説明

画像形成装置

【課題】 指定したジョブをより正確な時刻に実行することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置100は、情報処理装置200から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる当該情報処理装置200の時刻信頼性情報と、当該画像形成装置100の時刻信頼性情報とを比較し、当該画像形成装置100の時刻の方が情報処理装置200の時刻よりも信頼性が高いものと判断した場合には、当該画像形成装置100の時刻を基準として時刻指定ジョブJBを実行し、情報処理装置200の時刻の方が当該画像形成装置100の時刻よりも信頼性が高いものと判断した場合には、ジョブ実行時刻を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データに基づいて記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置に関し、特に、画像データとともに当該画像データの画像形成を行う実行時刻とを受信し、実行時刻に画像形成を行う機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置の1つの機能として、予め実行すべきジョブと実行時刻とを情報処理装置から受信しておき、当該画像形成装置内部に設けられた時計が指定された実行時刻を計時した場合に、受信していたジョブを実行する、という時刻指定ジョブが存在する(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
ここで、情報処理装置に設けられた時計と画像形成装置に設けられた時計とが独立したものであることから、これら2つの時計の時刻がずれている可能性がある。そのため、かかる時刻指定ジョブを実行するにあたっては、2つの時計のそれぞれによって計時される時刻を比較して、進んでいる時刻を基準にジョブの実行時刻を補正する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−229486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、単純に2つの時刻のみを比較してジョブの実行時刻を補正するだけであることから、いずれの時刻が正確であるかの判断を行うことができず、誤った時刻を基準に時刻指定ジョブを実行してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、指定したジョブをより正確な時刻に実行することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明にかかる画像形成装置は、画像データとともに当該画像データの画像形成を行う実行時刻とを受信し、前記実行時刻に画像形成を行う画像形成装置において、前記画像データとともに受信した第1の時刻情報を取得する第1の時刻情報取得部と、当該画像形成装置が計時する時刻を示す第2の時刻情報を取得する第2の時刻情報取得部と、第3の時刻情報を取得する第3の時刻情報取得部と、前記第3の時刻情報取得部によって取得された前記第3の時刻情報に基づいて、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報とのうちいずれの時刻情報を基準として前記画像データの画像形成を行うかを判断する時刻情報判断部とを備えることを特徴としている。
【0008】
このような本発明にかかる画像形成装置においては、第3の時刻情報に基づいて、第1の時刻情報と第2の時刻情報とのうちいずれの時刻情報を基準として画像データの画像形成を行うかを判断することから、単純に第1の時刻情報と第2の時刻情報とを比較して画像データの画像形成を行う実行時刻を補正する場合に比べ、時刻の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、単純に第1の時刻情報と第2の時刻情報とを比較して画像データの画像形成を行う実行時刻を補正する場合に比べ、時刻の信頼性を高める情報を用いることにより、より正確な時刻に、当該画像データの画像形成を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
この実施の形態は、入力された画像データに基づいて記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置を備える画像形成システムである。特に、この画像形成システムにおいて、画像形成装置は、画像データとともに当該画像データの画像形成を行う実行時刻とを時刻指定ジョブとして受信し、実行時刻に画像形成を行うものである。
【0012】
まず、本発明の第1の実施の形態として示す画像形成システムについて説明する。この画像形成システムは、時刻信頼性情報を用いて時刻指定ジョブの実行時刻を補正する際に基準となる時刻を決定するものである。
【0013】
画像形成システムは、図1に示すように、画像形成装置100と、情報処理装置200とが、有線/無線LAN(Local Area Network)やインターネット等の所定のネットワークNTを介して接続されて構成される。なお、同図においては、1台の画像形成装置100と1台の情報処理装置200とが接続されている様子を示しているが、画像形成システムは、これら画像形成装置100及び情報処理装置200の台数に限定されるものではない。
【0014】
画像形成装置100は、当該画像形成装置100の全体を統括的に制御するCPU101と、各種情報を格納するRAM102と、当該画像形成装置100と情報処理装置200との間で情報の送受信を実行する通信制御部103と、時刻指定ジョブJBを格納するハードディスク104と、後述する印刷制御部106によって印刷可能な画像データに変換する画像変換部105と、記録媒体に対する印刷を行う印刷制御部106と、現在時刻を計時する計時部107と、情報処理装置200から受信した時刻指定ジョブJBを管理する時刻指定ジョブ管理部108と、時刻指定ジョブJBを実行する時刻指定ジョブ実行部109と、時刻指定ジョブJBの実行時刻を補正する時刻補正部110と、時刻の信頼性情報を生成する時刻信頼性情報生成部111とを備え、これら各部が共通バス112を介して接続されて構成される。なお、これら各部のうち、通信制御部103及び時刻指定ジョブ管理部108は、画像データとともに受信した第1の時刻情報を取得する第1の時刻情報取得部として機能し、時刻指定ジョブ管理部108は、当該画像形成装置100が計時する時刻を示す第2の時刻情報を取得する第2の時刻情報取得部、及び第3の時刻情報を取得する第3の時刻情報取得部として機能し、時刻補正部110は、第3の時刻情報取得部によって取得された第3の時刻情報に基づいて、第1の時刻情報と第2の時刻情報とのうちいずれの時刻情報を基準として画像データの画像形成を行うかを判断する時刻情報判断部として機能する。
【0015】
CPU101は、当該画像形成装置100の制御プログラムを実行することにより、当該画像形成装置100の全体を統括的に制御するマイクロプロセッサである。また、CPU101は、通信制御部103、画像変換部105、印刷制御部106、計時部107、時刻指定ジョブ管理部108、時刻指定ジョブ実行部109、時刻補正部110、及び時刻信頼性情報生成部111を起動する。
【0016】
RAM102は、CPU101が制御プログラムを実行する際にワークエリアとして使用する揮発性メモリである。このRAM102には、CPU101の制御のもとに、画像変換部105が画像変換時に使用する時刻指定ジョブJBや、画像変換によって生成された画像データ等の各種情報が格納される。このRAM102に格納された各種情報は、CPU101によって読み出される。
【0017】
通信制御部103は、情報処理装置200との間でネットワークNTを介して情報の送受信を実行するインターフェースである。画像形成装置100は、この通信制御部103を介して、情報処理装置200から時刻指定ジョブJBを受信する。
【0018】
ハードディスク104は、時刻指定ジョブJBを格納する不揮発性メモリである。ここで、時刻指定ジョブJBについて説明する。時刻指定ジョブJBは、例えば図2に示すように、ジョブの種別を表すジョブタイプ(JOB TYPE)と、当該ジョブの名称を表すジョブ名(JOB NAME)と、当該ジョブを送信した送信者を表すジョブ送信者(JOB OWNER)と、情報処理装置200における画像描画コマンド生成部204によって生成された画像描画コマンドと、当該ジョブを実行する時刻を表すジョブ実行時刻(JOB EXECUTION TIME)と、当該時刻指定ジョブJBが送信された時刻を表す時刻指定ジョブ送信時刻(JOB SENT TIME)と、後述する時刻信頼性情報(CLOCK RELIABILITY)とから構成される。なお、ジョブタイプは、当該ジョブが時刻指定ジョブJBであるか否かを判別するために用いられる。また、画像描画コマンドとしては、例えば、いわゆるPCL(Printer Command Language)やPOSTSCRIPT等が挙げられるが、画像形成装置100においては、これら以外の画像描画コマンドを用いてもよい。画像形成装置100においては、通信制御部103を介して、情報処理装置200から時刻指定ジョブJBを受信すると、時刻指定ジョブ管理部108によってハードディスク104に格納される。
【0019】
画像変換部105は、時刻指定ジョブJBに含まれる画像描画コマンドを、印刷制御部106によって印刷可能な画像データに変換する。
【0020】
印刷制御部106は、画像変換部105によって変換された画像データを記録媒体に対して印刷する。
【0021】
計時部107は、当該画像形成装置100についての現在時刻を計時する。この計時部107としては、リアルタイムクロックやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)クロック等のハードウェアクロックや、システムクロック等のソフトウェアクロックを用いることができるが、画像形成装置100においては、これら以外の構成からなる計時部107を用いてもよい。
【0022】
時刻指定ジョブ管理部108は、通信制御部103を介して情報処理装置200から受信した時刻指定ジョブJBを管理する。具体的には、時刻指定ジョブ管理部108は、ハードディスク104に格納されている時刻指定ジョブJBを参照し、そのジョブの数の他、各ジョブについてのジョブ名、ジョブ実行時刻、ジョブ送信者、時刻指定ジョブ送信時刻、及び時刻信頼性情報を保持する。
【0023】
時刻指定ジョブ実行部109は、時刻指定ジョブ管理部108によって管理されている時刻指定ジョブJBを指定された時刻に実行する。
【0024】
時刻補正部110は、時刻指定ジョブJBを受信した際に、当該ジョブの実行時刻の基準として、情報処理装置200から受信した時刻指定ジョブ送信時刻を使用するか、当該画像形成装置100における計時部107から取得した時刻を使用するかを、時刻信頼性情報に基づいて判断し、当該時刻指定ジョブJBの実行時刻を補正する。また、時刻補正部110は、利用者からの時刻変更要求に応じて、計時部107の時刻を調整する。
【0025】
時刻信頼性情報生成部111は、計時部107によって計時される時刻の信頼性情報を生成する。具体的には、時刻信頼性情報生成部111は、時刻信頼性情報が要求されるのに応じて、要求された時点での当該画像形成装置100の時刻信頼性情報を生成し、要求元に返信する。また、時刻信頼性情報生成部111は、計時部107の精度と最後に当該画像形成装置100の時刻が変更された時刻とについても管理する。ここで、時刻信頼性情報について説明する。時刻信頼性情報とは、計時部107から取得された時刻がどの程度信頼できるものであるかを示す指標である。ここでは、時刻信頼性情報は、計時部107の精度に、最後に時刻を補正してからの経過時間を乗算した値とする。なお、この時刻信頼性情報の定義は、あくまでも具体例であり、画像形成装置100においては、時刻の信頼性を比較できる情報であればよく、例えば、計時部107が、NTP(Network Time Protocol)で定期的に時刻補正が行われている場合には信頼性が高く、利用者によって不定期に時刻補正が行われている場合には信頼性が低いといったように、時刻の補正方法を指標として用いてもよい。
【0026】
このような各部から構成される画像形成装置100は、情報処理装置200から受信したデータを処理し、記録媒体に対して画像形成を行う。
【0027】
一方、情報処理装置200は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション等から構成される。具体的には、情報処理装置200は、現在時刻を計時する計時部201と、時刻の信頼性情報を生成する時刻信頼性情報生成部202と、当該情報処理装置200と画像形成装置100との間で情報の送受信を実行する通信制御部203と、画像描画コマンドを生成する画像描画コマンド生成部204とを備え、これら各部が共通バス205を介して接続されて構成される。
【0028】
計時部201は、当該情報処理装置200についての現在時刻を計時する。この計時部201としては、画像形成装置100における計時部107と同様に、リアルタイムクロックやCMOSクロック等のハードウェアクロックや、システムクロック等のソフトウェアクロックを用いることができるが、情報処理装置200においては、これら以外の構成からなる計時部201を用いてもよい。
【0029】
時刻信頼性情報生成部202は、計時部201によって計時される時刻の信頼性情報を生成する。すなわち、時刻信頼性情報生成部202は、計時部201から取得された時刻がどの程度信頼できるものであるかを示す指標としての時刻信頼性情報を生成する。具体的には、時刻信頼性情報生成部202は、画像形成装置100における時刻信頼性情報生成部111と同様に、時刻信頼性情報が要求されるのに応じて、要求された時点での当該情報処理装置200の時刻信頼性情報を生成し、要求元に返信するとともに、計時部201の精度と最後に当該情報処理装置200の時刻が変更された時刻とについて管理する。ここでも、時刻信頼性情報は、計時部201の精度に、最後に時刻を補正してからの経過時間を乗算した値とする。
【0030】
通信制御部203は、画像形成装置100との間でネットワークNTを介して情報の送受信を実行するインターフェースである。情報処理装置200は、この通信制御部203を介して、画像形成装置100に対して時刻指定ジョブJBを送信する。
【0031】
画像描画コマンド生成部204は、当該情報処理装置200の利用者が作成したデータを、画像形成装置100によって処理可能な画像描画コマンドに変換して生成する。
【0032】
このような各部から構成される情報処理装置200は、画像形成装置100によって処理する画像描画コマンドの生成や時刻指定ジョブJBの送信を行う。
【0033】
さて、以上のような画像形成装置100と情報処理装置200とを備える画像形成システムにおいては、情報処理装置200から画像形成装置100に対して時刻指定ジョブJBが送信される。具体的には、情報処理装置200は、例えば図3に示すような一連の手順にしたがって、画像形成装置100に対して時刻指定ジョブJBを送信する。
【0034】
まず、情報処理装置200は、同図に示すように、ステップS101において、画像描画コマンド生成部204により、利用者によって指定されたデータを、画像形成装置100によって処理可能な画像描画コマンドに変換する。
【0035】
続いて、情報処理装置200は、ステップS102において、計時部201についての時刻指定ジョブJBを送信する時点での時刻信頼性情報を、時刻信頼性情報生成部202によって生成し、この時刻信頼性情報を、ステップS101にて生成した画像描画コマンドに付加する。
【0036】
さらに、情報処理装置200は、ステップS103において、計時部201から現在時刻を取得し、この現在時刻を示す情報を、ステップS102にて生成したデータに付加する。なお、この現在時刻は、時刻指定ジョブJBにおける上述した時刻指定ジョブ送信時刻となる。
【0037】
そして、情報処理装置200は、ステップS104において、ステップS103にて生成したデータに、ジョブタイプ、ジョブ名、ジョブ実行時刻、及びジョブ送信者を示す情報を付加し、生成したデータを時刻指定ジョブJBとして、通信制御部203を介して画像形成装置100に対して送信する。
【0038】
情報処理装置200は、このような一連の手順にしたがって、画像形成装置100に対して時刻指定ジョブJBを送信することができる。
【0039】
これに応じて、画像形成装置100は、例えば図4に示すような一連の手順にしたがって、情報処理装置200から送信された時刻指定ジョブJBを受信する。
【0040】
すなわち、画像形成装置100は、同図に示すように、ステップS201において、通信制御部103により、受信したジョブが時刻指定ジョブJBであるか否かを判別する。具体的には、通信制御部103は、受信したジョブに含まれるジョブタイプに基づいて、当該ジョブが時刻指定ジョブJBであるか否かを判別する。
【0041】
ここで、画像形成装置100は、受信したジョブが時刻指定ジョブJBでないものと判別した場合には、即座に印刷を行うため、ステップS207へと処理を移行する。そして、画像形成装置100は、ステップS207において、画像変換部105により、受信したジョブに含まれる画像描画コマンドを、印刷制御部106によって印刷可能な画像データに変換した上で、ステップS208において、画像変換部105によって変換した画像データを印刷制御部106によって記録媒体に対して印刷し、一連の処理を終了する。
【0042】
一方、画像形成装置100は、受信したジョブが時刻指定ジョブJBであるものと判別した場合には、ステップS202へと処理を移行する。そして、時刻指定ジョブ管理部108は、通信制御部103から時刻指定ジョブJBを受け取り、ハードディスク104に格納した上で、ステップS203において、時刻信頼性情報生成部111から当該画像形成装置100の時刻信頼性情報を取得するとともに、ステップS204において、計時部107から当該画像形成装置100の現在時刻を取得する。
【0043】
続いて、画像形成装置100は、ステップS205において、時刻補正部110により、情報処理装置200から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる当該情報処理装置200の時刻信頼性情報と、ステップS203にて時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100の時刻信頼性情報とを比較する。ここで、画像形成装置100は、2つの時刻信頼性情報を比較した結果、当該画像形成装置100の時刻の方が情報処理装置200の時刻よりも信頼性が高いものと判断した場合には、一連のジョブの受信処理を終了し、計時部107が時刻指定ジョブJBに含まれるジョブ実行時刻を計時するまで待機状態に移行することになる。この場合、情報処理装置200の計時部201が狂っている可能性が高いことから、当該計時部201が指定時刻を計時しても当該時刻指定ジョブJBが実行されない状況や、当該計時部201が指定時刻を計時する前に当該時刻指定ジョブJBが実行される可能性がある。そのため、画像形成装置100は、利用者の利便を向上させるため、時刻指定ジョブJBに含まれるジョブ送信者を示す情報に基づいて、送信者に警告を出すようにしてもよい。一方、画像形成装置100は、2つの時刻信頼性情報を比較した結果、情報処理装置200の時刻の方が当該画像形成装置100の時刻よりも信頼性が高いものと判断した場合には、ジョブ実行時刻を補正するために、ステップS206へと処理を移行する。
【0044】
そして、画像形成装置100は、ステップS206において、時刻補正部110により、情報処理装置200から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻と、ステップS204にて時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100の時刻との誤差をジョブ実行時刻に加算することによって当該ジョブ実行時刻を補正し、一連のジョブの受信処理を終了する。
【0045】
画像形成装置100は、このような一連の手順にしたがって、情報処理装置200から送信された時刻指定ジョブJBを受信することができる。そして、画像形成装置100は、例えば図5に示すような一連の手順にしたがって、受信した時刻指定ジョブJBを実行する。
【0046】
すなわち、画像形成装置100は、同図に示すように、ステップS301において、時刻指定ジョブ実行部109により、所定の周期で計時部107から現在時刻を取得し、実行待ちの時刻指定ジョブJBのジョブ実行時刻に到達していないかを確認する。画像形成装置100は、該当する時刻指定ジョブJBが存在しない場合には、ステップS301の処理を繰り返す一方で、該当する時刻指定ジョブJBが存在した場合には、ステップS302において、当該時刻指定ジョブJBを時刻指定ジョブ管理部108の管理下から外し、ハードディスク104に格納されている当該時刻指定ジョブJBを読み出す。そして、画像形成装置100は、画像変換部105により、当該時刻指定ジョブJBに含まれる画像描画コマンドを、印刷制御部106によって印刷可能な画像データに変換した上で、ステップS303において、変換した画像データを印刷制御部106によって記録媒体に対して印刷し、一連の処理を終了する。
【0047】
画像形成装置100は、このような一連の手順にしたがって、情報処理装置200から送信された時刻指定ジョブJBを実行することができる。
【0048】
具体的には、画像形成装置100は、例えば、時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻が15:00であり、ジョブ実行時刻17:00であり、当該時刻指定ジョブJBを受信した時の当該画像形成装置100の時刻が15:10である状況において、先に図4に示したステップS205において、時刻補正部110によって当該画像形成装置100の時刻の方が情報処理装置200の時刻よりも信頼性が高いものと判断した場合には、当該画像形成装置100の時刻が17:00を計時した時に、すなわち、情報処理装置200の時刻が17:10を計時した時に、当該時刻指定ジョブJBを実行する。
【0049】
一方、画像形成装置100は、時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻及びジョブ実行時刻並びに当該時刻指定ジョブJBを受信した時の当該画像形成装置100の時刻が同じである状況において、先に図4に示したステップS205において、時刻補正部110によって情報処理装置200の時刻の方が当該画像形成装置100の時刻よりも信頼性が高いものと判断した場合には、時刻補正部110により、当該時刻指定ジョブJBのジョブ実行時刻を17:10に補正する。そして、画像形成装置100は、当該画像形成装置100の時刻が17:10を計時した時に、すなわち、情報処理装置200の時刻が17:00を計時した時に、当該時刻指定ジョブJBを実行することになる。
【0050】
このように、画像形成装置100は、いずれの場合であっても、より信頼性が高い時刻を時刻指定ジョブJBの実行時刻の基準とすることから、実際に当該時刻指定ジョブJBが実行される時刻を、当該画像形成装置100を運用している地域の標準時刻に近い時刻とすることができる。
【0051】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示す画像形成システムにおいては、時刻指定ジョブJBの実行時刻を補正する際に基準となる時刻を決定するために時刻信頼性情報を用いることから、単純に画像形成装置100の時刻と情報処理装置200の時刻とを比較した場合に比べ、より正確な時刻に、当該時刻指定ジョブJBを実行することができる。
【0052】
つぎに、第2の実施の形態として示す画像形成システムについて説明する。
【0053】
第1の実施の形態として示した画像形成システムにおいては、画像形成装置及び情報処理装置ともに時刻信頼性情報生成部を備え、これら時刻信頼性情報生成部によって生成された時刻信頼性情報を比較した結果に基づいて、時刻指定ジョブの実行時刻を決定していた。これに対して、第2の実施の形態として示す画像形成システムは、画像形成装置及び情報処理装置ともに時刻信頼性情報生成部を設けずに、時刻指定ジョブの実行時刻を決定するものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0054】
画像形成システムは、図6に示すように、画像形成装置100'と、2台の情報処理装置200',300とが、所定のネットワークNTを介して接続されて構成される。なお、同図においては、1台の画像形成装置100'と2台の情報処理装置200',300とが接続されている様子を示しているが、画像形成システムは、これら画像形成装置100'及び情報処理装置200',300の台数に限定されるものではない。
【0055】
画像形成装置100'は、上述したCPU101、RAM102、通信制御部103、ハードディスク104、画像変換部105、印刷制御部106、計時部107、時刻指定ジョブ管理部108、時刻指定ジョブ実行部109、及び時刻補正部110の他に、時刻信頼性情報生成部111の代わりに、外部時刻取得部121を備え、これら各部が共通バス112を介して接続されて構成される。なお、これら各部のうち、通信制御部103及び時刻指定ジョブ管理部108は、画像データとともに受信した第1の時刻情報を取得する第1の時刻情報取得部として機能し、時刻指定ジョブ管理部108は、当該画像形成装置100が計時する時刻を示す第2の時刻情報を取得する第2の時刻情報取得部として機能し、時刻指定ジョブ管理部108及び外部時刻取得部121は、第3の時刻情報を取得する第3の時刻情報取得部として機能し、時刻補正部110は、第3の時刻情報取得部によって取得された第3の時刻情報に基づいて、第1の時刻情報と第2の時刻情報とのうちいずれの時刻情報を基準として画像データの画像形成を行うかを判断する時刻情報判断部として機能する。
【0056】
外部時刻取得部121は、ネットワークNTを介して接続された他の画像形成装置や情報処理装置から当該装置が計時している時刻を取得する。ここでは、外部時刻取得部121は、情報処理装置300から時刻を取得する。
【0057】
このような各部から構成される画像形成装置100'は、情報処理装置200',300から受信したデータを処理し、記録媒体に対して画像形成を行う。このとき、画像形成装置100'は、データを受信した情報処理装置とは異なる装置から取得した時刻を用いて、当該データの処理を行う。
【0058】
一方、情報処理装置200'は、上述した計時部201、通信制御部203、及び画像描画コマンド生成部204を備え、これら各部が共通バス205を介して接続されて構成される。また、情報処理装置300は、上述した計時部201に相当する計時部301と、通信制御部203に相当する通信制御部303と、画像描画コマンド生成部204に相当する画像描画コマンド生成部304とを備え、これら各部が共通バス305を介して接続されて構成される。すなわち、これら情報処理装置200',300は、上述した時刻信頼性情報生成部202を設けない構成とされる。
【0059】
このような各部から構成される情報処理装置200',300は、それぞれ、画像形成装置100'によって処理する画像描画コマンドの生成や時刻指定ジョブJBの送信を行う。
【0060】
さて、以上のような画像形成装置100'と情報処理装置200',300とを備える画像形成システムにおいては、先に図3に示したような一連の手順にしたがって、情報処理装置200',300から画像形成装置100'に対して時刻指定ジョブJBが送信される。なお、ここでは、説明の便宜上、情報処理装置200'から画像形成装置100'に対して時刻指定ジョブJBが送信されるものとする。
【0061】
これに応じて、画像形成装置100'は、例えば図7に示すような一連の手順にしたがって、情報処理装置200'から送信された時刻指定ジョブJBを受信する。
【0062】
すなわち、画像形成装置100'は、同図に示すように、ステップS401において、通信制御部103により、受信したジョブが時刻指定ジョブJBであるか否かを判別する。具体的には、通信制御部103は、受信したジョブに含まれるジョブタイプに基づいて、当該ジョブが時刻指定ジョブJBであるか否かを判別する。
【0063】
ここで、画像形成装置100'は、受信したジョブが時刻指定ジョブJBでないものと判別した場合には、即座に印刷を行うため、ステップS406へと処理を移行する。そして、画像形成装置100'は、ステップS406において、画像変換部105により、受信したジョブに含まれる画像描画コマンドを、印刷制御部106によって印刷可能な画像データに変換した上で、ステップS407において、画像変換部105によって変換した画像データを印刷制御部106によって記録媒体に対して印刷し、一連の処理を終了する。
【0064】
一方、画像形成装置100'は、受信したジョブが時刻指定ジョブJBであるものと判別した場合には、ステップS402へと処理を移行する。そして、時刻指定ジョブ管理部108は、通信制御部103から時刻指定ジョブJBを受け取り、ハードディスク104に格納した上で、ステップS403において、計時部107から当該画像形成装置100'の現在時刻を取得する。
【0065】
続いて、画像形成装置100'は、ステップS404において、時刻補正部110により、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻と、ステップS403にて時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100'の現在時刻とを比較する。ここで、画像形成装置100'は、2つの時刻差が例えば60秒といった所定値よりも小さいものと判断した場合には、一連のジョブの受信処理を終了し、計時部107が時刻指定ジョブJBに含まれるジョブ実行時刻を計時するまで待機状態に移行することになる。一方、画像形成装置100'は、2つの時刻差が所定値以上であるものと判断した場合には、ステップS405へと処理を移行する。
【0066】
そして、画像形成装置100'は、ステップS405において、時刻補正部110による時刻検証処理を行うことによって当該ジョブ実行時刻を補正する。具体的には、時刻補正部110は、例えば図8に示すような一連の手順にしたがって、時刻検証処理を行う。
【0067】
まず、時刻補正部110は、同図に示すように、ステップS501において、外部時刻取得部121を介して、ネットワークNTに接続された情報処理装置200'以外の装置、すなわち、情報処理装置300における計時部301から当該情報処理装置300の現在時刻を取得する。ここで、時刻補正部110による外部時刻の取得先の選択方法は、特に限定されるものではなく、例えば、時刻補正部110は、NTP等を利用して信頼性の高い時刻を取得するようにしてもよく、また、過去に時刻指定ジョブJBを送信してきた情報処理装置のうち任意の情報処理装置を選択し、当該情報処理装置から時刻を取得するようにしてもよい。
【0068】
続いて、時刻補正部110は、ステップS502において、ステップS501にて情報処理装置300から取得した時刻と、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻との誤差を算出する。同様に、時刻補正部110は、情報処理装置300から取得した時刻と、図7中ステップS403にて時刻指定ジョブJBの受信時に時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差も算出する。そして、時刻補正部110は、これらの誤差を比較する。
【0069】
ここで、時刻補正部110は、2つの誤差を比較した結果、情報処理装置300から取得した時刻と、時刻指定ジョブJBの受信時に取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差の方が、情報処理装置300から取得した時刻と、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻との誤差よりも小さいものと判断した場合には、当該画像形成装置100'の時刻の方が情報処理装置200'の時刻よりも信頼性が高いものと判断し、一連の時刻検証処理を終了するとともに図7に示した一連のジョブの受信処理を終了する。
【0070】
一方、時刻補正部110は、2つの誤差を比較した結果、情報処理装置300から取得した時刻と、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻との誤差の方が、情報処理装置300から取得した時刻と、時刻指定ジョブJBの受信時に取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差よりも小さいものと判断した場合には、情報処理装置200'の時刻の方が当該画像形成装置100'の時刻よりも信頼性が高いものと判断し、ジョブ実行時刻を補正するために、ステップS503へと処理を移行する。
【0071】
そして、時刻補正部110は、ステップS503において、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻と、図7中ステップS403にて時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差をジョブ実行時刻に加算することによって当該ジョブ実行時刻を補正し、一連の時刻検証処理を終了するとともに図7に示した一連のジョブの受信処理を終了する。
【0072】
画像形成装置100'は、このような一連の手順にしたがって、情報処理装置200'から送信された時刻指定ジョブJBを受信することができる。そして、画像形成装置100'は、先に図5に示したような一連の手順にしたがって、受信した時刻指定ジョブJBを実行することになる。
【0073】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示す画像形成システムにおいては、画像形成装置100'及び情報処理装置200'ともに時刻信頼性情報生成部を設けることなく、これら画像形成装置100'の時刻と情報処理装置200'の時刻とのいずれかがより正確であるかを判断し、時刻指定ジョブJBを実行することが可能となる。したがって、この画像形成システムにおいては、第1の実施の形態に比べ、より簡便な構成のもとに、より正確な時刻に、当該時刻指定ジョブJBを実行することができる。また、この画像形成システムにおいては、ファイヤウォール等の影響により、信頼性が高いNTPの時刻補正を行うことができない環境下であっても利用することができるため、かかる環境下で、信頼性が高い時刻補正を行うことができる。
【0074】
つぎに、第3の実施の形態として示す画像形成システムについて説明する。
【0075】
この第3の実施の形態として示す画像形成システムは、第2の実施の形態として示した画像形成システムを改良し、より信頼性が高い時刻補正を行うことができるものである。したがって、この第3の実施の形態の説明においては、第2の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0076】
画像形成システムは、先に図6に示したように、画像形成装置100'と、2台の情報処理装置200',300とが、所定のネットワークNTを介して接続されて構成される。
【0077】
このような画像形成システムにおいては、先に図3に示したような一連の手順にしたがって、情報処理装置200',300から画像形成装置100'に対して時刻指定ジョブJBが送信される。なお、ここでは、説明の便宜上、情報処理装置200'から画像形成装置100'に対して時刻指定ジョブJBが送信されるものとする。
【0078】
これに応じて、画像形成装置100'は、先に図7に示したような一連の手順にしたがって、情報処理装置200'から送信された時刻指定ジョブJBを受信する。このとき、画像形成装置100'における時刻補正部110は、例えば図9に示すような一連の手順にしたがって、時刻検証処理を行う。
【0079】
まず、時刻補正部110は、同図に示すように、ステップS601において、外部時刻取得部121を介して、ネットワークNTに接続された情報処理装置200'以外の装置、すなわち、情報処理装置300における計時部301から当該情報処理装置300の現在時刻を取得する。
【0080】
続いて、時刻補正部110は、ステップS602において、ステップS601にて情報処理装置300から取得した時刻と、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻との誤差を算出する。同様に、時刻補正部110は、情報処理装置300から取得した時刻と、図7中ステップS403にて時刻指定ジョブJBの受信時に時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差も算出する。そして、時刻補正部110は、これらの誤差が例えば60秒といった所定値よりも大きいか否かを判断する。ここで、時刻補正部110は、2つの誤差がともに所定値よりも大きい場合には、ステップS605へと処理を移行する一方で、いずれかの誤差のみが所定値よりも大きい場合には、ステップS603へと処理を移行する。
【0081】
時刻補正部110は、ステップS603へと処理を移行した場合には、2つの誤差を比較し、情報処理装置300から取得した時刻と、時刻指定ジョブJBの受信時に取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差の方が、情報処理装置300から取得した時刻と、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻との誤差よりも小さいものと判断した場合には、当該画像形成装置100'の時刻の方が情報処理装置200'の時刻よりも信頼性が高いものと判断し、一連の時刻検証処理を終了する。
【0082】
一方、時刻補正部110は、2つの誤差を比較した結果、情報処理装置300から取得した時刻と、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻との誤差の方が、情報処理装置300から取得した時刻と、時刻指定ジョブJBの受信時に取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差よりも小さいものと判断した場合には、情報処理装置200'の時刻の方が当該画像形成装置100'の時刻よりも信頼性が高いものと判断し、ジョブ実行時刻を補正するために、ステップS604へと処理を移行する。
【0083】
そして、時刻補正部110は、ステップS604において、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻と、図7中ステップS403にて時刻指定ジョブ管理部108が取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差をジョブ実行時刻に加算することによって当該ジョブ実行時刻を補正し、一連の時刻検証処理を終了する。
【0084】
また、ステップS602の判断結果に基づいて、ステップS605へと処理を移行した場合は、情報処理装置200'から受信した時刻指定ジョブJBに含まれる時刻指定ジョブ送信時刻、時刻指定ジョブJBの受信時に取得した当該画像形成装置100'の時刻、及び情報処理装置300から取得した時刻の3つの時刻を用いても、その誤差が所定値未満に収まらず、正確な時刻を選択することができない状況である。この場合、時刻補正部110は、自動的な時刻補正を行うことを断念し、通信制御部103を介して、時刻指定ジョブJBを送信したジョブ送信者が操作する情報処理装置200'に対して、新たな基準となる時刻の入力要求を送信する。なお、この新たな基準となる時刻を修正時刻と称するものとする。
【0085】
続いて、時刻補正部110は、ステップS606において、通信制御部103を介して、情報処理装置200'から修正時刻を受信すると、ステップS607において、計時部107から当該画像形成装置100'の現在時刻を再度取得する。
【0086】
そして、時刻補正部110は、ステップS608において、修正時刻と、ステップS607にて取得した当該画像形成装置100'の時刻との誤差をジョブ実行時刻に加算することによって当該ジョブ実行時刻を補正し、一連の時刻検証処理を終了する。
【0087】
画像形成装置100'は、このような一連の手順にしたがって、情報処理装置200'から送信された時刻指定ジョブJBを受信することができる。そして、画像形成装置100'は、先に図5に示したような一連の手順にしたがって、受信した時刻指定ジョブJBを実行することになる。
【0088】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態として示す画像形成システムにおいては、1台の情報処理装置300のみでは誤差が所定値未満に収まらず、正確な時刻を判断することができないような場合であっても、信頼できる時刻を基準として時刻指定ジョブJBを実行することが可能となる。
【0089】
最後に、第4の実施の形態として示す画像形成システムについて説明する。
【0090】
この第4の実施の形態として示す画像形成システムは、第3の実施の形態として示した画像形成システムを改良し、実行待ちの時刻指定ジョブが画像形成装置に格納されている状態で当該画像形成装置の時刻を変更した場合であっても、時刻指定ジョブの最適な処理方法を選択することができるものである。したがって、この第4の実施の形態の説明においては、第3の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0091】
画像形成システムは、先に図6に示したように、画像形成装置100'と、2台の情報処理装置200',300とが、所定のネットワークNTを介して接続されて構成される。
【0092】
このような画像形成システムにおいては、先に図3に示したような一連の手順にしたがって、情報処理装置200',300から画像形成装置100'に対して時刻指定ジョブJBが送信される。これに応じて、画像形成装置100'は、先に図7に示したような一連の手順にしたがって、情報処理装置200'から送信された時刻指定ジョブJBを受信する。このとき、画像形成装置100'における時刻補正部110は、先に図9に示したような一連の手順にしたがって、時刻検証処理を行う。
【0093】
また、画像形成装置100'は、利用者からの要求に応じて時刻変更処理を行うことができる。具体的には、画像形成装置100'は、例えば図10に示すような一連の手順にしたがって、時刻変更処理を行う。
【0094】
まず、画像形成装置100'は、同図に示すように、ステップS701において、利用者からの時刻変更要求を受けるのに応じて、時刻補正部110により、計時部107が計時している現在時刻を、指定された時刻に変更する。
【0095】
続いて、時刻指定ジョブ管理部108は、ステップS702において、時刻補正部110からの時刻変更通知を受けると、現在実行待ちの時刻指定ジョブJBが存在するか否かを確認する。
【0096】
ここで、時刻指定ジョブ管理部108は、実行待ちの時刻指定ジョブJBが存在しない場合には、そのまま時刻変更処理を終了する。一方、時刻指定ジョブ管理部108は、実行待ちの時刻指定ジョブJBが存在した場合には、ステップS703において、当該時刻指定ジョブJBのジョブ送信者に対して時刻が変更された旨を通知するとともに、当該時刻指定ジョブJBの処理方法を確認するための問い合わせを行う。すなわち、時刻指定ジョブ管理部108は、画像形成の実行待ちの画像データが当該画像形成装置100'に格納されている状態で当該画像形成装置100'の時刻が変更された場合に、当該画像データの送信者に対して、当該画像データの処理方法を確認するための問い合わせを行う問い合わせ部として機能する。具体的には、時刻指定ジョブ管理部108は、時刻指定ジョブJBのジョブ送信者が操作する情報処理装置200'の表示画面に、例えば図11に示すように、画像形成装置100'の時刻が変更された旨の情報や、時刻指定ジョブJBの処理方法を選択するためのボタン等が設けられた処理方法確認画面を表示させる。なお、時刻指定ジョブJBの処理方法としては、当該時刻指定ジョブJBのキャンセル、当該時刻指定ジョブJBの即時実行、及び当初指定された時刻で当該時刻指定ジョブJBを実行するように継続処理が挙げられる。ここで、時刻指定ジョブ管理部108は、処理方法確認画面に、時刻指定ジョブJBの送信元たる情報処理装置200'の時刻もあわせて表示させることにより、利用者の利便を向上させることができる。なお、ここでは、ジョブ送信者に対して時刻指定ジョブJBの処理方法を確認するための問い合わせを行うタイミングを、時刻変更が行われたタイミングとしているが、時刻指定ジョブ管理部108は、変更後の時刻にしたがって時刻指定ジョブJBを実行する直前のタイミングで当該問い合わせを行ってもよい。
【0097】
続いて、時刻指定ジョブ管理部108は、時刻指定ジョブJBのジョブ送信者から当該時刻指定ジョブJBの処理方法を受けると、選択された処理方法を確認する。
【0098】
具体的には、時刻指定ジョブ管理部108は、ステップS704において、時刻指定ジョブJBのキャンセルが選択されたことを確認した場合には、ステップS707へと処理を移行し、キャンセルが選択された当該時刻指定ジョブJBをハードディスク104から削除し、自らの管理対象から外す。そして、画像形成装置100'は、次の実行待ちの時刻指定ジョブJBを処理するために、ステップS706へと処理を移行する。
【0099】
一方、時刻指定ジョブ管理部108は、時刻指定ジョブJBのキャンセルが選択されていないことを確認した場合には、引き続き当該時刻指定ジョブJBの処理方法を確認する。時刻指定ジョブ管理部108は、ステップS705において、時刻指定ジョブJBの即時実行が選択されたことを確認した場合には、ステップS708へと処理を移行し、即時実行が選択された当該時刻指定ジョブJBを管理下から外し、時刻指定ジョブ実行部109に渡す。そして、画像形成装置100'は、ハードディスク104に格納されている当該時刻指定ジョブJBを時刻指定ジョブ実行部109によって読み出すと、画像変換部105により、当該時刻指定ジョブJBに含まれる画像描画コマンドを、印刷制御部106によって印刷可能な画像データに変換した上で、変換した画像データを印刷制御部106によって記録媒体に対して印刷する。そして、画像形成装置100'は、次の実行待ちの時刻指定ジョブJBを処理するために、ステップS706へと処理を移行する。
【0100】
また、時刻指定ジョブ管理部108は、時刻指定ジョブJBの即時実行が選択されていないことを確認した場合には、変更後の時刻にしたがって当該時刻指定ジョブJBを実行するものと判断する。そして、画像形成装置100'は、次の実行待ちの時刻指定ジョブJBを処理するために、ステップS706へと処理を移行する。
【0101】
画像形成装置100'は、実行待ちの全ての時刻指定ジョブJBの処理が完了するまで、ステップS703乃至ステップS707の処理を繰り返す。そして、時刻指定ジョブ管理部108は、ステップS706において、実行待ちの全ての時刻指定ジョブJBの処理が完了したものと判断した場合には、一連の時刻変更処理を終了する。
【0102】
画像形成装置100'は、このような一連の手順にしたがって、時刻変更処理を行った上で、先に図5に示したような一連の手順にしたがって、変更後の時刻にしたがった当該時刻指定ジョブJBの実行を行うことになる。
【0103】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態として示す画像形成システムにおいては、実行待ちの時刻指定ジョブが画像形成装置100'に格納されている状態で当該画像形成装置100'の時刻を変更した場合であっても、時刻指定ジョブJBのジョブ送信者が任意に最適な処理方法を選択することができることから、利用者の利便を極めて向上させることができる。
【0104】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、記録媒体に対する印刷を行う画像形成装置について説明したが、本発明は、所定の記録媒体に対する画像形成を行う機器であればいかなるものであっても適用することができ、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写機、及びこれらの機能を複合的に備える装置に適用して好適である。
【0105】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施の形態として示す画像形成システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】時刻指定ジョブの具体例を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態として示す画像形成システムにおける情報処理装置が画像形成装置に対して時刻指定ジョブを送信する際の一連の処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態として示す画像形成システムにおける画像形成装置が情報処理装置から送信された時刻指定ジョブを受信する際の一連の処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態として示す画像形成システムにおける画像形成装置が受信した時刻指定ジョブを実行する際の一連の処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態として示す画像形成システムの構成を説明するブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態として示す画像形成システムにおける画像形成装置が情報処理装置から送信された時刻指定ジョブを受信する際の一連の処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態として示す画像形成システムにおける画像形成装置が行う時刻検証処理を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態として示す画像形成システムにおける画像形成装置が行う時刻検証処理を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施の形態として示す画像形成システムにおける画像形成装置が行う時刻変更処理を説明するフローチャートである。
【図11】情報処理装置の表示画面に表示される処理方法確認画面の具体例を説明する図である。
【符号の説明】
【0107】
100,100' 画像形成装置
101 CPU
102 RAM
103,203,303 通信制御部
104 ハードディスク
105 画像変換部
106 印刷制御部
107,201,301 計時部
108 時刻指定ジョブ管理部
109 時刻指定ジョブ実行部
110 時刻補正部
111,202 時刻信頼性情報生成部
112,205,305 共通バス
121 外部時刻取得部
200,200',300 情報処理装置
204,304 画像描画コマンド生成部
JB 時刻指定ジョブ
NT ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データとともに当該画像データの画像形成を行う実行時刻とを受信し、前記実行時刻に画像形成を行う画像形成装置において、
前記画像データとともに受信した第1の時刻情報を取得する第1の時刻情報取得部と、
当該画像形成装置が計時する時刻を示す第2の時刻情報を取得する第2の時刻情報取得部と、
第3の時刻情報を取得する第3の時刻情報取得部と、
前記第3の時刻情報取得部によって取得された前記第3の時刻情報に基づいて、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報とのうちいずれの時刻情報を基準として前記画像データの画像形成を行うかを判断する時刻情報判断部とを備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第3の時刻情報は、前記第1の時刻情報及び前記第2の時刻情報の信頼性を示す時刻信頼性情報であること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記時刻情報判断部は、前記第3の時刻情報に基づいて、前記第2の時刻情報の方が前記第1の時刻情報よりも信頼性が高いものと判断した場合には、当該第2の時刻情報を基準として前記画像データの画像形成を行う実行時刻を決定し、前記第1の時刻情報の方が前記第2の時刻情報よりも信頼性が高いものと判断した場合には、前記画像データの画像形成を行う実行時刻を補正すること
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3の時刻情報は、他の装置から取得した当該他の装置が計時する時刻情報であること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記時刻情報判断部は、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報とを比較し、比較した時刻差が所定値よりも小さいものと判断した場合には、当該第2の時刻情報を基準として前記画像データの画像形成を行う実行時刻を決定し、前記時刻差が前記所定値以上であるものと判断した場合には、前記第3の時刻情報に基づいて、前記第1の時刻情報と前記第2の時刻情報とのうちいずれの時刻情報を基準として前記画像データの画像形成を行うかを判断すること
を特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記時刻情報判断部は、前記第3の時刻情報と前記第1の時刻情報との誤差である第1の誤差を算出するとともに、前記第3の時刻情報と前記第2の時刻情報との誤差である第2の誤差を算出し、前記第1の誤差と前記第2の誤差とを比較し、前記第2の誤差の方が前記第1の誤差よりも小さいものと判断した場合には、当該第2の時刻情報を基準として前記画像データの画像形成を行う実行時刻を決定し、前記第1の誤差の方が前記第2の誤差よりも小さいものと判断した場合には、前記画像データの画像形成を行う実行時刻を補正すること
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記時刻情報判断部は、前記第1の誤差及び前記第2の誤差がともに所定値よりも大きいものと判断した場合には、前記画像データの送信者に対して、新たな基準となる時刻を要求し、前記新たな基準となる時刻に基づいて、前記画像データの画像形成を行う実行時刻を補正すること
を特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成の実行待ちの画像データが当該画像形成装置に格納されている状態で当該画像形成装置の時刻が変更された場合に、当該画像データの送信者に対して、当該画像データの処理方法を確認するための問い合わせを行う問い合わせ部を備えること
を特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記問い合わせ部は、時刻変更が行われた際に、前記画像データの処理方法を確認するための問い合わせを行うこと
を特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記問い合わせ部は、変更後の時刻にしたがって前記画像データの画像形成を実行する際に、前記画像データの処理方法を確認するための問い合わせを行うこと
を特徴とする請求項8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−245634(P2007−245634A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74857(P2006−74857)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】