説明

画像形成装置

【課題】中間転写体表面の磨耗を抑制すると共に、中間転写体表面における被転写媒体の通過領域と非通過領域と間で生じる画質ムラを抑制する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】第2中間転写ベルトクリーニング装置113により、被転写媒体115にトナー像を転写した後、中間転写ベルト107表面における被転写媒体115の非通過領域をクリーニングする。そして、当該クリーニングを、中間転写ベルト107表面の当該非接触領域に交流電界を印加する又は溶剤を付与して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、従来、電子写真感光体などの像保持体に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を中間転写体上に静電気的に転写(一次転写工程)した後、転写紙などの被転写媒体上に再度転写(二次転写工程)して画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
近年、通常の中間転写体上の未転写トナーを除去する第1クリーニング手段とは別に、従来、被転写媒体の非通過領域に残留する外添剤等の異物を除去するための第2クリーニング手段が用いられてきている。
【0004】
例えば、特許文献1では、中間転写体表面における被転写媒体の非通過領域を強く研磨し、被転写材の通過領域を弱く研磨することで一様な表面状態に回復させる。残留トナーをクリーニングするクリーニング手段とは別に研磨ブラシ及びラッピングフィルムを用いて表面を研磨することが提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、転写定着体への帯電粉体の転写量を低減するため、中間転写体表面における非通過領域の帯電粉体を逆極性に帯電させるバイアス印加手段、又は物理的な力で掻き取る手段が提案されている。
【0006】
また、特許文献3では、中間転写体表面における被転写媒体の非通過領域に特定のタイミングでトナー層を形成し、付着物を除去するクリーニング技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−58513公報
【特許文献2】特開2007−108415公報
【特許文献3】特開2000−231274公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、他の中間転写体のクリーニング方式を採用する場合に比べ、中間転写体表面の磨耗を抑制すると共に、中間転写体表面における被転写媒体の通過領域と非通過領域の間で生じる画質ムラを抑制する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を被転写媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記被転写媒体に前記トナー像を転写した後、前記中間転写体表面をクリーニングする第1クリーニング手段と、
前記被転写媒体に前記トナー像を転写した後、前記中間転写体表面における前記被転写媒体の非通過領域をクリーニングする第2クリーニング手段であって、前記中間転写体表面の当該非接触領域に交流電界を印加する又は溶剤を付与してクリーニングする第2クリーニング手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【0010】
請求項2に係る発明は、
前記第2クリーニング手段が、交流電界を印加するための導電性ブラシを備える請求項1に記載の画像形成装置。
【0011】
請求項3に係る発明は、
前記第2クリーニング手段が、表面に前記溶剤を含浸した部材を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【0012】
請求項4に係る発明は、
前記トナーが、トナー粒子と固体潤滑剤粒子とを含む請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、他の中間転写体のクリーニング方式を採用する場合に比べ、中間転写体表面の磨耗が抑制されると共に、中間転写体表面における被転写媒体の通過領域と非通過領域の間で生じる画質ムラが抑制される。
請求項2に係る発明によれば、導電性ブラシを採用しない場合に比べ、中間転写体表面の磨耗が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、溶剤の液滴を中間転写体表面に付与させる方式を採用した場合に比べ、簡易な構成で、過剰な溶剤の付与が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、外添剤として固体潤滑剤粒子を含むトナーを採用した場合でも、中間転写体表面の磨耗が抑制されると共に、中間転写体表面における被転写媒体の通過領域と非通過領域と間で生じる画質ムラが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る第1クリーニング装置と第2クリーニング装置のクリーニング領域を説明するための概略平面図である。
【図3】本実施形態に係る第2クリーニング装置を示す概略斜視図である。
【図4】本実施形態に係る第2クリーニング装置を示す概略側面図である。
【図5】他の本実施形態に係る第2クリーニング装置を示す概略斜視図である。
【図6】他の本実施形態に係る第2クリーニング装置を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る第1クリーニング装置と第2クリーニング装置のクリーニング領域を説明するための概略平面図である。
【0017】
本実施形態に係る画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式であり、中間転写体として中間転写ベルトを適用した形態である。
【0018】
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、1次転写装置(1次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
【0019】
また、中間転写ベルト107が、張力付与ロール106a〜106d、駆動ロール111及び背面ロール108に張架され、転写ユニットを構成している。これらの張力付与ロール106a〜106d、駆動ロール111及び背面ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a〜101dの表面に接触しながら各像保持体101a〜101dと1次転写ロール105a〜105dとの間を矢印Aの方向に回転駆動される。1次転写ロール105a〜105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a〜101dに接触する部位が1次転写部となり、像保持体101a〜101dと1次転写ロール105a〜105dとの接触部には1次転写電圧が印加される。
【0020】
また、2次転写装置として、中間転写ベルト107を介して背面ロール108と2次転写ロール109が対向配置されている。紙等の被転写媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と2次転写ロール109との間を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。2次転写ロール109が中間転写ベルト107を介して背面ロール108に接触する部位が2次転写部となり、2次転写ロール109と背面ロール108との接触部には2次転写電圧が印加される。
【0021】
転写後の中間転写ベルト107の表面と接触するように第1中間転写ベルトクリーニング装置112と、第1中間転写ベルトクリーニング装置112よりも中間転写ベルト107回転方向下流側に第2中間転写ベルトクリーニング装置113と、が配置されている。但し、第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、特定のタイミングで、中間転写ベルト107と接触させクリーニングするように配設することがよい。
【0022】
第1中間転写ベルトクリーニング装置112は、図2に示すように、中間転写ベルト107表面の幅方向全域に亘ってクリーニングする装置である。第1中間転写ベルトクリーニング装置112は、主として残留トナー粒子等に代表される付着物を除去する装置である。
【0023】
一方、第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、図2に示すように、中間転写ベルト107表面うち、被転写媒体115の非通過領域(2次転写する際、中間転写ベルト107と被転写媒体115とが接触しない領域)をクリーニングする装置である。第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、主として残留外添剤等に代表される付着物を除去する装置である。
【0024】
ここで、被転写媒体115の非通過領域とは、サイズの異なる被転写媒体115のうち、2次転写する際、中間転写ベルト107と接触する幅(ベルト幅方向長さ)が最も小さい被転写媒体115が通過したときの領域を意味する。
【0025】
そして、サイズの異なる被転写媒体115を通過させる基準(サイズの異なる被転写媒体115に画像を形成するときに、中間転写ベルト107に画像を転写させる基準)を、中間転写ベルト107の幅方向中央部とする場合、中間転写ベルト107における被転写媒体115の非通過領域は幅方向両端部に存在することとなる。この場合、第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト107幅方向端部表面をクリーニングするように2つ配設させる。
一方、当該基準を中間転写ベルト107幅方向一端部とする場合、中間転写ベルト107における被転写媒体115の非通過領域は幅方向一端部に存在することとなる。この場合、第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト107幅方向一端部表面をクリーニングするように1つ配設させる。
なお、本実施形態では、第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト107幅方向端部表面をクリーニングするように2つ配設させる形態を説明するが、これに限られるわけではない。
【0026】
第2中間転写ベルトクリーニング装置113は、常時、中間転写ベルト107表面と接触させてクリーニング動作を実施する形態でもよいが、非クリーニング動作時には中間転写ベルト107と非接触状態に位置させ、クリーニング時のみ中間転写ベルト107と接触状態に位置させる形態であることがよい。このクリーニング動作シーケンスは、特定に制限はなく、周知の手法を採用すればよい。具体的には、例えば、以下の手法が採用され得る。無論、ユーザの指示により、任意にクリーニング動作を実施してもよい。
【0027】
1)被転写媒体115の通過回数(又は画像形成回数)をカウントし、その回数に応じて、第2中間転写ベルトクリーニング装置113を非接触状態から接触状態に移動させ、予め定められた時間、クリーニング動作を行う手法。
2)中間転写ベルト表面(被転写媒体115の非通過領域)に付着する付着物量を光学的に検知するセンサを設け、当該センサからの情報に応じて、第2中間転写ベルトクリーニング装置113を非接触状態から接触状態に移動させ、予め定められた時間、クリーニング動作を行う手法。
3)画像形成プロセス開始毎、終了毎に、第2中間転写ベルトクリーニング装置113を非接触状態から接触状態に移動させ、予め定められた時間、クリーニング動作を行う手法。
【0028】
第2中間転写ベルトクリーニング装置113としては、例えば、交流電圧を付与する方式を採用する第2中間転写ベルトクリーニング装置113Aや、溶剤を付与する方式を採用する第2中間転写ベルトクリーニング装置113Bが挙げられる。
【0029】
−第2中間転写ベルトクリーニング装置113A−
第2中間転写ベルトクリーニング装置113Aとしては、図3及び図4に示すように、導電性シャフト30(導電性基材)と、導電性シャフト30の外周面に配設され、当該シャフト径方向に向かって突出する導電性ブラシ31と、を備えたロールブラシで構成されている。そして、導電性シャフト30の軸方向一端部に、交流電圧を発生させる交流電圧発生部材32が接続されている。ここで、導電性とは、例えば体積抵抗率が10 Ω・cm未満を意味する。
【0030】
導電性シャフト30としては、例えば、導電性の棒状部材であり、例えば、その材質としては鉄(快削鋼等),銅,真鍮,ステンレス,アルミニウム,ニッケル等の金属が挙げられる。また、導電性シャフト30としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。導電性シャフト30は、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0031】
導電性ブラシ31としては、例えば、ロール状であってもよいし、帯状であってもよいが、本実施形態ではロール状を示している。また、ロール状の導電性ブラシ31はクリーニング時には回転させることがよく、その回転方向は中間転写ベルト107は順回転でもよく逆回転でもよいが、逆回転であることがよい。
【0032】
導電性ブラシ31としては、例えば、導電性アクリル繊維(SA−7:東レ(株)社製)等の公知の導電性繊維で構成される。
導電性ブラシ31の太さとしては、例えば3.1デニール以上9.3デニール以下であることがよい。また導電性ブラシ31の植毛密度としては、例えば25000本/inch2以上75000本/inch2以下であることがよい。導電性ブラシ31におけるクリーニング時の中間転写ベルトに対する食い込み量(=導電性ブラシの半径−導電性ブラシ回転中心から中間転写ベルトまでの距離)は、例えば0.05mm以上0.25mm以下であることがよい。
【0033】
交流電圧発生部材32としては、例えば、交流電源が採用される。
【0034】
ここで、第2中間転写ベルトクリーニング装置113A(導電性ブラシ31)により、印加する交流電圧は、例えば、ピーク間電圧が500V以上1500V以下(望ましくは800V以上1100V以下)、周波数が500Hz以上10kHz以下(望ましくは1kHz以上5kHz以下)であることがよい。また、第2中間転写ベルトクリーニング装置113A(導電性ブラシ31)は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を、中間転写ベルト107表面に印加してもよい。
【0035】
第2中間転写ベルトクリーニング装置113Aでは、例えば、導電性シャフト30を回転駆動させると共に、中間転写ベルト107表面側に移動させて導電性ブラシ31をベルト表面に接触させた後、導電性ブラシ31により(交流電圧印加部材により導電性ブラシを介して)交流電圧を中間転写ベルト107表面に印加しつつ、当該中間転写ベルト107の回転に伴い表面を摺擦してクリーニングする。当該交流電圧を印加することで、過剰に中間転写ベルト107表面を摺擦することなく、中間転写ベルト107表面における被転写媒体115の非通過領域に残留した残留トナー粒子は無論のこと、トナー粒子よりも径が小さい外添剤(特に、フッ素樹脂粒子に代表される固体潤滑剤粒子)等の付着物も除去され易くなる。交流電圧を印加することで、付着物が電気的に振動し中間転写ベルト107表面から離脱し易くなると考えられるため、例えば、単にベルト表面を摺擦するのみでは、除去され難かったトナー粒子よりも径が小さい外添剤(特に、フッ素樹脂粒子に代表される固体潤滑剤粒子)が除去され易くなると考えられる。
【0036】
なお、第2中間転写ベルトクリーニング装置113Aとして、導電性ブラシ31を備えた形態を説明したが、これに限られず、導電性シャフト30に導電層(導電弾性層)が配設されたロール部材、表面に導電層(導電性層)が配設された押圧部材であってもよい。第2中間転写ベルトクリーニング装置113Aとしては、過剰な中間転写ベルト107の磨耗を抑制する点から、導電性ブラシ31を備えた形態がよい。
【0037】
−第2中間転写ベルトクリーニング装置113B−
第2中間転写ベルトクリーニング装置113Bは、図5及び図6に示すように、帯状部材33(ウエブ部材)と、帯状部材33を供給するための供給ロール34と、帯状部材33を巻き取るための巻取りロール35と、帯状部材33を中間転写ベルト107表面に押圧するための押圧ロール36と、を備える。そして、帯状部材33の表面(中間転写ベルト107と接触する表面)に溶剤38を含浸させるために当該溶剤38を供給するための溶剤供給部材37を備える。
【0038】
溶剤38としては、中間転写ベルト107の表面を溶解又は膨潤等を生じさせないものがよく、中間転写ベルトの構成材料全般に上記現状を生じさせ難いことから、例えば、水系溶剤が好適に挙げられる。水系溶媒としては、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど等)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
溶剤供給部材37は、溶剤38を収納する容器37Aと、容器37Aに収納された溶剤38と接触して配設される溶剤供給ロール37Bと、を備えている。溶剤供給部材37は、例えば、溶剤供給ロール37Bが中間転写ベルト107と接触する前の帯状部材33表面と接触するように(又は溶剤供給ロール37B表面に付着した溶剤38と当該帯状部材33表面が接触するように)配設される。
【0040】
帯状部材33としては、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル樹脂繊維、カーボン糸、ポリエステル糸等からなるウェブが挙げられる。
【0041】
第2中間転写ベルトクリーニング装置113Bでは、供給ロール34は予め帯状部材33が巻かれており、巻取りロール35を回転駆動させるに伴い、当該帯状部材33が巻取りロール35に巻き取られることで、帯状部材33の供給がなされる。この際、溶剤供給部材37により溶剤38の供給がなされると共に、押圧ロール36を中間転写ベルト107側に駆動させ、当該押圧ロール36により中間転写ベルト107の表面に押圧される。そして、当該帯状部材33により、溶剤38が中間転写ベルト107表面に付与されつつ、当該中間転写ベルト107の回転に伴い当該ベルト表面を摺擦してクリーニングする。そして、次のクリーニング動作のときには、巻取りロール35を回転駆動させて、供給ロール34から帯状部材33を供給し、溶剤が含浸された帯状部材33の新たな表面が中間転写ベルト107表面と接触するようにする。このように、溶剤を付与しつつクリーニングを行うことで、過剰に中間転写ベルト107表面を摺擦することなく、中間転写ベルト107表面における被転写媒体115の非通過領域に残留した残留トナー粒子は無論のこと、トナー粒子よりも径が小さい外添剤(特に、フッ素樹脂粒子に代表される固体潤滑剤粒子)等の付着物が除去され易くなる。溶剤を付与することで、極性基を有するような溶剤等が付着物と中間転写ベルト107の界面に侵入し、付着物を表面から浮き上がり易くすると考えられるため、例えば、単にベルト表面を摺擦するのみでは、除去され難かったトナー粒子よりも径が小さい外添剤(特に、フッ素樹脂粒子に代表される固体潤滑剤粒子)が除去され易くなると考えられる。
【0042】
第2中間転写ベルトクリーニング装置113Bとして、溶剤38を含浸させた帯状部材33を中間転写ベルト107表面に接触させる形態を説明したが、溶剤38を含浸させたロール状部材を採用し、これを中間転写ベルト107表面に接触させる形態であってもよいし、溶剤38を別途付与(例えば溶剤38の液滴を付与)した後、拭取り部材等で拭取る形態であってもよい。第2中間転写ベルトクリーニング装置113Bとしては、簡易な構成で、過剰な溶剤の付与を抑制する点から、溶剤38を含浸させた部材を採用し、これを中間転写ベルト107表面に接触させる形態であることがよい。
【0043】
上記構成の本実施形態に係る画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって一様に帯電された後、レーザー光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーで現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
【0044】
像保持体101a上に形成されたトナー像は、1次転写部を通過する際に、1次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(1次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、1次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう1次転写され、最終的にカラーの多重トナー像が得られる。
【0045】
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、2次転写部を通過する際に、被転写媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された被転写媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱及び加圧の少なくとも一方により定着処理された後、機外に排出される。
【0046】
1次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、2次転写後の中間転写ベルト107の表面は第1中間転写ベルトクリーニング装置112により主に残留トナー粒子等に代表される付着物が除去され、2次転写後の中間転写ベルト107の表面のうち被転写媒体115の非通過領域は第2中間転写ベルトクリーニング装置113により主に残留外添剤等に代表される付着物が除去される。そして、次の画像形成プロセスに備える。
【0047】
ここで、近年、長寿命化への要求から、像保持体(感光体)表面や中間転写体の表面の磨耗を抑制する新たなトナー用の外添剤の検討がなされている。一例を挙げると、サブミクロンオーダーの固体潤滑剤粒子(例えばフッ素樹脂粒子等)を外添剤として使用するトナーが開発されている。これらのトナーにより像保持体(感光体)表面や中間転写体の短寿命化が抑制されるが、一方でそのクリーニング技術は困難であり、特に中間転写体表面の被転写媒体の非通過領域に残留する上記固体潤滑剤粒子等の外添剤は従来のクリーニング技術では除去できず、この結果、放電生成物などの残留が顕著となり、その部分の中間転写体の抵抗が低下し、画像濃度低下等の不具合が生じ易くなる。その結果、中間転写体表面の磨耗が抑制されると共に、中間転写体表面における被転写媒体の通過領域と非通過領域と間で生じる画質ムラが生じ易くなる。
【0048】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置100では、上記如く、第2中間転写ベルトクリーニング装置113により、被転写媒体115にトナー像を転写した後、中間転写ベルト107表面における被転写媒体115の非通過領域をクリーニングする。そして、当該クリーニングを、中間転写ベルト107表面の当該非接触領域に交流電界を印加する又は溶剤を付与して行う。これにより、過剰に中間転写ベルト107表面を摺擦することなく、中間転写ベルト107表面における被転写媒体115の非通過領域に付着したトナー粒子よりも径が小さい外添剤(特に、フッ素樹脂粒子に代表される固体潤滑剤粒子)が除去され易くなる。
【0049】
したがって、本実施形態に係る画像形成装置100では、中間転写ベルト107(中間転写体)面の磨耗が抑制されると共に、中間転写ベルト107(中間転写体)表面における被転写媒体115の通過領域と非通過領域と間で生じる画質ムラが抑制される。
【0050】
ここで、本実施形態に係る他の主な各部材としては、周知のものが採用されるが、以下、簡単に説明する。
【0051】
〔像保持体〕
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体を広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
【0052】
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状或いはプレート状等、公知の形状が採用される。
【0053】
〔帯電装置〕
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)又は半導電性(ここで、「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10〜1013Ωcmを意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)のロール、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも、オゾンの発生が少なく、効率的な帯電が行われる接触型帯電器が好ましい。
【0054】
帯電装置102a〜102dは、像保持体101a〜101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
【0055】
〔露光装置〕
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザー光、LED光、又は液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光する光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
【0056】
〔現像装置〕
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択する。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ロール等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
【0057】
本実施形態の画像形成装置100に用いるトナー(現像剤)は、例えば、トナーは、トナー粒子と外添剤とを含んで構成される。外添剤は、トナー粒子表面に付着して含んでもよいし、当該トナー粒子と遊離して含んでいてもよい。
【0058】
トナー粒子は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、及び必要に応じて帯電制御剤等の内添剤を含んで構成される。
【0059】
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体が挙げられる、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、結着樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0060】
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
【0061】
離型剤として、は低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が代表的なものとして挙げられる。
【0062】
帯電制御剤としては、公知のものが挙げられるが、例えば、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が挙げられる。湿式製法でトナー粒子を製造する場合、帯電制御剤としては、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが望ましい。
【0063】
トナー粒子、磁性材料を内包する磁性トナー粒子、及び磁性材料を含有しない非磁性トナー粒子のいずれであってもよい。
【0064】
トナー粒子は、体積平均粒径は2μm以上12μm以下であることが望ましく、より望ましくは3μm以上9μm以下である。
【0065】
トナー粒子の製造方法は、限定されるものではなく、例えば、1)結着樹脂、着色剤、離型剤、及び必要に応じて帯電制御剤等の内添剤を混練、粉砕、分級する混練粉砕して得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、2)結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、及び必要に応じて帯電制御剤等の内添剤の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、3)結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の内添剤の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、4)結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が適用される。また、トナー粒子は、上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子(樹脂粒子)を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用する。これらのトナー粒子の製造方法の中でも、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
【0066】
一方、外添剤としては、固体潤滑剤粒子を適用することがよい。個体潤滑剤粒子としては、フッ素樹脂、ポリオレフィン、脂肪酸金属塩等の粒子が好適に挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、パラフィンワックス、パラフィンラテックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類が挙げられ、特に、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが好適に挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、例えば、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸の亜鉛、カドミウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属塩、二塩基性ステアリン酸鉛、オレイン酸の亜鉛、マグネシウム、鉄、コバルト、銅、鉛、カルシウム等の金属塩、パルミチン酸とアルミニウム、カルシウム等の金属塩、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノール酸亜鉛、リノール酸コバルト、リシノール酸カルシウム、リシノレイン酸と亜鉛、カドミウム等の金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0067】
固体潤滑剤の体積平均一次粒径は0.05μm以上1μm以下が望ましく、より望ましく0.1μm以上0.5μm以下である。
ここで、固体潤滑剤の体積平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡を用い、任意の100個の一次粒子の直径(投影面積の円相当直径)を求め、その値から体積平均一次粒子径を算出して求めた値である。走査型電子顕微鏡としては例えば日本電子製JSM−6700F(FE−SEM/EDS)を用いることが出来、加速電圧としては、JSM−6700Fを用いた場合2〜5kV程度が好適であり、これは、装置や感光体の材料などによって適宜調整する必要がある。
具体的には、固体潤滑剤の体積平均一次粒子径は、現像剤(トナー)をそのままカーボンテープ上に固定し、これらにグラファイトペースト及びPt−Pd蒸着を行いサンプルとし、上記日本電子製JSM−6700F(FE−SEM/EDS)を用い加速電圧2kV/5000倍で撮影し、一次粒子状の任意の100個の粒子像の径(投影面積円相当径)を測定する。その結果から体積平均一次粒子径を算出して求める。
【0068】
上記固体潤滑剤粒子以外の他の外添剤としては、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等とする外添剤であって、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等が挙げられる。他の外添剤としては、無機粒子が特に望ましい。
【0069】
他の外添剤として好適な無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に挙げられる。有機粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0070】
外添剤、特に無機粒子には疎水化処理を施された粒子であることがよい。疎水化処理を施すための材料としては、シランカップリング剤(例えばテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等)、シリコーンオイル、高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)等が挙げられる。
【0071】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と外添剤とをヘンシェルミキサーやVブレンダー等で混合することによって製造される。また、本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添剤を外添してもよい。
【0072】
本実施形態に係るトナーは、トナーのみで構成する一成分現像剤として適用してもよいし、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤として適用してもよい。キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉、又はこれらに樹脂被覆を施したものが挙げられる。また、トナーとキャリアとの混合割合は、公知の範囲で設定される。
【0073】
〔一次転写ロール〕
1次転写ロール105a〜105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡又は無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。その抵抗値は10Ω以上1010Ω以下の範囲にあることが好ましい。1次転写ロール105a〜105dには1.0kV以上5.5kV以下の電圧が印加され、像保持体101a〜101dとの間に発生する電界により、トナーを転写する。
【0074】
〔像保持体クリーニング装置〕
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、1次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、又はロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
【0075】
〔2次転写ロール〕
2次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。2次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが好ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
【0076】
〔背面ロール〕
背面ロール108は、2次転写ロール109の対向電極を形成する。背面ロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記ゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。背面ロール108の表面抵抗率は10Ω/□以上1011Ω/□以下の範囲にあることが好ましい。
【0077】
背面ロール108と2次転写ロール109とのシャフトの間には、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。また、背面ロール108のシャフトへの電圧印加に代えて、背面ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と2次転写ロール109との間に電圧を印加することもできる。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、又は導電性樹脂プレート等が挙げられる。
【0078】
〔定着装置〕
定着装置110としては、例えば、熱ロール定着器や加圧ロール定着器、又はフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
【0079】
〔中間転写ベルト〕
中間転写ベルトとしては、特に制限されないが、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の各種樹脂又は各種ゴムに、導電剤(例えばカーボンブラック等)を含有させたベルトが挙げられる。また、中間転写ベルトは、例えば、厚みが80μm以上100μm以下で、体積抵抗率が1×109Ω・cm以上1×1013Ω・cm以下であることがよい。無論、中間転写ベルトに代えて、中間転写ドラムを適用してもよい。
【0080】
〔第1中間転写ベルトクリーニング装置〕
中間転写ベルトクリーニング装置112としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができ、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
【0081】
<試験例>
本実施形態に係る画像形成装置の効果を調べるため、以下の試験例を行った。
【0082】
[試験例1]
上記実施形態に従って、下記仕様の第2中間転写ベルトクリーニング装置(図3及び図4)を、画像形成装置「富士ゼロックス社製「DocuCentre C7550」改造機(第2中間転写ベルトクリーニング装置が装着できるように改造した改造機:図1の構成参照)」に装着した。なお、現像剤として、フッ素樹脂粒子を外添剤として含むトナー(現像剤)を適用した。
【0083】
−第2中間転写ベルトクリーニング装置仕様、クリーニング動作条件−
・シャフト:SUS304
・導電性ブラシ材質:導電性アクリル(太さ:6.2デニール)
・導電性ブラシ電気抵抗:10Ω・cm
・導電性ブラシ毛足長さ:2.2mm
・導電性ブラシ植毛密度:50×103本/inch
・導電性ブラシの中間転写体への食い込み量:0.1mm
・ブラシロール周速:220mm/s
・ブラシロール回転方向:中間転写ベルトの回転方向に対し逆回転
・ブラシ印加バイアス:ピーク電圧900V、周波数3kHz
【0084】
−評価−
第2中間転写ベルトクリーニング装置が装着された上記画像形成装置を用い、ハーフトーン画像(黒の50%)をA4サイズの普通紙(富士ゼロックス社製、C2紙)にプリントした。第2中間転写ベルトクリーニング装置によるクリーニング動作は、普通紙1000枚出力毎に10秒実施するように設定した。そして、A4サイズの普通紙を2000枚プリントする毎に、A3サイズの普通紙((富士ゼロックス社製、C2紙)にプリントし、中間転写ベルトの被転写媒体(A4サイズの普通紙)の通過領域と非通過領域の画質を比較した結果、50万枚プリントした後にも画質の差は見られなかった。そして、プリントが50万枚を超えても画質欠陥が現れなく、中間転写ベルトが磨耗していることは確認されなかった。
【0085】
[試験例2]
上記実施形態に従って、下記仕様の第2中間転写ベルトクリーニング装置(図5及び図6)を、画像形成装置「富士ゼロックス社製「DocuCentre C7550」改造機(第2中間転写ベルトクリーニング装置が装着できるように改造した改造機:図1の構成参照)」に装着した以外は、試験例1と同様にして評価を行った。そして、中間転写ベルトの被転写媒体(A4サイズの普通紙)の通過領域と非通過領域の画質を比較した結果、10万枚プリントした後にも画質の差は見られなかった。そして、プリントが50万枚を超えても画質欠陥が現れなく、中間転写ベルトが磨耗していることは確認されなかった。
【0086】
−第2中間転写ベルトクリーニング装置仕様、クリーニング動作条件−
・溶剤:イソプロピルアルコール
・帯状部材材質:ナイロン繊維のウェブ(厚み500μm)
・帯状部材の溶剤含浸量:1μL/mm
・帯状部材の中間転写ベルトへの押圧力:0.05gf/cm
【0087】
[比較例1]
画像形成装置「富士ゼロックス社製「DocuCentre C7550」(第2中間転写ベルトクリーニング装置なし)を用いて、試験例1と同様にして評価を行った。そして、中間転写ベルトの被転写媒体(A4サイズの普通紙)の通過領域と非通過領域の画質を比較した結果、2000枚プリントした後、画質の差が目視によっても確認された。一方、プリントが50万枚を超えても画質欠陥(当該画質差以外の画質欠陥)が現れなく、中間転写ベルトが磨耗していることは確認されなかった。
【0088】
[比較例2]
下記仕様の第2中間転写ベルトクリーニング装置を、画像形成装置「富士ゼロックス社製「DocuCentre C7550」改造機(第2中間転写ベルトクリーニング装置が装着できるように改造した改造機:図1の構成参照)」に装着した以外は、試験例1と同様にして評価を行った。そして、中間転写ベルトの被転写媒体(A4サイズの普通紙)の通過領域と非通過領域の画質を比較した結果、5万枚プリントした後にも画質の差は見られなかった。しかしながら、プリントが50万枚が超えたあたりから全面に筋状の画質欠陥が現れ、中間転写ベルトが磨耗していることが確認された。
【0089】
−第2中間転写ベルトクリーニング装置仕様、クリーニング動作条件−
・帯状部材材質:ラッピングフィルム#6000(厚み50μm、日本ミクロコーティング社製)
・帯状部材の溶剤含浸なし
・帯状部材の中間転写ベルトへの押圧力:0.5gf/cm
【0090】
[現像剤の作製]
上記試験例、及び比較例で適用した現像剤(トナー)は、以下の如く作製したものである。
【0091】
−トナー粒子の作製−
−−樹脂粒子分散液の調製−−
スチレン370g、n−ブチルアクリレート30g、アクリル酸8g、ドデカンチオール24g、及び四臭化炭素4gを混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6g及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10gをイオン交換水550gに溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、150nmであり、Tg=58℃、重量平均分子量Mw=11000の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
【0092】
−−着色剤分散液の調製−−
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製) 60g
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) 6g
・イオン交換水 240g
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤を調製した。
【0093】
−−離型剤分散液の調製−−
・パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃) 100g
・カチオン性界面活性剤 (サニゾールB50:花王(株)製) 5g
・イオン交換水 240g
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0094】
−−トナー粒子の作製−−
・樹脂粒子分散液 234質量部
・着色剤分散液 30質量部
・離型剤分散液 40質量部
・ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S) 0.5質量部
・イオン交換水 600質量部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、体積平均粒径D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、体積平均粒径D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7.0に調製した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー粒子を得た。トナー粒子の体積平均粒径D50が5.9μmであった。
【0095】
−キャリアの製造−
・フェライト粒子(平均粒径:50μm) 100質量部
・トルエン 14質量部
・スチレン/メタクリレート共重合体(成分比:90/10) 2質量部
・カーボンブラック(R330:キャボット社製) 0.2質量部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
【0096】
−トナー、現像剤の作製−
上記トナー粒子100質量部に、ルチル型酸化チタン(粒径20nm,n−デシルトリメトキシシラン処理)1質量部、シリカ(粒径40nm,シリコーンオイル処理,気相酸化法)2.0質量部、酸化セリウム(平均粒径0.7μm)1質量部、及びPTFE粒子(体積平均一次粒径:0.09μm) 0.5質量部を5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。
また、上記キャリア100質量部とトナー1:8質量部をV−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより、現像剤を得た。
【0097】
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0098】
【表1】

【0099】
上記結果から、本試験例では、比較例に比べ、中間転写ベルト表面の磨耗が抑制されると共に、中間転写ベルト表面における被転写媒体の通過領域と非通過領域と間で生じる画質ムラが抑制されることがわかる。
【符号の説明】
【0100】
30 導電性シャフト
31 導電性ブラシ
32 交流電圧発生部材
33 帯状部材
34 供給ロール
35 巻取りロール
36 押圧ロール
37 溶剤供給部材
37A 容器
37B 溶剤供給ロール
38 溶剤
101a〜101d 像保持体
102a〜102d 帯電装置
103a〜103d 現像装置
104a〜104d 像保持体クリーニング装置
105a〜105d 一次転写ロール
106a〜106d 張力付与ロール
107 中間転写ベルト
108 背面ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
111 駆動ロール
112 第1中間転写ベルトクリーニング装置
113、113A、113B 第2中間転写ベルトクリーニング装置
114a〜114d 像露光装置
115 被転写媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を被転写媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記被転写媒体に前記トナー像を転写した後、前記中間転写体表面をクリーニングする第1クリーニング手段と、
前記被転写媒体に前記トナー像を転写した後、前記中間転写体表面における前記被転写媒体の非通過領域をクリーニングする第2クリーニング手段であって、前記中間転写体表面の当該非接触領域に交流電界を印加する又は溶剤を付与してクリーニングする第2クリーニング手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第2クリーニング手段が、交流電界を印加するための導電性ブラシを備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2クリーニング手段が、表面に前記溶剤を含浸した部材を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナーが、トナー粒子と固体潤滑剤粒子とを含む請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−224286(P2010−224286A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72220(P2009−72220)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】