説明

画像形成装置

【課題】 エコモード機能を有する画像形成装置において、印刷される画像情報の状況に応じてトナー消費量を抑制することにある。
【解決手段】 この画像形成装置1は、トナー消費量を抑えた印刷を行うエコモード機能を有する装置であって、画像読取部3と、制御部5と、画像形成部7とを備えいている。画像読取部3は、原稿の画像情報を読み取るためのものである。制御部5は、読み取られた画像情報が用紙に印刷される際の印刷濃度を予測する。画像形成部7は、予測された印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、エコモード機能による印刷が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、トナー消費量を抑えた印刷を行うエコモード機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置の従来の利用形態として、利用者が管理者に対して支払う印刷費用の単価をトナー消費量に応じて変更させることを含む契約の下で利用される形態がある。
【0003】
このような利用形態において、トナー消費量は、利用者が支払う費用を決定する重要な要素であるため、利用者にとってはその変動等について把握しておきたい項目である。
【0004】
ところで、従来の画像形成装置では、用紙に印刷される画像情報の濃度を通常よりも低くしてトナーの消費量を抑えるエコモード機能を有するものが知られている。
【0005】
なお、関連する文献として、例えば下記特許文献1に示す技術が既に提案されている。
【特許文献1】特開平9−98274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、エコモード機能が設定された場合、例えば画像情報のサイズが小さいために少ないトナー消費量でも十分に印刷可能と予想される場合でも一律にトナー消費量が抑えられて印刷が行われるので、不要に濃度を下げることとなってしまう場合がある。
【0007】
特に、複数枚の原稿をコピーする場合において、情報量の多い原稿と少ない原稿とが混在する場合は、このような問題が顕著である。
【0008】
本発明の課題は、エコモード機能を有する画像形成装置において、印刷される画像情報の状況に応じてトナー消費量を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る画像形成装置は、トナー消費量を抑えた印刷を行うエコモード機能を有する装置であって、画像情報取得部と、印刷濃度予測部と、画像形成部とを備えいている。画像情報取得部は、転写材に出力される画像情報を取得する。印刷濃度予測部は、画像情報取得部で取得された画像情報が転写材に印刷される際の印刷濃度を予測する。画像形成部は、印刷濃度予測部で予測された印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、エコモード機能による印刷が可能である。
【0010】
この装置では、エコモードによる印刷は、従来のように全ての画像情報について一律に行われるのではなく、予測された印刷濃度がある一定の濃度を超える場合に行われることとなるので、トナー消費量はより画像情報の状況に応じたものとなる。そして、この装置では、予測された印刷濃度が所定の濃度を超えた場合であっても、実際にエコモードを選択するか否かはユーザーの自由であるため、より画像情報の状況に応じたトナー消費量の抑制が可能となる。
【0011】
なお、本発明において、画像情報取得部としては、例えば、原稿の画像情報を読み取る画像読取部や、外部接続装置から送られるプリントデータや他のファクシミリ装置から送られるファクシミリ受信データを受け付ける通信部が含まれる。
【0012】
印刷濃度とは、例えば、A4サイズの用紙の面積に占める印字領域(ドット領域)をいい、この場合、A4サイズ以外の画像情報については、A4サイズに換算して算出されたものが好ましい。また、所定の濃度には、製造時、出荷時等に予め設定されたもののほか、後述する操作パネル等においてユーザーやサービス担当者が設定したものも含まれる。
【0013】
転写材には、用紙のみでなく、OHPシート等の記録媒体も含まれる。
請求項2に係る画像形成装置は、請求項1の装置において、印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、その旨の警告を行う警告部をさらに備えている。
【0014】
この装置では、印刷濃度が一定の濃度を超えた場合には、ユーザーに対しその旨を知らせて、エコモードによる印刷を促すようにしている。
【0015】
なお、警告部は、後述する濃度設定部、指示部、選択部、表示部と共に、1つの操作パネルにおいてその機能が実現されても良い。
【0016】
請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2の装置において、所定の濃度を設定可能な濃度設定部をさらに備えている。
【0017】
この装置では、エコモードによる印刷が可能となる基準の濃度を設定可能にすることで、ユーザーがより画像情報の状況に応じたトナー消費量を選択できるようになっている。
【0018】
請求項4に係る画像形成装置は、請求項1から3のいずれか1項の装置において、指示部と、選択部とをさらに備えている。指示部は、印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、エコモードによる印刷の指示を受け付け可能である。選択部は、印刷濃度が所定の濃度を超える場合に自動でエコモードでの印刷を行わせる第1制御モード又は印刷濃度が所定の濃度を超える場合に指示部での指示によりエコモードによる印刷を行わせる第2制御モードを予め選択可能である。
【0019】
この装置では、印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、第1制御モードを予め設定しておいた場合は、自動的にエコモードによる印刷が行われるとともに、第2制御モードを予め設定しておいた場合は、ユーザーの指示を受けてエコモードによる印刷が行われる。後者の場合は、ユーザーは、さらに、エコモードによる印刷を指示するか否かを選択できる。
【0020】
請求項5に係る画像形成装置は、請求項3の装置では、第2制御モードが選択された場合において、画像情報のページごとの印刷濃度を表示可能な表示部をさらに備えている。
【0021】
この装置では、特に、多数枚の原稿をコピーするような場合に、原稿のページごとに、予測された印刷濃度が表示されるので、ユーザーは、原稿の状況に応じてトナー消費量を選択することができる。
【0022】
なお、印刷濃度を表示するに際して、印刷濃度が所定の濃度を超えているページについては、他のページと異なる背景色で表示する等の表示態様が採用されても良い。
【0023】
請求項6に係る画像形成装置は、請求項4又は5の装置において、選択部は、第2制御モードが選択された場合において、印刷濃度が所定の濃度を超えた場合に、画像情報のページごとにエコモードによる印刷をさらに選択可能である。
【0024】
この装置では、特に、多数枚の原稿をコピーするような場合に、原稿のページごとに、エコモード若しくは通常の印刷モードを選択できるので、より細かにトナー消費量を調整できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、エコモードによる印刷は、従来のように全ての画像情報について一律に行われるのではなく、予測された印刷濃度がある一定の濃度を超える場合に行われることとなるので、トナー消費量はより画像情報の状況に応じたものとなる。
【0026】
そして、ここでは、予測された印刷濃度が所定の濃度を超えた場合であっても、実際にエコモードを選択するか否かはユーザーの自由であるため、より画像情報の状況に応じたトナー消費量の抑制が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<画像形成装置の構成>
図1及び図2に、本発明の一実施形態が採用された1を示す。
【0028】
この画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、スキャナ装置としての機能を併有する複合機であり、トナー消費量を抑えた印刷を行うエコモード機能を有している。
【0029】
画像形成装置1は、画像読取部3(画像情報取得部)と、制御部5(印刷濃度予測部)と、画像形成部7と、操作パネル9(警告部、濃度設定部、指示部、選択部、表示部)と、他の入出力部とを備えている。
【0030】
画像読取部3は、図示しない原稿台上の原稿の画像情報を読み取るためのものであり、図示しない光学系及びCCD等を有している。
【0031】
制御部5は、画像読取部3等の入出力部の動作の制御や、画像読取部3で読み取られた画像情報等に対する画像処理を行うものであり、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。メモリには、CPUに実行させるための種々のプログラムが格納されているとともに、操作パネル9で設定された濃度の閾値が記憶される。
【0032】
制御部5は、エコモード機能が実行されると、画像形成部7に対し、通常の印刷時よりも少ないトナー消費量で印刷動作を行わせる。
【0033】
また、制御部5は、他の機能として、画像読取部3で読み取られた画像情報が用紙に印字される際の印刷濃度を予測する機能を有している。この印刷濃度は、ここでは、A4サイズの用紙の面積に対し印字される領域が何%を占めるかで示され、印字される際のドット数を基に算出される。そして、制御部5は、予測した印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、エコモード機能を選択できるようになる。
【0034】
画像形成部7は、用紙に対し画像形成を行うためのものであり、感光体ドラムと、その周囲に配置される帯電装置、露光装置、現像装置及び転写装置等と、これらの下流側に配置された定着装置とで構成されている。
【0035】
操作パネル9は、複数の操作キー11と、タッチパネル式の液晶ディスプレイ13とを有している。複数の操作キー11には、印刷等を指示するためのスタートキーや、テンキー等が含まれる。液晶ディスプレイ13には、種々の入力操作を受け付ける操作画面等が表示される。操作画面には、印刷待機画面のほか、閾値設定画面(濃度設定部)や、図3及び図4に示すような操作画面、選択画面(選択部)等が表示される。
【0036】
閾値設定画面では、エコモードを行うか否かの選択を促す判断基準としての濃度の閾値を設定することができ、ここでは、A4サイズの用紙に占める印字領域の割合(%)で設定することができる。
【0037】
図3に示す画面(警告画面、表示部)は、選択画面で第2制御モードが選択されていた場合において、閾値を超える印刷濃度のページが含まれている場合に表示され、ここでは、5枚の原稿の各ページの印刷濃度が示されるとともに、印刷濃度が閾値を超えるページについては、他のページと異なる背景色で示される。なお、図3において、丸付きの数字が原稿のページ数を示す。
【0038】
図4に示す画面(指示画面)は、図3の画面で閾値を超える印刷濃度の原稿(ここでは、2ページ目)について、通常モードによる印刷(通常コピー)かエコモードによる印刷(エココピー)かを選択するための画面である。
【0039】
選択画面では、印刷濃度が閾値を超える場合に、自動的にエココピーが行われるようにする(第1制御モード)か、図4のような指示画面を表示してユーザーの選択を受けてエココピーが行われるようにする(第2制御モード)かを選択することができる。
【0040】
画像形成装置1はまた、他の入出力部として、通信部(画像情報取得部)、自動原稿給紙装置(Automatic Document Feeder、以下、ADF)、給紙部、排紙部等を有している。
【0041】
通信部は、パーソナルコンピュータ等の外部接続装置からの画像情報や、他のファクシミリ装置からのファクシミリ受信データを受け取り等を行うものである。
【0042】
ADFは、原稿を1枚ずつ原稿台上の所定の読取位置に向けて搬送するためのものである。
【0043】
<画像形成装置の動作>
次に、図5に基づいて、画像形成装置1の動作について説明する。
【0044】
この画像形成装置1を利用してエコモード機能による印刷を行う場合は、予めユーザーは、閾値設定画面において、閾値を設定しておくとともに(S1)、印刷濃度が閾値を超えた場合にユーザーに選択させるか自動でエココピーを行うかの設定を行っておく(S2)。
【0045】
そして、ADFに原稿をセットし、スタートキーを押すと(S3)、原稿の読み取りが開始されるとともに(S4)各ページの印刷濃度が計算され、全ての原稿が読み取られると(S5)、各ページの印刷濃度がステップS1で設定された閾値を超えるか否かが判断され(S6)、超えている場合において、ステップS2で自動でエココピーを行うよう設定されていた場合は(S7のNo)、エココピーが行われるとともに(S9)、ステップS2でユーザーの選択でエココピーが行われるよう設定されていた場合は(S7のYes)、図3の画面が表示され、各頁の印刷濃度が示されるとともに閾値を超えるページが他と異なる背景色で示され、ユーザーに対する警告が行われる(S10)。
【0046】
ここで、図3の画面において、2ページ目の原稿の部分が触れられると、図4の画面が表示され、さらに通常コピーが選択された場合は(S11のYes)、通常コピーが行われるとともに(S12)、エココピーが選択された場合は(S11のNo)、エココピーが行われる(S9)。
【0047】
以上の画像形成装置1によれば、エコモードによる印刷は、全ての画像情報について一律に行われるのではなく、予測された印刷濃度がある一定の濃度を超える場合に行われるので、トナー消費量がより画像情報の状況に応じたものとなる。
【0048】
また、この装置1では、予測された印刷濃度が所定の濃度を超えた場合にエコモードを選択するか否かはユーザーの自由であるため、より画像情報の状況に応じてトナー消費量を抑えることができる。
【0049】
<他の実施形態>
(a)印刷濃度が所定の濃度を超えていることの警告は、上記実施形態のように背景色で示すほか、所定のメッセージの表示、所定のランプの点灯等によって行われても良い。
【0050】
(b)上記実施形態において、画像読取部で読み取られた画像情報のみでなく、通信部で受け付けたプリントデータやファクシミリ受信データに基づいて印刷を行う場合にも、画像情報の状況に応じたエコモードによる印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態が採用された画像形成装置を示す外観図。
【図2】前記画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図3】前記画像形成装置の操作パネルに表示される操作画面を示す図。
【図4】前記画像形成装置の操作パネルに表示される操作画面を示す図。
【図5】前記画像形成装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
3 画像読取部
5 制御部
7 画像形成部
9 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー消費量を抑えた印刷を行うエコモード機能を有する画像形成装置であって、
転写材に出力される画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記画像情報取得部で取得された画像情報が前記転写材に印刷される際の印刷濃度を予測する印刷濃度予測部と、
前記印刷濃度予測部で予測された印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、前記エコモード機能による印刷が可能な画像形成部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷濃度が前記所定の濃度を超える場合に、その旨の警告を行う警告部をさらに備えた、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の濃度を設定可能な濃度設定部をさらに備えた、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷濃度が所定の濃度を超える場合に、エコモードによる印刷の指示を受け付け可能な指示部と、
前記印刷濃度が所定の濃度を超える場合に自動で前記エコモードでの印刷を行わせる第1制御モード又は前記印刷濃度が所定の濃度を超える場合に前記指示部での指示により前記エコモードによる印刷を行わせる第2制御モードを予め選択可能な選択部と、
をさらに備えた、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2制御モードが選択された場合において、前記画像情報のページごとの前記印刷濃度を表示可能な表示部をさらに備えた、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記第2制御モードが選択された場合において、前記印刷濃度が前記所定の濃度を超えた場合に、前記画像情報のページごとに前記エコモードによる印刷をさらに選択可能である、請求項4又は5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−184764(P2006−184764A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380443(P2004−380443)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】