説明

画像形成装置用枠組構造体と画像形成装置

【課題】安定した画像形成が可能となるよう高い剛性を有する、露光部の筐体機能まで備えた樹脂一体の画像形成装置用の枠組構造体。
【解決手段】対向する側板部とこれら側板部をつなぐ少なくとも一つの橋渡し部とで主構造部を構成する画像形成装置用枠組構造体において、上記主構造部を樹脂一体成型で得、また上記橋渡し部の少なくとも一つを水平配置し、画像形成装置露光部用の筐体機能を担い、および筐体機能を担う上記橋渡し部の下方に配されるべき像担持体のさらに下方に、主構造部の樹脂材料よりも剛性の高い材料で成る連結部材を水平配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれら機能を併せ持つ複合機である画像形成装置に用いられる枠組構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、装置筐体内に感光体、帯電器、現像器、転写器といった画像形成装置構成部材が相対的な位置精度高く配置されている。相対的な位置精度を高くするために、対向する側板を有するフレーム構造体が用いられ、このフレーム構造体の両方の側板間で様々な構成部材が収容支持されている。側板で各種構成部材を支持するために、それら構成部材の重量に耐え得るだけの十分な強度、剛性が必要であり、過去においては、上記フレーム構造体を金属材料で製造していたが、構造体自体の重量が増加する問題があった。重量増加を回避するためには、金属材料よりも軽い、例えば樹脂製フレームを構造体として用いることが考えられる。しかしながら、樹脂のみでフレームを構成すると、フレーム剛性を十分確保し難く、側板同士がねじれたり、傾いて、構成部材の相対位置精度を十分に出すことができない。
【0003】
従来、例えば特許文献1には、画像形成装置本体の占有面積を縮小化するとともに、本体フレームの剛性を低下させることなく全体構成を簡略化することを目的に、左右の側板とこれらを連結する連結部材とを有する本体フレーム側板の上部を光学フレームによって連結する構成が開示され、また非基準側の側板剛性を基準側よりも低く設定することが特徴として挙げられている。画像形成装置の小型化を達成するに当たって、本体フレーム側板を連結部材で一体的に連結構成しているが、装置上方に開口を設けざるを得ないことから、光学フレームの剛性を上げて開口部の連結を行っている。光学フレームの剛性を上げたことから、本体フレームの側板片側の剛性を下げて、光学フレームに倣わせる思想である。しかしながら、画像形成装置に発生するねじれを回避しようとすると、光学フレームに要求される剛性は高くなり、樹脂材料を用いて構成することは非現実的である。仮に光学フレームも樹脂材料で構成するならば、補強のための部品点数が増えて高コスト化、構成複雑化せざるを得ない。
【0004】
また特許文献2には、画像形成装置の空間の利用効率を上げるため、したがって装置の小型化を目的として、樹脂フレームを用いながら樹脂材料の剛性の低さを補うやり方が示されている。そのやり方は、容器状の樹脂フレームの開口を金属フレームで蓋をし、囲まれた空間内に画像形勢装置構成部材の一部を収容する、さらに逆の面に積層金属フレームを重ねて固定しており、側板間を金属ステーで連結するもので、保持精度が必要な部分は金属製フレームとし、それ以外は樹脂製フレームで保持するものである。このような構成では、小型化のために樹脂フレームを用いているものの、構造体の殆どを金属フレームが覆うことになり、また高精度が要求される部材を金属フレームで保持する等、樹脂フレームを用いる効果が少ない。そして側板間を連結する部材は端部を締結するのみであり、十分な剛性を提供できているとは言い難い。
【0005】
特許文献3では、互いに対向位置関係を規定された側板に対する装置の締結時に発生する位置ずれを防止するために、対向する樹脂成形品たる側板に装置あるいは部材が取り付けられるフレームであって、両側板間に横架されて側板同士を連結するために両端面が両側板に支持される鋼材製の連結部材を備え、当該連結部材が両側板との連結に用いられる連結部を備え、一方の側板が連結部材に対して揺動しないように、連結部材の一端面における一側連結部が他方の側板に連結され、上記一方の側板の第一連結部側を中心に第二連結部が揺動し、両側板が上記第一連結側に着脱可能である着脱部材を備える構成が開示されている。主となる連結部材は2重構造で剛性が高いが、他の連結部材数、固定数が多くコスト高な構成である。また露光装置と構造体が別体であることから、位置精度が悪く、あるいは精度向上のためにコスト増加が避けることができない構成である。
【0006】
また特許文献4では、生産工程の簡易化及び生産コストの低減を図りつつ、リサイクルし易くするために、ガラス繊維のような強化剤を含まない樹脂を材料として左右の側板で形成し、片側の側板のみ耐グリス性を有する材料にしている。側板間は、上方に配置される露光装置を保持する金属製の第一のメンバ、作像部の下方に位置する樹脂製の第二メンバ、最下方に配置される金属製の第三のメンバによって締着されている。このような構成では、一般的なフレーム構造体の左右側板を樹脂製材料に置き換えただけに過ぎず、生産時の作業工程の簡易化にはさほど寄与していない。また、最下部に配置されるメンバはスパンを規定するもので、ねじれに対しては効果がない。その上部に配置される第二メンバは樹脂製であり、これも剛性に優れているとはいえない。したがって露光装置を保持する第一メンバが構造体剛性を司る構成と思われるが、当該第一メンバが設置面から遠いこと、側板剛性が低いこと、また材質の相違から左右で剛性に差があることから、画像形成装置の設置面に凹凸がある等の外乱が作用すると、像担持体や転写部等、重要な構成部材の位置精度は著しく低下することが容易に推測できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
小型で低コスト性に優れる画像形成装置を提供するためには、一つの部品で複数の機能を達成することが必要となる。そのため、装置構成部材を保持する構造体は樹脂一体とし様々な構成部品を保持できることが好ましい。しかしながら、樹脂材料は金属材料よりも剛性が低いことから、肉厚を大きくしたり、剛性の高い高価な材料を使用する必要があったり、補強を目的とした形状を追加する等の対応をとることが一般的であり、コスト増の一因となっている。また、露光部などの非常に高い精度が必要となる構成部については、部分的に強度の高い部材に取り付けたり、高剛性の部材で形状を構成する等、高コストの構成となっていることが一般的である。
【0008】
そこで本発明では、設置条件によらずに安定した画像形成が可能となるよう高い剛性を有する、露光部の筐体機能まで備えた樹脂一体の画像形成装置用の枠組構造体の提案を、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記課題は、対向する側板部とこれら側板部をつなぐ少なくとも一つの橋渡し部とで主構造部を構成する画像形成装置用枠組構造体において、上記主構造部を樹脂一体成型で得ること、上記橋渡し部の少なくとも一つが水平配置され、画像形成装置露光部用の筐体機能を担うこと、および筐体機能を担う上記橋渡し部の下方に配されるべき像担持体のさらに下方に、主構造部の樹脂材料よりも剛性の高い材料で成る連結部材を水平配置することによって、解決される。
【0010】
上記連結部材が二つの部材を一体的に接合した2重構造で概ね構成されているのが、好適である。また上記連結部材を、対向する側板部の間に含設することも好ましい。含設とは、2枚の側板部で画定される空間内に、連結部材が完全に収まるように配置されることである。上記連結部材は金属材料で構成されていることが想定される。しかしながら、主構造部の樹脂材料よりも剛性の高い材料としては、ファインセラミックや、カーボンファイバーで強化された樹脂(CFRP)も考えられる。金属製連結部材であれば、電気的な接地経路としての機能を兼ねることが可能である。
【0011】
上記連結部材に締結部を設けて、締結部材を用いて上記側板部の貫通孔を介して連結部材を主構造部に締結接合するか、上記側板部に締結部を設けて、締結部材を用いて上記連結部材の貫通孔を介して連結部材を主構造部に締結接合するのが、好都合である。上記連結部材と上記主構造部の間の接合面に接着部材を配してもよい。上記主構造部を強化材レスの樹脂材料で構成することも想定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対向する側板部とこれら側板部をつなぐ少なくとも一つの橋渡し部とで構成される主構造部を樹脂一体成型で得ること、上記橋渡し部の少なくとも一つが水平配置され、画像形成装置露光部用の筐体機能を担うこと、および筐体機能を担う上記橋渡し部の下方に配されるべき像担持体のさらに下方に、主構造部の樹脂材料よりも剛性の高い材料で成る連結部材を水平配置することによって、部品点数を減らして安価な樹脂を利用しつつ、剛性の低い樹脂でフレーム構造を構成すると生じるであろうフレーム肉厚の増大、補強のための形状の複雑化を避けて、過剰な樹脂使用量を低減しながら、必要な剛性を確保することができる。本発明では、側板部とこれら側板部をつなぐ少なくとも一つの橋渡し部でフレームの基本形状を出し、このような形状の主構造部に対して、剛性の高い連結部材を像担持体よりも下方に水平配置することで、フレーム構造の剛性を出すものである。
【0013】
上記連結部材が二つの部材を一体的に接合した2重構造で概ね構成されていれば、剛性増大のための連結部材の厚みを抑えつつ、必要な剛性を確保することができる。また上記連結部材を、対向する側板部の間に含設すれば、連結部材の厚みを増すときにも画像形成装置の高さに影響を与えることがない。上記連結部材を鉄などの金属材料で構成すれば、コストを抑えつつ剛性を確保し易い。金属製連結部材の場合、電気的な接地経路としての機能を兼ねることで、側板部の間の通電部材、あるいは内包される作像部、シート搬送部などの接地部材として利用でき、コスト低減に効果的である。
【0014】
上記連結部材に締結部を設けて、締結部材を用いて上記側板部の貫通孔を介して連結部材を主構造部に締結接合するか、上記側板部に締結部を設けて、締結部材を用いて上記連結部材の貫通孔を介して連結部材を主構造部に締結接合すれば、連結部材と主構造部の間の接合面に自由度を持たせることが可能となり、治具を用いるなどして精度を保ちつつ連結を行うことができる。上記連結部材と上記主構造部の間の接合面に接着部材を配しておけば、少ない締結数でもズレが発生せず、局部変形などによる部分はがれ、それに伴う剛性低下を回避することができる。上記主構造部を強化材レスの樹脂材料で構成すれば、低コスト化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置たるカラーレーザプリンタの概略構成図である。
【図2】カラーレーザプリンタのプロセスカートリッジの構成図である。
【図3】プリンタ外装の概略斜視図である。
【図4】本発明に係る枠組構造体の概略斜視図である。
【図5】画像形成装置構成部材を枠組構造体に組み付けた状態の概略断面図である。
【図6】側板部との締結とカシメとを分ける場合の枠組構造体の連結部材の端部領域の部分斜視図である。
【図7】連結部材と側板部の締結状態を示す部分断面図である。
【図8】連結部材と側板部の締結の別例を示す部分断面図である。
【図9】主構造部材の側に締結部を備える場合の概略構成図である。
【図10】図9の構成における連結部材と側板部の締結状態を示す部分断面図である。
【図11】連結部材を枠組構造体の最底部に位置させる場合の概略構成図である。
【図12】図11の構成における連結部材と側板部の締結状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、本発明に係る画像形成装置たるカラーレーザプリンタの全体構成を示し、図2に同プリンタの画像形成部を構成するコンポーネントたるプロセスカートリッジの構成例を示す。この例は、一般的な静電作像手法を用いた画像形成装置に関するものであるが、本発明の効果を限定するものではない。
【0017】
以下に、プリンタの構成を説明する。図1において本プリンタは、黒、シアン、マセンタ、イエロー(K、C、M、Yの符号で各色を示す)の色毎に一定速度で回転する像担持体(感光体ドラム)と、レーザ光Lを射出して像担持体の表面に画像情報たる潜像を形成する露光装置1と、像担持体上の潜像を可視像化する現像手段たる現像ローラを有する現像ユニット2と、各現像ユニットによって現像された各色の画像をシート状の転写材に重畳転写すべく転写材を担持搬送する転写搬送ベルト3と、転写材を転写搬送ベルト3へ供給する給紙装置6と、転写材に重畳転写され形成されたカラー画像を定着する定着装置7とを備えている。定着装置7で定着処理を受けた転写材は、その後、機外の排紙部13へ排出される。なお上記4色のためのカラー現像器と像担持体とは色毎に一体成形されてプロセスカートリッジを構成し、装置本体に対して個別に着脱可能になっており、また転写搬送ベルト3は、駆動伝達を行う駆動ローラと、テンションローラとにより張架され、各感光体ドラムに対向する内部位置に転写手段を備えている。ちなみに符号4はレジストローラ、符号5は給送ローラ、符号8はパターン読取部、符号9は廃トナー回収部、符号10は画像形成機能を果たす各部材の取り付けに供される前後側板を繋ぐ連結部材、符号11は装置本体の筐体をなす外装、符号12は定形外転写材などのための手差し経路を示す。
【0018】
図1では中央断面にて構成を示しているが、同図において円形形状で示された部材は概ね回転動作を行うことで画像輸送や転写材搬送を行っている。これらの動作は不図示の駆動力発生部(駆動部)によって可能となっており、さらには当該駆動部に電力を供給する電源供給部、上記動作を制御する制御部も備えられている。
【0019】
次に本プリンタの主要部を構成するプロセスカートリッジについて図2に基づいて詳細に説明する。色毎に構成されたプロセスカートリッジは、用いるトナーの色が異なるだけで、構成的には共通するものなので、図2では色の区別をつけるための添え字K,C,M,Yを付さない。本例において、感光体ドラム201は、現像ローラ202を有した現像ユニット2のほか、露光のため感光体ドラム表面を一様帯電する帯電ローラ208、画像形成処理後の感光体ドラム表面を掃除するクリーニングブレード209、クリーニングブレード209で掻き落とされた廃トナーを廃トナー回収部へ搬出するための廃トナー回収スクリュー210とともに一体的に構成され、トナーの消耗に応じて容易にユニット交換可能であるように装置本体から着脱自在である。
【0020】
感光体ドラム201は、アルミシリンダの外側に有機光導体層を塗布して構成され、感光体ドラムの長手方向両端で同軸に配置された不図示のフランジ、軸受および軸を介して、プロセスカートリッジのハウジング207に対して回動自在に支承され、導通が取られている。また感光体ドラム201と同軸に不図示の駆動伝達機構(例えば、はす歯ギヤ)があり、不図示の駆動部より動力を得て回動するようになっている。帯電ローラ208で表面を一様帯電された感光体ドラム201への書込みは、露光装置からの各色レーザ光Lにて行われ、一定速度で回転する感光体ドラム201の表面を選択的に照射して露光書き込みすることで感光体ドラム上に静電潜像を形成する。感光体ドラム上の静電潜像を可視化するための現像ユニット2は、現像ローラ202のほか、現像ローラ202に現像剤を供給する供給ローラ203、現像ローラ上の現像剤の厚みを規制する現像ブレード204、現像ユニット内の現像剤を攪拌搬送するスクリュー205、概念的に示すトナーボトル14から現像ユニット内へ補給されるフレッシュトナーを収容現像剤に供給攪拌するアジテータ206を備えて構成されている。
【0021】
上記構成を備えたプリンタは、図3に示すように、外装11の表面に、手差し経路12、排紙部13、引き出し取り出し可能な給紙装置6を確認できるほか、消耗品であるトナーの補給のためのトナーボトル14を取り出すための補給部カバー15が顕れている。さらにジャム処理や機内調整のために、外装11が、開放可能に、開放部を有していたり、ヒンジ部を介して二枚貝状に構成されている。また外装11の内部には、図4に示すような、本発明に係る構造体16が配されている。この構造体16に、画像形成に関する上記構成部材が取り付けられる。各構成部材の位置関係は、どれも高精度を要するものであるが、特に感光体201の位置は露光、転写に関係するものであり、装置の基準位置となることが多い。次いで感光体201と露光装置1の相対位置関係が重要である。仮に該当の位置関係が理想位置からずれると、画像のゆがみや多色合わせ時の画像ずれが問題になる。そのほか、レジストローラ4と転写搬送ベルト3、転写搬送ベルト3と定着装置7の送り方向のずれがあると、斜め画像やシワといった問題が発生する。
【0022】
図4に例示する画像形成装置用枠組構造体16は、一対の対向する側板部171,172および両側板部を繋ぐ橋渡し部173を一体的にガラス繊維のような強化材未混入の樹脂材料で成型した主構造部材17と、連結部材10とを備えて構成されている。主構造部材を構成する樹脂は、実際の装置では耐熱性、耐油性の要求レベルが高くないことから、非結晶性の熱可塑性樹脂、例えばABS、PS、PC+ABS、PCが用いられる。連結部材10は、略水平に配された橋渡し部173の下方に当該橋渡し部173と平行に側板部171,172の間に配置され、複数の締結ネジ18を用いて側板部171,172に締結されている。図1から理解可能なように、連結部材10は給紙装置6と転写搬送ベルト3あるいは廃トナー回収部9の間に位置する一方、橋渡し部173は感光体201あるいはプロセスカートリッジを覆うように上方に配置されている。橋渡し部173は感光体201と露光装置1の間に位置することから、露光装置1の筐体機能を果たしており、図4に示すように、露光部メインモジュール固定部片174、防塵ガラス保持部175を備えている。固定部片174には露光装置の例えばスキャナモータがネジ固定される。
【0023】
連結部材10をも主構造部材と一体的に樹脂で構成することを想定すると、壁面を削ったり、長手方向に金型の割り方向を配置する必要があって現実的でない。本例の枠組構造体では、露光装置筐体としての橋渡し部の形状や両側板部の形状を金型で成形し易い構成としており、コストをかけることなく高レベルの取付精度を達成することができる。ここで露光装置筐体をなす橋渡し部を主構造部材として側板部と一体化させ小型化、コスト性に優れる構造としているが、画像形成装置の稼動時発熱により部材膨張が発生しても主構造部材を同一材料で構成しているので、線膨張係数の異なる部材を固定的に組み立てて形成していた従来の枠組構造体のように材料相違で発生する膨張差歪みに起因した、異常画像の発生や、部材の割れを考慮する必要がない利点もある。また組み付けられた複数の部品を介さないことで、感光体201と露光装置1の相対位置精度を非常に高くできる。
【0024】
図面に描写した連結部材10は給紙装置6の上に位置しているが、連結部材10はできるだけ下方に配置することが好ましい。枠組構造体16を箱構造とみなした際の断面2次モーメントが増すことで構造体剛性を高く保持することができるからである。したがって、連結部材10を給紙装置6の下に位置させることも考えられる(例えば図10)。
【0025】
また、より効率良い構成とするために、連結部材10は金属材料とすることが好ましい。金属材料とすることで、同一剛性を出すのにより薄くできるからである。金属製の連結部材10の板厚を1mm以上に設定すると、枠組構造体16の剛性を確実に向上させることが可能で、主構造部材17を既述のように強化材レスにでき、基本肉厚も概ね例えば3mm以下の薄さとすることができ、小型化、低コスト化に有利である。また連結部材10を金属製とすることで、電気的な導通経路としても活用することができる。さらに画像形成装置においては一般的に安全性の観点から装置底面は難燃性を有する部材に設定する必要があるが、金属製連結部材10であれば、板厚に関係なく難燃性を達成でき、樹脂材を使うよりも安全である。
【0026】
一方、側板部171,172はそれぞれ、矩形板面と、その四辺で矩形板面の面と垂直に曲折された枠片とから構成され、箱蓋状となっている。各側板部の枠片で取り囲まれ形成される箱状空間は、後述のように駆動部19や電源供給部20のための収容空間として用いられる。矩形板面の周囲を垂直曲折枠片により囲むことで、矩形板面の撓みを防止できる。各側板部171,172の矩形板面の互いに対向する側面には、図示しないが、各種の画像形成装置構成部材を保持するための複数の軸受が予め成形されている。図5に、露光装置1、現像ユニット2、転写搬送ベルト3など、画像形成装置構成部材を枠組構造体に組み付けた状態の概略断面を示す。画像形成装置に動力たる電力を供給するのは主構造部材17の側板部172に収容された電源供給部20であり、当該電源供給部20は一般的に十分な接地が必要である。一方、側板部171に収容された駆動部19は電源供給部20から電力を供給され駆動力を発生可能で、その際にも駆動部19の接地をとる必要がある。連結部材10を金属製としたことで、これら構成部材から連結部材10までの導通経路を設けるだけで接地可能となる。同様の利点を、導通が必要となるその他の構成部材を配置する際に供与することが可能である。
【0027】
さらに上述の効果を増すために、連結部材10を二重構造とするのがよい。これは連結部材に必要とされる曲げ剛性が、材料のヤング率または断面2次モーメントの大きさによるためである(曲げ剛性=E×I;Eはヤング率、Iは断面2次モーメント)。Eは材料固有の相対で、例えば鉄とABSを比較すると、鉄のほうがABSよりも約100倍大きいことが知られている。また断面2次モーメントは基本的に、断面積が大きいほど高い値となる。単純には、連結部材10を連結主部材103と連結副部材104とから構成する。既述のように、連結部材10を金属材料で構成することで、溶接やカシメ構造とすることが可能で、二重化することで非常に高い剛性を確保することができる。その際、側板部との締結とカシメとを連結主部材103と連結副部材104に分けて担わすのが適当である。図6に示すように、連結主部材103と連結副部材104にはそれぞれ、位置決め・締結のための締結部101、カシメのためのカシメ部102が形成されており、図7に示すように、締結ネジ18を用いて連結部材10は主構造部材17と位置決め、固定されている。
【0028】
連結部材10が側板部171,172の間の底面より幾らか上がった箇所に配置されていることにより、連結部材の構造的厚みを増しても画像形成装置の高さに影響することが無い(後述するように、図10のように枠組構造体の下面に配置すると連結部材の厚みがそのまま装置高さに影響する)。連結部材10と側板部171,172の締結について、2つのやり方を以下に記す。実地にあたっては、それぞれの利点を鑑みて、選択されることになる。
【0029】
先ず既述したように、締結部101を連結部材10の側に設けて、側板部171を挟んで締結ネジ18で締結するやり方である(図7)。この構成の利点は連結部材10と主構造部材17の位置関係にガタを設けることが可能な点である。すなわち、治具などを用いて主構造部材の精度を決めた後に締結を行うことが可能となり、高精度と高剛性を両立することが可能となる。このような構成では既述の通り、ガタを設けることが可能となる反面、締結面でのズレの発生が懸念される。そのため、このようなネジ締結であれば、十分な点数箇所で締結を行うことが好ましい。あるいは図8に示すように、締結面に接着部材21を配置させた上で締結するのが好ましい。この際、接着部材の厚さは十分に薄くするか、連結部材10か主構造部材17に接着部材用の凹形状を設けると、枠組構造体の精度に影響することがない。
【0030】
第2のやり方は、図9,10に示すように、主構造部材17(側板部171,172)の側に締結部106を設け、連結部材10を挟んで締結ネジ18を締結部106の雌ネジ部にねじ込む方法である。連結部材10を給紙装置の下に、すなわち最底部に位置させる場合の構成を図11,12に示す。この構成の利点は簡便で素早く組み立てることが可能な点である。主構造部材のねじれは連結部材の締結面に依存するので、連結部材の締結面の精度を管理すれば、枠組構造部16全体の精度を管理できることになる。また、構造上締結後のずれが発生し難いことから、締結数を低減することも可能である。
【0031】
既述のように、樹脂一体構造にすることで懸念されることの一つに、異常が発生した場合の対応可否が考えられる。一体化することで取り外しができない事態、あるいは取り外し困難な事態が考えられるためである。そこで、図5に示すように、露光装置、特に露光装置を構成する構成部品のうち少なくともスキャナモータ(ポリゴンモータ)は装置本体より脱着可能な構成として設定する。特に図5の例では、スキャナモータを含む数点の主要部品で構成する露光メインモジュールを脱着可能とする例を示している。これにより、生産工程や使用環境においてモータ異常が発生しても交換可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 連結部材
16 枠組構造体
17 主構造部材
18 締結ネジ
171,172 側板部
173 橋渡し部
174 露光部メインモジュール固定部片
175 防塵ガラス保持部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特許第3067530号公報
【特許文献2】特開2008−9262号公報
【特許文献3】特開2008−28988号公報
【特許文献4】特開2004−77788号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する側板部とこれら側板部をつなぐ少なくとも一つの橋渡し部とで主構造部を構成する画像形成装置用枠組構造体において、上記主構造部を樹脂一体成型で得ること、上記橋渡し部の少なくとも一つが水平配置され、画像形成装置露光部用の筐体機能を担うこと、および筐体機能を担う上記橋渡し部の下方に配されるべき像担持体のさらに下方に、主構造部の樹脂材料よりも剛性の高い材料で成る連結部材を水平配置することを特徴とする、枠組構造体。
【請求項2】
上記連結部材が二つの部材を一体的に接合した2重構造で概ね構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の枠組構造体。
【請求項3】
上記連結部材が、対向する側板部の間に含設されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の枠組構造体。
【請求項4】
上記連結部材が金属材料で構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の枠組構造体。
【請求項5】
上記連結部材が電気的な接地経路としての機能を兼ねていることを特徴とする、請求項4に記載の枠組構造体。
【請求項6】
上記連結部材に締結部を設けて、締結部材を用いて上記側板部の貫通孔を介して連結部材を主構造部に締結接合することを特徴とする、請求項3に記載の枠組構造体。
【請求項7】
上記側板部に締結部を設けて、締結部材を用いて上記連結部材の貫通孔を介して連結部材を主構造部に締結接合することを特徴とする、請求項3に記載の枠組構造体。
【請求項8】
上記連結部材と上記主構造部の間の接合面に接着部材を配することを特徴とする、請求項6または7に記載の枠組構造体。
【請求項9】
上記主構造部が強化材レスの樹脂材料で構成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の枠組構造体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の枠組構造体を装着した画像形成装置。
【請求項11】
露光部のうち少なくともスキャナモータが筐体機能を担う橋渡し部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−204354(P2010−204354A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49172(P2009−49172)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】