説明

画像形成装置

【課題】圧電トランスにおける駆動周波数相互の干渉を抑え、小型化と高画質化を安価に可能とする圧電トランスを用いた電源装置を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】フレーム板金501は、単一または複数の板金で一体的に構成され、かつフレーム板金501は高圧電源回路基板100をカラーレーザプリンタ401本体に対して保持し、かつ少なくともフレーム板金501の曲げ起こし部120が圧電トランス351と圧電トランス121の間に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。詳しくは、電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置に好適な電源装置に関し、特に圧電トランスを用いる電源装置とその電源装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置において、感光体に転写部材を当接させて転写を行う直接転写方式を採る場合、転写部材には導電体の回転軸を持つローラ状の導電性ゴムが用いられる(以下、転写ローラともいう)。転写部材の駆動は感光体のプロセススピードに合わせて制御される。
【0003】
そして、転写部材に印加する電圧として、直流バイアス電圧を用いている。このとき、直流バイアス電圧の極性は、通常のコロナ放電式の転写電圧と同じ極性である。しかし、こういった転写ローラを用いて良好な転写を行うためには、通常3kV以上の電圧(所要電流は数μA)を転写ローラに印加する必要がある。上述の画像形成処理に必要とされる高電圧を生成するために、従来は巻線式の電磁トランスが使用されていた。しかし、電磁トランスは、銅線、ボビン、磁芯で構成されており、上記のような、3kV以上の電圧を印加して用いる場合は、出力電流値が数μAという微小な電流のために各部において漏れ電流を最小限にしなければならなかった。そのため、トランスの巻線を絶縁物によりモールドする必要が有り、しかも供給電力に比較して大きなトランスを必要としたため、高圧電源装置の小型化・軽量化の妨げとなっていた。
【0004】
そこで、これらの点を補うために、薄型で軽量の高出力の圧電トランスを用いて高電圧を発生させることが検討されている。すなわち、セラミックを素材とした圧電トランスを用いることにより、電磁トランス以上の効率で高電圧を生成することが可能となる。しかも、一次側および二次側間の結合に関係なく一次側と二次側の電極間の距離を離すことが可能になるので特別に絶縁のためにモールド加工をする必要がない。そのため高圧電源装置を小型・軽量にできるという優れた特性が得られる。
【0005】
圧電トランスを用いている高圧電源装置の例を図20の参照により説明する。圧電トランス1001を例にすると、1002はグランド(以下GNDと記述)端子であり、1003は一次入力端子であり、1004は二次出力端子である。GND端子1002、一次入力端子1003、二次出力端子1004は回路基板1000に実装され、電気的に接続されているものとする。圧電トランス1021、1041、1061も同様に、GND端子1022、1042、1062、一次入力端子1023、1043、1063、二次出力端子1024、1044、1064は回路基板1000に実装され、電気的に接続されているものとする。
【0006】
図20に示す高圧電源装置1202には、4つの圧電トランス1001、1021、1041、1061が用いられ、それぞれの圧電トランスに対応して4系統の高圧電圧を出力コネクタ1114、1134、1154、1174から出力する構成になっている。
【0007】
第1の系統として、DCコントローラ201から入力コネクタ1010に高圧電源の制御信号(Vcont1)が入力される。制御信号に基づいて、圧電トランス1001を駆動するための回路構成である制御回路1011、駆動回路1012、整流回路1113、高圧出力検出回路1115が駆動され、出力コネクタ1114から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0008】
第2の系統として、DCコントローラ201から入力コネクタ1030に高圧電源の制御信号(Vcont2)が入力される。制御信号に基づいて、圧電トランス1021を駆動するための回路構成である制御回路1031、駆動回路1032、整流回路1133、高圧出力検出回路1135が駆動され、出力コネクタ1134から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0009】
第3の系統として、DCコントローラ201から入力コネクタ1050に高圧電源の制御信号(Vcont3)が入力される。制御信号に基づいて、圧電トランス1041を駆動するための回路構成である制御回路1051、駆動回路1052、整流回路1153、高圧出力検出回路1155が駆動され、出力コネクタ1154から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0010】
そして、第4の系統として、DCコントローラ201から入力コネクタ1070に高圧電源の制御信号(Vcont4)が入力される。制御信号に基づいて、圧電トランス1061を駆動するための回路構成である制御回路1071、駆動回路1072、整流回路1173、高圧出力検出回路1175が駆動され、出力コネクタ1174から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0011】
電子写真方式の画像形成装置の高圧電源装置では、図20のように圧電トランス1001、1021、1041、1061を用いた高圧電源回路を複数系統有する。各高圧電源回路は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像形成部に対応するもので、帯電、現像、転写等のバイアスを出力して画像形成処理が実行される。上述の構成を開示する従来技術として、例えば、以下の特許文献1に示されるものがある。
【0012】
また、画像形成装置への高圧電源の組付け方法としては、例えば以下の特許文献2に示されるものがある。特許文献2では、画像形成装置のフレーム板金と高圧電源回路基板の部品面が向かい合うように配置され、かつ高圧電源回路基板の組付けに伴って、高圧電源回路基板上の高圧出力接点が画像形成装置本体側の接点と接続される構成が提案されている。
【特許文献1】特開平11−206113号公報
【特許文献2】特開2003−195697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の例では、高圧電源装置内に圧電トランス及び制御回路を複数個配置することにより、複数のバイアス電圧を出力して画像形成を行っている。特に、タンデム方式のカラー画像形成装置に搭載される高圧電源ユニットにおいては、帯電、現像、転写等のバイアス出力回路をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像形成に対応して4回路(4系統)が必要となる。
【0014】
このように複数の高圧バイアスを必要とする高圧電源装置(以下、「電源ユニット」ともいう)においては、電源ユニットの小型化のために圧電トランスをできる限り近づけて配置する必要がある。圧電トランスは電磁トランスのようなトランス同士の磁気結合が生じないため、素子の小型化だけでなく複数のトランスを近接配置することによる高圧電源ユニットの小型化が期待できる。
【0015】
しかし、圧電トランスの出力端は高電圧で発振しており、電磁トランスの発振周波数が数百ヘルツから数十キロヘルツであるのに対し、圧電トランスの発振周波数は数十キロヘルツから二百キロヘルツ程度と高い。このため、圧電トランス同士を近接配置したときに静電的な干渉による影響を受けやすい。その結果、近接して配置された圧電トランスにおいて、静電容量結合などによって、相互干渉を起こし、高圧バイアス電圧の出力精度向上が困難になる。あるいは干渉周波数による高圧バイアス電圧の揺らぎ等の発生等を原因とする画像品質低下を招くおそれがある。
【0016】
このため、特にタンデム方式のカラー画像形成装置に搭載される高圧電源ユニットにおいては、圧電トランスの間隔を十分に離して実装する必要があり、高圧電源ユニットの小型化と、画像形成の高画質化とを両立することは困難になっている。
【0017】
本発明はこのような点に着目して成されたもので、圧電トランスにおける駆動周波数相互の干渉を抑え、小型化と高画質化を可能にする圧電トランスを用いた電源装置を備える画像形成装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した課題は、以下の構成を備える本発明の画像形成装置によって解決される。
【0019】
(1)画像を形成するための第一制御信号に基づいて第一圧電トランスを駆動するための第一駆動周波数を発生させて、前記第一圧電トランスの駆動により生成した電圧を第一画像形成部に供給する第一電源回路と、前記画像を形成するための第二制御信号に基づいて第二圧電トランスを駆動するための第二駆動周波数を発生させて、前記第二圧電トランスの駆動により生成した電圧を第二画像形成部に供給する第二電源回路と、少なくとも前記第一電源回路と前記第二電源回路とを実装した電源基板と、前記電源基板と対向するように設けられ、かつグランド電位に接続された金属板金とを備える画像形成装置であって、前記金属板金は、単一または複数の板金で一体的に構成され、かつ前記板金は前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持し、かつ少なくとも前記板金の一部分が前記第一圧電トランスと前記第二圧電トランスの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成装置のフレーム板金あるいはシールド板金の一部を複数の圧電トランス間に配置することで、安価に圧電トランスにおける駆動周波数相互の干渉を抑えることができる。これにより、小型化と高画質化を可能にする圧電トランスを用いた電源装置を備える画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下では本発明の一実施形態として、カラーレーザビームプリンタを例にとって説明する。ただし、本発明はカラーレーザビームプリンタに限定されるものではなく、電子写真プロセスを使用した画像形成装置全般に適用することができる。したがって、この発明の範囲を以下の実施の形態に記載されている構成要素のみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
また、従来の技術例で説明した部品と同じ部品は、説明を省略あるいは簡略化すると共に、従来の技術例で説明に使用した同一符号を使用して現してある。
【実施例1】
【0023】
図1は、圧電トランスを用いた高圧電源装置202を備える本実施例に係る画像形成装置(以下、「カラーレーザプリンタ」ともいう)の構成図である。
【0024】
図2は図1の矢印Aの向きから見た、画像形成装置のフレーム板金と、高圧電源回路基板の配置を説明する図である。
【0025】
カラーレーザプリンタ401は記録紙32を収納するデッキ402を有し、デッキ402内の記録紙32の有無を検知するデッキ紙有無センサ403が設けられている。また、カラーレーザプリンタ401は、デッキ402から記録紙32を繰り出すピックアップローラ404、ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送するデッキ給紙ローラ405が設けられている。更に、カラーレーザプリンタ401はデッキ給紙ローラ405と対をなし、記録紙32の重送を防止するためのリタードローラ406が設けられている。
【0026】
そして、デッキ給紙ローラ405の下流側には記録紙32を同期搬送するレジストローラ対407、レジストローラ対407への記録紙32の搬送状態を検知するレジ前センサ408が配設されている。また、レジストローラ対407の下流には静電吸着搬送転写ベルト(以下、「ETB」と記す)409が配設されている。ETB409上には4色(Y、M、C、BK)分のプロセスカートリッジ410(Y、M、C、BK)と、スキャナーユニット420(Y、M、C、BK)とからなる画像形成部によって画像が形成される。そして、形成された画像が転写ローラ430(Y、M、C、BK)によって順次重ね合わされてゆくことによりカラー画像が形成され、記録紙32上に転写搬送される。
【0027】
下流側には記録紙32上に転写されたトナー像を熱定着するために内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433と加圧ローラ434対が配設されている。更に、定着ローラ433からの記録紙32を搬送するための定着排紙ローラ対435、定着部からの搬送状態を検知する定着排紙センサ436が配設されている。
【0028】
各スキャナーユニット420は、レーザユニット421、各レーザユニット421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査するためのポリゴンミラー422とスキャナモータ423、結像レンズ群424より構成されている。ここで、レーザユニット421から照射されるレーザ光は、ビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されものである。
【0029】
各プロセスカートリッジ410には公知の電子写真プロセスに必要な感光ドラム305、帯電ローラ303と現像ローラ302、トナー格納容器411が具備されている。各プロセスカートリッジ410は、カラーレーザプリンタ401に対して着脱可能に構成されている。
【0030】
更に、ビデオコントローラ440はパーソナルコンピュータ(ホストコンピュータ)等の外部装置441から送出される画像データを受け取ると画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。
【0031】
また、201はレーザプリンタの制御部であるDCコントローラである。RAM207a、ROM207b、タイマ207c、デジタル入出力ポート207d、D/Aポート207eを具備したMPU(マイクロコンピュータ)207、及び各種入出力制御回路(不図示)等で構成されている。
【0032】
202は高圧電源部(高圧電源装置)である。高圧電源装置202は、各プロセスカートリッジ410(Y、M、C、BK)に対応した帯電高圧電源(不図示)、現像高圧電源(不図示)と、各転写ローラ430に対応した高電圧を出力可能な圧電トランスを使用した転写高圧電源とで構成されている。
【0033】
本実施例では、転写高圧電源を例にして以下に説明するものの、帯電高圧電源や現像高圧電源においても同様に、仮に圧電トランスの相互干渉が起きて高圧バイアス電圧に許容外の電圧揺らぎが発生すると、画像品質低下を招くおそれがある。
【0034】
次に図2を用いて画像形成装置への高圧電源装置202の組付け方法について、概要を説明する。
【0035】
画像形成装置のフレーム板金501(金属板金)と高圧電源回路基板100(電源基板)の部品面が向かい合うように概ね並行に配置される。かつ高圧電源回路基板100の組付けに伴って、高圧電源回路基板100上の高圧出力接点(不図示)が画像形成装置本体側の接点(不図示)と接続される構成となっている。一般に、高圧電源回路基板100面(電源基板面)とフレーム板金501面(金属板金面)の距離は100mm以内の位置に配置されている。なお、図中、500は外装カバー、351、121、141、161は圧電トランス、120、140は後述する曲げ起こし部である。
【0036】
次に、本実施例の高圧電源装置202の構成を図3、図4を参照して説明する。高圧電源の構成は、帯電高圧電源、現像高圧電源、転写高圧電源のどの出力回路に対しても共通であるため、ここでは代表的に転写高圧電源について説明を行う。また、転写高圧電源は各転写ローラ430Y、430M、430C、430BKに対応し、4回路設けられているものの、回路構成は各回路とも同じであるため、図3では1回路のみを示している。
【0037】
図3は、圧電トランスを用いた高圧電源装置202の代表的な回路構成を示すブロック図である。351は高圧電源の圧電セラミックトランス(以下、「圧電トランス」という)(第一圧電トランス)を示す。圧電トランス351の出力はダイオード359、370及び高圧コンデンサ371によって正電圧に整流平滑され、出力端子364から負荷である転写ローラ430に供給される。
【0038】
出力電圧は抵抗372、373によって分圧され、保護用抵抗374を介してオペアンプ376の非反転入力端子(+端子)に入力される。他方オペアンプの反転入力端子(−端子)には直列抵抗375を介してDCコントローラ201からアナログ信号である高圧電源の制御信号(Vcont)が接続端子360より入力される。
【0039】
オペアンプ376の出力端は電圧制御発振器(VCO)366に接続される。電圧制御発振器(VCO)366は、制御信号(Vcont)に応じて圧電トランス351を駆動するための駆動周波数(第一駆動周波数)に対応する信号を発生することが可能である。電圧制御発振器(VCO)366の出力端は電界効果トランジスタ367のゲートに接続される。電界効果トランジスタ367のドレインはインダクタ368を介して電源(+24V:Vcc)に接続され、また、圧電トランス351の一次側電極の一方(352)に接続される。一次側電極の他方(353)は接地される。電界効果トランジスタ367のソースも接地される。なお、354は圧電トランス351の二次出力端子であり、361は制御回路、362は駆動回路、363は整流回路、365は高圧出力検出回路であり、377はコンデンサである。
【0040】
図4は、圧電トランス351の特性として、出力電圧(V)と駆動周波数(Hz)の関係を示す図である。圧電トランス351の特性は一般的に図4に示すような共振周波数fにおいて出力電圧が最大電圧(Emax)となる。駆動周波数fにおいて、規定出力電圧(以下、「制御出力電圧」ともいう)Edcを出力する。共振周波数(以下、これを「最大周波数」ともいう)fを中心として、出力電圧(V)の分布は裾広がりの分布形状となる。駆動周波数を変化させることにより、出力電圧の制御が可能になる。例えば、圧電トランス351の出力電圧を増加させる場合は、駆動周波数を高い方から共振周波数fに向かい低い方へ変化させることで可能となる。これ以降、共振周波数fより高い側の周波数で制御を行う場合について説明を行うが、低い側の周波数で制御を行う場合も考え方は同様である。
【0041】
図3の電圧制御発振器(VCO)366は、入力電圧が上がると出力周波数を上昇させ、入力電圧が下がると出力周波数を下げるように動作する。圧電トランス351の制御出力電圧(Edc)が上がると、抵抗372を介してオペアンプ376の非反転入力端子(+端子)の入力電圧Vsnsも上がり、オペアンプ376の出力端子の電圧は上がる。
【0042】
電圧制御発振器(VCO)366の入力電圧が上昇するので、電圧制御発振器(VCO)366の出力周波数も上昇することになり、圧電トランス351の駆動周波数も上昇する。従って、駆動周波数fより高い周波数で圧電トランス351は駆動する。駆動周波数fが上昇すると圧電トランス351の出力電圧は下がるため、出力電圧は下がる方向に制御される。すなわち、図3の構成は、負帰還制御回路を構成している。カラーレーザプリンタにおいては、Y、M、C、BKに対応する4系統の高圧回路として、図3に示すような回路構成が高圧電源装置202に4つ設けられる。
【0043】
オペアンプ376の反転入力端子(−端子)に入力されるDCコントローラ201からの制御信号(Vcont)の電圧で決定される電圧に等しくなるよう、電圧制御発振器(VCO)366によって出力電圧が定電圧制御される。
【0044】
次に、高圧電源装置202における複数系統の圧電トランスが同じタイミングで駆動する際に生じる駆動周波数相互の干渉を抑えるための構成を図5〜図10の参照により説明する。
【0045】
圧電トランスは巻線トランスと比較してトランス自体が小型であるため、高圧電源装置202の小型化に有利である。本実施例の高圧電源装置202では図5のように、近接して配置された圧電トランス351と圧電トランス121(第二圧電トランス)の間に、GND(グランド電位)に接地された画像形成装置のフレーム板金501の一部120を曲げ起こして配置する。すなわち、単一の板金で一体的に構成される。このようにして、更なる小型化を実現する。
【0046】
フレーム板金501の一部120(板金の一部分)(以下、曲げ起こし部120ともいう)は近接して配置された複数の圧電トランス351、121相互の駆動周波数の干渉を抑制する干渉抑制手段として機能する。
【0047】
カラーレーザプリンタ401の画像形成動作においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)に対応する4系統の高圧回路が近接したタイミングで動作する。また、高圧電源装置202の小型化のため、圧電トランスの駆動周波数が近い圧電トランスを近接配置した場合、圧電トランスを駆動する各回路が相互に干渉し合う。干渉周波数は、互いの圧電トランスにおける駆動周波数の差分となり、例えば、制御出力電圧(Edc)に対応する駆動周波数の差分の絶対値として与えられる。
【0048】
近接して配置された圧電トランス351、121が相互に干渉する状態を例示的に図6に示す。図6は、高圧電源回路基板100に実装された圧電トランス351、121を側面から見た状態を示す図であり、354は圧電トランス351の二次出力端子を示し、124は圧電トランス121の二次出力端子を示すものとする。また、図6における破線矢印は電気力線を表すものとする。圧電トランス351、圧電トランス121が共に動作した場合、圧電トランス121には、圧電トランス351の駆動周波数と圧電トランス121の駆動周波数(第二駆動周波数)の差分にあたる周波数も重畳することになる。電気力線は圧電トランス351から圧電トランス121へおよぶ。
【0049】
同じサイズの圧電トランスを用いた場合、共振周波数がほぼ同じとなり、駆動周波数も互いに近いものとなる。よって両駆動周波数の差分による周波数(干渉周波数)は比較的低周波数(数10〜数100Hz)のリップルとなる。このような低周波数は整流回路があっても整流されず、出力電圧のリップルとなる。このリップルは数キロボルトといった出力電圧に対し数ボルトと小さいため、制御によって抑えることが困難である。
【0050】
しかし、この低周波数は目視可能な、例えば、グラデーションが縞状になる画像形成の原因となる、バンディング周波数になりやすいため、このリップルを画像上判別できないレベルまで抑える必要がある。そこで図7(a)のようにGNDに接地された画像形成装置のフレーム板金501の曲げ起こし部120を配置して駆動周波数の干渉を抑制する。
【0051】
高圧電源回路基板100の部品実装面は前述のように、画像形成装置のフレーム板金501と対向している。すなわち、圧電トランス351、121もこのフレーム板金501と対向して配置されている。本実施例では、圧電トランス351と圧電トランス121との間でかつ対向するフレーム板金501の一部を曲げ起こして、圧電トランス351と圧電トランス121との間に配置している。曲げ起こし部120の先端は高圧電源回路基板100面に接触しないように、少なくとも1mm以上は空間距離を確保しておくのが好ましい。理由は、曲げ起こし部120で高圧電源回路基板100面を傷つけてしまうことを回避する目的と、高圧電源回路の出力電圧に依存するものの、高圧電圧がGND電位である曲げ起こし部120にリークすることを回避するためである。
【0052】
図8には図5の圧電トランス351、圧電トランス121と曲げ起こし部120の位置関係を、高圧電源回路基板100面視で示している。同図では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)に対応した4系統の高圧電源回路において干渉抑制手段として、フレーム板金501の曲げ起こし部120、140を使用している構成例を示している。曲げ起こし部120、140は、図8に示した位置への実装に限定されるものではなく、圧電トランス121、圧電トランス141の間に更に実装するようにしてもよい。なお、圧電トランス351において、352はGND端子であり、353は一次入力端子であり、354は二次出力端子であり、圧電トランス121において、122はGND端子であり、123は一次入力端子であり、124は二次出力端子である。また、圧電トランス141において、142はGND端子であり、143は一次入力端子であり、144は二次出力端子であり、圧電トランス161において、162はGND端子であり、163は一次入力端子であり、164は二次出力端子である。
【0053】
第1の系統(第一電源回路)として、DCコントローラ201から入力コネクタ110に高圧電源の制御信号(Vcont1)(第一制御信号)が入力される。制御信号(Vcont1)に基づいて、圧電トランス351を駆動するための回路構成である制御回路111、駆動回路112、整流回路113、高圧出力検出回路115が駆動され、出力コネクタ114から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0054】
第2の系統(第二電源回路)として、DCコントローラ201から入力コネクタ130に高圧電源の制御信号(Vcont2)(第二制御信号)が入力される。制御信号(Vcont2)に基づいて、圧電トランス121を駆動するための回路構成である制御回路131、駆動回路132、整流回路133、高圧出力検出回路135が駆動され、出力コネクタ134から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0055】
第3の系統(第一電源回路)として、DCコントローラ201から入力コネクタ150に高圧電源の制御信号(Vcont3)が入力される。制御信号(Vcont3)に基づいて、圧電トランス141を駆動するための回路構成である制御回路151、駆動回路152、整流回路153、高圧出力検出回路155が駆動され、出力コネクタ154から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0056】
そして、第4の系統(第二電源回路)として、DCコントローラ201から入力コネクタ170に高圧電源の制御信号(Vcont4)が入力される。制御信号(Vcont4)に基づいて、圧電トランス161を駆動するための回路構成である制御回路171、駆動回路172、整流回路173、高圧出力検出回路175が駆動され、出力コネクタ174から高圧電圧が出力される構成になっている。
【0057】
次に、曲げ起こし部120を配置した場合の圧電トランス間の干渉抑制効果について説明する。
【0058】
圧電トランス351と曲げ起こし部120との間で、駆動周波数の干渉状態を低減させる(干渉周波数の発生を抑制する)ための電界を発生させる。これにより圧電トランス351の駆動周波数が圧電トランス121の駆動周波数に直接干渉するのを抑制することができる。圧電トランス351から圧電トランス121に到達する電気力線を少なくし、リップルの発生を抑えることで駆動周波数の干渉は抑制される。駆動周波数の干渉を抑制することにより、圧電トランス351と圧電トランス121が近接した回路配置が可能になり、高圧電源装置202の更なる小型化が可能となる。
【0059】
図7(b)は、圧電トランス121の出力電圧の比較を例示的に示す図である。曲げ起こし部120が設けられた場合(図7(a))の圧電トランス121の出力電圧602は、曲げ起こし部120が無い場合(図6)の出力電圧601に比べて、干渉による周波数の重畳が抑制された分、低くなる。
【0060】
圧電トランス351、121が近接した状態で同じタイミングで駆動する場合、相互に静電容量的結合するために、互いの圧電トランス駆動周波数が影響を与え、干渉を起こし、圧電トランス121の出力電圧に干渉周波数のリップル電圧が現れる。ここで、圧電トランス間の静電容量を浮遊容量という。
【0061】
図9(a)は、圧電トランス間の浮遊容量を703、704として、圧電トランスの静電ノイズ(電気力線:破線矢印)の影響を例示的に説明する図である。ここで、電気力線を、微小な静電容量を持つコンデンサ内に発生する電界として近似的に考える。
【0062】
簡単のため、圧電トランス351のみ動作している場合を説明する。図9(b)において、701は圧電トランス351の出力電圧波形を例示的に示す。圧電トランス121に発生する低周波リップルの原因は圧電トランス351の動作によるもので、この影響を抑えることがリップル発生を抑えることに繋がる。一般的に圧電トランスは、巻線トランスより発振周波数が高く、浮遊容量703、704によるインピーダンス1/ωCが小さくなる。その結果、圧電トランス121に重畳する電圧702は巻線トランスの場合に比べて大きくなる。
【0063】
図10(a)はGNDに接地された画像形成装置のフレーム板金501の一部120を曲げ起こして圧電トランス351と圧電トランス121の間に配置した状態を示す図である。圧電トランス351が、浮遊容量703を介在して、圧電トランス121へ及ぼす影響をGNDに接続された曲げ起こし部120を設けることによって抑制することができる。浮遊容量703の影響を抑制することにより、圧電トランス121に重畳する電圧710の振幅は、図9(b)に示す圧電トランス121に重畳する電圧702に比べて図10(b)に示す電圧710の方が小さくなる。
【0064】
圧電トランス351と曲げ起こし部120との間に新たに浮遊容量705が発生するが、曲げ起こし部120は直流的に安定電位(GND)である。そのため、曲げ起こし部120と圧電トランス121との間に新たに発生する浮遊容量706が圧電トランス121に及ぼす影響は無視できるほど小さい。このため、圧電トランス351は浮遊容量705を通じてのみ圧電トランス121に影響を及ぼすと考えることができる。
【0065】
曲げ起こし部120を配置することにより、曲げ起こし部120が無い場合よりも圧電トランス351から圧電トランス121へのインピーダンスは大きくなる。圧電トランス121に重畳する電圧710の振幅は、図9(b)に示す圧電トランス121に重畳する電圧702の振幅に比べて小さくなる。すなわち、干渉の影響により圧電トランス121に重畳する電圧の影響を曲げ起こし部120により抑制することができる。
【0066】
また、図11に高圧電源回路基板100の動作チェックを行うための、動作チェッカーの概要を示す。このチェッカーは高圧電源回路基板100の実装後に、回路が正常に動作することを確認するために、製造工場で用いるチェック工具である。このチェッカーのカバー部(チェッカーカバー)576に、画像形成装置のフレーム板金に相当するGNDに接続した板金571と曲げ起こし部120に相当する板金572を設けてある。そして、高圧電源回路基板100(高圧PCB)を画像形成装置に組付けた時とほぼ同一の位置関係になるように、チェッカー台575に設けてある。このような状態で、高圧電源回路のチェックを行うことで、実際の画像形成装置に組付けた際と同等の条件で、動作確認をすることが可能となる。
【0067】
以上のように、干渉抑制手段として、フレーム板金501の曲げ起こし部120、140を使用する。このようにすることで、近接して配置された圧電トランス351及び圧電トランス121、圧電トランス141及び圧電トランス161の駆動周波数が干渉することを抑制することが可能になる。これにより、図20の従来の高圧電源装置1202と比較して圧電トランス351と圧電トランス121、圧電トランス141と圧電トランス161とを近接して配置することができ、高圧電源装置202の小型化を図ることが可能になる。
【0068】
なお、本実施例では、本体フレームの一部を曲げ起こして干渉抑制手段として、圧電トランス相互の駆動周波数の干渉を軽減する例を説明したものの、曲げ起こし部と同形状の導電性の別部材を取り付けても本実施例と同様の効果が得られる。すなわち、圧電トランス間に対向する本体フレーム部に、別の板金や導電性の高いモールド部材を電気的に接続し、曲げ起こし部の代用としても構わない。
【0069】
また、本実施例では画像形成装置の説明を、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に説明しているが、高圧バイアスを用いた画像形成装置であれば本発明に係る高圧電源装置を適用することは可能である。
【0070】
さらに、本実施例に係る画像形成装置401は、高圧電源装置202と、互いに異なる色のトナー画像を形成する画像形成部を備える。すなわち、イエロー(Y)の画像形成部(第一画像形成部)、マゼンタ(M)の画像形成部(第二画像形成部)、シアン(C)の画像形成部、ブラック(BK)の画像形成部を備える。そして、これらの画像形成部は、高圧電源装置202により供給される電圧を用いて、トナー画像を形成することが可能である。
【実施例2】
【0071】
次に、本発明の実施例2を、図12を用いて説明する。本実施例では、干渉抑制手段として画像形成装置のフレーム板金501の曲げ起こし部120に絶縁部材によるカバー(非導電性の部材)を設けている。
【0072】
図12(a)中の555は、画像形成装置のフレーム板金501の曲げ起こし部120に設けられた、モールド材等の絶縁性を有するカバー材である(以下、カバー555とする)。圧電トランス351と圧電トランス121の間に、GND電位の曲げ起こし部120を設けることで、圧電トランス351と圧電トランス121との間の距離をこれまで以上に短くして小型化が可能となる。しかしその反面、高圧電源回路基板100の二次側(高電圧部)から、GND電位の曲げ起こし部120への電圧リークの懸念が高まる。また、高圧電源回路基板100を画像形成装置へ組付ける際、誤って曲げ起こし部120の先端を、圧電トランス351あるいは圧電トランス121へ干渉させてしまい傷つけてしまう可能性がある。
【0073】
したがって、これらの問題を解決する意味で、カバー555を曲げ起こし部120へ設ける。したがって、カバー555は高圧電源回路基板100で出力される高圧電圧が、カバー555を貫通して曲げ起こし部120へリークしないように、高圧電圧に応じた厚みでかつ絶縁性を兼ね備えた材料を選定する必要がある。また、高圧電源回路基板100を画像形成装置へ組付ける際に、曲げ起こし部120の先端が、高圧電源回路基板100上の部品に干渉しないように、組付け時の基板ガイド部材(図示せず)を必要に応じて設ける。そして、これと共に、万一干渉しても問題を緩和するために、カバー555により圧電トランス等の部品を曲げ起こし部120から保護することができる。
【0074】
図12(b)では、図12(a)で説明したカバー555の先端に爪状の突起を設け、高圧電源回路基板100の保持機能も兼ね備えた例を示している。図のように、爪状の突起を設けたカバー556(以下、単にカバー556とする)の先端部(基板保持手段)と対向する高圧電源回路基板100面に貫通穴を設けておく。そして、高圧電源回路基板100の組付けと共にカバー556の先端を高圧電源回路基板100に貫通させて、高圧電源回路基板100のハンダ面側でカバー556の爪を掛けて高圧電源回路基板100を保持することができる。
【0075】
以上のように、実施例1と曲げ起こし部120は同一であるから、同様に圧電トランス間の干渉抑制を行うことができる。また、圧電トランス間の干渉抑制手段である曲げ起こし部120へ絶縁性のカバー555を設けることで、高圧電圧のリークに対するマージンを高め、組付け時の周囲部品の保護と高圧電源回路基板の保持を兼ね備える。これにより、実施例1よりも圧電トランス間の距離を近く配置することが可能となり、更なる小型化と高圧電源回路基板の保持を実現することができる。
【実施例3】
【0076】
次に、本発明の実施例3を図13を用いて説明する。本実施例では、干渉抑制手段として画像形成装置のフレーム板金501の一部である曲げ起こし部120の形状に特徴がある。
【0077】
図13(a)中のフレーム板金501には、圧電トランス351と圧電トランス121とそれぞれ対向する位置に、圧電トランス351、121を避ける方向に絞り557(絞り加工部)が設けてある。ここで、557aは圧電トランス351に対する絞り、557bは圧電トランス121に対する絞りである。この図のように、高圧電源回路基板100上で圧電トランス351、121が最も背の高い部品である場合、次のようにすることができる。すなわち、圧電トランス351、121部分のフレーム板金501を遠ざけることで、高圧電源回路基板100を全体的に本体フレーム側へ近づけて配置することができる。つまり、図2における左側面を絞り557の分だけ右方向に数mm移動することができる、つまり装置の横幅を小さくすることができる。
【0078】
また、圧電トランス351と圧電トランス121との間には、干渉抑制手段として板金580が設けてある。ここで、板金580は前述の実施例とは異なり、本体のフレーム板金501を曲げ起こした一部(120)ではなく、フレーム板金501に電気的に接続されたGND電位の板金である。すなわち、フレーム板金501と板金580(複数の板金)で一体的に構成されている。本実施例では、フレーム板金501を絞っているため、その部分からの板金の曲げ起こしの実現が製造寸法上困難であるためである。
【0079】
さらに、図13(b)では、干渉抑制手段としてフレーム板金501から曲げ起こした板金(すなわち、曲げ起こし部)120を、圧電トランス351と圧電トランス121間に配置している。この実施例の特徴は、フレーム板金501から曲げ起こした際に作られる、フレーム板金501の穴へ圧電トランス351と圧電トランス121の先端を配置するものである。すなわち、フレーム板金501から板金120aを曲げ起こした際に作られるフレーム板金501の穴558aへ圧電トランス351の先端を配置し、板金120bを曲げ起こした際に作られる穴558bへ圧電トランス121の先端を配置する。このように、高圧電源回路基板100上で圧電トランス351、121が最も背の高い部品である場合、圧電トランス351、121の先端部分をフレーム板金501にくぐらせて配置する。これにより、高圧電源回路基板100を全体的に本体フレーム側へ近づけて配置することができる。ただし、圧電トランス351と圧電トランス121の上部には、GND電位の板金がなくなるため、圧電トランス351、121の相互干渉の抑制効果はやや低下する。
【0080】
また、図13(a)と図13(b)のいずれの場合であっても、高圧電圧のリークや組付け時における部品干渉等の懸念がないよう、実施例2で説明したようなカバー材(555、556)の使用をする必要がある。さらに、メカ配置上の寸法公差のマージン、組立性等には配慮する必要がある。
【0081】
以上のように、圧電トランスに対向するフレーム板金形状を工夫することで、高圧電源回路基板を本体フレーム側へ近づけて配置し、装置を横幅方向に更に小型化することができる。
【実施例4】
【0082】
次に、本発明の実施例を図14〜16を用いて説明する。本実施例では、干渉抑制手段として画像形成装置のフレーム板金501あるいはシールド板金502の一部を高圧電源回路基板100に貫通させて配置することに特徴がある。
【0083】
図14のように圧電トランス351から圧電トランス121間の位置に、フレーム板金501から曲げ起こした一部120と対向する高圧電源回路基板100面に貫通穴560を設けておく。そして、高圧電源回路基板100の組付けと共に曲げ起こし部120を高圧電源回路基板100に貫通させる。このような構成とすることで、図15に示すように、圧電トランス351から圧電トランス121へおよぶ電気力線は、高圧電源回路基板100のハンダ面においても、GND電位の曲げ起こし部120先端で抑制される。このため、実施例1よりも圧電トランス干渉の影響をさらに軽減することができる。また、曲げ起こし部120を高圧電源回路基板100に貫通させる構成のため、高圧電源回路基板100を組付ける際、ビス締め前に高圧電源回路基板100を画像形成装置に仮保持することができる。
【0084】
図16は高圧電源回路基板100と外装カバー500との間に設けられたシールド板金502の一部590を、圧電トランス351から圧電トランス121間の位置に高圧電源回路基板100のハンダ面側から、貫通させて配置する例を示している。
【0085】
一般に、シールド板金502は主に放射ノイズの軽減のために、高圧電源回路基板100と外装カバー500の間に配置され、GND電位に電気的に接続される。高圧電源回路基板100と外装カバー500間にシールド板金502が用いられることは稀であるものの、本発明の実施例として紹介しておく。
【0086】
圧電トランス351と圧電トランス121との間の位置に、シールド板金502から曲げ起こした一部590(以下、曲げ起こし部590とする)と対向する高圧電源回路基板100面に貫通穴560を設けておく。そして、シールド板金502の組付けと共に曲げ起こし部590を高圧電源回路基板100に貫通させる。このような構成とすることで、圧電トランス351から圧電トランス121間が、フレーム板金501、シールド板金502、曲げ起こし部590のGNDにより、強固に囲まれる。このため、図14で示した構成よりも、圧電トランス干渉の影響をさらに軽減することができる。
【0087】
また、図14と図16のいずれの場合であっても、高圧電圧のリークや組付け時における部品干渉等の懸念がないよう、実施例2で説明したようなカバー材(555、556)の使用や、メカ配置上の寸法公差のマージン、組立性等には配慮する必要がある。
【0088】
以上のように、干渉抑制手段である曲げ起こし部590を高圧電源回路基板100を貫通して配置することにより、圧電トランス351と圧電トランス121との駆動周波数との干渉を更に抑制することができる。
【実施例5】
【0089】
次に、本発明の実施例5を図17〜19を用いて説明する。本実施例では、画像形成装置への高圧電源の組付け向きの違いに特徴がある。
【0090】
図17は本実施例における図1の矢印Aの向きから見た、画像形成装置のフレーム板金501と、高圧電源回路基板100の配置を説明する図である。
【0091】
図のように、(図2と異なり)画像形成装置のフレーム板金501と高圧電源回路基板100のハンダ面が向かい合うように配置される。かつ、高圧電源回路基板100の組付けに伴って、高圧電源回路基板100上のハンダ面に設けられた高圧出力接点(不図示)が画像形成装置本体側の接点(不図示)と接続される構成となっている。
【0092】
図18のように圧電トランス351から圧電トランス121間の位置に、フレーム板金501から曲げ起こした一部120と対向する高圧電源回路基板100面に貫通穴560を設けておく。そして、高圧電源回路基板100の組付けと共に曲げ起こし部120を高圧電源回路基板100に貫通させる。このような構成とすることで、高圧電源回路基板100の部品面およびハンダ面の両面において、トランス間に干渉抑制部材(曲げ起こし部120)が配置されるため、実施例4の図14とほぼ同等の効果が得られる。また、曲げ起こし部120を高圧電源回路基板100に貫通させる構成のため、高圧電源回路基板100組付ける際、ビス締め前に高圧電源回路基板100を画像形成装置に仮保持することができる。
【0093】
図19は高圧電源回路基板100と外装カバー500との間に設けられたシールド板金502の一部590を、高圧電源回路基板100の部品面上、圧電トランス351から圧電トランス121間の位置に配置する例を示している。
【0094】
本構成とすることで、圧電トランス351から圧電トランス121間が、フレーム板金501、シールド板金502、曲げ起こし部590のGNDにより、強固に囲まれるため、図16で示した構成とほぼ同等に圧電トランス干渉の影響を軽減することができる。
【0095】
また、図18と図19のいずれの場合であっても、高圧電圧のリークや組付け時における部品干渉等の懸念がないよう、実施例2で説明したようなカバー材(555、556)の使用や、メカ配置上の寸法公差のマージン、組立性等には配慮する必要がある。
【0096】
以上のように、画像形成装置への高圧電源の組付け向きが異なっても、干渉抑制手段である曲げ起こし部120を圧電トランス間に配置することにより、圧電トランス351と圧電トランス121との駆動周波数との干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例1に係る圧電トランスを用いた高圧電源装置を備える画像形成装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施例1に係る高圧電源回路基板の配置を示す概略図
【図3】本発明の実施例1に係る圧電トランスを用いた高圧電源回路の代表的な回路構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施例1に係る圧電トランスの出力電圧(V)と駆動周波数(Hz)の特性を示す図
【図5】本発明の実施例1に係る高圧電源回路基板に実装された圧電トランスと曲げ起こし部を側面から見た図
【図6】本発明の実施例1に係る圧電トランス間の静電ノイズ(電気力線)の影響を例示的に説明する図
【図7】(a)本発明の実施例1に係る曲げ起こし部の効果を例示的に説明する図、(b)圧電トランス121の出力電圧の比較を例示的に示す図
【図8】本発明の実施例1に係る曲げ起こし部と高圧電源回路との位置関係を示す図
【図9】(a)本発明の実施例1に係る圧電トランス間の浮遊容量を例示的に説明する図、(b)圧電トランスの出力電圧波形を例示的に示す図
【図10】(a)本発明の実施例1に係る曲げ起こし部の効果を例示的に説明する図、(b)圧電トランスの出力電圧波形を例示的に示す図
【図11】本発明の実施例1に係る高圧電源回路基板の動作チェッカーの概略図
【図12】(a)本発明の実施例2に係る高圧電源回路基板に実装された圧電トランスと絶縁性を有するカバーが設けられた曲げ起こし部を側面から見た図、(b)カバーの先端に爪状の突起を設けた例を示す図
【図13】(a)本発明の実施例3に係る絞りを設けた場合の高圧電源回路基板に実装された圧電トランスと曲げ起こし部を側面から見た図、(b)本発明の実施例3に係る貫通穴を設けた場合の高圧電源回路基板に実装された圧電トランスと曲げ起こし部を側面から見た図
【図14】本発明の実施例4に係る高圧電源回路基板に実装された圧電トランスと曲げ起こし部を高圧電源回路基板に貫通させた状態を側面から見た図
【図15】本発明の実施例4に係る曲げ起こし部の効果を例示的に説明する図
【図16】本発明の実施例4に係る高圧電源回路基板に実装された圧電トランスとシールド板金の一部を高圧電源回路基板のハンダ面側から貫通させた状態を側面から見た図
【図17】本発明の実施例5に係る高圧電源回路基板の配置を示す概略図
【図18】本発明の実施例5に係る高圧電源回路基板に実装された圧電トランスと曲げ起こし部を高圧電源回路基板に貫通させた状態を側面から見た図
【図19】本発明の実施例5に係る高圧電源回路基板に実装された圧電トランスとシールド板金の一部を高圧電源回路基板の部品面側から配置させた状態を側面から見た図
【図20】従来例の高圧電源回路基板の構成を説明する概略図
【符号の説明】
【0098】
100 高圧電源回路基板(電源基板)
120,140,560 曲げ起こし部
121 圧電トランス(第二圧電トランス)
141 圧電トランス(第一圧電トランス)
161 圧電トランス(第二圧電トランス)
351 圧電トランス(第一圧電トランス)
201 DCコントローラ
202 高圧電源装置
359 ダイオード
366 電圧制御発振器
367 電界効果トランジスタ
401 カラーレーザプリンタ(画像形成装置)
500 外装カバー
501 フレーム板金(金属板金)
502 シールド板金(金属板金)
555 カバー(非導電性の部材)
556 カバー(非導電性の部材)
557a 絞り(絞り加工部)
557b 絞り(絞り加工部)
558a 穴(貫通穴)
558b 穴(貫通穴)
575 回路動作チェッカー台
576 回路動作チェッカーカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成するための第一制御信号に基づいて第一圧電トランスを駆動するための第一駆動周波数を発生させて、前記第一圧電トランスの駆動により生成した電圧を第一画像形成部に供給する第一電源回路と、
前記画像を形成するための第二制御信号に基づいて第二圧電トランスを駆動するための第二駆動周波数を発生させて、前記第二圧電トランスの駆動により生成した電圧を第二画像形成部に供給する第二電源回路と、
少なくとも前記第一電源回路と前記第二電源回路とを実装した電源基板と、
前記電源基板と対向するように設けられ、かつグランド電位に接続された金属板金と、
を備える画像形成装置であって、
前記金属板金は、単一または複数の板金で一体的に構成され、かつ前記板金は前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持し、かつ少なくとも前記板金の一部分が前記第一圧電トランスと前記第二圧電トランスの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記金属板金は、前記画像形成装置本体を形成するフレーム板金であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記金属板金は、前記画像形成装置からの放射ノイズを軽減するために設けられたシールド板金であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記金属板金は、前記電源基板の部品面あるいはハンダ面と並行して対向し、かつ前記電源基板面から前記金属板金面までの距離が100mm以内の位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記金属板金は、前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持した際に、前記電源基板に搭載された部品の一部からの距離を確保するための絞り加工部を有し、前記電源基板面と近接させて配置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記金属板金は、前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持した際に、前記電源基板に搭載された部品の一部からの距離を確保するために貫通穴を有し、前記電源基板面と近接させて配置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記板金の一部分は、前記金属板金の一部を曲げ加工することにより形成され、かつ前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持することにより、少なくとも前記板金の一部分が前記第一圧電トランスと前記第二圧電トランスの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記板金の一部分は、前記金属板金に一体的に取り付けられた導電性の部材であり、かつ前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持することにより、少なくとも前記導電性の部材の一部分が前記第一圧電トランスと前記第二圧電トランスの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記板金の一部分は、前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持することにより、前記板金の一部分が前記電源基板に設けられた穴を貫通して、少なくとも前記板金の一部分が前記第一圧電トランスと前記第二圧電トランスの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記板金の一部分を覆う非導電性の部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記非導電性の部材は、その先端部に基板保持手段を有し、
前記基板保持手段は、前記電源基板を前記画像形成装置本体に対して保持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第一電源回路および前記第二電源回路は、電子写真方式の画像形成に用いられる高圧電圧をそれぞれ出力する高圧電源回路であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2009−109554(P2009−109554A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278852(P2007−278852)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】