説明

画像形成装置

【課題】簡素な装置構成で帯電装置の周辺にオゾンや窒素酸化物,あるいはそれらから発生する反応物が滞留・蓄積されることを防止し,保守点検を煩雑なものとすることなく,白抜け,像流れ,地肌かぶりなどの画質低下を防止した画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のカラープリンタ1は,帯電空間を区画する安定板43と,連通路51,52,53と,連通路51に設けられ,通過する空気から水分を除去する乾燥室31と,連通路51と連通路52との接続箇所に設けられ,乾燥室31側と安定板43側と連通路52側とのいずれか1つを他の2つに対して閉鎖するとともに他の2つを互いに連通させる3つの状態のいずれか1つの状態をとる3方弁56と,乾燥室31を再生させる乾燥剤再生部33と,ファン54,57とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子写真方式の画像形成装置に関する。さらに詳細には,感光体の表面を帯電させるための帯電装置において発生する副産物を,適切に処理することのできる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では,感光体に潜像を形成する前に,その表面を均一に帯電させるための帯電装置を有している。この帯電装置による帯電工程においては,オゾンや窒素酸化物等の放電生成物が発生することがある。このオゾンや窒素酸化物等が,感光体の近傍にそのまま残留していると,その後の画像形成時において,白抜け,像流れ,地肌かぶりなどの画像障害を引き起こすことが知られている。そこで,従来より,ファン等による気流を用いて,これらを除去することが行われている。
【0003】
ここで,窒素酸化物は空気中の水分と容易に反応し,その結果,硝酸が生成される。さらに,硝酸は,空気中の微量のアンモニア等と反応すれば硝酸アンモニウムとなるなど,種々の硝酸化合物を生成することがある。しかし,これらの硝酸や硝酸化合物は,常温で液体または固体であり,通常のファン等の気流によるのみでは除去効率が悪い。しかも,これらが滞留・蓄積すれば,やはり画像障害の原因となる。
【0004】
これに対し,例えば,特許文献1には,画像形成装置を閉空間化して,その内部を除湿する技術が開示されている。本文献では,これにより,窒素酸化物と水分との反応が抑制されるので,硝酸の生成が抑制できるとされている。また,特許文献2には,吸着剤を用いて空気中の悪影響を及ぼす成分をあらかじめ除去した気流を,帯電装置周辺に吹き込む技術が開示されている。これにより,発生した放電生成物を効果的に除去することができるとされている。また,特許文献3には,コロナ放電器周辺のオゾン等を排出するためのエアーフローを,高温高湿環境時には特に強化する技術も開示されている。
【特許文献1】特開2004−29397号公報
【特許文献2】特開2003−270906号公報
【特許文献3】特開2006−145817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の特許文献1の技術では,機内を閉空間化しているために,装置各部の発熱による熱が内部にこもりやすい。そのため,装置を冷却するための設備が必要となり,装置構成が複雑になるという問題点があった。
【0006】
また,上記の特許文献2の技術では,吸着剤を使用し続けるため,その吸着能力が急速に低下するおそれがある。そのため,吸着剤を頻繁に交換することが必要となる。このことは,ユーザにとってその保守点検が煩雑なものとなっている。さらに,メインスイッチをオフした後もしばらくの間はファンを動作させる必要があるので,別に専用の電源が必要となるという問題点があった。
【0007】
また,上記の特許文献3の技術では,コロナ放電器の周辺に常時,高湿度の空気が供給されているため,発生する窒素酸化物の硝酸化反応を抑制することが難しい。さらに,発生した硝酸化合物はエアーフローを強化しても除去されにくいため,蓄積されやすいという問題点があった。
【0008】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,簡素な装置構成で帯電装置の周辺にオゾンや窒素酸化物,あるいはそれらから発生する反応物が滞留・蓄積されることを防止し,保守点検を煩雑なものとすることなく,白抜け,像流れ,地肌かぶりなどの画質低下を防止した画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,感光体と,感光体の表面を帯電させる帯電器とを有し,帯電器により帯電された感光体の表面に静電潜像を形成しこれを現像してトナー像を作成する画像形成装置であって,帯電器による帯電空間を機内の他の部分から区画するダクトと,ダクト内の空間と機外とを連通する第1および第2の連通路と,第1の連通路に設けられ,通過する空気から水分を除去する乾燥室と,第1の連通路における乾燥室とダクトとの間の位置と機外とを結ぶ第3の連通路と,第1の連通路と第3の連通路との接続箇所に設けられ,乾燥室側とダクト側と第3の連通路側とのいずれか1つを他の2つに対して閉鎖するとともに他の2つを互いに連通させる3つの状態のいずれか1つの状態をとる連通路切り替え装置と,乾燥室を再生させる再生部と,第1の連通路と第2の連通路と第3の連通路とに気流を起こさせる送風機とを有するものである。
【0010】
本発明の画像形成装置によれば,ダクトと連通路とによって,帯電器による帯電空間が機外と連通されている。さらに,連通路切り替え装置によってダクトは,第1の連通路と乾燥室とを介して機外と連通される状態と,第3の連通路によって乾燥室を経由せずに機外と連通される状態とで切り換えられる。あるいは,ダクトを経由せずに,第1の連通路と第3の連通路とが互いに連通される状態を取ることもできる。それらの各状態で,送風機を作動させれば,連通路に気流を起こさせることができる。さらに,再生部を作動させれば,乾燥室を再生させることができる。従って,簡素な装置構成で帯電装置の周辺にオゾンや窒素酸化物,あるいはそれらから発生する反応物が滞留・蓄積されることを防止し,保守点検を煩雑なものとすることなく,白抜け,像流れ,地肌かぶりなどの画質低下を防止した画像形成装置となっている。
【0011】
さらに本発明では,送風機が,第1の連通路の機外への開口から接続箇所に至る範囲内の箇所と,第2の連通路の機外への開口から接続箇所に至る範囲内の箇所と,第3の連通路の機外への開口から接続箇所に至る範囲内の箇所との3箇所のうちの2箇所以上に設けられていることが望ましい。
このようにすれば,ダクトや各連通路の連通の状態に合わせて適切な送風機を駆動して,帯電空間に,乾燥させた空気または普通の外気を流すことができる。
【0012】
さらに本発明では,機内の湿度を検知する湿度検知部と,連通路切り替え装置と送風機と再生部とを制御する制御部とを有し,制御部は,検知された湿度があらかじめ定めた閾値以上の状態での高湿画像形成時には,連通路切り替え装置を,乾燥室側とダクト側とを連通させ第3の連通路側を閉鎖する状態とし,送風機により,第1の連通路の機外への開口から乾燥室を経由してダクトに向かう気流を起こさせ,検知された湿度があらかじめ定めた閾値未満の状態での低湿画像形成時には,連通路切り替え装置を,ダクト側と第3の連通路側とを連通させ乾燥室側を閉鎖する状態とし,送風機により,第3の連通路の機外への開口から乾燥室を経由しないでダクトに向かう気流を起こさせ,乾燥室の再生時には,連通路切り替え装置を,乾燥室側と第3の連通路側とを連通させダクト側を閉鎖する状態とし,送風機により,第1の連通路の機外への開口から接続箇所を経由して第3の連通路の機外への開口に向かう気流,またはその逆向きの気流を起こさせるとともに,再生部を作動させることが望ましい。
このようにすれば,画像形成中には帯電空間に気流が起こされるので,オゾンや窒素酸化物が発生したとしても排出される。さらに,機内が高湿度の時には,乾燥室を経由して乾燥された空気が流されるので,窒素酸化物の反応を抑止することができる。さらに,再生時にはダクトを経由しない気流が起こされるので,高湿の空気が帯電空間に流されることはない。
【0013】
さらに本発明では,第1の連通路の機外への開口から乾燥室に至る範囲内に設けられ,制御部により制御される開閉弁を有し,制御部は開閉弁を,高湿画像形成時と乾燥室の再生時とには開き,低湿画像形成時と装置休止時とには閉じることが望ましい。
このようにすれば,乾燥室は,空気の除湿や乾燥室の再生を行っている場合以外は,閉止される。従って,乾燥室に設けられた乾燥剤等が無用に劣化することはない。
【0014】
さらに本発明では,第1の連通路の機外への開口から乾燥室に至る範囲内に設けられた開閉弁を有することが望ましい。
このようになっていれば,開閉弁と連通路切り替え装置とによって,乾燥室を閉鎖状態とすることが出来る。
【0015】
さらに本発明では,乾燥室の活性の程度を検知する活性検知部を有することが望ましい。
このようになっていれば,活性検知部の検知結果に基づいて,乾燥室の再生を行うことができる。
【0016】
さらに本発明では,乾燥室の活性の程度を検知する活性検知部を有し,制御部は,活性検知部の検知結果があらかじめ定めたその閾状態以下に低下したときに,乾燥室の再生を行うことが望ましい。
このようにすれば,活性検知部の検知結果に基づいて,乾燥室を再生させるタイミングを判断するので,活性が低下しすぎないうちに適切に再生させることができる。
【0017】
さらに本発明では,制御部は,乾燥室の再生後における活性検知部の検知結果がその閾状態以下である場合に,画像形成を拒否することが望ましい。
再生処理を行っても活性の程度が回復しない場合は,乾燥室の劣化が進んだということである。本発明では,この状態でさらに画像形成を行うことがなく,高湿度であっても,窒素酸化物の反応物等が蓄積することが防止される。
【0018】
さらに本発明では,乾燥室は,シリカゲル,アルミナ,シリカアルミナ系吸着剤,塩化カルシウム,硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸カルシウム,ゼオライト,セルロース,変性アクリレート樹脂のうちの少なくとも1種類の乾燥剤を有するものであることが望ましい。
このような乾燥剤を使用すれば,乾燥室として好適である。
【0019】
さらに本発明では,再生部が,加熱により乾燥室を再生するものであり,乾燥室から接続箇所を経由して第3の連通路の機外への開口に至る範囲内の連通路と,第1の連通路の機外への開口から乾燥室に至る範囲内の連通路との一方の,少なくとも一部の外側に断熱材が設けられていることが望ましい。なお,ここでの一方とは,乾燥室の再生時に気流の下流側となる連通路のことである。
乾燥室の再生が,加熱により行われるものである場合,乾燥室の再生時には,高温高湿度の空気が連通路に流される。このようになっていれば,この空気を機内であまり温度低下させることはなく,連通路中に結露することが防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成装置によれば,簡素な装置構成で帯電装置の周辺にオゾンや窒素酸化物,あるいはそれらから発生する反応物が滞留・蓄積されることを防止し,保守点検を煩雑なものとすることなく,白抜け,像流れ,地肌かぶりなどの画質低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,いわゆるタンデム方式のカラープリンタに本発明を適用したものである。
【0022】
本形態のカラープリンタ1は,図1にその概略構成を示すように,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kが中間転写ベルト11に沿って並べられた,いわゆるタンデム方式のものである。カラープリンタ1はさらに,給紙カセット12,2次転写部13,定着部14,排紙ローラ15等を有している。以下の文中では,特に区別する必要のない場合には,YMCKの添字を省略して表記する。
【0023】
各プロセスユニット10は,画像形成用の一般的なユニットであり,それぞれ,感光体21と,その周囲に配置された帯電装置22,露光装置23,現像装置24,転写装置25,クリーニング装置26等を有している。さらに,本形態では機内に,乾燥室31,温湿度センサ32をも有している。ここでは,温湿度センサ32はブラック用の帯電装置22の近くに設けられている。また,現像装置24へトナーを補給するためのトナーホッパをさらに有していても良い。
【0024】
次に,帯電装置22について説明する。本形態では,帯電装置22としてスコロトロン帯電器を使用している。スコロトロン帯電器では,図2に示すように,感光体21に対面して鋸歯電極41とグリッド42が配置されている。そして,鋸歯電極41におよそ−5〜−7kVの電圧を印加し,その先端部において気中放電を発生させる。さらに,グリッド42は,厚さ0.1〜0.2mm程度の薄肉の金属で格子状に構成され,−400〜−1200Vの電圧が印加される。これにより,感光体21の表面電位を適切に制御する。ここで,カラープリンタ1は,様々な環境下で使用されることが想定される。そのため,この気中放電が安定するように,鋸歯電極41の周囲には,図2中,感光体21側以外の3方を囲んで安定板43が配置されている。
【0025】
本形態では,帯電装置22によって気中放電が起きる範囲の空間(以下では帯電空間という)に,空気を流通させるための経路が形成されている。ここでは,図2中に斜線で示すように,安定板43と感光体21とで囲まれる範囲が帯電空間である。そして本形態では,この範囲内を空気を流通させるための流路とし,安定板43をダクトとして機能させる。なお,安定板43の図中上端と感光体21との間には,僅かに隙間が設けられているが,本形態でいう帯電空間はこの範囲を含むものである。
【0026】
さらに本形態では,各色のプロセスユニット10に含まれる各帯電装置22の安定板43の図2中奥行き方向の両端部が,図3に示すように,互いに連通されている。すなわち,各色の帯電空間はその両端部において互いに連通されている。図3中において,43Y,43M,43C,43Kで示すのは,各色の帯電空間である。以下では,各色の帯電空間とそれらが連通されている箇所までを総帯電空間という。この総帯電空間には,帯電装置22の軸方向の一端側に連通路51が,他端側に連通路53が,それぞれ接続されている。
【0027】
さらに,総帯電空間の一端側の連通路51には,図3中左から,ファン54,開閉弁55,乾燥室31,3方弁56が接続されている。さらに,3方弁56によって連通路51と連結された連通路52が設けられている。連通路52中には,弁等は設けられていない。また,総帯電空間の他端側の連通路53には,図中左からファン57,フィルタ58が接続されている。
【0028】
また,これらの各連通路51,52,53の総帯電空間に接続されている側以外の端部は,それぞれ開口51p,52p,53pが設けられて,機外へ連通されている。さらに,連通路52は,その周囲に断熱材59が設けられている。また,温湿度センサ32,活性検知部34の検出結果を受け,乾燥剤再生部33,ファン54,57,開閉弁55,3方弁56をそれぞれ制御するための制御部60を有している。また,制御部60は,画像形成の一般的な制御をも行う。なお,乾燥剤再生部33,活性検知部34については,後述する。
【0029】
ここで,ファン54は,機外から連通路51へ空気を導入するためのものである。ファン54を駆動することによって,開口51pから外気が流入し,図3中左から右向きに空気の流れが形成される。開閉弁55は,連通路51の連通状態を開閉する。また,3方弁56は,連通路51,52と総帯電空間との連通状態を切り換える。具体的には,連通路51と総帯電空間とを連通させて連通路52を連通させない状態,連通路51と連通路52とを連通させて総帯電空間を連通させない状態,連通路52と総帯電空間とを連通させて連通路51を連通させない状態の3通りの状態間での切り替えが可能である。なお,このように切り替えができれば,3方弁56に代えて,切替弁と開閉弁との組み合わせによって構成しても良い。
【0030】
ファン57は,開口53pから機外へ排気するためのものである。ファン57を駆動することによって,図3中左から右向きに送風できる。フィルタ58は,総帯電空間で発生するオゾンや窒素酸化物を回収して除去し,排出される空気を無害化するためのものである。
【0031】
なお,ファン54とファン57の配置は,これに限らない。連通路51のうちの開口51pから3方弁56までの範囲内と,連通路52中(開口52pから3方弁56までの範囲内)と,3方弁56から連通路53の開口53pまでのうち総帯電空間を除いた範囲内との3箇所のうち2箇所以上に設置すればよい。なお,総帯電空間の範囲内に各色毎にファンを設けるようにすれば,各色毎に通風させるか否かの制御を行うことができる。また,各連通路51,52,53には,それぞれの開口51p,52p,53pにさらにフィルタを設け,外部からの粉塵等の混入を防止するようにしても良い。
【0032】
また,乾燥室31は,内部に乾燥剤が配置された容器である。空気が乾燥室31内を通過すると,その空気から水分が除去される。すなわち,乾燥室31によって,空気の絶対湿度と相対湿度とがともに低減される。この乾燥室31は,例えば樹脂製の容器に,シリカゲル,アルミナ,シリカアルミナ系吸着剤,塩化カルシウム,硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸カルシウム,ゼオライト,セルロース,変性アクリレート樹脂等よりなる乾燥剤を入れたものである。また,乾燥剤の形態としては,ペレット形態,シート形態,粉末形態,フィルタ形態,ハニカム構造形態などから,適切なものを選択すればよい。また,乾燥剤として上記以外のものを併用しても良い。
【0033】
また本形態では,乾燥室31の周囲に,乾燥剤再生部33が設けられている。上記のような乾燥剤は,いずれも,加熱あるいは減圧によって吸収した水分を放出させることにより,再生することができる。そこで,乾燥剤再生部33は,乾燥室31を加熱して再生させる。乾燥剤再生部33としては,電熱線,電磁誘導加熱,火力,熱風,マイクロ波等を用いて加熱するものとすればよい。あるいは,定着部14で発生する熱を導入して使用しても良い。この乾燥剤再生部33は,乾燥室31の外周に沿って1個または複数個が設けられてもよいし,一つながりに周囲を取り囲んで配置しても良い。あるいは,乾燥室31の周囲を格子状に被覆してもよい。
【0034】
さらに本形態では,乾燥室31の内部に,活性検知部34を有している。この活性検知部34は,乾燥室31内の乾燥剤の活性の程度を検知するものである。活性の程度とは,その時の状態の乾燥室31によって,あとどの程度吸湿できるかの指標である。この活性検知部34の検出結果に基づいて,カラープリンタ1では,乾燥剤再生部33による乾燥剤の再生処理を行うかどうかを判断する。例えば,シリカゲルは,吸湿の程度によってその色が青と白の間で変化する。そこで,活性検知部34として,色を検出できる撮像装置を備える。そして,乾燥室31内のシリカゲルを撮像し,その色の程度を取得する。取得された色を,あらかじめランク付けして記憶させてある指標色と比較することにより,乾燥室31内の乾燥剤の活性の程度を取得することができる。
【0035】
さらに本形態では,その指標色の1つをあらかじめ基準色として記憶させておく。乾燥室31内の乾燥剤の色が,基準色よりも白に近いと判断されたら,かなり吸湿が進んでいることを意味する。そこで,カラープリンタ1は,乾燥剤再生部33を作動させて乾燥剤を再生させる。
【0036】
次に,本形態の感光体21について説明する。本形態の感光体21は,組成や膜の構成について公知の感光体を選んで使用することが可能であるが,以下のように,耐久性に優れたものを使用するほうが,本形態の画質改善効果を長期にわたって得ることができるので,さらに好適である。例えば,感光体21の最表面層の結着樹脂として,エステル結合を含む樹脂,熱硬化性樹脂,光硬化性樹脂のうちの少なくとも1種類を含む樹脂を用いる。これにより最表面層の耐久性に優れた感光体21を得ることができ,本形態の画質改善効果を長期にわたって得ることができる。
【0037】
なお,これらのうち,エステル結合を含む樹脂としては,例えば,ビスフェノール化合物を骨格原料に用いて合成されるポリカーボネートやポリエステルが挙げられる。このビスフェノール化合物としては例えば,ビスフェノールA,ビスフェノールZ,ビスフェノールAF,2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを用いることができる。骨格を有する樹脂を使用する場合は,2種以上の骨格を用いた共重合をして用いることや,その他骨格を持つ樹脂と混合して用いることや,分子量分布が異なる樹脂と混合して用いることも可能である。また,熱硬化性樹脂としては例えば,メラミン樹脂,グアナミン樹脂,フェノール樹脂,などが挙げられる。光硬化性樹脂としては例えば,アクリル樹脂,不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0038】
または,感光体21として,最表面に無機材料または有機不溶性材料を含む層を有するものを用いてもよい。このようにしても耐久性に優れた感光体21を得ることができるからである。このうち,無機材料としては,例えば,二酸化チタンなどの無機顔料や,シリカ,アルミナ,ホウケイ酸ガラスなどの微粒子が挙げられる。無機材料については,そのまま用いる方法の他に,シランカップリング剤,コロイド粒子,メッキを用いた表面処理を行って用いることもできる。
【0039】
また,有機不溶性材料としては,ポリテトラフルオロエチレンの微粒子,ポリエチレン−ポリテトラフルオロエチレンの共重合体の微粒子,有機化合物の顔料,熱硬化性樹脂の微粒子などが挙げられる。また,有機不溶性材料と無機材料とをハイブリッド化して用いることもできる。有機不溶性微粒子の形状や粒径についても,特に限定するものではなく,耐久性や感光体特性などを損なわない限りにおいて,種々の方法を選択できる。
【0040】
なお,無機感光体の場合であれば,最表面を無機材料による感光層とすることができるので,さらに外側に層を追加しなくてよい。無機材料の形状や粒径については,耐久性や感光体特性などを損なわない限りにおいて,種々の方法を選択できる。
【0041】
さらに,感光体21の最表面層の組成については,有機感光体の場合であれば,上記の他に,目的や用途に応じて,その他の結着樹脂,電荷輸送剤を初めとする各種の機能材料,感光体の特性を改善維持するための各種の少量添加剤,感光体材料の酸化劣化を防止するための酸化防止剤等を付加して用いることができる。感光体21の中間層の構成および材質については,耐久性や感光体特性などを損なわない限り,カラープリンタ1で用いる露光波長,プロセス速度,感度領域,帯電方法等の条件に応じて種々のものを選択して用いることができる。
【0042】
次に,現像装置24で用いられるトナーについて説明する。本形態のカラープリンタ1では,公知の組成や構成を有するトナーを選んで使用することが可能である。特に,低温融着可能なトナーを用いれば,従来のものに比較して定着プロセスの温度を低減することができるのでさらに好適である。これにより記録媒体が熱によって受けるダメージを低減でき,画質向上効果を高めることができるからである。また,重合法によって合成された重合トナーを用いる場合でも,ドット径を小さくすることが可能であり,画質向上効果を高めることができる。低温融着可能な重合トナーを用いれば,さらによい。なお,低温融着可能な重合トナーの例としては,コニカミノルタ製「デジタルトナー」(商品名)がある。
【0043】
次に,本形態のカラープリンタ1の動作について説明する。画像形成時には,感光体21の表面は,帯電装置22によって一様に帯電され,露光装置23によって画像データに基づいた静電潜像が形成される。さらに,その静電潜像に現像装置24によってトナーが供給されることによりトナー像が形成される。各色のプロセスユニット10の各感光体21上に形成された各色のトナー像は,順に中間転写ベルト11に転写されて重ね合わされる。転写後も感光体21上に残るトナーは,クリーニング装置26によって除去される。なお,転写後かつ帯電前に感光体21の表面の電位状態を整えるための除電装置をさらに有していても良い。
【0044】
一方,給紙カセット12から記録媒体が1枚ずつ給紙される。そして,中間転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像が,2次転写部13において記録媒体に転写される。トナー像が転写された記録媒体は,定着部14に導かれる。さらに,定着部14において,加圧および加熱されることにより,トナー像が記録媒体に定着される。画像が定着された記録媒体は,排紙ローラ15によって外部に排紙される。
【0045】
画像形成を行うと,帯電装置22では,オゾンや窒素酸化物などの放電生成物が発生することがある。この放電生成物を帯電空間に放置すると,画像障害を起こすおそれがある。そのため本形態では,画像形成時に総帯電空間に空気流を形成する。動作環境が高湿度でない場合には,図4に示すように,普通の外気の導入状態に設定する。すなわち,開閉弁55は閉止し,3方弁56は,連通路52と総帯電空間とを連通させて連通路51を連通させない状態とする。これにより,総帯電空間は,連通路52と連通路53とに連通される。なお,図4〜図7では,制御部60を省略して示している。
【0046】
そして,空気流を形成する時には,ファン54は停止し,ファン57を駆動する。これにより,図4中に矢印で示すように,総帯電空間の空気は連通路53を経由して機外に排出され,その分の空気が,機外から連通路52を介して補充される。排出される空気は,フィルタ58を通って無害化されている。なお,この図および以後の図では,開閉弁55は開放されている状態を白,閉止されている状態を黒で示す。また,3方弁56は,閉止されている方向を黒で示す。
【0047】
ここで,窒素酸化物は空気中の水分と反応して,硝酸や亜硝酸などを生成することが知られている。また,生成された硝酸化合物は,ファンによる排気のみでは排出されにくい。そこで,本形態では硝酸化合物の生成自体を抑える。すなわち,動作環境が湿度の高い状態となったら,総帯電空間に送り込む空気を乾燥空気とする。本形態では,温湿度センサ32を有しているので,この検出結果から動作環境を把握できる。例えば,温度と相対湿度とから判断しても良いし,絶対湿度を利用しても良い。
【0048】
そして,動作環境が高湿度状態であると判断されたら,図5に示すように,乾燥空気の導入状態に設定する。すなわち,開閉弁55を開放するとともに,3方弁56を連通路51と総帯電空間とを連通させて連通路52を連通させない状態とする。これにより,総帯電空間は,連通路51と連通路53とに連通される。そして,空気流を形成する時には,ファン54とファン57とを駆動する。これにより,図中に矢印で示すように,総帯電空間には,乾燥室31を通過した乾燥空気が流通され,連通路53を介して機外に排出される。これにより,総帯電空間の雰囲気は乾燥したものとなるので,硝酸化合物の生成は抑えられる。
【0049】
なお,ファン54とファン57とのうち,いずれか一方のみを駆動するようにしても良い。また,高湿度状態の判断基準としては,湿度60〜80%の範囲内の閾値をあらかじめカラープリンタ1に記憶させておく。温湿度センサ32によって検出された湿度がこの閾値を超えていたら,高湿度状態であると判断する。あるいは,温度条件等を加味して判断するようにしても良い。また,複数段階の閾値を設けるようにしても良い。なお,乾燥空気とは,カラープリンタ1周辺の外気に比較して,絶対湿度および相対湿度をともに低減させた空気のことである。必ずしも,空気中の水蒸気含有量が0に近いものでなくとも良い。
【0050】
このようにして乾燥室31に空気を流通させると,乾燥剤は空気中の水分を吸着して次第に吸湿の程度が進んでいく。そこで,活性検知部34によって,乾燥剤の活性の程度を検出する。例えば,乾燥剤がシリカゲルの場合では,上記したように,その色によって活性の程度が把握できる。そして,あらかじめ決められたランクより活性が低下していると判断されたら,非画像形成時を利用して乾燥剤再生部33を駆動し,乾燥剤を再生させる。
【0051】
本形態では例えば,カラープリンタ1の電源投入の直後から画像形成可能な状態となるまでの待機時間中や,一定枚数を印刷した後の画像調整を行う時間帯や,ユーザによる指示入力待ち時間帯等に,必要に応じてこの乾燥剤の再生処理を行う。あるいは,活性検知部34によって乾燥剤の活性程度を検出する代わりに,乾燥剤の使用時間を用いて判断しても良い。例えば,前回の乾燥剤再生時から,乾燥空気を流した合計時間または乾燥空気を導入して印刷した印刷枚数,乾燥空気導入状態に設定されていた合計時間等が,基準値を超えた場合に再生処理を行う必要があると判断しても良い。あるいは,乾燥剤の活性程度と乾燥剤使用時間とを併用して,再生時期を判断してもよい。もちろん,乾燥剤の吸湿がかなり進行して,活性が低下しており,緊急に再生させる必要があると判断された場合はこの限りでない。
【0052】
この乾燥剤の再生時には,図6に示すように,乾燥剤再生状態に設定する。すなわち,開閉弁55を開放するとともに,3方弁56を連通路51と連通路52とを連通させて総帯電空間を連通させない状態とする。これにより,連通路51と連通路52とが連通されるとともに,総帯電空間はこれらと連通されない。そして,再生処理を実行するときには,乾燥剤再生部33を作動させ,乾燥室31を加熱するとともに,ファン54を駆動する。これにより,乾燥剤中の水分を蒸発させ,その水分を含んだ湿度の高い空気を連通路52から排出させる。従って,効率よく乾燥剤の再生を行うことができる。なお,連通路52の周囲には,断熱材59が設けられているので,水分の多い空気の排出中に,水蒸気が結露して滞留することが防止されている。
【0053】
また,本形態では,画像形成を行わない時にはできるだけ,乾燥剤に吸湿させないことが望ましい。そこで,非画像形成時には,図7に示すように,待機状態に設定する。すなわち,開閉弁55は閉止し,3方弁56は,連通路52と総帯電空間とを連通させて連通路51を連通させない状態とする。これにより,乾燥室31を含む空間は,開閉弁55から3方弁56までの間で閉鎖される。また,ファン54,57はいずれも停止させておく。従って,乾燥室31に湿った空気が新たに流れ込むことはなく,非画像形成時に不必要に吸湿して,乾燥剤を劣化させることはない。特に,カラープリンタ1の主電源をオフした状態では,この図に示している状態となるように,開閉弁55と3方弁56との向きが選択されている。
【0054】
なお,この待機状態での乾燥剤の遮蔽方法は,水蒸気の通過を遮蔽することができれば,窒素,酸素等の通過は可能であっても良い。また,必ずしも完全に遮蔽できなくても,開状態と比べて通過しにくくなればよい。なお,遮蔽手段である弁体の材質としては,金属,固形樹脂,高分子薄膜材料等を使用できる。あるいは,これらの複合物でも良い。また,逆流防止装置のように,気流の向きが逆転したときに,自動的に遮蔽する機構をさらに備えていても良い。
【0055】
次に,帯電空間の他の例を示す。例えば,上記のようにスコロトロン帯電器の安定板43の内部を帯電空間とする代わりに,図8に示すように,ダクト61をさらに設けても良い。すなわち,安定板43の長手方向にスリット状の開口部を設け,その開口部にダクト61を連通させたものでもよい。
【0056】
あるいは,帯電装置22としては,スコロトロン帯電器に代えて,ローラ状帯電器,ブレード状帯電器,ブラシ状帯電器等を使用することもできる。これらの場合にはそれぞれ,帯電器の周囲に感光体21に面している方を除いた3面を覆うダクトを形成し,その内部を帯電空間とすればよい。例えば,図9に示すように,ローラ状帯電器62とその周囲のダクト63を設けたものとしてもよい。あるいは,図10に示すように,ブレード状帯電器64とダクト65としてもよい。あるいは,図11に示すように,ブラシ状帯電器66とダクト67としてもよい。いずれの例においても,各ダクトの内部が帯電空間に相当する。
【0057】
次に,このカラープリンタ1における画像形成時の処理について,図12のフローチャートを参照して説明する。この処理は,ユーザによって画像形成指示を受けたときに実行される。なお,本処理が実行される前には,カラープリンタ1は図7に示す待機状態となっている。すなわち,乾燥室31は閉止されている。
【0058】
本処理が実行されるとまず,カラープリンタ1は,温湿度センサ32によって動作環境の湿度を取得する(S101)。そしてその取得された湿度が,基準値を上回っているかどうかを判断する(S102)。動作環境の湿度が,基準値を上回る高湿度である場合には,図5に示す乾燥空気の導入状態に設定する(S103)。高湿度ではない場合には,図4に示す普通の外気の導入状態に設定する(S104)。
【0059】
そして,ファン57を駆動し,総帯電空間に空気流を形成する(S105)。これにより,動作環境が高湿度であれば乾燥空気が導入され,高湿度でなければ外気がそのまま導入される。この状態で,画像形成処理を行う(S106)。なお,この空気流は連続的に形成しても良いし,断続的としても良い。例えば,画像形成動作の開始直前から終了後一定の時間が経過するまでの間,連続的に吹き込んでも良い。あるいは,画像形成動作の開始直前から画像形成終了までの間,一定の時間間隔で間欠的に吹き込んでも良い。あるいは,画像形成動作の開始直前にのみ吹き込むとしても良い。
【0060】
そして,指示入力された画像形成処理がすべて終了し,空気流の吹き込みタイミングが終了したら,ファン57を停止して,空気流を停止する(S107)。さらに,図7に示す待機状態に設定して,待機する(S108)。従って,画像形成中以外の時間は,動作環境の湿度に関わらず,乾燥室31は閉止されている。これで,本処理の説明を終了する。
【0061】
動作環境が高湿度で,乾燥空気の導入を行った場合,乾燥剤の吸湿程度が進行する。ある程度以上吸湿すると,乾燥剤はそれ以降の吸湿能力が低下する。そこで,例えば主電源をオンした後の待機時間中や,画像形成から待機状態へと移行したタイミング等の非画像形成時に,乾燥剤の吸湿程度をチェックする。この乾燥剤検知処理について,図13のフローチャートを参照して説明する。なお,本処理が実行される前には,カラープリンタ1は図7に示す待機状態となっている。
【0062】
本処理を開始すると,カラープリンタ1はまず,活性検知部34によって乾燥剤の活性程度を検出する(S201)。その結果に応じて,乾燥剤の吸湿が進み,再生すべきタイミングであるかどうかを判断する。活性検知部34による検知結果が,乾燥空気の作成に必要な最低限度の乾燥状態を示す基準値を下回っていると判断されたら(S202:Yes),乾燥剤の再生処理を行う。
【0063】
乾燥剤の再生処理を行う場合には,まず,図6に示す乾燥剤再生状態に設定する(S203)。そして,乾燥剤再生部33とファン54を駆動させ,乾燥剤の再生処理を行う(S204)。なお,乾燥剤の再生にかかる時間は,乾燥剤の量や乾燥剤再生部33の再生処理能力等に応じてあらかじめ把握できる。そこで,カラープリンタ1では,1回の再生処理を行う再生時間はあらかじめ定められ記憶されている。そして,その再生時間だけ再生処理を行ったら,再生処理を終了する。そして,図7の待機状態に設定する。
【0064】
次に,再び活性検知部34によって乾燥剤の活性程度を検出する(S205)。そして,今回も相変わらず吸湿がかなり進んでいる状態のままであると判断されたら(S206:Yes),再生処理によっても十分な再生が不可能な程度まで,乾燥剤が劣化したということである。そこで,カラープリンタ1に,乾燥剤を交換するようユーザに促す警告メッセージを表示する(S207)。この状態では,カラープリンタ1は,画像形成指示を受け付けない。
【0065】
そして,ユーザによってこの警告メッセージが解除されるまで待機する(S208)。ユーザによってこの警告メッセージが解除されたら(S208:Yes),再び乾燥剤の吸湿程度を検知する(S205)。乾燥剤が交換されていれば,このときの乾燥剤は吸湿が進んでいることはない(S206:No)。しかし,乾燥剤を交換することなく,単にメッセージの解除のみが行われた場合は,乾燥剤は吸湿が進んでいるままである(S206:Yes)。従って,再び警告メッセージを表示して(S207),乾燥剤が交換されるまで待つ。
【0066】
本処理の初めの判断時から乾燥剤の吸湿が進んでいないと判断された場合(S202:No)や,乾燥剤の再生あるいは交換によって,吸湿が進んでいない状態になった場合(S206:No)では,図7に示す待機状態に設定して,待機する(S209)。これで,本処理の説明を終了する。
【0067】
なお,再生処理を再生時間で規定する代わりに,再生中における乾燥剤の活性程度を活性検知部34によって適宜検知して,乾燥状態になったと判断されたらやめるようにしても良い。この場合でも,あらかじめ決められた再生時間を超えて再生処理を行っても,良好な乾燥状態を得られない場合には,乾燥剤が劣化したと判断することができる。
【0068】
以上詳細に説明したように本形態のカラープリンタ1によれば,乾燥剤を収容した乾燥室31が設けられているので,帯電空間に乾燥空気を導入することができる。さらに,動作環境を取得し,環境が高湿度である場合には乾燥空気を導入し,高湿度でない場合は外気をそのまま流通させるので,高湿度空気が帯電空間に供給されて硝酸化合物が生成されることが抑制される。また,必要以上に乾燥剤を使用することが無く,ランニングコストを低減することができる。
【0069】
さらには,待機状態では,乾燥室31を閉止しているので,無用の吸湿を続けて乾燥剤の劣化が激しく進行することはない。これにより,簡素な装置構成で帯電装置22の周辺にオゾンや窒素酸化物,あるいはそれらから発生する反応物が滞留・蓄積されることを防止し,保守点検を煩雑なものとすることなく,白抜け,像流れ,地肌かぶりなどの画質低下を防止することができる。
【0070】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
たとえば,乾燥室31は,複数種の乾燥剤を併用したり,ペレット形態やシート形態の担持体に乾燥剤を担持させても良い。また,乾燥剤を用いる代わりに,空気を露点以下に冷却する方法で乾燥させても良い。さらに,帯電空間以外にも乾燥空気を導入したい装置がある場合は,帯電空間と並列接続して使用しても良い。また,各色の帯電空間に同時に空気を吹き込む構成としているが,各色毎に制御するようにしても良い。特に,ブラックのみに吹き込むことができるようにしても良い。
【0071】
また,乾燥剤再生部33は乾燥室31の内部に設けても良い。さらには,乾燥剤再生部33は,加熱する代わりに,ポンプによる吸気によって乾燥室31を減圧して,乾燥剤を再生させることもできる。あるいは,加熱と減圧とを併用しても良い。また,待機状態では,乾燥室31の前後で閉止するとしたが,乾燥室31と総帯電空間をと含んだ空間部分全体を閉止したり,さらにその他の領域を含んで閉止するものとしても良い。特に,吹き込まれた乾燥空気をさらに有効活用するために,乾燥空気を吹き込んだ後に帯電空間を一時的に閉止するようにしても良い。また,乾燥剤の活性程度を検知する活性検知部34は,検知に差し支えがなければ,乾燥室31外に配置しても良い。
【0072】
また,温湿度センサ32は複数あっても良い。その場合には,各色の帯電空間の近くに設けると良い。また,帯電装置22の電極は鋸歯電極41に限らず,円形や多角形の断面形状を有する細線状電極を用いても良い。また,1つの帯電装置22に複数個の放電電極を設けたものでも良い。また,安定板の断面形状やダクトの断面形状,グリッドの開口部形状,放電電極や安定板等の材質や製造方法等も上記の例に限らず,種々のものを用いることができる。
【0073】
また,タンデム方式のカラープリンタの場合,4色を表示するためには少なくとも4個の帯電装置を備える必要があるが,4個とも全く同じ規格の帯電装置である必要はなく,各色で用いるシステム速度や寿命や画質基準に応じて,個別に帯電器の大きさや種類を変更して用いてもよい。なお,本発明は,画像形成装置のうちで,主として帯電空間に関する形態と制御とを示したものであるが,本発明と関係のない部分,例えば,現像,転写,定着などに関する構成については,公知の種々の形態や制御を適用することができる。また,画像形成装置としては,タンデム方式のカラープリンタ専用機に限定するものではなく,プリント以外にファックス,スキャナ,コピーの機能の少なくとも1つを兼ね備えた複合機に適用してもよい。また,装置内で用いる感光体が3本以下,または5本以上であるプリンタに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本形態に係るカラープリンタを示す概略構成図である。
【図2】帯電空間の例を示す説明図である。
【図3】本形態に係る空気流通のための機構を示す概略構成図である。
【図4】画像形成時の気流を示す説明図である。
【図5】乾燥空気を導入する時の気流を示す説明図である。
【図6】乾燥剤の再生時の気流を示す説明図である。
【図7】画像形成停止時の状態を示す説明図である。
【図8】スコロトロン帯電器での別の例を示す説明図である。
【図9】ローラ状帯電器を示す説明図である。
【図10】ブレード状帯電器を示す説明図である。
【図11】ブラシ状帯電器を示す説明図である。
【図12】画像形成時の処理を示すフローチャート図である。
【図13】非画像形成時の処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0075】
1 カラープリンタ
22 帯電装置
31 乾燥室
32 温湿度センサ
33 乾燥剤再生部
34 活性検知部
43 安定板
51,52,53 連通路
51p,52p,53p 開口
54,57 ファン
55 開閉弁
56 3方弁
58 フィルタ
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と,前記感光体の表面を帯電させる帯電器とを有し,前記帯電器により帯電された前記感光体の表面に静電潜像を形成しこれを現像してトナー像を作成する画像形成装置において,
前記帯電器による帯電空間を機内の他の部分から区画するダクトと,
前記ダクト内の空間と機外とを連通する第1および第2の連通路と,
前記第1の連通路に設けられ,通過する空気から水分を除去する乾燥室と,
前記第1の連通路における前記乾燥室と前記ダクトとの間の位置と機外とを結ぶ第3の連通路と,
前記第1の連通路と前記第3の連通路との接続箇所に設けられ,前記乾燥室側と前記ダクト側と前記第3の連通路側とのいずれか1つを他の2つに対して閉鎖するとともに他の2つを互いに連通させる3つの状態のいずれか1つの状態をとる連通路切り替え装置と,
前記乾燥室を再生させる再生部と,
前記第1の連通路と前記第2の連通路と前記第3の連通路とに気流を起こさせる送風機とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記送風機は,
前記第1の連通路の機外への開口から前記接続箇所に至る範囲内の箇所と,前記第2の連通路の機外への開口から前記接続箇所に至る範囲内の箇所と,前記第3の連通路の機外への開口から前記接続箇所に至る範囲内の箇所との3箇所のうちの2箇所以上に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において,
機内の湿度を検知する湿度検知部と,
前記連通路切り替え装置と前記送風機と前記再生部とを制御する制御部とを有し,
前記制御部は,
検知された湿度があらかじめ定めた閾値以上の状態での高湿画像形成時には,
前記連通路切り替え装置を,前記乾燥室側と前記ダクト側とを連通させ前記第3の連通路側を閉鎖する状態とし,
前記送風機により,前記第1の連通路の機外への開口から前記乾燥室を経由して前記ダクトに向かう気流を起こさせ,
検知された湿度があらかじめ定めた閾値未満の状態での低湿画像形成時には,
前記連通路切り替え装置を,前記ダクト側と前記第3の連通路側とを連通させ前記乾燥室側を閉鎖する状態とし,
前記送風機により,前記第3の連通路の機外への開口から前記乾燥室を経由しないで前記ダクトに向かう気流を起こさせ,
前記乾燥室の再生時には,
前記連通路切り替え装置を,前記乾燥室側と前記第3の連通路側とを連通させ前記ダクト側を閉鎖する状態とし,
前記送風機により,前記第1の連通路の機外への開口から前記接続箇所を経由して前記第3の連通路の機外への開口に向かう気流,またはその逆向きの気流を起こさせるとともに,前記再生部を作動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において,
前記第1の連通路の機外への開口から前記乾燥室に至る範囲内に設けられ,前記制御部により制御される開閉弁を有し,
前記制御部は前記開閉弁を,
高湿画像形成時と前記乾燥室の再生時とには開き,
低湿画像形成時と装置休止時とには閉じることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記第1の連通路の機外への開口から前記乾燥室に至る範囲内に設けられた開閉弁を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記乾燥室の活性の程度を検知する活性検知部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の画像形成装置において,
前記乾燥室の活性の程度を検知する活性検知部を有し,
前記制御部は,
前記活性検知部の検知結果があらかじめ定めたその閾状態以下に低下したときに,前記乾燥室の再生を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において,
前記制御部は,前記乾燥室の再生後における前記活性検知部の検知結果がその閾状態以下である場合に,画像形成を拒否することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記乾燥室は,
シリカゲル,アルミナ,シリカアルミナ系吸着剤,塩化カルシウム,硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸カルシウム,ゼオライト,セルロース,変性アクリレート樹脂のうちの少なくとも1種類の乾燥剤を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記再生部が,加熱により前記乾燥室を再生するものであり,
前記乾燥室から前記接続箇所を経由して前記第3の連通路の機外への開口に至る範囲内の連通路と,前記第1の連通路の機外への開口から前記乾燥室に至る範囲内の連通路との一方の,少なくとも一部の外側に断熱材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−63865(P2009−63865A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232385(P2007−232385)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】