説明

画像形成装置

【課題】容易に外部装置からの不正アクセスを抑制する画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、メイン基板及びサブ基板を備え、外部記憶装置を利用して起動させる場合に、所定の手順を行うプログラムを実行し、その結果により、相互にアクセスを許可するか、サブ基板からメイン基板へのアクセスを遮断しメイン基板からサブ基板へのアクセスのみを許可するかを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、単なる印刷を行う印刷装置から、スキャン、ファクスといった複数の機能を実現する複合機能装置へとシフトしている。そして、画像形成装置において、複数の機能を実現するためのアプリケーションプログラムを実行するために、オペレーティングシステムが広く用いられている。また、画像形成装置の高度化に伴い、装置の保守目的で保守担当者が記憶装置(例えば、リムーバブルメディア)を利用して、画像形成装置の起動を行う仕組みが組み込まれるようになってきた。そして、記憶装置からのオペレーティングシステムを読み込むことで、画像形成装置を動作状態に起動させることは、画像形成装置を保守する面からは非常に有用である。しかし、記憶装置に不正なオペレーティングシステムが記憶されていた場合、システム破壊やデータ盗聴などの問題を生じる可能性がある。また、記憶装置から画像形成装置が備える他の記憶装置(例えば、ハードディスク)に不正なアプリケーションプログラムが格納されてしまうことも考えられる。その場合、不正なアプリケーションプログラムの実行により、システム破壊やデータ盗聴などの問題を生じる可能性がある。
【0003】
特許文献1は、シリアル番号が予め登録されているリムーバブルメディア以外からの起動を抑止する方法を示している。具体的に、特許文献1に記載の方法は、リムーバブルメディアのシリアル番号を、当該リムーバブルメディアを用いて起動させる装置に登録する。装置は、登録されているシリアル番号を有するリムーバブルメディアが使用された場合のみ起動処理を行うことで、当該装置に対する不正なアクセスを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−303216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の方法では以下のような問題がある。例えば、特許文献1に記載の方法では、特定のリムーバブルメディアと画像形成装置とを関連付ける必要性がある。したがって、リムーバブルメディアを用いて多数の装置の保守を行う場合には、各画像形成装置に対して、使用する全てのリムーバブルメディアのシリアル番号を登録する必要がある。このように、従来技術では、保守を行う画像形成装置の台数が増加するほど、管理者の作業量が増大してしまうという問題があった。
【0006】
また、従来技術の方法では、画像形成装置が備える他の記憶装置(例えば、ハードディスク)に、不正なアプリケーションプログラムが格納されてしまう場合の対策とはならない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、第1システムと第2システムとを備える画像形成装置において、第2システムが備える手段に対する第1システムからのアクセスを、第1システムと第2システム間の所定の手順に基づいて適切に制御する画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、メイン基板及びサブ基板を備える画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、画像形成装置の起動処理を実行する、メイン基板を動作させるための第1ブートプログラム及びサブ基板を動作させるための第2ブートプログラムを記憶する第1記憶手段と、メイン基板を制御するための第1プログラム及びサブ基板を制御するための第2プログラムを記憶する第2記憶手段と、前記第1システムと前記第2システムとの接続を制御する接続制御手段とを有し、前記接続制御手段は、前記第1システムと前記第2システムとの所定の手順に基づき接続を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、第1システムと第2システムとを備える画像形成装置において、第2システムが備える手段に対する第1システムからのアクセスを、第1システムと第2システム間の同意に基づいて適切に制御する画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を実現する画像形成装置の内部構成図の一例である。
【図2】本発明を実現する画像形成装置のボード構成図の一例である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のメイン基板における起動処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のサブ基板における起動処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のメイン基板におけるブートローダ処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のサブ基板におけるブートローダ処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、ここでは、画像形成装置としてプリンタを用いて説明を記載する。しかしながら、本発明における画像形成装置は、複合機、コピー機、FAXなど、記録材に画像を形成する装置であればよい。また、本発明は、一適用例として、カラーレーザプリンタによって実現される。しかしながら、本発明は、インクジェットプリンタ等、他の画像印刷方式を採用したプリンタによって実現されてもよい。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザービームプリンタ(以下「カラーLBP」と記述)の構成例を示す断面図である。図1において、100はカラーLBP本体であり、外部に接続されているホストコンピュータから供給されるプリントデータ(文字コードや画像データ等)及び制御コードから成る印刷命令を受信して記憶する。そして、印刷命令に従って、対応する文字パターンやイメージ等を作成し記憶媒体の一例としての記録紙上に可視像を形成する装置である。110はホストコンピュータから供給される印刷命令を解析し、印刷イメージの生成処理を行うとともにカラーLBP本体100の制御を行うフォーマッタ制御部である。また、フォーマッタ制御部110は、ユーザによる操作およびユーザに対する状態通知のための、スイッチおよびLED表示器等が配されているオペレーション・パネル部120と接続されている。オペレーション・パネル部120は例えば印刷装置100の筐体の一部として実装されている。フォーマッタ制御部110において生成された最終的な印刷イメージはビデオ信号として出力制御部130に送出される。出力制御部130は印刷装置100の不図示の各種センサからの状態入力とともに光学ユニット140および各種駆動系機構部に対し制御信号を出力し、印刷装置100の印刷処理制御を司る。
【0013】
図1に示す印刷装置において、給紙カセット161から給紙された記録紙Pはその先端をグリッパ154fにより狭持されて、転写ドラム154の外周に保持される。光学ユニット140により感光ドラム151上に形成された、4色に色分解された原稿画像の静電潜像は、順次、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(B)の各色現像器Dy,Dm,Dc,Dbにより現像される。現像結果である各色トナー像を転写ドラム上の記録紙Pに重ねて転写することにより、記録紙P上に多色画像が形成される。
【0014】
その後、記録紙Pは転写ドラム154より分離されて、定着ユニット155へ搬送される。定着ユニット155では熱と圧力によりトナー像を記録紙Pに定着し、記録紙Pを排紙部159より排紙トレイ部160に排出する。
【0015】
ここで、各色の現像器Dy,Dm,Dc,Dbは、その両端に回転支軸を有し、各々がその軸を中心に回転可能となるように現像器選択機構部152に保持される。これによって、各現像器Dy,Dc,Db,Dnは、図1に示すように現像器選択のために現像器選択機構部152が回転軸152aを中心にして回転しても、その姿勢を一定に維持できる構成をとっている。
【0016】
選択された現像器が現像位置に移動後、現像器選択機構部152は現像器と一体で支点153bを中心にして、選択機構保持フレーム153がソレノイド153aにより感光ドラム151方向へ引っ張られ、感光ドラム151方向へ移動し現像処理が行われるように構成されている。
【0017】
次に、帯電器156によって感光ドラム151が所定の極性に均一に帯電される。フォーマッタ制御部110においてデバイス依存ビットマップとして展開された印刷命令は、対応するパターンのビデオ信号に変換されレーザドライバに出力され半導体レーザ141を駆動する。ビデオ信号入力に応じて半導体レーザ141から発射されるレーザ光はオンオフ制御され、さらにスキャナモータ143によって高速回転するポリゴンミラー142で反射され、ポリゴンレンズ134、反射鏡144を介して感光ドラム151上を走査露光する。これにより、感光ドラム151上にはビデオ信号に対応した静電潜像が形成される。
【0018】
次に、例えば、M(マゼンタ)色の静電潜像がM(マゼンタ)色の現像器Dmにより現像され、感光体ドラム151上にM(マゼンタ)色の第1のトナー像が形成される。一方、所定のタイミングで記録紙Pが給紙され、トナーと反対極性(例えばプラス極性)の転写バイアス電圧が転写ドラム154に印加され、感光体ドラム151上の第1トナー像が記録紙Pに転写されると共に、記録紙Pが転写ドラム154の表面に静電吸着される。
【0019】
その後、感光ドラム151はクリーナー157によって残留するM(マゼンタ)色トナーを除去され、次の色の潜像形成及び現像行程に備える。以下同様の手順によってC(シアン)、Y(イエロー)、Bk(ブラック)の順で第2,3,4色目のトナー像の転写が行われる。但し、各色の転写時には、転写ドラム154には前回よりも高いバイアス電圧が印加される点は異なる。
【0020】
4色のトナー像が重畳転写された記録紙Pの先端部が分離位置に近づくと、分離爪158が接近してその先端が転写ドラム154の表面に接触し、記録紙Pを転写ドラム154から分離させる。分離された記録紙Pは定着ユニット155に搬送され、ここで記録紙上のトナー像が定着されて排紙トレイ160上に排出される。
【0021】
なお、本発明における画像形成装置とは、カラーLBPに限られるものではなく、インクジェット方式や熱転写方式など、他の方式のカラーあるいはモノクロの印刷装置や複合機能装置であってもよい。
【0022】
図2は、本発明に係るプリンタ100の制御構成を示す図である。プリンタ100は、一般的な情報処理を実施するメイン基板200(図1のフォーマッタ制御部110の機能を含む)と画像形成処理を実施するサブ基板220(図1の出力制御部130の機能を含む)から構成される。メイン基板200(メインシステム)とサブ基板220(サブシステム)を1つの基板(システム)として構成することが可能であることは言うまでも無いが説明を簡潔にするため、本実施形態では、メイン基板200とサブ基板220の2つの基板から構成される場合について説明する。
【0023】
メイン基板200は、CPU201、メモリコントローラ202、ブートROM203、揮発性メモリ(DRAM)204、バスコントローラ205、I/Oコントローラ206、グラフィックスコントローラ207及びUSBコントローラ209を備える。
【0024】
ブートROM203は、メインシステムに電源投入された際のシステム初期化処理を実行する起動プログラム(ブートプログラム)が格納された不揮発性メモリである。CPU201は、起動プログラム及び他のプログラムを実行する演算装置である。その他のプログラムとしては、後述するメインプログラム等がある。また、CPU201は、ブートロム203等の制御を行う、メモリコントローラ202を介して、プログラムやデータを一時的に格納するDRAM204が接続される。USBコントローラ209には、USBメモリ210のようなUSBデバイスを制御する機能が実装される。操作パネル208(図1のオペレーション・パネル部120に相当)は、I/Oコントローラ206及びグラフィックスコントローラ207を介してメイン基板200と接続される。I/Oコントローラ206は、操作パネル208に配置された各種キーやタッチパネルの押下状態の検出や、操作パネル208に配置されたLEDの明滅制御を行い、グラフィックスコントローラ207は、操作パネルの表示領域に出力する画像データの制御を行う。バスコントローラ205は、サブ基板220との接続を制御する。
【0025】
一方、サブ基板220は、ブートROM224、CPU221、DRAM223、画像プロセッサ230及びデバイスコントローラ231を備える。さらに、サブ基板220は、メモリコントローラ222、バスブリッジ226、バスコントローラ227及びディスクコントローラ228を備える。
【0026】
ブートROM224は、サブシステム220への電源投入時にシステム初期化処理を行う起動プログラムを格納するための不揮発性メモリである。CPU221は、起動プログラムや他のプログラムを実行するための演算装置である。その他のプログラムとしては、後述するサブプログラム等がある。DRAM223は、プログラムやデータを一時的に格納する揮発性メモリであり、SRAM225は、各種設定値を格納する不揮発性メモリである。メモリコントローラ222は、SRAM225、ブートROM224及びDRAM223のアクセス速度やリフレッシュタイミングを制御する。画像プロセッサ230は、画像形成処理を高速に実行するハードウェアアクセラレータとして機能する。
【0027】
デバイスコントローラ231は、サブ基板220に接続されたファクシミリエンジン232、プリンタエンジン233、スキャンエンジン234等の画像形成デバイスの制御や画像形成処理を実行する。バスブリッジ226は、メイン基板200のバスコントローラ205と基板220のバスコントローラ227間のデータフローを制御する。
【0028】
ディスクコントローラ228は、各種データやプログラムが格納されたハードディスクドライブ(HDD)229へのデータ入出力を制御する。
【0029】
以下、図3〜図6のフローチャートを用いて、図2の様な画像形成装置のコントローラボード構成における起動処理に関して説明する。
【0030】
図3は、メインボード200の起動処理を示すフローチャートである。まず、メインボードに電源が投入されるとCPU201は、ブートロム203に格納されたブートプログラムを逐次実行する。ブートプログラムは、まずステップS301で、起動モードが通常起動か、リムーバブルメディア起動かを判定する。なお、起動モードは、操作パネル208からの所定の操作により設定されるものとする。起動モードがリムーバブルメディア起動であった場合、ステップS303で、図2に示すUSBメモリ210のようなリムーバブルメディアに格納されたメインローダプログラム(IPL)を、DRAM204に複製する。ステップS301で起動モードが通常モードであった場合、ステップS302で、サブ基板よりメインローダプログラムを、DRAM204に複製する。メインローダプログラムは、サブ基板上のブートロム224やSRAM225等の不揮発性記憶に格納するものとする。そして、ステップS304で、サブ基板に対しIPLのロードが完了したことを通知し、ステップS305で、DRAM204に複製されたメインローダプログラムをCPU201により逐次実行する。
【0031】
図4はサブボード220における起動処理を示すフローチャートである。メインボード200に電源が投入されると同時にサブボード220にも電源が投入され、ブートロム224に格納されたブートプログラムがCPU221により実行される。まず、ステップS401で、メインボード200からロード完了通知を受信したかどうかを判定し、受信するまで判定を繰り返す。なお、ロード完了通知は、図3のフローチャートのステップS304で送信されるものである。ステップS401でロード完了通知を受信すると、ステップS402で、バスブリッジ226を制御することによりバスを半透過状態に設定する。バスを半透過状態に設定することにより、サブ基板からメイン基板の各コントローラへはアクセス可能であるが、メイン基板からサブ基板の各コントローラへはアクセス不能に構成される。次に、ステップS403で、ディスクコントローラ228を制御することにより、HDD229からサブローダプログラム(IPL)を、DRAM223に複製し、CPU221により逐次実行する。
【0032】
以上により、メイン基板では、CPU201によりメインローダプログラムが、サブ基板では、CPU221によりサブローダプログラムが、夫々実行されることになる。
【0033】
図5は、図3のフローチャートのステップS303においてリムーバブルメディアから、あるいはステップS302においてサブ基板からDRAM204に読み込まれたメインローダプログラムの処理を示すフローチャートである。ステップS501でメイン基板上の各コントローラを初期化する。ステップS502で、サブ基板に対し、通信開始通知を送信する。そして、ステップS503で、サブ基板から応答を受信したかどうかを判定し、受信していなければ、ステップS504で規定のタイムアウト時間を超過したかどうかを判定し、タイムアウト時間を超過していなければ、ステップS503の処理に戻る。ステップS503でサブ基板から応答を受信した場合、ステップS506で肯定応答かどうかを判定し、肯定応答であれば、ステップS507で、通常起動モードであれば、サブ基板のディスクコントローラ228を制御して、HDD229から、リムーバブル起動モードであれば、USBコントローラ209を制御して、USBメモリ210から、それぞれメインプログラムをDRAM204に複製し、CPU201で逐次実行する。ステップS504で、タイムアウト時間を超過していた場合、及びステップS506でサブ基板から受信した応答が肯定応答でなければ、ステップS505で、操作パネル208にエラーを表示して処理を終了する。
【0034】
図6は、図4のフローチャートのステップS403により、HDD229からDRAM223に複製され、CPU221により逐次実行される、サブローダプログラムの処理を示すフローチャートである。ステップS601で、サブ基板上の各コントローラを初期化し、使用可能な状態にする。ステップS602で、メイン基板より、通信開始通知を受信(図5のステップS502で送信されるものに相当)したかどうかを判定し、もし受信していなければ、ステップS604で規定のタイムアウト時間を超過したか否かを判定する。ステップS604でタイムアウト時間を超過していなければ、ステップS602の処理に戻り、タイムアウト時間を超過していると、ステップS605で、メイン基板に対し否定応答を送信し処理を終了する。一方、ステップS602で通信開始通知をメイン基板から受信すると、ステップS606で、バスブリッジ226を操作することにより、バスを透過状態に設定する。バスを透過状態にすることにより、メイン基板からサブ基板の各コントローラに対するアクセスが可能に構成される。そして、ステップS607でメイン基板に対し肯定応答を送信し、ステップS608において、ディスクコントローラ228を制御することにより、HDD229からサブプログラムをDRAM223に読み込み、CPU221で逐次実行する。
【0035】
ステップS607における肯定応答をメイン基板に送信すると、メイン基板で動作するメインローダプログラムは、図5のステップS507において、サブ基板のディスクコントローラ228を制御して、HDD229からメインプログラムのロード及び実行を行うが、ステップS606の処理によりバスが透過モードに設定されることで、これが可能となる。
【0036】
ここでもし、USBメモリ210のようなリムーバブルメディアに不正なメインローダプログラムが配置されていた場合は、図5のステップS502における通信開始通知をサブ基板に送らないため、図6のステップS604でタイムアウトとなり、バスブリッジ226は、半透過状態のままとなる。これにより、不正なメインローダプログラムから、不正なメインプログラムが読み込まれ実行されたとしても、画像ファイルが格納されたHDD229や設定情報が保持されるSRAM225へのアクセスは遮断される。
【0037】
以上、説明したように本実施形態によれば、リムーバブルメディアが接続可能なメインボード及びサブボードから構成される画像形成装置において、メインローダとサブローダ間で通信が確立した場合のみ、バスを透過状態に設定することにより、リムーバブルメディアに格納された不正なプログラムを実行させた場合には、バスが半透過状態になるため、メイン基板からサブ基板上のコントローラへのアクセスを抑制し、これによりHDD229に格納されたファイルやSRAM225に格納された情報に対する改竄等を防ぐことが可能になる。
【実施例2】
【0038】
第1の実施形態では、メインローダプログラムとサブローダプログラム間で所定の手順により、メイン基板からサブ基板にアクセス可能にバスを制御することで、リムーバブルメディアから不正なプログラムを起動することによる、システムへの影響を抑えている。しかしながら、この方法では、正当なメインロードプログラムをリムーバブルメディアにコピーすることにより、所定のやりとりを正常に行わせた後に、不正なプログラムを実行して、サブシステムの構成要素にアクセスすることを抑止することはできない。
【0039】
この問題に対して、本実施形態では、図6のフローチャートで、ステップS606におけるバスを透過モードに設定する処理を、通常起動モードであった場合に限定する。そして、サブプログラム及びメインプログラム間で所定の手順を行い、これが適切であった場合に、サブプログラムによりバスブリッジ226を制御してバスを透過状態にし、適切でなかった場合には、バスを半透過状態のままとする。
【0040】
以上、説明したように本実施形態によれば、リムーバブルメディア起動の場合は、メインローダプログラムとサブローダプログラムとの間の手続きでは、バスを半透過状態のままとし、続いて実行されるメインプログラムとサブプログラム間で所定の手続きが、正常に行われたことによりバスを透過状態にすることで、不正なメインプログラムが実行された場合には、サブ基板上の構成要素へのアクセスを抑止することが可能となる。
【0041】
(他の実施例)
以上、様々な実施形態を詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。例えば、プリンタ、ファクシミリ、PC、サーバとクライアントとを含むコンピュータシステムなどの如くである。
【0042】
本発明は、前述した実施形態の各機能を実現するコンピュータプログラムを、システム若しくは装置に対して直接または遠隔から供給し、そのシステム等に含まれるコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0043】
従って、本発明の機能・処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、上記機能・処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0044】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0045】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0046】
また、プログラムは、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページからダウンロードしてもよい。すなわち、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードしてもよいのである。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の構成要件となる場合がある。
【0047】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布してもよい。この場合、所定条件をクリアしたユーザにのみ、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報で暗号化されたプログラムを復号して実行し、プログラムをコンピュータにインストールしてもよい。
【0048】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現されてもよい。なお、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ってもよい。もちろん、この場合も、前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0049】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ってもよい。このようにして、前述した実施形態の機能が実現されることもある。
【符号の説明】
【0050】
209 USBコントローラ
226 バスブリッジ
228 ディスクコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1システム及び第2システムを備える画像形成装置であって、
前記第2システムは、
前記第1システムを動作させるための第1ブートプログラム及び前記第2システムを動作させるための第2ブートプログラムを記憶する第1記憶手段と、
前記第1システムを制御するための第1プログラム及び前記第2システムを制御するための第2プログラムを記憶する第2記憶手段と、
前記第1システムと前記第2システムとの接続を制御する接続制御手段とを有し、
前記接続制御手段は、前記第1システムと前記第2システムとの所定の手順に基づき接続を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記接続制御手段は、
前記第1システムと第2システムの間で相互にアクセスを許可するか、第1システムから第2システムへのアクセスを遮断し、第2システムから第1システムへのアクセスのみを許可するように構成するか、を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1システムに接続可能な外部記憶装置を備え、前記第1プログラムを記憶する外部記憶装置を用いて前記第1システムを制御させるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−198443(P2010−198443A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43924(P2009−43924)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】