説明

画像形成装置

【課題】印刷用データを適宜選択して記憶装置に転送(コピー)することにより、データアクセスが高速化されたまたは省電力された画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置の主制御部10は以下の処理を行う。すなわち無操作時間を計測し(S10)、所定の時間を超えると判定される場合(S20)メモリ102の空き領域を確保し(S30)、ハードディスク(HDD)30に格納される印刷ジョブから近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブを選択し(S40)メモリへ転送して(S50)HDD30をオフし(S60)、そのアクセスを監視して(S70)アクセスがあると判定される場合(S80)HDD30をオンする(S90)。よって、HDD30の停止中にはメモリ102にアクセスしてHDDへのアクセス回数が低減されるので、印刷ジョブへのアクセスを(全体として)高速化または省電力化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのデータ記憶装置を有する画像形成装置に関し、より詳しくは2つのデータ記憶装置のうちの一方のデータ記憶装置から他方のデータ記憶装置へ印刷用データの転送(データコピー)を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスで処理される印刷用データの量は飛躍的に増大しており、オフィスにおいて使用されるプリンタなどの画像形成装置にも大容量の記憶装置が備えられていることが多い。この大容量記憶装置としては、記憶容量あたりのコストや入出力速度等を勘案してハードディスク装置が主として使用されている。
【0003】
しかしながら、このハードディスク装置は、ディスクやヘッドといった物理的な可動部品を含んでいるので、このような可動部品を含まない半導体メモリ等と比較すると、データのアクセスに時間がかかり、また消費電力も大きいという性質を有する。特に、常時稼動することが求められることが多いプリンタなどの画像形成装置では、その消費電力の低減化が非常に重要な課題となっている。そのため、ハードディスク装置には、使用されないときにディスクの回転を停止させる動作モードである省電力モードが搭載されることが多い。
【0004】
もっとも、ハードディスク装置の動作を省電力モードに移行(遷移)させることは内蔵されるディスクの回転を停止させることを意味するので、省電力モードから通常の動作モードに復帰するまではハードディスク装置へのアクセスが不可能となる。
【0005】
そこで、従来より、ハードディスク装置を省電力モードに遷移させる際にその記憶内容の一部を半導体メモリへ転送(データコピー)し、転送されたデータへのアクセスが生じた場合はハードディスク装置に比べて高速にアクセス可能であって消費電力が小さい半導体メモリを参照するようにアクセス制御を行うコンピュータシステムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。以下、この構成を第1の従来例という。このような構成により、第1の従来例では、省電力モードのときには可能な限りハードディスク装置にアクセスせずに済むことになる。
【0006】
しかし、主としてコストの問題から、ハードディスク装置と同容量の半導体メモリをコンピュータシステムに搭載することは不可能に近く、半導体メモリーの記憶容量はハードディスク装置の記憶容量に比べて実際には相当少なくなる。したがって、ハードディスクに記憶される情報のうち、どの情報を優先的に半導体メモリに転送するかということにより、アクセス高速化の効果や、可能な限りハードディスク装置にアクセスしないですむことによる省電力効果が異なってくることになる。第1の従来例ではそのことが考慮されていない。
【0007】
そこでさらに、かな漢字変換辞書や未使用となっているプログラム等を優先的に半導体メモリに格納する情報処理装置が従来より提案されている(例えば、特許文献2を参照)。以下、この構成を第2の従来例という。この第2の従来例では、アクセス頻度の高いデータのみを半導体メモリに転送する構成に比べて、上記かな漢字変換辞書等のデータにアクセスが生じた場合、そのアクセス頻度が高くない場合であっても半導体メモリにのみアクセスすれば足りるので、アクセスの高速化および省電力の効果が得られる。
【特許文献1】特開平6−274251号公報
【特許文献2】特開2000−250716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記第2の従来例では、かな漢字変換辞書等以外のデータにアクセスが生じた場合にはアクセス高速化の効果が得られず、特にこれらのデータを記憶しておらず主として印刷用データを記憶する画像形成装置では全く効果が得られない。
【0009】
そこで本発明では、印刷用データを適宜選択して記憶装置に転送(コピー)することにより、印刷用データへのアクセスが高速化された画像形成装置または省電力化された画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置であって、
前記印刷用データを記憶する第1の記憶手段と、
前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶手段よりも消費電力が小さい第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶手段に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶手段に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶手段から読み出し、前記第2の記憶手段に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶手段から読み出す制御手段と
前記制御手段により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置であって、
前記印刷用データを記憶する第1の記憶手段と、
前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶手段よりも読み出し速度が大きい第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶手段に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶手段に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶手段から読み出し、前記第2の記憶手段に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶手段から読み出す制御手段と
前記制御手段により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、所定の省電力モードである期間の前に、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶手段に転送するとともに、前記期間中、前記第1の記憶手段からの読み出しを停止することを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、
前記制御手段は、前記期間中、前記第1の記憶手段に記憶されるべき印刷データを前記第2の記憶手段に記憶させるとともに、前記期間後に、前記期間中に前記第2の記憶手段に記憶された印刷用データを前記第1の記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第3の発明において、
前記第1の記憶手段は、ハードディスク記憶装置であり、
前記第2の記憶手段は、半導体メモリであり、
前記制御手段は、前記期間中、前記ハードディスク記憶装置の駆動を停止させることを特徴とすることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記出力手段により未だ出力されていない画像に対応する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記出力手段により所定回数以上出力されている画像に対応する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記出力手段により所定周期毎に出力されている画像に対応する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第8の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データの前記出力手段による出力の履歴に基づき、予め定められた期間に応じた周期毎に出力された印刷用データを前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データから抽出し、抽出された印刷用データのうち現時点から所定範囲内の近い時点に出力されると予想される印刷データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、予め定められた出力時点が現時点から所定範囲内の近い時点である印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0020】
第11の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、繰り返し出力されるべき内容を有する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0021】
第12の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、所定の格納位置に格納されている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0022】
第13の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、優先的な出力を行うべきことが指定されている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0023】
第14の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、出力が許可された利用者が指定されておりかつ前記利用者に未だ出力していない利用者が含まれている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする。
【0024】
第15の発明は、前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも消費電力が小さい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置の制御方法であって、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする。
【0025】
第16の発明は、前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも読み出し速度が大きい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置の制御方法であって、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする。
【0026】
第17の発明は、前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも消費電力が小さい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置に、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を実行させるための、プログラムである。
【0027】
第18の発明は、前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも読み出し速度が大きい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置に、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を実行させるための、プログラムである。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明によれば、第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを第2の記憶手段に転送することにより、出力すべき画像に対応する印刷用データが第2の記憶手段に記憶されている場合には第1の記憶手段から読み出す必要がない。よって、第1の記憶手段から読み出す回数を低減することができる。その結果、印刷用データの読み出しを(全体として)消費電力を低減することができる。
【0029】
第2の発明によれば、第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを第2の記憶手段に転送することにより、出力すべき画像に対応する印刷用データが第2の記憶手段に記憶されている場合には第1の記憶手段から読み出す必要がない。よって、第1の記憶手段から読み出す回数を低減することができる。その結果、印刷用データの読み出しを(全体として)高速化することができる。
【0030】
第3の発明によれば、省電力モード期間前に読み出される可能性が高い印刷用データを第1の記憶手段から第2の記憶手段に転送するとともに、当該期間中、第1の記憶手段からの読み出しを停止するので、停止された第1の記憶手段の停止を解除して再び読み出す回数を低減することができる。その結果、印刷用データの読み出しを(全体として)省電力化することができる。なお、第1の記憶手段よりも第2の記憶手段の読み出し速度が大きい場合には印刷用データの読み出しを(全体として)高速化することもできる。
【0031】
第4の発明によれば、省電力モード期間中、第1の記憶手段に記憶されるべき印刷データを第2の記憶手段に記憶させ、後に第1の記憶手段へ記憶し直すので、停止された第1の記憶手段の停止を解除して再び書き込む回数を低減することができる。その結果、印刷用データの書き込みを省電力化することができる。
【0032】
第5の発明によれば、大容量で消費電力が大きいハードディスク記憶装置を第1の記憶手段とし、消費電力の小さい半導体メモリを第2の記憶手段として、省電力モード期間中、ハードディスク記憶装置の駆動が停止されるので、停止されたハードディスク記憶装置を再起動して再び読み出す回数を低減することができる。その結果、印刷用データの読み出しを(全体として)省電力化することができる。
【0033】
第6の発明によれば、未だ出力されていない画像に対応する印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0034】
第7の発明によれば、所定回数以上出力されている画像に対応する印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0035】
第8の発明によれば、所定周期毎に出力されている画像に対応する印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0036】
第9の発明によれば、出力の履歴に基づき、予め定められた期間に応じた周期毎に出力された印刷用データを抽出し、そのなかからさらに現時点から所定範囲内の近い時点に出力されると予想される印刷データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、上記印刷用データの出力周期を容易かつ確実に抽出し、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0037】
第10の発明によれば、予め定められた出力時点が現時点から所定範囲内の近い時点である印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0038】
第11の発明によれば、繰り返し出力されるべき内容を有する印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0039】
第12の発明によれば、所定の格納位置に格納されている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0040】
第13の発明によれば、優先的な出力を行うべきことが指定されている印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0041】
第14の発明によれば、出力が許可された利用者が指定されておりかつ利用者に未だ出力していない利用者が含まれている印刷用データを、読み出される可能性が高い印刷用データとして転送するので、近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データであるか否かの判断を容易かつ確実なものとすることができる。
【0042】
第15の発明によれば、第1の発明における画像形成装置の効果と同様の効果を奏する画像形成装置の制御方法を提供することができる。
【0043】
第16の発明によれば、第2の発明における画像形成装置の効果と同様の効果を奏する画像形成装置の制御方法を提供することができる。
【0044】
第17の発明によれば、第1の発明における画像形成装置の効果と同様の効果を奏するプログラムを提供することができる。
【0045】
第18の発明によれば、第2の発明における画像形成装置の効果と同様の効果を奏するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
<1. 装置全体の構成>
図1は、本発明における一実施形態に係るプリンタ(印刷装置)の機能的な構成を示すブロック図である。この図1に示されるプリンタは、外部のコンピュータ端末等から図示されない通信回線等を介して与えられる印刷用データ(以下「印刷ジョブ」または単に「ジョブ」という)を受け取り、受け取った印刷ジョブに応じた画像を所定の用紙上に出力する。なお、上記印刷ジョブは、具体的にはプリンタにおいて解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)により記述されるデータを含むファイルである。
【0047】
このプリンタは、CPU(Central Processing Unit )101、メモリ(半導体メモリ)102、および各種インタフェースなどにより構成される主制御部10と、液晶ディスプレイ等からなる表示装置とタッチパネルやボタンなどからなる入力装置とを含む操作表示部20と、ディスク状の磁気記憶媒体を含むハードディスク記憶装置(以下「ハードディスク」または「HDD」と略称する)30と、用紙に画像を形成して当該用紙を装置外へ排出するための画像形成部40と、プリンタ内部の各部へ適宜電源を供給する電源制御部50と、外部のコンピュータ端末等から図示されない通信回線を介して印刷ジョブを受け取るための図示されない通信部とを備える。
【0048】
ここで、電源制御部50は、主制御部10により制御に応じて、ハードディスク30の電源を切断することにより、その(待機時における)消費電力を節約する動作を行う。通常の動作モードに対して、このような動作モードを以下では省電力モードという。なお、この省電力モードでは、実際には場合に応じてハードディスク30以外の各部(ただし主制御部10を除く)の電源も切断されるが、ここでは説明の便宜のため、省電力モード時にはハードディスク30の電源のみが切断されるものとする。また、省電力モードでは、ハードディスク30における消費電力が節約されればよいので、ハードディスク30における磁気ディスクの回転のみを停止させてもよい。
【0049】
したがって、この省電力モードが解除されない限り、主制御部10は、ハードディスク30内に記憶されるデータ(特に印刷ジョブ)にアクセスすることができない。そこで、省電力モード時において、できるだけハードディスク30内に記憶される印刷ジョブにアクセスすることなくこの印刷ジョブを取得することができるように、本プリンタでは、この印刷ジョブを適宜選択してメモリ102に転送(データコピー)する動作が行われる。このような省電力モードに関連する上記動作については詳しく後述する。
【0050】
なお、上記メモリ102は、高速かつ低消費電力の半導体メモリ、典型的にはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。また、上記通信回線は、所定のケーブルやハブなどからなるLAN(Local Area Network)や、USB(Universal Serial Bus)接続または各種パラレルインタフェースなど、周知の通信接続手段のための回線である。また、上記画像形成部40は、画像形成のための各種方式(例えば電子写真方式やインクジェット方式など)に応じた周知の構成であるため、詳しい説明は省略する。
【0051】
図1に示されるように、主制御部10は、CPU101と、メモリ102と、システムコントローラ103と、電源制御部50との接続インタフェースである電源制御部インタフェース111と、操作表示部20との接続インタフェースである操作表示部インタフェース112と、ハードディスク30との接続インタフェースであるハードディスクインタフェース113と、(典型的には専用のプロセッサ等により)所定の画像処理を行う画像処理制御部114と、画像形成部40との接続インタフェースである画像形成部インタフェース115とを備える。
【0052】
上記各種インタフェースとシステムコントローラ103とはペリフェラルバスで、システムコントローラ103とCPU101とはシステムバスで、システムコントローラ103とメモリ102とはメモリバスでそれぞれ接続されている。これらのバスによる接続は一般的なコンピュータにおける周知の構成であるためその詳しい説明は省略する。また、画像処理制御部114により行われる各種画像処理(例えばビットマップデータの作成など)の内容および当該画像処理制御部114の構成も周知であるためその説明は省略する。
【0053】
ここで、主制御部10の各種動作は、典型的にはメモリ102に展開されたプログラムをCPU101が実行することにより実現される。ここで、上記プログラムは、例えば、そのプログラムを記録した記録媒体であるCD−ROMによって提供される。すなわち、上記プログラムの記録媒体としてのCD−ROMがプリンタ内(または外部のコンピュータ)に補助記憶装置として内蔵された図示されないCD−ROM駆動装置に装着され、そのCD−ROMから上記プログラムが読み出されてハードディスク30にインストールされ、または図示されない例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに書き込まれる。また、上記プログラムは、CD−ROM以外の記録媒体や通信回線を介して提供されてもよい。そして、本プリンタの起動のための所定操作がなされると、上記プログラムは、ハードディスクまたはフラッシュもメモリから上記主メモリに転送されてそこに展開され(一時的に格納され)、主制御部10内のCPUによって実行される。これにより、主制御部10の各種制御処理が実現される。
【0054】
なお、このプリンタは、トナー切れや用紙切れなどプリンタの画像形成に関わる状態を管理する機能や、操作表示部20を介して利用者による印刷枚数や濃度指定などの指示入力を受け付け利用者に各種情報を提示する機能などを有するが、これらの機能を実現するための構成は周知であるので説明は省略する。
【0055】
<2. 省電力モード関連動作>
<2.1 省電力モードに関連する全体的な動作>
次に、通常の動作モードから前述した省電力モードに移行し、また省電力モードを解除して通常の動作モードに復帰する際に行われる主制御部10の各種動作について詳しく説明する。図2は、このような省電力モード関連動作を実現するプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
この図2に示すステップS10において、主制御部10は、操作表示部20に対する利用者の操作入力を受け付けるとともに、所定のタイマにより上記操作入力が受け付けられない時間(無操作時間)を計測する。
【0057】
ステップS20において、主制御部10は、ステップS10において計測された無操作時間が所定の時間を超えたか否かを判定する。判定の結果、上記所定の時間を超えた場合(ステップS20においてYesの場合)にはステップS30における処理へ進み、上記所定の時間を超えない場合(ステップS20においてNoの場合)には、無操作時間が所定の時間を超えるまでステップS20の処理を繰り返し行うことにより待機状態となる。なお、この間に利用者の操作入力が受け付けられたり、外部のコンピュータから印刷ジョブを受け取った場合には本処理が終了し、対応する処理が行われるものとする。
【0058】
ステップS30において、主制御部10は、続いて説明するステップS50において印刷ジョブをメモリ102に転送(コピー)可能とするために必要十分な空き領域をメモリ102に確保する。なお、この空き領域の大きさ(メモリサイズ)は、プログラムの配置領域やその作業領域などの各種領域の大きさを考慮して適宜決定される。また、空き領域を確保する際にまたは適宜の時点でメモリ102に格納されている印刷ジョブのうち古いものや再印刷される可能性がないものなどを自動的にまたはユーザの選択指示を受け付けることにより削除してもよい。
【0059】
ステップS40(ジョブ選別処理)において、主制御部10は、ハードディスク30に格納される印刷ジョブから適宜ジョブを選択する動作を行う。選択されるジョブは、ハードディスク30に格納される印刷ジョブのうち、主制御部10により近いうちに(現時点から近い時点に)アクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブである。この処理の詳細についてはさらに後述する。
【0060】
ステップS50において、主制御部10は、上記ステップS30において確保されたメモリ102上の空き領域に、上記ステップS40において選択された印刷ジョブをハードディスク30から転送(コピー)する。なお、転送(コピー)された印刷ジョブの名称(またはジョブID)は、図示されない所定のコピーリストに付け加えられる。
【0061】
ステップS60において、主制御部10は、電源制御部50を制御することにより、ハードディスク30の電源を切断(オフ)し、プリンタの動作モードを通常の動作モードから省電力モードに遷移させる。
【0062】
ステップS70において、主制御部10は、ハードディスク30内のデータを取りだし、またはハードディスク30内へデータを書き込むためのハードディスク30へのアクセスを監視する。
【0063】
ステップS80において、主制御部10は、ハードディスク30へのアクセスがあったか否かを判定する。判定の結果、アクセスがあった場合(ステップS80においてYesの場合)には、ステップS90の処理を行う。また、アクセスがなかった場合(ステップS80においてNoの場合)には、ステップS70の処理へ戻り、ハードディスクへのアクセスがあるまでこれらの処理が繰り返される(S80→S70→S80)。なお、ハードディスク30へのアクセスがない場合であっても、省電力モードを解除する所定の指示が受け付けられた場合には、アクセスがあった場合と同様にステップS90の処理が行われる。
【0064】
ステップS90において、主制御部10は、電源制御部50を制御することにより、ハードディスク30の電源を接続(オン)し、プリンタの動作モードを省電力モードから通常の動作モードに遷移させる。その後、再び上記ステップS10の処理が開始され、装置全体の動作が停止されるまでこれらの処理が繰り返される(S10→…→S90→S10)。
【0065】
<2.2 省電力モードへ移行する際のジョブ選別処理>
次に、前述した図2に示すステップS40のジョブ選別処理についてさらに詳しく説明する。図3は、このジョブ選別処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0066】
この図3に示すステップS41において、主制御部10は、図2に示すステップS30において確保された空き領域の大きさ(メモリサイズ)を取得し、現在の空きメモリサイズとする。
【0067】
続くステップS42において、主制御部10は、ハードディスク30に格納される印刷ジョブのうち、各印刷ジョブの出力履歴等の情報を含む管理テーブルを参照することにより、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブであることを示す所定の条件に合致する印刷ジョブを、最終的に選択されるべき印刷ジョブの候補として抽出する。この管理テーブルおよび条件の具体的な内容については後述する。
【0068】
次にステップS43において、主制御部10は、上記ステップS42において抽出された印刷ジョブがメモリ102上に(コピーされたため)既に存在しているか否かを判別する。判定の結果、存在していない場合(ステップS43においてNoの場合)には、ステップS44の処理に進む。また、既に存在している場合(ステップS43においてYesの場合)には、ステップS42における処理へ戻り、次に条件に合致するジョブが抽出され、抽出されたジョブがメモリ102上に存在しているものと判別されるまで上記処理が繰り返される(S43→S42→S43)。なお、上記ステップS42において条件に合致することにより抽出されるべきジョブがハードディスク30内に存在しなくなった場合には、本ジョブ選別処理は終了し、図2に示す処理の流れに復帰する。
【0069】
ステップS44において、主制御部10は、空きメモリサイズから上記ステップS43において抽出された印刷ジョブの大きさ(すなわちメモリ102上の空き領域に配置されることにより消費されるべきメモリサイズ)を減算し、得られた値を現在の空きメモリサイズとする。
【0070】
次にステップS45において、主制御部10は、上記ステップS44において得られた現在の空きメモリサイズが負の値であるか否かすなわちメモリ102上に空き領域があるか否かを判別する。判定の結果、空き領域がある場合(ステップS45においてYesの場合)には、ステップS46の処理に進む。また、空き領域がない場合(ステップS45においてNoの場合)には、本ジョブ選別処理は終了し、図2に示す処理の流れに復帰する。
【0071】
ステップS46において、主制御部10は、ステップS42において候補として抽出された印刷ジョブを、図2に示すステップS50においてコピーされる対象となる印刷ジョブとして(最終的に)選択する。その後、処理は上記ステップS42の処理が開始され、(抽出されるべき印刷ジョブがなくなるかまたは)メモリ102上に空き領域がなくなるまでこれらの処理が繰り返される(S46→S42→…→S46)。
【0072】
<2.3 具体的な条件例>
前述したように、上記ステップS42における処理では、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブであることを示す所定の条件が設定されるので、以下では典型的な8つの条件例を挙げて具体的に説明する。なお、以下の条件例は説明の便宜上それぞれ独立した条件とされているが、これら8つの条件のうちの一部または全部を併用してもよい。すなわち、下記のいずれか1つ以上の条件を具備する印刷ジョブのみを、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いものとしてステップS42において抽出してもよい。
【0073】
(第1の条件例)
まず、第1の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち未だ出力されていない印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30に格納するよう指示された印刷ジョブは繰り返し出力される可能性が高い印刷ジョブであるにもかかわらず未だ出力されていないということは、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられるからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0074】
図4は、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブの名称や生成者、出力履歴などの各種情報を含む管理テーブルの内容を例示する図である。なお、この管理テーブルは、メモリ102に保持されており、印刷ジョブがハードディスク30に格納される毎に、または印刷ジョブが出力される毎に書き換えられる。
【0075】
図4に示されるように、この管理テーブルには出力履歴が含まれており、この出力履歴は、対応する印刷ジョブが出力された日時(年月日および時刻)の形で記憶されている。したがって、或る印刷ジョブが未だ出力されていない印刷ジョブである場合には対応する出力履歴には何らの日時も記憶されていない。図4では、ジョブ1,2,5,7,8,9,10がこの未だ出力されていない印刷ジョブに該当する。よって、この第1の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる出力履歴が参照され、出力履歴には何らの日時も記憶されていない印刷ジョブが近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0076】
(第2の条件例)
次に、第2の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち所定の回数(ここでは2回)以上出力されている印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30に格納され繰り返し出力されている印刷ジョブは、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられるからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0077】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれる出力履歴には、対応する印刷ジョブが出力された日時(年月日および時刻)毎に毎回記憶されており、例えば、ジョブ3は日時C,D,Hにおいて合計3回出力されており、ジョブ4は日時E,Iにおいて合計2回出力されている。よって、この第2の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる出力履歴が参照され、出力履歴に日時が2回以上記憶されている印刷ジョブ(ここではジョブ3,4)が近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。なお、ここでは、上記所定の回数を2としたが、3以上の整数としてもよいし、例えば適宜算出される1つの印刷ジョブあたりの平均出力回数としてもよい。
【0078】
(第3の条件例)
次に、第2の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち所定周期毎に出力されている印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30に格納され所定の周期毎に出力されている印刷ジョブは、主制御部10により直前の出力時点から当該所定の周期に相当する期間を空けた時点が現時点に近い場合近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられるからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0079】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれる出力履歴には、対応する印刷ジョブが出力された日時(年月日および時刻)毎に毎回記憶されており、例えば、ジョブ3は日時C,D,Hにおいて出力されている。これら日時Cから日時Dまでの期間と、日時Dから日時Hまでの期間とがほぼ等しい期間(例えば1週間)であれば、直前の出力時である日時Hから上記期間が経過すると、次の出力が予想される。よって、この第3の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる出力履歴が参照され、出力履歴によれば所定の周期毎に出力される印刷ジョブであって、直前の出力時点から当該周期の一周期に相当する期間が経過した時点が現在時点から近い印刷ジョブは近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0080】
ここで上記周期は、利用者の印刷指示に基づいて形成されるので、利用者の生活上の周期に密接に関連しており、典型的には各出力時点がほぼ同一時(例えば9時頃など)、ほぼ同一曜日、またはほぼ同一日(例えば月末など)といった形で周期性が見られることが多い。また、場合によっては同一分(例えば毎0分頃など)、同一月、同一四半期、同一半期、同一年といった形で周期性が見られることもある。よって、これらの一部または全部の(長さの)種類における周期を考慮して各出力時点に周期性が見られるか否かが判断され、直前の出力時点から次の出力時点が予想されることが好ましい。このような判断について図5を参照して、以下具体的に説明する。
【0081】
図5は、或る印刷ジョブについての出力履歴を例示した図である。図5に示す出力履歴は、図6における出力履歴の別例であって、10個の印刷ジョブに対応する出力履歴が示されている。この図5を参照すれば、出力時点が15時から16時までの時間帯にある印刷ジョブは4つあり、その他の時間帯には偏りが見られない。したがって、上記印刷ジョブには15時から16時までの時間帯毎に印刷されるという周期性が見られる。なお、この周期性の有無を判断するため、各(1時間の)時間帯毎に集計された出力回数が所定の閾値(例えば3)を超える時間帯があるか否かを判断し、当該時間帯がある場合には当該時間帯毎に周期的に出力されると判断される。また、各(1時間の)時間帯毎に集計された出力回数が全体の出力回数に対して所定の割合(例えば20%)を超える時間帯があるか否かを判断してもよい。
【0082】
よって、ステップS42において、管理テーブルに含まれる出力履歴が参照され、出力履歴によれば上記印刷ジョブは15時から16時までの時間帯に周期的に出力されると判断され、現在時点が15時から16時までの時間帯に近い場合には上記印刷ジョブは近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出されることになる。
【0083】
さらに、図5を参照すれば、その出力日時から容易に導かれる出力曜日が木曜日である印刷ジョブは5つあり、月曜日である印刷ジョブは2つあり、その他の曜日は1つ以下にすぎないので、木曜日以外の曜日には大きな偏りが見られない。したがって、上記印刷ジョブには木曜日毎に印刷されるという周期性が見られる。なお、この周期性の有無を判断するため、上記と同様、曜日毎に集計された出力回数が所定の閾値(例えば3)を超える曜日があるか否かを判断し、当該曜日がある場合には当該曜日毎に周期的に出力されると判断される。また、各曜日毎に集計された出力回数が全体の出力回数に対して所定の割合(例えば30%)を超える曜日があるか否かを判断してもよい。
【0084】
よって、ステップS42において、管理テーブルに含まれる出力履歴が参照され、出力履歴によれば上記印刷ジョブは木曜日に周期的に出力されると判断され、現在時点が木曜日である場合(または木曜日に近い場合)には上記印刷ジョブは近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出されることになる。
【0085】
なお、上記周期の種類に応じた周期性が見られる印刷ジョブは各種類において順に全てが抽出されてもよいし、抽出に際して周期性の種類に応じて優先順位が付されていてもよい。例えば、時間帯に関連する周期性を有する印刷ジョブを優先的に抽出し、さらにメモリ102に空き領域があれば曜日に関連する周期性を有する印刷ジョブを抽出してもよい。
【0086】
また、管理テーブルには各印刷ジョブ毎に出力履歴が作成されているが、上記周期性を判断するための集計を行う際に、これらの印刷ジョブの一部または全てをグループ化し、グループ化されたジョブ群(以下「ユニークジョブ」という)毎に出力履歴を集計してもよい。このグループ化は、ファイル名、専用の属性(例えば予め付されたジョブIDなど)、または格納位置(格納されているフォルダ)などに基づいて行われる。具体的には、ファイル名(例えば「週報0112」)に日時を示す文字列(例えば「0112」)が付されている場合にはこれを除去し、当該文字列が除去されたファイル名(例えば「週報」)が一致する印刷ジョブをグレープ化し1組のユニークジョブとして取り扱う。そして、このユニークジョブに含まれる各印刷ジョブの出力履歴を合算することにより、各ユニークジョブ毎に上記周期性を判断することができる。
【0087】
(第4の条件例)
次に、第4の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち現在の日時より前であって所定の範囲内の近い日時に出力指定日時が設定されている印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30に格納され出力指定日時が近づいている印刷ジョブは、主制御部10により(現時点に近いその出力指定日時に)アクセスされる可能性が高いからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0088】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれる出力指定日時には、対応する印刷ジョブを出力すべき日時(年月日および時刻または時刻のみ)が記憶されており、例えば、ジョブ1は日時Gにおける出力指定がされている。よって、この第4の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる出力指定日時が参照され、当該出力指定日時と現在の日時との差が所定値以内(例えば6時間以内)であれば、当該印刷ジョブ(例えばジョブ1)が近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0089】
(第5の条件例)
次に、第5の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち繰り返し印刷されるべき内容(ここではファイル名)の印刷ジョブであることを条件とする。このような内容の印刷ジョブは、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0090】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれるジョブ名には、ジョブ1からジョブ10までの各名称、具体的にはファイル名が記憶されている。ここで例えばジョブ1のファイル名が「A−Gr日報.doc」であり、ジョブ2のファイル名が「B−Gr週報.doc」であり、ジョブ3のファイル名が「XX回路仕様書.pdf」であり、その他の印刷ジョブにもそれぞれの内容を(典型的には要約的に)示すファイル名が付されているものとする。
【0091】
上記3つの例のファイル名のうち、日報はその日またはその後数日に印刷される可能性があるに過ぎないが、週報はその週の各日またはその後数週間の各日に繰り返し印刷される可能性が高い。よって、この第5の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれるジョブ名が参照され、繰り返し印刷されるべき内容を示す所定の検索語(ここでは「週報」という語)が上記ジョブ名に含まれていれば、当該印刷ジョブが近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0092】
なお、ここでは各印刷ジョブに付されたファイル名に対して所定の検索語(「週報」)が含まれているか否かが検索される例を説明したが、印刷ジョブのうち繰り返し印刷されるべき内容の印刷ジョブであるか否かが判別できればよいので、例えば印刷ジョブの文書内容(文字列)に検索語が含まれているか否かが、上記ステップS42における処理時にまたはそれより前の管理テーブル作成時などに検索されてもよい。
【0093】
(第6の条件例)
次に、第6の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち一時的な格納のために使用される所定の格納位置(ここではTEMPフォルダ)に格納されている印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30の上記格納位置に格納される印刷ジョブは、近いうちに消去される可能性が高く、消去される前に主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0094】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれる格納位置には、対応する印刷ジョブが格納されているハードディスク30における論理的な格納位置であるフォルダ(「ディレクトリ」ともいう)の名称、例えば「TEMP」や「Foleder A」などの名称が記憶されている。これらの名称のうち一時的な可能のために使用されるTEMPフォルダに格納される印刷ジョブが前述のように近いうちに印刷される可能性が高い。そこで、この第6の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる格納位置が参照され、当該格納位置がTEMPフォルダであれば、当該印刷ジョブ(ここでは図4に示すジョブ5,6,10)が近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0095】
なお、印刷ジョブのうち一時的な格納のために使用される所定の格納位置はTEMPフォルダ以外の所定のフォルダやドライブなどであってもよい。また、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高い格納位置であれば、一時的な格納のために使用されないものであってもよい。例えば、繰り返し印刷する印刷ジョブを所定の名称を付した格納位置(例えば「リピートフォルダ」など)に格納する場合、当該格納位置に格納されている印刷ジョブであることを本条件としてもよい。
【0096】
(第7の条件例)
次に、第7の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち優先的な印刷を行う旨の指定(以下「優先指定」という)がなされている印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30に格納され優先指定がなされている印刷ジョブは、主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0097】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれる優先指定には、対応する印刷ジョブをどの程度優先的に印刷すべきかを示す優先順位が記憶されており、例えば、ジョブ3,4は最高の優先順位を示す「A」の優先指定がされている。よって、この第7の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる優先指定が参照され、当該優先指定が「A」であれば、当該印刷ジョブ(ここではジョブ3,4)が近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0098】
(第8の条件例)
次に、第8の条件例では、ハードディスク30に格納されている印刷ジョブのうち印刷を許可された者(以下、「印刷可能者」という)の一部または全員が印刷を完了していない印刷ジョブであることを条件とする。ハードディスク30に格納され印刷可能者の一部または全員が印刷を完了していない印刷ジョブは、当該印刷を完了していない印刷可能者の指示に応じて主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いからである。このように条件を設定することにより、上記条件判断を容易かつ確実なものとすることができる。さらに具体的な印刷ジョブを例示して説明する。
【0099】
図4に示されるように、管理テーブルに含まれる印刷可能者の欄には、対応する印刷ジョブの印刷を許可されている者のユーザ名と、その出力実績(かっこ書き内の日時)とが記憶されており、例えば、ジョブ4ではユーザ9は日時Aに、ユーザ8は日時Bにそれぞれ当該ジョブの印刷を行い、ユーザ3は出力実績がないので未だ当該ジョブの印刷を行っていない。よって、この第8の条件例では、ステップS42において、管理テーブルに含まれる印刷可能者欄が参照され、当該印刷可能者のうち出力実績がない者がいる場合には、当該印刷ジョブ(ここではジョブ4)が近いうちにアクセスされる可能性が高いものとして抽出される。
【0100】
<3. 印刷出力の全体的な動作>
次に、外部のコンピュータから印刷ジョブ等を受け取るプリンタによる印刷出力の動作について説明する。図6は、上記のような印刷ジョブ等を受け取り印刷出力するまでのプリンタにおける主制御部10の動作を実現するプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
図6に示すステップS100において、主制御部10は、外部のコンピュータから送られている各種データを受信する。このデータは、外部のコンピュータを使用する利用者の指示に応じて生成され、図示されない通信回線を介して主制御部10に与えられる。このデータには、場合によりプリンタに対する各種要求や印刷ジョブが含まれるが、その内容については、後述する処理においてそれぞれ説明する。
【0102】
ステップS110において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータがハードディスク30内に保存されている印刷ジョブを出力する要求(以下「保存出力要求」という)を含むか否かを判断する。なお、この保存出力要求には出力対象となる印刷ジョブ名(またはジョブID)が含まれている。判定の結果、保存出力要求を含む場合(ステップS110においてYesの場合)には、ステップS170の処理へ進み、保存出力要求を含まない場合(ステップS110においてNoの場合)には、ステップS120の処理へ進む。
【0103】
ステップS120において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータが印刷ジョブを含むか否かを判断する。判定の結果、印刷ジョブを含む場合(ステップS120においてYesの場合)には、ステップS130の処理へ進み、印刷ジョブを含まない場合(ステップS120においてNoの場合)には、ステップS100の処理へ戻り、上記保存出力要求または印刷ジョブのいずれかのデータが受信されるまで上記処理が繰り返される(S120→S100→S110→S120)。
【0104】
ステップS130において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信したデータが印刷ジョブとともに当該印刷ジョブをハードディスク30内に保存する要求(以下「保存要求」という)を含むか否かを判断する。判定の結果、保存要求である場合(ステップS130においてYesの場合)には、ステップS140の処理へ進み、保存要求でない場合(ステップS130においてNoの場合)には、ステップS160の処理へ進む。
【0105】
ステップS140において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信した印刷ジョブをハードディスク30内に保存する処理を行う。なお、ここでハードディスク30の電源がオフとなっている場合すなわち省電力モードである場合、上記保存処理によりハードディスク30へのアクセスが発生するので、省電力モードは解除されハードディスク30の電源がオンされる(図2に示されるステップS70→S80→S90)。
【0106】
続いて、ステップS150において、主制御部10は、図3に示されるステップS42において参照されるべき図4に示されるような管理テーブルを更新する。具体的には、新たに当該印刷ジョブのジョブ名、作成者名、印字可能者、出力指定日時、出力履歴、格納位置、および優先指定の各内容を管理テーブル内に作成する。その後処理はステップS160へ進む。
【0107】
ステップS160において、主制御部10は、ステップS100において外部のコンピュータから受信した印刷ジョブを出力する要求(以下「出力要求」という)を含むか否かを判断する。判定の結果、出力要求を含む場合(ステップS160においてYesの場合)には、ステップS170の処理へ進み、出力要求を含まない場合(ステップS160においてNoの場合)には、一連の上記処理を終了し装置が停止するまで直ちにステップS100の処理から一連の上記処理を開始する。
【0108】
なお、前述した図2(および図3)に示される各処理は、図6に示される上記一連の処理と排他的に行われるわけではなく、部分的に(例えば図2に示されるステップS10,S20,S70〜S90における各処理が)並行して行われる。
【0109】
ステップS170において、主制御部10は、保存出力要求に含まれている出力対象となる印刷ジョブ名(またはジョブID)を参照し、当該印刷ジョブがメモリ102に格納されているか否かを判断する。なお、この判断には、図2に示されるステップS50において作成されたコピーリストが参照される。判定の結果、メモリ102に格納されている場合(ステップS170においてYesの場合)には、ステップS190の処理であるメモリ102から当該印刷ジョブを読み出す処理が行われ、その後ステップS200の処理へ進む。また、メモリ102に格納されていない場合(ステップS170においてNoの場合)には、ステップS180の処理であるハードディスク30から該印刷ジョブを読み出す処理が行われ、その後ステップS200の処理へ進む。なお、上記ステップS150の場合と同様、省電力モードである場合には省電力モードは解除されハードディスク30の電源がオンされる(図2に示されるステップS70→S80→S90)。
【0110】
続いて、ステップS200において、主制御部10は、図3に示されるステップS42において参照されるべき図4に示されるような管理テーブルを更新する。典型的には、出力されるべき印刷ジョブに対応する管理テーブル内の出力履歴が書き換えられる。なお、その他の内容が変更されている場合には適宜管理テーブルが更新される。
【0111】
次にステップS210において、主制御部10は、メモリ102から読み出された(S190)またはハードディスク30から読み出された(S180)印刷ジョブを画像処理制御部114および画像形成部インタフェース115を介して画像形成部40へ送る。このことにより、所定の用紙に当該印刷ジョブに対応する画像が形成され出力される。その後、一連の上記処理は終了し装置が停止するまで直ちにステップS100の処理から一連の上記処理が開始される。
【0112】
<4. 効果>
以上のように上記実施形態では、ハードディスク30に格納される印刷ジョブのうち主制御部10により近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブ(たとえば上記第1ないし第8の条件例に適合するもの)を適宜選択してメモリ102に転送(コピー)することにより、特に省電力モードであるために電源が停止されているハードディスク30に対して発生するアクセス回数を低減することができる。その結果、装置の消費電力を低減することができるとともに、印刷ジョブのアクセスを(全体として)高速化することができる。
【0113】
<5. 変形例>
上記一実施形態では、図4に示される管理テーブルを参照することにより、ハードディスク30に格納される印刷ジョブのうち近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブを適宜選択するが、上記管理テーブル以外のデータ、例えば印刷ジョブに付された属性データや印刷ジョブに関連づけられた履歴データなど、近いうちにアクセスされる可能性が高いと考えられる印刷ジョブを選択するための判断の基礎となりうるデータであればその形式等に限定はない。
【0114】
上記一実施形態では、ステップS42において使用される典型的な8つの条件例を挙げて具体的に説明したが、これらの条件には優先順位が付されていてもよい。例えば、まずステップS42における条件を第1の優先順位が付された第1の条件例として当該条件に合致する印刷ジョブを抽出し、抽出されるべき印刷ジョブがなくなった後、続いてステップS42における条件を第2の優先順位が付された第2の条件例として当該条件に合致する印刷ジョブを抽出してもよい。
【0115】
上記一実施形態では、管理テーブルには各印刷ジョブ毎に出力履歴等が作成されているが、これらの印刷ジョブの一部または全てをグループ化し、グループ化されたジョブ群毎に出力履歴等を作成してもよい。このグループ化は、ファイル名や専用の属性(予め付されたジョブIDなど)などに基づいて行われる。例えば、ファイル名に日時を示す文字列が付されている場合にはこれを除去し、当該文字列が除去されたファイル名が一致する場合にはこれをグレープ化し1組のジョブ群としてこれに対応する出力履歴等を作成することにより、各ジョブ群毎に上記周期性を判断することができる。
【0116】
上記一実施形態では、印刷ジョブはプリンタに内蔵されているハードディスク30に格納され、適宜ビットマップ化されて画像形成される構成であるが、プリンタは画像形成のみを行い、その他の機能は当該プリンタに接続されるプリンタサーバなどのデータ処理装置により実現される構成であってもよい。例えば、プリンタは、画像形成部40(および画像処理制御部114)と、これらを制御するためのCPU101などの構成要素のみを備え、ハードディスク30や電源制御部50などのその他の構成要素は、上記プリンタサーバなどのデータ処理装置に備えられてもよい。この場合には、上記プリンタサーバなどのデータ処理装置において装置の消費電力を低減することができるとともに、印刷ジョブのアクセスを(全体として)高速化することができる。
【0117】
上記一実施形態では、図6に示されるステップS140において、省電力モードである場合、省電力モードが解除されて印刷ジョブがハードディスク30に保存される構成であるが、メモリ102に空き領域がある限り当該印刷ジョブをメモリ102にのみ一時的に保存する構成であってもよい。この構成では、省電力モードが解除されハードディスク30の電源がオンされた後(図2に示されるステップS90の処理の後)、上記一時的に保存された印刷ジョブをハードディスク30に保存する動作が行われる。このような構成により、上記保存要求を受け取った場合にもメモリ102に空き領域がある限り印刷ジョブをハードディスク30に格納することがないので、省電力モードを解除する必要がなく、装置全体の省電力化を促進することができる。
【0118】
上記一実施形態では、印刷ジョブがDRAMなどの高速かつ低消費電力の半導体メモリであるメモリ102に転送(コピー)される構成であるが、ハードディスク30よりも低速かつ低消費電力のフラッシュメモリなどに転送される構成であってもよい。この場合であっても、装置の消費電力を低減することができる。また、ハードディスク30よりも高速かつ高消費電力の記憶装置に転送される構成であってもよい。この場合であっても、データアクセスを高速化することができる。さらにまた、印刷ジョブは省電力モード期間中以外の所定期間中転送されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタ(印刷装置)の機能的な構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態における省電力モード関連動作を実現するプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】上記実施形態におけるジョブ選別処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図4】上記実施形態におけるハードディスクに格納されている印刷ジョブの名称や生成者、出力履歴などの各種情報を含む管理テーブルの内容を例示する図である。
【図5】上記実施形態における或る印刷ジョブについての出力履歴を例示した図である。
【図6】上記実施形態における印刷ジョブ等を受け取り印刷出力するまでのプリンタにおける主制御部の動作を実現するプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
10 …主制御部
20 …操作表示部
30 …ハードディスク
40 …画像形成部
50 …電源制御部
101 …CPU
102 …メモリ
103 …システムコントローラ
111 …電源制御部インタフェース
112 …操作表示部インタフェース
113 …ハードディスクインタフェース
114 …画像処理制御部
115 …画像形成部インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置であって、
前記印刷用データを記憶する第1の記憶手段と、
前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶手段よりも消費電力が小さい第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶手段に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶手段に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶手段から読み出し、前記第2の記憶手段に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶手段から読み出す制御手段と
前記制御手段により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置であって、
前記印刷用データを記憶する第1の記憶手段と、
前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶手段よりも読み出し速度が大きい第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶手段に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶手段に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶手段から読み出し、前記第2の記憶手段に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶手段から読み出す制御手段と
前記制御手段により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、所定の省電力モードである期間の前に、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶手段に転送するとともに、前記期間中、前記第1の記憶手段からの読み出しを停止することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記期間中、前記第1の記憶手段に記憶されるべき印刷データを前記第2の記憶手段に記憶させるとともに、前記期間後に、前記期間中に前記第2の記憶手段に記憶された印刷用データを前記第1の記憶手段に記憶させることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の記憶手段は、ハードディスク記憶装置であり、
前記第2の記憶手段は、半導体メモリであり、
前記制御手段は、前記期間中、前記ハードディスク記憶装置の駆動を停止させることを特徴とすることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記出力手段により未だ出力されていない画像に対応する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記出力手段により所定回数以上出力されている画像に対応する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、前記出力手段により所定周期毎に出力されている画像に対応する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データの前記出力手段による出力の履歴に基づき、予め定められた期間に応じた周期毎に出力された印刷用データを前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データから抽出し、抽出された印刷用データのうち現時点から所定範囲内の近い時点に出力されると予想される印刷データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、予め定められた出力時点が現時点から所定範囲内の近い時点である印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、繰り返し出力されるべき内容を有する印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、所定の格納位置に格納されている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、優先的な出力を行うべきことが指定されている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている印刷用データのうち、出力が許可された利用者が指定されておりかつ前記利用者に未だ出力していない利用者が含まれている印刷用データを、前記読み出される可能性が高い印刷用データとして前記第2の記憶手段に転送することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも消費電力が小さい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置の制御方法であって、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする、制御方法。
【請求項16】
前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも読み出し速度が大きい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置の制御方法であって、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする、制御方法。
【請求項17】
前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも消費電力が小さい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置に、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を実行させるための、プログラム。
【請求項18】
前記印刷用データを記憶する第1の記憶部と、前記印刷用データを一時的に記憶し、前記第1の記憶部よりも読み出し速度が大きい第2の記憶部とを備え、所定の印刷用データに対応する画像を出力する画像形成装置に、
前記第1の記憶部に記憶されている印刷用データのうち、現時点から所定範囲内の近い時点に読み出される可能性が高い印刷用データを前記第2の記憶部に転送するとともに、出力すべき画像に対応する印刷用データが前記第2の記憶部に記憶されている場合、当該印刷用データを前記第2の記憶部から読み出し、前記第2の記憶部に記憶されていない場合、当該印刷用データを前記第1の記憶部から読み出す制御ステップと
前記制御部により読み出された印刷用データに対応する画像を出力する出力ステップと
を実行させるための、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−210222(P2007−210222A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33336(P2006−33336)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】