説明

画像形成装置

【課題】 画像形成部の転写位置へと用紙を案内するための転写前ガイドの一部を、装置本体に着脱可能に構成された現像ユニットに一体形成した場合においても、現像ユニットの装着位置の誤差に関係なく、転写前ガイドを目的の位置に配置することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 表面ガイド部材26は、用紙非搬送面側の長辺方向両端部に設けられた係合片26aを、現像ユニット20に形成された引掛部20aへと引っ掛けることにより、現像ユニット20に対して揺動可能に係着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、詳しくは、像担持体である感光体ドラム表面の転写位置へと用紙を案内するための転写前ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した従来の複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置においては、像担持体である感光体ドラムの表面を均一に帯電する帯電工程、感光体ドラム表面を露光して静電潜像を形成する露光工程、トナー(現像剤)によって静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー像を用紙へと転写する転写工程、用紙に転写されたトナー像を定着する定着工程を経ることで画像形成が行われる。
【0003】
このような電子写真方式において用紙にトナー像を転写する転写工程は、用紙上に形成される画像の良否を決定する重要な工程であり、最適な画像形成を行うためには感光体ドラム表面の転写位置に対して適正に用紙を搬送する必要がある。そこで、レジストローラ対から転写位置へと搬送される用紙をより良好な位置に導くために、転写位置の上流に用紙の両面をガイドする一対の転写前ガイドを配置することにより、高い転写性能を確保した画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、近年では、画像形成装置は小型化や低コスト化される傾向にあり、画像形成装置本体に組み込まれる部品点数及び配置スペースを削減するためさまざまな工夫がなされており、上記したような転写位置へと用紙を案内する一対の転写前ガイドについても、一方を感光体ドラムの周辺に配設される現像ユニットのハウジングに一体形成することによって、配置される転写前ガイドの一部が削減された画像形成装置が知られている。
【特許文献1】特開2003−345141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に画像形成装置に配設される現像ユニットは、メンテナンス作業を容易にするため装置本体に対して着脱可能に構成されているものが多く、このような現像ユニットに転写前ガイドを一体に設けた場合には、装置本体に現像ユニットを装着するときの操作の仕方や、現像ユニットを構成する部材の誤差等によって、転写前ガイドが意図した位置に配置されないことがあり、かかる場合、紙詰まりや画像形成不良を生じることがあった。
【0006】
本発明においては上述の事情に鑑み、画像形成部の転写位置へと用紙を案内するための転写前ガイドの一部を、装置本体に着脱可能に構成された現像ユニットに一体に設けた場合においても、現像ユニットの装着位置の誤差に関係なく、転写前ガイドを目的の位置に配置することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体である感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像ユニットと、前記感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙へと転写するための転写ローラと、前記感光体ドラムと転写ローラが形成する転写位置へと用紙を案内する、用紙の表面をガイドする表面ガイド部材と、用紙搬送経路を挟んで前記表面ガイド部材に対向する位置に設けられ用紙の裏面をガイドする裏面ガイド部材とから構成される一対の転写前ガイドと、を備えた画像形成装置において、前記現像ユニットは装置本体に対して着脱可能に構成されており、該現像ユニットに対して、前記表面ガイド部材が搬送方向上流側を支点として揺動可能に係着されていることを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記表面ガイド部材を裏面ガイド部材側へと付勢する付勢手段が設けられていることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記転写前ガイドは、少なくとも用紙が通過する部分では、前記表面ガイド部材と前記裏面ガイド部材との間に所定の隙間が確保されるよう構成されていることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記表面ガイド部材は、少なくとも用紙と接触する部分が導電性材料から形成されており、導電性部材を介して接地されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、表面ガイド部材が現像ユニットに対して揺動可能に係着されているため、現像ユニットの装置本体への装着位置が、装着操作や現像ユニットを構成する部材の誤差等によって、所定の位置よりずれた場合でも、表面ガイド部材が揺動することによって、表面ガイド部材の前端は裏面ガイド部材と当接するようになり、搬送される用紙は転写位置のより良好な位置へとガイドされることとなる。
【0012】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、表面ガイド部材の前端を裏面ガイド部材へと付勢する付勢手段が設けられていることによって、厚紙等の腰の強い用紙を使用した場合であっても、搬送される用紙の押圧力によって表面ガイド部材の前端が上方へと揺動せしめられることなく、用紙を転写位置のより良好な位置へとガイドすることができる。
【0013】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、少なくとも用紙が通過する部分では、表面ガイド部材と裏面ガイド部材との間に所定の隙間が確保されるよう構成されていることにより、搬送される用紙が過剰な負荷を受けることがなく、ジッタ等の画像形成不良が防止される。
【0014】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の画像形成装置において、表面ガイド部材の少なくとも用紙と接触する部分は、導電性材料から形成し、これを導電性部材を介して接地することにより、表面ガイド部材が搬送される用紙と擦れ合っても帯電することがなく、表面ガイド部材に用紙が吸着し紙詰まりを生じたり、表面ガイド部材にトナーが付着して用紙を汚染したり、用紙にトナー像を転写する前に感光体ドラム上のトナーが引きつけられて画像形成不良を生じたりすることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。なお、本実施形態においては画像形成装置の一例としてレーザービームプリンタを例示しているが、画像形成装置としてプリンタ以外の、例えば複写機やファクシミリ装置等であっても適用できることはいうまでもない。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体下部に積載された用紙Pを収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体右側面部から本体左側側面部へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、転写前ガイド9、画像形成部10、画像定着部11及び排出ローラ対12が配置されている。
【0017】
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部を給紙カセット2の底面に回動自在に支持された用紙積載板13と、この用紙積載板13の前端部を上方へと付勢する付勢手段14が備えられており、これらによって、積載された用紙Pがピックアップローラ5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前部には、前記フィードローラ6に圧接するようにリタードローラ15が配設されており、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラ6とリタードローラ15とによって用紙Pが捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
【0018】
そして、フィードローラ6とリタードローラ15とによって捌かれた用紙Pは、中間搬送ローラ7によってレジストローラ対8へと搬送される。レジストローラ対8は、駆動ローラ16とこれに従動回転する従動ローラ17とから構成されており、搬送される用紙Pは、このレジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部10へと供給されることとなる。またこの時、用紙Pは両面を転写前ガイド9にガイドされることによって、後述する転写位置のより良好な位置へと導かれることとなる。
【0019】
画像形成部10は、電子写真プロセスによって、用紙Pに所定のトナー像を形成するものであり、所定の方向(図1において矢印Aで示す方向)に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム18と、この感光体ドラム18の周囲に配置される帯電ユニット19、現像ユニット20、クリーニングユニット22、用紙搬送経路4を挟んで感光体ドラム18に対向するように配置される転写ローラ21及び感光体ドラム18の上方に配置されるレーザ走査ユニット(LSU)23から構成されている。なお、これらの各ユニットはメンテナンス作業を容易にするため、装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0020】
帯電ユニット19には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラ19aが備えられており、この導電性ゴムローラ19aが感光体ドラム18に当接するよう配置されている。そして、感光体ドラム18が回転すると、導電性ゴムローラ19aが感光体ドラム18の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラ19aに所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム18の表面が一様に帯電させられることとなる。
【0021】
次いで、入力された画像データに基づくレーザ走査ユニット(LSU)23からのレーザビームにより感光体ドラム18上に静電潜像が形成され、現像ユニット20により、上記静電潜像にトナーが付着し、感光体ドラム18の表面にトナー像が形成され、転写ローラ21により、感光体ドラム18の表面のトナー像が、感光体ドラム18と転写ローラ21とのニップ部に形成された転写位置へと供給された用紙Pに転写される。
【0022】
トナー像が転写された用紙Pは、画像形成部10から画像定着部11に向けて搬送される。この画像定着部11は、画像形成部10の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部10においてトナー像が転写された用紙Pは、画像定着部11に備えられた加熱ローラ24、及びこの加熱ローラ24に押し付けられる加圧ローラ25によって挟まれるとともに加熱され、用紙Pに転写されたトナー像が定着される。
【0023】
そして、画像形成部10及び画像定着部11において画像形成がなされた用紙Pは、排出ローラ対12によって排紙部3に排出される。一方、上記転写後、感光体ドラム18の表面に残留しているトナーは、クリーニングユニット22により除去される。そして、感光体ドラム18は帯電ユニット19によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0024】
次に、図2、図3を参照して、上記画像形成装置1に備えられた転写前ガイド9についてさらに説明する。図2は本発明の画像形成装置に備えられる転写前ガイド9及び感光体ドラム18を示す斜視図である。図3は現像ユニット20に一体に設けられた表面ガイド部材26を示す模式図である。なお、搬送される用紙Pは、転写位置においてトナーが転写される面を表面、転写ローラと当接する面を裏面と表現する。
【0025】
転写前ガイド9は、レジストローラ対8により転写位置へと搬送される用紙Pを転写位置のより良好な位置へ導くための搬送ガイドであって、用紙Pの表面をガイドする表面ガイド部材26と、用紙搬送経路4を挟んで表面ガイド部材26に対向する位置に設けられる、用紙Pの裏面をガイドする裏面ガイド部材27とから構成されている。
【0026】
これら表面ガイド部材26及び裏面ガイド部材27は、図2に示すように、感光体ドラム18の幅と略同一の幅を有する長方形の板状部材であって、用紙搬送方向に直交するように配置されている。また、表面ガイド部材26は、短辺方向に大きく湾曲させて形成されており、用紙搬送方向の前端縁のみが裏面ガイド部材27と当接するように配置されている。そして、用紙Pは転写前ガイド9の後端側から進入していき、表面ガイド26及び裏面ガイド27によって転写位置へと導かれることとなる。
【0027】
また、搬送される用紙Pが転写前ガイド9から過剰な負荷を受けると、ジッタ等の画像形成不良が生じるため、裏面ガイド部材27の用紙搬送面側の長辺方向両端部の搬送される用紙Pと接触しない位置に凸条27aを設けることにより、少なくとも用紙Pが通過する部分では、表面ガイド部材26の前端と裏面ガイド部材27との間に所定の隙間が確保され、用紙Pに過剰な負荷がかからないよう構成されている。
【0028】
そして、表面ガイド部材26は画像形成装置1本体の小型化を図るため、用紙搬送経路4上方に配置されている現像ユニット20のハウジング下面に一体に設けられている。ここで、上述したように現像ユニット20は装置本体に対して着脱自在に構成されているが、現像ユニット20を構成する部材の誤差や、装着操作等によって、現像ユニット20が所定の位置からずれて装着されることがあり、かかる場合、表面ガイド部材26と裏面ガイド部材27との間に所定の隙間が確保されず、紙詰まりや画像形成不良を生じることがある。
【0029】
そのため、表面ガイド部材26は、図3に示すように、用紙非搬送面側の用紙搬送方向後端縁に設けられた係合片26aを、現像ユニット20に形成された引掛部20aへと引っ掛けることにより、現像ユニット20に対して揺動可能に係着されている。これによって、現像ユニット20の装着位置が所定の位置よりずれた場合でも、表面ガイド部材26が揺動することにより、表面ガイド部材26の前端と裏面ガイド部材27との間には所定の隙間が確保され、用紙Pが良好な位置へとガイドされることとなる。
【0030】
また、表面ガイド部材26の用紙非搬送面と現像ユニット20の下面との間には、表面ガイド部材26の前端を裏面ガイド27へと付勢するスプリング28が配設されており、これによって、厚紙等の腰の強い用紙を使用した場合であっても、搬送される用紙Pの押圧力によって表面ガイド部材26の前端が上方へと揺動せしめられることなく、用紙Pを良好な位置へとガイドすることができる。なお、この表面ガイド部材26に設けられる付勢手段は、厚紙等の押圧力による表面ガイド部材26の上方への揺動を防止できればよく、スプリングの他、例えば、板バネや重り等でもよい。
【0031】
また更に、表面ガイド部材26は鉄等の導電性材料から形成され、導電性部材を介して接地されている。これによって、表面ガイド部材26が搬送される用紙Pと擦れ合っても帯電することがなく、表面ガイド部材26に用紙Pが吸着し紙詰まりを生じたり、用紙Pにトナー像を転写する際にトナー像が乱れ画像形成不良を生じたりすることが防止される。なお、表面ガイド部材26は樹脂等の非導電性部材から形成することも可能であるが、その場合には、少なくとも表面ガイド部材26の用紙と接触する部分には導電性のシート等を貼付し、これを接地しておくことによって、表面ガイド部材26の帯電を防止しておくことが好ましい。また、表面ガイド部材26は、抵抗体やツェナーダイオード等を介して接地してもよい。
【0032】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては裏面ガイド部材27に設けた凸条27aによって、表面ガイド部材26と裏面ガイド部材27との隙間を確保しているが、これは表面ガイド部材26の長辺方向両端部に突起部を設けて、この突起部によって隙間を確保するようにしてもよいし、画像形成装置1本体のフレームに係止片を設けて、この係止片によって隙間を確保するようにしてもよい。また、上記実施形態では、表面ガイド部材26の係合片26aを現像ユニット20の引掛部20aに係着することにより、揺動可能としたが、これは表面ガイド部材26に回動軸を設け、これを現像ユニット20に支持することにより、揺動可能とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に利用することができ、詳しくは、像担持体である感光体ドラム表面の転写位置へと用紙を案内するための転写前ガイドに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】は、本発明に係る画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】は、本発明の画像形成装置に備えられる転写前ガイド及び感光体ドラムを示す斜視図である。
【図3】は、現像ユニットに一体に設けられた表面ガイド部材を示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 画像形成装置
9 転写前ガイド
10 画像形成部
18 感光体ドラム
20 現像ユニット
20a 引掛部
21 転写ローラ
26 表面ガイド部材
26a 係合片
27 裏面ガイド部材
27a 凸条
28 スプリング(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体である感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像ユニットと、前記感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙へと転写するための転写ローラと、前記感光体ドラムと転写ローラが形成する転写位置へと用紙を案内する、用紙の表面をガイドする表面ガイド部材と、用紙搬送経路を挟んで前記表面ガイド部材に対向する位置に設けられ用紙の裏面をガイドする裏面ガイド部材とから構成される一対の転写前ガイドと、を備えた画像形成装置において、
前記現像ユニットは装置本体に対して着脱可能に構成されており、該現像ユニットに対して、前記表面ガイド部材が搬送方向上流側を支点として揺動可能に係着されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表面ガイド部材を裏面ガイド部材側へと付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写前ガイドは、少なくとも用紙が通過する部分では、前記表面ガイド部材と前記裏面ガイド部材との間に所定の隙間が確保されるよう構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表面ガイド部材は、少なくとも用紙と接触する部分が導電性材料から形成されており、導電性部材を介して接地されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−225829(P2007−225829A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46090(P2006−46090)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】