説明

画像形成装置

【課題】ベルト部材の除電を抑制しつつ、転写ニップ出口空間で生じ得る放電の発生を抑制することである。
【解決手段】ベルト部材である中間転写ベルト41の表面と感光体3の表面とが互いに近接対向して形成される転写ニップ出口空間の下流端よりも上流側であって、一次転写ローラ45が中間転写ベルトに電荷を供給する箇所よりも下流側の範囲内における中間転写ベルト裏面部分に、トナーの正規帯電極性と同極性の電圧を印加した離間電極51を近接配置し、離間電極と中間転写ベルトとの間で電荷の移動が生じないように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に係り、詳しくは、トナーの正規帯電極性とは逆極性にベルト部材を帯電させて、像担持体上のトナー像をベルト部材の表面又はこれに保持される記録材に転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置においては、従来より、ベルト部材の表面又はこれに保持される記録材上において像担持体から転写されたトナー像のまわりに少量のトナーが散った状態で付着する転写チリが問題となっている。この転写チリの主な原因は、ベルト部材の表面と像担持体の表面とが互いに近接対向して形成される転写ニップ出口の楔状の微小空間(以下「転写ニップ出口空間」という。)で放電が発生することである。すなわち、この転写ニップ出口空間で放電が発生すると、ベルト部材又は記録材上に転写されたトナー像の一部のトナーの極性が反転してそのトナーが散ったり、放電の衝撃でトナーが散ったりするなどして、転写チリが発生する。
【0003】
特許文献1には、像担持体から中間転写ベルト(ベルト部材)へ転写する際の転写ニップ出口で生じる放電を抑制して転写チリを抑制する画像形成装置が開示されている。具体的には、トナーの正規帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される転写部材(転写電界形成手段)が中間転写ベルトに当接した位置よりも中間転写ベルト移動方向下流側であって、転写ニップの出口端よりも中間転写ベルト移動方向上流側の転写ニップ内における中間転写ベルト裏面部分に除電電極を当接させる。そして、この除電電極にトナーの正規帯電極性と同極性の電圧を印加することで中間転写ベルトを除電し、これにより転写ニップ出口空間での中間転写ベルトと像担持体との電位差を小さくして放電発生を抑制している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−301577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載の画像形成装置においては、除電電極によって中間転写ベルトを除電するため、転写ニップ通過後における中間転写ベルトの帯電電荷によるトナーの保持力が弱まる。その結果、転写ニップ通過後における中間転写ベルト上のトナーが僅かな衝撃で移動し、中間転写ベルト上のトナー像が乱れやすく、画質を劣化させるという問題が生じる。
なお、この問題は、像担持体から中間転写ベルト等のベルト部材上にトナー像を転写する場合に限らず、像担持体から記録材搬送ベルト等のベルト部材に担持された記録材上にトナー像を転写する場合にも、同様に生じ得る。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ベルト部材の除電を抑制しつつ、転写ニップ出口空間で生じ得る放電の発生を抑制して、高品質な画像を形成できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定極性に帯電したトナーで構成されるトナー像を表面に担持して表面移動する像担持体と、複数の張架部材に張架され、表面を該像担持体に当接させて転写ニップを形成しながら無端移動する無端状のベルト部材と、該所定極性とは逆極性の電荷を該転写ニップを形成するベルト部材部分の裏面領域に当接又は近接しながら供給して該ベルト部材を帯電させることにより、該像担持体上のトナー像を該ベルト部材の表面又はこれに保持される記録材に転写するための転写電界を該転写ニップ内に形成する転写電界形成手段とを備えた画像形成装置において、上記ベルト部材の表面と上記像担持体の表面とが互いに近接対向して形成される微小空間のうち該転写ニップのベルト部材無端移動方向下流側に隣接する微小空間、又は、該微小空間のベルト部材無端移動方向上流端よりもベルト部材無端移動方向上流側であって上記転写電界形成手段が該ベルト部材に電荷を供給する箇所よりもベルト部材無端移動方向下流側、における該ベルト部材の裏面部分に、上記所定極性と同極性の電圧を印加した電極部材を近接配置し、該電極部材と該ベルト部材との間で放電が生じない、又は、該電極部材と該ベルト部材との間での放電によって移動する電荷量が上記転写電界形成手段が供給する電荷量の10[%]以下となるように、該電極部材に印加する電圧を設定したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記範囲のベルト部材無端移動方向下流側境界位置は、上記転写ニップのベルト部材無端移動方向下流端から200[μm]の位置であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記像担持体に上記トナー像を担持させる前に該像担持体の表面を上記所定極性の所定電位に一様帯電させる帯電手段を有し、上記電極部材の電位の大きさが該帯電手段により帯電した該像担持体の表面電位の大きさよりも小さくなるように、該電極部材に印加する電圧を設定したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材を、上記転写ニップのベルト部材無端移動方向下流端のベルト部材無端移動方向上流側と下流側にそれぞれ配置したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材は、断面形状が200[μm]以下の直径をもつ略円形状であって、ベルト部材無端移動方向に対して直交する方向に延びるように配置されるワイヤー部材であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材を、上記転写ニップのベルト部材無端移動方向下流端を跨ぐように配置したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記電極部材は、平面部が上記ベルト部材の裏面部分に対して平行になるように配置される板状部材であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記板状部材は金属鋼板であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材は、導電性繊維で形成された部材であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材は、絶縁部材の表面に金属膜をメッキしたものであることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材の少なくとも上記ベルト部材の裏面部分と対向する表面部分を、体積抵抗率が1×1010[Ω・cm]以上である材料で被覆したことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記電極部材の少なくとも上記ベルト部材の裏面部分と対向する表面部分がブラシ構造であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記転写電界形成手段は、コロナチャージ手段であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記コロナチャージ手段はスコロトロンコロナチャージ装置であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記転写電界形成手段は、上記ベルト部材の裏面に当接する転写ローラと、その当接位置の反対側で該転写ローラの軸方向全幅にわたって当接する当接部材とを有する構成であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、所定極性に帯電したトナーで構成されるトナー像を表面に担持して表面移動する像担持体と、複数の張架部材に張架され、表面を該像担持体に当接させて転写ニップを形成しながら無端移動する無端状のベルト部材と、該所定極性とは逆極性の電荷を該転写ニップを形成するベルト部材部分の裏面領域に当接又は近接しながら供給して該ベルト部材を帯電させることにより、該像担持体上のトナー像を該ベルト部材の表面又はこれに保持される記録材に転写するための転写電界を該転写ニップ内に形成する転写電界形成手段とを備えた画像形成装置において、上記ベルト部材の表面と上記像担持体の表面とが互いに近接対向して形成される微小空間のうち該転写ニップのベルト部材無端移動方向下流側に隣接する微小空間、又は、該微小空間のベルト部材無端移動方向上流端よりもベルト部材無端移動方向上流側であって上記転写電界形成手段が該ベルト部材に電荷を供給する箇所よりもベルト部材無端移動方向下流側、における該ベルト部材の裏面部分に、電極部材を近接配置し、該電極部材の電位を、上記所定極性とは逆極性であって該ベルト部材の帯電電位よりも低い電位又はアース電位とし、該電極部材と該ベルト部材との間で放電が生じない、又は、該電極部材と該ベルト部材との間での放電によって移動する電荷量が上記転写電界形成手段が供給する電荷量の10[%]以下となるように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、転写電界形成手段により供給されたベルト部材内の電荷の少なくとも一部を、ベルト部材の上記裏面部分に近接配置した電極部材によって、ベルト部材の裏面側に移動させる。これにより、転写ニップ出口空間におけるベルト部材の表面側の電位を下げ、転写ニップ出口空間におけるベルト部材の表面と像担持体の表面との間での放電の発生を抑制する。
しかも、本発明では、電極部材によってベルト部材内の電荷が除電されることは実質的に行われないので、転写ニップ通過後のベルト部材部分においてベルト部材内の電荷によるトナーの保持力が低下しない。したがって、従来のように僅かな衝撃でトナー像が乱れてしまうという問題も生じない。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、ベルト部材を除電することなく、転写ニップ出口空間で生じ得る放電の発生を抑制することができるので、転写チリの発生を抑制でき、かつ、転写ニップ通過後のトナー像も乱れにくくなり、高品質な画像を形成できるという優れた効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
本プリンタは、トナー像形成手段たるプロセスユニットとして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す。)用の4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Kを備えている。これらは、画像を構成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0011】
Yトナー像を生成するためのプロセスユニット1Yを例にすると、これは、図2に示すように、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。これら感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、一体的にプリンタ本体に対して着脱される。但し、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
【0012】
先に示した図2において、感光体ユニット2Yは、像担持体たるドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。
【0013】
帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動する感光体3Yの表面を負極性に一様帯電せしめる。同図においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接させることで、感光体3Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置5Yを示した。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3Yを一様帯電せしめるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電された感光体3Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザ光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0014】
現像手段たる現像ユニット7Yは、第1搬送スクリュー8Yが配設された第1剤収容部9Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ10Y、第2搬送スクリュー11Y、現像ロール12Y、ドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容部14Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアと負帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュー8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、第1剤収容部9Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部9Yと第2剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部14Y内に進入する。
【0015】
第2剤収容部14Y内の第2搬送スクリュー11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュー11Yの図中上方には、現像ロール11Yが第2搬送スクリュー11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール11Yは、図中反時計回り方向に回転駆動する非磁性パイプからなる現像スリーブ15Y内にマグネットローラ16Yを内包している。第2搬送スクリュー11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Y表面に汲み上げられる。そして、現像部材たる現像スリーブ15Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール12Yの現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュー11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部9Y内に戻る。
【0016】
トナー濃度センサ10YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ10YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAMを備えており、この中にトナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載されたC,M,K用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC用Vtref、M用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、図示しないY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴うYトナー消費によってYトナー濃度を低下させたY現像剤に対し、第1剤収容部9Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容部14Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスユニット1C,1M,1K内における現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
【0017】
先に示した図1において、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。これにより、感光体3Y,3C,3M,3K上における光照射部の電位が減衰して、負極性であるものの周囲の非画像部よりも負極性の電位が低い状態にあるY、C、M、K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,3C,3M,3Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LEDアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
【0018】
図2において、絶縁性の現像スリーブ15Yには、図示しない電圧印加手段により、負極性で且つ感光体3Y上の静電潜像電位と非画像部電位との中間的な値の現像バイアスが印加されている。これにより、現像スリーブ15Yと感光体3Yとが対向する現像領域では、感光体3Y上の静電潜像と現像スリーブとの間に、トナーをスリーブ側から潜像側に静電移動させる現像電界が形成される。また、感光体3Y上の非画像部と現像スリーブとの間に、トナーを非画像部側からスリーブ側に静電移動させる非現像電界が形成される。感光体3Y上の静電潜像は、前述の現像電界によってスリーブ上から静電移動してくるYトナーの付着によってYトナー像に現像される。
【0019】
感光体3Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルトに中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Y表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体3Y表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。先に示した図1において、他色用のプロセスユニット1C,1M,1Kにおいても、同様にして感光体3C,3M,3K上にC、M、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト上に中間転写される。
【0020】
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録材たる記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動すると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動すると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
【0021】
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、記録紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
【0022】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの図中上方には、ベルト部材としての中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写装置たる転写ユニット40が配設されている。転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの一次転写ローラ45Y,45C,45M,45K、二次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これらのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動する。なお、補助ローラ48の一部は図示を省略してある。
【0023】
4つの一次転写ローラ45Y,45C,45M,45Kは、このように無端移動する中間転写ベルト41を感光体3Y,3C,3M,3K側に押し付けるようにして配置される。これにより、中間転写ベルト41と各感光体3Y,3C,3M,3Kとの間には、それぞれ一次転写ニップが形成される。そして、中間転写ベルト41の裏面(ベルト内周面)にトナーの正規帯電極性(マイナス極性)とは逆極性(プラス極性)の電荷を供給して中間転写ベルト41を帯電させることにより、感光体3Y,3C,3M,3K上のトナー像を中間転写ベルト41の表面に転写するための転写電界を一次転写ニップ内に形成する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY、C、M、K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、その表面(おもて面)に感光体3Y,3C,3M,3K上のY、C、M、Kトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、「合成トナー像」という。)が形成される。
【0024】
二次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41の表面(外周面)に当接するように配置された二次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで二次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の合成トナー像に同期させ得るタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。
【0025】
二次転写バックアップローラとの間に中間転写ベルト41を挟み込んでいる二次転写ローラ50は、中間転写ベルト41の表面にトナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41上の合成トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ50と二次転写バックアップローラ46との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ内で記録紙Pに一括して二次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0026】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
【0027】
転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、図中最も左側に位置する補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。本プリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、当該補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY、C、M用の一次転写ローラ45Y,45C,45Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY、C、M用の感光体3Y,3C,3Mから離間させる。そして、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Kのうち、K用のプロセスユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY、C、M用のプロセスユニットを無駄に駆動させることによるそれらプロセスユニットの消耗を回避することができる。
【0028】
二次転写ニップの図中上方には、定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着部材たる定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
【0029】
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140[°]に維持される。
【0030】
二次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着される。
【0031】
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0032】
転写ユニット40の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ100Y,100C,100M,100Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,100C,100M,100K内のY、C、M、Kトナーは、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kの現像ユニット7Y,7C,7M,7Kに適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,100C,100M,100Kは、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0033】
中間転写ベルト41としては、画像の伸縮の発生を抑える目的から、伸縮し難いものを用いることが望ましい。本プリンタでは、単層のPI(ポリイミド)製ベルト基体からなる単層ベルトを中間転写ベルト41として用いている。中間転写ベルト41の材質としては、PIの他に、公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性樹脂等を例示することができる。例えば、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニル系樹脂等である。これらの樹脂に、導電性粒子や導電性粉末を分散せしめて電気抵抗を調整した混合・合成材料を、ベルトの素材として用いる。体積抵抗率としては、一次転写体時に与える一次転写バイアスの電圧レベルが1k[V]程度であれば、1×107〜1013[Ω・cm]が好ましく、一次転写バイアスが印加される裏面の表面抵抗は1×109[Ω/□]程度が好ましい。電気抵抗の測定時に用いる電極としては、主電極外径φ5.9[mm]、ガード電極内径φ11.0[mm]、ガード電極外径φ17.8[mm]、厚さ50〜200[μm]程度の薄厚で曲がり易いものを用いることが望ましい。かかる電極にこれらに500[V]程度の電圧を印加して、両電極間に流れる電流値から電気抵抗を求める。
【0034】
また、中間転写体の抵抗を調整するための導電材料としては、カーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、4 級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等から1種類あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0035】
トナーとしては、ポリエステル、ポリオール、スチレンアクリル等の粒子母材樹脂に帯電制御剤(CCA)や色剤を混合し、その粒子の周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添することでその帯電特性、流動性を高めたものを用いている。添加剤の粒径は、0.1〜1.5[μm]の範囲が好適である。色剤としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等を例示することができる。
【0036】
トナーの正規帯電極性は、本実施例では何度も述べているようにマイナス極性である。トナーとしては、ワックス等を分散混合させた母体樹脂に前述した添加剤を外添したものを用いてもよい。また、粉砕法で製造された物でも、重合法で製造されたものでもよいが、重合法等で製造されたものは、球形度や円形度が比較的高いので、高画質を得ることが可能である。
【0037】
また、トナーとしては、形状係数が90%以上であるものを用いることが望ましい。形状係数とは、本来ならば球形度となって、「粒子と同体積の球の表面積/実粒子の表面積×100%」で定義されるが、測定がかなり困難になるので、円形度で算出する。そして、「粒子と同じ投影面積を持つ円の周長/実粒子の投影輪郭長さ×100%」という公式で求めることができる。かかる円形度の解は、トナー粒子を投影した円像が真円に近づくほど、100%に近づくことになる。トナーの体積平均粒径は、3〜12[μm]の範囲が好適である。本プリンタでは、体積平均粒径が6[μm]であるトナーを用いており、1200[dpi]以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
【0038】
磁性キャリアとしては、金属または樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層がシリコン樹脂等で被覆された磁性粒子を用いている。粒径は、20〜50[μm]の範囲が良好である。また、磁性粒子の抵抗は、ダイナミック抵抗で1×104〜106[Ω]の範囲が最適である。ダイナミック抵抗については、次のようにして測定することが可能である。即ち、磁石を内包したローラ(φ20[mm]、600[rpm])に磁性粒子を担持させる。そして、幅65[mm]、長さ1[mm]の面積の電極を、0.9[mm]のギャップを介して磁性粒子に対向せしめ、耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400[V]から鉄粉キャリアでは数[V])の印加電圧を印加した際に流れる電流値に基づいてダイナミック抵抗を測定する。
【0039】
次に、本発明の特徴部分である、一次転写ニップ周辺の構成について説明する。
図3は、一次転写ニップ周辺の構成を示す説明図である。なお、各一次転写ニップ周辺の構成はいずれも同様であるので、以下の説明では、色分け符号Y、C、M、Kを省略して説明する。
【0040】
中間転写ベルト41は、感光体3の表面に直接又はトナーを介して接触し、その接触した部分(転写ニップN)において、感光体3と中間転写ベルト41は同じ方向にほぼ同速で移動する。本実施形態のプリンタにおいて、転写ニップN内の中間転写ベルト41の裏面部分に当接する一次転写ローラ45には、トナーの正規帯電極性と逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写電圧が図示しない転写電源によって印加されている。この印加電圧は、例えば+0.8k[V]〜+2k[V]程度である。これにより、感光体3と中間転写ベルト41との間に転写電界が形成され、感光体3上のトナー像が中間転写ベルト41上に転写される。
【0041】
ここで、本実施形態のプリンタには、転写ニップ出口空間の中間転写ベルト無端移動方向下流端(以下、単に「下流端」という。)よりも中間転写ベルト無端移動方向上流側(以下、単に「上流側」という。)であって、中間転写ベルト41に電荷を供給する箇所(本実施形態では一次転写ローラ45の当接箇所)よりも中間転写ベルト無端移動方向下流側(以下、単に「下流側」という。)の範囲内における中間転写ベルト41の裏面部分に、電極部材としての離間電極51が近接配置されている。具体的には、図3の例では、中間転写ベルト41における転写ニップNの裏面側、より具体的には、転写ニップNの下流端よりも上流側の約1[mm]程度の範囲内に近接配置されている。
なお、上記範囲の下流側境界位置は、離間電極51が転写ニップNの下流端から離れすぎていると、転写ニップ出口空間に面する中間転写ベルト部分の表面電位を下げることができないことから、その位置は、転写ニップNの下流端から下流側に、転写ニップ出口空間に面する中間転写ベルト部分の表面電位を下げることができるような範囲内におのずと決まってくる。なお、転写ニップ下流端から下流側に200[μm]の範囲内であれば、一般的な構成において、転写ニップ出口空間に面する中間転写ベルト部分の表面電位を有効に下げることができる。
【0042】
離間電極51は、本実施形態ではSUSやタングステン等の金属ワイヤからなり、直径200[μm]以下、より好ましくは直径40〜100[μm]で柔軟性を有するものとを用いている。そして、少なくともその一端をバネ等の張力部材によって引っ張って感光体3の軸方向に延ばした状態で、中間転写ベルト41の裏面部分に近接配置される。本実施形態では、離間電極51と一次転写ローラ45との間に、これらの間での放電を防止するための樹脂からなる絶縁部材52を配置している。
【0043】
本実施形態では、一次転写ローラ45によって中間転写ベルト41に供給されたプラス極性の電荷の少なくとも一部を、離間電極51によって中間転写ベルト41の裏面側に静電的に移動させるように構成されている。よって、この離間電極51の電位は、トナーの正規帯電極性(マイナス極性)と同極性(すなわち中間転写ベルト41の帯電極性とは逆極性)であるマイナス極性の電位とするか、トナーの正規帯電極性(マイナス極性)とは逆極性(すなわち中間転写ベルト41の帯電極性と同極性)であるプラス極性であって中間転写ベルト41の帯電電位よりも低い電位とするか、あるいは、アース電位とする。具体的は、本実施形態の構成においては+500[V]〜−500[V]程度が好ましい。このように離間電極51の電位を設定することで、一次転写ローラ45により中間転写ベルト41に供給されたプラス電荷のうち、特に静電誘導で移動しやすい電荷については、離間電極51側すなわち中間転写ベルト41の裏面側に静電誘導によって移動・滞留させることができる。よって、転写ニップ出口空間における中間転写ベルト41の表面(外周面)側の電位を下げ、これにより転写ニップ出口空間における中間転写ベルト41の表面と感光体3の表面との間での放電の発生を抑制する。
【0044】
離間電極51に、トナーの正規帯電極性(マイナス極性)と同極性(すなわち中間転写ベルト41の帯電極性とは逆極性)であるマイナス極性の電圧を印加すれば、アースに接続したりプラス極性の電圧を印加したりする場合に比べて、中間転写ベルト41の帯電電荷の多くを裏面側に移動させることができ、転写ニップ出口空間における中間転写ベルト41の表面(外周面)側の電位を効果的に下げることができ、放電発生の抑制効果を高めることができる。
ただし、本実施形態のように、離間電極51を転写ニップNの裏側の中間転写ベルト部分に近接配置する場合、離間電極51に大きなマイナス極性の電圧を印加すると、逆転写を引き起こしやすくなり、転写効率が落ちるおそれがる。すなわち、本実施形態では、感光体表面上の画像部の電位は−50[V]〜−300[V]程度であるため、この電位よりも大きなマイナス極性の電圧を離間電極51に印加すると、マイナス極性に帯電したトナーを感光体3側へ移動させる電界が形成され、逆転写による転写効率の低下が懸念される。よって、この場合には、離間電極51の電位が感光体表面上の画像部の電位よりも小さい電位となるように、離間電極51へ印加する電圧を設定することが好ましい。なお、本実施形態においては、+500[V]〜−50[V]の範囲が好適である。
【0045】
本実施形態において、離間電極51とこれに電圧を印加するバイアス電源との間にはほとんど電流が流れていない(電流の絶対値で一次転写電流の10[%]以下)状況から、一次転写で付与された中間転写ベルト41のプラス電荷の除電は非常に少ない。すなわち、本実施形態では、中間転写ベルト41から帯電電荷を取り除くことなく(すなわち除電することなく)、転写ニップ出口空間での放電の発生を抑制できる。
最終的に得られた記録紙P上の画像を評価したところ、転写チリによる画質低下が見られず、かつ、転写効率の低下もない良好な画像が得られた。
【0046】
なお、離間電極51に印加する電圧の設定は、中間転写ベルト41に対して実質的な除電を行わない範囲で、中間転写ベルト41と離間電極51との間隔等を考慮して、適宜設定される。中間転写ベルト41と離間電極51との間隔は、狭いほど中間転写ベルト41の帯電電荷の多くを裏面側に移動させることができ、放電発生の抑制効果が高いが、離間電極51に印加する電圧との関係で、この間隔が狭すぎると放電が発生するなどして、中間転写ベルト41を実質的に除電してしまうおそれがあるからである。なお、本実施形態では、中間転写ベルト41と離間電極51との間隔が数10[μm]〜5[mm]の範囲内であれば中間転写ベルト41を実質的に除電してしまうことがなく、転写効率の低下を十分に抑制できた。
【0047】
〔変形例1〕
次に、一次転写ニップ周辺の構成についての一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
図4は、本変形例1における一次転写ニップ周辺の構成を示す説明図である。
本変形例1においては、電極部材として、2つの離間電極151a,151bを用いる。これらの離間電極151a,151bのうち、上流側に位置する離間電極151aは、上記実施形態の離間電極51と同じ位置、すなわち、中間転写ベルト41における転写ニップNの裏面側、より具体的には転写ニップNの下流端よりも上流側の約1[mm]程度の範囲内に近接配置されている。一方、上流側に位置する離間電極151bは、転写ニップNの下流端よりも下流側で近接配置されている。すなわち、本変形例1では、転写ニップNの下流端を挟んで上流側と下流側にそれぞれ離間電極151a,151bが配置されている。なお、下流側の離間電極151bについても、中間転写ベルト41との間隔が狭いほど放電発生の抑制効果が高いので、その間隔を上流側の離間電極151aと同様、数10[μm]〜5[mm]の範囲内としている。
【0048】
上流側の離間電極151aは、上述したとおり、転写ニップの裏側で中間転写ベルト41の裏面に近接配置されているため、感光体表面上の画像部電位よりも大きなマイナス極性の電圧を印加すると、逆転写による転写効率の低下が懸念される。しかし、下流側の離間電極151bは転写ニップの外で中間転写ベルト41の裏面に近接配置されているため、このような懸念が少ない。よって、下流側の離間電極151bについては、感光体表面上の画像部電位よりも大きなマイナス極性の電圧を印加し、放電発生の抑制効果を高めるようにしてもよい。この場合、下流側の離間電極151bに印加する電圧としては、+800[V]〜0[V]の範囲内が好適である。
【0049】
本変形例1によれば、転写ニップNの下流端を挟んで上流側と下流側にそれぞれ離間電極151a,151bが配置されているので、中間転写ベルト41を実質的に除電してしまうことがなく、転写ニップ出口空間での放電発生を効果的に抑制でき、転写効率の低下を有効に抑制できる。
【0050】
〔変形例2〕
次に、一次転写ニップ周辺の構成についての他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
図5は、本変形例2における一次転写ニップ周辺の構成を示す説明図である。
本変形例2においては、電極部材として、平面部が上記ベルト部材の裏面部分に対して平行になるように配置された板状部材からなる離間電極251を用い、これを転写ニップNの下流端を跨ぐように配置されている。この離間電極251は、絶縁性基体252上に設けられている。
本変形例2によれば、単一の電極部材である離間電極251で、上記変形例2と同様に転写ニップ出口空間での放電発生を効果的に抑制できて転写効率の低下を有効に抑制できるという効果が得られる。よって、上記変形例1よりも製造コストを安価に抑えることが可能となる。
【0051】
特に、離間電極251として、板状の絶縁体に対して公知の樹脂メッキ技術によりメッキした金属膜を用いると、非常に薄い離間電極を得ることができる。この場合、中間転写ベルト41の厚み方向における省スペース化の点で有利となる。
また、離間電極251として、金属鋼板を用いると、離間電極251と中間転写ベルト41の表面との間のギャップ精度出しに必要な剛性を絶縁性基体252に依存する必要性が少なくなり、絶縁性基体252の厚さ(中間転写ベルト41の厚み方向の長さ)を大幅に少なくできるので、トータル的に、中間転写ベルト41の厚み方向における省スペース化の点で有利となる。
【0052】
〔変形例3〕
次に、上述した各種離間電極の一変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
図6は、上記実施形態及び上記変形例1で説明した金属ワイヤーからなる離間電極51,151a,151bの変形例を示す断面図である。
図7は、上記変形例2で説明した板状部材からなる離間電極251の変形例を示す断面図である。
【0053】
上述したいずれの離間電極51,151a,151b,251も、導電性材料部分が露出した部分を中間転写ベルト41の裏面に対向させて近接配置するため、中間転写ベルト41が振動等によって離間電極51,151a,151b,251に接触すると、その瞬間に中間転写ベルト41の電荷が多量にリークし、転写不良(転写不足等)が発生してしまう。一方で、中間転写ベルト41が離間電極51,151a,151b,251に接触しないように、安全な距離をあけて近接配置すると、中間転写ベルト41の電荷をその裏面側に移動させる効果が弱くなり、転写ニップ出口空間での放電発生を抑制する効果が小さくなる。そこで、本変形例3では、離間電極51,151a,151b,251の導電性材料部分のうち、少なくとも中間転写ベルト41の裏面と対向する部分を、体積抵抗率が1×1010[Ω・cm]以上である高抵抗材料、好ましくは絶縁体(誘電体)で被覆することとしている。
【0054】
具体的には、図6に示すワイヤー型の離間電極51,151a,151bの場合、この表面を樹脂やガラスの薄い表層353(数十[μm]〜数百[μm]程度)で被覆する。
また、図7に示す板状部材型の離間電極251の場合、その離間電極251における中間転写ベルト41と対向する平面部を絶縁層354で被覆する。なお、この絶縁層354としては、絶縁性の発泡樹脂等の樹脂、絶縁性の短繊維植毛ブラシなどを利用できる。
このような構成とすることで、中間転写ベルト41が離間電極51,151a,151b,251に接触してもリークの心配がないので、離間電極51,151a,151b,251を中間転写ベルト41の裏面により近接して配置することができるようになり、転写ニップ出口空間での放電発生を有効に抑制できるようになる。
なお、図7に示す板状部材型の離間電極251の場合、絶縁層354は、弾性をもったものであるのが好ましい。この場合、その絶縁層354が中間転写ベルト41に軽く接触した程度では中間転写ベルト41の走行を妨げるような負荷が発生しないためである。
【0055】
〔変形例4〕
次に、離間電極の各種変形例(以下、本変形例を「変形例4」という。)について説明する。
図8は、本変形例4における離間電極の一例を示す説明図である。
図9は、本変形例4における離間電極の他の例を示す説明図である。
図10は、本変形例4における離間電極の更に他の例を示す説明図である。
【0056】
図8に示す離間電極451は、絶縁性基体452に接着された導電性繊維(布)で構成されている。
図9に示す離間電極551は、絶縁性基体552に接着された導電性ブラシで構成されている。
いずれも構成においても、離間電極451,551が中間転写ベルト41と数百μm程度の軽度の寸法上の食い込みがあっても、中間転写ベルト41に対して与える摩擦抵抗を軽微に抑えることができる。よって、離間電極451,551と中間転写ベルト41との間で接触が生じても、中間転写ベルト41の走行に与える影響が少ない。
【0057】
図10に示す構成は、絶縁性基体652に接着された板状の離間電極651上に接着剤653で絶縁性植毛ブラシ654を接着したものである。この場合も、絶縁性植毛ブラシ654が中間転写ベルト41と数百μm程度の軽度の寸法上の食い込みがあっても、中間転写ベルト41に対して与える摩擦抵抗を軽微に抑えることができる。よって、絶縁性植毛ブラシ654と中間転写ベルト41との間で接触が生じても、中間転写ベルト41の走行に与える影響が少ない。また、絶縁性植毛ブラシ654により中間転写ベルト41が離間電極651に直接接触することが防止される。これにより、リークによる転写不良等の不具合が生じることもない。
【0058】
〔変形例5〕
次に、一次転写ローラ45の一変形例(以下、本変形例を「変形例5」という。)について説明する。
なお、離間電極としては、上記変形例2で説明した板状部材からなる離間電極251を使用するものとする。
図11は、一次転写ローラ45に代えて、コロナチャージ手段としてのコロトロンチャージャ745を用いた場合の説明図である。
図12は、一次転写ローラ45に代えて、コロナチャージ手段としてのスコロトロンチャージ装置であるスコロトロンチャージャ746を用いた場合の説明図である。
図13は、一次転写ローラ747aが中間転写ベルト41と当接する位置の反対側で一次転写ローラ747aの軸方向全幅にわたって当接する当接部材としての加圧ローラ747bを有する構成の説明図である。
【0059】
図11や図12に示す構成においては、非接触状態で、中間転写ベルト41に対して電荷を供給できるので、転写ニップ内の圧力を小さくでき、中抜け画像等の発生を有効に防止できる点で有利である。
特に、図12に示したスコロトロンコロナチャージャは、グリッド電極(シールドケースと一体化しても良い。)の開口幅(中間転写ベルト無端移動方向長さ)を2mm以下に絞って転写用コロナチャージ電荷が中間転写ベルト41に到達する範囲を、中間転写ベルト無端移動方向において同等以下(2mm以下)に絞ることができる。よって、離間電極51,151a,151b,251を上述した範囲内(転写ニップ下流端前後の範囲)に配置する上で、有利である。
【0060】
また、図13に示す構成においては、加圧ローラ747bのような当接部材を備えていない上記実施形態の一次転写ローラ45に比べて、一次転写ローラ747aの径を小さくできる。すなわち、上記実施形態の一次転写ローラ45は、それ自体で、中間転写ベルト41側から受ける外力によって撓まないようにする必要があるため、径を大きくして剛性を確保する必要がある。これに対し、図13に示す構成では、一次転写ローラ747aの撓みを加圧ローラ747bで抑えることができるので、一次転写ローラ747aの径を小さくすることができる。このように一次転写ローラ747aの径を小さくできると、転写ニップNの裏側領域における一次転写ローラ747aの占有領域を狭めることができ、離間電極51,151a,151b,251を上述した範囲内(転写ニップ下流端前後の範囲)に配置する上で、有利となる。また、直径φ40[mm]以下の小径感光体に適用する際にも有利である。なお、本実施形態の場合、直径φ4[mm]〜10[mm]程度にまで小径にすることが可能である。
【0061】
以上、本実施形態(変形例を含む。)に係る画像形成装置としてのプリンタは、所定極性(マイナス極性)に帯電したトナーで構成されるトナー像を表面に担持して表面移動する像担持体としての感光体3と、複数の張架部材45,46,47,48,49に張架され、表面を感光体3に当接させて転写ニップNを形成しながら無端移動する無端状のベルト部材としての中間転写ベルト41と、中間転写ベルト41にトナーの正規帯電極性とは逆極性(プラス極性)の電荷を供給して中間転写ベルト41を帯電させることにより感光体3上のトナー像を中間転写ベルト41の表面に転写するための転写電界を転写ニップ内に形成する転写電界形成手段としての一次転写ローラ45及び図示しない転写バイアス電源とを備えている。そして、中間転写ベルト41の表面と感光体3の表面とが互いに近接対向して形成される微小空間のうち転写ニップNの下流側に隣接する微小空間(転写ニップ出口空間)の下流端よりも上流側であって、一次転写ローラ45が中間転写ベルト41に電荷を供給する箇所よりも下流側の範囲内における中間転写ベルト41の裏面部分に、トナーの正規帯電極性と同極性の電圧を印加した電極部材としての離間電極51,151a,151b,251,451,551,651を近接配置し、離間電極51,151a,151b,251,451,551,651と中間転写ベルト41との間での放電によって電荷の移動が実質的に生じないように構成している。これにより、中間転写ベルト41を実質的に除電してしまうことなく、転写ニップ出口空間で生じ得る放電の発生を抑制できる。よって、転写チリの発生も抑制でき、かつ、転写ニップ通過後のトナー像も乱れにくくなるので、高品質な画像を形成できる。
なお、離間電極51,151a,151b,251,451,551,651を配置する範囲の下流側境界位置を、転写ニップNの下流端から200[μm]の位置とすれば、一般的な構成において、転写ニップ出口空間に面する中間転写ベルト部分の表面電位を有効に下げることができる。
また、感光体3にトナー像を担持させる前に感光体3の表面をトナーの正規帯電極性(マイナス極性)の所定電位に一様帯電させる帯電手段としての帯電装置5を有し、離間電極51,151a,151b,251,451,551,651の電位の大きさが帯電装置5により帯電した感光体3の表面電位の大きさよりも小さくなるように、離間電極51,151a,151b,251,451,551,651に印加する電圧を設定している。特に、転写ニップNの裏側に近接配置される離間電極については、感光体3の画像部電位の大木債よりも小さくすることが望ましい。このような構成とすることで、一旦転写されたトナーが感光体3に戻ってしまう逆転写という現象を抑制することができる。
また、上記変形例1のように、転写ニップNの下流端の上流側と下流側に離間電極151a,151bを配置すれば、転写ニップ出口空間での放電発生をより効果的に抑制でき、転写効率の低下を有効に抑制できる。
また、上記実施形態や上記変形例1のように、離間電極51,151a,151bが、断面形状が200[μm]以下の直径をもつ略円形状であって、中間転写ベルト無端移動方向に対して直交する方向に延びるように配置されるワイヤー部材で構成されたものであると、転写ニップNの出口付近の中間転写ベルト41の裏面領域という非常に狭い領域内でも、転写ニップ下流端に近い好適な箇所に離間電極を配置することが容易となる。
また、上記変形例2等のように、転写ニップNの下流端を跨ぐように離間電極251等を配置することで、転写ニップ出口空間に面する中間転写ベルト41の表面電位を効率よく下げることができ、転写ニップ出口空間での放電発生をより効果的に抑制できる。このような離間電極251等としては、平面部が中間転写ベルト41の裏面部分に対して平行になるように配置される板状部材で構成された離間電極を用いるのが、製造コストを低く抑えることができる点で好ましい。特に、金属鋼板を用いれば、トータル的に中間転写ベルト41の厚み方向における省スペース化の点で有利となる。
また、絶縁部材の表面に金属膜をメッキしたものを離間電極として利用しても、中間転写ベルト41の厚み方向における省スペース化の点で有利となる。
また、上記変形例4で説明したように、図8に示すように導電性繊維で形成された離間電極451を用いれば、離間電極451,551と中間転写ベルト41との間で接触が生じても、中間転写ベルト41の走行に与える影響が少ない点で、有利である。
また、上記変形例4で説明したように、図9や図10に示すように、離間電極551,651の少なくとも中間転写ベルト41の裏面部分と対向する表面部分がブラシ構造であれば、離間電極451,551と中間転写ベルト41との間で接触が生じても、中間転写ベルト41の走行に与える影響が少ない点で、有利である。
また、上記変形例3で説明したように、離間電極51,151a,151b,251の少なくとも中間転写ベルト41の裏面部分と対向する表面部分を、体積抵抗率が1×1010[Ω・cm]以上である高抵抗材料で被覆すれば、中間転写ベルト41が離間電極51,151a,151b,251に接触してもリークによる転写不良(転写不足)が生じない。しかも、このようなリークの心配がなくなる結果、離間電極51,151a,151b,251を中間転写ベルト41の裏面により近接して配置することができるようになり、転写ニップ出口空間での放電発生を有効に抑制できるようになる。
上記変形例5で説明したように、転写電界形成手段として、一次転写ローラ45に代えて、コロナチャージ手段745,746を用いれば、転写ニップ内の圧力を小さくでき、中抜け画像等の発生を有効に防止できる点で有利である。
特に、コロナチャージ手段はスコロトロンコロナチャージ装置であるスコロトロンチャージャ746を用いれば、各種離間電極を上述した範囲内(転写ニップ下流端前後の範囲)に配置する上で、有利である。
また、上記変形例5で説明したように、転写電界形成手段として、一次転写ローラ45に代えて、中間転写ベルト41の裏面に当接する一次転写ローラ747aと、その当接位置の反対側で一次転写ローラ747aの軸方向全幅にわたって当接する当接部材としての加圧ローラ747bとを有する構成を用いても、各種離間電極を上述した範囲内(転写ニップ下流端前後の範囲)に配置する上で、有利である。
なお、上述した範囲内で中間転写ベルト41の裏面部分に近接配置した離間電極の電位を、トナーの正規帯電極性(マイナス極性)とは逆極性であって中間転写ベルト41の帯電電位よりも低い電位又はアース電位としてもよい。この場合でも、中間転写ベルト41を実質的に除電してしまうことなく、転写ニップ出口空間で生じ得る放電の発生を抑制できる。よって、転写チリの発生も抑制でき、かつ、転写ニップ通過後のトナー像も乱れにくくなるので、高品質な画像を形成できる。
【0062】
なお、上述した実施形態(変形例を含む。以下同じ。)においては、中間転写ベルト41から感光体3に流れる転写電流の量を一定に保ついわゆる定電流制御を行う転写バイアス電源を用いた場合であったが、定電圧制御を行う転写バイアス電源を用いた例でも同様効果が得られる。
また、本実施形態では、感光体3から中間転写ベルト41への転写を行う一次転写ニップについて説明したが、二次転写ニップについても同様に適用することができる。
また、本実施形態では、いわゆるフルカラーの画像形成装置を例に挙げて説明したが、1色のみ(例えば黒色のみ)、2色のみ、3色のみ等、の画像形成装置であっても同様に適用することができる。
また、本実施形態では、感光体3から中間転写ベルト41への転写を行う場合を例に挙げて説明したが、像担持体から記録材搬送ベルト等のベルト部材上に担持された記録紙Pに転写を行う場合でも、同様である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
【図2】同プリンタのプロセスユニットを示す概略構成図である。
【図3】同プリンタの一次転写ニップ周辺の構成を示す説明図である。
【図4】変形例1における一次転写ニップ周辺の構成を示す説明図である。
【図5】変形例2における一次転写ニップ周辺の構成を示す説明図である。
【図6】実施形態及び変形例1で説明した金属ワイヤーからなる離間電極の変形例を示す断面図である。
【図7】変形例2で説明した板状部材からなる離間電極の変形例を示す断面図である。
【図8】変形例4における離間電極の一例を示す説明図である。
【図9】変形例4における離間電極の他の例を示す説明図である。
【図10】変形例4における離間電極の更に他の例を示す説明図である。
【図11】実施形態の一次転写ローラに代えて、コロトロンチャージャを用いた場合の説明図である。
【図12】実施形態の一次転写ローラに代えて、スコロトロンチャージャを用いた場合の説明図である。
【図13】実施形態の一次転写ローラに代えて、一次転写ローラと加圧ローラとを有する構成を用いた場合の説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1Y,1C,1M,1K プロセスユニット
3 感光体
5 帯電装置
20 光書込ユニット
41 中間転写ベルト
45 一次転写ローラ
51,151a,151b,251,451,551,651 離間電極
52 絶縁部材
252,452,552,652 絶縁性基体
653 接着剤
654 絶縁性植毛ブラシ
745 コロトロンチャージャ
746 スコロトロンチャージャ
747a 一次転写ローラ
747b 加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定極性に帯電したトナーで構成されるトナー像を表面に担持して表面移動する像担持体と、
複数の張架部材に張架され、表面を該像担持体に当接させて転写ニップを形成しながら無端移動する無端状のベルト部材と、
該所定極性とは逆極性の電荷を該転写ニップを形成するベルト部材部分の裏面領域に当接又は近接しながら供給して該ベルト部材を帯電させることにより、該像担持体上のトナー像を該ベルト部材の表面又はこれに保持される記録材に転写するための転写電界を該転写ニップ内に形成する転写電界形成手段とを備えた画像形成装置において、
上記ベルト部材の表面と上記像担持体の表面とが互いに近接対向して形成される微小空間のうち該転写ニップのベルト部材無端移動方向下流側に隣接する微小空間、又は、該微小空間のベルト部材無端移動方向上流端よりもベルト部材無端移動方向上流側であって上記転写電界形成手段が該ベルト部材に電荷を供給する箇所よりもベルト部材無端移動方向下流側、における該ベルト部材の裏面部分に、上記所定極性と同極性の電圧を印加した電極部材を近接配置し、
該電極部材と該ベルト部材との間で放電が生じない、又は、該電極部材と該ベルト部材との間での放電によって移動する電荷量が上記転写電界形成手段が供給する電荷量の10[%]以下となるように、該電極部材に印加する電圧を設定したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記範囲のベルト部材無端移動方向下流側境界位置は、上記転写ニップのベルト部材無端移動方向下流端から200[μm]の位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記像担持体に上記トナー像を担持させる前に該像担持体の表面を上記所定極性の所定電位に一様帯電させる帯電手段を有し、
上記電極部材の電位の大きさが該帯電手段により帯電した該像担持体の表面電位の大きさよりも小さくなるように、該電極部材に印加する電圧を設定したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材を、上記転写ニップのベルト部材無端移動方向下流端のベルト部材無端移動方向上流側と下流側にそれぞれ配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材は、断面形状が200[μm]以下の直径をもつ略円形状であって、ベルト部材無端移動方向に対して直交する方向に延びるように配置されるワイヤー部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材を、上記転写ニップのベルト部材無端移動方向下流端を跨ぐように配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記電極部材は、平面部が上記ベルト部材の裏面部分に対して平行になるように配置される板状部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記板状部材は金属鋼板であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材は、導電性繊維で形成された部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材は、絶縁部材の表面に金属膜をメッキしたものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材の少なくとも上記ベルト部材の裏面部分と対向する表面部分を、体積抵抗率が1×1010[Ω・cm]以上である材料で被覆したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記電極部材の少なくとも上記ベルト部材の裏面部分と対向する表面部分がブラシ構造であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記転写電界形成手段は、コロナチャージ手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、
上記コロナチャージ手段はスコロトロンコロナチャージ装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記転写電界形成手段は、上記ベルト部材の裏面に当接する転写ローラと、その当接位置の反対側で該転写ローラの軸方向全幅にわたって当接する当接部材とを有する構成であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
所定極性に帯電したトナーで構成されるトナー像を表面に担持して表面移動する像担持体と、
複数の張架部材に張架され、表面を該像担持体に当接させて転写ニップを形成しながら無端移動する無端状のベルト部材と、
該所定極性とは逆極性の電荷を該転写ニップを形成するベルト部材部分の裏面領域に当接又は近接しながら供給して該ベルト部材を帯電させることにより、該像担持体上のトナー像を該ベルト部材の表面又はこれに保持される記録材に転写するための転写電界を該転写ニップ内に形成する転写電界形成手段とを備えた画像形成装置において、
上記ベルト部材の表面と上記像担持体の表面とが互いに近接対向して形成される微小空間のうち該転写ニップのベルト部材無端移動方向下流側に隣接する微小空間、又は、該微小空間のベルト部材無端移動方向上流端よりもベルト部材無端移動方向上流側であって上記転写電界形成手段が該ベルト部材に電荷を供給する箇所よりもベルト部材無端移動方向下流側、における該ベルト部材の裏面部分に、電極部材を近接配置し、
該電極部材の電位を、上記所定極性とは逆極性であって該ベルト部材の帯電電位よりも低い電位又はアース電位とし、
該電極部材と該ベルト部材との間で放電が生じない、又は、該電極部材と該ベルト部材との間での放電によって移動する電荷量が上記転写電界形成手段が供給する電荷量の10[%]以下となるように構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−69736(P2009−69736A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240571(P2007−240571)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】