説明

画像形成装置

【課題】PLL回路に供給する電源の電源変動(電源リップル)を抑圧し、書込みクロックジッタを減少させる。
【解決手段】LD変調装置10にて画像信号を変調し、その出力信号によりレーザビーム発生装置(LD)11を制御して光ビームを発生し、この光ビームにより感光体を走査して、該感光体上に静電潜像を形成する。書込クロック発生手段23により画像信号に同期した書込クロックを発生するが、この書込みクロック発生手段23にはPLL回路30が設けられている。電源調節手段42は、このPLL回路30に加えられる電源の電源変動を抑圧する。電源調節手段42を通してPLL回路30のVCOに電源を供給することで、PLL回路のVCOに供給する電源の電源変動を抑圧でき、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を小さくし、画像品質の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の、特に、レーザー書込み光学系を用いた画像形成装置に係わり、画像信号に同期したクロックの発生源としてPLL回路を用いた画像形成装置において、PLL回路(より詳細には、PLL回路のVCO(電圧制御発振器))に供給する電源の電源変動を低減し、書込クロックのジッタを小さくして画像品質の向上を図ったものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、レーザビーム走査装置を有する画像形成装置の一例を説明するための要部構成図で、図中、11は、画像信号に合わせて点灯するレーザビーム(光ビーム)発生手段としてのレーザダイオード(以下LDという)ユニット内のLDで、該LD11から出射されたレーザビーム(光ビーム)12は、図示されていないコリメートレンズにより平行光束化されてシリンダレンズを通り、偏向手段としてのポリゴンミラー(回転多面鏡)13によって偏向され、fθレンズ14及び図示されていないBTL(バレル・トロイダルレンズ)を通って、像担持体としての感光体15上を走査する。なお、ポリゴンミラー13は、図示されていない駆動手段としてのポリゴンモータにより感光体15の軸と直角の軸まわりに矢印A方向に回転される(感光体15に対して、図12に示す関係で回転される)。
【0003】
感光体15としては、ドラム状感光体(図示例)やベルト状感光体などが用いられる。そして、fθレンズ14は、主にポリゴンミラー(回転多面鏡)13により等角速度で走査しているレーザビーム12を感光体15上で軸方向(主走査方向)に等速度走査するように速度変換を行い、BTL(バレル・トロイダルレンズ)は、主に副走査方向(矢印B方向)のピント合わせ(集光機能と副走査方向の位置補正(面倒れ等))を行う。
【0004】
感光体15の周りには、帯電手段としての帯電器1、現像手段としての現像装置2、転写手段としての転写器3、定着手段としての定着装置4、クリーニング手段としてのクリーニング装置5、除電手段としての除電器6等が配置されており、通常の電子写真プロセスにより、転写材としての記録紙7上に画像が形成される。すなわち、感光体15は、図示されていない駆動機構により矢印B方向に回転駆動され、帯電器1によりその表面が一様に帯電された後に、レーザビーム走査装置からのレーザビーム12により走査されることで露光され、静電潜像が形成される。このようにして形成された感光体15上の静電潜像は、現像装置2により現像されて(顕像化されて)トナー像となり、転写器3により、給紙装置から供給される記録紙7に転写され、転写されたトナー像は定着装置4により記録紙7に定着されて外部へ排出される。感光体15は、トナー像転写後にクリーニング装置5によりクリーニングされて残留トナーが除去され、除電器6により除電され、次の電子写真プロセスに備える。
【0005】
図12は、画像書込部としてのレーザビーム走査装置周辺の制御系を説明するための図で、図11に示したように、レーザビーム12には感光体15上を矢印C方向に主走査されるが、感光体ドラム15の両端部にはレーザビーム12(光ビーム)を検知する光ビーム検出手段としてのセンサ16、17が備えられており、fθレンズ14を透過したレーザビーム12がセンサ16、17に入射され、レーザビーム12の走査開始点及び走査終了点が検知されるような構成となっている。なお、図12においては、複数あるレンズの代表としてfθレンズ14のみを示している。また、センサ16は、同期検知信号となるレーザビーム走査同期信号の検知を行うための同期検知センサの役割も果たしている。
【0006】
レーザビーム12が、矢印Cにて示す方向に感光体15上を主走査することにより、センサ16、17がそれぞれレーザビーム12を検知してレーザビーム検知信号DETP1、DETP2を出力し、これらレーザビーム検知信号DETP1、DETP2が、時間差計測部21へ送られる。
【0007】
時間差計測部21は、センサ16の出力信号DETP1とセンサ17の出力信号DETP2との時間差を測定し、平均化するなどの算術機能を有し、制御装置(CPU)24からの設定タイミングに応じて測定及び演算を行い、その測定及び算術結果を、倍率補正制御部22へ送る。
【0008】
倍率補正制御部22は、制御装置(CPU)24から設定された書込クロック周波数及び位相調整値の初期設定値又は/及び現在の設定値を記憶する記憶部を有し、書込クロックの周波数によって主走査方向の画像倍率が変わることを利用して、また、書込クロック調整単位では、調整することが出来ない微少時間における位相をシフトすることにより画像倍率が変わることを利用して、前記時間差計及び算術結果をもとに、最適な書込クロック周波数及び位相調整値を算出し又は/及び書込クロック周波数を固定して、最適な位相調整値を算出する機能を有し、前記位相調整値と制御装置(CPU)24から設定された基準値とを比較する機能を有し、CPU24の設定により、書込クロック設定及び位相調整を実施する制御信号を書込クロック生成部23へ送る。
【0009】
書込クロック生成部23は、周波数変調部23a及び位相制御部23bから構成され、周波数変調部23aは、図示されていない発振器からのクロックを受けて、書込クロックPCLKのn倍のクロックを生成し、位相制御部23bは、同期検知信号としての前記DETP1(レーザビーム検知信号)に同期してPLL発信クロックをn分周し、DETP1に同期した書込クロックPCLKを生成する機能、及び、前記PLL発信クロック半周期の整数倍量を書込クロックの特定周期に加減することで、1画素単位で書込クロック周期をシフトする機能を有する。つまり、書込クロック生成部23は、制御装置(CPU)24、さらに、倍率補正制御部22の制御を受けて、書込クロックの生成、及び、位相調整を実行する。
【0010】
書込クロック生成部23で周波数可変及び位相可変による主走査の画像倍率補正がなされた書込クロックPCLKは、光ビーム発生手段駆動部としてのLD変調装置10へ送られる。LD変調装置10は、LDドライバ60を通して、レーザビーム走査装置におけるLDユニット内のLD11の点灯を書込クロック生成部23からの書込クロックPCLKに同期させた画像信号に応じて制御する。これによって、LDユニット内のLD11から画像信号に応じて変調されたレーザビーム12が出射され、このレーザビーム12が、前述のようにポリゴンミラー13により偏向されfθレンズ14を介して感光体15上を走査する。
【0011】
図13は、PLL回路とその周辺回路を示した図で、PLL回路30は、入力信号の位相に同期した新たな信号を生成するための回路で、基本的には、位相比較器30、ループ・フィルタ30、VCO(電圧制御発振器)30から構成され、周辺回路として、水晶発振器31、1/M分周器32、1/N分周器33、電源35等があり、電源35よりPLL回路30、及び、VCO(電圧制御発振器)30に電源を供給するようにしている。
【0012】
図13に示した回路においては、VCO(電圧制御発振器)30の出力である書込クロック(fout)を分周器33を用いて1/Nに分周し、この分周器33からの信号と水晶発振器31から発振された基準クロック(fin)を分周器32を用いて1/Mに分周した信号とを、位相比較器30にて比較し、ループフィルタ30を通してVCO(電圧制御発振器)30に供給し、このVCO30より書込クロック(fout)を出力する。なお、PLL回路30の出力信号である書き込みクロック(fout)と水晶発振器31の出力信号である基準クロック(fin)、分周比N、Mの間には、fout=fin×N/Mの関係が成立する。
【0013】
図14は、書込クロック生成部23の概略図であり、PLL回路30が、書込クロック生成部23に配置されている構成を示したもので、図14では、PLL回路30は、書込クロック生成部23を構成する位相制御部23b内に配置されている。なお、PLL回路30は、位相制御部23bの外に配置される場合もありうる。
【0014】
図15は、従来技術におけるPLL回路30とロジック回路(LD変調装置)10の関係を示す構成図で、PLL回路30、ロジック回路(LD変調装置)10は、図示のように配置され、PLL回路30が生成した書込クロックPCLKは、ロジック回路(LD変調装置)10へ送出され、ロジック回路10は、該書込クロックPCLKに同期させた画像信号からデータ信号を生成し、前述のように、LDドライバ60を通して、LD(光ビーム発生装置)11へ送出する。
【0015】
この場合、従来技術においては、電源35は、PLL回路30、ロジック回路(LD変調装置)10に直接供給されるようになっているが、特許文献1記載のカラー画像形成装置では、図15に示したように、各PLL回路30と電源35の間に、フェライトビーズインダクタLを入れて高周波ノイズが他のPLL回路の電源に入りにくくして、PLL間の電源の干渉を小さくしてクロックジッタを減少させ、更に、各PLL回路にコンデンサCを入れて各PLL回路の電源電圧を安定化させている。
【特許文献1】特開2003−118160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
PLL(Phase Lock Loop)回路のVCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)への電源変動(電源リップル)は、PLLの安定出力に悪影響を及ぼすため、従来から、電源変動を抑えるため、フィルタ(RCフィルタ、LCフィルタ等)を介した構成が知られている。しかし、フィルタの特性によっては電源変動を抑圧しきれない場合があった。あるいは、場合によっては、更に大きな電源変動がPLLに与えられてしまうこともあった。その結果、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)が大きくなり、画像品質が落ちることがあった。
【0017】
本発明の第1の目的は、PLL回路に供給する電源の電源変動(電源リップル)を抑圧し、書込みクロックジッタを減少させることであり、そのため、電源調節装置を通してPLL回路のVCO(電圧制御発振器)に電源を供給するようにして、電源変動がPLL回路に及ばないようにした。
【0018】
本発明の第2の目的は、複数のPLL回路を使用して、書込みクロックを生成するときに生じる問題を解決することである。つまり、複数のPLL回路で複数色分の画像信号に同期させる書込みクロックを生成するとき、複数色の書込みクロックを生成するPLLの発振周波数は同程度(±1%以内)になりやすい。そして、このような構成でPLLを発振させると、発振周波数が同程度(±1%以内)になりやすいために、各PLL回路が干渉し、発振周波数の差が大きいときに比べてPLL出力周波数の揺らぎ、すなわち、クロックジッタが10倍以上も大きくなることがあるという問題がある。そのため、PLL回路のVCO(電圧制御発振器)へ電源調節装置を通して電源を供給するようにして、クロックジッタによる画像品質の低下が目立つ色のPLL回路に供給する電源の電源変動(電源リップル)を抑圧し、クロックジッタを減少させるようにした。
【0019】
本発明の第3の目的は、クロックジッタを減少させる必要のあるPLL回路にのみ電源調節装置を通して電源を供給することである。複数のPLL回路で複数色分の画像信号に同期させる書込みクロックを生成するとき、クロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)が非常に大きくなりそうな条件であっても、PLL回路のVCO(電圧制御発振器)へ供給される電源が非常に安定していれば発振周波数の揺らぎは非常に小さくなる。そこで、前記の条件で成り立つような電源調節装置とPLL回路を組む必要がある。そのため、電源調節装置を通して電源を供給しなければならないPLL回路にのみ電源調節装置を通して電源を供給し、電源調節装置を通して電源を供給する必要のないPLL回路には電源調節装置を通さず電源を供給するようにした。
【0020】
本発明の第4の目的は、複数のPLL回路で複数色分の画像信号に同期させる書込みクロックを生成するとき、クロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)が非常に大きくなる場合の問題を解決することである。そこで、各PLL回路のVCO(電圧制御発振器)へ一対一で電源調節装置から生成した電源を供給するようにして、確実に電源変動を抑制し、クロックジッタを低減するようにした。
【0021】
本発明の第5の目的は、複数個のPLL回路が1つのパッケージに封入されている構成の場合に発生する問題を解決することである。つまり、パッケージを構成する場合には、さらに電源変動を抑圧させ、クロックジッタを低減させなければならない。そこで、PLL回路のVCO(電圧制御発振器)に一対一で電源調節装置を通して電源を供給するようにした。
【0022】
本発明の第6の目的は、電源調節装置のコストを抑えることである。そこで、電源調節装置として、レギュレータ(例えば、シリーズレギュレータ、三端子レギュレータ)を使用した。なぜなら、レギュレータはコストが低く(小型のセラミックコンデンサーを用いて低コストでレギュレータ回路を組めるようになっため)、高信頼性で、ノイズが少ないからである。
なお、CR回路、CL回路には下記のような問題がある。つまり、CR回路には、電源ラインに抵抗を挿入するため電圧降下を引き起こし所望の電圧をVCO(電圧制御発振器)に供給することが困難であるという問題がある。また、CL回路には、対象としている電源変動が数kHz帯なので比較的大きな容量のコイルとコンデンサーが必要となり(例、L:100uH、C:470uF)、かつ、電源ラインにコイルを挿入するのでインピーダンスの低いものを選ばなければならないため、大きなコイルを選ばなければならず、高コストとなり、発振しやすいという問題である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1の発明は、画像信号に応じて変調された光ビームにより感光体を走査する画像形成装置において、画像信号に同期した書込クロックを発生する書込クロック発生手段と、該書込みクロック発生手段に対応して設けられたPLL回路に電源調節手段を有し、前記PLL回路の電源変動を抑圧するようにしたことを特徴とする。
【0024】
請求項2の発明は、画像信号に応じて変調された複数の光ビームにより1あるいは複数の感光体を走査する画像形成装置において、前記複数の光ビームのそれぞれについて画像信号に同期した書込クロックを発生する書込クロック発生手段を有するとともに、各書込みクロック発生手段にPLL回路を有し、該複数のPLL回路のうち少なくとも1のPLL回路に電源調節手段を有することを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記複数のPLL回路のうち少なくとも2のPLL回路に電源調節手段を有することを特徴とする。
【0026】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記複数のすべてのPLL回路に対して一対一で電源調節手段を有することを特徴とする。
【0027】
請求項5の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかの発明において、複数のPLL回路が1つのパッケージに封入されていることを特徴とする。
【0028】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、電源調節手段としてレギュレータを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
電源調節装置を通してPLL回路のVCO(電圧制御発振器)に電源を供給することで、PLL回路のVCO(電圧制御発振器)に供給する電源の電源変動(電源リップル)を抑圧でき、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を小さくし、画像品質の向上を図ることができる。
【0030】
また、画像品質の低下が目立つ色の画像信号に同期させる書込クロックを生成するPLL回路のVCO(電圧制御発振器)へ電源調節装置を通して電源を供給することで、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を小さくし、全体的な画像品質の向上を図ることができる。
【0031】
また、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)が非常に大きくなりそうな条件であっても、電源調節装置を通してPLL回路のVCO(電圧制御発振器)に電源を供給することで、PLL回路のVCO(電圧制御発振器)へ供給する電源をより安定させたので、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)は非常に小さくなり、画像品質の向上を図ることができる。
【0032】
また、各PLL回路のVCO(電圧制御発振器)へ一対一で電源調節装置を通して電源を供給したので、高い信頼性で電源変動を抑制し書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を低減でき、画像品質の向上を図ることができる。
【0033】
また、複数のPLL回路が1つのパッケージに封入されていても電源調節装置を通して該PLL回路のVCO(電圧制御発振器)に電源を供給することで、PLL回路のVCO(電圧制御発振器)に供給する電源の電源変動(電源リップル)を抑圧したため、書込みクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を小さくでき、画像品質の向上を図ることができる。
【0034】
また、電源調節装置としてレギュレータを用いることで、クロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を低減させるためのコストが低く抑えられ、高い信頼性で、PLL回路を用いることができた。そして、電源調節装置としてレギュレータを用いることでノイズが少なくなるため、電源変動を抑制しクロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)を低減でき、画像品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明による画像形成装置40の要部概略構成図で、図中、41は、PSU(電源供給装置)で、該PSU41は、PLL回路30、ロジック回路(LD変調装置)10に供給する電源を生成する。このPSU41からの電源は、LD変調装置(ロジック回路)10にはそのまま供給され、PLL回路30内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)へは電源調節装置42(レギュレータ)を通して供給される。なお、図示されていないがPLL回路30にもPSU41からの電源が直接供給されるようになっている。PLL回路30が生成した書込クロックPCLKは、前述のように、ロジック回路(LD変調装置)10へ送られ、ロジック回路(LD変調装置)10は、該書込クロックPCLKに同期させた画像信号からデータ信号を生成し、LDドライバ60を通して、LD(光ビーム発生装置)11へ送出する。
【0036】
図2は、電源調節装置42(レギュレータ)とPLL回路30内のVCO(電圧制御発振器)30との接続関係、並びに、PLL回路30の周辺回路(水晶発振器31、分周器32、分周器33)を示した構成図で、PLL回路30内のVCO(電圧制御発振器)30にのみ電源調節装置42(レギュレータ)を通して電源35を供給している。
【実施例1】
【0037】
図3は、図1に示した実施例における電源調節装置、並びに、該電源調節装置における周辺回路の機能ブロック図で、図3には、書込クロックPCLKを生成するPLL回路30、書込クロックジッタを減少させる電源調節装置42、LD(光ビーム発生装置)11へ供給するデータ信号を生成するロジック回路(LD変調装置)10が、配置されている。PLL回路30が生成した書込クロックPCLKは、ロジック回路(LD変調装置)10へ送られ、該ロジック回路10は、書込クロックPCLKに同期させた画像信号からデータ信号を生成し、LDドライバ60を通して、LD(光ビーム発生装置)11へ送出する。また、PLL回路30内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)には、電源35が電源調節装置42を通して供給され、ロジック回路(LD変調装置)10には電源調節装置42を通さず直接供給されるようになっている。なお、図示されていないがPLL回路30にも電源35が電源調節装置42を通さず直接供給されるようになっている。
【0038】
図4は、図3におけるPLL回路30内の構成、並びに、周辺回路を明らかにした機能ブロック図で、図4において、電源調節装置42は、シリーズレギュレータであり、PLL回路30内のVCO(電圧制御発振器)30にのみ電源調節装置42を通して電源35が供給されている。VCO(電圧制御発振器)30は、電源変動に非常に弱く、500MHz程度の発振周波数だと10〜20mVの電源変動で数MHz周波数が変動してしまう。そして、前記変動による影響は、画像揺らぎとなって直接画像に現れてくる。そのため、電源調節装置42(レギュレータ)を用いて、特にVCO(電圧制御発振器)30の電源変動を抑制する必要がある。
【実施例2】
【0039】
図5は、本発明の第2の実施例における電源調節装置、並びに、該電源調節装置における周辺回路の機能ブロック図で、図5には、書込クロックPCLKを生成するPLL回路30(30、30、30、30)、書込みクロックジッタを減少させる電源調節装置42(42、42、42、42)、及び、K(ブラック)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)の4色の画像を重ね合わせたカラー画像を形成するために、4色用のデータ信号を生成するロジック回路10(10、10、10、10)が、配置されている。
【0040】
PLL回路30が生成した書込クロックPCLKは、ロジック回路(LD変調装置)10へ送出され、4つのロジック回路(LD変調装置)10(10、10、10、10)は、書込クロックPCLKに同期させた画像信号からデータ信号を生成し、LDドライバ60(60、60、60、60)を通して、LD(光ビーム発生装置)11(11、11、11、11)へ送出する。PLL回路30(30、30、30)内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)には、電源調節装置42を通して電源を供給しているが、本実施例では、3つの電源調節装置42(42、42、42)が、3つのPLL回路30(30、30、30)内のVCO(電圧制御発振器)に一対一に対応して駆動するようにしている。なお、図示してはいないが、PLL回路30(30、30、30)へは、電源調節装置42を通さず直接電源を供給している。イエロー(Y)のPLL回路に対しては電源調節装置を設けていない。これは、イエロー(Y)は、クロックジッタ(PLLの発振周波数の揺らぎ)による画質低下が目立ちにくい色で、電源調節装置が無くてもクロックジッタによる影響を十分許容できるため、イエロー(Y)のロジック回路10に対応して設けられているPLL回路30及びPLL回路30内のVCO(電圧制御発振器)には電源調節装置を通すことなく電源を供給するようにしている。
【実施例3】
【0041】
図6は、第3の実施例における電源調節装置、並びに、該電源調節装置における周辺回路の機能ブロック図で、図6では、書込クロックPCLKを生成する4つのPLL回路30(30、30、30、30)内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)に対して、2つの電源調節装置42(42、42)が設けられている。すなわち、本実施例では、1つの電源調節装置42で2つのPLL回路30内のVCO(電圧制御発振器)に電源を供給するようにしている。つまり図示例の場合、1つの電源調節装置42が、2つのPLL回路30、30内のVCO(電圧制御発振器)を駆動し、さらに、もう1つの電源調節装置42が、他の2つのPLL回路30、30内のVCO(電圧制御発振器)を駆動している。なお、図示してはいないが、PLL回路30(30、30、30、30)へは、電源調節装置42を通さず直接電源を供給している。
【実施例4】
【0042】
図7は、本発明の第4の実施例における電源調節装置、並びに、該電源調節装置における周辺回路の機能ブロック図で、図7には、書込クロックPCLKを生成するPLL回路30の全て30、30、30、30内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)に対して、書込みクロックジッタを減少させる電源調節装置42、42、42、42が一対一で対応し、4つのPLL回路30、30、30、30内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)に対してそれぞれ電源調節装置42、42、42、42が設けられている。このようにすることにより高い信頼性で電源変動を抑圧し、クロックジッタを低減でき画像品質の向上を図ることができる。なお、図示してはいないが、PLL回路30(30、30、30、30)へは、電源調節装置42を通さず直接電源を供給している。
【実施例5】
【0043】
図8は、本発明の第5の実施例における電源調節装置、並びに、該電源調節装置における周辺回路の機能ブロック図で、図中、50は、ICパッケージで、該ICパッケージ50には、複数のPLL回路30(30、30、30、30)が封入されている。このように、複数のPLL回路が1つのパッケージに封入されていても、電源調節装置を用いてPLL回路のVCOに供給する電源の電源変動(電源リップル)を抑圧したため、書込みジッタを小さくでき、画像品質の向上を図ることができる。なお、図示してはいないが、PLL回路30(30、30、30、30)へは、電源調節装置42を通さず直接電源を供給している。
【実施例6】
【0044】
図9は、本発明の第6の実施例における電源調節装置、並びに、該電源調節装置における周辺回路の機能ブロック図で、本実施例では、書込みクロックジッタを減少させる電源調節回路(電源調節装置)としてレギュレータ51(51、51、51、51)を用いている。レギュレータとしては、シリーズレギュレータ、三端子レギュレータ等が用いられる。なお、図9では各PLL回路30、30、30、30内の図示されていないVCO(電圧制御発振器)に対して、レギュレータ51、51、51、51が設けられているが、PLL回路30と30とは1つのパッケージ50に、PLL回路30と30が他のパッケージ50に封入されている。つまり、2つのPLL回路を1つのパッケージに封入した2つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)50、50が配置されている。一方のASIC50は、K(ブラック)、M(マゼンタ)用のデータ信号を生成し、他方のASIC50は、C(シアン)、Y(イエロー)用のデータ信号を生成して、LD(光ビーム発生装置)11へ送出する。なお、図示してはいないが、PLL回路30(30、30、30、30)へは、レギュレータ51を通さず直接電源を供給している。
【0045】
ここで、レギュレータの構成について説明する。
図10は、本実施例におけるレギュレータ51の構成図であり、図中、レギュレータ51は、パス・トランジスタ部52、誤差増幅器53、基準電圧部54、検出部55より構成されている。図10において、非安定な入力電圧Vは、パス・トランジスタ部52を通って負荷の電子回路に出力されるが、出力電圧Vは、検出部55で抵抗分割された後に誤差増幅器53において基準電圧部54の基準電圧と比較される。この時、基準電圧部54側の基準電圧が大きい場合はパス・トランジスタ部52の出力電流Iを増加して出力電圧を高くする方向に働き、検出部55側の出力電圧が大きい場合はパス・トランジスタ部52の出力電流Iを抑制して出力電圧を低くする方向に働き電源変動を抑圧する。
【0046】
このように、電源調節装置としてレギュレータを用いることでコストが低く抑えられ、高い信頼性で用いることができ、また、ノイズが少ないため、電源変動を抑制しクロックジッタを低減でき、画像品質の向上が図ることができる。さらに、レギュレータは、CL回路よりも電源が安定し(電源変動が少ない)、CL回路に比して発振しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による画像形成装置の一実施例を説明するための要部概略構成図である。
【図2】電源調節装置と電圧制御発振器との接続関係を示した構成図である。
【図3】本発明の第1の実施例を説明するための要部構成図である。
【図4】第1の実施例におけるPLL回路内の構成を明らかにした図である。
【図5】本発明の第2の実施例を説明するための要部構成図である。
【図6】本発明の第3の実施例を説明するための要部構成図である。
【図7】本発明の第4の実施例を説明するための要部構成図である。
【図8】本発明の第5の実施例を説明するための要部構成図である。
【図9】本発明の第6の実施例を説明するための要部構成図である。
【図10】レギュレータの構成図である。
【図11】レーザビーム走査装置を有する画像形成装置の一例を説明するための要部構成図である。
【図12】画像書込部としてのレーザビーム走査装置、および、レーザビーム走査装置周辺の制御を示した図である。
【図13】PLL回路とその周辺回路を示した図である。
【図14】書込クロック生成部の概略図である。
【図15】従来技術におけるPLL回路、ロジック回路の構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1…帯電器、2…現像装置、3…転写器、4…定着装置、5…クリーニング装置、6…除電器、7…記録紙、10…LD変調装置、10(10、10、10、10)…ロジック回路、11(11、11、11、11)…LD(レーザダイオード)、12…レーザビーム、13…ポリゴンミラー、14…fθレンズ、15…感光体、16、17…センサ、21…時間差計測部、22…倍率補正制御部、23…書込クロック生成部、23a…周波数変調部、23b…位相制御部、24…CPU、30(30、30、30、30)…PLL回路、30…位相比較器、30…ループ・フィルタ、30…VCO(電圧制御発振器)、31…水晶発振器、32、33…分周器、35…電源、40…画像形成装置、41…PSU(電源供給装置)、42、42、42、42、42…電源調節装置、50…ICパッケージ、50、50…ASIC(ICパッケージ)、51(51、51、51、51)…レギュレータ、52…パス・トランジスタ部、53…誤差増幅器、54…基準電圧部、55…検出部、60(60、60、60、60)…LDドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に応じて変調された光ビームにより感光体を走査する画像形成装置において、画像信号に同期した書込クロックを発生する書込クロック発生手段と、該書込みクロック発生手段に対応して設けられたPLL回路に電源調節手段を有し、前記PLL回路の電源変動を抑圧するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像信号に応じて変調された複数の光ビームにより1あるいは複数の感光体を走査する画像形成装置において、前記複数の光ビームのそれぞれについて画像信号に同期した書込クロックを発生する書込クロック発生手段を有するとともに、各書込みクロック発生手段にPLL回路を有し、該複数のPLL回路のうち少なくとも1のPLL回路に電源調節手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のPLL回路のうち少なくとも2のPLL回路に電源調節手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数のすべてのPLL回路に対して一対一で電源調節手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数のPLL回路が1つのパッケージに封入されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
電源調節手段としてレギュレータを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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