説明

画像形成装置

【課題】記録紙ガイド部材の開口を覆うように設けられたカバー部材を有する画像形成装置において、給紙動作時のカバー部材の振動による動作音の発生を低減する。
【解決手段】画像形成装置は、記録紙ガイド部材15と記録紙ガイド部材15の背面の開口を覆うように記録紙ガイド部材15の上部にねじ止めされているカバー部材16とを有している。記録紙ガイド部材15の内部下面の開口端部15dには突起部15eが設けられている。カバー部材16の下端部には、位置決め孔部16bと、略水平にリブ状に立設された段部16cと、段部16cと下端縁との間にテーパ形状に形成された当接部16dとが設けられている。カバー部材16は、突起部15eが位置決め孔部16bに嵌装され、当接部16dが開口端部15dに当接して当接部16dが設けられている部位が後方に変位して変形した状態になるように取り付けられており、給紙時にも下端部が振動しにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙を搬送する記録紙ガイド部材の開口を覆うように設けられたカバー部材を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レーザビームプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、筐体の下部に給紙トレイを配置し、筐体の後方に向け給紙された記録紙の搬送方向を上方になるように変更させて、給紙トレイの上部の筐体内部に配された画像形成部に搬送するように構成されているものがある。記録紙は、給紙トレイの後方に配置した記録紙ガイド部材に沿うようにして搬送されることにより、搬送方向が変更されるように構成されている。
【0003】
図6は、上述のような画像形成装置の一例を示す。この画像形成装置81は、筐体810の下部に給紙トレイ(図示せず)が配置され、筐体810の背面側に向けて給紙トレイに載置された記録紙を給紙するように構成されているものである。図に示すように、筐体810の背面側には、メンテナンスハッチ813が回動自在に配されている。筐体810の下部の背面側には、図に示すように、記録紙ガイド部材(以下、ガイド部材と称する)815が設けられている。このガイド部材815の背面には、カバー部材816が、ガイド部材815の上部に締めこまれる2本のねじ817により固定されている。この画像形成装置81は、ガイド部材815付近で記録紙ジャム等が発生した場合に、メンテナンスハッチ813を回動させて図に示すような開状態にすることにより、詰まった記録紙を取り除いたりすることができるように構成されている。
【0004】
図7(a)、(b)は、ガイド部材815とカバー部材816とを示す。図7(a)に示すように、ガイド部材815は背面が開口した箱体状になっている。このガイド部材815の内部815cには、例えば回路基板(図示せず)等を配置可能になっており、画像形成装置81を小型化可能に構成されている。カバー部材816は、ガイド部材815の背面の開口を覆うように取り付けられている。これにより、ガイド部材815の内部815cに回路基板等を配置した場合にメンテナンスハッチ813を開状態にしたときにも、回路基板等が外部に露出せず、ユーザが回路基板等に接触してしまうことがないように、また、見栄えが良くなるように構成されている。
【0005】
図7(b)に示すように、ガイド部材815の内部の下面の開口端部815dには、突起部815eが立設されている。一方、カバー部材816の下端部には、突起部815eと対応して設けられ、突起部815eが嵌装される位置決め孔部816bと、ガイド部材815の内部815cに向けリブ形状に立設された段部816cとが形成されている。この画像形成装置81において、カバー部材816が取り付けられるときには、位置決め孔部816bに突起部815eが嵌装されることによりガイド部材815に対する下端部の位置が位置決めされた状態にされる。そして、ねじ817がガイド部材815の上部に締め付けられることにより、カバー部材816がガイド部材815に固定される。このように、カバー部材816は、図6に示すようにメンテナンスハッチ813が開状態のときでも、締め付け可能な位置に配されたねじ817を締めこむことにより、ガイド部材815に固定可能になるように構成されている。
【0006】
ところで、このような従来の画像形成装置81においては、給紙トレイから記録紙を給紙する給紙動作時の振動がカバー部材816に伝わり、カバー部材816とガイド部材815が繰り返し接触して大きな動作音が発生することがあった。すなわち、上述のようにカバー部材816がガイド部材815に取り付けられている状態で、カバー部材816の下端部は、ガイド部材815にねじ187により固定された部位から離れている。カバー部材816に振動が伝わると、その下端縁816dが自由端となって振動する。この下端縁816dの近傍部位がガイド部材815の開口端部815dに接触し、打撃音が発生する。このような動作音は耳障りなものであるため、発生しないようにすることが望まれている。
【0007】
従来より、動作音を低減した画像形成装置が、種々提案されている。例えば、特許文献1には、用紙カセットと装置本体との間の隙間をスポンジ等からなる遮蔽材により塞ぎ、用紙の搬送時の騒音を遮蔽した画像形成装置が記載されている。また、特許文献2には、用紙カセットから給紙された用紙をUターンさせるガイド部材のリブの構成を変更して、用紙の後端がリブに衝突して生じる異音の発生を防止した画像形成装置が記載されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、上述のようなガイド部材815に取り付けられたカバー部材816の振動を防止するために有効な解決策は開示されていない。
【特許文献1】特開2004−359364号公報
【特許文献2】特開平8−169589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、給紙動作時にカバー部材の振動を防止することができ、動作音を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、背面に開口部を有する筐体と、表面に感光体層が形成された感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電手段と、前記感光体ドラムの表面にレーザ光を走査させながら照射して潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラムの表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、前記感光体ドラムの回転方向の前記現像装置よりも下流側の所定の転写位置において、前記感光体ドラムの表面に対向するように設けられ、前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録紙上に転写させる転写ローラと、トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着ローラと、後端が上下方向に変位可能になるように前端近傍で筐体下部に軸支されており、記録紙が略水平に載置される給紙トレイと、記録紙を筐体内部に搬送する記録紙搬送機構と、前記給紙トレイに載置された記録紙のうち最も上方のものを給紙トレイの後端側から前記記録紙搬送機構に給紙する給紙機構と、前記筐体内部の給紙トレイの後端近傍に配置され、背面が開口した箱体状であり、前面に給紙トレイから筐体内部に搬送されてきた記録紙の搬送方向を変えるためのガイド面が形成されており、前記給紙機構を保持している記録紙ガイド部材と、前記記録紙ガイド部材の内部に配置され、装置の動作を制御する制御回路を搭載した回路基板と、前記筐体の背面に、下部が略水平軸で軸支された状態で前記開口部を開閉するように回動自在に設けられており、開状態のときに、記録紙の前記給紙トレイから筐体内部への搬送経路を、前記記録紙ガイド部材を含め、外部に露出させるメンテナンスハッチと、前記回路基板が外部に露出しないように、前記記録紙ガイド部材の背面の開口を塞ぐように設けられた断面略L字型の板状部材であるカバー部材とを備え、前記記録紙ガイド部材は、内部の下面の開口端部に立設された複数の突起部を有しており、前記カバー部材は、下端部の近傍に、前記記録紙ガイド部材の内部に向け略水平にリブ形状に突設された段部と、この段部の前記突起部に対応する位置に設けられ、その突起部が嵌装される複数の位置決め孔部とを有しており、前記メンテナンスハッチが開状態のときに、前記位置決め孔部がそれぞれ前記突起部に嵌装された状態で、前記記録紙ガイド部材の上部にねじ止めされることにより取り付けられている画像形成装置において、前記カバー部材は、前記位置決め孔部の互いに隣り合うもの同士のそれぞれの略中間部の、前記段部とカバー部材の下端縁との間に、前記下端縁に近づくにつれ前記記録紙ガイド部材の内部に向けた方向の高さが小さくなるようなテーパ形状の当接部を有しており、前記カバー部材が記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、前記位置決め孔部それぞれが前記突起部に嵌装されていると共に、前記当接部と前記記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部とが当接していることにより、前記カバー部材の下端部の前記当接部が設けられている部位が、前記位置決め孔部が設けられている部位よりも後方へ変位して前記カバー部材が復元力を有するように構成されており、前記記録紙の給紙動作時の振動により前記カバー部材が振動してカバー部材の下端部と記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部との間で発生する打撃音を低減したものである。
【0010】
請求項2の発明は、筐体と、筐体の下部に配置されており、記録紙が載置される給紙トレイと、この給紙トレイから記録紙を一枚ずつピックアップして給紙する給紙機構と、この給紙機構により給紙された記録紙を筐体内部に搬送する記録紙搬送機構と、筐体内部に配置され、搬送される記録紙に画像を形成する画像形成部と、前記筐体内部の給紙トレイの給紙方向端部の近傍に配置され、背面が開口した箱体状であり、他の少なくとも1つの面に記録紙の搬送方向を変えるガイド面が形成されている記録紙ガイド部材と、前記記録紙ガイド部材の背面の開口を塞ぐように、記録紙ガイド部材の上部にねじ止めされて取り付けられている板状部材であるカバー部材とを備えた画像形成装置において、前記カバー部材の下端部には、前記記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部と当接する、断面が下端縁に近づくにつれ前記記録紙ガイド部材の内部に向けた高さが小さくなるようなテーパ形状の当接部が設けられており、前記カバー部材は、記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、前記当接部が記録紙ガイド部材の開口端部と当接して下端部の当接部が設けられている部位が変位することにより、復元力を有するように構成されているものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記記録紙ガイド部材は、内部の下面の開口端部に立設された複数の突起部を有しており、前記カバー部材は、下端部の近傍に、前記記録紙ガイド部材の内部に向け略水平にリブ形状に突設された段部と、この段部の前記突起部に対応する位置に設けられ、その突起部が嵌装される複数の位置決め孔部とを有しており、前記当接部は、前記位置決め孔部の互いに隣り合うもの同士の略中間部に、前記段部とカバー部材の下端縁との間で前記下端縁に近づくにつれ前記記録紙ガイド部材の内部に向けた方向の高さが小さくなるような形状に形成されており、前記カバー部材が記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、前記位置決め孔部それぞれが前記突起部に嵌装されていると共に、前記当接部と前記記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部とが当接していることにより、前記カバー部材の下端部の前記当接部が設けられている部位が、前記位置決め孔部が設けられている部位よりも後方へ変位して前記カバー部材が復元力を有するように構成されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、カバー部材の段部と下端縁との間にテーパ形状の当接部が設けられており、カバー部材が記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、位置決め孔部が突起部に嵌装されると共に、当接部と記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部とが当接する。これにより、カバー部材の下端部の当接部が設けられている部位が、位置決め孔部が設けられている部位よりも後方へ変位してカバー部材が復元力を有するようになっている。従って、給紙動作時の振動がカバー部材に伝わっても、カバー部材の下端部が振動しにくくなる。また、当接部は、複数の位置決め孔部の互いに隣り合うもの同士の略中間部にそれぞれ設けられているので、カバー部材の下端部が位置決め孔部が設けられている部位と当接部が設けられている部位との間で変形し、カバー部材の下端部により大きな復元力が発生するので、カバー部材の振動をより確実に抑えることが可能になる。従って、給紙動作時に、動作音を確実に低減することが可能になる。
【0013】
請求項2の発明によれば、カバー部材の段部と下端縁との間にテーパ形状の当接部が設けられており、カバー部材は、記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、当接部が記録紙ガイド部材の開口端部と当接して下端部の当接部が設けられている部位が変位することにより撓んで、復元力を有している。従って、給紙動作時の振動がカバー部材に伝わっても、カバー部材の下端部が振動しにくくなり、給紙動作時の動作音を低減することが可能になる。
【0014】
請求項3の発明によれば、当接部は、複数の位置決め孔部の互いに隣り合うもの同士の略中間部にそれぞれ設けられているので、カバー部材の下端部が位置決め孔部が設けられている部位と当接部が設けられている部位との間で変形し、カバー部材の下端部により大きな復元力が発生するので、カバー部材の振動をより確実に抑えることが可能になる。従って、給紙動作時に、動作音を確実に低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す。この画像形成装置1は、いわゆるレーザービームプリンタであって、例えば外部のパーソナルコンピュータ等と接続され、このパーソナルコンピュータ等から送られた画像データに基いて、電子写真方式で記録紙Pに画像を形成するプリント動作を行う。画像形成装置1は、筐体10の下部に配置され記録紙Pが載置される給紙トレイ11と、筐体10の上部に設けられ筐体10内から排出された記録紙Pが載置される排紙部12と、給紙トレイ11の後端の上方に配置されている給紙ローラ(給紙機構)21と、給紙された記録紙Pを筐体10内部に搬送する記録紙搬送機構25と、記録紙搬送機構25により搬送された記録紙Pに画像を形成する画像形成部30とを備えている。
【0016】
筐体10の背面には開口部10aが設けられている。筐体10の背面には、下部の軸支部13aで回動自在に軸支されたメンテナンスハッチ13が配置されている。メンテナンスハッチ13は、略水平軸で軸支され、開口部10aを開閉するように設けられている。図に示すように、給紙トレイ11の後方には、給紙トレイ11から筐体10の内部まで記録紙Pを沿わせてガイドする搬送経路20が設けられている。搬送経路20は、給紙トレイ11の後端近傍に配置された記録紙ガイド部材(以下、ガイド部材と称する)15を含んでいる。ガイド部材15の前面には、給紙トレイ11から筐体10内部に記録紙Pを沿うようにガイドし、搬送されてきた記録紙Pの搬送方向を変えるガイド面15aが形成されている。このガイド部材15を含む搬送経路20は、メンテナンスハッチ13を図の矢印Rで示すように回動させて開状態とすることで外部に露出するように構成されており、記録紙ジャム等が発生した場合に、記録紙Pを取り除く作業等を容易に行うことができるように構成されている。本実施形態において、ガイド部材15は背面が開口した箱体状に形成されている。ガイド部材15の内部15cには、例えば、画像形成部30等、画像形成装置1の動作を制御する制御回路が搭載された回路基板50等が収納されている。これにより、画像形成装置1を小型化可能になっている。
【0017】
この画像形成装置1において、給紙トレイ11は、その画像形成装置1の背面側の後端が上下方向に変位可能になるように、前端近傍の軸支部11aで筐体10の下部に軸支されている。給紙トレイ11の下面には、リフトばね11bが圧縮された状態で筐体10と給紙トレイ11との間に跨設されている。すなわち、給紙トレイ11は、このリフトばね11bの復元力により、給紙トレイ11の後端が常に上方に付勢されるような状態で設けられている。また、給紙トレイ11の後端の幅方向両端近傍には、それぞれ当接腕11cが給紙トレイ11の上方に向くように突設されている。給紙ローラ21は、ガイド部材15に軸支されており、後述するようにモータ等により駆動され、回動に応じて当接腕11cの押し下げ量を変化させるように構成されている。これにより、この給紙トレイ11の後端部は、給紙ローラ21の回動に応じて上下する。すなわち、給紙ローラ21は、給紙時に回動しながら給紙トレイ11に載置された記録紙Pのうち最も上方のものに当接し、その記録紙Pを給紙トレイ11の後方から記録紙搬送機構25にピックアップして給紙するように構成されている。
【0018】
記録紙搬送機構25は、ガイド部材15に取り付けられており、給紙ローラ21により給紙された記録紙Pをガイド部材15に沿わせて筐体10の上方に搬送する搬送ローラ25aと、筐体10の内部で記録紙Pを搬送する搬送ローラ25b等の複数のローラと、これらのローラを駆動するモータ(図示せず)等で構成されている。なお、このモータは、給紙ローラ21も駆動するように構成されている。
【0019】
画像形成部30は、表面に感光体層が形成された感光体ドラム32、クリーナ33、帯電器(帯電手段)34、レーザスキャンユニット(露光装置)35、現像ブラシ(現像装置)36、転写ローラ37、転写ローラ37に対して記録紙Pの搬送方向の下流側に配置されている定着ローラ38等によって構成されている。
【0020】
以下に、この画像形成部30の各部位の構成と動作を説明する。クリーナ33は、感光体ドラム32の表面に付着している1行程(1回転)前のトナー及び紙粉を除去し、ドラム表面を清掃する。帯電器34は、クリーナ33によって清掃された感光体ドラム32の表面を均一に帯電させる。レーザスキャンユニット35は、レーザビームを出力する半導体レーザ、半導体レーザから出力されたレーザビームを反射するポリゴンミラー、ポリゴンミラーにより反射されたレーザビームの反射角度に応じて収差を補正するfθレンズ等で構成されている。レーザスキャンユニット35は、帯電器34によって帯電された感光体ドラム32の表面にレーザビームBを走査させながら照射して潜像を形成する。レーザスキャンユニット35は、電源装置(図示せず)によって給電され、レーザダイオードを発光させるための駆動電圧が印加される。現像ブラシ36は、トナーが充填されたトナーカートリッジ36aに装着されており、感光体ドラム32の表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する。転写ローラ37は、感光体ドラム32の回転方向の現像ブラシ36よりも下流側の所定の転写位置において感光体ドラム32の表面に対向するように設けられている。転写ローラ37は、記録紙Pを感光体ドラム32の表面に押圧しながら記録紙Pの表面を帯電させて、感光体ドラム32の表面に形成されたトナー像を記録紙Pの上に転写させる。転写ローラ37には、記録紙Pの表面を帯電させるための転写電圧が電源装置より印加される。転写ローラ37によって表面に画像が形成された記録紙Pは、定着ローラ38に搬送される。定着ローラ38は、対向して配置された押圧ローラ38aとの間に記録紙Pを挟みつつ熱と圧力を加えてトナーを定着させる。トナー定着のための熱は、定着ローラ38に内蔵されているヒータ(例えば、ハロゲンランプ等)から供給される。ヒータには、電源装置(図示せず)によって発生された定着電圧が印加される。トナーの定着が行われた記録紙Pは、排紙部12上に排出される。
【0021】
図2(a)、(b)は、筐体10のメンテナンスハッチ13が設けられている部位を示す。メンテナンスハッチ13は、図2(b)に示すように、開状態のまま所定の開き角度で保持されるように、回動可能な範囲を規制するストッパ13bを有している。ガイド部材15の背面は、断面略L字型の板状部材のカバー部材16で覆われている。カバー部材16は、ガイド部材15の上部の、幅方向両端部付近で2本のねじ17を用いてねじ止めされ、ガイド部材15に取り付けられている。すなわち、カバー部材16は、メンテナンスハッチ13が筐体10に軸支されている状態であっても、開状態であれば、ガイド部材15の上部で外部から締め付け可能な位置のねじを締め付けることにより、ガイド部材15に取り付け可能になるように構成されている。本実施形態において、上述のようにガイド部材15の内部15cに収納されている回路基板50は、このカバー部材16が設けられることにより、ガイド部材15の外部に露出しない状態になっている。これにより、例えばメンテナンスハッチ13が開状態のときにユーザが誤って回路基板50に接触してしまうことがなく、また、外部から見たときの見栄えが良くなるように構成されている。
【0022】
図3は、カバー部材16の内面側を示す。図において、矢印Dは、筐体10の上下方向を示す。図に示すように、カバー部材16の幅方向端部の上部には、ガイド部材15に取り付けられるときにねじ17が貫通されるねじ止め孔16aが設けられている。カバー部材16の下端部(図の手前側)には、後述の図5に示すガイド部材15の突起部15eと対応する位置の、複数箇所(例えば、3箇所)に、ガイド部材15の内部15cに向け突設され上下方向(矢印D方向)に貫通する孔を有する位置決め孔部16bが形成されている。そして、これらの位置決め孔部16b同士を繋ぐように、ガイド部材15の内部15cに向くように略水平にリブ形状に突設された段部16cが設けられている。そして、位置決め孔部16bの互いに隣り合うもの同士のそれぞれの略中間部においては、段部16cとカバー部材の下端縁16eとの間に、当接部16dが形成されている。この当接部16dは、図に示すように、段部16cから下端縁16eに近づくにつれ、ガイド部材15の内部15cに向けた高さが小さくなるような、テーパ形状になるように形成されている。
【0023】
図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)を用いて、ガイド部材15にカバー部材16を取り付ける場合について説明する。図5(a)に示すように、ガイド部材15の内部15cの下面の開口端部15dには複数個(例えば、3個)の突起部15eが立設されている。この突起部15eは、カバー部材16の位置決め孔部16bに嵌装可能なものである。カバー部材16は、上述のように、メンテナンスハッチ13が開状態であるときガイド部材15に取り付けられる。このとき、カバー部材16は、図4(a)及び図5(a)に示すように、ガイド部材15の背面に、位置決め孔部16bの位置が突起部15eと一致するように、上方から下方に向けてスライドするようにして嵌め込まれる。そして、位置決め孔部16bに突起部15eが嵌装されることにより、カバー部材16の下端部が、ガイド部材15に対して前後左右方向に変位することがない状態になる。このような状態で、カバー部材16をさらに下方に押し込んで、ねじ17をねじ止め孔16aを貫通させガイド部材15の上部に螺結可能な状態にした後、カバー部材16をガイド部材15にねじ止めする。
【0024】
ここで、給紙ローラ21が回動し、記録紙Pが給紙される給紙動作時には、ガイド部材15及びカバー部材16に、給紙動作時に発生する振動が伝わる。この画像形成装置1においては、このように給紙動作時の振動が伝わったときにも、カバー部材16の下端部が振動しないように構成されている。すなわち、図4(b)及び図5(b)に示すように、カバー部材16をガイド部材15にねじ止めして取り付けた状態では、当接部16dとガイド部材15の開口端部15dとが当接している。このとき、カバー部材16において、下端部の当接部16dが設けられている部位が、図の矢印Fで示す方向に撓んで変位し、元の形状に戻ろうとする復元力を有している。そのため、このカバー部材16の下端部は、この復元力より大きな力が加わらなければさらに撓むことなく、変位しない状態となっている。従って、給紙動作時の振動が伝わっても、カバー部材16の下端部が振動しにくくなっている。
【0025】
さらに、本実施形態においては、カバー部材16がガイド部材15に取り付けられている状態では、位置決め孔部16bが突起部15eに嵌装されているので、カバー部材16の位置決め孔部16bが設けられている部位は、当接部16dが設けられている部位よりあまり変位していない状態になる。すなわち、カバー部材16の下端部は、当接部16dが設けられている部位が、位置決め孔部が設けられている部位よりも後方へ変位した状態となり、下方から見て、下端部が前後に波打つように変形した状態になっている。それにより、カバー部材16の下端部には、突起部15eにより位置決めされていないような状態と比較して、より大きな復元力が発生している状態となる。従って、カバー部材16に給紙動作時等の大きな振動が伝達されたときにも、カバー部材16の下端部の振動をより確実に抑えることができるように構成されている。なお、このときカバー部材16の下端部に発生する変形はごくわずかなものであり、ユーザが外部から見て、特に目に付く等、気になることがないように構成されている。
【0026】
このように、この画像形成装置1では、給紙動作時に振動が発生しても、カバー部材16の下端部が振動しにくくなる。従って、カバー部材16の下端部が振動してガイド部材15の内部15cの下面の開口端部15d近傍を繰り返し打撃して打撃音が発生することがなくなり、給紙動作時の動作音が低減される。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、カバー部材16とガイド部材15は、それぞれ位置決め孔部16bや突起部15eを有さないような構成であってもよい。また、当接部16dは、上述のような形状に限られず、例えば、カバー部材16の下端縁16e近傍に一箇所のみ設けられていたり、互いの間隔を広く開けずに複数個が並んで設けられていたり、また、下端縁16eに幅広に設けられていたりしてもよい。すなわち、カバー部材16がガイド部材15に取り付けられている状態で、カバー部材16の下端部の当接部16dがガイド部材15の開口端部15dと当接し、カバー部材16の当接部16dが設けられている部位が変位して復元力を有するように構成することにより、給紙動作時にカバー部材16の下端部が振動することを防止可能になり、動作音を低減可能になる。
【0028】
さらにまた、画像形成装置1は、上述のような電子写真方式により記録紙Pに画像を形成するものに限られるものではない。画像形成装置1は、例えば、画像形成部30が、記録紙Pを搬送しながら、記録紙Pの搬送方向に直交する方向に往復移動されるキャリッジの記録ヘッドからインクを記録紙Pに向け吐出させ、インクジェット方式により記録紙Pに画像を形成するような、いわゆるインクジェットプリンタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す側面図。
【図2】(a)は同上装置の背面側を示す斜視図、(b)は(a)のメンテナンスハッチを開状態にしたときを示す斜視図。
【図3】同上装置のカバー部材を示す斜視図。
【図4】(a)は同上装置の記録紙ガイド部材にカバー部材を取り付けるときを示す側断面図、(b)はカバー部材が取り付けられた記録紙ガイド部材を示す側断面図。
【図5】(a)は同上装置の記録紙ガイド部材にカバー部材を取り付けるときの開口端部近傍部位を示す斜視図、(b)はカバー部材が取り付けられた記録紙ガイド部材の開口端部近傍部位を示す斜視図。
【図6】従来の画像形成装置の背面側を示す斜視図。
【図7】(a)は従来の画像形成装置のカバー部材が取り付けられた記録紙ガイド部材を示す側断面図、(b)は同装置において記録紙ガイド部材にカバー部材を取り付けるときの開口端部近傍部位を示す斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 画像形成装置
10 筐体
10a 開口部
11 給紙トレイ
13 メンテナンスハッチ
15 記録紙ガイド部材
15c (記録紙ガイド部材の)内部
15d 開口端部
15e 突起部
16 カバー部材
16b 位置決め孔部
16c 段部
16d 当接部
16e 下端縁
20 搬送経路
25 記録紙搬送機構
30 画像形成部
32 感光体ドラム
34 帯電器(帯電手段)
35 レーザスキャンユニット(露光装置)
36 現像ブラシ(現像装置)
37 転写ローラ
38 定着ローラ
50 回路基板
P 記録紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に開口部を有する筐体と、
表面に感光体層が形成された感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電手段と、
前記感光体ドラムの表面にレーザ光を走査させながら照射して潜像を形成する露光装置と、
前記感光体ドラムの表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
前記感光体ドラムの回転方向の前記現像装置よりも下流側の所定の転写位置において、前記感光体ドラムの表面に対向するように設けられ、前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録紙上に転写させる転写ローラと、
トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着ローラと、
後端が上下方向に変位可能になるように前端近傍で筐体下部に軸支されており、記録紙が略水平に載置される給紙トレイと、
記録紙を筐体内部に搬送する記録紙搬送機構と、
前記給紙トレイに載置された記録紙のうち最も上方のものを給紙トレイの後端側から前記記録紙搬送機構に給紙する給紙機構と、
前記筐体内部の給紙トレイの後端近傍に配置され、背面が開口した箱体状であり、前面に給紙トレイから筐体内部に搬送されてきた記録紙の搬送方向を変えるためのガイド面が形成されており、前記給紙機構を保持している記録紙ガイド部材と、
前記記録紙ガイド部材の内部に配置され、装置の動作を制御する制御回路を搭載した回路基板と、
前記筐体の背面に、下部が略水平軸で軸支された状態で前記開口部を開閉するように回動自在に設けられており、開状態のときに、記録紙の前記給紙トレイから筐体内部への搬送経路を、前記記録紙ガイド部材を含め、外部に露出させるメンテナンスハッチと、
前記回路基板が外部に露出しないように、前記記録紙ガイド部材の背面の開口を塞ぐように設けられた断面略L字型の板状部材であるカバー部材とを備え、
前記記録紙ガイド部材は、内部の下面の開口端部に立設された複数の突起部を有しており、
前記カバー部材は、下端部の近傍に、前記記録紙ガイド部材の内部に向け略水平にリブ形状に突設された段部と、この段部の前記突起部に対応する位置に設けられ、その突起部が嵌装される複数の位置決め孔部とを有しており、前記メンテナンスハッチが開状態のときに、前記位置決め孔部がそれぞれ前記突起部に嵌装された状態で、前記記録紙ガイド部材の上部にねじ止めされることにより取り付けられている画像形成装置において、
前記カバー部材は、前記位置決め孔部の互いに隣り合うもの同士のそれぞれの略中間部の、前記段部とカバー部材の下端縁との間に、前記下端縁に近づくにつれ前記記録紙ガイド部材の内部に向けた方向の高さが小さくなるようなテーパ形状の当接部を有しており、
前記カバー部材が記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、前記位置決め孔部それぞれが前記突起部に嵌装されていると共に、前記当接部と前記記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部とが当接していることにより、前記カバー部材の下端部の前記当接部が設けられている部位が、前記位置決め孔部が設けられている部位よりも後方へ変位して前記カバー部材が復元力を有するように構成されており、
前記記録紙の給紙動作時の振動により前記カバー部材が振動してカバー部材の下端部と記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部との間で発生する打撃音を低減したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
筐体と、
筐体の下部に配置されており、記録紙が載置される給紙トレイと、
この給紙トレイから記録紙を一枚ずつピックアップして給紙する給紙機構と、
この給紙機構により給紙された記録紙を筐体内部に搬送する記録紙搬送機構と、
筐体内部に配置され、搬送される記録紙に画像を形成する画像形成部と、
前記筐体内部の給紙トレイの給紙方向端部の近傍に配置され、背面が開口した箱体状であり、他の少なくとも1つの面に記録紙の搬送方向を変えるガイド面が形成されている記録紙ガイド部材と、
前記記録紙ガイド部材の背面の開口を塞ぐように、記録紙ガイド部材の上部にねじ止めされて取り付けられている板状部材であるカバー部材とを備えた画像形成装置において、
前記カバー部材の下端部には、前記記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部と当接する、断面が下端縁に近づくにつれ前記記録紙ガイド部材の内部に向けた高さが小さくなるようなテーパ形状の当接部が設けられており、
前記カバー部材は、記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、前記当接部が記録紙ガイド部材の開口端部と当接して下端部の当接部が設けられている部位が変位することにより、復元力を有するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記記録紙ガイド部材は、内部の下面の開口端部に立設された複数の突起部を有しており、
前記カバー部材は、下端部の近傍に、前記記録紙ガイド部材の内部に向け略水平にリブ形状に突設された段部と、この段部の前記突起部に対応する位置に設けられ、その突起部が嵌装される複数の位置決め孔部とを有しており、
前記当接部は、前記位置決め孔部の互いに隣り合うもの同士の略中間部に、前記段部とカバー部材の下端縁との間で前記下端縁に近づくにつれ前記記録紙ガイド部材の内部に向けた方向の高さが小さくなるような形状に形成されており、
前記カバー部材が記録紙ガイド部材に取り付けられている状態で、前記位置決め孔部それぞれが前記突起部に嵌装されていると共に、前記当接部と前記記録紙ガイド部材の内部の下面の開口端部とが当接していることにより、前記カバー部材の下端部の前記当接部が設けられている部位が、前記位置決め孔部が設けられている部位よりも後方へ変位して前記カバー部材が復元力を有するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−286276(P2007−286276A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112637(P2006−112637)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(591194034)レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド (142)
【氏名又は名称原語表記】LEXMARK INTERNATIONAL,INC
【Fターム(参考)】