送り出し、レジストローラ対(不図示)まで搬送する。そして、レジストローラ対のニップ部に記録用紙の先端を押し当てて記録用紙の斜行を矯正し、レジストローラ対が印字のタイミングに合わせて記録用紙を印字部5aへ送り込み、印字部5aによって記録用紙に画像が印字され、印字済みの記録用紙が排紙トレイ(不図示)の上に排出されるようになっている。画像形成部5は、画像形成装置1から直接又はネットワークを介してPC等から画像形成処理を受け付けて、画像形成を実行する。
【0024】
印字部5aは、画像読取部4によって読み取った画像データや外部機器(ファクシミリ装置、PC等の端末装置、スキャナ等)から送信された画像データに基づいて記録用紙に印字する。印字部5aは、例えば、電子写真方式によるものが使用可能であり、帯電装置(不図示)により感光体ドラム(不図示)を帯電させ、画像読取部4のCCD4aによって読み取った画像データに基づいて露光装置(不図示)が帯電された感光体ドラムに静電潜像を形成した後、その静電潜像を現像装置(不図示)でトナー像として顕在化させ、その感光体ドラム上のトナー像を記録用紙に転写し、その記録用紙に転写したトナー像を定着装置(不図示)で定着させるようになっている。なお、印字部5aを電子写真方式で説明したがこれに限定されるものではない。
【0025】
通信部6は、LAN等の通信回線に接続される。例えば、LANには、複数のパーソナルコンピュータなどの端末装置、複写機などの画像形成装置が接続され、ネットワークが構成される。通信部6は、通信回線を介してデータ通信を行う。通信部6は、パーソナルコンピュータから画像形成要求とともに画像形成データを受信する他、後述する画像形成実行回数平均値テーブル22のデータ等のデータを送受信する。
【0026】
時計部7は、カレンダー機能及び時刻機能を有しており、時刻・日にち・曜日を計測・管理する。
操作部8は、操作者からの操作を受け付けるものである。操作部8は、操作者の操作により制御命令などの情報が入力されるタッチパネル又はテンキー等の入力部8aと、操作のために必要な情報を表示する液晶パネル等の表示部8bとを有している。操作部8は、表示部8bに移行時間算出テーブル23の内容を表示させることができ、入力部8aによって、データを変更することができる。
【0027】
モード切替部10は、画像形成装置1を動作モードから省エネモード、あるいは、省エネモードから動作モードに切り替えるものである。モード切替部10は、画像形成処理の終了時に、動作モードから省エネモードに切り替わるまでの所定の省エネモード移行時間を計時し、省エネモード移行時間が経過すると、定着装置の加熱ローラの表面温度を下げる等の処理を行い、動作モードから省エネモードに切り替える。そして、モード切替部10は、省エネモード時に画像形成処理を受けると、定着装置の加熱ローラの表面温度を通常の温度に上げる等の処理を行い、省エネモードから動作モードに切り替える。
【0028】
実行頻度記録部12は、画像形成処理の実行回数を、画像形成実行回数平均値テーブル22に、曜日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データとして記録するものである。実行頻度記録部12は、画像形成実行回数カウント部12aと、画像形成実行回数平均値テーブル更新部12bとを有している。
【0029】
画像形成実行回数カウント部12aは、画像形成部5によって画像形成が実行される毎に、時計部7より曜日と時刻のデータを取得し、画像形成実行回数カウントテーブル21の該当する曜日の時間帯の値を+1するとともに画像形成実行回数合計の値を+1する。
例えば、画像形成処理が実行された時の曜日と時刻が火曜日の9時30分であった場合は、図2(A)で示す画像形成実行回数カウントテーブル21の<A>及び<B>の値を+1する。また、画像形成が実行された時の日時が火曜日の11時5分であった場合は、<C>及び<B>の値を+1する。
【0030】
また、画像形成実行回数カウント部12aは、日付が変わると、画像形成実行回数カウントテーブル21の該当する各曜日の日数を+1するとともに画像形成実行回数カウントテーブル21の最終更新日を記憶部3に記憶させる処理を行う。日付が変わったか否かの判断は、画像形成実行回数カウントテーブル21の最終更新日と時計部7から取得した現在の日付とを比較することにより行う。画像形成実行回数カウント部12aは、現在の日付が最終更新日より進んでいた場合、最終更新日の次の日から現在の日までに対応する各曜日の日数を+1する。
例えば、最終更新日が月曜日で火曜日に日付が変更した場合は、図2(A)で示す画像形成実行回数カウントテーブルの<D>の値を+1する。
【0031】
画像形成実行回数平均値テーブル更新部12bは、例えば、日付が変わると画像形成実行回数カウントテーブル21から、前日に該当する曜日の各時間帯(0時00分〜0時59分,1時00分〜1時59分, … ,23時00分〜23時59分)の画像形成の実行回数及びその曜日の日数を取得し、各時間帯の画像形成の実行回数をその曜日の日数で除算することにより各時間帯の1日あたりの平均実行回数を計算し、画像形成実行回数平均値テーブル22における前日に該当する曜日の各時間帯の箇所に書き込んで更新させる。
【0032】
例えば、日付が変わって火曜日から水曜日になったとする。この場合は、画像形成実行回数カウントテーブル21の火曜日の各時間帯を火曜日の日数(図2(A)の<D>)で除算し、その値を画像形成実行回数平均値テーブル22(図3(B)参照)の火曜日の各時間帯に置き換えることにより更新する。
なお、画像形成実行回数平均値テーブル更新部12bは、画像形成装置1の起動時又は日付変更時にすべての曜日の平均実行回数を更新させても良い。
【0033】
省エネ移行時間算出部13は、例えば、画像形成装置1の起動時又は画像形成処理の終了時のタイミングで最新の画像形成実行回数平均値テーブル22に基づいて省エネ移行時間を算出する。
具体的には、省エネ移行時間算出部13は、時計部7から現在の曜日と時刻のデータを取得し、図2(B)に示す画像形成実行回数平均値テーブル22から現在の時刻と曜日に対応する画像形成の平均実行回数を求める。そして、省エネ移行時間算出部13は、移行時間算出テーブル23を参照し、画像形成処理の平均実行回数に対応した省エネモードに切り替わる時間を算出する。図3によれば、例えば、1時間あたりの画像形成の平均実行回数が18回である場合、省エネモードに切り替わる時間は、90秒である。
【0034】
図5を参照して、実行頻度データ取得部11を説明する。図5は、実行頻度データ取得部11の機能ブロック図である。実行頻度データ取得部11は、画像形成装置1がネットワークに新規に接続された際に、他の画像形成装置から画像形成実行回数平均値テーブル(日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データ)22を取得する。
実行頻度データ取得部11は、データ送受信部14と、初期設定部15と、を有している。
【0035】
データ送受信部14は、種々のデータを通信部6によって送受信を行うものであり、実行頻度データ送受信部14aと画像形成装置情報取得部14bとを有している。
実行頻度データ送受信部14aは、ネットワークに新規に接続された他の画像形成装置から画像形成実行回数平均値テーブル22の取得要求を受けると、要求のあった他の画像形成装置へ画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを送信する。また、画像形成装置1から他の画像形成装置へ画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求する際は、取得要求を他の画像形成装置へ送信し、他の画像形成装置から画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを受信する。
【0036】
画像形成装置情報取得部14bは、ネットワークに接続されている他の画像形成装置から画像形成実行回数、カラー画像形成機能の有無、画像形成速度の情報を取得する。
画像形成装置情報取得部14bは、始めに他の画像形成装置の検索処理を行う。具体的には、SNMPのMIBを取得するなどして、ネットワークに取得されている他の画像形成装置のIPアドレスを取得する。取得したIPアドレスは、画像形成装置情報テーブル24に格納する。そして、画像形成装置情報取得部14bは、取得したIPアドレスを用い、他の画像形成装置へ画像形成実行回数等の情報を要求し、取得した情報を画像形成装置情報テーブル24に格納する。
【0037】
初期設定部15は、画像形成装置1がネットワークに新規に接続された際に、ネットワーク初期設定としてIPアドレスの設定を行い、画像形成装置情報テーブル24を作成する。そして、初期設定部15は、画像形成装置情報取得部14bによって、ネットワークに接続されている他の画像形成装置のIPアドレスを取得するとともに、そのIPアドレスを用いて、他の画像形成装置から画像形成実行回数等の情報を要求し取得する。
【0038】
初期設定部15は、取得したIPアドレスと情報を用い、他の画像形成装置から、実行頻度データ送受信部14aによって、画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを取得し、その取得したデータを画像形成実行回数平均値テーブル22の初期値として設定する。画像形成装置1は、この画像形成実行回数平均値テーブル22を用い省エネ移行時間算出部13によって省エネ移行時間を計算することにより、ネットワーク接続直後から最適な省エネモード移行時間を設定することができる。
【0039】
図6乃至図9を参照して、ネットワークに接続された本願発明に係る画像形成装置1のモードを切り替える処理と、画像形成実行回数平均値テーブル22を取得する処理を説明する。図6は、本発明に係る画像形成システムの一例を示す図である。図7は、モード切替部10のフローチャート図である。図8は、初期設定部14のフローチャート図である。図9(A)は、画像装置情報テーブルにIPアドレスが格納された様子を示した図であり、図9(B)は、更に画像形成実行回数、カラー画像形成機能、画像形成速度が格納された様子を示した図である。
【0040】
図6を参照して、本願発明に係る画像形成装置1が繋げられるネットワークを説明する。図6に示す通り、ネットワークは、コンピュータ41〜45と、他の画像形成装置51〜55が接続されて構成されている。
ネットワークに既に接続されている画像形成装置51〜55のIPアドレス画像形成実行回数合計等は図6に示す通りである。
【0041】
既にネットワークに繋がれた他の画像形成装置51〜55は、少なくとも、制御部2と、記憶部3と、画像形成部5と、通信部6と、モード切替部10と、実行頻度データ取得部11とを有したものである。例えば、画像形成機能と画像形成速度のみが異なる本願発明に係る画像形成装置1でも良い。
【0042】
新規にネットワークに接続される本発明に係る画像形成装置1は、例えば、画像形成実行回数合計が0回で、カラー画像形成機能がなしで、画像形成速度が30(枚/分)である。この画像形成装置1は、ネットワークに接続されるとIPアドレスとして、例えば、192.168.100.16が設定される。この画像形成装置1は、他の画像形成装置51〜55が接続されたネットワークに接続されて画像形成システムを構成する。
【0043】
図7及び図1を参照して、モード切替部10のフローを説明する。モード切替部10は、起動されると時計部7より曜日と時刻のデータを取得し(ステップS1)、画像形成実行回数平均値テーブル22から曜日と時刻に対応する画像形成の平均実行回数を取得する(ステップS2)。そして、モード切替部10は、移行時間算出テーブル23を参照し、取得した平均実行回数に対応する省エネモード移行時間を取得し、その省エネモード移行時間でタイマをセットし(ステップS3)、イベント待ち(ステップS4)する。
【0044】
イベントが発生すると、画像形成要求か否かを判断し(ステップS5)、画像形成要求である場合は、画像形成装置1の状態が動作モードであるか否かを判断する(ステップS6)。
ステップS6において、画像形成装置1の状態が動作モードである場合は、タイマをリセット(ステップS7)し、画像形成処理を行い(ステップS8)、再びステップS1へ戻る。
【0045】
ステップS6において、画像形成装置1の状態が動作モードでない場合、すなわち、省エネモードである場合は、動作モードへの復帰処理を行い(ステップS9)、タイマをリセット(ステップS7)し、画像形成処理を行い(ステップS8)、再びステップS1へ再び戻る。
【0046】
ステップS5において、画像形成要求でない場合は、イベントがタイマ満了イベントであるか否かを判断し(ステップS10)、タイマ満了イベントである場合、省エネモード切替処理を行い(ステップS11)、再び、イベント待ち(ステップS4)へ戻る。
ステップS10において、イベントがタイマ満了イベントでない場合は、再び、イベント待ち(ステップS4)へ戻る。
【0047】
図8及び図9を参照して、初期設定部14のフローを説明する。初期設定部14は、起動されると、ネットワーク初期設定を行い(ステップS21)、画像形成装置情報テーブル24を作成し(ステップS22)、ネットワークに接続されている他の画像形成装置51,52,53,54,55の検索処理を行う(ステップS23)。具体的には、他の画像形成装置51,52,53,54,55のIPアドレスを取得し、図9(A)で示す通り、画像形成装置情報テーブル24に格納する。
【0048】
そして、ネットワークに接続されている各々の他の画像形成装置51,52,53,54,55に対して、画像形成実行回数等の情報要求処理を行う(ステップS24)、画像形成実行回数等の情報は、図9(B)で示す通り、画像形成装置情報テーブル24に格納される。
そして、初期設定部14は、取得した情報より所定の他の画像形成装置に対して、画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求し(ステップS25)、その画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを初期値として設定する(ステップS26)。
【0049】
図6及び図9を参照しながら、選択される他の画像形成装置について説明する。選択される他の画像形成装置は、例えば、最も画像形成実行回数の多いものである。この場合は、図6で示す他の画像形成装置51,52,53,54,55のうち、最も画像形成実行回数の多いIPアドレスが192.168.100.13の画像形成装置53に対して、画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求することとなる。
画像形成装置1は、最も母集団の多い画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを取得して利用することにより、ネットワーク接続直後から最適な省エネモード移行時間の設定が可能となる。
【0050】
また、選択される他の画像形成装置は、カラー又はモノクロに画像形成する画像形成機能(画像形成部)が共通し最も画像形成実行回数が多いものとしても良い。
この場合は、図6及び図9(B)で示す他の画像形成装置51,52,53,54,55のうち、IPアドレスが192.168.100.15の画像形成装置55が該当し、この画像形成装置55に対して、画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求することとなる。
なお、選択される他の画像形成装置は、画像形成機能が共通するものとしても良い。複数該当する場合は、いずれかが選ばれる。
【0051】
カラー機能を有した画像形成装置とカラー機能を有さない(モノクロ機能の)画像形成装置では、一般に使用用途や画像形成実行回数が異なっている。画像形成装置1は、画像形成機能が共通するものから画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求するため、ネットワーク接続直後から更に適した省エネモード移行時間の設定が可能となる。
【0052】
また、選択される他の画像形成装置は、画像形成機能が共通し、且つ、画像形成速度が最も近い画像形成装置のうち最も画像形成実行回数が多いものとしても良い。
この場合は、図6及び図9(B)で示す他の画像形成装置51,52,53,54,55のうち、IPアドレスが192.168.100.14の画像形成装置54に対して、画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求することとなる。
【0053】
画像形成装置1は、画像形成速度が最も近い画像形成装置54から画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求するため、ネットワーク接続直後から更に適した省エネモード移行時間の設定が可能となる。
なお、選択される他の画像形成装置は、画像形成機能が共通するもののうち、画像形成速度が最も近いものとしても良い。複数該当する場合は、いずれかのものが選ばれる。
また、選択される他の画像形成装置は、画像形成速度が最も近いものとしても良い。複数該当する場合は、いずれかのものが選ばれる。
【0054】
(取得するテーブルデータの変形例)
なお、画像形成実行回数平均値テーブル22のデータを要求し取得する態様で説明したが、取得したデータに基づいて省エネモード移行時間を算出することができれば良い。例えば、画像形成実行回数カウントテーブル21でも良いし、画像形成実行回数平均値テーブル22と移行時間算出テーブル23から省エネモード移行時間を日毎及び所定時間帯毎に算出してテーブルとして記憶させ、そのテーブルデータを取得する態様でも良い。
【0055】
また、曜日と時間帯とに層別して画像形成実行回数カウントテーブル21と画像形成実行回数平均値テーブル22を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、日毎と時間帯毎に層別しても良い。
また、画像形成装置1は、画像形成処理回数が所定回数を超えると、独自に画像形成回数をカウントして作成した画像形成実行回数平均値テーブル22を用いて省エネモードへの省エネモード移行時間を算出するようになる。
【符号の説明】
【0056】
1…画像形成装置、2…制御部、2a…CPU、3…記憶部、4…画像読取部、4a…CCD、5…画像形成部、5a…印字部、6…通信部、7…時計部、8…操作部、8a…入力部、8b…表示部、10…モード切替部、11…省エネ移行時間設定部、12…実行頻度記録部、12a…画像形成実行回数カウント部、12b…画像形成実行回数平均値テーブル更新部、13…省エネ移行時間算出部、14…データ送受信部、14a…実行頻度データ送受信部、14b…画像形成装置情報取得部、15…初期設定部、21…画像形成実行回数カウントテーブル、22…画像形成実行回数平均値テーブル、23…移行時間算出テーブル、24…画像形成装置情報テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の画像形成装置とネットワークを介して通信可能に接続され、画像形成処理が直ちに実行可能な動作モードと消費電力を低く抑えた省エネモードの状態をとり、直接又は前記ネットワークを介して画像形成処理の要求を受け付けて該画像形成処理を実行し、前記省エネモードのときに前記画像形成処理の要求に対応して動作モードに切り替わり、所定の省エネモード移行時間経過後に前記動作モードから前記省エネモードに移行し、前記画像形成処理の実行回数を日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データとして記録し、該実行頻度データから前記省エネモード移行時間を算出する画像形成装置であって、
該画像形成装置が前記ネットワークに新規に接続された際に、既に接続されている他の画像形成装置から日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データを取得する実行頻度データ取得部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記他の画像形成装置は、カラー又はモノクロに画像形成する画像形成機能が共通する画像形成装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記他の画像形成装置は、画像形成処理速度が最も近い画像形成装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記他の画像形成装置は、画像形成処理回数が最も多い画像形成装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ネットワークを介して複数の画像形成装置が接続され、各画像形成装置は、画像形成処理が直ちに実行可能な動作モードと消費電力を低く抑えた省エネモードの状態をとり、直接又は前記ネットワークを介して画像形成処理の要求を受け付けて該画像形成処理を実行し、前記省エネモードのときに画像形成処理の要求に対応して動作モードに切り替わり、所定の省エネモード移行時間経過後に前記動作モードから前記省エネモードに移行し、前記画像形成処理の実行回数を日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データとして記録し、該実行頻度データから前記省エネモード移行時間を算出する画像形成システムであって、
画像形成装置が前記ネットワークに新規に接続された際に、既に接続されている所定の他の画像形成装置から日毎及び所定時間帯毎の実行頻度データを取得する実行頻度データ取得部を備えたことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−19430(P2012−19430A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156456(P2010−156456)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】