説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、繊維密度を所定範囲内に規定した導電性ブラシを用いることで、グレー画像におけるシロ筋の発生を抑制できる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段12と、現像手段14と、転写手段15と、除電手段17とが順次配置された画像形成装置において、帯電手段は、単層型電子写真感光体をプラス極性に帯電させる帯電手段であり、帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシ4を備えた前帯電手段2が配置され、導電性ブラシが、単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、特に正帯電の単層型電子写真感光体を用いた場合であっても、グレー画像におけるシロ筋発生の防止に優れた画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、コピー等に用いられる画像形成装置は、電子写真感光体の周囲に、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、この帯電した感光体表面を露光して潜像を形成する露光手段と、この潜像にトナーを転写させて現像する現像手段と、このトナーを記録紙に転写して画像化する転写手段と、転写後の感光体表面に残留する残留電位を消去する除電手段と、を順次配置した画像形成プロセスが採用されている。
また、このような画像形成プロセスにおいては、トナー像を記録紙に転写する際に、感光体表面の帯電極性とは逆の極性を印加して転写する反転現像方式が採用されている。
この反転現像方式を用いた場合には、転写後の感光体表面に、帯電極性と逆極性の電位が感光体表面に残留する、いわゆる転写メモリが発生する場合が見られる。
この転写メモリは、後の除電手段において消去されるが、繰り返し使用したような場合には、除電手段で十分除去しきれなかった僅かな転写メモリが感光体内部に蓄積され、画像特性を低下させるという問題が生じていた。
また、帯電手段に接触帯電方式を採用した場合には、非接触帯電方式に比べて全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、対環境性に優れてはいるものの、帯電飽和領域が十分得られないといった理由から、生産性に優れた単層型電子写真感光体に適用することが難しいという問題も見られた。
【0003】
そこで、このような問題を解決するために、図10に示すように、反転現像方式を採用した画像形成装置であって、接触式一次帯電ローラ102と、現像手段104と、転写手段106と、前露光ランプ109と、を備えた画像形成装置100において、帯電ローラ102の上流側に、帯電ローラ102と同極性に帯電する接触式前帯電部材108を備えることで、接触式一次帯電ローラと逆極性に帯電している感光体表面を、前帯電部材により同極性まで引き上げて、転写メモリを消去することができる画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平6−83249号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置における帯電ローラは、マイナス極性を印加する負帯電型を採用した構成となっていることから、この画像形成装置を、より感光層内部に電荷が残留しやすい正帯電型に適用した場合には、転写メモリの消去が、困難となる問題が見られた。そして、かかる転写メモリを消去するために、前帯電部材と感光体との間における印加電圧を、より大きな値とする必要が生じていた。その結果、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維間における不均一な接触等から生じる異常放電によって、特にグレー画像を印刷した際に、画像上にシロ筋が発生する問題が見られた。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、転写メモリ消去のための前帯電ブラシとして、繊維密度を所定範囲内に規定した導電性ブラシを用いることにより、前帯電ブラシにおける異常放電を防止し、グレー画像におけるシロ筋の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、繊維密度を所定範囲内に規定した導電性ブラシを用いることにより、グレー画像におけるシロ筋の発生を抑制できる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段とが順次配置された画像形成装置において、帯電手段は、単層型電子写真感光体をプラス極性に帯電させる帯電手段であり、帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシを備えた前帯電手段が配置され、導電性ブラシが、単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)(≒28(キロフィラメント/cm2))以下の値とすることを特徴とする画像形成装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の画像形成装置によれば、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、繊維密度を所定範囲内に規定した導電性ブラシを用いることで、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電の発生を防止することができる。よって、かかる異常放電に起因するグレー画像におけるシロ筋の発生を抑制することができる。
また、図1において、実際のグレー画像にシロ筋が発生している様子を示す。このように観察されるシロ筋は、導電性ブラシを感光体軸方向にスラスト(往復運動)させた場合には、その動きに対応して波状に変化することから、導電性ブラシに起因して発生したものであることが理解できる。
【0007】
また、本発明を構成するにあたり、導電性ブラシ繊維における材料物質を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることが好ましい。
このように構成することにより、導電性ブラシ繊維が適度な柔軟性を備えるため、感光体表面との接触を、より均一な状態とすることができるとともに、感光体表面の磨耗を少なくし、長寿命化に資することもできる。
【0008】
また、本発明を構成するにあたり、導電性ブラシ繊維における毛足長さを2〜7(mm)の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、感光体表面と接触した際の導電性ブラシ繊維の湾曲具合を均一な状態にすることが容易となるため、導電性ブラシ繊維間の不均一な接触を抑制することができる。
【0009】
また、本発明を構成するにあたり、導電性ブラシ繊維における原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、導電性ブラシに印加する帯電電圧を所定範囲内に抑えることができるため、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍での異常放電をさらに効果的に防止しつつ、転写メモリの消去を効果的に行うことができる。
【0010】
また、本発明を構成するにあたり、導電性ブラシ繊維が、導電性織布に縫い込まれており、かつ、当該導電性ブラシ繊維が縫い込まれた導電性織布が導電性基材に固定されていることが好ましい。
このように構成することにより、各導電性ブラシ繊維における繊維方向を均一な状態に保持することが容易となるため、導電性ブラシ繊維間の不均一な接触を抑制することができる。その結果、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電をより効果的に防止することができる。
【0011】
また、本発明を構成するにあたり、導電性基材としてステンレス板を用いることが好ましい。
このように構成することにより、優れた導電性、及び機械的強度を備えた導電性ブラシを得ることができる。
【0012】
また、本発明を構成するにあたり、帯電手段を、接触帯電式の帯電手段とすることが好ましい。
このように構成することにより、より簡易な構成で、しかもオゾン発生等が少なく、対環境性にも優れた画像形成装置とすることができる。
【0013】
また、本発明を構成するにあたり、単層型電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、所望の画像特性を維持したまま、導電性ブラシが転写メモリを消去して、優れた除電効果を発揮することができる。
【0014】
また、本発明の別の態様は、単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、単層型電子写真感光体は、帯電手段によりプラス極性に帯電され、帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシを備えた前帯電手段が配置され、導電性ブラシが単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることを特徴とする画像形成方法である。
すなわち、本発明の画像形成方法によれば、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、繊維密度を所定範囲内に規定した導電性ブラシを用いることで、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電の発生を防止することができる。よって、かかる異常放電に起因するグレー画像におけるシロ筋の発生を抑制し、高品質な画像を連続的に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段とが順次配置された画像形成装置において、帯電手段は、単層型電子写真感光体をプラス極性に帯電させる帯電手段であり、帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシを備えた前帯電手段が配置され、導電性ブラシが、単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることを特徴とする画像形成装置である。
以下、本発明の画像形成装置に関する第1の実施形態を、適宜図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
画像形成装置
1.基本的構成
図2に、本発明における画像形成装置の基本構成を示す。かかる画像形成装置10は、ドラム型の単層型電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある。)11を備えており、この感光体11の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、帯電手段12と、感光体表面に潜像を形成するための露光手段13と、この感光体表面に対してトナーを付着させて潜像現像する現像手段14と、このトナーを記録紙20上に転写するための転写手段15と、感光体表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置17と、転写手段により生じた転写メモリを消去するための導電性ブラシ4を導電性部材として含む前帯電手段2と、感光体表面の残留電位を除去するための除電手段18と、が順次配置されている。
また、帯電手段12には、帯電印加電圧を印加するための電源19が接続されている。この電源19は、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧とすることもできる。このとき、電源19の極性を帯電手段12側が正極になるように接続することで、かかる画像形成装置を正帯電型とすることができる。
また、転写手段15には、電源22が接続されている。この電源22は、直流成分(DC)を印加することができる電源であって、その極性は転写手段側が負極になるように接続されている。このように接続することで、かかる画像形成装置を反転現像式の画像形成装置とすることができる。
また、この反転現像方式を採用した場合には、正極に帯電した感光体表面が逆チャージすることで、その表面に負電位の転写メモリが発生する。この転写メモリは、後の除電手段18により消去されることとなるが、この除電手段により十分消去しきれなかった場合には、帯電手段12による帯電均一性に影響を与え、帯電ムラとして画像特性を低下させる要因となる。
【0017】
2.前帯電手段
(1)基本的構成
次いで、転写メモリを消去する手段としての前帯電手段2について説明する。なお、本発明の前帯電手段における導電性部材としては、導電性ブラシを用いることを特徴とする。
図2に示すように、前帯電手段2は、感光体11表面と直接接触する導電性ブラシ4と、この導電性ブラシに所定電圧を印加する電源6とから構成されている。このとき、電源6は、導電性ブラシ4側が正極になるように接続してあり、転写手段15と逆極性が印加される構成となっている。
また、電源6は、その前帯電手段2の態様に合わせて、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、帯電飽和領域を広げて安定的な帯電特性を得るために、この直流成分に交流成分(AC)を重畳電圧とすることもできる。
【0018】
(2)導電性ブラシ
(2)−1 基本的構成
図3に、本発明における導電性ブラシの基本的構成を示す。かかる導電性ブラシ30は、図2において示した電源6と接続されている導電性基材34と、この導電性基材34上に導電的に固定された導電性ブラシ繊維31と、から基本的に構成されていることが好ましい。
(2)−2 材料
また、本発明に用いられる導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維の材料としては、感光体表面を帯電させることができるものであれば特に限定されるものではないが、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることが好ましい。
この理由は、かかる組成の導電性ブラシ繊維であれば、適度な柔軟性を備えるため、感光体表面との接触を、より均一な状態とすることができるとともに、感光体表面の磨耗を少なくし、長寿命化に資することもできるためである。
すなわち、かかる適度な柔軟性を備えた導電性ブラシ繊維を用いることによって、導電性ブラシ繊維が適度に湾曲するため、円筒型である感光体に対しても、均一な押圧力で接触することができるためである。
また、導電性ブラシ繊維における導電性粒子の含有量を調整することにより、容易にその導電性を調整することができる。なお、使用される導電性粒子の材料物質としては、カーボン等が挙げられる。
【0019】
(2)−3 繊維密度
また、導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、かかる繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることにより、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電の発生を防止することができるためである。そして、その結果、かかる異常放電に起因するグレー画像におけるシロ筋の発生を抑制することができるためである。
すなわち、かかる繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることによって、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維間において、均一かつ適度な微小空間をより効果的に形成することができるためである。かかる微小空間を形成することにより、導電性ブラシ繊維間における不均一な接触から生じる異常放電をより効果的に防止することができるため、導電性ブラシによる放電が安定化し、より均一な帯電が可能となる。
【0020】
ここで、図4を用いて、導電性ブラシにおける繊維密度と、グレー画像におけるシロ筋の発生本数と、の関係について説明する。
図4で示す特性曲線においては、横軸に導電性ブラシにおける繊維密度を、縦軸に感光体軸方向10(cm)あたりにおけるシロ筋の発生本数を、それぞれ採っている。かかる特性曲線から理解できるように、繊維密度が0(キロフィラメント/inch2)に近い値である場合には、シロ筋発生本数が、ほぼ0本であることがわかる。一方、繊維密度を0(キロフィラメント/inch2)から大きな値とするにしたがって、シロ筋発生本数が増加することがわかる。具体的には繊維密度が180(キロフィラメント/inch2)以下の値である場合には、シロ筋発生本数をほぼ0本に抑えることができるが、一方で、繊維密度が180(キロフィラメント/inch2)を超えた値となると、シロ筋発生本数が急激に増加していることがわかる。
したがって、かかる繊維密度を50〜150(キロフィラメント/inch2)の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜120(キロフィラメント/inch2)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0021】
なお、図3に示すように、一本一本の導電性ブラシ繊維31は、導電性繊維からなる導電性織布32に対して縫い込んであることが好ましい。
この理由は、かかる導電性織布32に対して導電性ブラシ繊維31を縫い込んで導電性ブラシ30を形成することによって、導電性ブラシ繊維31の密度、及び繊維方向等が均一となり、導電性ブラシ繊維31同士間における不均一な接触から生じる異常放電を、更に効果的に防止することができるためである。
【0022】
(2)−4 単糸繊度
また、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維における単糸繊度を、6(デニール)(≒0.66(g/km))以上の値とすることが好ましい。
この理由は、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、かかる単糸繊度を6(デニール)以上の値とすることにより、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電の発生を防止することができるためである。そして、その結果、かかる異常放電に起因するグレー画像におけるシロ筋の発生を抑制することができるためである。
すなわち、かかる単糸繊度を6(デニール)以上の値とすることによって、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維間において、均一かつ適度な微小空間を形成することができる。そして、かかる微小空間を形成することにより、導電性ブラシ繊維間における不均一な接触から生じる異常放電を防止することができるため、導電性ブラシによる放電が安定化し、均一な帯電が可能となる。
【0023】
ここで、図5を用いて、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維における単糸繊度と、グレー画像におけるシロ筋の発生本数と、の関係について説明する。
図5で示す特性曲線においては、横軸に導電性ブラシ繊維における単糸繊度を、縦軸に感光体軸方向10(cm)あたりにおけるシロ筋発生数を、それぞれ採っている。かかる特性曲線から理解できるように、単糸繊度が0(デニール)に近い範囲では、シロ筋発生本数が非常に多くなっている。一方、単糸繊度を、0(デニール)からより大きな値とするにしたがって、急激にシロ筋発生本数が減少している。具体的には、単糸繊度を6(デニール)以上の値とすることによって、シロ筋発生本数をほぼ0本とすることができることがわかる。
したがって、かかる単糸繊度を8〜30(デニール)以上の値とすることがより好ましく、10〜25(デニール)以上の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0024】
(2)−5 毛足長さ
また、導電性ブラシ繊維における毛足長さを2〜7(mm)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる毛足長さを2〜7(mm)の範囲内の値とすることによって、感光体表面と接触した際の導電性ブラシ繊維の湾曲具合を均一な状態にすることが容易となるため、導電性ブラシ繊維間の不均一な接触を抑制することができるためである。
すなわち、かかる毛足長さが2(mm)未満となると、感光体が円筒形である場合、かかる感光体表面は曲面となるため、当該感光体表面に対して均一に導電性ブラシを接触させることが困難となる傾向があるためである。一方、かかる毛足長さが7(mm)を超えると、導電性ブラシ繊維間の不均一な接触が発生しやすくなり、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電が発生しやすくなる傾向があるためである。
したがって、導電性ブラシ繊維における毛足長さを3〜6(mm)の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜5(mm)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0025】
(2)−6 導電性基材
また、導電性ブラシ繊維をその表面に固定し、かつ電源からの電流を導電性ブラシ繊維に伝える役割を有する導電性基材としては、導電性、及び十分な機械的強度を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ステンレス、銅、及びアルミニウム等の金属板を用いることが好ましく、特にステンレス板が好ましい。
この理由は、ステンレス板であれば、導電性、及び機械的強度において特に優れるため、導電性ブラシの変形を防止するとともに、均一で効率的な前帯電を可能とするためである。
また、導電性基材と導電性ブラシ繊維間での固定方法は、相互間における導電性を保持しつつ、相互を強固に固定できる方法であれば特に制限されるものではないが、例えば、図3に示すように、導電性樹脂組成物を含む導電性両面テープ、及び導電性接着剤等33を使用することが好ましい。
この理由は、かかる導電性樹脂組成物を含んだ導電性両面テープ、及び導電性接着剤等33を用いることによって、優れた導電性を発揮しつつ、導電性基材34と導電性ブラシ繊維31間において、実用上問題ない程度に強固な接着が可能となるからである。また、導電性基材34と導電性ブラシ繊維31とを相互に固定する作業が、非常に容易になり、製造効率が向上するためである。
【0026】
(2)−7 形状
また、導電性ブラシの形状としては、例えば、棒状や、回転機構を備えた円筒状とすることができ、更には、感光体表面の曲率に沿うように変形した湾曲状とすることもできる。これらの形状は、所望の帯電特性に合わせて適宜選択することができる。
【0027】
(2)−8 可動性及び着脱性
また、この導電性ブラシは、可動式であることが好ましい。この理由は、例えば、電子写真感光体の動径方向に移動させた場合には、導電性部材と感光体表面との押圧力を調整することができ、帯電特性の制御が容易となるためである。
このとき、導電性部材の感光体表面に対する押圧力としては、0.1〜100(kgf/cm2)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、導電性ブラシを電子写真感光体の動径方向に移動させる際に、下式(1)で表される導電性ブラシ繊維における感光体表面へのくい込み比(K)の値を、0.3以下の値とすることが好ましい。
【0028】
【数1】

【0029】
(式(1)において、aは導電性基材と電子写真感光体との距離(mm)とし、bは導電性ブラシ繊維の長さ(mm)としている。)
【0030】
この理由は、かかるくい込み比(K)が0.3を超えた値となると、導電性ブラシが過度に感光体に対して押し付けられるため、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維間における微小空間が不均一に形成されることになり、導電性ブラシ繊維相互間における異常放電が生じやすくなる傾向があるためである。
したがって、かかるくい込み比を0.05〜0.25の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。なお、これより後、(b−a)(mm)を毛先くい込み量という場合がある。
【0031】
また、この導電性ブラシを、着脱式とすることも好ましい。
この理由は、部材交換を容易にするためである。更に、転写手段での印加電圧が小さい場合や、感光体として積層型感光体を用いた場合など、比較的転写メモリの発生が少ない構成へと仕様変更するような場合に、容易に対応できるためである。
【0032】
(2)−9 帯電特性
また、図2における前帯電手段2において、電源6を用いて導電性ブラシ4に所定の電圧を印加することにより、転写手段によって発生した転写メモリを消去することができる。
このとき、前帯電手段2に適用される印加条件としては、導電性ブラシ4から感光体11に流れる電流の電流密度(Ib)を700(μA/m2)以上の値とすることが好ましい。
ここで、図6に、感光体として正帯電の単層型電子写真感光体を用いた場合の、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を表す特性図を示す。
この図6において、横軸は、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、縦軸においては、上側にいく程、前帯電手段により転写メモリが消去されていることを意味し、下側にいく程、前帯電手段による転写メモリの消去が不十分であることを意味している。
また、図6中の曲線(A)〜(D)は、それぞれ原糸抵抗の異なる導電性ブラシ繊維からなる導電性ブラシを用いたときの特性曲線である。より具体的には、順に1×1012.5(Ω・cm)、1×1010.5(Ω・cm)、1×108.5(Ω・cm)、1×106.5(Ω・cm)の時の曲線を表している。
また、本発明において、転写メモリ電位(Vt)とは、連続印刷を実施した場合の、現像位置における感光体表面の表面電位の変化量として定義される。
より具体的には、感光体を連続的に回転させて白紙画像を印刷した場合に、第1周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V1)とし、第3周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V3)とした場合に、(V1)−(V3)で表される値として定義される。
【0033】
この図6から理解できるように、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維の原糸抵抗の値に関わらず、電流密度(Ib)を高くするほど、残留している転写メモリ電位は小さくなり、特に、700(μA/m2)以上の範囲で、安定的に消去されると言える。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、かかる電流密度(Ib)の範囲としては、700〜2000(μA/m2)の範囲内の値とすることが好ましく、1000〜1500(μA/m2)の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において電流密度とは、電流値を1秒間当たりの印加面積で割ったものを意味している。すなわち、電流値I(A)の電流が、軸長L(mm)、外周速度D(mm/sec)で回転している感光体へ流れている場合、電流密度は、I/(L×D)(μA/m2)で表すことができる。
【0034】
また、図7に、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を表す特性図を示す。
この特性図において、横軸は、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、図7は、図6における電流密度(Ib)を、特性曲線(A)〜(D)のそれぞれの原糸抵抗の値を用いて電圧に換算したものに相当する。
この図7から理解できるように、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗の値が高いほど、転写メモリを消去するために高い電圧を印加する必要があると言える。特に、同じ印加電圧で比較した場合には、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗が1×1011(Ω・cm)を超えると、転写メモリ電位の消去が著しく不十分になることが分かる。
したがって、この導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下とすることが好ましい。その一方で、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗が過度に低くなった場合には、摩擦帯電が十分に為されずに、転写メモリを十分消去しきれない場合が生じるため、原糸抵抗の値の範囲としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましく、1×105〜1×109(Ω・cm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0035】
また、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)を直流電圧で1100(V)以上の値とすることが好ましい。この理由は、図7に示すように、導電性ブラシの固有抵抗値に関わらず、転写メモリ電位(Vt)を下げることができるためである。
その一方で、かかる印加電圧(Vb)を過度に上げた場合には、導電性ブラシと感光体との間で異常放電が発生し、帯電特性に悪影響を与える場合がある。
したがって、かかる印加電圧(Vb)を、1100〜3000(V)の範囲内の値とすることが好ましく、1100〜2000(V)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0036】
また、導電性ブラシから注入される電流の電流密度をIb(μA/m2)とし、転写手段から注入される電流の電流密度をIt(μA/m2)とした場合に、|Ib/It|で表される値を2以上とすることが好ましい。
ここで、図8に、所定の原糸抵抗を有する導電性ブラシ繊維を用いたときの、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を、転写手段15から注入される電流の電流密度(It)毎に表した特性図を示す。また、図8中の曲線(E)〜(G)は、転写手段から注入される電流の電流密度(It)が、順に、−395(μA/m2)、−316(μA/m2)、−237(μA/m2)のときの特性曲線を表している。
また、図9には、図8における横軸を、|Ib/It|に換算した特性図を示す。
これらの特性図から理解できるように、転写手段から注入される電流の電流密度(It)の絶対値が大きいほど、転写メモリ電位(Vt)は高く、更にいえば、|Ib/It|で表される値を2以上とした場合に、転写メモリ電位(Vt)は十分下がることが分かる。
すなわち、特性曲線(E)においては、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)の絶対値が790以上のときに、転写メモリ電位が下がっている。また、特性曲線(F)においてはIbの絶対値が632以上、特性曲線(G)においてはIbの絶対値が474以上で、それぞれ転写メモリが十分消去されていることが分かる。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、|Ib/It|で表される値を2.5〜8.0の範囲内の値とすることが好ましく、3.0〜6.0の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0037】
3.帯電手段
また、本発明において、感光体表面を所定電位に帯電させるための帯電手段を、接触帯電式の帯電手段とすることが好ましい。
この理由は、帯電手段として、コロナ帯電のような非接触帯電式を採用した場合に比べて、小型であるとともに、コロナ帯電の際に発生するオゾン等の有害物質を発生させることもなく、対環境性に優れているためである。
その一方で、感光体表面の摩耗や帯電均一性などの点で、非接触帯電式に及ばない点はあるが、本発明においては、導電性ブラシにおける繊維密度を所定の範囲内の値とすることにより、画像特性を低下させることなく、用いることができる。
また、この帯電手段による単層型電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることが好ましい。
この理由は、初期帯電電位を所定値以上に上げることで、転写手段において発生する転写メモリ電位は上昇するものの、本発明における除電効果に優れた画像形成装置に適用することにより、画像ムラを抑制したまま、所望の画像濃度を得ることができるためである。
【0038】
また、帯電手段において、感光体表面との接触部分の部材としては、導電性ゴム又は導電性スポンジを用いることが好ましい。
より具体的には、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)等の半導電性を有する極性ゴム(イオン導電系ゴム)や、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等にイオン導電剤を添加して半導電性を付与したイオン導電系ゴム等を用いる事ができる。このとき、体積固有抵抗としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましい。
【0039】
[第2の実施形態]
また、本発明の別の態様は、単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、単層型電子写真感光体は、帯電手段によりプラス極性に帯電され、帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシを備えた前帯電手段が配置され、導電性ブラシが単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることを特徴とする画像形成方法である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
すなわち、第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図2に示すような画像形成装置10を好適に使用することができる。
ここで、図2は、画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、以下、その動作について、順を追って説明する。
まず、画像形成装置10の感光体11を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段12によって所定電位に帯電させる。
次いで、露光手段13により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体11の表面を露光する。この露光により、感光体11の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段14により潜像現像が行われる。この現像手段14の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体11表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙20は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体11と転写手段15との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材20上にトナー像を転写することができる。
【0041】
次いで、トナー像が転写された後の記録紙20は、分離手段(図示せず)によって感光体11表面から分離され、搬送ベルトによって定着器に搬送される。次いで、この定着器によって、加熱、加圧処理されて表面にトナー像が定着された後、排出ローラによって画像形成装置10の外部に排出される。
一方、トナー像転写後の感光体11はそのまま回転を続け、転写時に記録紙20に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、本発明のクリーニング装置17によって除去される。また、感光体11の表面に残留した電荷は、導電性ブラシ4を導電性部材として含む前帯電手段2により消去されるとともに、除電器18からの除電光の照射によって完全に消去され、次の画像形成に供されることになる。
従って、本発明の画像形成装置を用いることで、導電性ブラシと感光体表面との接触部近傍における異常放電の発生を防止することができる。よって、かかる異常放電に起因するグレー画像におけるシロ筋の発生を抑制し、高品質な画像を連続的に形成することができる。
【実施例】
【0042】
[実施例1]
1.電子写真感光体の作成
電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニン2.7重量部と、正孔輸送剤としてスチルベンアミン化合物50重量部と、電子輸送剤としてアゾキノン系化合物35重量部と、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂100重量部と、テトラヒドロフラン700重量部と、を攪拌容器内に収容した後、ボールミルで50時間混合分散し、塗布液を作成した。次いで、得られた塗布液をアルマイト素管からなる導電性支持体上にディップコート法にて塗布した後、130℃、45分間の条件で熱風乾燥し、膜厚30μm、直径30mmの単層型電子写真感光体を得た。
【0043】
2.導電性ブラシの作成
また、導電性ブラシ繊維としては、単糸繊度30(デニール)(450T/15F)、長さ3(mm)、原糸抵抗1×108.5(Ω・cm)である導電性ナイロン繊維を用いた。かかる導電性ナイロン繊維を、同様の繊維から成る織布に対して縫込み、繊維密度70(キロフィラメント/inch2)のブラシ部分を作成した。
ついで、かかるブラシ部分を、ステンレス板からなる導電性基材に対して、導電性両面テープを用いて接着固定し、導電性ブラシを作成した。
【0044】
3.評価
(1)シロ筋発生評価
得られた感光体及び導電性ブラシを搭載した画像形成装置を用いて、シロ筋発生評価を行った。
すなわち、得られた感光体を、京セラミタ(株)製プリンタKM1500改造器に搭載するとともに、導電性ブラシを感光体表面に対してニップ幅5mm、毛先くい込み量0.5mmとなるように圧接固定させた。
次いで、感光体を外周速度110(mm/sec)の周速で回転させた。更に、感光体表面と帯電ローラ間に1200(V)の直流電圧を印加して、感光体表面を、約400(V)に帯電させた。
次いで、転写手段と感光体表面との間に直流電流を印加して、転写手段から注入される電流の電流密度(It)を、−237(μA/m2)(電流値換算:−6(μA))、となるように調整した。
次いで、導電性ブラシに1000(V)の電圧を印加して、記録紙を通紙してグレー画像を印刷した。かかるグレー画像におけるドラム軸方向10(cm)あたりのシロ筋本数を計測した。得られた結果を表1に示す。
【0045】
(2)転写メモリ評価
また、上述したシロ筋発生評価における実施条件と同条件でグレー画像を印刷した際の、感光体における転写メモリ電位を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:転写メモリ電位(V)の絶対値が5未満の値である。
△:転写メモリ電位(V)の絶対値が5以上8未満の値である。
×:転写メモリ電位(V)の絶対値が8以上の値である。
【0046】
[実施例2〜4]
実施例2〜4では、実施例1における導電性ブラシの繊維密度70(キロフィラメント/inch2)を、それぞれ表1に示す通りの180(キロフィラメント/inch2)以下の値としたほかは、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
【0047】
[比較例1〜3]
比較例1〜3では、実施例1における導電性ブラシ繊維の繊維密度70(キロフィラメント/inch2)を、それぞれ表1に示す通りの180(キロフィラメント/inch2)を超えた値としたほかは、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示す結果から理解されるように、実施例1〜4においては、導電性ブラシにおける繊維密度が180(キロフィラメント/inch2)以下であるため、異常放電が防止され、グレー画像上におけるシロ筋の発生が見られなかった。
一方、比較例1〜3においては、導電性ブラシにおける繊維密度が180(キロフィラメント/inch2)を超えた値であるため、異常放電を十分に防止することができず、グレー画像上におけるシロ筋の発生が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明にかかる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法によれば、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、繊維密度を所定範囲内に規定した導電性ブラシを用いることで、グレー画像におけるシロ筋の発生を抑制できるようになった。
したがって、本発明の画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法は、画像形成装置の高画質化及び高速化等に寄与することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】グレー画像におけるシロ筋を示す図である。
【図2】本発明にかかる画像形成装置の概略図である。
【図3】導電性ブラシの概略図である。
【図4】導電性ブラシにおける繊維密度(キロフィラメント/inch2)とグレー画像におけるシロ筋発生(本/10cm)との関係を示す特性図である。
【図5】導電性ブラシ繊維における単糸繊度(デニール)とグレー画像におけるシロ筋発生数(本/10cm)との関係を示す特性図である
【図6】導電性ブラシから感光体表面に流れる電流の電流密度(Ib)と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図7】導電性ブラシに印加した印加電圧(Vb)と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図8】転写手段から感光体表面へ流れる電流の電流密度(It)と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図9】電流密度の比│Ib/It│と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図10】従来の画像形成装置の構成を説明するために供する図である。
【符号の説明】
【0052】
2:前帯電手段、4:導電性ブラシ、10:画像形成装置、11:電子写真感光体、12:帯電手段、13:露光手段、14:現像手段、15:転写手段、17:クリーニング装置、20:記録紙、30:導電性ブラシ、31:導電性ブラシ繊維、32:導電性織布、33:導電性両面テープ、または導電性接着剤、34:導電性基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段とが順次配置された画像形成装置において、
前記帯電手段は、前記単層型電子写真感光体をプラス極性に帯電させる帯電手段であり、
前記帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシを備えた前帯電手段が配置され、
前記導電性ブラシが、前記単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、前記導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記導電性ブラシ繊維における材料物質を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電性ブラシ繊維における毛足長さを2〜7(mm)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記導電性ブラシ繊維における原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記導電性ブラシ繊維が、導電性織布に縫い込まれており、かつ、当該ブラシ繊維が縫い込まれた導電性織布が導電性基材に固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記導電性基材としてステンレス板を用いることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帯電手段を、接触帯電式の帯電手段とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電手段による前記単層型電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、
前記単層型電子写真感光体は、前記帯電手段によりプラス極性に帯電され、
前記帯電手段と除電手段との間には、導電性ブラシを備えた前帯電手段が配置され、
前記導電性ブラシが、前記単層型電子写真感光体の表面に対して接触させてあるとともに、前記導電性ブラシにおける繊維密度を180(キロフィラメント/inch2)以下の値とすることを特徴とする画像形成方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−147983(P2007−147983A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342032(P2005−342032)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】