画像形成装置
【課題】 コロナ放電機構の非接触転写装置の画像形成装置において、転写飛び散りと先端転写抜けを、各々改善して両立すること。
【解決手段】 転写工程中に、転写帯電領域を変更、又は転写帯電領域を移動する。
【解決手段】 転写工程中に、転写帯電領域を変更、又は転写帯電領域を移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)に係わり、特に像担持体上のトナー像を転写する転写装置として、放電機構により記録材に対して転写電界を作用させる非接触式の転写装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速・高画質な画像形成装置として、電子写真方式の複写機やレーザービームプリンタが知られている。この種の電子写真画像形成装置は、帯電、露光、現像、転写、定着の各工程を経て、記録材上への画像形成が行われる。
【0003】
像担持体としての例えば感光ドラムは、帯電装置により一様均一に帯電された後、形成する画像情報に応じて露光装置により露光され、静電潜像が形成される。感光ドラム上の静電潜像は、現像装置により現像されてトナー像が形成され、感光ドラム上のトナー像は、転写装置により記録材上に転写される。記録材上のトナー像は、定着装置により記録材上に定着され、画像が形成される。
【0004】
転写装置は、トナー像を担持した感光ドラムに対向配置され、感光ドラムと転写装置との間の転写部に、ガイド部材によって案内されながら搬送される記録材の背面からトナーと逆極性のコロナ放電を発生する。転写装置の転写電極としての転写ワイヤーから発生したコロナ放電は、感光ドラム周面のコロナ放電の最短距離にある転写ポイントを含む転写部において、転写帯電領域を形成して、トナー像を記録材上に転写する。
【0005】
ここで、転写部において、記録材は、トナーを担持した感光ドラムと密着状態にあることが必要であり、記録材が感光ドラムに対して浮いた状態、即ち、記録材と感光ドラムとが非接触の状態にあると、記録材上にトナーが転写しない「転写抜け」や、記録材上のトナーが飛び散ってしまう「転写飛び散り」という問題が発生してしまう。
【0006】
このような転写部における問題に対して、様々な対策が提案されている。
【0007】
記録材の感光ドラムへの密着性を確保するために、転写工程時に記録材を感光ドラムへ向けて押圧する転写補助手段を配置する構成が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、転写補助手段は、記録材間や小サイズの記録材において感光ドラムを傷つけてしまう、又はトナーが付着して記録材を汚してしまう等の問題が懸念される。これらの問題を解決するためには、より複雑な構成が必要となる問題があった。
【0008】
又、記録材の剛性を検出する剛性検出手段に応じて、記録材搬送下流側に転写部のシールドケースを移動させる構成が提案されている(特許文献2参照)。これは、記録材の剛性で感光ドラムへの密着ポイントが変わるので、転写部のシールドケースを移動する。具体的には、記録材の剛性が大きい場合、転写装置のシールドケースを、記録材搬送下流側に移動させる、或いは向きを変えることにより、転写帯電領域を、厚紙と薄紙とで同等とするものである。しかしながら、これは、転写幅の減少を防止するものであり、1枚の記録材の先端部と先端部以降における別個の問題に関しては言及していない。
【0009】
転写装置のシールドケース開口幅に関しては、記録材の含水分量に応じて、転写チャージャの開口の大きさを可変する構成が提案されている(特許文献3参照)。具体的には、記録材の含水分量大≒記録材の抵抗値小の場合、転写部の開口幅を小さくする。これは、高湿環境で吸湿した記録材の腰が弱くなり、感光ドラムからの分離性が低下するのを防止するものであり、転写工程時の画像不良に対しては、言及していない。
【0010】
又、転写装置のシールドケース開口幅を変化させることで、画像の線幅を変化させる構成が提案されている(特許文献4参照)。これは、画像の線幅調整手段であり、転写工程時の画像不良に対しては、言及していない。
【0011】
又、転写装置のシールドケース開口幅を、単色画像モードと多色画像モードとで切り換える構成が提案されている(特許文献5参照)。これは、逆転写現象が発生する多色画像モードと、逆転写現象が発生しない単色画像モードのとの濃度差を解消するものであり、転写工程時の画像不良に対しては、言及していない。
【特許文献1】特開昭60−169870号公報
【特許文献2】特開平3−138678号公報
【特許文献3】特開2005−249889号公報
【特許文献4】特開平3−138679号公報
【特許文献5】特開2003−255665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のコロナ放電機構の転写装置を用いる画像形成装置の転写部において、高画質の転写画像を得るために、記録材は、トナーを担持した感光ドラムと密着状態にあることが必要であり、特に記録材搬送上流側で記録材が感光ドラムに対して浮いた状態にあると、記録材と感光ドラムが密着する前に転写電界が作用して、感光ドラム上のトナー像が記録材上に飛翔し、記録材上のトナーが飛び散ってしまう「転写飛び散り」が発生してしまう。
【0013】
この転写飛び散り問題を回避するために、感光ドラムと転写装置の間に記録材を案内するガイド部材(転写入口ガイド)の高さを上げて、転写部よりも前の位置で、感光ドラムに記録材を密着させる。そして、感光ドラムに記録材が巻き付くような構成とし、感光ドラムと記録材が密着した状態で、転写電界が作用する転写帯電領域に記録材を搬送すると、転写飛び散りを軽減することができる。
【0014】
しかし、転写入口ガイドの高さを上げると、転写部において、記録材の先端が記録材の剛性によって感光ドラムから浮いてしまい、「先端転写抜け」(先端転写不良)が発生してしまう。これは、特に記録材の剛性が大きい(又は重量が大きい、又は厚みが大きい)記録材で発生し易い。
【0015】
従って、従来の画像形成装置においては、転写飛び散りと先端転写抜けとがトレードオフの関係にあり、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題ともに中程度に発生する、中間の状態の転写構成(転写入口ガイド高さ、転写帯電領域)となっている。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、コロナ放電機構の非接触転写装置の画像形成装置において、転写飛び散りと先端転写抜けを、各々改善して両立できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、下記の本発明に係る画像形成装置にて達成される。
【0018】
(1)像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域幅を変更する画像形成装置である。
【0019】
(2)像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域を移動する画像形成装置である。
【0020】
(3)記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、記録材先端部は記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材先端部以降は記録材搬送下流側を転写帯電領域とする上記(1)又は(2)記載の画像形成装置である。
【0021】
(4)記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、ガイド部材に案内されて像担持体と転写装置との間に搬送される記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持されるまで、記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持された以降は、記録材搬送下流側を転写帯電領域とする上記(3)記載の画像形成装置である。
【0022】
(5)両面印字機能を備えた画像形成装置において、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0023】
(6)記録材の特性に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0024】
(7)環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0025】
(8)転写帯電領域幅に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0026】
(1)請求項1記載の発明によれば、転写工程の途中で、転写帯電領域幅を変更する、より具体的にはコロナ帯電の転写装置の開口幅を変更することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0027】
(2)請求項2記載の発明によれば、転写工程の途中で、転写帯電領域を移動する、より具体的にはコロナ帯電の転写装置を移動することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0028】
(3)請求項3記載の発明によれば、記録材先端部と記録材先端部以降とで、転写帯電領域幅変更、又は転写帯電領域移動を実行することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0029】
(4)請求項4記載の発明によれば、記録材先端部が搬送ガイド部材に支持される前後で、転写帯電領域幅変更、又は転写帯電領域移動を実行することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0030】
(5)請求項5記載の発明によれば、両面印字時において、1面目と2面目とに応じて、転写飛び散り、及び先端転写抜けのレベルが異なるので、1面目と2面目とに応じた転写帯電領域幅変更量、又は転写帯電領域移動量を設定することにより、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0031】
(6)請求項6記載の発明によれば、記録材の特性(剛性/重量/厚み/抵抗値等)に応じて、転写飛び散り、及び先端転写抜けのレベルが異なるので、記録材の特性に応じた転写帯電領域幅変更量、又は転写帯電領域移動量を設定することにより、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0032】
(7)請求項7記載の発明によれば、環境(温度/湿度)に応じて、転写飛び散り、及び先端転写抜けのレベルが異なるので、環境に応じた転写帯電領域幅変更量、又は転写帯電領域移動量を設定することにより、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0033】
(8)請求項8記載の発明によれば、転写帯電領域幅を変更しても、感光ドラム方向に流れる転写電流値を、所定値に維持することができるので、即ち、良好な転写性能を維持することができるので、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0034】
以上述べたように、本発明によれば、コロナ放電機構の非接触転写装置の画像形成装置において、転写飛び散りと先端転写抜けを、各々改善して両立できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0036】
添付図面に基づき、本発明における実施例に関して説明する。なお、これらの図面において、同一部材は同一符号を付しており、重複した説明は省略する。
【実施例1】
【0037】
図1〜図10により本発明に係る実施例1について説明する。
【0038】
本実施例は、転写工程の途中に、転写帯電領域幅を変更することにより、従来の課題である転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善するものである。
【0039】
先ず、画像形成装置に関して説明する。
【0040】
図1は、従来の画像形成装置の一例である。
【0041】
図1の画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム1が矢印方向に回転し、帯電装置2により、例えばマイナスに一様均一に感光ドラム1表面が帯電される(例えば帯電電位:−400V)。次に、露光装置3が画像情報に応じたレーザー光3aを感光ドラム1表面に照射することにより、感光ドラム1上に静電潜像が形成される(例えば、露光部電位:−50V)。次に感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置4のマイナスバイアスが印加されて矢印方向に回転する現像スリーブ4a(例えば、DC:−250V、AC:1KVpp/2.5KHz)により、マイナスに帯電されたトナーRが現像されることで、感光ドラム1上のレーザー光を照射した部位にトナーR画像が形成される。感光ドラム1上のトナーR画像は、転写装置5の転写ワイヤー5aに印加されたプラス電圧(例えば、DC:+8KV)により、ガイド部材(転写入口ガイド)9によって転写部に搬送された記録材P上に静電的に転写される。その後、トナーR画像を担持した記録材Pは、分離装置6の分離ワイヤー6aに印加されたマイナス電圧(例えば、DC:−500V、AC:10KVpp/2KHz)により、記録材Pのプラス電荷が除電されることで、感光ドラム1から記録材Pが分離される。そして、トナーR画像を担持した記録材Pは、搬送ガイド部材(搬送ベルト)10により定着装置8に搬送され、熱及び圧力を受けて、トナーR画像が記録材P上に定着され、記録材Pに画像が形成される。
【0042】
一方、転写工程が終了した感光ドラム1は、感光ドラム1上の転写残トナーをクリーニング装置7により除去した後、再び帯電装置2により一様均一に帯電され、次の画像形成に備える。
【0043】
次に従来の画像形成装置の課題に関して説明する。
【0044】
図2は、図1で説明した従来の画像形成装置の転写部の拡大図である。
【0045】
前述したように、高画質の転写画像を得るためには、記録材Pと感光ドラム1とが密着状態で転写部に搬送されることが必要である。これは、図2で示すように、記録材搬送上流側のA部において、記録材Pが感光ドラム1から浮いた状態にある場合、転写電界が作用する転写帯電領域Tであるため、記録材Pと感光ドラム1が密着する前のA部において転写電界が作用し、感光ドラム1上のトナーが記録材P上に飛翔し、記録材P上のトナー画像が飛び散ってしまう転写飛び散りという問題が発生する。特に文字や線画において、輪郭が滲んだ画像となり、鮮鋭な画像を得ることができない。
【0046】
さらに、両面印字機能を搭載した画像形成装置において、特に薄紙(150g/m2未満)の記録材Pは、1面目の画像形成時に1度、定着装置8を通過して熱及び圧力を受け、記録材Pが凹凸に変形してしまう。そして、2面目の画像形成時に、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1が密着する前のA部において、転写電界が作用して感光ドラム1上のトナーが記録材P上に飛翔し、前記同様の転写飛び散りがという問題が発生する。ただし、この場合には、A部の記録材Pの凹部と凸部とにおいて、感光ドラム1と記録材Pとの距離が異なることから、転写電界強度が異なり、トナーの飛び散り状態が異なる。従って、2面目の転写飛び散りは、記録材Pの凹凸に応じて、トナー画像の飛び散り状態が異なるので、特にハーフトーン画像に濃度ムラが発生し、均一なハーフトーン画像を得ることができないという問題が発生する。特に中間調の多い写真画像において、濃度ムラが顕著に発生し、鮮明な画像を得ることができない。
【0047】
一方、両面印字機能を搭載した画像形成装置において、厚紙(150g/m2以上)の記録材Pは、1面目の画像形成時に1度、定着装置8を通過して熱及び圧力を受けても、記録材Pが厚く剛性が強いため、記録材Pが凹凸に変形しない、又は非常に凹凸が小さい。この場合には、トナー画像の飛び散り状態は均一であり、ハーフトーン画像に濃度ムラが発生せず、均一なハーフトーン画像を得ることができる。よって、中間調の多い写真画像において、濃度ムラが発生せず、鮮明な画像を得ることができる。
【0048】
従って、1面目及び厚紙の2面目においては、全面均一に転写飛び散りが発生し、鮮鋭な画像を得ることができず、特に薄紙の2面目においては、記録材Pの凹凸によって、不均一に転写飛び散りが発生し、均一なハーフトーン画像を得ることができない。1面目及び厚紙の2面目においては均一な転写飛び散りなので、画像への影響は比較的小さいが、2面目においては不均一な転写飛び散りなので、画像への影響は比較的大きい。
【0049】
図3は、転写入口ガイド9の高さを上げた場合の従来の画像形成装置の一例である。
【0050】
図4は、転写入口ガイド9の高さを上げた場合の記録材P先端部の挙動を示す従来の画像形成装置の一例である。
【0051】
図2で説明した転写飛び散りを回避するためには、図3で示すように、転写入口ガイド9の高さを上げると良い。これは、転写部よりも前の位置で感光ドラム1に記録材Pを接触させ、感光ドラム1に記録材Pが巻き付くような構成である。このようにして、感光ドラム1と記録材Pが密着した状態で、転写電界が作用する転写帯電領域Tに記録材Pを搬送すると、記録材搬送上流側のA部でトナーの飛翔が発生せず、転写飛び散りを防止することができる。
【0052】
しかし、図3で示すように転写入口ガイド9の高さを上げると、転写飛び散りは良化するが、記録材Pの先端部で転写抜け(転写不良)の弊害が発生してしまう。
【0053】
これは、図4に示すように、転写入口ガイド9の高さを上げると、転写帯電領域Tにおいて、記録材Pの先端が記録材Pの剛性によって、感光ドラム1から浮いて離間してしまい、感光ドラム1上のトナー画像を転写できずに、画像が欠けてしまう先端転写抜けが発生してしまう。記録材Pの先端が転写帯電領域Tを通過して、搬送ベルト10に到達して支持されると、記録材Pは感光ドラム1方向に持ち上げられるので、図3で示す状態となる。従って、この転写抜けは、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されると発生しないので、記録材Pの先端部のみに発生する転写抜けである。又、この先端転写抜けは、記録材Pの剛性によって、記録材P先端部が感光ドラム1から浮いてしまうので、薄紙で発生しにくく、厚紙で発生し易い。
【0054】
よって、従来の画像形成装置においては、転写飛び散りと先端転写抜けを両立することができなかった。
【0055】
次に、本発明の実施例1に関して説明する。
【0056】
図6及び図8は、本発明の実施例1の画像形成装置の一例である。
【0057】
図5及び図7は、本発明の実施例1において、問題の発生する適用例の画像形成装置の一例である。
【0058】
図5〜図8の遮蔽部材20は、転写帯電領域Tの記録材搬送上流側の転写電界を遮蔽する遮蔽部材であり、不図示の駆動手段により位置が移動し、遮蔽する領域を可変して、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0059】
図5〜図8で示すように、転写入口ガイド9の高さは、図2(転写入口ガイド低い)と図3(転写入口ガイド高い)の中間に配置されており、転写飛び散りと先端転写抜けの両方とも中程度に発生する中間の配置である。
【0060】
図5に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態で、遮蔽部材20が転写電界を遮蔽しない位置である転写帯電領域Tの場合、記録材搬送上流側のB部の感光ドラム1と記録材Pの浮いている部分に転写電界が作用して、転写飛び散りが発生する。
【0061】
ここで、本実施例である図6に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態において、転写電界を遮蔽する遮蔽部材20が移動し、転写帯電領域Tの記録材搬送上流側を狭くして、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T1とする。この場合には、記録材Pが感光ドラム1に密着した状態で、転写帯電領域T1に搬送されるので、B部に転写電界が作用せず、転写飛び散りが発生しない。
【0062】
しかしながら、図7に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、遮蔽部材20が記録材搬送上流側の転写電界を遮蔽する位置、即ち記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T1の場合、記録材P先端は、記録材Pの剛性により、転写帯電領域T1で感光ドラム1から浮いてしまい(c部)、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されるまで、トナーが記録材P上に転写できないので、先端転写抜けが発生してしまう。
【0063】
そこで、本実施例である図8に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、遮蔽部材20を移動し、転写帯電領域T1の記録材搬送上流側を広げて、記録材搬送上流側にも転写電界が作用する転写帯電領域Tとする。この場合には、転写帯電領域Tにより、記録材P先端が感光ドラム1に密着しているD部にて、トナーを転写することができるので、先端転写不良が発生しない。
【0064】
従って、本実施例は、記録材P先端の転写工程時は、図8で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用する位置に遮蔽部材20を移動して、転写帯電領域Tとすることにより、先端転写抜けを防止することができる。
【0065】
一方、記録材P先端が搬送ベルト10に支持された後の転写工程時は、図6で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用しないように、即ち記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように、遮蔽部材20を移動して、転写帯電領域T1とすることにより、転写飛び散りを防止することができる。よって、転写電界が記録材搬送下流側のみに作用することで、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1が浮いた状態で転写電界が作用することが無いので、トナー飛翔が発生せず、前述した1面目の均一な転写飛び散り、及び2面目の記録材Pの凹凸による不均一な転写飛び散りともに防止できる。
【0066】
ただし、本実施例では、記録材の先端転写抜け防止を優先しているため、記録材先端部においては、若干の転写飛び散りが発生してしまう。
【0067】
実際に、図6及び図8で示す可動式の遮蔽部材20を動作させる本実施例の画像形成装置において、記録材Pとして、薄紙から厚紙まで、及び1面目・2面目ともに、転写飛び散り及び先端転写抜けの無い鮮鋭・鮮明な転写画像を得ることができた。
【0068】
図9及び図10は、実施例1の画像画像形成装置の転写装置の他の一例である。
図6及び図8にて、可動する遮蔽部材20によって、転写帯電領域幅を変更する構成に関して説明した。図9及び図10は上流側の転写装置シールド板が可動することによって、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0069】
図9に示す転写装置5は、下流側転写シールド5bと上流側転写シールド5cに分割されている。下流側転写シールド5bは固定配置であるが、上流側転写シールド5cは不図示の駆動手段により位置が可動する。上流側転写シールド5cは、転写帯電領域T1時に図9(a)、転写帯電領域T時に図9(b)となるように移動して、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0070】
又、図10に示す転写装置5は、下流側転写シールド5bと上流側転写シールド5eに分割されている。下流側転写シールド5bは固定配置であるが、上流側転写シールド5eは、シールド回転支持部材5dを支点として、不図示の駆動手段により位置が可動する。上流側転写シールド5eは、転写帯電領域T1時に図10(a)、転写帯電領域T時に図10(b)となるように移動して、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0071】
図9及び図10で示す転写装置5を、本実施例に適用しても、効果は同様である。
【0072】
又、転写帯電領域幅を変更する方法として、図6及び図8、図9及び図10で示す構成以外でも、作用が同様であれば、他の構成を採用しても良い。
【0073】
本実施例の転写工程途中での転写帯電領域幅変更は、1面目及び2面目の両方とも実施するのが好適であるが、1面目は、全面均一転写飛び散りなので、それほど目立たないが、特に薄紙の2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、非常に目立つので、画像形成装置によっては2面目のみに本実施例を適用する構成でも良い。
【0074】
又、2面目の記録材の凹凸による転写飛び散りを改善するためには、1面目の転写飛び散りを改善するよりも、転写帯電領域を、より記録材搬送下流側にする必要があり、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量をより大きくする必要がある。従って、1面目と2面目とで、記録材先端部以降の転写帯電領域幅の変更量を異なる設定とし、具体的には、遮蔽部材20による転写帯電領域の遮蔽量を、1面目と比較して、2面目の方が大きくなるように設定すると良い。
【0075】
従って、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0076】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域幅変更は、全ての記録材で実施するのが好適であるが、2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、薄紙(150g/m2未満)でのみ発生し、厚紙(150g/m2以上)では発生しないことから、薄紙(150g/m2未満)でのみ本実施例を適用する構成でも良い。
【0077】
又、2面目の凹凸による転写飛び散りに関して、薄紙は、定着装置による凹凸が形成され易いので、ハーフトーン濃度ムラが大きい。従って、薄紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくする必要がある。
【0078】
一方、厚紙は、定着装置による凹凸が形成されにくいので、ハーフトーン濃度ムラが小さい。従って、厚紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さい、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくする構成でも良い。
【0079】
又、先端転写抜けに関して、記録材の剛性が大きいと(腰が強いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが大きいので、先端転写抜けのレベルが良くなくなる。従って、剛性が大きい厚紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくすると良い。
【0080】
一方、記録材の剛性が小さいと(腰が弱いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが小さいので、先端転写抜けのレベルが良くなる。従って、剛性が小さい薄紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくしても良い。
【0081】
さらに、転写飛び散りに関して、抵抗値が低い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、低抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくする必要がある。
【0082】
一方、抵抗値が高い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、高抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくしても良い。
【0083】
従って、記録材の特性(剛性/重量/厚み/抵抗値)に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0084】
記録材の特性は、画像形成装置が各々の不図示の検知手段により、自動的に記録材特性を検知して、転写帯電領域幅の変更量に反映する構成でも良い。或いは、各々の記録材特性を手動で画像形成装置に入力して、転写帯電領域幅の変更量に反映する構成でも良い。
【0085】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域幅変更は、全ての環境で実施するのが好適であるが、通常環境及び高湿環境においては、記録材の凹凸が発生するのは定着装置を1度通過した2面目のみであるが、低湿環境においては、記録材が脱湿して1面目でも記録材の凹凸が発生してしまうので、通常環境及び高湿環境は、2面目のみ本実施例を適用し、低湿環境は、1面目および2面目とも本実施例を適用する構成でも良い。
【0086】
又、転写飛び散りは、記録材の抵抗値によってレベルが異なることを前記で説明した。記録材の抵抗値は、記録材固有の特性でも異なるが、環境によって、即ち、記録材の含水分量によっても異なる。よって、環境により、転写飛び散りレベルが異なる。
【0087】
高湿環境は、吸湿により記録材の抵抗値が低下し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、高湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくする必要がある。
【0088】
一方、低湿環境は、脱湿により記録材の抵抗値が上昇し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、低湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくしても良い。
【0089】
ここで、環境の水分量は、画像形成装置に備える不図示の検知手段により検知する温度と湿度から計算する絶対水分量により、記録材の含水分量を代用すると良い。
【0090】
従って、環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0091】
さらに、2面目の先端形状は、画像形成装置や両面印字機能、記録材の特性(剛性/重量/厚み)、環境で決定される記録材の含水分量、等の条件によって異なる形状となる。例えば、両面印字機能の記録材搬送経路の曲率が小さい部分ではカール量が大きい、記録材の薄紙では剛性が小さいのでカール量が大きい、高湿環境の含水分量が大きい記録材では定着装置通過後のカール量が大きい、等である。即ち、2面目の先端は、転写部に搬送される時点で、上カール形状、ストレート形状、下カール形状、カール量等、条件によって様々である。
【0092】
記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1に沿って密着し易く、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が小さいので、先端転写抜けが発生しにくい。従って、記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくしても良い。
【0093】
一方、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1から離れて密着しにくく、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が大きいので、先端転写抜けが発生しやすい。従って、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくする必要がある。
【0094】
従って、各種の条件に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0095】
本実施例の転写帯電領域幅変更、即ち転写装置開口幅変更により、幅変更の変位量による大小はあるが、感光ドラム方向に転写装置から流れる転写電流が変更される。感光ドラム方向転写電流が小さいと、トナーを転写する転写電界が小さいので、トナーを転写できない転写不良が発生する。一方、感光ドラム方向転写電流が大きいと、記録材の転写電荷が多くなり、分離装置による記録材の電荷の除電が不十分となり、感光ドラムから記録材が分離しにくい、分離不良が発生する。
【0096】
従って、感光ドラム方向転写電流を一定にして、転写性能、及び分離性能を一定とするために、転写帯電領域幅変更に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更するような構成とすると良い。転写ワイヤーに流れる電流値は、感光ドラム方向に流れる転写電流と、転写装置のシールド部材方向に流れる電流値との和である。転写ワイヤーに流れる電流値を変更することで、必然的に、転写ワイヤーに印加する電圧値が変更される。
【0097】
具体的には、転写帯電領域幅を大きくした場合は、感光ドラム方向転写電流が大きくなるので、転写ワイヤーに流れる電流値を小さくする(転写ワイヤーに印加する電圧値を小さくする)。
【0098】
一方、転写帯電領域幅を小さくした場合は、感光ドラム方向転写電流が小さくなるので、転写ワイヤーに流れる電流値を大きくする(転写ワイヤーに印加する電圧値を大きくする)と好適である。
【0099】
従って、転写帯電領域幅に応じて、転写ワイヤー電流値を可変とすることで、転写性能、及び分離性能を一定に維持した状態で、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、改善効果を得ることができる。
【0100】
以上述べたように、本実施例においては、放電機構の非接触転写方式を用いる画像形成装置において、転写工程途中に転写帯電領域幅を変更することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0101】
より具体的には、転写部において、記録材先端部は、記録材搬送上流側まで転写電界が作用するように転写帯電領域幅を広げて、先端転写抜けを防止し、記録材先端部以降は、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように転写帯電領域を狭くして、転写飛び散りを防止することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止できる画像形成装置を提供することができる。
【実施例2】
【0102】
図11〜図14により本発明に係る実施例2について説明する。
【0103】
本実施例は、転写工程の途中に、転写帯電領域を移動することにより、従来の課題である転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善するものである。
【0104】
本発明の実施例2に関して説明する。
【0105】
図12及び図14は、本発明の実施例2の画像形成装置の一例である。
【0106】
図11及び図13は、本発明の実施例2において、問題の発生する適用例の画像形成装置の一例である。
【0107】
図11〜図14の転写装置5は、不図示の駆動手段により転写装置5の位置が移動して、転写帯電領域を移動する構成である。
【0108】
図11〜図14で示すように、転写入口ガイド9の高さは、図2(転写入口ガイド低い)と図3(転写入口ガイド高い)の中間に配置されており、転写飛び散りと先端転写抜け両方とも中程度に発生する中間の配置である。
【0109】
図11に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態で、転写装置5が図11のように配置される転写帯電領域Tの場合、記録材搬送上流側のB部の感光ドラム1と記録材Pの浮いている部分に転写電界が作用して、転写飛び散りが発生する。
【0110】
ここで、本実施例である図12に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態で、転写装置5が図12のように移動して配置され、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T2とする。この場合には、記録材Pが感光ドラム1に密着した状態で、転写帯電領域T2に搬送されるので、B部に転写電界が作用せず、転写飛び散りが発生しない。
【0111】
しかしながら、図13に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T2の場合、記録材P先端は、記録材Pの剛性により、転写帯電領域T2で感光ドラム1から浮いてしまい(c部)、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されるまで、トナーが記録材P上に転写でないので、先端転写抜けが発生してしまう。
【0112】
そこで、本実施例である図14に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、転写装置5が図14のように移動して配置され、記録材搬送上流側にも転写電界が作用する転写帯電領域Tとする。この場合には、転写帯電領域Tにより、記録材P先端が感光ドラム1に密着しているD部にて、トナーを転写することができるので、先端転写不良が発生しない。
【0113】
従って、本実施例は、記録材P先端の転写工程時は、図14で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用する位置に転写装置5を移動して、転写帯電領域Tとすることにより、先端転写抜けを防止することができる。
【0114】
一方、記録材P先端が搬送ベルト10に支持された後の転写工程時は、図12で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用しないように、即ち記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように、転写装置5を移動して、転写帯電領域T2とすることにより、転写飛び散りを防止することができる。よって、転写電界が記録材搬送下流側のみに作用することで、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1が浮いた状態で転写電界が作用することが無いので、トナー飛翔が発生せず、前述した1面目の均一な転写飛び散り、及び2面目の記録材Pの凹凸による不均一な転写飛び散りともに防止できる。
【0115】
ただし、本実施例では、記録材の先端転写抜け防止を優先しているため、記録材先端部においては、若干の転写飛び散りが発生してしまう。
【0116】
実際に、図12及び図14で示す可動式の転写装置5を動作させる本実施例の画像形成装置において、記録材Pとして、薄紙から厚紙まで、及び1面目・2面目ともに、転写飛び散り及び先端転写抜けの無い鮮鋭・鮮明な転写画像を得ることができた。
【0117】
又、転写帯電領域を移動する方法として、図12及び図14で示すような転写装置5を移動させる構成以外でも、転写装置5を傾ける等、作用が同様であれば、他の構成を採用しても良い。
【0118】
本実施例の転写工程途中での転写帯電領域移動は、1面目及び2面目の両方とも実施するのが好適であるが、1面目は、全面均一転写飛び散りなので、それほど目立たないが、特に薄紙の2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、非常に目立つので、画像形成装置によっては2面目のみに本実施例を適用する構成でも良い。
【0119】
又、2面目の記録材の凹凸による転写飛び散りを改善するためには、1面目の転写飛び散りを改善するよりも、転写帯電領域を、より記録材搬送下流側にする必要があり、即ち、転写装置5を記録材搬送下流側に移動させる移動量をより大きくする必要がある。従って、1面目と2面目とで、記録材先端部以降の転写帯電領域の移動量を異なる設定とし、具体的には、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を、1面目と比較して、2面目の方が大きくなるように設定すると良い。
【0120】
従って、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0121】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域移動は、全ての記録材で実施するのが好適であるが、2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、薄紙(150g/m2未満)でのみ発生し、厚紙(150g/m2以上)では発生しないことから、薄紙(150g/m2未満)でのみ本実施例を適用する構成でも良い。
【0122】
又、2面目の凹凸による転写飛び散りに関して、薄紙は、定着装置による凹凸が形成され易いので、ハーフトーン濃度ムラが大きい。従って、薄紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0123】
一方、厚紙は、定着装置による凹凸が形成されにくいので、ハーフトーン濃度ムラが小さい。従って、厚紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さい、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的小さくする構成でも良い。
【0124】
又、先端転写抜けに関して、記録材の剛性が大きいと(腰が強いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが大きいので、先端転写抜けのレベルが良くなくなる。従って、剛性が大きい厚紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的大きくすると良い。
【0125】
一方、記録材の剛性が小さいと(腰が弱いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが小さいので、先端転写抜けのレベルが良くなる。従って、剛性が小さい薄紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、即ち、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0126】
さらに、転写飛び散りに関して、抵抗値が低い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、低抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0127】
一方、抵抗値が高い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、高抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0128】
従って、記録材の特性(剛性/重量/厚み/抵抗値)に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0129】
記録材の特性は、画像形成装置が各々の不図示の検知手段により、自動的に記録材特性を検知して、転写帯電領域の移動量に反映する構成でも良い。或いは、各々の記録材特性を手動で画像形成装置に入力して、転写帯電領域の移動量に反映する構成でも良い。
【0130】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域移動は、全ての環境で実施するのが好適であるが、通常環境及び高湿環境においては、記録材の凹凸が発生するのは定着装置を1度通過した2面目のみであるが、低湿環境においては、記録材が脱湿して1面目でも記録材の凹凸が発生してしまうので、通常環境及び高湿環境は、2面目のみ本実施例を適用し、低湿環境は、1面目および2面目とも本実施例を適用する構成でも良い。
【0131】
又、転写飛び散りは、記録材の抵抗値によってレベルが異なることを前記で説明した。記録材の抵抗値は、記録材固有の特性でも異なるが、環境によって、即ち、記録材の含水分量によっても異なる。よって、環境により、転写飛び散りレベルが異なる。
【0132】
高湿環境は、吸湿により記録材の抵抗値が低下し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、高湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0133】
一方、低湿環境は、脱湿により記録材の抵抗値が上昇し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、低湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0134】
ここで、環境の水分量は、画像形成装置に備える不図示の検知手段により検知する温度と湿度から計算する絶対水分量により、記録材の含水分量を代用すると良い。
【0135】
従って、環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0136】
さらに、2面目の先端形状は、画像形成装置や両面印字機能、記録材の特性(剛性/重量/厚み)、環境で決定される記録材の含水分量、等の条件によって異なる形状となる。例えば、両面印字機能の記録材搬送経路の曲率が小さい部分ではカール量が大きい、記録材の薄紙では剛性が小さいのでカール量が大きい、高湿環境の含水分量が大きい記録材では定着装置通過後のカール量が大きい、等である。即ち、2面目の先端は、転写部に搬送される時点で、上カール形状、ストレート形状、下カール形状、カール量等、条件によって様々である。
【0137】
記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1に沿って密着し易く、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が小さいので、先端転写抜けが発生しにくい。従って、記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0138】
一方、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1から離れて密着しにくく、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が大きいので、先端転写抜けが発生しやすい。従って、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0139】
従って、各種の条件に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0140】
本実施例の転写帯電領域移動、即ち転写装置移動は、転写帯電領域幅は同等で位置が移動するだけなので、感光ドラム方向に流れる転写電流の変化は非常に小さい。よって、転写性能は変化しないので、実施例1の転写帯電領域幅変更に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更する必要が無い利点を持つ。
【0141】
以上述べたように、本実施例においては、放電機構の非接触転写方式を用いる画像形成装置において、転写工程途中に転写帯電領域を移動することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0142】
より具体的には、転写部において、記録材先端部は、記録材搬送上流側まで転写電界が作用するように転写帯電領域を移動して、先端転写抜けを防止し、記録材先端部以降は、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように転写帯電領域を移動して、転写飛び散りを防止することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】従来の画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。
【図2】従来の画像形成装置の「転写飛び散り」問題を説明する模式的断面図である。
【図3】従来の画像形成装置の「転写飛び散り」対策を説明する模式的断面図である。
【図4】従来の画像形成装置の「先端転写抜け」問題を説明する模式的断面図である
【図5】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「転写飛び散り」問題を説明する模式的断面図である。
【図6】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「転写飛び散り」対策を説明する模式的断面図である。
【図7】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「先端転写抜け」問題を説明する模式的断面図である。
【図8】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「先端転写抜け」対策を説明する模式的断面図である。
【図9】本発明の実施例1に係る画像形成装置の他の一例を示す要部の模式的断面図である。
【図10】本発明の実施例1に係る画像形成装置の他の一例を示す要部の模式的断面図である。
【図11】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「転写飛び散り」問題を説明する模式的断面図である。
【図12】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「転写飛び散り」対策を説明する模式的断面図である。
【図13】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「先端転写抜け」問題を説明する模式的断面図である。
【図14】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「先端転写抜け」対策を説明する模式的断面図である。
【符号の説明】
【0144】
1 感光ドラム
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
5a 転写ワイヤー
6 分離装置
7 クリーニング装置
8 定着装置
9 ガイド部材(転写入口ガイド)
10 搬送ガイド部材(搬送ベルト)
20 遮蔽部材
T、T1、T2 転写帯電領域
R トナー
P 記録材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)に係わり、特に像担持体上のトナー像を転写する転写装置として、放電機構により記録材に対して転写電界を作用させる非接触式の転写装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速・高画質な画像形成装置として、電子写真方式の複写機やレーザービームプリンタが知られている。この種の電子写真画像形成装置は、帯電、露光、現像、転写、定着の各工程を経て、記録材上への画像形成が行われる。
【0003】
像担持体としての例えば感光ドラムは、帯電装置により一様均一に帯電された後、形成する画像情報に応じて露光装置により露光され、静電潜像が形成される。感光ドラム上の静電潜像は、現像装置により現像されてトナー像が形成され、感光ドラム上のトナー像は、転写装置により記録材上に転写される。記録材上のトナー像は、定着装置により記録材上に定着され、画像が形成される。
【0004】
転写装置は、トナー像を担持した感光ドラムに対向配置され、感光ドラムと転写装置との間の転写部に、ガイド部材によって案内されながら搬送される記録材の背面からトナーと逆極性のコロナ放電を発生する。転写装置の転写電極としての転写ワイヤーから発生したコロナ放電は、感光ドラム周面のコロナ放電の最短距離にある転写ポイントを含む転写部において、転写帯電領域を形成して、トナー像を記録材上に転写する。
【0005】
ここで、転写部において、記録材は、トナーを担持した感光ドラムと密着状態にあることが必要であり、記録材が感光ドラムに対して浮いた状態、即ち、記録材と感光ドラムとが非接触の状態にあると、記録材上にトナーが転写しない「転写抜け」や、記録材上のトナーが飛び散ってしまう「転写飛び散り」という問題が発生してしまう。
【0006】
このような転写部における問題に対して、様々な対策が提案されている。
【0007】
記録材の感光ドラムへの密着性を確保するために、転写工程時に記録材を感光ドラムへ向けて押圧する転写補助手段を配置する構成が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、転写補助手段は、記録材間や小サイズの記録材において感光ドラムを傷つけてしまう、又はトナーが付着して記録材を汚してしまう等の問題が懸念される。これらの問題を解決するためには、より複雑な構成が必要となる問題があった。
【0008】
又、記録材の剛性を検出する剛性検出手段に応じて、記録材搬送下流側に転写部のシールドケースを移動させる構成が提案されている(特許文献2参照)。これは、記録材の剛性で感光ドラムへの密着ポイントが変わるので、転写部のシールドケースを移動する。具体的には、記録材の剛性が大きい場合、転写装置のシールドケースを、記録材搬送下流側に移動させる、或いは向きを変えることにより、転写帯電領域を、厚紙と薄紙とで同等とするものである。しかしながら、これは、転写幅の減少を防止するものであり、1枚の記録材の先端部と先端部以降における別個の問題に関しては言及していない。
【0009】
転写装置のシールドケース開口幅に関しては、記録材の含水分量に応じて、転写チャージャの開口の大きさを可変する構成が提案されている(特許文献3参照)。具体的には、記録材の含水分量大≒記録材の抵抗値小の場合、転写部の開口幅を小さくする。これは、高湿環境で吸湿した記録材の腰が弱くなり、感光ドラムからの分離性が低下するのを防止するものであり、転写工程時の画像不良に対しては、言及していない。
【0010】
又、転写装置のシールドケース開口幅を変化させることで、画像の線幅を変化させる構成が提案されている(特許文献4参照)。これは、画像の線幅調整手段であり、転写工程時の画像不良に対しては、言及していない。
【0011】
又、転写装置のシールドケース開口幅を、単色画像モードと多色画像モードとで切り換える構成が提案されている(特許文献5参照)。これは、逆転写現象が発生する多色画像モードと、逆転写現象が発生しない単色画像モードのとの濃度差を解消するものであり、転写工程時の画像不良に対しては、言及していない。
【特許文献1】特開昭60−169870号公報
【特許文献2】特開平3−138678号公報
【特許文献3】特開2005−249889号公報
【特許文献4】特開平3−138679号公報
【特許文献5】特開2003−255665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のコロナ放電機構の転写装置を用いる画像形成装置の転写部において、高画質の転写画像を得るために、記録材は、トナーを担持した感光ドラムと密着状態にあることが必要であり、特に記録材搬送上流側で記録材が感光ドラムに対して浮いた状態にあると、記録材と感光ドラムが密着する前に転写電界が作用して、感光ドラム上のトナー像が記録材上に飛翔し、記録材上のトナーが飛び散ってしまう「転写飛び散り」が発生してしまう。
【0013】
この転写飛び散り問題を回避するために、感光ドラムと転写装置の間に記録材を案内するガイド部材(転写入口ガイド)の高さを上げて、転写部よりも前の位置で、感光ドラムに記録材を密着させる。そして、感光ドラムに記録材が巻き付くような構成とし、感光ドラムと記録材が密着した状態で、転写電界が作用する転写帯電領域に記録材を搬送すると、転写飛び散りを軽減することができる。
【0014】
しかし、転写入口ガイドの高さを上げると、転写部において、記録材の先端が記録材の剛性によって感光ドラムから浮いてしまい、「先端転写抜け」(先端転写不良)が発生してしまう。これは、特に記録材の剛性が大きい(又は重量が大きい、又は厚みが大きい)記録材で発生し易い。
【0015】
従って、従来の画像形成装置においては、転写飛び散りと先端転写抜けとがトレードオフの関係にあり、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題ともに中程度に発生する、中間の状態の転写構成(転写入口ガイド高さ、転写帯電領域)となっている。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、コロナ放電機構の非接触転写装置の画像形成装置において、転写飛び散りと先端転写抜けを、各々改善して両立できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、下記の本発明に係る画像形成装置にて達成される。
【0018】
(1)像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域幅を変更する画像形成装置である。
【0019】
(2)像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域を移動する画像形成装置である。
【0020】
(3)記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、記録材先端部は記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材先端部以降は記録材搬送下流側を転写帯電領域とする上記(1)又は(2)記載の画像形成装置である。
【0021】
(4)記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、ガイド部材に案内されて像担持体と転写装置との間に搬送される記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持されるまで、記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持された以降は、記録材搬送下流側を転写帯電領域とする上記(3)記載の画像形成装置である。
【0022】
(5)両面印字機能を備えた画像形成装置において、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0023】
(6)記録材の特性に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0024】
(7)環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0025】
(8)転写帯電領域幅に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0026】
(1)請求項1記載の発明によれば、転写工程の途中で、転写帯電領域幅を変更する、より具体的にはコロナ帯電の転写装置の開口幅を変更することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0027】
(2)請求項2記載の発明によれば、転写工程の途中で、転写帯電領域を移動する、より具体的にはコロナ帯電の転写装置を移動することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0028】
(3)請求項3記載の発明によれば、記録材先端部と記録材先端部以降とで、転写帯電領域幅変更、又は転写帯電領域移動を実行することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0029】
(4)請求項4記載の発明によれば、記録材先端部が搬送ガイド部材に支持される前後で、転写帯電領域幅変更、又は転写帯電領域移動を実行することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0030】
(5)請求項5記載の発明によれば、両面印字時において、1面目と2面目とに応じて、転写飛び散り、及び先端転写抜けのレベルが異なるので、1面目と2面目とに応じた転写帯電領域幅変更量、又は転写帯電領域移動量を設定することにより、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0031】
(6)請求項6記載の発明によれば、記録材の特性(剛性/重量/厚み/抵抗値等)に応じて、転写飛び散り、及び先端転写抜けのレベルが異なるので、記録材の特性に応じた転写帯電領域幅変更量、又は転写帯電領域移動量を設定することにより、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0032】
(7)請求項7記載の発明によれば、環境(温度/湿度)に応じて、転写飛び散り、及び先端転写抜けのレベルが異なるので、環境に応じた転写帯電領域幅変更量、又は転写帯電領域移動量を設定することにより、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0033】
(8)請求項8記載の発明によれば、転写帯電領域幅を変更しても、感光ドラム方向に流れる転写電流値を、所定値に維持することができるので、即ち、良好な転写性能を維持することができるので、より効果的に転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善することができる。
【0034】
以上述べたように、本発明によれば、コロナ放電機構の非接触転写装置の画像形成装置において、転写飛び散りと先端転写抜けを、各々改善して両立できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0036】
添付図面に基づき、本発明における実施例に関して説明する。なお、これらの図面において、同一部材は同一符号を付しており、重複した説明は省略する。
【実施例1】
【0037】
図1〜図10により本発明に係る実施例1について説明する。
【0038】
本実施例は、転写工程の途中に、転写帯電領域幅を変更することにより、従来の課題である転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善するものである。
【0039】
先ず、画像形成装置に関して説明する。
【0040】
図1は、従来の画像形成装置の一例である。
【0041】
図1の画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム1が矢印方向に回転し、帯電装置2により、例えばマイナスに一様均一に感光ドラム1表面が帯電される(例えば帯電電位:−400V)。次に、露光装置3が画像情報に応じたレーザー光3aを感光ドラム1表面に照射することにより、感光ドラム1上に静電潜像が形成される(例えば、露光部電位:−50V)。次に感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置4のマイナスバイアスが印加されて矢印方向に回転する現像スリーブ4a(例えば、DC:−250V、AC:1KVpp/2.5KHz)により、マイナスに帯電されたトナーRが現像されることで、感光ドラム1上のレーザー光を照射した部位にトナーR画像が形成される。感光ドラム1上のトナーR画像は、転写装置5の転写ワイヤー5aに印加されたプラス電圧(例えば、DC:+8KV)により、ガイド部材(転写入口ガイド)9によって転写部に搬送された記録材P上に静電的に転写される。その後、トナーR画像を担持した記録材Pは、分離装置6の分離ワイヤー6aに印加されたマイナス電圧(例えば、DC:−500V、AC:10KVpp/2KHz)により、記録材Pのプラス電荷が除電されることで、感光ドラム1から記録材Pが分離される。そして、トナーR画像を担持した記録材Pは、搬送ガイド部材(搬送ベルト)10により定着装置8に搬送され、熱及び圧力を受けて、トナーR画像が記録材P上に定着され、記録材Pに画像が形成される。
【0042】
一方、転写工程が終了した感光ドラム1は、感光ドラム1上の転写残トナーをクリーニング装置7により除去した後、再び帯電装置2により一様均一に帯電され、次の画像形成に備える。
【0043】
次に従来の画像形成装置の課題に関して説明する。
【0044】
図2は、図1で説明した従来の画像形成装置の転写部の拡大図である。
【0045】
前述したように、高画質の転写画像を得るためには、記録材Pと感光ドラム1とが密着状態で転写部に搬送されることが必要である。これは、図2で示すように、記録材搬送上流側のA部において、記録材Pが感光ドラム1から浮いた状態にある場合、転写電界が作用する転写帯電領域Tであるため、記録材Pと感光ドラム1が密着する前のA部において転写電界が作用し、感光ドラム1上のトナーが記録材P上に飛翔し、記録材P上のトナー画像が飛び散ってしまう転写飛び散りという問題が発生する。特に文字や線画において、輪郭が滲んだ画像となり、鮮鋭な画像を得ることができない。
【0046】
さらに、両面印字機能を搭載した画像形成装置において、特に薄紙(150g/m2未満)の記録材Pは、1面目の画像形成時に1度、定着装置8を通過して熱及び圧力を受け、記録材Pが凹凸に変形してしまう。そして、2面目の画像形成時に、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1が密着する前のA部において、転写電界が作用して感光ドラム1上のトナーが記録材P上に飛翔し、前記同様の転写飛び散りがという問題が発生する。ただし、この場合には、A部の記録材Pの凹部と凸部とにおいて、感光ドラム1と記録材Pとの距離が異なることから、転写電界強度が異なり、トナーの飛び散り状態が異なる。従って、2面目の転写飛び散りは、記録材Pの凹凸に応じて、トナー画像の飛び散り状態が異なるので、特にハーフトーン画像に濃度ムラが発生し、均一なハーフトーン画像を得ることができないという問題が発生する。特に中間調の多い写真画像において、濃度ムラが顕著に発生し、鮮明な画像を得ることができない。
【0047】
一方、両面印字機能を搭載した画像形成装置において、厚紙(150g/m2以上)の記録材Pは、1面目の画像形成時に1度、定着装置8を通過して熱及び圧力を受けても、記録材Pが厚く剛性が強いため、記録材Pが凹凸に変形しない、又は非常に凹凸が小さい。この場合には、トナー画像の飛び散り状態は均一であり、ハーフトーン画像に濃度ムラが発生せず、均一なハーフトーン画像を得ることができる。よって、中間調の多い写真画像において、濃度ムラが発生せず、鮮明な画像を得ることができる。
【0048】
従って、1面目及び厚紙の2面目においては、全面均一に転写飛び散りが発生し、鮮鋭な画像を得ることができず、特に薄紙の2面目においては、記録材Pの凹凸によって、不均一に転写飛び散りが発生し、均一なハーフトーン画像を得ることができない。1面目及び厚紙の2面目においては均一な転写飛び散りなので、画像への影響は比較的小さいが、2面目においては不均一な転写飛び散りなので、画像への影響は比較的大きい。
【0049】
図3は、転写入口ガイド9の高さを上げた場合の従来の画像形成装置の一例である。
【0050】
図4は、転写入口ガイド9の高さを上げた場合の記録材P先端部の挙動を示す従来の画像形成装置の一例である。
【0051】
図2で説明した転写飛び散りを回避するためには、図3で示すように、転写入口ガイド9の高さを上げると良い。これは、転写部よりも前の位置で感光ドラム1に記録材Pを接触させ、感光ドラム1に記録材Pが巻き付くような構成である。このようにして、感光ドラム1と記録材Pが密着した状態で、転写電界が作用する転写帯電領域Tに記録材Pを搬送すると、記録材搬送上流側のA部でトナーの飛翔が発生せず、転写飛び散りを防止することができる。
【0052】
しかし、図3で示すように転写入口ガイド9の高さを上げると、転写飛び散りは良化するが、記録材Pの先端部で転写抜け(転写不良)の弊害が発生してしまう。
【0053】
これは、図4に示すように、転写入口ガイド9の高さを上げると、転写帯電領域Tにおいて、記録材Pの先端が記録材Pの剛性によって、感光ドラム1から浮いて離間してしまい、感光ドラム1上のトナー画像を転写できずに、画像が欠けてしまう先端転写抜けが発生してしまう。記録材Pの先端が転写帯電領域Tを通過して、搬送ベルト10に到達して支持されると、記録材Pは感光ドラム1方向に持ち上げられるので、図3で示す状態となる。従って、この転写抜けは、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されると発生しないので、記録材Pの先端部のみに発生する転写抜けである。又、この先端転写抜けは、記録材Pの剛性によって、記録材P先端部が感光ドラム1から浮いてしまうので、薄紙で発生しにくく、厚紙で発生し易い。
【0054】
よって、従来の画像形成装置においては、転写飛び散りと先端転写抜けを両立することができなかった。
【0055】
次に、本発明の実施例1に関して説明する。
【0056】
図6及び図8は、本発明の実施例1の画像形成装置の一例である。
【0057】
図5及び図7は、本発明の実施例1において、問題の発生する適用例の画像形成装置の一例である。
【0058】
図5〜図8の遮蔽部材20は、転写帯電領域Tの記録材搬送上流側の転写電界を遮蔽する遮蔽部材であり、不図示の駆動手段により位置が移動し、遮蔽する領域を可変して、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0059】
図5〜図8で示すように、転写入口ガイド9の高さは、図2(転写入口ガイド低い)と図3(転写入口ガイド高い)の中間に配置されており、転写飛び散りと先端転写抜けの両方とも中程度に発生する中間の配置である。
【0060】
図5に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態で、遮蔽部材20が転写電界を遮蔽しない位置である転写帯電領域Tの場合、記録材搬送上流側のB部の感光ドラム1と記録材Pの浮いている部分に転写電界が作用して、転写飛び散りが発生する。
【0061】
ここで、本実施例である図6に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態において、転写電界を遮蔽する遮蔽部材20が移動し、転写帯電領域Tの記録材搬送上流側を狭くして、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T1とする。この場合には、記録材Pが感光ドラム1に密着した状態で、転写帯電領域T1に搬送されるので、B部に転写電界が作用せず、転写飛び散りが発生しない。
【0062】
しかしながら、図7に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、遮蔽部材20が記録材搬送上流側の転写電界を遮蔽する位置、即ち記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T1の場合、記録材P先端は、記録材Pの剛性により、転写帯電領域T1で感光ドラム1から浮いてしまい(c部)、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されるまで、トナーが記録材P上に転写できないので、先端転写抜けが発生してしまう。
【0063】
そこで、本実施例である図8に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、遮蔽部材20を移動し、転写帯電領域T1の記録材搬送上流側を広げて、記録材搬送上流側にも転写電界が作用する転写帯電領域Tとする。この場合には、転写帯電領域Tにより、記録材P先端が感光ドラム1に密着しているD部にて、トナーを転写することができるので、先端転写不良が発生しない。
【0064】
従って、本実施例は、記録材P先端の転写工程時は、図8で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用する位置に遮蔽部材20を移動して、転写帯電領域Tとすることにより、先端転写抜けを防止することができる。
【0065】
一方、記録材P先端が搬送ベルト10に支持された後の転写工程時は、図6で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用しないように、即ち記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように、遮蔽部材20を移動して、転写帯電領域T1とすることにより、転写飛び散りを防止することができる。よって、転写電界が記録材搬送下流側のみに作用することで、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1が浮いた状態で転写電界が作用することが無いので、トナー飛翔が発生せず、前述した1面目の均一な転写飛び散り、及び2面目の記録材Pの凹凸による不均一な転写飛び散りともに防止できる。
【0066】
ただし、本実施例では、記録材の先端転写抜け防止を優先しているため、記録材先端部においては、若干の転写飛び散りが発生してしまう。
【0067】
実際に、図6及び図8で示す可動式の遮蔽部材20を動作させる本実施例の画像形成装置において、記録材Pとして、薄紙から厚紙まで、及び1面目・2面目ともに、転写飛び散り及び先端転写抜けの無い鮮鋭・鮮明な転写画像を得ることができた。
【0068】
図9及び図10は、実施例1の画像画像形成装置の転写装置の他の一例である。
図6及び図8にて、可動する遮蔽部材20によって、転写帯電領域幅を変更する構成に関して説明した。図9及び図10は上流側の転写装置シールド板が可動することによって、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0069】
図9に示す転写装置5は、下流側転写シールド5bと上流側転写シールド5cに分割されている。下流側転写シールド5bは固定配置であるが、上流側転写シールド5cは不図示の駆動手段により位置が可動する。上流側転写シールド5cは、転写帯電領域T1時に図9(a)、転写帯電領域T時に図9(b)となるように移動して、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0070】
又、図10に示す転写装置5は、下流側転写シールド5bと上流側転写シールド5eに分割されている。下流側転写シールド5bは固定配置であるが、上流側転写シールド5eは、シールド回転支持部材5dを支点として、不図示の駆動手段により位置が可動する。上流側転写シールド5eは、転写帯電領域T1時に図10(a)、転写帯電領域T時に図10(b)となるように移動して、転写帯電領域幅を変更する構成である。
【0071】
図9及び図10で示す転写装置5を、本実施例に適用しても、効果は同様である。
【0072】
又、転写帯電領域幅を変更する方法として、図6及び図8、図9及び図10で示す構成以外でも、作用が同様であれば、他の構成を採用しても良い。
【0073】
本実施例の転写工程途中での転写帯電領域幅変更は、1面目及び2面目の両方とも実施するのが好適であるが、1面目は、全面均一転写飛び散りなので、それほど目立たないが、特に薄紙の2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、非常に目立つので、画像形成装置によっては2面目のみに本実施例を適用する構成でも良い。
【0074】
又、2面目の記録材の凹凸による転写飛び散りを改善するためには、1面目の転写飛び散りを改善するよりも、転写帯電領域を、より記録材搬送下流側にする必要があり、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量をより大きくする必要がある。従って、1面目と2面目とで、記録材先端部以降の転写帯電領域幅の変更量を異なる設定とし、具体的には、遮蔽部材20による転写帯電領域の遮蔽量を、1面目と比較して、2面目の方が大きくなるように設定すると良い。
【0075】
従って、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0076】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域幅変更は、全ての記録材で実施するのが好適であるが、2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、薄紙(150g/m2未満)でのみ発生し、厚紙(150g/m2以上)では発生しないことから、薄紙(150g/m2未満)でのみ本実施例を適用する構成でも良い。
【0077】
又、2面目の凹凸による転写飛び散りに関して、薄紙は、定着装置による凹凸が形成され易いので、ハーフトーン濃度ムラが大きい。従って、薄紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくする必要がある。
【0078】
一方、厚紙は、定着装置による凹凸が形成されにくいので、ハーフトーン濃度ムラが小さい。従って、厚紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さい、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくする構成でも良い。
【0079】
又、先端転写抜けに関して、記録材の剛性が大きいと(腰が強いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが大きいので、先端転写抜けのレベルが良くなくなる。従って、剛性が大きい厚紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくすると良い。
【0080】
一方、記録材の剛性が小さいと(腰が弱いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが小さいので、先端転写抜けのレベルが良くなる。従って、剛性が小さい薄紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくしても良い。
【0081】
さらに、転写飛び散りに関して、抵抗値が低い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、低抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくする必要がある。
【0082】
一方、抵抗値が高い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、高抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくしても良い。
【0083】
従って、記録材の特性(剛性/重量/厚み/抵抗値)に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0084】
記録材の特性は、画像形成装置が各々の不図示の検知手段により、自動的に記録材特性を検知して、転写帯電領域幅の変更量に反映する構成でも良い。或いは、各々の記録材特性を手動で画像形成装置に入力して、転写帯電領域幅の変更量に反映する構成でも良い。
【0085】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域幅変更は、全ての環境で実施するのが好適であるが、通常環境及び高湿環境においては、記録材の凹凸が発生するのは定着装置を1度通過した2面目のみであるが、低湿環境においては、記録材が脱湿して1面目でも記録材の凹凸が発生してしまうので、通常環境及び高湿環境は、2面目のみ本実施例を適用し、低湿環境は、1面目および2面目とも本実施例を適用する構成でも良い。
【0086】
又、転写飛び散りは、記録材の抵抗値によってレベルが異なることを前記で説明した。記録材の抵抗値は、記録材固有の特性でも異なるが、環境によって、即ち、記録材の含水分量によっても異なる。よって、環境により、転写飛び散りレベルが異なる。
【0087】
高湿環境は、吸湿により記録材の抵抗値が低下し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、高湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくする必要がある。
【0088】
一方、低湿環境は、脱湿により記録材の抵抗値が上昇し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、低湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくしても良い。
【0089】
ここで、環境の水分量は、画像形成装置に備える不図示の検知手段により検知する温度と湿度から計算する絶対水分量により、記録材の含水分量を代用すると良い。
【0090】
従って、環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0091】
さらに、2面目の先端形状は、画像形成装置や両面印字機能、記録材の特性(剛性/重量/厚み)、環境で決定される記録材の含水分量、等の条件によって異なる形状となる。例えば、両面印字機能の記録材搬送経路の曲率が小さい部分ではカール量が大きい、記録材の薄紙では剛性が小さいのでカール量が大きい、高湿環境の含水分量が大きい記録材では定着装置通過後のカール量が大きい、等である。即ち、2面目の先端は、転写部に搬送される時点で、上カール形状、ストレート形状、下カール形状、カール量等、条件によって様々である。
【0092】
記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1に沿って密着し易く、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が小さいので、先端転写抜けが発生しにくい。従って、記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的大きくしても良い。
【0093】
一方、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1から離れて密着しにくく、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が大きいので、先端転写抜けが発生しやすい。従って、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、遮蔽部材20で記録材搬送上流側の転写帯電領域を遮蔽する遮蔽量を比較的小さくする必要がある。
【0094】
従って、各種の条件に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0095】
本実施例の転写帯電領域幅変更、即ち転写装置開口幅変更により、幅変更の変位量による大小はあるが、感光ドラム方向に転写装置から流れる転写電流が変更される。感光ドラム方向転写電流が小さいと、トナーを転写する転写電界が小さいので、トナーを転写できない転写不良が発生する。一方、感光ドラム方向転写電流が大きいと、記録材の転写電荷が多くなり、分離装置による記録材の電荷の除電が不十分となり、感光ドラムから記録材が分離しにくい、分離不良が発生する。
【0096】
従って、感光ドラム方向転写電流を一定にして、転写性能、及び分離性能を一定とするために、転写帯電領域幅変更に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更するような構成とすると良い。転写ワイヤーに流れる電流値は、感光ドラム方向に流れる転写電流と、転写装置のシールド部材方向に流れる電流値との和である。転写ワイヤーに流れる電流値を変更することで、必然的に、転写ワイヤーに印加する電圧値が変更される。
【0097】
具体的には、転写帯電領域幅を大きくした場合は、感光ドラム方向転写電流が大きくなるので、転写ワイヤーに流れる電流値を小さくする(転写ワイヤーに印加する電圧値を小さくする)。
【0098】
一方、転写帯電領域幅を小さくした場合は、感光ドラム方向転写電流が小さくなるので、転写ワイヤーに流れる電流値を大きくする(転写ワイヤーに印加する電圧値を大きくする)と好適である。
【0099】
従って、転写帯電領域幅に応じて、転写ワイヤー電流値を可変とすることで、転写性能、及び分離性能を一定に維持した状態で、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、改善効果を得ることができる。
【0100】
以上述べたように、本実施例においては、放電機構の非接触転写方式を用いる画像形成装置において、転写工程途中に転写帯電領域幅を変更することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0101】
より具体的には、転写部において、記録材先端部は、記録材搬送上流側まで転写電界が作用するように転写帯電領域幅を広げて、先端転写抜けを防止し、記録材先端部以降は、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように転写帯電領域を狭くして、転写飛び散りを防止することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止できる画像形成装置を提供することができる。
【実施例2】
【0102】
図11〜図14により本発明に係る実施例2について説明する。
【0103】
本実施例は、転写工程の途中に、転写帯電領域を移動することにより、従来の課題である転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を改善するものである。
【0104】
本発明の実施例2に関して説明する。
【0105】
図12及び図14は、本発明の実施例2の画像形成装置の一例である。
【0106】
図11及び図13は、本発明の実施例2において、問題の発生する適用例の画像形成装置の一例である。
【0107】
図11〜図14の転写装置5は、不図示の駆動手段により転写装置5の位置が移動して、転写帯電領域を移動する構成である。
【0108】
図11〜図14で示すように、転写入口ガイド9の高さは、図2(転写入口ガイド低い)と図3(転写入口ガイド高い)の中間に配置されており、転写飛び散りと先端転写抜け両方とも中程度に発生する中間の配置である。
【0109】
図11に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態で、転写装置5が図11のように配置される転写帯電領域Tの場合、記録材搬送上流側のB部の感光ドラム1と記録材Pの浮いている部分に転写電界が作用して、転写飛び散りが発生する。
【0110】
ここで、本実施例である図12に示すように、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されている状態で、転写装置5が図12のように移動して配置され、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T2とする。この場合には、記録材Pが感光ドラム1に密着した状態で、転写帯電領域T2に搬送されるので、B部に転写電界が作用せず、転写飛び散りが発生しない。
【0111】
しかしながら、図13に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用する転写帯電領域T2の場合、記録材P先端は、記録材Pの剛性により、転写帯電領域T2で感光ドラム1から浮いてしまい(c部)、記録材P先端が搬送ベルト10に支持されるまで、トナーが記録材P上に転写でないので、先端転写抜けが発生してしまう。
【0112】
そこで、本実施例である図14に示すように、記録材P先端が転写帯電領域を通過している状態(記録材P先端の転写工程)において、転写装置5が図14のように移動して配置され、記録材搬送上流側にも転写電界が作用する転写帯電領域Tとする。この場合には、転写帯電領域Tにより、記録材P先端が感光ドラム1に密着しているD部にて、トナーを転写することができるので、先端転写不良が発生しない。
【0113】
従って、本実施例は、記録材P先端の転写工程時は、図14で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用する位置に転写装置5を移動して、転写帯電領域Tとすることにより、先端転写抜けを防止することができる。
【0114】
一方、記録材P先端が搬送ベルト10に支持された後の転写工程時は、図12で示すように、記録材搬送上流側まで転写電界が作用しないように、即ち記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように、転写装置5を移動して、転写帯電領域T2とすることにより、転写飛び散りを防止することができる。よって、転写電界が記録材搬送下流側のみに作用することで、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1が浮いた状態で転写電界が作用することが無いので、トナー飛翔が発生せず、前述した1面目の均一な転写飛び散り、及び2面目の記録材Pの凹凸による不均一な転写飛び散りともに防止できる。
【0115】
ただし、本実施例では、記録材の先端転写抜け防止を優先しているため、記録材先端部においては、若干の転写飛び散りが発生してしまう。
【0116】
実際に、図12及び図14で示す可動式の転写装置5を動作させる本実施例の画像形成装置において、記録材Pとして、薄紙から厚紙まで、及び1面目・2面目ともに、転写飛び散り及び先端転写抜けの無い鮮鋭・鮮明な転写画像を得ることができた。
【0117】
又、転写帯電領域を移動する方法として、図12及び図14で示すような転写装置5を移動させる構成以外でも、転写装置5を傾ける等、作用が同様であれば、他の構成を採用しても良い。
【0118】
本実施例の転写工程途中での転写帯電領域移動は、1面目及び2面目の両方とも実施するのが好適であるが、1面目は、全面均一転写飛び散りなので、それほど目立たないが、特に薄紙の2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、非常に目立つので、画像形成装置によっては2面目のみに本実施例を適用する構成でも良い。
【0119】
又、2面目の記録材の凹凸による転写飛び散りを改善するためには、1面目の転写飛び散りを改善するよりも、転写帯電領域を、より記録材搬送下流側にする必要があり、即ち、転写装置5を記録材搬送下流側に移動させる移動量をより大きくする必要がある。従って、1面目と2面目とで、記録材先端部以降の転写帯電領域の移動量を異なる設定とし、具体的には、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を、1面目と比較して、2面目の方が大きくなるように設定すると良い。
【0120】
従って、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0121】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域移動は、全ての記録材で実施するのが好適であるが、2面目での記録材の凹凸によるハーフトーン濃度ムラは、薄紙(150g/m2未満)でのみ発生し、厚紙(150g/m2以上)では発生しないことから、薄紙(150g/m2未満)でのみ本実施例を適用する構成でも良い。
【0122】
又、2面目の凹凸による転写飛び散りに関して、薄紙は、定着装置による凹凸が形成され易いので、ハーフトーン濃度ムラが大きい。従って、薄紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0123】
一方、厚紙は、定着装置による凹凸が形成されにくいので、ハーフトーン濃度ムラが小さい。従って、厚紙の2面目は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さい、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的小さくする構成でも良い。
【0124】
又、先端転写抜けに関して、記録材の剛性が大きいと(腰が強いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが大きいので、先端転写抜けのレベルが良くなくなる。従って、剛性が大きい厚紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的大きくすると良い。
【0125】
一方、記録材の剛性が小さいと(腰が弱いと)、記録材P先端部と感光ドラム1との浮きが小さいので、先端転写抜けのレベルが良くなる。従って、剛性が小さい薄紙は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、即ち、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0126】
さらに、転写飛び散りに関して、抵抗値が低い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、低抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0127】
一方、抵抗値が高い記録材は、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、高抵抗記録材は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0128】
従って、記録材の特性(剛性/重量/厚み/抵抗値)に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0129】
記録材の特性は、画像形成装置が各々の不図示の検知手段により、自動的に記録材特性を検知して、転写帯電領域の移動量に反映する構成でも良い。或いは、各々の記録材特性を手動で画像形成装置に入力して、転写帯電領域の移動量に反映する構成でも良い。
【0130】
本実施例の転写工程途中の転写帯電領域移動は、全ての環境で実施するのが好適であるが、通常環境及び高湿環境においては、記録材の凹凸が発生するのは定着装置を1度通過した2面目のみであるが、低湿環境においては、記録材が脱湿して1面目でも記録材の凹凸が発生してしまうので、通常環境及び高湿環境は、2面目のみ本実施例を適用し、低湿環境は、1面目および2面目とも本実施例を適用する構成でも良い。
【0131】
又、転写飛び散りは、記録材の抵抗値によってレベルが異なることを前記で説明した。記録材の抵抗値は、記録材固有の特性でも異なるが、環境によって、即ち、記録材の含水分量によっても異なる。よって、環境により、転写飛び散りレベルが異なる。
【0132】
高湿環境は、吸湿により記録材の抵抗値が低下し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が強く、トナーが飛翔し易いので、転写飛び散りが発生し易い。従って、高湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的大きく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0133】
一方、低湿環境は、脱湿により記録材の抵抗値が上昇し、記録材搬送上流側の記録材Pと感光ドラム1との浮いた部分の空隙に作用する転写電界が弱く、トナーが飛翔しにくいので、転写飛び散りが発生しにくい。従って、低湿環境は、記録材先端部以降の転写帯電領域を、記録材搬送下流側にする必要が比較的小さく、即ち、転写装置5の記録材搬送下流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0134】
ここで、環境の水分量は、画像形成装置に備える不図示の検知手段により検知する温度と湿度から計算する絶対水分量により、記録材の含水分量を代用すると良い。
【0135】
従って、環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0136】
さらに、2面目の先端形状は、画像形成装置や両面印字機能、記録材の特性(剛性/重量/厚み)、環境で決定される記録材の含水分量、等の条件によって異なる形状となる。例えば、両面印字機能の記録材搬送経路の曲率が小さい部分ではカール量が大きい、記録材の薄紙では剛性が小さいのでカール量が大きい、高湿環境の含水分量が大きい記録材では定着装置通過後のカール量が大きい、等である。即ち、2面目の先端は、転写部に搬送される時点で、上カール形状、ストレート形状、下カール形状、カール量等、条件によって様々である。
【0137】
記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1に沿って密着し易く、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が小さいので、先端転写抜けが発生しにくい。従って、記録材先端部が上カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的小さく、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的小さくしても良い。
【0138】
一方、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材P先端が感光ドラム1から離れて密着しにくく、記録材Pと感光ドラム1との浮き量が大きいので、先端転写抜けが発生しやすい。従って、記録材先端部が下カール形状の場合は、記録材先端部の転写帯電領域を、記録材搬送上流側に広げる必要が比較的大きく、転写装置5の記録材搬送上流側への移動量を比較的大きくする必要がある。
【0139】
従って、各種の条件に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域の移動量を可変とすることで、より詳細な設定ができるので、転写飛び散りと先端転写抜けに対して、より大きな改善効果を得ることができる。
【0140】
本実施例の転写帯電領域移動、即ち転写装置移動は、転写帯電領域幅は同等で位置が移動するだけなので、感光ドラム方向に流れる転写電流の変化は非常に小さい。よって、転写性能は変化しないので、実施例1の転写帯電領域幅変更に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更する必要が無い利点を持つ。
【0141】
以上述べたように、本実施例においては、放電機構の非接触転写方式を用いる画像形成装置において、転写工程途中に転写帯電領域を移動することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0142】
より具体的には、転写部において、記録材先端部は、記録材搬送上流側まで転写電界が作用するように転写帯電領域を移動して、先端転写抜けを防止し、記録材先端部以降は、記録材搬送下流側のみに転写電界が作用するように転写帯電領域を移動して、転写飛び散りを防止することにより、転写飛び散りと先端転写抜けの両問題を効果的に防止できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】従来の画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。
【図2】従来の画像形成装置の「転写飛び散り」問題を説明する模式的断面図である。
【図3】従来の画像形成装置の「転写飛び散り」対策を説明する模式的断面図である。
【図4】従来の画像形成装置の「先端転写抜け」問題を説明する模式的断面図である
【図5】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「転写飛び散り」問題を説明する模式的断面図である。
【図6】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「転写飛び散り」対策を説明する模式的断面図である。
【図7】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「先端転写抜け」問題を説明する模式的断面図である。
【図8】本発明の実施例1に係る画像形成装置の「先端転写抜け」対策を説明する模式的断面図である。
【図9】本発明の実施例1に係る画像形成装置の他の一例を示す要部の模式的断面図である。
【図10】本発明の実施例1に係る画像形成装置の他の一例を示す要部の模式的断面図である。
【図11】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「転写飛び散り」問題を説明する模式的断面図である。
【図12】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「転写飛び散り」対策を説明する模式的断面図である。
【図13】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「先端転写抜け」問題を説明する模式的断面図である。
【図14】本発明の実施例2に係る画像形成装置の「先端転写抜け」対策を説明する模式的断面図である。
【符号の説明】
【0144】
1 感光ドラム
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
5a 転写ワイヤー
6 分離装置
7 クリーニング装置
8 定着装置
9 ガイド部材(転写入口ガイド)
10 搬送ガイド部材(搬送ベルト)
20 遮蔽部材
T、T1、T2 転写帯電領域
R トナー
P 記録材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、
記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域幅を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、
記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域を移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、記録材先端部は記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材先端部以降は記録材搬送下流側を転写帯電領域とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、ガイド部材に案内されて像担持体と転写装置との間に搬送される記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持されるまで、記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持された以降は、記録材搬送下流側を転写帯電領域とすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
両面印字機能を備え、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録材の特性に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とすることを特徴する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
転写帯電領域幅に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、
記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域幅を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体上のトナー像を、記録材に転写する放電機構の非接触式転写装置を備えた画像形成装置において、
記録材へのトナー像転写工程中に、転写帯電領域を移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、記録材先端部は記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材先端部以降は記録材搬送下流側を転写帯電領域とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材へ像担持体上のトナー像を転写する転写部において、ガイド部材に案内されて像担持体と転写装置との間に搬送される記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持されるまで、記録材搬送上流側を含む転写帯電領域とし、記録材の先端部が転写部の下流側に配置する搬送ガイド部材に支持された以降は、記録材搬送下流側を転写帯電領域とすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
両面印字機能を備え、記録材の1面目と2面目とに応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録材の特性に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とすることを特徴する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
環境に応じて、記録材の転写工程中における転写帯電領域幅の変更量、又は転写帯電領域の移動量を可変とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
転写帯電領域幅に応じて、転写装置の転写ワイヤーに流れる電流値、又は転写ワイヤーに印加する電圧値を変更することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−133995(P2009−133995A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309006(P2007−309006)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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