説明

画像形成装置

【課題】 複数の給紙カセットを有する画像形成装置において、複数の給紙カセットをグループ化して、ひとつの給紙カセットが空になった場合にグループ化されている別のカセットに給紙を切り替えて動作の停止を防ぐ方法があったが、どの給紙収容部とどの給紙収容部をグループ化するかについてユーザの利用に基づいて自動により行う。
【解決手段】 本発明の画像形成装置では、給紙収容部で用紙切れ等の用紙エラーが発生して選択された給紙収容部からの給紙による印刷が継続できない場合には、ユーザに代替の給紙収容部を選択させて記録しておき、その記録の履歴に基づいて関連性の高い給紙収容部同士の組み合わせを自動でグループ化して設定を行い、該自動グループ化設定以降は、用紙切れが発生すると自動的にグループ化された代替の給紙収容部からの給紙に切り替えて印刷を継続する方法により課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の給紙収容部(給紙カセットや手差し給紙トレイ等)を有する画像形成装置において、給紙収容部をグループ化してひとつの給紙収容部として利用する際に、そのグループ化設定をユーザの給紙収容部の代替給紙収容部の選択の記録の履歴に基づいて自動で行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の給紙収容部(給紙カセットや手差し給紙トレイ等)を有する画像形成装置では、これら複数の給紙収容部を用紙サイズや用紙の種類等毎にグループ分けをして用いる方法があった。
【0003】
例えば、複数の給紙トレイをグループとして扱って、個々の給紙トレイのステータスを前記したグループ化した給紙トレイのステータスとして表す方法がある(特許文献1参照)。
【0004】
この方法ではグループ化した給紙トレイの全ての枚数を合算したものとして表示する際には効果がある。しかし、グループ化を行う際には手動でユーザが設定を行わなければならず、ユーザの利用履歴に基づいてユーザが意識せずとも自動で給紙収容部のグループ化設定を行う方法はなかった。
【特許文献1】特開2006−76868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、複数の給紙収容部をグループ化して前記グループ中の給紙収容部の用紙エラーが発生した際には、同グループ中の前記用紙エラーを発生した以外の給紙収容部からの給紙を行うことにより連続的に印刷部へ給紙可能な画像形成装置において、前記グループ化設定をユーザの使用履歴に基づいて自動で設定することはできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の本発明の画像形成装置は、用紙を供給するために収容する複数の給紙収容部と、前記給紙収容部のいずれかから用紙の供給を受けて印刷を行う印刷部と、前記用紙を供給している給紙収容部での給紙不能を示す用紙エラーが発生した際に、前記用紙エラーの発生した給紙収容部に代替する給紙収容部の選択入力を受け付けると共にその記録を保持する代替記録保持部と、前記代替記録保持部が保持する前記記録に基づいて前記給紙収容部のグループ化を行う自動グループ化設定部と、前記グループ化された給紙収容部のいずれかで前記用紙エラーが発生した際に前記グループ内の他の給紙収容部からの用紙の供給に切替える給紙切替制御部と、を有することを最も主要な特徴とする。
【0007】
ここにおいて、用紙エラーとは、主として用紙切れによって発生したものを指すが、その他に供給する用紙の属性と供給後の印刷・後処理工程までも含めた処理で必要とされる用紙の属性の条件が合わないため給紙が行われないことによるエラーや、給紙収容部からの用紙の給紙駆動系への給紙に失敗した場合など、紙詰まりまでには至らないが何らかの要因により装置の駆動系を停止して紙詰まり用紙を取り除かなければ再起動しないというまでの状態にはならずに、用紙はあるのに給紙ができないというエラー状態をも含む。
【0008】
請求項2の本発明の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置であって、前記自動グループ化設定部は、前記代替記録保持部が記録する前記用紙エラーの発生した給紙収容部とその代替として選択された給紙収容部との組み合わせ頻度の高い給紙収容部同士をグループ化することを主要な特徴とする。
【0009】
請求項3の本発明の画像形成装置は、請求項1又は2の画像形成装置であって、前記自動グループ化設定部は、電源投入時、所定の時刻に達したとき、所定の時間間隔が経過したとき、ユーザの実行指示時、ジョブの開始時、ユーザが代替の給紙トレイを選択した時のうちの少なくともひとつ、又はそれらの自由な組み合わせをトリガーとして前記自動での給紙収容部のグループ化を行うことを主要な特徴とする。
【0010】
請求項4の本発明の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかの画像形成装置であって、前記用紙エラーは、用紙切れによるエラーか、又は用紙の属性が適合しないためのエラーか、前記給紙収容部から給紙駆動部への給紙エラーかのいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の本発明の画像形成装置は、用紙を供給するために収容する複数の給紙収容部と、前記給紙収容部のいずれかから用紙の供給を受けて印刷を行う印刷部と、前記用紙を供給している給紙収容部での給紙不能を示す用紙エラーが発生した際に、前記用紙エラーの発生した給紙収容部に代替する給紙収容部の選択入力を受け付けると共にその記録を保持する代替記録保持部と、前記代替記録保持部が保持する前記記録に基づいて前記給紙収容部のグループ化を行う自動グループ化設定部と、前記グループ化された給紙収容部のいずれかで前記用紙エラーが発生した際に前記グループ内の他の給紙収容部からの用紙の供給に切替える給紙切替制御部と、を有することを最も主要な特徴とするため、ユーザの代替の給紙収容部の選択履歴に基づいて、自動でグループ化設定を行うことが可能となった。
【0012】
請求項2の本発明の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置であって、前記自動グループ化設定部は、前記代替記録保持部が記録する前記用紙エラーの発生した給紙収容部とその代替として選択された給紙収容部との組み合わせ頻度の高い給紙収容部同士をグループ化することを主要な特徴とするため、ユーザが用紙エラーが発生したときに選択される給紙収容部が用紙エラーを発生させた給紙収容部とグループ化されるために、ユーザの使用形態に最も適したグループ化がされる。
【0013】
請求項3の本発明の画像形成装置は、請求項1又は2の画像形成装置であって、前記自動グループ化設定部は、電源投入時、所定の時刻に達したとき、所定の時間間隔が経過したとき、ユーザの実行指示時、ジョブの開始時、ユーザが代替の給紙トレイを選択した時のうちの少なくともひとつ、又はそれらの自由な組み合わせをトリガーとして前記自動での給紙収容部のグループ化を行うことを主要な特徴とするため、様々な使用形態にあった自動化設定のタイミングを選択可能となった。
【0014】
請求項4の本発明の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかの画像形成装置であって、前記用紙エラーは、用紙切れによるエラーか、又は用紙の属性が適合しないためのエラーか、前記給紙収容部から給紙駆動部への給紙エラーかのいずれかであることを特徴とするため、ただ単に用紙切れの場合に限らず、給紙駆動部のローラ減り等の問題による給紙収容部の使用不可能な場合等にも対応して使用可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
複数の給紙収容部をグループ化して前記グループ中の給紙収容部の用紙エラーが発生した際には、同グループ中の前記用紙エラーを発生した以外の給紙収容部からの給紙を行うことにより連続的に印刷部へ給紙可能な画像形成装置において、前記グループ化設定をユーザの使用履歴に基づいて自動で設定することが出来ないという問題点を用紙エラー発生の際に選択された代替の給紙収容部についての履歴を記録しておき、同履歴に基づいてグループ化を設定する方法により解決した。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例としての画像形成装置について以下に説明する。なお、本実施例中での給紙トレイと給紙収容部とは同じものを指す。
【0017】
[装置構成]
図1は、本発明の実施例に係わる画像形成装置の機械的構成を主に示す側面断面図である。
【0018】
説明中での給紙収容部とは、後述する手差しトレイ220のような平型の給紙トレイと、給紙カセット201a,b,c,dのような箱型の給紙トレイの両方のことを示す。
【0019】
画像形成装置1は、本体部200と、図1における本体部200の左側に配設された用紙後処理部300と、ユーザが種々の操作指令等を入力するための操作部400と、本体部200の上部に配設された原稿読み取り部500と、原稿読み取り部500の上方に配設された原稿給送部600とから構成される。
【0020】
操作部400は、タッチパネル401(表示部)、スタートキー402及びテンキー403等を備える。タッチパネル401(表示部)は、種々の操作画面を表示するとともに、ユーザが種々の操作指令を入力するための種々の操作ボタン等を表示する。スタートキー402は、ユーザが印刷実行指令等を入力するために用いられ、テンキー403は、印刷枚数等を入力するために用いられる。
【0021】
原稿給送部600は、原稿収納部601、原稿排出部602、給紙ローラ603及び原稿搬送部604等を備え、原稿読み取り部500は、スキャナ501等を備える。給紙ローラ603は、原稿収納部601にセットされた原稿を繰り出し、原稿搬送部604は、繰り出される原稿を1枚ずつ順にスキャナ501上に搬送する。スキャナ501は搬送される原稿を順次読み取り、読み取られた原稿は原稿排出部602に排出される。
【0022】
本体部200は、複数の給紙カセット201a,b,c,d(給紙収容部)、手差し給紙トレイ220(給紙収容部)、複数の給紙ローラ202a,b,c,d,221(給紙駆動部)、転写ローラ203(印刷部)、感光体ドラム204(印刷部)、露光装置206(印刷部)、現像装置207(印刷部)、定着ローラ208(印刷部)、排出口209、及び排出トレイ210等を備える。
【0023】
上記の給紙カセット201a,b,c,dと手差し給紙トレイ220により給紙収容部を構成している。
【0024】
上記の転写ローラ203、感光体ドラム204、露光装置206、現像装置207)、定着ローラ208により印刷部240を形成している。
【0025】
上記の複数の給紙ローラ202a,b,c,d,221と、給紙収容部から印刷部240への給紙パス及びその駆動系により給紙駆動部230を構成している。
【0026】
感光体ドラム204は、矢印方向に回転しながら帯電装置(図示省略)によって一様に帯電される。露光装置206は、原稿読み取り部500において読み取られた原稿の画像データに基づいて生成された変調信号をレーザ光に変換して出力し、感光体ドラム204に静電潜像を形成する。現像装置207は、黒色の現像剤を感光体ドラム204に供給してトナー画像を形成する。
【0027】
一方、給紙収容部の給紙カセット201a,b,c,dにおいては、給紙ローラ202a,b,c,dが印刷用紙が収納された給紙カセット201a,b,c,dの最上面の用紙に当接して回転することにより給紙駆動部230の給紙パスに印刷用紙を引き出す。また、手差し給紙トレイ220においては、給紙ローラ221が手差し給紙トレイ220の最上面の用紙に当接して回転することにより給紙駆動部230の給紙パスに印刷用紙を引き出して、転写ローラ203まで給送する。転写ローラ203は、搬送された印刷用紙に感光体ドラム204上のトナー像を転写させ、定着ローラ208は、転写されたトナー像を加熱して印刷用紙に定着させる。その後、印刷用紙は本体部200の排出口209から用紙後処理部300に搬入される。また、印刷用紙は、必要に応じて排出トレイ210へも排出される。
【0028】
前記給紙カセット201a,b,c,dには、その用紙残量を検出する残量センサ205a,b,c,dが、各給紙カセット毎に取り付けられている。残量センサ205a,b,c,dは、図に示すようにJ字状をしており、用紙の残量の低下とともに上部の軸を中心に回転することにより用紙残量を検出すると共に、用紙がなくなると残量センサの紙に接する部分が給紙カセット(給紙トレイ)の底面に開けられた穴部(不図示)に落ち込むため用紙が無くなった事を検出可能である。
【0029】
なお、手差し給紙トレイ220(給紙収容部)においては、給紙ローラ221が残量センサの役割を果たしている。
【0030】
本画像形成装置1の給紙カセット201a,b,c,dは、用紙補充のために画像形成装置本体200から取り出すときには、図1の右側方向(図1の矢印P)にスライドして取り出されるために給紙ローラ202a,b,c,dから、転写ローラ203及び感光体ドラム204へつながる給紙駆動部230の給紙パスを遮ることがない。そのため、印刷動作中であっても印刷部240への給紙に係っていない給紙カセットの交換は可能であり、その際には印刷動作を停止させることが無い。
【0031】
また、手差し給紙トレイ220においても同様に印刷動作を遮ることなく用紙の補充が可能である。
【0032】
用紙後処理部300は、搬入口301、印刷用紙搬送部302、搬出口303及びスタックトレイ304等を備える。印刷用紙搬送部302は、排出口209から搬入口301に搬入された印刷用紙を順次搬送し、最終的に搬出口303からスタックトレイ304へ印刷用紙を排出する。スタックトレイ304は、搬出口303から搬出された印刷用紙の集積枚数に応じて矢印方向に上下動可能に構成されている。
【0033】
[機能ブロック]
図2は、本発明実施例の画像形成装置の機能ブロック図である。
【0034】
本機能ブロック図では、本発明の本質に関係する部分のみをブロック図化して説明してある。通常の画像形成装置に備わっており、図1の構成図において説明した印刷部240や後処理装置300などのブロック図化については省略した。
【0035】
図2には、図1の側面断面図ですでに説明した給紙収容部(給紙カセット201a,b,c,d及び手差し給紙トレイ220)、給紙駆動部230、操作部400、操作部400中のタッチパネル401(表示部)などを示すと共に、画像形成装置1が図1では説明されていない機能ブロック部であるソフトウェア機能部700、通信インタフェース部751を有していることを示す。
【0036】
このソフトウェア機能部700は、さらに、用紙残量検知部701、用紙サイズ種類検知部703、内部Webサーバ707、給紙切替制御部709、用紙切れ通知部711、グループ設定保持部715、代替記録保持部717、自動グループ化設定部719の各機能ブロックを有している。
【0037】
また、画像形成装置1は、その通信インタフェース部751を通してネットワーク801に接続しており、同じくネットワークに接続されたPC1(Personal Computer)901、PC2(Personal Computer)903と接続している。
【0038】
以下に各機能部について説明する。本機能ブロックの説明においては、本発明の本質に関わるグループ化に関する機能部についてのみ説明を行う。その他の本発明の本質に関係のない画像処理部などの説明は省略した。
【0039】
通信インタフェース部751は、画像形成装置1をネットワークと接続するインタフェース部である。通信インタフェース部751を通してPC(Personal Computer)等の外部装置と接続する。
【0040】
ソフトウェア機能部700は、画像形成装置1のコンピュータにソフトウェアにより各種機能を実現させる機能部である。以下にソフトウェア機能部700内の各機能ブロックについて説明する。
【0041】
用紙残量検知部701は、給紙収容部201が有する各給紙カセット201a,b,c,dの用紙残量を検出する残量センサ205a,b,c,dからの信号を受信して、各給紙カセット201a,b,c,dの用紙の残量と、用紙がなくなってしまったことを検知する。
【0042】
用紙サイズ種類検知部703は、給紙収容部201の各給紙カセット201a,b,c,dの用紙サイズを定める枠部によって測定された用紙サイズの信号や、給紙経路中に設置されたセンサからの信号により、各給紙カセットに供給された用紙サイズや用紙の種類などを検知する。
【0043】
これらのセンサなどでは検知できないような用紙種類、例えば厚紙や色紙、又は片面使用済み用紙などについては、ユーザの設定により次項のグループ設定保持部715に設定を行う。
【0044】
内部Webサーバ707は、画像形成装置1の装置の状態を外部装置であるPC2;903のブラウザ913からアクセスできるように、設けられたものである。内部Webサーバ707のページにアクセスすることにより、画像形成装置1の設定状態を確認できると共に設定の変更を行うことも可能である。前記したように、給紙収容部のグループ化の設定も内部Webサーバ707にアクセスすることにより、設定の確認と変更が可能である。また、後述する代替給紙収容部の設定画面を内部Webサーバ707によっても提供する。
【0045】
給紙切替制御部709は、印刷中にグループ化された給紙収容部(給紙カセットと手差し給紙トレイ)のひとつから用紙がなくなった場合には、その用紙切れを起こした給紙収容部とグループ化されている他の給紙収容部があれば、そこで印刷動作を停止せずに自動的にグループ化された他の給紙収容部から給紙を行うように給紙駆動部230を制御する機能部である。
【0046】
用紙切れ通知部711は、印刷が行われて用紙が消費されて給紙収容部のカセットのいずれかがなくなった場合に用紙切れの通知を行う機能部である。
【0047】
グループ設定保持部715は、複数ある給紙カセットをグループ毎に分けて設定(グループ化機能)することが可能である。一般的には、用紙のサイズ及び種類が同じもの毎にグループ化することが行われる。(ただし、異なるものをグループ化して設定することも可能である。)
本画像形成装置1では、複数の給紙収容部(複数の給紙カセット201a,b,c,d及び手差し給紙トレイ220)をグループ分けして、それらグループ化されたものをひとつの大容量給紙収容部として扱う(以降、グループ化機能と呼ぶ)ことが可能である。このグループ化機能により、一つの給紙カセットの最大用紙容量を超える大量の印刷を行うことが可能となる。すなわち、グループ化された給紙カセットの一つの用紙が使い果たされて空になっても、自動的にグループ化されている異なる給紙カセットからの給紙に切り替えることにより、「紙無しエラー、印刷エンジンの休止」状態を発生させずに、グループ化されたすべての給紙収容部の用紙がなくなるまでの連続印刷を行えることが可能となり、そのことがこのグループ化機能の最大の利点である。
【0048】
本グループ設定保持部715は、この給紙収容部のグループ化の設定(例えば、給紙カセットa,cをひとつのグループでA4普通用紙を入れたもの、給紙カセットb,d、手差し給紙トレイをひとつのグループでA4片面使用済み用紙と設定など)を行い、その設定状態を記録して保持する。
【0049】
この設定は、操作部400からの入力によって行っても良いし、通信インタフェース部751を通して外部装置であるPC1;901のプリンタ監視ユーティリティ911により行っても良いし、また外部装置であるPC2;903のブラウザ913を用いて画像形成装置1の内部Webサーバ707にアクセスして内部Webサーバ707の有する設定機能を用いて行っても良い。
【0050】
本発明の最も主要な特徴としてグループ設定保持部715は、これまで説明した手動によるグループ設定の他に、以下に説明する自動グループ化設定部719によって設定されたグループ設定を自動グループ化設定部719から通知を受けてそのグループ設定を記録して保持する。詳細は下記に説明する。
【0051】
代替記録保持部717は、次の自動グループ化設定部719と共に本発明の最も本質的な機能を司る機能部である。前記したグループ設定保持部715でのグループ設定化は、ユーザの指示入力によって行わなければならないが、用紙エラー(用紙エラーとは、主として用紙切れによって発生したものを指すが、その他に供給する用紙の属性と供給後の印刷・後処理工程までも含めた処理で必要とされる用紙の属性の条件が合わないため給紙が行われないことによるエラーや、給紙収容部からの用紙の給紙駆動系への給紙に失敗した場合など、紙詰まりまでには至らないが何らかの要因により装置の駆動系を停止して紙詰まり用紙を取り除かなければ再起動しないというまでの状態にはならずに、用紙はあるのに給紙ができないというエラー状態をも含む。)が発生した際にグループ化設定がされていない場合には、ユーザに用紙エラーを発生した給紙トレイの代わりに他の給紙トレイを選択させて、その給紙トレイからの給紙によりジョブを再開させる。代替記録保持部717は、その際の給紙トレイの記録を行う機能部である。
【0052】
以下の表1に代替記録保持部717が記録する内容について示す。
【0053】
【表1】

【0054】
第1行目を例として説明を行うと、ユーザ「a1818」が使用中の「20xx/03/03-09:32」の日時に「用紙切れ」エラーが発生して、そのとき給紙を行っていてエラーを発生させた給紙トレイが「トレイ1」で、ユーザが代替として選択したトレイが「トレイ4」であった。エラーを発生させたトレイ1に入っていた用紙の属性は「A4」サイズで給紙方向が「N(通常の縦置き;ポートレート)」で用紙の種類は「普通紙」であり、代替として選択されたトレイ4に入っていた用紙の属性は「A4」サイズで給紙方向が「R(横置き;ランドスケイプ)」で用紙の種類は「普通紙」であることを示している。以下同様に第2行目以降に続くようにデータが記録されている。
【0055】
自動グループ化設定部719は、代替記録保持部717が記録する代替の記録の表1に基づいて給紙収容部のグループ化の自動設定を行う。
【0056】
前記した表1の実際に記録されたもっと長い表に基づいて、エラーを発生した給紙トレイとその際に代替された給紙トレイの組み合わせの頻度を示したものは、例えば以下の表2の様になる。
【0057】
【表2】

【0058】
ここで、表2の第1列について説明すると、第1列は、トレイ1で用紙エラーが発生した際に、代替給紙トレイとして選択された各給紙トレイの回数とそのトレイ1内での選択パーセンテージについて示してある。
【0059】
第1列について上から順に説明すると、トレイ1でエラーが発生した際にトレイ1が代替トレイとして選択される事は無いので代替トレイがトレイ1の欄は空欄となっている。
【0060】
次に代替トレイとしてトレイ2が選択された回数は2回、そのパーセンテージは1.6%、トレイ3が選択された回数は36回で28.1%、トレイ4が選択された回数は85回で66.4%、手差しトレイが選択された回数は5回で3.9%である。全体での代替が行われた回数は128回である。
【0061】
上記の表2中から関連性の最も高い給紙トレイをそのパーセンテージ(組み合わせ頻度)で選択すると表2中に円で示してある給紙トレイ1と給紙トレイ4との組み合わせとなる。
【0062】
自動グループ化設定部719は、この結果に基づいて給紙トレイ1と給紙トレイ4とを新しくグループとして設定する。この設定情報はグループ設定保持部715に伝達されてその設定が保持される。
【0063】
以降は、給紙トレイ1で用紙エラーが発生したときには、自動的に給紙トレイ4からの給紙に切り替わってジョブを続行し、同様に給紙トレイ4で用紙エラーが発生したときには、自動的に給紙トレイ1からの給紙に切り替わってジョブを続行する。
【0064】
上記実施例においては、最高頻度のものについてのみグループ化を行ったが、同様に残りの給紙トレイについて再帰的に解析を行って以降に続くグループ化(第2グループ、第3グループ等)の設定を行っても良い。
【0065】
又、第1グループ化を設定するときには次候補との差が僅差である場合は、特に関連性無しとしてグループ化を行わないという方法を用いても良い。その場合には第1の候補と第2の候補との頻度の差が所定の閾値以上であるかどうかということを判断の基準としてもよい。又、その場合にグループ化を行わないのではなく、エラー発生トレイと第1頻度、第2頻度のトレイとも合わせて三つの給紙トレイでひとつのグループとする方法を用いても良い。
【0066】
その他に、選択された頻度ではなく、除外された(選択されなかった)頻度を元にグループ化設定するという方法であっても良い。
【0067】
又、表2は頻度についてのみを判断基準としたが、表1に記録してある用紙の属性をも加味して自動グループ化の設定を行うという方法を取っても良い(例えば用紙サイズが異なる場合はグループ化しない等)。
【0068】
自動グループ化設定部719が、前記表1、表2の解析を行って自動グループ化を行うタイミングについては、電源投入時、所定の時刻に達したとき(例えば、毎朝6時に行う)、所定の時間間隔が経過したとき(例えば6時間経過毎に行う)、ユーザの実行指示時、ジョブの開始時、ユーザが代替の給紙トレイを選択した時のうちの少なくともひとつ、又はそれらの自由な組み合わせのときをトリガーとして行うという方法をとることとする。
【0069】
[フローチャート]
図3のフローチャートを用いて、画像形成装置において用紙エラーが発生した際の動作について説明する。
【0070】
S11:ジョブの実行が指示される。この指示は、画像形成装置1本体の操作部400から行ってもよいし、PC1;901やPC2;903のプリンタドライバ921,923から行ってもよい。
【0071】
S13:ジョブの実行が開始される。その時点で選択されている給紙トレイからの給紙が行われて、印刷部240での印刷が行われる。
【0072】
S15:ジョブ実行中に用紙エラーが発生したかどうかを判断する。用紙エラーが発生した場合には動作をS17に移行する。用紙エラーが発生しない場合は動作をS29に移行する。
【0073】
S17:グループ設定保持部715は給紙を受けている給紙トレイがグループ化されていて、他の給紙トレイがあるかどうかを判断する。他の給紙トレイがあれば動作をS25に移行する。なければ、動作をS19に移行する。
【0074】
S19:代替記録保持部717は、ユーザからの代替給紙トレイの選択の入力を受け付ける。本動作の実際の動作画面については、次項の代替トレイの選択のユーザインタフェース画面の項で図5を用いて詳細に述べる。
【0075】
S21:代替記録保持部717は、ユーザによって選択された代替給紙トレイのデータを記録保持(前記表1)する。
【0076】
S22:S19で指定された代替給紙トレイからの給紙を行うように給紙切替制御部709が給紙駆動部230を制御して給紙を切り替える。
【0077】
S23:S22での代替給紙トレイからの給紙によるジョブを再開する。この後動作をS15に移行して、ジョブが完了するまで用紙エラーが発生するかどうかを判断する。
【0078】
S25:S17で用紙エラーを発生した給紙トレイと同じグループの他の給紙トレイがあると判断された場合には、その他の給紙トレイからの給紙を行うように給紙切替制御部709が給紙駆動部230を制御して給紙を切り替える。
【0079】
S27:S25での他の給紙トレイからの給紙によりジョブを再開する。この後動作をS15に移行して、ジョブが完了するまで用紙エラーが発生するかどうかを判断する。
【0080】
S29:S15においてジョブ実行中に用紙エラーが発生しない場合には、ジョブを正常に完了して、動作を終了する。
【0081】
以上の一連の動作により、ひとつの給紙トレイでエラーが発生してその給紙トレイとグループ化されている他の給紙トレイがあればその給紙トレイからの給紙によってジョブを実行し、グループ化されている他の給紙トレイがなければ代替トレイを選択してその選択結果を記録する。さらに代替トレイからの給紙を受けてジョブを完了する。
【0082】
次に、上記S21で記録された結果に基づいて自動グループ化設定部719が行う自動グループ化の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0083】
電源投入時、所定の時刻に達したとき、所定の時間間隔が経過したとき、ユーザの実行指示時、ジョブの開始時、ユーザが代替の給紙トレイを選択した時のうちの少なくともひとつ、又はそれらの自由な組み合わせをトリガーとして図4のフローチャートが動作を開始する。
【0084】
S41:自動グループ化設定部719は、代替記録保持部717が記録した代替給紙収容部の選択の記録(前記表1)の解析を行う。具体的動作については、自動グループ化設定部719の機能動作について説明したとおりである。
【0085】
S43:自動グループ化設定部719は、給紙トレイの有効な組み合わせがあるかどうかを判断する。具体的動作については、自動グループ化設定部719の機能動作説明の際に表2を用いて説明したとおりである。有効な組み合わせがあれば、動作をS45に移行する。有効な組み合わせがなければ動作を終了する。
【0086】
S45;自動グループ化設定部719は、前記S43で判断した有効な給紙トレイ同士の組み合わせをグループ化し、その組み合わせをグループ設定保持部715に伝達し、グループ設定保持部715がその記録を保持し、以降の用紙エラー発生の際には同グループを用いて異なる給紙トレイ間での連続印刷を可能とする。
【0087】
[代替給紙トレイの選択のユーザインタフェース画面及びその動作]
画像形成装置1での用紙エラーが発生した際に、代替記録保持部717が入力を受け付ける代替給紙トレイの選択動作について図5のユーザインタフェース画面を用いて説明する。本インタフェース画面は、画像形成装置1のタッチパネル401に表示されて、ユーザがタッチパネルに触れて選択を行う。
【0088】
図5(A)から(C)に示すのは、代替給紙トレイ選択のインタフェース画面の例である。図5(A)に装置の各部のアイコンが表示されており、番号を付したトレイ1は、給紙カセットa;201aに対応し、トレイ2は、給紙カセットb;201bに対応し、トレイ3は、給紙カセットc;201cに対応し、トレイ4は、給紙カセットd;201dに対応する。MPは、手差し給紙トレイ220に対応する。又実行ボタン451及びメッセージボックス491が配置されている。
【0089】
図5(A)に示すように、トレイ1で用紙切れエラーが発生した(それを示すためにトレイ1がグレイ化されている)ので、ユーザに代替の給紙トレイを選択するように、メッセージボックス491に表示して、ユーザの入力を促している。
【0090】
図5(B)に示すように、ユーザはタッチパネル上に表示された上記の給紙トレイのアイコンのうち代替給紙トレイとして選択したいもの(この場合はトレイ4)に接触してハイライト化させる。
【0091】
次に、図5(C)に示すように実行ボタン451に接触してトレイ1に代わりトレイ4を代替給紙トレイとして選択することを確定する。これにより、トレイ4からの給紙を受けてジョブが再開して継続される。
【0092】
上記の画面上に表示された実行ボタン451の代わりに本体のスタートボタン402等により設定を確定させる方法であってもよい。
【0093】
[実施例の効果]
本発明実施例の画像形成装置1により、以下のことが可能となった。
【0094】
自動グループ化設定部719により、ユーザはグループ化設定を行う手間が省略された。
【0095】
自動グループ化設定部719は、ユーザの使用履歴に基づいてグループ化の設定を行うため使用実態に合った最適なグループ化が設定される。
【0096】
代替記録保持部717は、特定ユーザの使用記録ではなく全てのユーザの使用記録を保持し、自動グループ化設定部719が設定する使用記録は全てのユーザに対して公平な設定を可能とする。
【0097】
代替記録保持部717が記録するデータが多くなればなるほど、より最適なグループ化設定がされる。
【0098】
[その他]
本発明実施例の画像形成装置1は、原稿給送部600や、原稿読取部500や、後処理装置300などの機能部を備えた比較的高機能な画像形成装置を例に説明を行ったが、本発明はこの実施例に限らず例えば上記の機能部が備わっていない画像形成装置であっても応用可能であり、画像形成装置の装置構成は本発明の要旨あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能である。また、それら変更を行った画像形成装置も本発明の技術的範囲の射程内である。
【0099】
印刷ジョブは、画像形成装置本体だけで行う複写等のジョブであっても良いし、画像形成装置1と接続したPC1;901のプリンタドライバ921等の外部装置から送信された印刷ジョブであっても良い。
【0100】
本実施例においては、代替給紙トレイの選択画面をタッチパネルに表示して行う方法について説明したが、前記したように外部装置であるPC1;901等からの印刷ジョブである場合は、PC1;901のプリンタドライバ921が前記した代替給紙トレイの選択画面(図5)をPC1;901上で表示して代替給紙トレイの選択を行う方法であってもよいし、又さらに上記PCからの場合に限らず、本体からジョブを指示した場合であっても、プリンタ監視ユーティリティ911やブラウザ913が同代替給紙トレイの選択画面を表示させて代替給紙トレイを選択させる方法であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明実施例の画像形成装置の側面断面図である。
【図2】本発明実施例の画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明実施例の画像形成装置の用紙エラー発生の際のフローチャートである。
【図4】本発明実施例の画像形成装置の自動グループ化設定の際の動作のフローチャートである。
【図5】本発明実施例の画像形成装置の代替給紙トレイ選択の際のユーザインタフェース画面である。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
201a,b,c,d 給紙カセット(給紙収容部)
202a,b,c,d 給紙ローラ(給紙駆動部)
203 転写ローラ(印刷部)
204 印刷ドラム(印刷部)
205a,b,c,d 残量センサ
206 露光装置(印刷部)
207 現像装置(印刷部)
208 転写ローラ(印刷部)
220 手差し給紙トレイ(給紙収容部)
221 給紙ローラ(給紙駆動部)
230 給紙駆動部
240 印刷部
401 タッチパネル(表示部)
701 用紙残量検知部
703 用紙サイズ検知部
707 内部Webサーバ(内部ウェブサーバ)
709 給紙切替制御部
711 用紙切れ通知部
715 グループ設定保持部
717 代替記録保持部
719 自動グループ化設定部
901 PC1(Personal Computer)(外部装置)
903 PC2(Personal Computer)(外部装置)
911 プリンタ監視ユーティリティ
P 給紙カセット引出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を供給するために収容する複数の給紙収容部と、
前記給紙収容部のいずれかから用紙の供給を受けて印刷を行う印刷部と、
前記用紙を供給している給紙収容部での給紙不能を示す用紙エラーが発生した際に、前記用紙エラーの発生した給紙収容部に代替する給紙収容部の選択入力を受け付けると共にその記録を保持する代替記録保持部と、
前記代替記録保持部が保持する前記記録に基づいて前記給紙収容部のグループ化を行う自動グループ化設定部と、
前記グループ化された給紙収容部のいずれかで前記用紙エラーが発生した際に前記グループ内の他の給紙収容部からの用紙の供給に切替える給紙切替制御部と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記自動グループ化設定部は、前記代替記録保持部が記録する前記用紙エラーの発生した給紙収容部とその代替として選択された給紙収容部との組み合わせ頻度の高い給紙収容部同士をグループ化する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置であって、
前記自動グループ化設定部は、電源投入時、所定の時刻に達したとき、所定の時間間隔が経過したとき、ユーザの実行指示時、ジョブの開始時、ユーザが代替の給紙トレイを選択した時のうちの少なくともひとつ、又はそれらの自由な組み合わせをトリガーとして前記自動での給紙収容部のグループ化を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの画像形成装置であって、
前記用紙エラーは、用紙切れによるエラーか、又は用紙の属性が適合しないためのエラーか、前記給紙収容部から給紙駆動部への給紙エラーかのいずれかである
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−256075(P2009−256075A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109641(P2008−109641)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】