説明

画像形成装置

【課題】 それぞれが所定色のトナー画像を形成する複数の画像形成部を有してカラー画像を形成する画像形成装置において、所望の色による単色印刷や限定色印刷を行う場合、その他の色のトナーが形成画像に付着して画像品位を下げたり、不要に動作する部品がよけいに磨耗、劣化してしまうといった問題があった。
【解決手段】 各画像形成部17〜20にそれぞれ個別に対応する個別アップダウン機構44を設け、印刷時に使用しない色のトナーを収容する画像形成部を、それに対応する個別アップダウン機構44の楕円カム45によって上方に移動させ、感光ドラム21と搬送ベルト14とが所定の距離離間する非画像形成位置に維持する。また、非画像形成位置にある画像形成部や、その画像形成部に対応する転写ローラ25や記録ヘッド23に対する回転駆動や電圧印加を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に複数の画像形成部を有する複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の複数の画像形成部でカラー画像を形成する装置としては、例えば、複数の画像形成部を、画像形成位置と非画像形成位置とに移動させる機構部を備え、カラー印刷時にはすべての画像形成部を画像形成位置に移動して印刷を行い、モノクロ印刷時には使用しないブラック以外の画像形成部を非画像形成位置に動かして印刷を行うものがあった。そして非印刷時には、搬送ベルトからの感光ドラムの汚染をさけるため、すべての画像形成部を非画像形成位置に動かし、画像形成部を搬送ベルトと離間させていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003―215880号公報(第5頁、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した構成の装置では、黒以外の単色印刷、或いは限定色印刷を行う場合、使用しない色の画像形成部も画像形成位置に移動するため、これ等の画像形成部の感光ドラム、現像ローラ等の部品が不必要に駆動し、更にこれ等の感光体ドラムが転写材と接触する。このため、感光ドラムに残留する不必要なトナーが転写材に付着して画像の品位を下げ、更にこのとき不必要に駆動、或いは発熱する部品が、よけいに磨耗、劣化してしまうといった問題があった。
【0005】
本発明の主な目的は、これ等の問題を解決し、所望の色による単色或いは限定色印刷を行う場合、使用しない色の画像形成部については、その感光ドラムによって、転写材が汚されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に備えられた媒体搬送路に沿って並んで配置され、前記装置本体に着脱自在に装着された複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の内の少なくとも2つ以上の前記画像形成部を、前記媒体搬送路に接する第1の位置と前記媒体搬送路から離間した第2の位置との間で、移動させる第1の位置決め手段と、前記画像形成部を、前記第1の位置と前記第2の位置の、どちらか選択した位置に設定可能な第2の位置決め手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、使用しない色の画像形成部を転写材に触れない位置に維持できるため、不要な色のトナーが転写材に付着して画像の品位が低下するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明の画像形成装置に基づく実施の形態1のカラー画像形成装置の要部構成を示す要部構成図である。
【0009】
同図に示すように、カラー画像形成装置1は、ロワーカバー2と、ロワーカバー2に対して支軸3を中心に回動して分割面4を境に開閉自在なアッパーカバー5とを有し、アッパーカバー4には、印刷済みの記録用紙が排出されるスタッカ6が設けてある。ロワーカバー2の内部には、給紙ローラ7〜10を有する概ねS字状の用紙搬送路11が形成されており、この用紙搬送路11の上流側端部には、記録用紙を収納する給紙カセット12が配置され、下流側端部には前記したスタッカ6が位置する。
【0010】
用紙搬送路11には、給紙カセット12から記録用紙を繰り出す用紙繰り出し部13、繰り出された記録用紙を静電効果により搬送ベルト14に付着させて搬送する搬送ベルトユニット15、及びトナー画像を記録用紙に定着させる定着部16が設けられている。搬送ベルトユニット15とによって、搬送ベルト14の移動路上の用紙搬送路11に相当する媒体搬送路を挟む位置に、記録用紙の搬送方向上流側より順にブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナーを収納する画像形成部17〜20が直線上に一列に着脱自在に配列されている。本実施例においては、各画像形成部17〜20の構成は同一であり、収納されているトナーの色が異なる。
【0011】
画像形成部17〜20は、それぞれの感光ドラム21の周囲に、回転方向の上流側から順に帯電ローラ22、記録ヘッド23、現像ローラ24、及び転写ローラ25等を配置している。そして感光ドラム21の表面に静電潜像を形成し、静電効果により、この静電潜像に帯電トナーを付着させることによりトナー画像にする。転写ローラ25は帯電トナーと逆極性に帯電され、搬送ベルト14によって搬送される記録用紙にトナー画像を転写する。このうち、記録ヘッド23は、アッパーカバー5に配設され、転写ローラ25は、この画像形成部17〜20を載置する装置本体側に配設されている。このように、各画像形成部17〜20は、それぞれ一体的に形成され、カラー画像形成装置1本体に対して着脱可能に構成されている。尚、上記したように、カラー画像形成装置1の、画像形成部17〜20のように着脱自在な構成要素を除いた部分を画像形成装置本体と称す。
【0012】
また、同図中のXYZ座標は、記録用紙が各画像形成部17〜20を通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光体ドラム21の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸を取っている。また、後述する他の図においてXYZ座標が示される場合においても、これらの座標の軸方向は、共通する方向を示すものとする。
【0013】
図2は、図1に示すカラー画像形成装置を同方向からみた要部拡大図であり、図3は、図1に示すカラー画像形成装置を逆方向からみた要部拡大図である。
【0014】
図2、図3の各図に示すように、カラー画像形成装置1には、画像形成部17〜20を挟んでフレーム26,27が立設している。画像形成部17〜20は、フレーム26,27に設けられたガイド溝28,29に沿ってアップダウンされる。このとき、ガイド溝28には、各感光ドラムシャフト21aが嵌合し、ガイド溝29には、画像形成部17〜20の側壁から突出したシャフト17a〜20aが嵌合する。これらのガイド溝28とガイド溝29とは平行に設けてある。尚、図2、図3において、各フレーム26,27は、それぞれ各画像形成部17〜20の向こう側に位置するフレームを示している。
【0015】
次に、画像形成部17〜20を一体的にアップダウンさせる一体アップダウン機構の構成について説明する。
【0016】
図4は、図2に示した一体アップダウン機構30の斜視図である。
一体アップダウン機構30は、一対のスライドリンク31と、スライドリンク31を矢印A−B方向(X軸方向)へ往復運動させる駆動力伝達部32とからなる。スライドリンク31は、画像形成部17〜20(図2)の各感光ドラムシャフト21aを、第1のガイド面33aと第2のガイド面33bとからなるガイド面33で支持すると共に、画像形成部17〜20のアップダウン方向と交差する矢印A−B方向へ往復運動する。この往復運動によって、第1のガイド面33aにより画像形成部17〜20の感光ドラム21を、搬送ベルト14(図2)に圧接する第1の位置にダウンさせて画像形成位置とし、第2のガイド面33bにより画像形成部17〜20の感光ドラム21を搬送ベルト14から所定の距離離間する第2の位置にアップさせて非画像形成位置とする。尚、図2、図3は、画像形成部17〜20が画像形成位置に位置する状態を示している。
【0017】
駆動力伝達部32は、一対のスライドリンク31,31と交差する方向(Y軸方向)に延在する回転シャフト34、回転シャフト34に固着された偏心カム35、スライドリンク31を矢印B方向に付勢して偏心カム35に当接させる付勢部材36、画像形成部17〜20をアップする方向、即ち、画像形成位置から非画像形成位置に移動するとき回転シャフト34に噛み合うワンウェイクラッチ37、ワンウェイクラッチ37を介して回転シャフト34に設けられるギア38、駆動モータ39の駆動ギア40及び駆動ギア40とギア38との間に設けられるギア列41〜43とからなる。尚、ギア41とギア42は、同軸で一体的に形成されている。
【0018】
次に、画像形成部17〜20を個別にアップダウンさせる個別アップダウン機構の構成について説明する。尚、図3に示すように、個別アップダウン機構44は、各画像形成部17〜20毎にそれぞれ備えられているが、これらは構成が全く同じであるため、ここでは、ブラック(B)のトナーを収納する画像形成部17に対応して備えられた個別アップダウン機構44の場合を例にして説明する。
【0019】
個別アップダウン機構44は、転写ローラ25のシャフト46が、記録紙を搬送する方向と逆に回転するときこのシャフト46と噛合うワンウェイクラッチが設けられている楕円カム45、電磁クラッチによってシャフト46と結合して一体的に回転する状態と、非結合状態とが選択可能な電磁クラッチ付きギア47、駆動モータ50の駆動ギア49、及び駆動ギア49と噛合する大ギア48aと電磁クラッチ付きギア47と噛合する小ギア48bとが同軸で一体的に形成された中間ギア48とからなる。検出器51(図2)は、各画像形成部17〜20が前記した画像形成位置にあるか否かを検出する。
【0020】
図5は、本実施の形態のカラー画像形成装置1の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。以下、図1を参照しながらこの制御系について説明する。
【0021】
同図中、印刷制御部101は、上位装置から印刷起動の指示を受けると、モータ制御部106に指示を出して、感光ドラム21を駆動する感光ドラム駆動モータ107、転写ベルトユニット15の搬送ベルト14を駆動するベルト駆動モータ108、用紙繰り出し部13の給紙ローラを駆動する給紙モータ109、及び定着部16の定着ローラを駆動する定着モータ110を、それぞれ所定の動作タイミング及び回転速度で回転するように制御する。また印刷制御部101は、高圧制御部104に指示を出して、画像形成部17〜20の帯電ローラ22や現像ローラ24、転写ローラ25及び転写ベルトユニット5の各高圧印加部に所定の高圧電圧を印加するように制御すると共に、露光制御部102に対して記録ヘッド23での印刷データの書込みを指示する。
【0022】
また、印刷制御部101は、アップダウン制御部111に指示を出して、後述するように、一体アップダウン機構30(図4)を駆動する駆動モータ39、個別アップダウン機構44(図3)を駆動する駆動モータ50、及び個別アップダウン機構44の電磁クラッチ付きギア47の電磁クラッチを制御する。更に、画像形成部17〜20が画像形成位置にあるか否かを検出する検出器51(図2)からの信号を受けて、後述するように、各部の駆動、及び電圧印加を制御する。
【0023】
以上の構成を有するカラー画像形成装置1において、その要部動作について以下に説明する。
【0024】
印刷が起動されると、カラー画像形成装置1は、図1に示す用紙繰り出し部13によって、給紙カセット12から記録紙を繰り出し、この記録紙を用紙搬送路11に沿って下流側に搬送する。そしてこの記録紙を搬送ベルトユニット14で搬送する過程で、画像形成部17〜20によって個々に形成したトナー画像を、転写ローラ24により順次記録面上に転写し、更に定着部16によって記録面上へのトナー画像の定着を行った後、印刷済みの記録紙をスタッカ5へ搬送する。
【0025】
次に、上記した印刷を実行するに際して、画像形成部17〜20を画像形成位置と非画像形成位置との間で移動する移動動作について説明する。先ず一体アップダウン機構30による移動動作を、図6を参照しながら説明する。
【0026】
図6は、画像形成部17〜20の各感光ドラム21を、搬送ベルト14から離間させた非画像形成位置に移動した状態を示す動作説明図である。印刷制御部101(図5)は、印刷を行わない非印刷時に、各画像形成部17〜20を、図2に示す画像形成位置から図6に示す非画像形成位置に移動するため、駆動モータ39をY軸回りの矢印D方向に回転させ、ギア列41〜43をそれぞれ矢印方向に回転してギア38を矢印C方向に回転させる。
【0027】
ギア38がY軸回りの矢印C方向に回転すると、ワンウェイクラッチ37(図4)の内輪と外輪とが噛み合って回転シャフト34を同方向に回転する。回転シャフト34の回転に伴って一対の偏心カム35,35も回転し、付勢部材36,36の付勢力に抗してスライドリンク31,31を矢印A方向に移動させる。スライドリンク31,31が矢印A方向に移動すると、画像形成部17〜20の各感光ドラムシャフト21aが、それぞれ各ガイド面33の傾斜した第2のガイド面33bによって、ガイド溝28に沿って上方(矢印F方向)に押し上げられると共に、画像形成部17〜20の側壁から突出したシャフト17a〜20aも、ガイド溝29に沿って矢印F方向に押し上げられる。そして図6に示すように、画像形成部17〜20を搬送ベルト14から所定距離離間させた非画像形成位置に至った段階で駆動モータ38を停止させ、適正な保持電流を駆動モータ39に与えてこの位置を保持するように制御する。
【0028】
また印刷制御部101(図5)は、印刷時に、駆動モータ39をY軸回りの矢印C方向に回転させ、ギア38をY軸回りの矢印D方向に回転させる。ギア38が矢印D方向に回転すると、ワンウェイクラッチ37(図4)の内輪と外輪との噛合いが外れて外輪が空転する。この時スライドリンク31,31は、図6に示す状態から付勢部材36,36の付勢力と画像形成部17〜20の自重とにより矢印B方向に移動し、画像形成部17〜20の各感光ドラムシャフト21aが、それぞれ各ガイド面33の最下位置に相当する第1のガイド面33aに支えられる図2に示す画像形成位置に戻り、画像形成部17〜20を搬送ベルト13に圧接する。またこのとき、画像形成部17〜20の各感光ドラムシャフト21a及びシャフト17a〜20aがそれぞれガイド溝28及び29の各最下部に当接するように構成してもよい。
【0029】
次に個別アップダウン機構44の動作について、ブラック(B)のトナーを収納する画像形成部17に対応して備えられた個別アップダウン機構44を例に、図7を参照しながら説明する。
【0030】
図7は、画像形成部17の感光ドラム21を搬送ベルト14から離間させた非画像形成位置に移動した状態を示す動作説明図である。
【0031】
使用されない色の画像形成部がある場合、印刷制御部101(図5)は、その色(ここでは黒色)の画像形成部17に対応する個別アップダウン機構44の電磁クラッチ付きギア47の電磁クラッチをONにてシャフト46と結合させると共に、駆動モータ50をY軸回りの矢印C方向に回転させる。これにより、中間ギア48、電磁クラッチ付きギア47が、それぞれ矢印(図7)の方向に回転し、転写ローラ25のシャフト46は記録紙を搬送する際の回転方向と逆(Y軸回りの矢印C方向)に回転する。
【0032】
このため、楕円カム45は、その内輪と外輪とが噛合って、同図に点線で示す待機回転位置(長軸がX軸と略平行な状態)から、Y軸回りの矢印C方向に回転する。印刷制御部101(図5)は、楕円カム45が90°回転し、同図に実線で示す作用回転位置(長軸がZ軸と略平行な状態)となるまで駆動モータ50を駆動制御する。このとき、画像形成部17は、楕円カム45によって底部が押し上げられるため、感光ドラムシャフト21aがガイド溝28に沿って、更に画像形成部の側壁から突出したシャフト17aがガイド溝29に沿ってそれぞれ矢印F方向に移動し、感光ドラム21が搬送ベルト14から離間する非画像形成位置に至る。
【0033】
また、画像形成部17を、再び画像形成位置に移動させる際には、駆動モータ50を再び同方向(Y軸回りの矢印C方向)に所定量回転させて楕円カム45を更に同方向に90°回転させる。このとき楕円カム45が、再び同図に点線で示す待機回転位置となって画像形成部17の底部から離れるため、画像形成部17は、自重により、その感光ドラムシャフト21aがスライドリンク31の第1のガイド面31aに至って画像形成位置に移動する。
【0034】
また図2に示す検出器51は、画像形成部17〜20が、画像形成位置にあるか否かを検出し、印刷制御部101(図5)に通知する。印刷制御部101は、画像形成位置にない、即ち非画像形成位置にある画像形成部の感光ドラム21、帯電ローラ22、現像ローラ24の回転駆動、及びこの画像形成部に対応する記録ヘッド23(図1)の点灯をそれぞれ停止すると共に、帯電ローラ22、現像ローラ24、及びこの画像形成部に対応する転写ローラ25に対して行う所定電圧の印加を停止する。
【0035】
フルカラー印刷の場合、一体アップダウン機構30及び個別アップダウン機構44は、どちらも、画像形成部17〜20が画像形成位置になるようにし、形成したトナー画像を記録用紙に重ね転写してカラー画像を形成する。
【0036】
印刷時、非印刷時における画像形成部17〜20の位置の切替えには、消費電力の少ない一体アップダウン機構30を使い、使用しない色がある印刷の場合には、使用しない画像形成部を、この画像形成部に対応する個別アップダウン機構44を使って非画像形成位置に移動し、画像形成位置にある他の画像形成部のみで形成したトナー画像を記録用紙に転写して単色、限定色の画像を形成する。
【0037】
以上のように、本実施の形態1のカラー画像形成装置1によれば、個別アップダウン機構を設けたことで、単色印刷、限定色印刷の際に、使用しない画像形成部の感光ドラムに残留する不必要なトナーが転写材に付着し、画像の品位が低下するのを防止できると共に、画像形成部の感光ドラム、現像ローラ等の部品が、不要な動作によって磨耗、劣化してしまうのを防ぐことができる。
【0038】
実施の形態2.
図8は、本発明に基づく実施の形態2のカラー画像形成装置61の要部拡大図である。
このカラー画像形成装置61が、前記した図1〜図7に示す実施の形態1のカラー画像形成装置1と主に異なる点は、個別アップダウン機構44(図7)が除かれ、代わりに画像形成部17〜20に着脱自在な駒63を設けた点である。従って、本実施の形態のカラー画像形成装置61が、前記した実施の形態1のカラー画像形成装置1と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0039】
画像形成部17〜20を個別に画像形成位置又は非画像形成位置に設定する機構について説明する。尚、この機構は、各画像形成部17〜20に対して個々に備えられているが、構成が全く同じであるため、ここでは、イエロー(Y)のトナーを収納する画像形成部18に備えられた機構を例にして説明する。
【0040】
図9(a),(b)は、画像形成部18の外観斜視図であり、同図のXYZ軸は、この画像形成部18が、図8に示すカラー画像形成装置61に装着される際の配置方向を示している。
【0041】
同図に示すように、画像形成部18の一対の側壁18dからは、対称となる位置において感光ドラムシャフト21a及びシャフト18aが突出ており、シャフト18aの下方近くには、着脱可能に駒63を取り付けるための取付け穴62が形成されている。同図(a)は、駒63を取付け穴62から外した状態を示し、同図(b)は、駒63を取付け穴62に装着した状態を示している。
【0042】
図8は、画像形成部18にのみ駒63を取り付けて、各画像形成部17〜20をカラー画像形成装置61の本体に装着したときの状態を示している。同図に示すように、画像形成部18に取付けられた駒63は、シャフト18aの下方にあってシャフト18aと共にガイド溝29に嵌合し、ガイド溝29の最下部に当接して、画像形成部18の位置を決めている。
【0043】
画像形成部18は、装着時に、画像形成部18の感光ドラムシャフト21aがガイド溝28によって、またシャフト18a及び駒63がガイド溝29によって、それぞれガイドされながら矢印Fと反対の下方に移動する。この時、他の画像形成部17、19,20のように、駒63が取付けられていない場合、感光ドラムシャフト21aがスライドリンク31のガイド面33の最下部である第1のガイド面33aに導かれ、感光ドラム21が搬送ベルト14に圧接する画像形成位置に位置決めされる。一方、同図に示す画像形成部18ように、取付け穴62に駒63が取付けられていると、感光ドラム21が搬送ベルト14に当接する前にこの駒63がガイド溝29の最下部に当接するため、この駒を取り付けた画像形成部18は、感光ドラム21が搬送ベルト14から所定の距離離間する非画像形成位置に留まる。
【0044】
また図8に示す検出器51は、画像形成部17〜20が、画像形成位置にあるか否かを検出し、印刷制御部101(図5)に通知する。印刷制御部101は、画像形成位置にない、即ち非画像形成位置にある画像形成部18の感光ドラム21、帯電ローラ22、現像ローラ24の回転駆動、及びこの画像形成部に対応する記録ヘッド23(図1)の点灯をそれぞれ停止すると共に、帯電ローラ22、現像ローラ24、及びこの画像形成部18に対応する転写ローラ25に対して行う所定電圧の印加を停止する。
【0045】
フルカラー印刷の場合、一体アップダウン機構30は機能させず、更にすべての画像形成部17〜20から駒63を外すことによって、画像形成部17〜20を画像形成位置にし、形成したトナー画像を記録用紙に重ね転写してカラー画像を形成する。
【0046】
非印刷時には、一体アップダウン機構30を使い、スライドリンク31を矢印A方向に移動させて画像形成部17〜20を搬送ベルト14から離間させる。
【0047】
単色印刷、限定色印刷する場合には、使用しない画像形成部に駒63を取り付けて画像形成部を非画像形成位置に配し、画像形成位置にある画像形成部のみで形成したトナー画像を記録用紙に転写して、単色、限定色の画像を形成する。
【0048】
以上のように、本実施の形態のカラー画像形成装置61によれば、個別アップダウン機構の代わりに画像形成部に駒を取り付けることで、単色印刷、限定色印刷の際に、使用しない画像形成部の感光ドラムに残留する不必要なトナーが転写材に付着し、画像の品位が低下するのを防止できると共に、画像形成部の感光ドラム、現像ローラ等の部品が、不要な動作によって磨耗、劣化してしまうのを防ぐことができる。また、実施の形態1のように複雑な機構の個別アップダウン機構を備えることなく、実施の形態1のカラー画像形成装置1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態3.
図10は、本発明に基づく実施の形態3のカラー画像形成装置71の要部拡大図である。
このカラー画像形成装置71が、前記した図1〜図7に示す実施の形態1のカラー画像形成装置1と主に異なる点は、個別アップダウン機構44(図7)が除かれ、代わりにガイド溝29に着脱自在な駒72を設けた点である。従って、本実施の形態のカラー画像形成装置71が、前記した実施の形態1のカラー画像形成装置1と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0050】
画像形成部17〜20を個別に画像形成位置又は非画像形成位置に設定する機構について説明する。尚、この機構は、各画像形成部17〜20に対して個々に備えられているが、構成が全く同じであるため、ここでは、イエロー(Y)のトナーを収納する画像形成部18に対応する機構を例にして説明する。
【0051】
図11は、フレーム26において、画像形成部18の感光ドラムシャフト21a及びシャフト18aをそれぞれガイドするガイド溝28、及びガイド溝29の辺りを拡大した外観斜視図である。
【0052】
同図に示すように、フレーム26の上記した所定のガイド溝29には、このガイド溝29の縁を挟む外周溝72aを有するボタン状の駒72が装着されている。この駒72は、その外周溝72aにガイド溝29の縁を嵌入するようにし装着され、同図に示すようにガイド溝29の最下部に取り付けられる。また、このフレーム26と対をなすフレーム27(図3参照)の対向するガイド溝29にも同様にして駒72が装着される。尚、図11には、ガイド溝29に装着された状態と、単独の状態とを示す2つの駒72が示されている。
【0053】
図10は、フレーム26,27の、画像形成部18に対応するガイド溝29にのみ駒72を取り付けて、各画像形成部17〜20をカラー画像形成装置71の本体に装着したときの状態を示している。同図に示すように、ガイド溝29に取付けられた駒72は、画像形成部18のシャフト18aに当接して、画像形成部18の位置を決めている。
【0054】
即ち、画像形成部18は、装着時に、画像形成部18の感光ドラムシャフト21aがガイド溝28によって、またシャフト18aがガイド溝29によって、それぞれガイドされながら矢印Fと反対の下方に移動する。この時、他の画像形成部17、19,20のように、対応するガイド溝29に駒72が取付けられていない場合、感光ドラムシャフト21aがスライドリンク31のガイド面33の最下部である第1のガイド面33aに導かれ、感光ドラム21が搬送ベルト14に圧接する画像形成位置に位置決めされる。一方、同図に示す画像形成部18のように対応するガイド溝29に駒72が取付けられていると、感光ドラム21が搬送ベルト14に当接する前に画像形成部18のシャフト18aがこの駒72に当接するため、この駒72が取り付けられたガイド溝29に装着される画像形成部18は、その感光ドラム21が搬送ベルト14から所定の距離離間する非画像形成位置に留まる。
【0055】
また図10に示す検出器51は、画像形成部17〜20が、画像形成位置にあるか否かを検出し、印刷制御部101(図5)に通知する。印刷制御部101は、画像形成位置にない、即ち非画像形成位置にある画像形成部18の感光ドラム21、帯電ローラ22、現像ローラ24の回転駆動、及びこの画像形成部に対応する記録ヘッド23(図1)の点灯をそれぞれ停止すると共に、帯電ローラ22、現像ローラ24、及びこの画像形成部18に対応する転写ローラ25に対して行う所定電圧の印加を停止する。
【0056】
フルカラー印刷の場合、一体アップダウン機構30は機能させず、更にすべてのガイド溝29から駒71を外すことによって、画像形成部17〜20を画像形成位置にし、形成したトナー画像を記録用紙に重ね転写してカラー画像を形成する。
【0057】
非印刷時には、一体アップダウン機構30を使い、スライドリンク31を矢印A方向に移動させて画像形成部17〜20を搬送ベルト14から離間させる。
【0058】
単色印刷、限定色印刷する場合には、使用しない画像形成部に対応するガイド溝29に駒72を取り付けて画像形成部を非画像形成位置に配し、画像形成位置にある画像形成部のみで形成したトナー画像を記録用紙に転写して、単色、限定色の画像を形成する。
【0059】
以上のように、本実施の形態のカラー画像形成装置71によれば、前記した実施の形態2のカラー画像形成装置61と同等の効果が得られる他、駒を、消耗品である画像形成部に取り付けるのでなく、装置本体のガイド溝に取り付ける構成としているため、画像形成部を交換する際に駒を取り外さないまま、これを画像形成部と一緒に廃棄し、紛失してしまうといったミスを防ぐことができる。
【0060】
尚、前記した各実施の形態では、タンデム方式の直接印刷方式の画像形成装置を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、いわゆる中間転写方式の画像形成装置でも適用可能である。更に、複数の画像形成部を有するものであるならば、ファクシミリや、コピー、ファクシミリ、プリンタなどの機能を集約したMFP(Multifunction Peripherals)なども適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の画像形成装置に基づく実施の形態1のカラー画像形成装置の要部構成を示す要部構成図である。
【図2】図1に示すカラー画像形成装置を同方向からみた要部拡大図である。
【図3】図1に示すカラー画像形成装置を逆方向からみた要部拡大図である。
【図4】図2に示した一体アップダウン機構の斜視図である。
【図5】本実施の形態のカラー画像形成装置の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。
【図6】画像形成部の各感光ドラムを、搬送ベルトから離間させた非画像形成位置に移動した状態を示す動作説明図である。
【図7】個別アップダウン機構によって、画像形成部の感光ドラムを搬送ベルトから離間させた非画像形成位置に移動した状態を示す動作説明図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態2のカラー画像形成装置の要部拡大図である。
【図9】(a)は、駒を取付け穴から外した状態の画像形成部の外観斜視図であり、(b)は、駒を取付け穴に取り付けた状態の画像形成部の外観斜視図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態3のカラー画像形成装置の要部拡大図である。
【図11】画像形成部の感光ドラムシャフト及びシャフトをそれぞれガイドするガイド溝の辺りを拡大した外観斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1,61,71 カラー画像形成装置、
2 ロワーカバー、
3 支軸、
4 分割面、
5 アッパーカバー、
6 スタッカ、
7〜10 給紙ローラ、
11 用紙搬送路、
12 給紙カセット、
13 用紙繰り出し部、
14 搬送ベルト、
15 搬送ベルトユニット、
16 定着部、
17〜20 画像形成部、
17a〜20a シャフト、
21 感光ドラム、
21a 感光ドラムシャフト、
22 帯電ローラ、
23 記録ヘッド、
24 現像ローラ、
25 転写ローラ、
26,27 フレーム、
28,29 ガイド溝、
30 一体アップダウン機構、
31 スライドリンク、
32 駆動力伝達部、
33 ガイド面、
33a 第1のガイド面、
33b 第2のガイド面、
34 回転シャフト、
35 偏心カム、
36 付勢部材、
37 ワンウェイクラッチ、
38 ギア、
39,50 駆動モータ、
40 駆動ギア、
41〜43 ギア列、
44 個別アップダウン機構、
45 楕円カム、
46 シャフト、
47 電磁クラッチ付きギア、
48 中間ギア、
48a 大ギア、
48b 小ギア、
49 駆動ギア、
51 検出器、
62 取付け穴、
63,72 駒、
72a 外周溝、
101 印刷制御部、
102 露光制御部、
104 高圧制御部、
106 モータ制御部、
107 感光ドラム駆動モータ、
108 ベルト駆動モータ、
109 給紙モータ、
110 定着モータ、
111 アップダウン制御部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に備えられた媒体搬送路に沿って並んで配置され、前記装置本体に着脱自在に装着された複数の画像形成部と、
前記複数の画像形成部の内の少なくとも2つ以上の前記画像形成部を、前記媒体搬送路に接する第1の位置と前記媒体搬送路から離間した第2の位置との間で、移動させる第1の位置決め手段と、
前記画像形成部を、前記第1の位置と前記第2の位置の、どちらか選択した位置に設定可能な第2の位置決め手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の位置決め手段は、前記画像形成部を、前記第1の位置と前記第2の位置との間で、個別に移動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の位置決め手段は、
前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記画像形成部が移動するのをガイドするガイド手段と、
前記画像形成部が前記ガイド手段に導かれて前記第1の位置に至るのを阻止する駒と
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駒が、前記画像形成部に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置
【請求項5】
前記駒が、前記装置本体に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の位置決め手段が同時に4つの前記画像形成部を移動し、前記第2の位置決め手段が該4つの画像形成部の位置を個々に設定可能としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、感光体を有し、露光により前記感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させてトナー画像を形成するもので、
前記トナー画像を画像転写部にて転写媒体へ転写することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部が前記媒体搬送路から離間していることを検出する検出手段と、
該検出手段の検出情報に基づいて、前記媒体搬送路から離間している前記画像形成部の駆動を停止させる制御手段と
を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成部が前記媒体搬送路から離間していることを検出する検出手段と、
該検出手段の検出情報に基づいて、前記媒体搬送路から離間している前記画像形成部の前記感光体に前記静電潜像を形成するために発光する発光部を消灯させる制御手段と
を有することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成部が前記媒体搬送路から離間していることを検出する検出手段と、
該検出手段の検出情報に基づいて、前記媒体搬送路から離間している前記画像形成部、及び前記媒体搬送路から離間している前記画像形成部に対向する前記画像転写部への電圧印加を停止させる制御手段と
を有することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−78544(P2006−78544A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259537(P2004−259537)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】