説明

画像形成装置管理システムおよび画像形成装置

【課題】 ユーザ登録情報を、1の画像形成から他の画像形成装置に簡単な操作で移動可能なシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明は、複数の画像形成装置のうち1の画像形成装置が、使用者が任意に設定可能なユーザ登録情報を記憶する記憶手段と、ユーザ登録情報の書式を、1の画像形成装置に固有のものから、他の装置でも読み取り可能な共通の書式に変更する書式変更手段と、書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を、複数の画像形成装置のうち他の画像形成装置または管理装置に送信する送信手段とを有し、他の画像形成装置が、共通の書式の前記ユーザ登録情報を受信する受信手段と、受信手段により受信したユーザ登録情報を、共通の書式から、他の画像形成装置に固有のものへ変更する第2の書式変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置管理システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された複数の画像形成装置に対して、1の画像形成装置に記憶されたユーザ登録情報を他の画像形成装置に移動、複製可能な画像形成装置管理システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、FAX、コピー、スキャナ等の機能を併せ持つ、いわゆる複合機といわれる画像形成装置は、オフィスでの仕事に欠かせないものとなっている。オフィスにおいては、複合機をLAN(Local Area Network)に接続し、1台の複合機を同一部署内あるいは同一フロア内の複数の人間で共用するのが通常である。
例えば2階建てのビルにあるオフィスにおいて、組織変更等の事情により、1階の部署と2階の部署が入れ替わるような場合がある。このような場合、人間は自分の荷物と共に2階から1階に移動するが、複合機は当初の場所に設置されたまま移動しないのが通常である。しかし、複合機のメモリには部署ごとにカスタマイズされた短縮ダイヤル等のユーザ登録情報が記憶されているため、このユーザ登録情報を2階の複合機から1階の複合機へと移動する必要がある。従来このユーザ登録情報の移動は手動で行われていた。すなわち、人間や荷物の移動後に、人間が複合機の操作パネルやテンキーを操作して電話番号を入力して短縮ダイヤルを設定するという作業を行っていた。このような作業は非常に煩雑であり、また入力ミスや入力忘れが発生するという問題があった。
【0003】
また、古くなった複合機を新しい複合機に入れ換える場合についても同様に、ユーザ登録情報も古い複合機から新しい複合機へ移動することが不可欠であった。さらに、ユーザ登録情報の移動の際には高度なセキュリティも要求されていた。にもかかわらず、従来、新しい複合機へのユーザ登録情報の移動は、上の例と同様に複合機を設置するサービスマン等が、設置場所で、手作業で入力するのが一般的であった。これは、設置者にとっても使用者にとっても設置作業の大きな負荷となっていた。
【0004】
このような問題を解決する技術としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。特許文献1には、ユーザ登録情報をバーコードに変換し、そのバーコードを印字した紙を出力する技術が開示されている。ユーザは、出力されたバーコードを新たな装置にスキャナ入力する。新たな装置は、読み込んだバーコードをユーザ登録情報に変換し、ユーザ登録情報として利用する。
【特許文献1】特開平5−114969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によっても、古い装置からバーコードの印字された紙を出力し、出力された紙を新しい装置に読み込ませるといった作業は人間が行わなければならず、煩雑であった。また、ユーザ登録情報をバーコードに変換して印字するため、データ量が増大すると出力される紙も多量になり、大量のデータを扱うには不便であるという問題もあった。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ユーザ登録情報を、1の画像形成から他の画像形成装置に簡単な操作で移動可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、ネットワークと、各々が前記ネットワークに接続された複数の画像形成装置と、前記ネットワークに接続された管理装置とを有する画像形成装置管理システムであって、前記複数の画像形成装置のうち1の画像形成装置が、使用者が任意に設定可能なユーザ登録情報を記憶する記憶手段と、前記ユーザ登録情報の書式を、前記1の画像形成装置に固有のものから、他の装置でも読み取り可能な共通の書式に変更する第1の書式変更手段と、前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を、前記複数の画像形成装置のうち他の画像形成装置または前記管理装置に送信する送信手段とを有し、前記他の画像形成装置が、共通の書式の前記ユーザ登録情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信したユーザ登録情報を、共通の書式から、前記他の画像形成装置に固有のものへ変更する第2の書式変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置管理システムを提供する。
好ましい態様において、前記1の画像形成装置が、前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を暗号化する暗号化手段をさらに有し、前記送信手段が、前記暗号化手段により暗号化されたユーザ登録情報を送信し、前記他の画像形成装置が、前記受信手段が受信した、暗号化されたユーザ登録情報を復号化する復号化手段をさらに有し、前記第2の書式変更手段が、前記復号化手段により復号化されたユーザ登録情報の書式を変更することとしてもよい。さらに、この態様において、前記暗号化手段が、前記1の画像形成装置の固有情報に基づいて生成された暗号鍵を用いて暗号化を行ってもよい。前記固有情報としては、前記1の画像形成装置のシリアル番号を用いてもよい。
【0008】
別の好ましい態様において、前記送信手段が、前記管理装置にユーザ登録情報を送信し、前記管理装置が、前記送信手段により送信されたユーザ登録情報を受信する管理装置受信手段と、前記管理装置受信手段により受信されたユーザ登録情報を記憶する管理装置記憶手段と、前記他の画像形成装置からの要求に応じて、前記管理装置記憶手段に記憶されたユーザ登録情報を、該他の画像形成装置に送信する管理装置送信手段とを有してもよい。
さらに別の好ましい態様において、前記送信手段が、ユーザ登録情報を、前記複数の画像形成装置のうち少なくとも2の画像形成装置に送信してもよい。
さらに別の好ましい態様において、前記他の画像形成装置が、前記1の画像形成装置に対し、該他の画像形成装置のユーザ登録情報を送信する返信手段をさらに有し、前記1の画像形成装置が、前記返信手段により送信されたユーザ登録情報を受信する返信受信手段をさらに有してもよい。
さらに別の好ましい態様において、前記1の画像形成装置が、前記記憶手段に記憶されたユーザ登録情報のうち、1部を選択する選択手段をさらに有し、前記送信手段が、前記選択手段により選択された1部のユーザ登録情報のみを送信してもよい。
さらに別の好ましい態様において、前記送信手段がユーザ登録情報を電子メールメッセージに添付して送信し、前記管理装置が携帯端末であり、前記受信手段が電子メールメッセージに添付されたユーザ登録情報を受信してもよい。
【0009】
また、本発明は、ネットワークに接続する接続手段と、使用者が任意に設定可能なユーザ登録情報を記憶する記憶手段と、前記ユーザ登録情報の書式を、当該画像形成装置に固有のものから、他の装置でも読み取り可能な共通の書式に変更する第1の書式変更手段と、前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を、前記ネットワークに接続された他の装置に送信する送信手段とを有する画像形成装置を提供する。
好ましい態様において、この画像形成装置は、前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を暗号化する暗号化手段をさらに有し、前記送信手段が、前記暗号化手段により暗号化されたユーザ登録情報を送信してもよい。さらに、この画像形成装置は、前記ネットワークに接続された他の装置から、共通の書式のユーザ登録情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信したユーザ登録情報の書式を、共通の書式から、当該画像形成装置に固有のものへ変更する第2の書式変更手段と有してもよい。さらに、この画像形成装置は、前記受信手段が受信した、暗号化されたユーザ登録情報を復号化する復号化手段をさらに有し、前記第2の書式変更手段が、前記復号化手段により復号化されたユーザ登録情報の書式を変更してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1の画像形成装置のユーザ登録情報はネットワークを介して他の装置に送信され、他の画像形成装置はネットワークを介して他の装置からユーザ登録情報を受信できる。したがって、1の画像形成から他の画像形成装置に簡単な操作でユーザ登録情報を移動、複製することができる。また、ユーザ登録情報の送信の際に、ユーザ登録情報を暗号化することにより、ユーザ登録情報の移動、複製を安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置管理システム1の構成を示すブロック図である。管理対象となる画像形成装置である4台の複合機10a〜d(これらの複合機をあわせて「複合機群100」という)は、LAN2を介して相互に接続されている。4台の複合機10a〜dは、同一のハードウェア構造を有している。以下の説明において、特に4台の複合機のうち特定のものを区別する必要のないときは、「複合機10」として記載する。複合機10aには、通信制御装置50が接続されており、インターネット等のネットワーク3を介して他の機器とデータの送受信を行うことができる。管理装置60は、複合機群100を遠隔管理するための管理装置である。管理装置60はネットワーク3に接続されており、ネットワーク3および通信制御装置50を介して複合機10との間で制御信号およびデータを通信することができる。
【0012】
図2は、本実施形態に係る複合機10のハードウェア構成を示すブロック図である。複合機10は、プリンタ、FAX、コピー、スキャナの機能を有する画像形成装置である。CPU(Central Processing Unit)11は、複合機10の各構成要素を制御する機能を有する。記憶部12は、CPU11が実行する各種プログラムや、印刷、FAX送信等の処理対象となるデータや、複合機10の動作のためのデータを記憶する。I/F(インターフェイス)13は、他の機器との間で制御信号やデータを送受信するためのインターフェイスである。I/F13は、FAXの送受信をおこなうためのFAXモデムを含んでいる。UI(ユーザインターフェイス)14は、使用者が指示入力を行うためのユーザインターフェイスであり、液晶ディスプレイ、タッチパネル、テンキー等から構成される。
また、複合機10は、プリンタ、FAX、コピー、スキャナの各機能を実現するための画像形成部15、画像読み取り部16、用紙搬送部17を有する。例えば、プリンタとして機能する場合には、複合機10は、LAN2およびI/F13を介して受信した印刷データに対応する画像を、用紙搬送部17により搬送される用紙(記録材)上に、画像形成部15において画像形成する。このように、図2に示す各構成要素を組み合わせてプリンタ、FAX、コピー、スキャナの各機能が実現される。
なお、以下の説明において、図1に示される4台の複合機10の構成要素を区別して説明する必要がある場合は、例えば複合機10aの構成要素に対しては「CPU11a」というように添字aを付加する。
【0013】
記憶部12は、本実施形態に係る管理プログラムを記憶している。CPU11は、記憶部12からこの管理プログラムを読み出して実行する。複合機10は、管理プログラムを実行することにより以下に説明する機能を有することができる。
【0014】
図3は、管理プログラム実行時の複合機10の機能構成を示す機能ブロック図である。フォーマット変更部21は、データを、各装置に固有の独自フォーマット(データ形式、データ書式)から、すべての装置に共通の中間フォーマットへ変更する。またフォーマット変更部21は逆に、中間フォーマットから独自フォーマットへの変更も行う。暗号化/復号化部22は、データの暗号化、および暗号化されたデータの復号化を行う。送信部23は、データをネットワークを介して送信する。受信部24は、ネットワークを介して送信されたデータを受信する。記憶部25は、暗号化処理に使用する暗号鍵や、処理対象となるユーザ登録情報等のデータを記憶する。以上の各機能構成要素は、CPU11が管理プログラムを実行することにより実現される。これらの機能の詳細については後述する。
【0015】
図4は、管理装置60の構成を示すブロック図である。管理装置60は、CPU61、記憶部62、I/F63、キーボード64、マウス65、ディスプレイ66等から構成されるコンピュータ装置である。
【0016】
<1−2.動作>
続いて、本実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作について説明する。本実施形態では、複合機10aに記憶されていたユーザ登録情報を複合機10bに移動する態様について説明する。ここで、「ユーザ登録情報」とは、短縮ダイヤルに登録された電話番号/FAX番号、親展BOX情報等、その画像形成装置を使用するユーザに特有の情報を指す。ユーザ登録情報は、画像形成装置の導入時あるいは使用の過程において、ユーザにより入力、登録されたものである。
【0017】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作を示すフローチャートである。使用者は、まず、複合機10aのUI14aを操作し、複合機10aに記憶されているユーザ登録情報を管理装置60に送信する旨の指示入力を行う(ステップS11)。この指示入力を検出すると、複合機10aのCPU11aは、記憶部12aに記憶されているユーザ登録情報のフォーマット(データ形式)を変換する(ステップS12)。すなわち、CPU11aは、複合機10aに固有の独自フォーマットで記憶されているユーザ登録情報を、すべての装置に共通の中間フォーマットに変換する。
【0018】
続いてCPU11aは、中間フォーマットに変換されたユーザ登録情報を暗号化する(ステップS13)。暗号化には、例えば公開鍵方式の暗号化を用いることができる。すなわち、記憶部12aはこの使用者の公開暗号鍵を記憶しており、使用者は、ステップS11における指示入力の際、使用する公開暗号鍵を指定する。CPU11aは、指定された公開暗号鍵を用いてユーザ登録情報を暗号化する。
【0019】
続いてCPU11aは、暗号化したユーザ登録情報(以下、単に「暗号化ユーザ登録情報」という)を管理装置60に送信する(ステップS14)。すなわち、CPU11aは、記憶部12aから管理装置60のIP(Internet Protocol)アドレスを読み出し、読み出したIPアドレスを宛先として、暗号化ユーザ登録情報およびその保存要求を送信する。送信された暗号化ユーザ登録情報およびその保存要求は、通信制御装置50およびネットワーク3を介して管理装置60に到達する。
【0020】
暗号化ユーザ登録情報およびその保存要求を受信すると、管理装置60のCPU61は、受信した暗号化ユーザ登録情報に、その暗号化ユーザ登録情報を特定するID番号を付与する。CPU61は、ID番号と暗号化ユーザ登録情報とを対応付けて記憶部62に記憶する(ステップS15)。CPU61は、暗号化ユーザ登録情報の送信元である複合機10aに対し、受信確認を送信する。この受信確認は、複合機10aが送信した暗号化ユーザ登録情報を特定するID番号を含んでいる。
受信確認を受信すると、複合機10aのCPU11aは、UI14に受信したID番号を表示する。
【0021】
使用者は、ユーザ登録情報の移動先である複合機10bのUI14bを操作し、ユーザ登録情報を管理装置60からダウンロードする旨の指示入力を行う(ステップS16)。指示入力にあたっては、複合機10aから送信したユーザ登録情報を特定するID番号を指定することにより、ダウンロードする暗号化ユーザ登録情報を特定する。指示入力を検出すると、複合機10bのCPU11bは、管理装置60に対し、暗号化ユーザ登録情報を特定するID番号を含むダウンロード要求を送信する。ダウンロード要求を受信すると、管理装置60のCPU61は、受信したダウンロード要求からID番号を抽出する。CPU61は、抽出したID番号に対応付けられている暗号化ユーザ登録情報を、記憶部62から読み出す。CPU61は、ダウンロード要求の送信元である複合機10bを宛先として、読み出した暗号化ユーザ登録情報を送信する。
【0022】
管理装置60から暗号化ユーザ登録情報を受信すると(ステップS17)、複合機10bのCPU11bは、ユーザ登録情報の復号化を行う(ステップS18)。使用者は、あらかじめ複合機10bの記憶部12bに自らの秘密暗号鍵を記憶させておく。CPU11bは記憶部12bに記憶された秘密暗号鍵を用いて、受信したユーザ登録情報を復号化する。
【0023】
復号化されたユーザ登録情報は、中間フォーマットで記述されている。そこでCPU11bは、ユーザ登録情報のフォーマットを変換する(ステップS19)。すなわち、CPU11bは、中間フォーマットのユーザ登録情報を、複合機10bに特有の独自フォーマットに変換する。CPU11bは、変換したユーザ登録情報を、新たなユーザ登録情報として記憶部12bに記憶する。
【0024】
以上のようにして、複合機10aのユーザ登録情報は、複合機10bに移動される。使用者は、移動先の複合機10bでも従前の複合機10aと同一のユーザ登録情報を使用することができる。
【0025】
<2.第2実施形態>
本実施形態においては、2台の画像形成装置間でユーザ登録情報を交換する態様について説明する。これは、例えばオフィス内の配置変更により、1階の部署と2階の部署が入れ替わった場合に好適である。ここでは、図1に示す画像形成装置管理システム1において、複合機10aのユーザ登録情報(本実施形態においては、「ユーザ登録情報a」という)と複合機10bのユーザ登録情報(同様に、「ユーザ登録情報b」という)との交換を行う動作について説明する。なお、画像形成装置管理システム1、複合機10のハードウェア構成は第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0026】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作を示すフローチャートである。使用者は、まず、複合機10aのUI14aを操作し、複合機10aに記憶されているユーザ登録情報aと、複合機10bに記憶されているユーザ登録情報bとを交換する旨の指示入力を行う(ステップS21)。この指示入力を検出すると、複合機10aのCPU11aは、記憶部12aに記憶されているユーザ登録情報のフォーマット(データ形式)を変換する(ステップS22)。すなわち、CPU11aは、複合機10aに固有の独自フォーマットで記憶されているユーザ登録情報を、すべての装置に共通の中間フォーマットに変換する。
【0027】
各複合機10の記憶部12は、LAN2に接続している複合機群100に属するすべての画像形成装置について、画像形成装置を特定する識別子と、その画像形成装置のIPアドレスとを対応付けて記録した装置テーブルTB1を記憶している。CPU11aは、装置テーブルTB1から、ステップS21の指示入力の際に指定された識別子に対応するIPアドレスを抽出する。CPU11aは、抽出したIPアドレスを宛先として、ユーザ登録情報の交換要求を、フォーマット変換したユーザ登録情報aと共に送信する(ステップS23)。
【0028】
ユーザ登録情報の交換要求を受信すると(ステップS24)、複合機10bのCPU11bは、受信したユーザ登録情報aを、中間フォーマットから独自フォーマットに変換する(ステップS25)。CPU11bはユーザ登録情報aを記憶部12bに記憶する(ステップS26)。
続いてCPU11bは、同様に、ユーザ登録情報bを中間フォーマットに変換する。CPU11bは、受信した交換要求の送信元である複合機10aを宛先として、交換応答を、フォーマット変換したユーザ登録情報bと共に送信する。
【0029】
交換応答を受信すると、複合機10aのCPU11aは受信したユーザ登録情報bを記憶部12aに記憶し、新たなユーザ登録情報とする。CPU11aは、古いユーザ登録情報、すなわちユーザ登録情報aを記憶部12aから消去する。
ユーザ登録情報bを記憶部12aに記憶すると、CPU11aは、確認応答を複合機10bに送信する。確認応答を受信すると、複合機10bのCPU11bは、記憶部12に記憶されているユーザ登録情報aを新たなユーザ登録情報とし、古いユーザ登録情報すなわちユーザ登録情報bを記憶部12bから消去する。
【0030】
以上のようにして、複合機10aのユーザ登録情報aと複合機10bのユーザ登録情報bとの交換を簡単に行うことができる。
【0031】
<3.第3実施形態>
本実施形態では、ある画像形成装置のユーザ登録情報を、複数の他の画像形成装置に送信する態様について説明する。これは、例えば同一のLANに接続された複数の複合機について短縮ダイヤルの番号を統一する場合に好適である。ここでは、図1に示す画像形成装置管理システム1において、複合機10aのユーザ登録情報(本実施形態においては、「ユーザ登録情報a」という)を、複合機10b〜10dに送信し、すべての複合機において、ユーザ登録情報aをユーザ登録情報として記憶する動作について説明する。なお、画像形成装置管理システム1、複合機10のハードウェア構成は第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0032】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作を示すフローチャートである。使用者は、まず、複合機10aのUI14aを操作し、複合機10aに記憶されているユーザ登録情報aを、複合機群100に属するすべての複合機10におけるユーザ登録情報として使用する旨の指示入力を行う(ステップS31)。この指示入力を検出すると、複合機10aのCPU11aは、記憶部12aに記憶されているユーザ登録情報のフォーマット(データ形式)を変換する(ステップS32)。すなわち、CPU11aは、複合機10aに固有の独自フォーマットで記憶されているユーザ登録情報を、すべての装置に共通の中間フォーマットに変換する。
【0033】
各複合機10の記憶部12は、LAN2に接続している複合機群100に属するすべての画像形成装置について、画像形成装置を特定する識別子と、その画像形成装置のIPアドレスとを対応付けて記録した装置テーブルTB1を記憶している。CPU11aは、装置テーブルTB1から、すべての複合機のIPアドレスを抽出する。CPU11aは、抽出したIPアドレスを宛先として、ユーザ登録情報の更新要求を、フォーマット変換したユーザ登録情報aと共に送信する(ステップS33)。
【0034】
複合機10b〜10dはそれぞれ、受信したユーザ登録情報aを、新たなユーザ登録情報として記憶する。この動作は複合機10b〜10dについて共通なので、以下、複合機10bについてのみ説明する。
ユーザ登録情報の更新要求を受信すると(ステップS34)、複合機10bのCPU11bは、受信したユーザ登録情報aを、中間フォーマットから独自フォーマットに変換する(ステップS35)。CPU11bはユーザ登録情報aを、新たなユーザ登録情報として記憶部12bに記憶する(ステップS36)。CPU11bは、ユーザ登録情報の更新が完了したことを示す更新完了通知を、更新要求の送信元である複合機10aに送信する。
【0035】
更新完了通知を受信すると、複合機10aのCPU11aは、処理を完了する。なお、更新要求の送信時からあらかじめ決められた時間内に更新完了通知を受信しない場合は、通信異常が発生したものとみなして、更新要求を再送信する構成としてもよい。
このようにして、複合機10b〜10dのユーザ登録情報は、ユーザ登録情報aに更新される。したがって、複合機群100を構成する複合機10a〜10dのすべてにおいて、同一のユーザ登録情報を使用することが可能となる。
【0036】
<4.変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形実施が可能である。
第1実施形態においては、ユーザ登録情報の送信に際し暗号化を行う態様について説明したが、暗号化処理を省略してもよい。すなわち、図5において、ステップS13およびステップS18の処理を省略してもよい。ただし、暗号化処理を行った方が、ユーザ登録情報の悪用を防ぐことができるため、より好適である。
【0037】
また、第1実施形態においては、暗号化したユーザ登録情報を、インターネット、公衆回線等のネットワーク3を介して管理装置60に送信する態様について説明したが、ユーザ登録情報の送信先はこのような外部ネットワークに接続されている装置に限られない。例えば、ユーザ登録情報の送信元である複合機10aと同一のLAN2に属するコンピュータ装置に送信してもよい。あるいは、LAN2に接続されている他の画像形成装置(複合機10c、10d)に送信してもよい。また、送信するユーザ登録情報の機密度、ファイルサイズ等に応じてこれらの送信先を選択可能な構成としてもよい。
【0038】
また、第1実施形態においては、使用者に固有の秘密暗号鍵および公開暗号鍵を用いる態様について説明したが、画像形成装置に固有の秘密暗号鍵および公開暗号鍵を用いてもよい。すなわち、複合機10a〜10dの各々は、自機のシリアル番号等を元に生成した秘密暗号鍵を、記憶部12に記憶している。さらに、記憶部12は、LAN2に接続されている他の複合機10の公開暗号鍵も記憶している。この場合、使用者がユーザ登録情報の送信を指示すると、CPU11aは、送信先の画像形成装置の公開暗号鍵を記憶部12aから読み出し、この公開暗号鍵を用いてユーザ登録情報の暗号化を行う。暗号化ユーザ登録情報を管理装置60からダウンロードした複合機10bのCPU11bは、自機の秘密暗号鍵を用いてユーザ登録情報を復号化する。この態様によれば、暗号化ユーザ登録情報は、送信時に指定された宛先の画像形成装置上でのみ復号化することができるので、よりセキュリティを向上させることができる。
【0039】
また、上述の第1〜第3実施形態においては、ユーザ登録情報のすべてを他の装置に送信する態様について説明したが、ユーザ登録情報のうち1部(「部分ユーザ登録情報」という)のみを他の装置に送信する構成としてもよい。例えば第1実施形態において、ステップS11のユーザ登録情報の送信指示の際に、ユーザ登録情報のうち、他の装置に送信する部分を選択するようにすればよい。複合機10aのCPU11aは、ユーザ登録情報の追加要求を、部分ユーザ登録情報と共に送信する。追加要求を受信した複合機10bのCPU11bは、記憶部12bに記憶されているユーザ登録情報に、受信した部分ユーザ登録情報を追加する。この態様によれば、ユーザ登録情報の部分的な移植を簡単に行うことができる。
【0040】
また、第2、第3実施形態においては、ユーザ登録情報の送信の際に暗号化を行わない態様について説明したが、第1実施形態と同様に暗号化を行うこととしてもよい。暗号化を行うことにより、ユーザ登録情報の悪用を防止することができる。
【0041】
また、第1実施形態において、携帯電話、PDA等の携帯端末を管理装置とし、ユーザ登録情報を移動通信網を介して携帯端末に送信する構成としてもよい。その際、ユーザ登録情報を電子メールメッセージとして送信し、ユーザ登録情報を電子メールメッセージの添付ファイルとして送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置管理システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る複合機10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】管理プログラム実行時の複合機10の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】管理装置60の構成を示すブロック図である。
【図5】同実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置管理システム1の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1…画像形成装置管理システム、2…LAN、3…ネットワーク、10…複合機、11…CPU、12…記憶部、13…I/F、14…UI、15…画像形成部、16…画像読み取り部、17…用紙搬送部、21…フォーマット変更部、22…暗号化/復号化部、23…送信部、24…受信部、25…記憶部、50…通信制御装置、60…管理装置、61…CPU、62…記憶部、63…I/F、64…キーボード、65…マウス、66…ディスプレイ、100…複合機群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと、
各々が前記ネットワークに接続された複数の画像形成装置と、
前記ネットワークに接続された管理装置と
を有する画像形成装置管理システムであって、
前記複数の画像形成装置のうち1の画像形成装置が、
使用者が任意に設定可能なユーザ登録情報を記憶する記憶手段と、
前記ユーザ登録情報の書式を、前記1の画像形成装置に固有のものから、他の装置でも読み取り可能な共通の書式に変更する第1の書式変更手段と、
前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を、前記複数の画像形成装置のうち他の画像形成装置または前記管理装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記他の画像形成装置が、
共通の書式の前記ユーザ登録情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したユーザ登録情報の書式を、共通の書式から、前記他の画像形成装置に固有のものへ変更する第2の書式変更手段と、
を有する
ことを特徴とする画像形成装置管理システム。
【請求項2】
前記1の画像形成装置が、前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を暗号化する暗号化手段をさらに有し、
前記送信手段が、前記暗号化手段により暗号化されたユーザ登録情報を送信し、
前記他の画像形成装置が、前記受信手段が受信した、暗号化されたユーザ登録情報を復号化する復号化手段をさらに有し、
前記第2の書式変更手段が、前記復号化手段により復号化されたユーザ登録情報の書式を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項3】
前記暗号化手段が、前記1の画像形成装置の固有情報に基づいて生成された暗号鍵を用いて暗号化を行うことを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項4】
前記固有情報が、前記1の画像形成装置のシリアル番号であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項5】
前記送信手段が、前記管理装置にユーザ登録情報を送信し、
前記管理装置が、
前記送信手段により送信されたユーザ登録情報を受信する管理装置受信手段と、
前記管理装置受信手段により受信されたユーザ登録情報を記憶する管理装置記憶手段と、
前記他の画像形成装置からの要求に応じて、前記管理装置記憶手段に記憶されたユーザ登録情報を、該他の画像形成装置に送信する管理装置送信手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項6】
前記送信手段が、ユーザ登録情報を、前記複数の画像形成装置のうち少なくとも2の画像形成装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項7】
前記他の画像形成装置が、前記1の画像形成装置に対し、該他の画像形成装置のユーザ登録情報を送信する返信手段をさらに有し、
前記1の画像形成装置が、前記返信手段により送信されたユーザ登録情報を受信する返信受信手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項8】
前記1の画像形成装置が、前記記憶手段に記憶されたユーザ登録情報のうち、1部を選択する選択手段をさらに有し、
前記送信手段が、前記選択手段により選択された1部のユーザ登録情報のみを送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項9】
前記送信手段がユーザ登録情報を電子メールメッセージに添付して送信し、
前記管理装置が携帯端末であり、
前記受信手段が電子メールメッセージに添付されたユーザ登録情報を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項10】
ネットワークに接続する接続手段と、
使用者が任意に設定可能なユーザ登録情報を記憶する記憶手段と、
前記ユーザ登録情報の書式を、当該画像形成装置に固有のものから、他の装置でも読み取り可能な共通の書式に変更する第1の書式変更手段と、
前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を、前記ネットワークに接続された他の装置に送信する送信手段と
を有する画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の書式変更手段により書式が変更されたユーザ登録情報を暗号化する暗号化手段をさらに有し、
前記送信手段が、前記暗号化手段により暗号化されたユーザ登録情報を送信する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ネットワークに接続された他の装置から、共通の書式のユーザ登録情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したユーザ登録情報の書式を、共通の書式から、当該画像形成装置に固有のものへ変更する第2の書式変更手段と、
をさらに有する請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記受信手段が受信した、暗号化されたユーザ登録情報を復号化する復号化手段をさらに有し、
前記第2の書式変更手段が、前記復号化手段により復号化されたユーザ登録情報の書式を変更する
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−93854(P2006−93854A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273740(P2004−273740)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】