説明

画像形成装置

【課題】ドラム以外の駆動系によるショックや振動をタイミングベルト部で確実に減衰することによって画質の信頼性向上を図ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】一連の画像形成プロセスによって形成された画像を記録材に記録するための機器の回転部を回転駆動する駆動ユニットであって、駆動源となるモーターと、像担持体の駆動プーリーと、像担持体駆動ベルトと、担持体以外の回転部の駆動プーリーと、像担持体以外の回転部駆動ベルトと、前記モーターを保持するモーター固定板と、像担持体のプーリー中心とモーターの駆動プーリー中心とその他の回転部駆動プーリー中心で形成される角度の2等分線上に設けられた前記モーター固定板の位置規制手段1箇所と、前記2等分線上に設けられたモーターテンション負荷手段を含んで画像形成装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像形成時における画質向上・騒音低減するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の駆動系においては通常、特許文献1のようにギヤによる駆動伝達が通常であった。メインモーターからドラム・現像器。紙搬送系へとギヤを複数個並べ構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−38715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら このようなギヤによる駆動伝達の場合、現像器のクラッチONの衝撃や紙搬送時に紙後端がローラを抜けたときのショック等がギヤを介してドラムに伝わり画像を劣化させると言う問題があった。
【0005】
振動を低減させるために構造体の強度を上げたり、ギヤの材質を変えたり等の対策が採られるが、コスト高になる割に効果は不十分であった。
【0006】
又、別の対策として特開平7−160082号公報に示されるよう駆動を全てタイミングベルトで行う方法等が提案されている。しかし このような構成にしても、タイミングベルトの長さ等の部品精度が最適の場合はベルトがショック・振動の吸収を行うことができるが、公差がふれ長過ぎたり、短過ぎたりした場合には、高負荷時に歯飛びを起こしたり、逆に張り過ぎてショック・振動の減衰効果が不十分になる場合もあり、信頼性が不十分であった。
【0007】
ベルトテンションの安定化のために、テンショナーを付ける等の対策が行われる場合もあるが、テンショナーがベルトとこすれることによる振動がやはりドラム駆動部に伝わり画像を劣化させていた。
【0008】
更に、メインモーターとドラム駆動が直接ではなく、アイドラとなるプーリーを介していたため、そのアイドラ部分で発生する嵌合ガタがやはりドラム上にショック・振動の形で現れていた。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ドラム以外の駆動系によるショックや振動をタイミングベルト部で確実に減衰することによって画質の信頼性向上を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、一連の画像形成プロセスによって形成された画像を記録材に記録するための機器の回転部を回転駆動する駆動ユニットであって、駆動源となるモーターと、像担持体の駆動プーリーと、像担持体駆動ベルトと、担持体以外の回転部の駆動プーリーと、像担持体以外の回転部駆動ベルトと、前記モーターを保持するモーター固定板と、像担持体のプーリー中心とモーターの駆動プーリー中心とその他の回転部駆動プーリー中心で形成される角度の2等分線上に設けられた前記モーター固定板の位置規制手段1箇所と、前記2等分線上に設けられたモーターテンション負荷手段を含んで画像形成装置を構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ベルト材質がゴム製のタイミングベルトであることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記像担持体駆動プーリーは、像担持体の2倍以上の径を持つ大径プーリーであることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、駆動ベルトの歯形がハスバ形状を成すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置のメイン駆動部において、ドラムをメインモーターから直接タイミングベルトで駆動するドラムベルト駆動部と、紙搬送系等のドラム以外の駆動を同様にメインモーターから直接駆動するドラム駆動以外のベルト駆動系とを持ち、ドラムのプーリー中心とモーターの駆動プーリー中心とその他の回転部駆動プーリー中心で形成される角度の2等分線上に、メインモーター固定板の位置規制手段と、モーターテンション負荷手段を設けることにより、ドラムとドラム以外のベルトテンションがベルトやフレームの寸法ばらつきに関わらず均一にかけることができ、ドラム以外の駆動系によるショックや振動をタイミングベルト部で確実に減衰でき、画質の信頼性が向上する。
【0015】
又、前記駆動部においてベルト材質がゴム製のタイミングベルトであることで、ドラム駆動以外のショック・振動をより大きく吸収でき、画質が向上する。
【0016】
又、前記駆動系において、ドラム駆動のプーリーを大径プーリにすることで、ベルトによる噛み合い周波数を小さくでき画質が更に向上する。
【0017】
又、前記駆動系において、駆動ベルトの歯形がハスバ形状を成すことにより、タイミングベルトがテンションを張った場合の多角形形状となり、画質の劣化と騒音の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面を参照して本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。
【0019】
<実施の形態1>
図9は本発明の実施の形態を示す画像形成装置の断面図であり、同図に示すように、画像形成装置本体900には原稿載置台906、光源907、読み取り素子(CIS:コンタクトイメージセンサー)908、給紙部909、画像形成部902等が備えられている。
【0020】
上記給紙部909は、シート材Sを収納して装置本体900に着脱自在なカセット(収納容器)910,911を有しており、各カセット910,911には給紙ローラ(給紙手段)がそれぞれ配設されている。
【0021】
又、前記画像形成部902には、円筒状の感光ドラム13、現像器27、転写帯電器916、分離帯電器917、クリーナ918、一次帯電器919等がそれぞれ配設されている。そして、画像形成部902の下流側には、搬送ガイド920、定着装置904、排出ローラ905等が配設されている。
【0022】
次に、この画像形成装置の動作を説明する。
【0023】
装置本体900に設けられている不図示の制御装置から給紙信号が出力されると、光源907から原稿載置台906に載置されている原稿Dに当てられて反射した光は、読み取り素子(CIS:コンタクトイメージセンサー)908を介して電気画像信号に置き換えられ、レーザスキャナ装置921に電送されてレーザー発光素子(不図示)からポリゴンミラー922、レンズ923,924を介して、感光ドラム13に照射される。感光ドラム13は、一次帯電器919によって予め帯電されており、光が照射されることにより静電潜像が形成され、この静電潜像は現像器27によって現像されてトナー像として顕画化される。
【0024】
一方、給紙部909から給送されたシート材Sは、レジストローラ910で斜行が補正され、更にタイミングが合わされて画像形成部902へ送られる。画像形成部902では、転写帯電器27によってシート材Sに感光ドラム13上のトナー像が転写され、トナー像の転写を受けたシート材Sは、分離帯電器917によって転写帯電器916と逆極性に帯電されて感光ドラム13から分離される。
【0025】
上述のように感光ドラム13から分離されたシート材Sは、搬送装置920によって定着装置904に搬送され、定着装置904においてはシート材Sに未定着転写画像が加圧、加熱により永久定着される。そして、画像が定着されたシート材Sは排出ローラ905によって装置本体900の胴内に排出される。
【0026】
次に本発明に係る駆動部付近の構成について説明する。
【0027】
駆動は本体背面側で感光ドラム13及び現像器27に連結した形で配置されている。図9においては感光ドラム13の奥側に配置される。
【0028】
図1及び図2は本発明における駆動系の実施例の斜視図と平面図である。
【0029】
図1及び図2において、1は駆動源のDCブラシレスモーターであるメインモーター、2はメインモーターを取り付けるモーター取り付け板、3はモーター取り付け板2にテンションを加えるテンションバネである。メインモーター1はネジ4によって4箇所でモーター取り付け板2に固定されている。更に、モーター取り付け板2は、前述のテンションバネ3で矢印方向に付勢された状態で、4箇所のネジ5によって駆動上板6上に固定されている。
【0030】
図3はメインモーター1と駆動上板6を取り除きメインモーター1の軸に固定されているモータープーリー7のみを残した図である。
【0031】
このモータープーリー7は、感光ドラム13のみを駆動する大径ドラムプーリー8とその他のレジストローラー・現像器・手差し駆動を駆動する駆動プーリー9を有する。ドラムプーリー8は、ハスバのタイミングベルト10によってモータープーリー7から直接駆動を伝達されている。
【0032】
同様に駆動プーリー9もハスバのタイミングベルト11によってモータープーリー7から直接駆動を伝達されている。つまり、メインモーター1から該メインモーター1に圧入されているモータープーリー7を介して2系統の駆動系をテンショナーの無い形で直接駆動している。
【0033】
次に、図4により感光ドラム13の駆動について説明を行う。
【0034】
図4は感光ドラム13の駆動部のみを取り出したものであり、ドラム駆動に関係する部分のみを表示している。12はドラムカートリッジであり
13は感光ドラムである。メインモーター1からの動力は、圧入されているモータープーリー7を介してハスバタイミングベルト20へと繋がり、大径プーリー8へ伝わる。当然、大径プーリー8側においてもハスバの形状が形成され、ネジレ方向は20に示す方向であり、ネジレ角は5°である。
【0035】
更に、大径プーリー8からは金属(鉄)製の軸15へ図示しない平行ピンによって動力が伝わり、亜鉛ダイキャスト製のカップリング14を介して感光ドラム13へと回転が伝えられる。感光ドラム13は、ドラムカートリッジ12と一体で交換可能にするために、カップリング14部分で着脱することができる。16は駆動下板であり、図示しない駆動上板6と共にベアリング17を介して軸15を上下で回動自在に支持している。
【0036】
ドラムプーリー8は、軸15に対して軽圧入で組み込まれており、ガタによって回転時プーリーが上下運動し、回転が乱れ、画像が乱れることを防止している。
【0037】
又、大径プーリー8は、ベルトが外れないように両側にフランジ18が形成されている。
【0038】
部品としては2部品で形成されており、スナップジョイント部19で一体化されている。
【0039】
特に、ハスバベルトの場合、ベルト10がスラスト方向の寄り力を発生させるためこのような構成が必須となる。
【0040】
次に、現像器27の駆動について説明する。
【0041】
図5は図4同様に現像器の駆動部分のみを表示したものであり、図においてメインモーター1から同軸上のモータープーリー7を介して動力が駆動ベルト11に伝わり、駆動プーリー9に伝わる。ここでもベルト11はハスバベルトを用い、28に示すような方向に5°のネジレ角で歯を形成している。ドラムプーリー8と 様に、ハスバベルト11によって寄り力が発生するためフランジ29が両側に設けられ、スナップジョイント部30で一体化されている。
【0042】
又、駆動プーリー9にはドラムプーリー8と同様に金属(鉄)軸が軽圧入され、ガタによって回転時プーリーが上下運動し、回転が乱れ、画像が乱れることを防止している。
【0043】
又、軸への回転力伝達は図示しない平行ピンによって行われ、同軸上のスリーブ/マルチ段ギヤ21に平行ピンを介して回転力が伝えられる。
【0044】
更に、このスリーブ/マルチ段ギヤ21は3個のアイドラ22を介して現像クラッチ23のギヤへと回転が伝えられる。現像クラッチ23とアイドラ22は、スリーブ/マルチ段ギヤ21はネジレ角10°のハスバギヤであり、噛み合い率を高めスリーブの回転を滑らかに行うようにしている。又、ハスバであるためスラスト方向に負荷が掛かり、支持している駆動下板16や図3に示す駆動中板31と摺動し、磨耗による異音を防止するためにネジレ角を余り大きく取らず10°とし、更にアイドラギヤ22の端面32には摺動性を向上させるためにグリスを塗布している。
【0045】
現像クラッチ23に動力が伝えられると同軸上のスリーブ駆動ギヤ24がクラッチのON/OFFに従って動力をスリーブギヤ25に伝える。27は現臓器のユニットであり、内部のスリーブ26は同軸上のスリーブギヤ25によって駆動される。
【0046】
スリーブ26のON/OFFタイミングは画像形成時ON 紙間OFFとなるように制御されて現像剤の寿命を向上させている。
【0047】
次に、手差し給紙部の駆動について説明する。
【0048】
図6はドラム駆動に手差し給紙駆動とレジストローラー駆動系を加えた図であり、駆動系全体を表したものである。
【0049】
図において、現像器の駆動同様、メインモーター1からの動力がモータープーリー7を介してハスバベルト11に伝えられ、駆動プーリー9に伝わる。更に、同軸上の段ギヤであるスリーブ/マルチ段ギヤ21に伝わり、現像器の駆動伝達と異なるギヤでマルチアイドラギヤ33と噛み合い、最終的にマルチクラッチ34と一体で形成されているクラッチギヤに回転が伝えられる。更に、マルチクラッチ34時は金属軸を介してマルチ駆動ギヤ35に伝えられ図示しない手差し部の動力源として給紙ローラー等の駆動を行う。
【0050】
次に、レジストローラーの駆動について同様に図6を用いて説明する。
【0051】
図において現像器の駆動同様、メインモーター1からの動力がモータープーリー7を介してハスバベルト11に伝えられ、駆動プーリー9に伝わる。更に、同軸上に設けられたレジ駆動プーリー36に駆動が伝えられ、ベルト37を介してレジクラッチ38に駆動が伝えられる。
【0052】
レジストクラッチ38は、レジストローラー39の同軸上にあり、クラッチのON/OFFによりローラーが回転する。
【0053】
次に、図8を用い本発明に係るメインモータープーリー7のベルトテンションの構成について説明する。
【0054】
前述のようにメインモーター1は、モーター取り付け板2にネジ4で4箇所固定されている。又、メインモーター1は、モータープーリー7の部分で2本のベルトに掛けられ駆動上板6の上に載せられる。駆動上板6にはドラムプーリー8の中心とモータープーリー7の中心と駆動プーリー8の中心で形成される角度の等分線41上(図中、27°ずつを成す)にモーター取り付け板の位置規制用にエンボス42が形成され、それと合致する位置に等分線41方向の動きを可能とする長穴がモーター取り付け板に1箇所のみ設けられている。
【0055】
更に、この状態で同じく等分線上に設けられた引っ張りバネ3を駆動上板6上に設けられた曲げ起こし46に架け、もう一方をモーター取り付け板2上に形成された曲げ起こし45に架けることに図中44の矢印の方向、つまり、モータープーリー7に向かって真直ぐ加圧される。
【0056】
このとき、前述のように位置決め用のエンボスは42の1個所だけであり、しかも、長穴で嵌合しているため、モータープーリー7の部分では位置を規制するものはなく、2本のタイミングベルト10,11と加圧によってバランスが取れた位置でモータープーリー7の位置が決定される。このとき モータープーリー7は等分線41上にあり、テンションバネ3も同一の方向を向いているため、2つのプーリーに対して均等にベルトテンションが掛かることになる。この状態でベルトの歯をプーリーに確実に噛ませるためにメインモーター1を手で1回転ほど回転させ、その後、ネジ5を締め込みモーターの位置を固定する。
【0057】
このように バネの加圧方向を決める位置規制部を等分線41上に1箇所のみ設け、更に等分線41上に加圧バネを設け、モーターの位置を2本のタイミングベルトの釣り合う位置でモータープーリー7位置を決定することで、例えばタイミングベルトの長さが交差上バラついた場合でも、2本のベルトの長さが釣り合った位置に自動的に場所が修正されるため、ベルトテンションが常に均一に掛かり、ベルトの歯飛びによる画像ムラ・ベルトの耐久削れを防止することができる。この構成によれば、2本のベルトを同時に使用してもテンショナーを使う必要がなく、テンショナーの振動による画像の劣化もない。
【0058】
又、テンションも安定しているので、テンションのばらつきによるベルトのダンパー効果の低下も防止できる。
【0059】
更に、以上のようなこの駆動系の特徴として、ドラムの駆動とそれ以外の現像・手差し部・レジストローラー等の駆動をメインモーター1から直接2系統に分割している点が挙げられる。更に、それら2系統の駆動系をギヤではなくタイミングベルトでテンショナーが無い形で行っている。
【0060】
この構成により ギヤで駆動系を繋いだ場合に比べ現像・手差し部・レジストローラー等の駆動による振動・ショックがドラム側に伝わりにくくなる。つまり 現像・手差し部・レジストローラー等の駆動で、例えば現像クラッチON時のショックやレジストクラッチのON時のショックや、現像アイドラギヤ22の噛み合いによる振動等が発生した場合でも、駆動タイミングベルト11がクッションとして振動・ショックの吸収を行う。ここで使用するベルトは、ゴム製が最適であり、チェーンやSUSベルト等に比べ振動の吸収効果を高めている。
【0061】
又、駆動源であるメインモーター1とタイミングベルト11で直接駆動系を連結させているため、タイミングベルト11で減衰したショック・振動がガタを持たない駆動源であるモーターを中継することで、ショック・振動がメインモーターによって堰止められドラム側のベルト10に伝わりにくくなる。
【0062】
又、ドラム側にもメインモーター1から直接ゴム製のタイミングベルト10で駆動が伝えられることで、更に振動・ショックの吸収の効果が発生し、ドラム側に振動・ショックが伝わることがなくなる。
【0063】
又、このようにメインモーター1の次段にアイドラを介さずメインモーター1から直接駆動を行うことによって、一旦モーターからアイドラを介し駆動を伝えた場合に比べて、アイドラ部分が持つ嵌合ガタの影響を取り除くことができるために画質が更に向上する。
【0064】
更に、本駆動系ではメインモーター1に対して2系統の駆動をテンショナー無しの形で繋いでいる。前述のように、一般にベルトにテンションを架ける場合、テンショナーをベルトの歯面側又は裏面側に50〜500gf程度の圧力を掛けることで緩み・歯飛びを防止することが行われるが、本実施の形態のように画像作成部であるドラムの回転部付近でテンショナーを使うと、テンショナーがベルトと摺動する振動が直接ドラムに伝わるため著しく画像が劣化してしまう。ドラム側をテンショナー無しにして、現像駆動側のみテンショナーを付けた場合でも、ベルトがテンショナーと摺動する振動は大きく、影響が残ってしまう。以上のような理由で、本実施の形態では2本とも直接テンショナー無しで直接ベルトを駆動している。
【0065】
又、本駆動系のもう1つの特徴としてドラム駆動系に大径プーリー8を使用している。具体的には、モータープーリー7の歯数が18歯に対して、ドラムプーリー8は271歯である。又、駆動プーリーは大径ではないが91歯である。このようにドラム駆動に大径プーリーを使う理由として、画像上の歯の噛み合いピッチを極力小さくすることによって噛み合いによるピッチムラの影響を少なくする狙いがある。
本実施の形態では、プロセス速度は237mm/secであり、DCモーターであるメインモーターの回転数モーターの高効率を考え2200rpmで駆動している。一般に、回転速度が遅過ぎるとモーターの回転ムラが悪く、回転数を上げ過ぎると騒音が問題となり、モーター自身の出力効率の良い2000rpm付近に設定している。この場合、画像上の歯の噛み合いピッチは、
237/((2200/60)×(271/19))=0.45mm
となる。一般に、噛み合いピッチが小さいほど、ムラとしては見えづらく、0.5mm以下程度になると視覚的に判別しづらくなり問題にならなくなる。ここでは、0.45mmとし0.5mm以下になっているためにムラは目立ちにくい。
【0066】
又、別の特徴としてハスバベルトを用いている。本実施の形態では、メインモーター1に直接ベルトを掛けているため、メインモーター側のプーリー歯数を余り大きくすることができない。もし、大きくしてしまうと、減速比を確保するのに大径プーリーの歯数がむやみに大きくなってしまい 成型上ソリ等の影響で精度が出なくなってしまう。
【0067】
そのため 本実施の形態では、同一の18歯のプーリー7を2個並べる形でメインモーター1の軸に圧入しているが、歯数が小さいと図7に示すように逆に通常の直歯のタイミングベルトではプーリーに巻き付いたとき、ベルト自体の長手方向のゴム厚の差(歯のある部分と無い部分の差)によりが円形にならず、回転時に多角形駆動となり、送りムラが生じる。プーリー径が大きい場合は近似的に円形に近くなるので、それほど問題とならないが、18歯程度の場合、ベルトが巻き付いた状態で18角形になり、送りにムラが生じるのと同時に騒音も問題となる。
【0068】
この問題を解決するために前述のようにハスバのタイミングベルトを使用している。ハスバにすることによって 歯がベルトの幅方向に角度を持ち、長さ方向に複数の歯が存在する形になり、全体としてゴムの厚みがほぼ均一になる。その結果、多角形駆動が解消され、送りムラによる画像の劣化・騒音を防止している。特に、本実施の形態のようにモーターから直接ベルト駆動を行う場合は最適である。
【0069】
<実施の形態2>
実施の形態1では、テンションを引っ張りバネを用いてモータープーリー7の左上方向から掛けているが、方向が同一であり概略等分線41上であれば、モータープーリー7の右下でも圧縮バネを用いても良い。前記実施の形態では、完全に等分線41線上に加圧方向が一致しているが、負荷が小さくベルトの歯飛びに対するマージンが十分にあれば、多少等分線41と加圧方向がずれても良い。但し、その場合、2本のベルトのテンションは均一ではなく多少アンバランスとなる。
【0070】
又、本実施の形態では、市場でメインモーター1の交換を可能にするために、バネ3を部品としてネジ5を固定後も付けたままにしているが、交換の必要がなければ、ネジでモーターを固定した後、取り外し、冶具として組み立て時のみ使用しても良い。
【0071】
更には、専用のバネでなくとも、モーター取り付け板2に穴等を設け、テンションゲージ等を用い等分線上41で引っ張りながらネジ止めしても良い。その場合、専用の部品は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例斜視図である。
【図2】実施例平面図である。
【図3】駆動系プーリーの詳細図である。
【図4】ドラム駆動詳細図である。
【図5】現像駆動詳細図である。
【図6】駆動系の詳細図である。
【図7】直歯ベルトの多角形駆動を示す図である。
【図8】2本ベルトテンションの詳細図である。
【図9】画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 メインモーター
2 モーター取り付け板
3 テンションバネ
4,5 ネジ
6 駆動上板
7 モータープーリー
8 大径ドラムプーリー
9 駆動プーリー
10,11 タイミングベルト
12 ドラムカートリッジ
13 感光ドラム
27 現像器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の画像形成プロセスによって形成された画像を記録材に記録するための機器の回転部を回転駆動する駆動ユニットであって、駆動源となるモーターと、像担持体の駆動プーリーと、像担持体駆動ベルトと、担持体以外の回転部の駆動プーリーと、像担持体以外の回転部駆動ベルトと、前記モーターを保持するモーター固定板と、像担持体のプーリー中心とモーターの駆動プーリー中心とその他の回転部駆動プーリー中心で形成される角度の2等分線上に設けられた前記モーター固定板の位置規制手段1箇所と、前記2等分線上に設けられたモーターテンション負荷手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ベルト材質がゴム製のタイミングベルトであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体駆動プーリーは、像担持体の2倍以上の径を持つ大径プーリーであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
駆動ベルトの歯形がハスバ形状を成すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−72206(P2006−72206A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258398(P2004−258398)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】