説明

画像形成装置

【課題】原稿画像のオリジナリティを損なうこと無く画像情報以外の付加情報、例えば偽造防止情報等の情報を付帯した出力物を作成し、かつその情報を読み取ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿画像の輝度情報から変換された画像を記録媒体に出力する画像形成手段103と、原稿画像に付加されるべき付加情報を符号に変換する変換手段108と、変換手段により変換された符号に対応した凹凸を有する付加画像として記録媒体の所定の位置に前記画像形成手段に出力させる制御手段101と、原稿画像の輝度情報を読み取る読取手段102と、原稿画像に付加された付加画像の凹凸を検知する凹凸検知手段とを有し、読取手段が原稿画像の輝度情報を読み取る動作に連動して、凹凸検知手段は付加画像の凹凸を検知し、制御手段は、凹凸検知手段で検知された付加情報に基づいて所定の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等によって画像形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来複写可能な画像形成装置において、元画像情報以外の固有情報、例えば出力物の複写防止情報を付加する装置が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1の画像形成装置は、原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれた地紋パターン(背景ドットパターン)を画像データから検出する手段を有する。そして検出した地紋パターン(背景ドットパターン)を、記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターン(背景ドットパターン)と比較し、その同一性を判定する手段とを設ける。これにより、原稿画像の種類を問わず検出した地紋パターン(背景ドットパターン)と記憶されている地紋パターン(背景ドットパターン)との同一性を確認することで、原稿画像の画像データの出力を禁止すべきか否かを判定する技術が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、記録用紙への印刷または当該画像にかかる画像データの他の装置への転送を禁じるためのパターンが原稿画像に形成されている場合、当該印刷または転送を禁じるか否かを判定する際、判定を管理者が望む形で行わせる装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、ユーザ認証を行いユーザ情報と比較し、地紋パターンと記録手段上の情報を比較し、この比較結果に基づいて所定の複写禁止動作を実行する装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献4の画像形成装置は、原稿の中に複写禁止情報が存在することを検知した場合、操作者にIDを入力させ、複写を許可するか否かの照合を行ない、複写不可能な操作者であると判断された場合、コピーを継続するか否かの入力を操作者から受付ける。もし継続する場合は、画像形成装置から管理者装置へ通知が行なわれ、通知を受けた管理者が許可する場合は、原稿の画像データに暫定的な複写であることを示す付加情報(地紋など)を付加した上で原稿の複写を許可する装置が提案されている。
【0007】
この他、原稿の画像情報以外の付加情報として、画像上に目視でわかりにくい画像形成装置固有の記号を一定の変調量で画像情報に重畳さて、有価証券等の偽造などの違法行為が行われた場合、偽造に使った画像形成装置を特定することが可能な技術が知られている。
【0008】
例えば特許文献5の画像形成装置は、所定のパターン信号を発生する発生手段と、入力された濃度信号に基づいて前記発生手段により発生した所定のパターン信号の変調量を制御する制御手段を有する。そして前記制御手段により得られた所定のパターン信号を、入力された濃度信号に重畳する装置が提案されている。
【特許文献1】特開2004−274092号公報
【特許文献2】特開2004−200897号公報
【特許文献3】特開2007−124318号公報
【特許文献4】特開2007−212563号公報
【特許文献5】特開平06−113107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの画像形成装置では元画像に地紋等の付帯画像を付加された画像が出力されるので、原稿画像とは一部異なる画像であり、オリジナリティが損なわれてしまう。
【0010】
原稿画像にない画像が加わって出力されることは、主に文字主体のビジネス書類等では元画像の必要情報が文字の情報であるので、地紋が付加されたとしてもオリジナルデータが持つ必要情報が認識可能である。しかし写真などが主体の原稿を出力する場合には、地紋等を元画像に付加すると、オリジナルデータが持つ必要情報としての写真画像に、必要では無い地紋画像が付加されてしまい、写真画像のオリジナリティが損なわれてしまう。
【0011】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、原稿画像のオリジナリティを損なうこと無く画像情報以外の付加情報、例えば偽造防止情報等の情報を付帯した出力物を作成し、かつその情報を読み取ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した課題を解決し目的を達成するため、以下(1)〜(7)の構成を備えるものである。
【0013】
(1)原稿画像の輝度情報から変換された画像を記録媒体に出力する画像形成手段と、前記原稿画像に付加されるべき付加情報を符号に変換する変換手段と、前記変換手段により変換された符号に対応した凹凸を有する付加画像として記録媒体の所定の位置に前記画像形成手段に出力させる制御手段と、原稿画像の輝度情報を読み取る読取手段と、原稿画像に付加された前記付加画像の凹凸を検知する凹凸検知手段とを有し、前記読取手段が前記原稿画像の輝度情報を読み取る動作に連動して、前記凹凸検知手段は前記付加画像の凹凸を検知し、前記制御手段は、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報に基づいて所定の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【0014】
(2)前記制御手段によって前記記録媒体の所定の位置に出力される前記付加画像は、透明体によって記録された凹凸画像であることを特徴とする前記(1)記載の画像形成装置。
【0015】
(3)前記制御手段によって前記記録媒体の所定の位置に出力される前記付加画像の凸部と凹部の差は、高さ1μm〜50μmであることを特徴とする前記(1)または(2)記載の画像形成装置。
【0016】
(4)前記制御手段が、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報と、予め記録されている情報とを照合して、画像形成を行うか否かを判断する制御を行うことを特徴とする前記(1)記載の画像形成装置。
【0017】
(5)前記画像形成装置が、操作者の操作者情報を読み取ることにより操作者を認証する認証手段を更に有し、前記制御手段が該認証手段で読み取った前記操作者情報と、前記凹凸検知手段で読み取った付加情報と、予め記録されている情報とを照合して画像形成を行うか否かを判断する制御を行うことを特徴とする前記(1)記載の画像形成装置。
【0018】
(6)前記制御手段が、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報と、予め記録されている情報とを照合して、前記原稿画像にない追加画像を付加して画像形成を行うことを特徴とする前記(1)記載の画像形成装置。
【0019】
(7)原稿画像の輝度情報から変換された画像を記録媒体に出力する画像形成手段と、前記原稿画像の輝度情報を読み取る読取手段と、前記原稿画像の所定の位置に付加された付加画像の凹凸を検知する凹凸検知手段とを有し、前記読取手段が前記原稿画像の輝度情報を読み取る動作に連動して、前記凹凸検知手段は前記付加画像の凹凸を検知し、制御手段は、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報に基づいて、所定の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記画像形成装置により原稿画像のオリジナリティを損なうこと無く画像情報以外の付加情報、例えば偽造防止情報等の情報を付帯した出力物を作成することが可能となる。また、その情報を読み取ることによって、所定の動作を行える画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は本実施例の画像形成装置を機能別に構成したブロック図である。
【0023】
システム制御部101はCPU等を備えており、後述する各部の動作シーケンスを制御し、画像形成装置全体の動作を制御する制御部である。また、システム制御部101には、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置131と接続するための汎用のインターフェース(イーサネット(登録商標)、SCSI、RS232C、USB等)130を有し、ネットワークケーブルで接続することが可能である。
【0024】
読み取り部102は後述する原稿搬送手段と、原稿画像の輝度情報を読み取るイメージセンサ等の輝度検知手段(読取手段)である光学センサ及び、原稿画像以外の付加画像の凹凸高さを検知する高さ検知手段(凹凸検知手段)を備える。光学センサでは、原稿画像の光学的輝度情報を複写時にデジタル画像データとして読み取る。また、高さ検知手段では、付加画像として画像端部に形成されている透明体トナー(以後クリアトナーと記す)で形成した凹凸高さを持つ符号(以後バーコードと記す)の凹凸高さから、付加された付加情報を読み取る。
【0025】
画像形成部103は、後述する感光体と粉体トナーを用いた静電方式の電子写真方式により、輝度情報から変換された画像と、付加情報から変換された凹凸高さの付加画像とから構成される新たな原稿画像を記録媒体上に画像形成する。
【0026】
表示/操作部104は不図示のテンキー、スタートボタン、ファンクションキー等の各種入力操作手段を備え、また不図示の液晶パネル等で構成される表示部を備えている。ユーザが操作手段によって画像形成装置を操作し、操作された入力情報の表示や、画像形成装置からユーザに通知する情報を表示する。
【0027】
ユーザ認証部105は不図示の操作者情報が記録されたIDカードの読み取り部や、ユーザID入力部によって読み取られたユーザ情報を照合し認証するための操作者情報の認証手段である。
【0028】
ユーザ情報記録部106は、予め登録された個人ユーザ情報や個人ユーザ情報に関連づけられたグループユーザ情報を記録しており、これらのユーザ情報と関連された複製可能か否かの認証情報を格納する。
【0029】
高さ情報処理部107は、読み取り部で読み取られた付加画像の凹凸高さ情報から所定の変換方法によって、原稿画像に付加された付加情報を逆変換した後でデコードする。
【0030】
付加情報処理部108は、凹凸情報から逆変換してデコードされた付加情報を基に、予め記録されている所定の処理とを関連付ける。例えば複写禁止情報が付加されているのであれば、複写禁止を表示部に表示することを決定する。また出力時には元の原稿画像に付加したい付加情報を、所定の凹凸高さを持ったバーコード情報に変換する等の付加情報に関する処理を行う。
【0031】
画像処理部109は、出力される画像情報に対して、プリンタの出力特性に応じた濃度変換や、文字処理、画像処理を行う。また元の原稿画像に付加画像を付加するため高さ変換手段で逆変換された付加情報を、凹凸画像であるバーコード画像に変換し記録媒体の所定の位置に出力する等の付加手段としての処理を行う。
【0032】
以上の各構成部はバス120により接続されている。
【0033】
[画像形成部103の機能]
本実施例では、1つの感光体に対して回転体に保持された複数の現像器で構成される1ドラム方式の現像装置によって有彩色の画像形成を行う画像形成部を用いた。しかし1ドラム方式は1つの形態を示す例であって、各色に別々の感光体を用いるタンデム方式の画像形成装置でも何ら問題もなく実施可能であり、本発明を制約するものではない。
【0034】
図2は本実施例の1ドラム方式の画像形成部103の構成を説明するための断面図である。
【0035】
図2において、回転体18はブラック用現像器1K、イエロー用現像器1Y、マゼンタ用現像器1M、シアン用現像器1C、クリアトナー用現像器1Tを有した現像装置1から構成され、回転体18の回転軸18aは不図示のモータにより自在に回転可能である。
【0036】
感光ドラム28上にブラックのトナー像を形成する時は、感光ドラム28と近接する現像位置P1でブラック用現像器1Kによりトナー現像を行う。同様にイエローのトナー像を形成する時は、回転体18を矢印R1の方向に72°回転させて、図2に示した現像位置P1にイエロー用現像器1Yの現像位置P5を配置させ、トナー現像を行う。マゼンタ、シアン、クリアトナーのトナー像形成も同様にして行う。
【0037】
次に、画像形成動作について説明する。但し、以下における現像装置1とは、上述したように回転体18に内包されるブラック用現像器1K、イエロー用現像器1Y、マゼンタ用現像器1M、シアン用現像器1C、クリアトナー用現像器1Tの総称である。
【0038】
図2において、一次帯電器21によって帯電された感光ドラム28表面を600dpi(1インチ当たり600画素)の解像度でレーザ22によって露光することで感光ドラム28上に静電潜像を形成する。この静電潜像を所定のトナーを収容する現像装置1によって、感光ドラム28上にトナー像を形成し、このトナー像は第1転写帯電器23aによる第1転写バイアスによって、中間転写ベルト24上に転写される。
【0039】
フルカラーの画像形成を行う場合、先ず、ブラック用現像器1Kを現像位置P1に配置することにより感光ドラム28上にブラックのトナー像を形成し、中間転写ベルト24上にブラックのトナー像を一次転写する。
【0040】
次に、回転体18を矢印R1の方向に72°回転させて、イエロー用現像器1Yの現像位置P5を図中の現像位置P1に配置して感光ドラム28上にイエローのトナー像を形成する。そして先程の中間転写ベルト24上のブラックのトナー像上にイエローのトナー像を一次転写して重ね合わせる。
【0041】
上述したイエロー用現像器1Yの動作と同様、マゼンタ用現像器1Mの現像位置P4、シアン用現像器1Cの現像位置P3についても順次回転させて一次転写を行い、中間転写ベルト24上に、輝度情報に基づく有色トナーによるフルカラー画像を形成する。
【0042】
最後に、回転体18を72°回転させて、クリアトナー用現像器1Tの現像位置P2を図中の現像位置P1に配置し、感光ドラム28上に付加情報から変換された凹凸高さ情報を有する付加画像としてクリアトナー像を形成する。そして感光ドラム28上のクリアトナー像を中間転写ベルト24上に形成されている有色トナー像上に重ね合わせて一次転写する。
【0043】
その後、第2転写帯電器23bの第2転写バイアスによって、中間転写ベルト24上に一次転写された有色トナーによるフルカラー画像とクリアトナー像を一括して転写紙搬送ベルト25上の記録用紙27に二次転写される。
【0044】
トナー像を転写された記録用紙27は、転写紙搬送ベルト25から剥離して定着装置26に搬送され、定着装置26によって加圧/加熱されて定着画像を形成する。
【0045】
また、一次転写後に感光ドラム28上に残った残トナーは、第1クリーナー29aにより除去され、更に、二次転写後に中間転写ベルト24上に残った残トナーは、第2クリーナー29bにより除去され、次の画像形成に備える。
【0046】
[画像形成時の動作]
図3は、本実施例においてシステム制御部101が、付加情報を付加した画像形成を行う動作を示すフローチャートである。以下に図1及び図3を用いて付加情報を付加するための画像形成時の動作フローをステップ300〜307に従い説明する。尚、付加情報の例として画像の複写防止情報を用いたが、本発明を制約するものではない。
【0047】
最初にユーザが本実施例の画像形成装置を使用して画像形成の操作を行うと、システム制御部101は出力する画像に複写防止情報を付加するか否かの動作を開始する(300)。画像形成装置は原稿の画像データを取得する(301)。ユーザの操作により図1に示す外部装置131である個人PCやネットワーク上の情報機器より電子化された画像データを、システム制御部101のインターフェース130を介しネットワークケーブル等の情報伝達手段を中継して取得する。そして、システム制御部101は、複写防止情報を付加するか否かを判断する(302)。これから出力する画像に複写防止情報を付加させるときは、PC画面上に表示される操作画面から、複写防止ボタンを選択することにより、複写防止命令を行う。また、複写防止するユーザを指定する場合には、ユーザ別に複写防止を行うことを含む情報と共に、ユーザ情報記録部106に予め記録されている個人ユーザや、グループユーザを選択する。
【0048】
次に、複写防止情報を付加するため、クリアトナーで形成されるバーコードデータが付加情報処理部108で形成される(303)。また、複写防止するユーザを指定する場合は、ユーザ別に複写防止情報と共に、ユーザ情報記録部106に予め記録されている個人ユーザや、グループユーザのID情報を元に、個人単位やグループ単位での複写禁止情報をバーコードデータとして形成する。ステップ303で形成されたバーコードデータは、画像処理部109でバーコード画像として所定の高さ有する凹凸画像データに変換され、元の画像データの所定の位置にクリアトナーバーコード401として付加する(304)。図4(a)に示すように付加情報であるクリアトナーバーコード401が記録される位置は、記録用紙27の上下左右の所定の余白部に記録されて元画像に被らないように付加される。上下左右の余白部にクリアトナーバーコード401を記録することによって、読み取り時には上下左右どの方向に原稿をセットしても、セットの基準とする端部に読み取り部を設けることでクリアトナーバーコード401を読み取ることが可能となる。
【0049】
次に、ステップ303において画像処理部109で処理された画像データは、画像形成部103に転送される(305)。そして、画像形成部103ではステップ305で処理された複写防止情報を含むクリアトナーバーコード401を付加した画像データ、あるいは原稿のままの画像を記録用紙27上に形成するための画像形成動作を開始する(306)。画像形成が終了すると、システム制御部101では、複写防止情報を付加する処理を終了する(307)。
【0050】
図4(a)は、図4(b)で示されるオリジナル画像データに本実施例の図3のフローチャートに基づいて複写防止情報のバーコードを所定の位置に付加し出力された画像データを示す図である。例としてビジネス文章に複写禁止情報を上下左右の所定の余白部に付加した場合の図を示したが、写真などの文字比率が小さく画像比率の高い画像でもよい。
【0051】
図4(a)に図示したクリアトナーバーコード401は、図4(b)の元画像に付加された複写禁止情報を含むバーコードである。図示したバーコードは、説明のために黒で示してあるが、実際には高さ1μm〜50μmの凹凸を有するクリアトナーで形成されているため視認出来ない。
【0052】
クリアトナーバーコード401は、定着後のクリアトナーの凹凸高さとして高さ1μm〜50μmの凹凸の所定の高さで形成するのが望ましい。クリアトナーの凹凸画像高さが1μm未満の場合には、高さの読み取り検知が難しくノイズが載りやすいため精度が低くなり、またクリアトナーの凹凸画像高さが50μmより大きいと、画像の凹凸が視認されやすく原稿のオリジナリティが損なわれてしまう。本実施例では、定着後のクリアトナーの凸部の高さは5μm〜20μmとなるようにクリアトナーバーコード401を形成するよう制御する。
【0053】
[読み取り部102の動作]
図5は、本実施例の高さ検知手段を備えた読み取り装置(シートフィードスキャナ)の断面図である。
【0054】
図5の読み取り装置の構成と機能を原稿Pの搬送経路に沿って説明する。
【0055】
装置前面(図中右側)の原稿積載トレイ601上に原稿Pの画像面を上向きにして、手前側の突き当て板に突き当てることによって手前基準にセットされる。セットされた原稿Pは、分離部602で1枚毎に分離され、搬送ローラ対605によって読み取り部に原稿が導入される動作開始タイミングに連動して読み取り動作を開始する。
【0056】
搬送ローラ対605によって搬送される原稿Pは、紙パスのUターンパス609を通る際に、高さ検知部と画像読み取り部から構成される読み取り部へ導入される。最初に高さ検知部の高さ検知手段608によって原稿Pの端部に形成されているクリアトナーバーコード401が読み取られ、次に輝度情報を読み取る画像読み取り部603のイメージセンサにより原稿の内容が読み取られている。
【0057】
高さ検知手段608に使用されるセンサは、高さ方向の変位分解能に優れた手段が望ましく、例えば公知のレーザ変位計(商品名:LK−G08、キーエンス社製)等が好適である。本実施例ではスポット径φ20μm、焦点距離8mm、高さ方向の分解能0.01μm、サンプリング周波数50kHzの赤色半導体レーザを用いたレーザ変位計を用いた。
【0058】
図6の断面図は、図5中の高さ検知部の断面を拡大した図である。紙パスの湾曲したUターンパス609を通過してきた原稿Pは、対向ローラ804に導入されて、高さ検知部に導入される。中央の対向ローラ804の対向部には、高さ検知手段608があり、対向ローラ804の対向部にあるガラス透明窓805に画像面を押し当てつつ原稿Pを搬送する。
【0059】
レーザユニット801は高さ測定用のレーザを発光するレーザヘッドで、発光されたレーザ光は光学系を通して原稿Pのクリアトナーバーコード401に照射される。検知用の受光部802において原稿Pのバーコードの凹凸画像から拡散反射されてきた検出光が、結像光学系803を経て受光部で検知される。受光部802にはCCD等の光検知素子が用いられ凹凸画像の高さ変動は、CCD素子上の位置変動として検出される。
【0060】
高さ検知部に対向する対向ローラ804により、原稿Pの裏面から加圧することで高さ検知手段の検知精度を向上させ、また加圧しつつ用紙搬送性も備えているため、用紙搬送と同時に高さ検知を行うことが可能となっている。対向ローラ804は、用紙の最大サイズ幅以上の長さを持ち、対向部のガラス透明窓805も同程度の長さで配置されている。
【0061】
高さ検知手段608は、クリアトナーバーコード401が原稿Pの上下左右の余白部である端部に記録されているため、読み取り装置の手前側にのみ配置されている。そのため手前側基準にセットされた原稿Pの端部の2箇所に記録されているクリアトナーバーコード401を確実に検知可能な構成となっている。原稿Pを読み取り部に導入する動作開始タイミングを基準とし、クリアトナーバーコード401が高さ検知部に導入されるタイミングで高さ検知手段608のレーザが発光する。クリアトナーバーコード401の凹凸高さの読み取りが完了するまでの所定の時間、受光部802の光検知素子により高さ情報が読み取られる。
【0062】
図7は、上述した高さ検知手段608で読み取ったクリアトナーバーコード401の凹凸のセンサ出力信号を示す図である。グラフの縦軸の高さ出力値は高さ検知手段で検出された凹凸画像の高さ情報であり、紙に対してトナー高さ1μm〜20μm程度の高さ情報として読み取られる。横軸の座標位置は、用紙搬送速度とサンプリング周波数から計算した原稿上の座標に対応した表記である。
【0063】
読み取られた高さ情報は、高さ情報処理部107で、所定の高さを閾値として2値化されてデジタル信号化される。本実施例では、高さ3μm以上の凸部をトナーの凸部(ハイレベル)と判断し、高さ3μm未満の凹部(紙面)をトナーの凹部(ローレベル)と判断して2値化した。なお、凸部の平均値と凹部の平均値の中間を閾値として2値化してもよい。
【0064】
図5に示す原稿積載トレイ601は手前側基準にセットされる構成となっており、手前側端部に配置されている高さ検知手段608では、原稿の両端部に形成されているクリアトナーバーコード401のどちらかを検出することが可能である。
【0065】
高さ検知部から排出された原稿Pは、次に画像読み取り部603に搬送される。搬送された原稿Pは画像読み取り部603内のイメージセンサにより内容が読み取られ、排紙ローラ対606によって装置前面の原稿セット用の原稿積載トレイ601の下側にある原稿排出トレイ607上にページ順に下向きに積み重ねられる。
【0066】
[複写防止情報の読み取りと複写動作]
図8は、本実施例に係る読み取り装置が複写動作時に元原稿の読み取りと、複写防止情報の読み取りとを連動して行い、複写防止情報に基づいて複写動作を行うまでの動作フローを示すフローチャートである。以下に上述した図5の読み取り装置(シートフィードスキャナ)の断面図を用いて複写防止動作の制御フローをステップ500〜510により説明する。尚、付加情報としてバーコード化した付加画像の複写防止情報の読み取りを例としたが、本発明を制約するものではない。
【0067】
ユーザ操作によりシステム制御部101では、原稿の読み取りを開始すると同時に、原稿に含まれる複写防止情報を読み取るための動作が開始される(500)。始めにユーザは、図5に示された読み取り装置に原稿Pを手前基準にセットし、コピー開始ボタンを操作する。セットされた原稿Pは、分離部602で1枚毎に分離され、搬送ローラ対605によって読み取り部102に原稿が導入されて読み取り動作が開始される(501)。図5の搬送ローラ対605によって搬送される原稿は、図6に示すUターンパス609の端部に設けられた高さ検知手段608によって原稿Pの端部に形成されているクリアトナーバーコード401を読み取る(502)。読み取られた凹凸高さ情報は、高さ情報処理部107で、所定の高さを閾値(本実施例では3μm)として2値化されてデジタル信号化される。
【0068】
高さ情報を検出された原稿Pは、次に画像読み取り部603に搬送され、画像読み取り部603内のイメージセンサによって原稿の内容が輝度情報として読み取られる(503)。その後排紙ローラ対606により、原稿Pは原稿排出トレイ607上に積み重ねられる。
【0069】
図7で示すように、高さ検知手段608によって読み取れられたクリアトナーバーコード401の凹凸高さ情報は、高さ情報処理部107で、所定の高さを閾値(本実施例では3μm)として2値化されてデジタル信号にデコードされる(504)。そして、復元された付加情報として付加情報処理部108に転送される。
【0070】
付加情報処理部108では高さ情報処理部107で復元処理された付加情報に、複写禁止情報を含んでいるか否かを判断する(505)。複写禁止情報が付加されていない通常のプリント出力物の場合には、高さ情報としての出力が無いので、この場合には複写禁止ではないと判断され、ステップ509で通常の画像形成動作を開始する。しかし、付加情報に複写禁止情報が付加されていると判断された場合、付加情報処理部108ではバーコードの凹凸高さ情報に付加されている禁止ユーザ情報と、現在複写操作を行っているユーザとを参照する(506)。ユーザ情報記録部106には予め個人ユーザや、グループユーザのID情報が記録されており、画像形成時には個人単位やグループ単位での複写禁止情報が、原稿にバーコードとして付加されている。
【0071】
現在複写動作を行っているユーザが、複写許可ユーザか否かを判断して(507)、原稿に記録されている禁止ユーザの場合には、表示部の液晶パネルに原稿が複写不可であることを伝える「複写不可」表示を行い(508)、複写動作を禁止する。また読み取り部の原稿を取り除くことを伝える表示を行い、原稿を取り除いたことを検知した場合には、読み取り装置はリセットされて、通常のコピースタンバイ状態となる。
【0072】
次に、ステップ505で原稿に複写防止情報が無いと判断された場合には、原稿の輝度情報をもとに画像形成を開始する。また、複写防止情報を有し、ステップ507で原稿に記録されている禁止ユーザで無いと判断された場合には、通常の画像形成動作と同じ方法によって、原稿の輝度情報と複写防止情報である付加情報とに基づいて両方の画像形成動作を開始する(509)。システム制御部は画像形成後、複写動作の制御を終了する(509)。
【0073】
以上の本発明により、出力物に複写禁止情報あるいは、ユーザ毎に複写の禁止あるいは許可する情報を付加したとしても、クリアトナーバーコード401は、視認されることがない。そのため元画像のオリジナリティを損なうことの無い画像形成および複写動作が可能である。
【0074】
尚、付加情報の例として画像の複写防止情報の付加を用いたが、本発明を制約するものではない。
【実施例2】
【0075】
本発明の第2の実施例では、原稿読み取り部に原稿台と圧板を用いた読み取り装置(フラットヘッドスキャナ)を使用し、その他の形態は実施例1と同一の構成である。
【0076】
[読み取り部102の機能]
図9(a)は本実施例における読み取り装置の読み取り部102の断面図であり、図9(b)は原稿台を原稿ガラス側の上部から見た図である。以下に図9(a)、(b)を用いて読み取り部を説明する。
【0077】
図9(a)に示した原稿ガラス901上におかれた不図示の原稿は、圧板911によって押さえられる。走査光学部としての第1ミラー台912に配置された照明ランプ913によって照らされた原稿画像は、同じく第1ミラー台912に配置された第1ミラー914によって第2,3ミラー台915へ反射される。そして、第2ミラー916、第3ミラー917へと反射され結像手段としてのレンズ918により集光され、読み取り素子(読み取り手段)としてのCCDセンサ919で結像される。移動走査手段である第1ミラー台、第2,3ミラー台は、不図示のレールに支持されており、光学モータ910の回転に伴い、原稿ガラス面からCCDセンサまでの光路長が常に一定になるように、図9(b)の矢印の方向に移動可能となっている。
【0078】
高さ検知手段920には、実施例1と同じ検知素子を用いた。高さ検知手段920は図9(b)で示す様に、原稿台の端部に設置されており、ミラー台と連動して原稿読み取り時にスキャンされる。原稿Pは図9(b)の破線で示す様に原稿ガラスの左上角のP0を基準として突き当ててセットされるので、図4(a)に示した原稿の上下左右の余白部に記録されたクリアトナーバーコード401の何れかを検知することが可能である。
【0079】
付加情報を付加する画像形成動作、及び読み取り動作に関しては、実施例1の制御フローを示すフローチャート図3、図8と同一であり説明を省略する。
【実施例3】
【0080】
本発明の付加情報を付加する機能と、読み取り機能とを利用した他の実施形態として、以下のような様々な形態が可能である。
【0081】
(1)原稿に付加された高さ情報とユーザ情報を、LAN等のネットワークを経由して原稿の著者に複写されることを通報することで、複写許可を著者が管理する形態が可能である。
【0082】
(2)原稿に付加する凹凸高さ情報に複写可能回数を記録させて、複写回数を管理する形態が可能であり、記録回数は原稿著者が始めに設定する。複写可能回数が設定された原稿を複写するときには、表示部に複写可能回数を表示し、複写物には原稿に記録されている複写可能回数から1少なくされた情報を付加して複写される形態である。
【0083】
(3)原稿に付加する凹凸高さ情報に極秘情報を付加し、予め記録されている情報、もしくはネットワーク上に格納されている情報と、操作者のユーザ情報を参照して複写物に新たな追加画像を付加して印刷する。例えば一般者に対して配布した原稿画像を複写しても、同じ原稿画像が複写されて出力されるだけであるが、特定ユーザが複写する場合には、暗号化されている極秘情報が追加画像として付加されて画像出力される形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施例1に係る画像形成装置の機能別ブロック図
【図2】本実施例1に係る1ドラム方式画像形成部の断面図
【図3】本実施例1に係る複写防止情報を付加する画像形成動作のフローチャート
【図4】本実施例1に係る複写画像、(a)複写防止情報バーコードを付加した画像、(b)オリジナル画像
【図5】本実施例1に係る高さ検知手段を備えた読み取り装置(シートフィードスキャナ)の断面図
【図6】本実施例1に係る読み取り装置の高さ検知部の断面図
【図7】本実施例1に係る高さ検知手段で検出したセンサ出力信号
【図8】本実施例1に係る複写防止情報の読み取り動作のフローチヤート
【図9】本実施例2に係る高さ検知手段を備えた読み取り装置(フラットヘッドスキャナ)、(a)読み取り装置の断面図、(b)原稿台の上面図
【符号の説明】
【0085】
P 原稿
P0 原稿台の原稿基準位置
P1 1Kの現像位置
P2 1Tの現像位置
P3 1Cの現像位置
P4 1Mの現像位置
P5 1Yの現像位置
R1 回転体18の回転方向
1 現像装置
1C シアン用現像器
1K ブラック用現像器
1M マゼンタ用現像器
1T 透明トナー用現像器
1Y イエロー用現像器
18 回転体
18a 回転軸
23a 一次転写
23b 二次転写
24 転写ベルト
26 定着器
27 記録用紙
28 感光ドラム
101 システム制御部(制御手段に対応)
102 読み取り部(読取手段及び凹凸検知手段に対応)
103 画像形成部(画像形成手段に対応)
104 表示/操作部
105 ユーザ認証部(操作者情報を読み取る認証手段に対応)
106 ユーザ情報記録部
107 高さ情報処理部(変換手段に対応)
108 付加情報処理部
109 画像処理部
120 バス
130 インターフェース
131 外部装置
401 クリアトナーバーコード(符号、凹凸画像、付加画像に対応)
601 原稿トレイ
602 分離部
603 画像読み取り部
605 搬送ローラ対
606 排紙ローラ対
608 高さ検知手段
609 Uターンパス
801 レーザユニット
802 受光部
803 結像光学系
804 対向ローラ対
805 ガラス透明窓
901 原稿ガラス
910 光学モータ
911 圧板
912 第1ミラー台
913 照明ランプ
914 第1ミラー
916 第2ミラー
917 第2、3ミラー台
918 レンズ
919 CDCセンサ
920 高さ検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像の輝度情報から変換された画像を記録媒体に出力する画像形成手段と、
前記原稿画像に付加されるべき付加情報を符号に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された符号に対応した凹凸を有する付加画像として記録媒体の所定の位置に前記画像形成手段に出力させる制御手段と、
原稿画像の輝度情報を読み取る読取手段と、
原稿画像に付加された前記付加画像の凹凸を検知する凹凸検知手段とを有し、
前記読取手段が前記原稿画像の輝度情報を読み取る動作に連動して、前記凹凸検知手段は前記付加画像の凹凸を検知し、
前記制御手段は、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報に基づいて所定の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段によって前記記録媒体の所定の位置に出力される前記付加画像は、透明体によって記録された凹凸画像であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段によって前記記録媒体の所定の位置に出力される前記付加画像の凸部と凹部の差は、高さ1μm〜50μmであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報と、予め記録されている情報とを照合して、画像形成を行うか否かを判断する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置が、操作者の操作者情報を読み取ることにより操作者を認証する認証手段を更に有し、
前記制御手段が該認証手段で読み取った前記操作者情報と、前記凹凸検知手段で読み取った付加情報と、予め記録されている情報とを照合して画像形成を行うか否かを判断する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報と、予め記録されている情報とを照合して、前記原稿画像にない追加画像を付加して画像形成を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
原稿画像の輝度情報から変換された画像を記録媒体に出力する画像形成手段と、
前記原稿画像の輝度情報を読み取る読取手段と、
前記原稿画像の所定の位置に付加された付加画像の凹凸を検知する凹凸検知手段とを有し、
前記読取手段が前記原稿画像の輝度情報を読み取る動作に連動して、前記凹凸検知手段は前記付加画像の凹凸を検知し、
制御手段は、前記凹凸検知手段で検知された付加画像の凹凸情報から逆変換された付加情報に基づいて、所定の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−145482(P2010−145482A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319649(P2008−319649)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】