説明

画像形成装置

【課題】 シート搬送通路を短くすることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 シートにより押圧されて回動する回動部材22の回動によりシートを検知するシート検知手段20と複数のシート搬送通路との間に、シート検知手段20からの信号に基づいて回動し、シート搬送通路を複数のシート搬送通路のうちの所定のシート搬送通路に切り換える切り換え手段21を回動自在に設ける。そして、この切り換え手段21のシート検知手段20の回動部材22に臨む位置に、回動部材22が回動する際、回動部材22の通過を可能とする切り欠き部26を形成することにより、切り換え手段21の近傍にシート検知手段20を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に複数のシート搬送通路を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ用プリンタ、複写機、印刷機等の画像形成装置においては、微小粉末からなる現像剤を静電的に制御吸着する電子写真技術を利用して、或はインク吹き付けやオフセット印刷等を利用して画像形成を行なうものがある。
【0003】
例えば、電子写真技術を利用する画像形成装置の場合、画像形成の際には、まず像担持体である感光ドラムや感光ベルト上の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤であるトナーによって現像して可視像化する。次に、現像されたトナー画像を転写装置によりシート上に転写した後、このシートを定着装置において加熱加圧することによってトナー画像をシート上に定着させることにより画像を形成している。
【0004】
そして、この技術をさらに応用し、複数の色の現像剤を使用することにより、複数色の画像を得ることができる。原理的に、イエロー、マゼンタ、シアンの現像剤を用いることにより、場合によってはこれら三種類の現像剤に加えてブラックの現像剤を用いる混色によってフルカラーの画像を得ることができる。
【0005】
また、インク・顔料を利用する画像形成装置の場合は、原稿(実体または画像データを問わず)に即した場所に、インク・顔料をシートに対して塗布することによって、画像が得られる。なお、このようなインクの吹き付けには、インクの入った微小ノズルに物理的圧縮を加える、又はノズル内で気泡生成・消滅を繰り返すことによりインクを噴射させるという方法がある。また、オフセット印刷では版下に合わせてインクを塗布してシートにインクを転写するようにしている。つまり、インク・顔料を利用する画像形成装置の場合は、いずれの方式でもイエロー・マゼンタ・シアン(ブラックや他の色も適宜加えて)のインク・顔料を利用することによってフルカラー画像を得ることができる。
【0006】
ところで、このような画像形成装置においては、シートの片面に画像を形成するモード(機能)の他、複数のページからなる書類を2部以上印刷した場合には書類1部ずつページ順に複数の積載場所に振り分けるソートモード、複数ページからなる書類を束ねて固定するためのステイプルモード、片面に画像が形成されたシートの裏面に画像を形成する両面モードを備えたものがある。
【0007】
そして、このような画像形成装置では、これらモードに応じて、片面に画像が形成されたシートをシート積載部に搬送するためのシート搬送通路の他、複数のページからなる書類を2部以上印刷した場合には書類1部ずつページ順に複数の積載場所に振り分けるソータ(またはフィニッシャ)に向かわせるためのシート搬送通路、或は複数ページからなる書類を束ねて固定するためステイプラー部に向かわせるためのシート搬送通路、片面に画像が形成されたシートの裏面に画像を形成するため、シートの表裏を反転させて再び画像形成部上流へ導くためのシート搬送通路を備えている。
【0008】
ここで、このように複数のシート搬送通路を備えた場合、モードに応じてシートを複数のシート搬送通路のうちのいずれかに向かわせるためには、シート搬送通路の上流にシート搬送通路を選択的に切り換えてシートを所定のシート搬送通路に導くための切り換え手段が必要となる。
【0009】
例えば、従来の画像形成装置において、定着装置の下流にシート後処理装置にシートを導くシート搬送通路、両面印刷トレイへ導くシート搬送通路及び両面印刷トレイの下流に、両面印刷と多重印刷を行うためのシート搬送通路を備えたものがあり、このような画像形成装置では、定着装置とこれらシート搬送通路との間に切り換え手段を設け、この切り換え手段により、シートを所定のシート搬送方向、シート搬送通路に導くようにしている。
【0010】
また、両面印刷トレイの下流に、両面印刷と多重印刷を選択的に行なうための他の切り換え手段を設け、この他の切り換え手段によりシートを特定のシート搬送方向、シート搬送通路に導くようにしている(例えば、特許文献1参照)。このように、画像形成装置に機能を付加していくと、シート搬送通路が複数必要となり、この結果、切り換え手段が必要となる。
【0011】
一方、画像形成装置において、良好な画像を得るためには、画像の印刷開始とシートの搬送タイミングを正確に捉える必要がある。なお、シートの搬送タイミングがずれると、シートの先端余白が大きくなり過ぎる、或はシートから画像がはみ出してしまう等の不具合が発生する恐れがある。また、画像形成装置の下流にあるシート後処理装置の稼働タイミングがずれると、シートに傷がついたり、ジャムなどのシート滞留が起こったりする不具合が生じる。
【0012】
このため、従来はシート先端やシートの有無を検知するシート検知手段を所定の位置に設け、このシート検知手段により、画像形成装置内部のどの位置にシートが存在、または通過しているかを把握するようにしている。ここで、このようなシート検知手段としては、例えばある波長の光線(不可視光も含む)の発光部及び受光部を備え、シートの通過に伴い受光部を遮蔽し、このときの受光部の反応変化を利用してシートを検知するようにしたものがある。
【0013】
なお、このようなシート検知手段においては、シートそのものを発光部と受光部との間に通す、またはリンク部材等の機構を利用し、シートがリンク部材に当たると、そのリンク部材が移動し、リンク部材の一部が発光部と受光部との間に介在して結果的に受光部を遮蔽し、シートの通過を検知するという構成のものがある。
【0014】
ところで、上記切り換え手段の切り換え動作は、シートを検知することにより行なわれる場合があり、このような場合には切り換え手段の近傍にシート検知手段を配置する必要がある。
【0015】
図7は、このような切り換え手段と、切り換え手段の近傍に配置されたシート検知手段を示す図であり、図7において、121は切り換え手段であるフラッパであり、このフラッパ121は軸129を支点として上下方向に回動自在であると共に、シート幅方向全体に渡ってシートをガイドするガイド面121aを有している。
【0016】
また、120は、フラッパ121の近傍に配置されたシート検知手段であり、このシート検知手段120は、不図示の発光部と受光部を備えたセンサ部125と、軸123の回転に伴ってセンサ部125の発光部と受光部との間に進入、又は退出する遮蔽部124と、軸123に取り付けられ、シートに押圧されて軸123を支点に上下方向に回動する接触部材122とを備えている。
【0017】
そして、接触部材122が図8の(a)に示す矢印A方向から搬送されてくるシートSによって押圧され、図8の(b)に示す軸123を中心に上方回動すると、これに伴って軸123と一体に遮蔽部124が回動してセンサ部125の発光部と受光部との間から退出し、このときのセンサ部125の信号の変化から、シートSの通過を検知することができる。
【0018】
なお、このようにシート検知手段120がシートSの通過を検知した場合、フラッパ121は、例えばシートSを図8の(b)に示す矢印B方向に搬送する場合には、回動せず、これによりシートSはそのまま矢印B方向に搬送される。
【0019】
一方、シートを図9に示す矢印C方向に搬送する場合には、フラッパ121は、軸129を支点として下方回動する。これにより、シートSは、このように下方回動したフラッパ121のガイド面121aに沿ってガイドされ、矢印C方向に搬送される。なお、このようにシートSをガイドする際、シートSを確実に案内するためにフラッパ121は、シートSの全幅にわたって存在している。
【0020】
【特許文献1】特開平06−015980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、このようにフラッパ121の近傍にシート検知手段120を配置するようにした従来の画像形成装置において、フラッパ121と接触部材122とが近接すると、シートSの検知、或はシート搬送通路の切り換えに支障をきたすことから、フラッパ121と接触部材122のそれぞれの回転軌跡がオーバラップしないようにフラッパ121と検知接触部材122を所定距離離して配置する必要があった。
【0022】
しかし、このようにフラッパ121と接触部材122を離して配置した場合には、シート搬送通路上にフラッパ121及びシート検知手段120が直列的に配置されることになり、この結果、シート搬送通路が長くなってしまい、画像形成装置本体やシステムが大きくなってしまうという問題があった。
【0023】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みて成されたものであり、シート搬送通路を短くすることのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、複数のシート搬送通路を備え、シートを前記複数のシート搬送通路のうちの所定のシート搬送通路に選択的に搬送するようにした画像形成装置において、シートにより押圧されて回動する回動部材を備え、前記回動部材の回動によりシートを検知するシート検知手段と、前記シート検知手段と前記複数のシート搬送通路との間に回動自在に設けられ、シート搬送通路を前記所定のシート搬送通路に切り換える切り換え手段と、を備え、前記切り換え手段の前記シート検知手段の回動部材に臨む位置に、前記回動部材の通過を可能とする切り欠き部を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シートにより押圧されて回動する回動部材の回動によりシートを検知するシート検知手段と複数のシート搬送通路との間に、シート搬送通路を複数のシート搬送通路のうちの所定のシート搬送通路に切り換える切り換え手段を回動自在に設け、この切り換え手段のシート検知手段の回動部材に臨む位置に、回動部材の通過を可能とする切り欠き部を形成することにより、切り換え手段の近傍にシート検知手段を設けることができ、これによりシート搬送通路を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタ全体構成図である。
【0028】
同図において、50はカラーレーザプリンタ、51はカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)であり、このプリンタ本体51にはシートに画像を形成する画像形成部52と、シートを給送する給紙部8と、給紙部8から給送されたシートを画像形成部52に搬送するシート搬送装置9と、シートに形成された画像を定着させる定着器10とが設けられている。
【0029】
ここで、画像形成部52は、上下方向に配置され、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を担持する像担持体である感光体ドラム1a〜1dと、感光体ドラム1a〜1dの周囲に回転方向に沿ってそれぞれ配された、感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電手段2a〜2d、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光手段3a〜3d、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像手段4a〜4d及び転写後、感光体ドラム表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段6a〜6d等を備えている。
【0030】
なお、本実施の形態においては、感光体ドラム1a〜1d、帯電手段2a〜2d、現像手段4a〜4d、クリーニング手段6a〜6dは一体的にカートリッジ化され、プロセスカートリッジ7a〜7dを形成している。
【0031】
また、帯電手段2a〜2dは、導電性のローラであり、これを感光体ドラム表面に当接させると共に、図示しない電源によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム表面を一様に帯電させるものである。露光手段3a〜3dはポリゴンミラーを有し、このポリゴンミラーには図示しないレーザダイオードから画像信号に対応する画像光が照射される。
【0032】
また、後述するシートを搬送する無端状のシート搬送部材である転写搬送ベルト9aの内側には、4個の感光体ドラム1a〜1dと共に転写搬送ベルト9aを挟持する転写手段5a〜5dがそれぞれ併設されている。
【0033】
ここで、これら転写手段5a〜5dは図示しない転写バイアス用電源に接続されており、この転写手段5a〜5dから正極性の電荷が転写搬送ベルト9aを介してシートに印加されるようになっている。そして、このように転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム1a〜1dに接触中のシートに、感光体ドラム上の負極性の各色トナー像が順次転写され、多色画像が形成されるようになっている。
【0034】
給送部8は、給紙カセット8a、マルチ給送トレイ8b、マルチ給送部8c及びレジストローラ対8d等から構成されている。ここで、給紙カセット8aは複数枚のシートを収納し、プリンタ本体底部に装填されるものであり、マルチ給送トレイ8bは、通常はプリンタ本体正面に格納されているが、使用時には同図に示されるように開かれて、複数枚のシートを積載するようになっている。
【0035】
そして、画像形成の際には、給紙カセット8aからピックアップローラ8a1によって一枚ずつシートが分離給送され、中間搬送ローラ8a2及び所定のタイミングでシートを搬送するレジストローラ対8dによってシート搬送装置9に搬送されるようになっている。
【0036】
また、マルチ給送トレイ8bからシートを給送する際には、マルチ給送トレイ8bに収容されたシートがマルチピックアップローラ8c1によって一枚ずつ分離給送され、マルチ搬送ローラ8c2及びレジストローラ対8dによってシート搬送装置9に搬送される。
【0037】
シート搬送装置9は、駆動ローラ9bと従動ローラ9c〜9eとにより張架支持され、すべての感光体ドラム1a〜1dに対向して配設されているシート担持体としての転写搬送ベルト9aを備えている。ここで、この転写搬送ベルト9aは、感光体ドラム1a〜1dに対向する外周面にシートを静電吸着すると共に、感光体ドラム1a〜1dにシートを接触させるべく、駆動ローラ9bによって循環移動するようになっている。そして、このように循環移動する転写搬送ベルト9aに静電吸着されることにより、シートは転写搬送ベルト9aにより転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
【0038】
なお、9fは、転写搬送ベルト9aの最上流位置に配設され、転写搬送ベルト9aと共にシートを挟持し、かつシートを転写搬送ベルト9aに吸着させる吸着ローラであり、シートの搬送に際し、この吸着ローラ9fに電圧を印加することで、対向している設置された従動ローラ9cとの間に電界を形成し、転写搬送ベルト9a及びシートの間に誘電分極を発生させて両者に静電吸着力を生じさせるようになっている。
【0039】
定着器10は、シート上に形成した画像に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させるものであり、定着ベルト10aと弾性加圧ローラ10bとを有している。ここで、定着ベルト10aは電磁誘導発熱層を有する円筒状のベルトであり、励磁コイルとT型の磁性コアとからなる磁場発生手段を内蔵したベルトガイド部材10cにガイドされている。
【0040】
また、弾性加圧ローラ10bは定着ベルト10aを挟み、ベルトガイド部材10cと所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成している。そして、弾性加圧ローラ10bが図示しない駆動手段によって回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト10aが回転し、図示しない励磁回路から励磁コイルへの給電により定着ベルト10aの電磁誘導発熱がなされるようになっている。
【0041】
次に、このように構成されたカラーレーザプリンタ50の画像形成動作について説明する。
【0042】
まず、帯電手段2a〜2dにより一様に帯電された感光体ドラム1a〜1dの表面に露光手段3a〜3dから照射された画像情報に対応するレーザビームが走査されると感光体ドラム表面には潜像が形成され、さらにこの潜像を現像手段4a〜4dによって現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像が形成される。
【0043】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット8aに収容されたシートは、ピックアップローラ8a1によりピックアップされた後、或はマルチ給送トレイ8bに収容されたシートはマルチピックアップローラ8c1によって一枚ずつ分離給送された後、レジストローラ対8dに導かれた後、レジストローラ対8dによって画像形成動作に同期するようにして転写搬送ベルト9aに吸着され、感光体ドラム1a〜1dと転写搬送ベルト9aとが圧接する転写部に搬送される。
【0044】
次に、このように転写部に搬送されたシートに対し、各転写部に配置されトナーと逆極性の電圧を印加された転写手段5a〜5dの作用により感光体ドラム1a〜1d上の各色のトナー画像が、シート上に順次重ね合わせて転写される。そして、このように4色のトナー画像が多重転写されたシートは、転写搬送ベルト9aから分離されて定着器10に搬送される。
【0045】
次に、画像形成部52から搬送された未定着トナー画像が形成されたシートは、定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト10aと弾性加圧ローラ10bとの間に画像面が上向き、即ち定着ベルト面に対向して導入され、この後、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着ベルト10aの外面に密着して定着ベルト10aと一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0046】
そして、このように定着ニップ部Nを定着ベルト10aと一緒に搬送されていく過程において、定着ベルト10aの電磁誘導発熱でシートが加熱され、シート上の未定着トナー画像が加熱定着される。この結果、フルカラーのプリント画像が永久画像としてシート上に定着される。次に、このようにフルカラーのプリント画像が永久画像として定着された後、シートSは排出ローラ対11,12によって排紙トレイ13に排出、積載される。
【0047】
ところで、本実施の形態のカラーレーザプリンタ50は、シートの両面に画像を形成することができるようになっており、シートの両面に画像を形成する場合には、図2に示すように反転部を構成するシート反転装置30Aを、プリンタ本体51の排出ローラ対11,12の下流に着脱自在に装着するようにしている。
【0048】
ここで、このシート反転装置30Aは、シートの両面に画像を形成する場合、排出ローラ対11,12から排出されるシートを反転させるシート反転部30と、排出ローラ対11,12の下流に配置されたフラッパ21と、反転ローラ対31と、再搬送ローラ対32とを備えている。
【0049】
ここで、フラッパ21は、シートの片面のみに画像形成する場合は、図2に示すような、シート排出通路R1に設けられたローラ対11,12から排出されるシートの排出を妨げない位置にあるが、シートの両面に画像を形成する両面モードの際には、下方回動するようになっている。そして、このように切り換え手段であるフラッパ21が下方回動することにより、シート搬送通路がシート排出通路R1から反転搬送通路R2に切り換り、これによりシートSはシート反転部30に導かれ、この後、反転ローラ対31及び再搬送ローラ対32の逆転により、再度プリンタ本体内に搬送されるようになっている。
【0050】
なお、図2において、32は、15は反転した後、反転ローラ対31及び再搬送ローラ対32によって搬送されたシートが送り込まれる再搬送通路であり、この再搬送通路15に搬送されたシートは、プリンタ本体の正面に取り付けられている斜送ローラ16a,16bを通過した後、Uターンローラ17まで搬送され、Uターンローラ17及びレジストローラ8dによって再び画像形成部52まで搬送されるようになっている。
【0051】
つまり、本実施の形態のカラーレーザプリンタ50においては、片面にだけ画像を担持した状態のシートをそのまま排紙トレイ13へと排出するだけでなく、フラッパ21により、片面に画像を担持した状態のシートに対して選択的にシート搬送通路を切り換えることにより、シートの面を自動的に反転させて画像形成部52に再度搬送し、シートの印刷面とは反対の面にも画像を形成するという機能がある。
【0052】
そして、このようにシートの印刷面とは反対の面にも画像を形成する場合には、シートの両面に画像を担持させるために、片面画像が定着された状態のシートを排紙トレイ13に搬送せず、フラッパ21によってシート搬送通路を変更し、反転搬送通路R2へと導くようにしている。
【0053】
ところで、このようにシートの搬送通路を切り換えるフラッパ21の上流には、具体的には定着器10と排紙トレイ13の間には、図3に示すように、搬送されるシートを検知し、シート搬送が正常に行なわれたかどうかを識別するためのシート検知手段20が設けられている。そして、このシート検知手段20からの信号に基づいてプリンタ本体51、或は外部に設けられた不図示の制御部は、プリンタ本体51の稼動タイミングを調整したり、ジャム判断を行なったりしている。
【0054】
なお、本実施の形態において、このシート検知手段20は、不図示の発光部と受光部を備えた、例えばフォトインタラプタが設けられたセンサ部25と、軸23の回転に伴ってセンサ部25の発光部と受光部との間に進入、又は退出する遮蔽部24と、軸23に取り付けられ、シートに押圧されて軸23を支点に上下方向に回動する回動部材である接触部材22とを備えている。
【0055】
そして、このシート検知手段20においては、接触部材22がシートによって押圧され、軸23を中心に上方回動すると、これに伴って軸23と一体に遮蔽部24が回動してセンサ部25の発光部と受光部との間から退出し、このときのセンサ部25の信号の変化から、シートの通過を検知することができるようになっている。
【0056】
ところで、図3において、26は、フラッパ21の接触部材22に臨む位置に形成された切り欠き部であり、このような位置に切り欠き部26を形成することにより、接触部材22がシートに押圧された場合でも、フラッパ21により接触部材22の回動が妨げられることがなくなる。つまり、接触部材22の通過が可能となる。
【0057】
これにより、接触部材22(シート検知手段20)をフラッパ側に近づけて配置することができる。なお、このような切り欠き部26を形成した場合、シートが切り欠き部26に引っ掛かることなくフラッパ21のガイド面21aに沿ってガイドされるよう切り欠き部26の幅に対して、フラッパ21の幅を十分に広くとるようにすることが好ましい。
【0058】
そして、このようにフラッパ21に切り欠き部26を形成することにより、図4の(a)に示すようにシートSが矢印方向Aから搬送されてきて接触部材22に当接し、この後、図4の(b)に示すようにシートSにより押圧されて接触部材22は軸23を中心にして上方回動するが、このときフラッパ21には切り欠き部26が形成されているので、接触部材22の回転軌跡とフラッパ21の回転軌跡をオーバラップさせることができる。これにより、接触部材22はフラッパ21の切り欠き部26を通過することができる。
【0059】
なお、シートをシート反転部30(図2参照)に向けて搬送するため、図5に示すようにフラッパ21が下方回動してシートSの搬送方向を矢印C方向にする場合には、フラッパ21と接触部材22の上下位置関係が通常状態に対して逆転することになるが、このようにフラッパ21が下方回動する際にも、フラッパ21には切り欠き部26が形成されているので接触部材22によりフラッパ21の回動が妨げられることはない。
【0060】
このように、シート検知手段20と、本実施の形態における複数のシート搬送通路であるシート排出通路R1及び反転搬送通路R2との間に、シート検知手段20からの信号に基づいて回動し、シート搬送通路を所定のシート搬送通路に切り換えるフラッパ21を回動自在に設け、このフラッパ21のシート検知手段20の接触部材22に臨む位置に、接触部材22が回動する際、接触部材22の通過を可能とする切り欠き部26を形成することにより、フラッパ21の近傍にシート検知手段20を設けることができ、これによりシート搬送通路を短くすることができる。
【0061】
また、このようにフラッパ21の近傍にシート検知手段20を設けることにより、フラッパ21でのシートの存在タイミングを知ることができ、これによりシート検知手段20が離れた位置に設けられた場合に比べて、フラッパ21の下流にある構成装置のタイミングを正確に把握することができる。例えば、片面印刷か両面印刷かを切り換える場合においては、両面印刷タイミングを把握することができるので、画像転写タイミングずれを小さくすることができ、これにより良好な画像を得ることができる。
【0062】
また、シート搬送通路が短くなったことで、搬送時間そのものが短くなるので、より速くシートを排出することができるようになり、使用者の印刷物出力待機時間を減らすことができる。さらに、シート搬送通路が短くなったことで、プリンタ本体51を小さくすることができ、カラーレーザプリンタ50を設置する際の制約を少なくすることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態のように排出トレイ上方にシート反転装置30Aを装着した場合、シート反転装置30Aが排紙トレイ13の上方を覆うようになるが、この場合でも、シート搬送通路を短くすることで排出トレイ上に排出されたシートをより露出することができ、これによりシート視認性を向上することができる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0065】
図6は、本実施の形態に係る画像形成装置の要部拡大図であり、図6において、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0066】
図6において、22Aはシート検知手段20の接触部材であり、この接触部材22Aは、図6の(a)に示す矢印A方向からシートSが搬送されると、このシートSにより押圧されて上方回動するようになっている。そして、このような接触部材22Aの上方回動により、シート検知手段20はシートSの有無を検知するようにしている。
【0067】
一方、シートSが通過すると、接触部材22Aは自重により下方回動し、図6の(b)に示すように排紙トレイ13上の積載シートSaに当接するようになっており、このときの接触部材22Aの角度をセンサ部25(図3参照)、或は他のセンサにより検知することにより、排出シート積載部である排紙トレイ13上の積載シートSaの量(高さ)を検知することができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、積載シートSaの高さがある一定量に達し、図6の(b)に示すように接触部材22Aの位置が搬送シート有りと同じ状態となり、この状態がシートの搬送接触時間よりも長い場合には、不図示の制御部が“異常”と判断し、シートの搬送を停止するようにしている。これにより、シートによりシート排出通路R1が塞がれるのを防ぐことができる。
【0069】
つまり、本実施の形態によれば、一つのシート検知手段20により、シートSの検知と排出シートの積載量の検知を行なうことができる。なお、このような構成においても、フラッパ21に切り欠き部26を設けることで、シート搬送通路を短くすることができる。
【0070】
なお、これまでの説明においては、プリンタ本体51にシート反転装置30Aを装着する場合について述べてきたが、本発明はこれに限らず、例えばプリンタ本体51の側部にシートが最終積載される多段トレイを持ち、同じ画像のシートを複数排出した場合に1つのトレイにつき1枚ずつのシートを積載するように構成されたシート後処理装置を設置するようにしても良い。
【0071】
そして、このようなシートを振り分ける振り分け装置であるシート後処理装置を設置した場合でも、既述した構成のフラッパ21により、シートをシート後処理装置に向かわせるシート搬送通路と、排紙トレイ13へシートを導くシート排出通路との切り換えを行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタ全体構成図。
【図2】上記カラーレーザプリンタにシート反転装置を取り付けた状態を示す図
【図3】上記カラーレーザプリンタに設けられたフラッパとシート検知手段を示す斜視図。
【図4】上記シート検知手段のシート搬送時の動作を示す図。
【図5】上記フラッパのシート搬送通路切り換え動作を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の要部拡大図。
【図7】従来のフラッパとシート検知手段を示す斜視図。
【図8】上記従来のシート検知手段のシート搬送時の動作を示す図。
【図9】上記従来のフラッパのシート搬送通路切り換え動作を示す図。
【符号の説明】
【0073】
13 排紙トレイ
20 シート検知手段
21 フラッパ
22 接触部材
22A 接触部材
24 遮蔽部
25 センサ部
26 切り欠き部
30A シート反転装置
50 カラーレーザプリンタ
51 プリンタ本体
52 画像形成部
R1 シート排出通路
R2 反転搬送通路
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート搬送通路を備え、シートを前記複数のシート搬送通路のうちの所定のシート搬送通路に選択的に搬送するようにした画像形成装置において、
シートにより押圧されて回動する回動部材を備え、前記回動部材の回動によりシートを検知するシート検知手段と、
前記シート検知手段と前記複数のシート搬送通路との間に回動自在に設けられ、シート搬送通路を前記所定のシート搬送通路に切り換える切り換え手段と、
を備え、
前記切り換え手段の前記シート検知手段の回動部材に臨む位置に、前記回動部材の通過を可能とする切り欠き部を形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のシート搬送通路のうちの1つは、前記切り換え手段のシート搬送方向下流に設けられ、シートを排出するシート排出通路であり、
前記シート排出通路から排出されたシートを積載する排出シート積載部を備え、
前記シート検知手段の回動部材により、前記排出シート積載部に積載されたシートの高さ検知を行なうことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート検知手段の回動部材を前記排出シート積載部に積載されたシートに当接させ、該回動部材の角度に基づいて積載シート高さを検知することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数のシート搬送通路は、シートの両面に画像を形成するためシートを反転させる反転通路を含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記反転通路を備えた反転部を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数のシート搬送通路は、シートを振り分ける振り分け装置にシートを向かわせるシート搬送通路を含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−273509(P2006−273509A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95533(P2005−95533)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】