画像形成装置
【課題】コスト上又は設置スペースの関係から記録媒体を検知する検知手段又は代替手段を設定できない場合でも、記録媒体の詰まりを検知することができ、転写位置における記録媒体の詰まりを早期に検出することを可能とする。
【解決手段】画像情報に応じてトナー像が形成される像担持体15と、前記像担持体15上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段18と、前記転写手段18の記録媒体の移動方向下流側に配設され、前記転写手段の転写位置を通過した記録媒体を除電することにより、当該記録媒体を前記像担持体から剥離させる除電剥離手段38と、前記除電剥離手段38に流れる電流又は前記除電手段38に印加される電圧を検出し、前記転写手段18の転写位置で前記記録媒体が正常に剥離した場合と正常に剥離できなかった場合との前記電流又は電圧の変化によって、前記記録媒体の剥離不良を検出する剥離不良検出手段とを備える。
【解決手段】画像情報に応じてトナー像が形成される像担持体15と、前記像担持体15上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段18と、前記転写手段18の記録媒体の移動方向下流側に配設され、前記転写手段の転写位置を通過した記録媒体を除電することにより、当該記録媒体を前記像担持体から剥離させる除電剥離手段38と、前記除電剥離手段38に流れる電流又は前記除電手段38に印加される電圧を検出し、前記転写手段18の転写位置で前記記録媒体が正常に剥離した場合と正常に剥離できなかった場合との前記電流又は電圧の変化によって、前記記録媒体の剥離不良を検出する剥離不良検出手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置においては、感光体ドラム上に画像情報に応じたトナー像を形成するとともに、当該感光体ドラム上に形成されたトナー像を直接記録用紙上に転写するか、又は中間転写体を介して記録用紙上に転写した後、定着することにより、モノクロやカラーの画像を形成するように構成されている。その際、上記画像形成装置では、装置の小型化に伴う感光体ドラムの小径化等に起因して、感光体ドラムや中間転写体の転写部において記録用紙が詰まる、所謂ジャムが発生した場合に、この記録用紙のジャムを検出するように構成されている。
【0003】
この記録用紙のジャム検出に関連する技術としては、例えば、特開昭53−75942号公報、特開昭53−110841号公報、特開昭56−128977号公報、特開昭62−127852号公報、特開平06−011920号公報、特開昭54−118840号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0004】
上記特開昭53−75942号公報に係る電子複写機における転写紙の分離不良検出装置は、スキャナーとして原稿台又は露光光学系が往復移動する電子複写機において、スキャナーの往復切換位置を検出するリターンスイッチと、転写紙の分離が正常の場合その分離した転写紙を検出して前記リターンスイッチより先に作動する紙検知スイッチとを設け、両スイッチの出力信号をAND回路を介して異状作動回路に入力し、前記リターンスイッチが作動したとき前記紙検知スイッチの作動の有無で当該転写紙の分離不良及び分離失敗を検知するように構成したものである。
【0005】
また、上記特開昭53−110841号公報に係る転写紙回収装置は、静電潜像を担持し得る記録体上に転写紙を密着してトナー像の転写を行う電子複写機において、転写部の後方に設けられていて記録体から転写紙を分離する第一の分離手段と、上記分離手段により転写紙が分離されなかったことを検知する検知手段と、上記分離手段の後方に設けられていて記録体から転写紙を分離する第二の分離手段と、上記検知手段からの信号により上記第二の分離手段を所定時間作動させるようにした作動手段と、第二の分離手段により分離された転写紙を収容する容器とからなるように構成したものである。
【0006】
さらに、上記特開昭56−128977号公報に係る複写濃度制御方法は、移動する静電荷像担持体上に基準静電潜像を形成した後、該潜像を現像し、現像した画像の濃度を計測して、計測値にもとづいて現像器へのトナー補給を制御することにより複写濃度を制御する方式において、前記基準静電潜像を前記担体の移動方向に関しては画像形成領域外であって、前記方向に直角な方向に関しては画像形成領域内に形成するように構成したものである。
【0007】
又、上記特開昭62−127852号公報に係るトナー濃度および転写紙巻付き検出装置は、感光体上に形成された静電潜像を現像剤によってトナー像に変換するように構成された画像形成装置におけるトナー濃度および転写紙巻付き検出装置であって、感光体上に形成されたトナー像の濃度および感光体に対する転写紙の巻付きを検出する濃度センサと、トナー濃度検出時の濃度センサの出力を増幅する増幅回路と、転写紙巻付き検出時の濃度センサの出力を増幅する増幅回路とを備え、各増幅回路の増幅度をトナー像および転写紙に対する濃度センサの感度に応じてそれぞれ設定するように構成したものである。
【0008】
更に、上記特開平06−011920号公報に係る画像形成装置は、像担持体上の潜像を可視像化する現像器と、前記像担持体上の前記可視像をクリーニングするクリーニング手段と、該クリーニング手段とシートを像担持体から分離する分離・転写部との間に配設され、かつ前記可視像の濃度を検知する濃度検知手段と、を有するように構成したものである。
【0009】
また、上記特開昭54−118840号公報に係る複写機の分離ミス検知装置は、転写紙保持手段又は転写紙の搬送通路中に表面電位計を設け、転写紙の分離タイミングの前後で前記表面電位計の出力を検知し、前記転写紙保持手段から前記転写紙が分離されたか否かを判別するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭53−75942号公報
【特許文献2】特開昭53−110841号公報
【特許文献3】特開昭56−128977号公報
【特許文献4】特開昭62−127852号公報
【特許文献5】特開平06−011920号公報
【特許文献6】特開昭54−118840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、コスト上又は設置スペースの関係から記録媒体を検知する検知手段又は代替手段を設定できない場合でも、記録媒体の詰まりを検知することができ、しかも、小型の装置であって、転写位置から検知位置までの距離よりも、転写位置からクリーニング位置までの距離の方が短い場合であっても、転写位置における記録媒体の詰まりを早期に検出することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、請求項1に記載された発明は、画像情報に応じてトナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段の記録媒体の移動方向下流側に配設され、前記転写手段の転写位置を通過した記録媒体を除電することにより、当該記録媒体を前記像担持体から剥離させる除電剥離手段と、
前記除電剥離手段に流れる電流又は前記除電手段に印加される電圧を検出し、前記転写手段の転写位置で前記記録媒体が正常に剥離した場合と正常に剥離できなかった場合との前記電流又は電圧の変化によって、前記記録媒体の剥離不良を検出する剥離不良検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、前記除電剥離手段には、定電圧制御される電源によって一定の電圧が印加され、前記剥離不良検出手段は、前記除電剥離手段に流れる電流の変化を検出することによって、前記記録媒体の剥離不良を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、コスト上又は設置スペースの関係から記録媒体を検知する検知手段又は代替手段を設定できない場合でも、記録媒体の詰まりを検知することができ、しかも、小型の装置であって、転写位置から検知位置までの距離よりも、転写位置からクリーニング位置までの距離の方が短い場合であっても、転写位置における記録媒体の詰まりを早期に検出することができる。
【0015】
また、請求項2に記載された発明によれば、除電剥離手段に流れる電流の変化を検出することによって、記録媒体の剥離不良を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置の要部を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置の要部を示す構成図である。
【図4】用紙剥離時の剥離電流を示すグラフである。
【図5】用紙剥離時の剥離電流を示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置の用紙剥離時における剥離電流を示すグラフである。
【図7】転写電圧の変化を示す模式図である。
【図8】転写部における用紙を示す模式図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタを示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの要部を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としての電子写真方式を採用したモノクロ画像形成装置を示す概略構成図である。なお、このモノクロ画像形成装置は、画像読取装置を備えており、複写機、プリンター、ファクシミリとしての機能を兼ね備えた画像形成装置として構成されているが、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するプリンターとして構成されていても勿論よい。
【0019】
図2において、1はモノクロ画像形成装置本体を示すものであり、このモノクロ画像形成装置本体1の上部には、図示しない原稿を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置2と、当該自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置3が配設されている。この画像読取装置3は、プラテンガラス4上に載置された図示しない原稿を光源5によって照明し、原稿からの反射光像を、フルレートミラー6及びハーフレートミラー7、8及び結像レンズ9からなる縮小光学系11を介してCCD等からなる画像読取素子10上に走査露光して、この画像読取素子10によって原稿の画像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0020】
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿の画像は、画像データとしてモノクロ画像形成装置本体1の内部に設けられた画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿の画像データに対して、必要に応じて、シェーディング補正、位置ズレ補正、ガンマ補正、枠消し等の所定の画像処理が施される。また、この画像処理装置12は、パーソナルコンピュータ5等から送られてくる画像データに対しても、必要に応じて、所定の画像処理を行なうようになっている。
【0021】
そして、上記画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、画像露光装置13に送られ、この画像露光装置13では、図示しないポリゴンミラーやf−θレンズ等によって、画像データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
【0022】
ところで、上記モノクロ画像形成装置本体1の内部には、図2及び図3に示すように、ユニットとして一体的構成された画像形成ユニット14が配設されている。この画像形成ユニット14は、像担持体としての感光体ドラム15と、帯電手段としての帯電ロール16と、現像手段としての現像装置17と、クリーニング手段としてのクリーニング装置19とを備えるように構成されている。
【0023】
上記感光体ドラム15としては、OPC等からなる感光体層を表面に備えた導電性ドラムが用いられ、この感光体ドラム15は、図3に示すように、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って予め定められた速度で回転駆動されるように配設されている。上記感光体ドラム15の表面は、帯電ロール16によって予め定められた電位に一様に帯電された後、この感光体ドラム15の表面には、画像露光装置13によって画像露光が施され、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15の表面に形成された静電潜像は、現像装置17によって、トナーのみからなる一成分現像剤や、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いて現像され、画像データに応じたトナー像が形成される。また、上記感光体ドラム15上に形成されたトナー像は、予め定められたタイミングで後述するように給紙カセットから供給される所望サイズ及び材質の記録媒体としての記録用紙21上に、転写手段としての転写ロール18によって転写された後、剥離除電手段としての剥離電極38によって記録用紙21の裏面が除電され、感光体ドラム15の表面から剥離されて定着装置20へと搬送される。
【0024】
上記転写ロール18は、その金属製の芯金に、転写用電源39によって、トナーの帯電極性と逆極性の+5〜24μAの定電流制御された転写電流が通電されるように構成されている。この転写ロール18には、記録用紙21が通過しないクリーニング時に、クリーニングバイアスとして、−1.35kVの定電圧制御された電圧が印加される。
【0025】
また、上記剥離電極38には、剥離用電源40によって、−2.4kV程度の定電圧制御された剥離電圧が印加されるように構成されている。さらに、上記剥離電極38と剥離用電源40との間には、剥離電極38に流れる電流をモニタ(検出)する電流検出手段としての電流モニタ41が設けられている。この電流モニタ41によって検出された剥離電流は、デジタル値に変化された後、剥離不良検出手段としても機能する制御回路42に入力されている。
【0026】
この制御回路42は、モノクロ画像形成装置全体の動作を制御するものであり、図示しないROM等に記憶されたプログラムに基づいて画像形成動作を制御する。また、この制御回路42は、感光体ドラム15等を回転駆動又は停止する制御を行うものであり、予め定められた条件を満たしたときなど、感光体ドラム15やレジストロール、定着装置20等を停止させる。さらに、上記制御回路42は、ユーザーインターフェイス43に接続されており、ユーザーインターフェイス43によって設定された画像形成動作を実行したり、ユーザーインターフェイス43に予め定められたメッセージを表示したりする動作を実行する。また、上記制御回路42は、時間を計測するソフトウエアタイマーを内蔵しており、例えば、ある信号が入力されてからの経過時間を計測するように構成されている。
【0027】
さらに、上記現像装置17には、図2及び図3に示すように、モノクロ画像形成装置本体1の内部に配設されたトナーカートリッジ21からトナー供給パイプ22を介して、予め定められたタイミングでトナーや現像剤が供給されるように構成されている。
【0028】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム15は、その表面に残留したトナーや紙粉等がクリーニング装置19によって除去されて、次の画像形成工程に備える。
【0029】
上記記録用紙21は、図2に示すように、モノクロ画像形成装置本体1の内部に配設された給紙カセット23から給紙ロール24によって給紙されるか、あるいは当該モノクロ画像形成装置本体1の下方に配設された複数段の給紙カセット25〜27から、給紙ロール28、リタードロール29及びフィードロール30によって、1枚ずつ捌かれた状態で、搬送ロール31を介してレジストロール32まで搬送され停止される。そして、上記記録用紙21は、予め定められたタイミングで回転駆動されるレジストロール32によって、感光体ドラム15上に形成されるトナー像と同期した状態で、当該感光体ドラム15の転写位置へと搬送され、転写ロール18によってトナー像が転写された後、定着装置20へと搬送されるようになっている。上記レジストロール32の回転駆動は、図示しない駆動モーターの回転駆動力を伝達したり遮断する図示しないレジクラッチを、制御回路42からの信号によってON/OFFすることで制御される。
【0030】
この定着装置20によってトナー像が定着された記録用紙21は、片面プリントの場合には、そのまま排出ロール33によって、モノクロ画像形成装置本体1の上端面に形成された排出トレイ34上に排出される。また、上記記録用紙21の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙21を、そのまま排出ロール33によって排出トレイ34上に排出せずに、当該排出ロール33によって記録用紙21の後端を挟持している状態で、排出ロール33を逆転させるとともに、定着装置20の上部に設けられた切替ゲート35を切り替えて、記録用紙21を両面用搬送路36へと搬送する。そして、上記記録用紙21は、両面用搬送路36を介して表裏が反転された状態で、再度、レジストロール32へと搬送され、記録用紙21の裏面に画像が形成されるようになっている。
【0031】
なお、図2中、37は折り畳まれた状態の手差しトレイを示している。
【0032】
ところで、上記モノクロ画像形成装置では、図2に示すように、給紙カセット23等から給紙された記録用紙21が、レジストロール32を介して感光体ドラム15の転写位置へと搬送され、当該感光体ドラム15上からトナー像が転写された後、定着装置20へと搬送されて定着処理を受けて画像が形成される。
【0033】
その際、上記記録用紙21は、トレーシングペーパー等の薄紙であったり、普通紙であっても、坪量が例えば80gsm未満と小さい比較的薄い用紙である場合、あるいは低温低湿環境等の環境条件によっては、剥離電極38によって除電した場合であっても、記録用紙21が感光体ドラム15から剥離されずに、感光体ドラム15の表面に巻き付いた状態で搬送され、クリーニング装置19の内部に突入したりする虞れがある。
【0034】
また、図1に示すように、上記感光体ドラム15の表面に巻き付いた記録用紙21を剥離する剥離爪44を備えている場合には、当該剥離爪44によって感光体ドラム15の表面から剥離されるが、感光体ドラム15の小径化に伴って、感光体ドラム15の周囲の設置スペースが狭くなる傾向にあり、剥離爪44の設置が困難な場合もある。
【0035】
この実施の形態では、感光体ドラム15の転写位置の記録用紙21の搬送方向に沿った下流側に、感光体ドラム15から剥離されなかった記録用紙21を検出する用紙検出手段や、この用紙検出手段に代替する検出手段を設置するのではなく、感光体ドラム15の転写位置の記録用紙21の搬送方向に沿った下流側に近接して配設された剥離電極38に流れる電流、あるいは剥離電極38に印加される電圧を電流モニタ41によってモニタ(検出)することにより、記録用紙21が正常に剥離されたか否かを制御回路42によって検出(判別)するように構成されている。
【0036】
図4(a)は低温低湿環境(10℃、15%RH)下において、剥離電極38に剥離用電源40によって−2.4kVの定電圧制御された剥離電圧を印加し、普通紙である記録用紙21正常に剥離された場合に、剥離電極38に流れる電流をモニタした結果を示すグラフである。なお、図4(b)は、剥離電極38を記録用紙21の移動経路から1mmだけ退避させた状態で測定したものであり、図4(a)と同様の傾向を示している。また、図5はこの図4のグラフを模式化して示したものである。なお、図4においては、マイナスのメモリを上向きにとってあるのに対して、図5においては、マイナスのメモリを下向きにとってあるため、剥離電流の曲線が逆向きとなっているが、いずれも同じ形を示していることが判る。
【0037】
これらの図4及び図5から明らかなように、普通紙である記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されると、図5に示すように、感光体ドラム15の転写位置を通過した記録用紙21が剥離電極38の近傍を通過するため、裏面が正極性に帯電した記録用紙21から剥離電極38に対して剥離電流が流れる。この剥離電流は、記録用紙21が剥離電極38の位置を通過する間、複数回にわたって流れるが、大きな特徴は、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されると、当該記録用紙21の先端が剥離電極38の近傍を通過し、剥離された直後に大きな剥離電流IDが流れることである。
【0038】
これに対して、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されない場合には、記録用紙21の先端が感光体ドラム15の表面に巻き付いて大きく湾曲した後に、記録用紙21の中間部が撓んで剥離電極38の近傍に移動して、正常に剥離された場合と比較して大幅に遅れ(ΔT)て剥離電流ID’が流れるか、感光体ドラム15の表面に巻き付いた後、剥離爪44によって感光体ドラム15の表面から剥離されて、記録用紙21の中間部が用紙の腰(剛性)によって剥離電極38の近傍に移動して、いずれにしても正常に剥離された場合と比較して大幅に遅れて剥離電流ID’が流れることになる。
【0039】
したがって、上記剥離電極38に流れる電流IDを電流モニタ41によって検出し、制御回路42によって当該剥離電流ID’の検出時期の相違を判別することにより、記録用紙21の搬送タイミング及び搬送速度から記録用紙21の先端が剥離電極38を通過すると予想される時刻に、剥離電流IDが流れるか、あるいは当該予想時刻よりも遅れて剥離電流IDが流れるかによって、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されたか否かを検出(判別)することができる。制御回路42は、記録用紙21の剥離不良であるジャムを検出すると、感光体ドラム15等を駆動する駆動モーターを直ちに停止させるとともに、ユーザーインターフェイス43に「紙詰まりが発生しました。紙詰まりした用紙を取り除いてください。」といったメッセージを表示するようになっている。
【0040】
しかも、上記剥離電極38は、感光体ドラム15を小径化した場合であっても、感光体ドラム15の転写位置の下流側近傍に配設されているため、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されたか否かを早期に検出(判別)することが可能となる。また、従来のように、記録用紙のジャムを検出する特別なセンサー等を設置する必要がないので、コストアップや設置スペースの大型化を招くことがない。
【0041】
また、ジャムが発生した場合は、ユーザーインターフェイス43に「使えない用紙の可能性があります」等のメッセージを表示したり、「薄紙モードを使用してください」等のユーザへのメッセージを表示しても良い。
【0042】
なお、転写位置の近傍にジャムセンサを持っている画像形成装置においては、感光体ドラムへの巻き付きジャムが発生した場合、感光体ドラムにダメージを与える前に停止できるという利点がある。
【0043】
さらに、例えば、薄紙モードのみや、高湿条件化の両面コピーの裏面のみ等、巻き付きジャムが発生しやすい条件でのみ、本実施の形態を実施するように構成しても良い。
【0044】
実施の形態2
図6はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、記録用紙21の先端がレジストロール32を通過したことをトリガとして制御回路42のタイマー回路を起動させ、記録用紙21の先端が剥離電極38を通過する時刻を求めるのではなく、図8に示すように、記録用紙21の先端が感光体ドラム15と転写ロール18とが当接する転写ニップ部の入口に移動した際に、図6に示すように、当該記録用紙21が抵抗を有するために転写ニップ部における転写電圧が低下した後、記録用紙21の先端が転写ニップ部を通過する際に、転写電圧が一定の値になる転写電圧の変化を記録用紙21の先端検知のトリガとしてタイマー回路を起動させるように構成したものである。
【0045】
この場合には、制御回路42のタイマー回路は、記録用紙21の先端が転写位置から剥離電極38の位置までの極短い距離を移動する時間を計測すればよく、実施の形態1のように、レジストロール32から転写位置までの記録用紙21の到達時刻のバラツキを含まないため、記録用紙21の剥離不良を高精度に検出することができる。
【0046】
また、図7は、記録用紙21の抵抗が小さい場合に、記録用紙21の先端が感光体ドラム15と転写ロール18とが当接する転写ニップ部の入口に移動した際に、図7に示すように、当該記録用紙21が抵抗を有するために転写ニップ部における転写電圧の低下が、図6と比較して小さいものの一旦低下した後に、記録用紙21の先端が転写ニップ部を通過する際に、転写電圧が一定の値になる状態を示しているものである。
【0047】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
実施の形態3
図9はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3は、中間転写体を用いた画像形成装置を示すものである。
【0049】
図9はこの発明の実施の形態3に係る画像形成装置としての4サイクル方式のフルカラープリンタを示すものである。
【0050】
図9において、101はフルカラープリンタの本体を示すものであり、このフルカラープリンタ本体101の内部には、中央よりもやや上部に、像担持体としての感光体ドラム102が回動可能に配設されている。この感光体ドラム102としては、例えば、表面に感光体層が被覆された導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しない駆動手段により、矢印方向に沿って所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0051】
上記感光体ドラム102としては、種々のものを使用することが可能であるが、例えば、感光体層の塗膜の耐久性を向上させ、長寿命化や高耐久性化を達成した感光体を使用するのが望ましい。上記感光体ドラム102の感光体層としては、例えば、高硬度化材料が選択され、この高硬度化材料の代表例は、Se、Se合金、酸化亜鉛、硫化カドミウム、a−Si等の無機材料を用いた感光体や、有機材料を用いた有機感光体層上に表面保護層と称されるオーバーコート層を付加した種々の感光体などである。また、上記表面保護層は、例えば、硬化性樹脂及び導電性粒子を含有したものが用いられ、硬化性樹脂としては、アクリル樹脂やフェノール樹脂等が挙げられる。さらに、上記表面保護層としては、シロキサン化合物、フッ素原子含有化合物の一方又は双方を含有したものが挙げられる。さらに、上記感光体ドラム2の感光体層は、例えば、20〜30μm程度の厚さに形成されたものが用いられる。
【0052】
このフルカラープリンタは、例えば、プロセススピードが約150mm/secと、同様の機種においては、比較的高く設定されており、生産性の高いものとなっている。なお、上記フルカラープリンタのプロセススピードは、例えば、白黒モードの場合には、150mm/secよりも速く設定しても勿論良い。
【0053】
上記感光体ドラム102の表面は、当該感光体ドラム2の斜め下方に配置された帯電手段としての帯電ロール103によって所定の電位に帯電された後、これ又感光体ドラム102直下の離れた位置に配置された画像露光装置104によって、レーザービーム(LB)による画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。その際、上記感光体ドラム102の表面には、帯電ロール3等による放電作用によって、オゾンや窒素酸化物等の放電生成物が付着する。上記感光体ドラム102上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器105Y、105M、105C、105Kを周方向に沿って配置した回転式の現像装置105によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0054】
上記回転式の現像装置105は、図9に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器105Y、105M、105C、105Kが、回転軸を中心にして回転する回転フレームの周方向に沿って互いに90度の角度を成すように装着されている。また、上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器105Y、105M、105C、105Kは、前記回転フレームの回転位置を、当該回転フレームに設けられたスリットの位置によって検出して制御することにより、各現像器105Y、105M、105C、105Kの開口部に設けられた現像ロールを、感光体ドラム102と対向する現像位置に停止させ、感光体ドラム102上に形成された静電潜像を所望の色のトナーによって現像するように構成されている。
【0055】
さらに、上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像器105Y、105M、105C、105Kには、当該各現像器105Y、105M、105C、105Kに隣接するように、トナーカートリッジが装着されており、当該トナーカートリッジから対応する現像器105Y、105M、105C、105Kにトナーを所定のタイミングで供給することによって、各現像器105Y、105M、105C、105K内のトナー濃度を調整することが可能となっている。
【0056】
上記感光体ドラム102の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。上記回転式の現像装置105は、対応する色の現像器105Y、105M、105C、105Kの現像ロールが、感光体ドラム102と対向する現像位置に移動する。例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム102の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、当該感光体ドラム102の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。
【0057】
上記感光体ドラム102上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム102の外周に中間転写体としての中間転写ベルト106が巻き付けられた一次転写位置において、当該中間転写ベルト106上に互いに重ね合わされた状態で、一次転写ロール107によって一次転写される。この中間転写ベルト6上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、二次転写ロール108によって、所定のタイミングで給紙される記録媒体としての記録用紙109上に二次転写位置Aにおいて一括して二次転写される。記録用紙109は、フルカラープリンタ本体101の下部に配置された給紙カセット110から、フィードロール111によって送り出されるとともに、当該フィードロール111及びリタードロール112によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、用紙搬送路113を介して、レジストロール114によって中間転写ベルト106上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト106の二次転写位置Aへと搬送される。なお、上記中間転写ベルト106から記録用紙109上にトナー像を二次転写する際に、当該中間転写ベルト106上には、現像剤としてのトナーや、トナーの外添剤等が付着して残留する。
【0058】
上記中間転写ベルト106は、図9及び図10に示すように、複数のロールによって張架されているとともに、感光体ドラム102の一次転写位置において当接されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で回転駆動するように構成されている。中間転写ベルト106は、例えば、ポリイミド樹脂等の合成樹脂によって無端ベルト状に形成されている。この中間転写ベルト106は、ドライブロール115と、感光体ドラム102上に形成されたトナー像を中間転写ベルト106上に転写する一次転写ロール107と、センサーロール116と、テンションロール117と、二次転写ロール108に中間転写ベルト106を介して当接するバックアップロール118とによって、所定の張力で張架されている。
【0059】
また、上記中間転写ベルト106は、上記の如く、複数のロール107、115〜118によって張架されているが、この実施の形態では、フルカラープリンタ本体101の小型化を図るため、中間転写ベルト106が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0060】
また、上記中間転写ベルト106のセンサーロール116と対向する位置には、中間転写ベルト106上に形成された濃度検出用パターンとしてトナーのテストパッチの濃度を検出する反射型フォトセンサからなる濃度検出手段としての自動濃度検出(ADC)センサ123が配設されている。
【0061】
さらに、上記中間転写ベルト106からトナー像が転写された記録用紙109は、図9に示すように、定着装置127へと搬送され、この定着装置127の加熱ローラ128及び加圧ベルト(又は加圧ローラ)129によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙109上に定着され、排出ロール130によって排出口131からプリンタ本体101の上部に設けられた排出トレイ132上にそのまま排出される。
【0062】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム2の表面は、当該感光体ドラム2が1回転する毎に、感光体ドラム2の斜め下方に配置されたクリーニング装置33のクリーニングブレード34によって、残留トナーなどが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0063】
ところで、この実施の形態では、図10に示すように、像担持体として中間転写ベルト106が用いられており、この中間転写ベルト106から記録用紙109が剥離される二次転写位置の下流側に、除電剥離手段としての剥離電極38が配設されている。この剥離電極38には、剥離用電源40によって、予め定められた電圧値に定電圧制御された剥離電圧が印加されるように構成されている。さらに、上記剥離離電極38と剥離用電源40との間には、剥離電極38に流れる電流をモニタ(検出)する電流検出手段としての電流モニタ41が設けられている。この電流モニタ41によって検出された剥離電流は、デジタル値に変化された後、制御回路42に入力されている。
【0064】
このように、カラープリンタの場合には、中間転写ベルト106上に転写されるトナー像の数及び量も多く、中間転写ベルト106から記録用紙109上に複数色のトナー像を転写する際に、二次転写ロール108にモノクロ画像と比較して高い転写電圧を印加する必要がある場合もある。
【0065】
そのため、二次転写位置を通過して記録用紙109から剥離電極38に流れる剥離電流をモニタ(検出)することによって、記録用紙109の剥離不良を検出することが可能である。
【0066】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
実施の形態4
図11はこの発明の実施の形態を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、転写ベルトを備えるように構成されている。
【0068】
すなわち、この実施の形態4では、記録用紙を感光体ドラム15から剥離するために、感光体ドラム15の転写位置に記録用紙21を保持した状態で搬送する転写ベルト201を備えるように構成されている。
【0069】
この実施の形態4では、転写ベルト201を用いているため、実施の形態1等と比較して、記録用紙21が感光体ドラム15に巻き付き難い構成となっているが、やはり、記録用紙21が薄紙であったり、環境条件等によっては、記録用紙21が感光体ドラム15に巻き付く虞れを有しているため、転写ベルト201の搬送方向下流側の端部に剥離電極が設けられている。
【0070】
また、この実施の形態4では、感光体ドラム15の直径が比較的大きくなっているが、転写ロール18から剥離電極38までの距離にα(ジャムタイマー)を加えた距離が、転写ロール18からドラムクリーナー又はベルトクリーナーまでの距離以下となる関係を満たしている。
【0071】
また、上記の関係を満たしていない場合であっても、転写ロール18に最も近接させて設置可能な部材は、剥離電極38であるため、当該剥離電極38に流れる電流等をモニタすることによって、記録用紙21のジャムが発生したことを早期に検出し、最も早く感光体ドラム15等を停止することができることに変わりはない。
【0072】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
なお、前記実施の形態では、転写ロールに定電流を通電し、剥離電極に定電圧を印加する場合について説明したが、これに限定されずに、転写ロールに定電圧を印加し、剥離電極に定電流を通電するように構成しても良い。
【産業上の利用分野】
【0074】
この発明は電子写真方式を採用した複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
15:感光体ドラム、18:転写ロール、38:剥離電極、40:剥離用電源、41:電流モニタ、42:制御回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置においては、感光体ドラム上に画像情報に応じたトナー像を形成するとともに、当該感光体ドラム上に形成されたトナー像を直接記録用紙上に転写するか、又は中間転写体を介して記録用紙上に転写した後、定着することにより、モノクロやカラーの画像を形成するように構成されている。その際、上記画像形成装置では、装置の小型化に伴う感光体ドラムの小径化等に起因して、感光体ドラムや中間転写体の転写部において記録用紙が詰まる、所謂ジャムが発生した場合に、この記録用紙のジャムを検出するように構成されている。
【0003】
この記録用紙のジャム検出に関連する技術としては、例えば、特開昭53−75942号公報、特開昭53−110841号公報、特開昭56−128977号公報、特開昭62−127852号公報、特開平06−011920号公報、特開昭54−118840号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0004】
上記特開昭53−75942号公報に係る電子複写機における転写紙の分離不良検出装置は、スキャナーとして原稿台又は露光光学系が往復移動する電子複写機において、スキャナーの往復切換位置を検出するリターンスイッチと、転写紙の分離が正常の場合その分離した転写紙を検出して前記リターンスイッチより先に作動する紙検知スイッチとを設け、両スイッチの出力信号をAND回路を介して異状作動回路に入力し、前記リターンスイッチが作動したとき前記紙検知スイッチの作動の有無で当該転写紙の分離不良及び分離失敗を検知するように構成したものである。
【0005】
また、上記特開昭53−110841号公報に係る転写紙回収装置は、静電潜像を担持し得る記録体上に転写紙を密着してトナー像の転写を行う電子複写機において、転写部の後方に設けられていて記録体から転写紙を分離する第一の分離手段と、上記分離手段により転写紙が分離されなかったことを検知する検知手段と、上記分離手段の後方に設けられていて記録体から転写紙を分離する第二の分離手段と、上記検知手段からの信号により上記第二の分離手段を所定時間作動させるようにした作動手段と、第二の分離手段により分離された転写紙を収容する容器とからなるように構成したものである。
【0006】
さらに、上記特開昭56−128977号公報に係る複写濃度制御方法は、移動する静電荷像担持体上に基準静電潜像を形成した後、該潜像を現像し、現像した画像の濃度を計測して、計測値にもとづいて現像器へのトナー補給を制御することにより複写濃度を制御する方式において、前記基準静電潜像を前記担体の移動方向に関しては画像形成領域外であって、前記方向に直角な方向に関しては画像形成領域内に形成するように構成したものである。
【0007】
又、上記特開昭62−127852号公報に係るトナー濃度および転写紙巻付き検出装置は、感光体上に形成された静電潜像を現像剤によってトナー像に変換するように構成された画像形成装置におけるトナー濃度および転写紙巻付き検出装置であって、感光体上に形成されたトナー像の濃度および感光体に対する転写紙の巻付きを検出する濃度センサと、トナー濃度検出時の濃度センサの出力を増幅する増幅回路と、転写紙巻付き検出時の濃度センサの出力を増幅する増幅回路とを備え、各増幅回路の増幅度をトナー像および転写紙に対する濃度センサの感度に応じてそれぞれ設定するように構成したものである。
【0008】
更に、上記特開平06−011920号公報に係る画像形成装置は、像担持体上の潜像を可視像化する現像器と、前記像担持体上の前記可視像をクリーニングするクリーニング手段と、該クリーニング手段とシートを像担持体から分離する分離・転写部との間に配設され、かつ前記可視像の濃度を検知する濃度検知手段と、を有するように構成したものである。
【0009】
また、上記特開昭54−118840号公報に係る複写機の分離ミス検知装置は、転写紙保持手段又は転写紙の搬送通路中に表面電位計を設け、転写紙の分離タイミングの前後で前記表面電位計の出力を検知し、前記転写紙保持手段から前記転写紙が分離されたか否かを判別するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭53−75942号公報
【特許文献2】特開昭53−110841号公報
【特許文献3】特開昭56−128977号公報
【特許文献4】特開昭62−127852号公報
【特許文献5】特開平06−011920号公報
【特許文献6】特開昭54−118840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、コスト上又は設置スペースの関係から記録媒体を検知する検知手段又は代替手段を設定できない場合でも、記録媒体の詰まりを検知することができ、しかも、小型の装置であって、転写位置から検知位置までの距離よりも、転写位置からクリーニング位置までの距離の方が短い場合であっても、転写位置における記録媒体の詰まりを早期に検出することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、請求項1に記載された発明は、画像情報に応じてトナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段の記録媒体の移動方向下流側に配設され、前記転写手段の転写位置を通過した記録媒体を除電することにより、当該記録媒体を前記像担持体から剥離させる除電剥離手段と、
前記除電剥離手段に流れる電流又は前記除電手段に印加される電圧を検出し、前記転写手段の転写位置で前記記録媒体が正常に剥離した場合と正常に剥離できなかった場合との前記電流又は電圧の変化によって、前記記録媒体の剥離不良を検出する剥離不良検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、前記除電剥離手段には、定電圧制御される電源によって一定の電圧が印加され、前記剥離不良検出手段は、前記除電剥離手段に流れる電流の変化を検出することによって、前記記録媒体の剥離不良を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、コスト上又は設置スペースの関係から記録媒体を検知する検知手段又は代替手段を設定できない場合でも、記録媒体の詰まりを検知することができ、しかも、小型の装置であって、転写位置から検知位置までの距離よりも、転写位置からクリーニング位置までの距離の方が短い場合であっても、転写位置における記録媒体の詰まりを早期に検出することができる。
【0015】
また、請求項2に記載された発明によれば、除電剥離手段に流れる電流の変化を検出することによって、記録媒体の剥離不良を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置の要部を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置の要部を示す構成図である。
【図4】用紙剥離時の剥離電流を示すグラフである。
【図5】用紙剥離時の剥離電流を示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置の用紙剥離時における剥離電流を示すグラフである。
【図7】転写電圧の変化を示す模式図である。
【図8】転写部における用紙を示す模式図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタを示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの要部を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としての電子写真方式を採用したモノクロ画像形成装置を示す概略構成図である。なお、このモノクロ画像形成装置は、画像読取装置を備えており、複写機、プリンター、ファクシミリとしての機能を兼ね備えた画像形成装置として構成されているが、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するプリンターとして構成されていても勿論よい。
【0019】
図2において、1はモノクロ画像形成装置本体を示すものであり、このモノクロ画像形成装置本体1の上部には、図示しない原稿を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置2と、当該自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置3が配設されている。この画像読取装置3は、プラテンガラス4上に載置された図示しない原稿を光源5によって照明し、原稿からの反射光像を、フルレートミラー6及びハーフレートミラー7、8及び結像レンズ9からなる縮小光学系11を介してCCD等からなる画像読取素子10上に走査露光して、この画像読取素子10によって原稿の画像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0020】
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿の画像は、画像データとしてモノクロ画像形成装置本体1の内部に設けられた画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿の画像データに対して、必要に応じて、シェーディング補正、位置ズレ補正、ガンマ補正、枠消し等の所定の画像処理が施される。また、この画像処理装置12は、パーソナルコンピュータ5等から送られてくる画像データに対しても、必要に応じて、所定の画像処理を行なうようになっている。
【0021】
そして、上記画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、画像露光装置13に送られ、この画像露光装置13では、図示しないポリゴンミラーやf−θレンズ等によって、画像データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
【0022】
ところで、上記モノクロ画像形成装置本体1の内部には、図2及び図3に示すように、ユニットとして一体的構成された画像形成ユニット14が配設されている。この画像形成ユニット14は、像担持体としての感光体ドラム15と、帯電手段としての帯電ロール16と、現像手段としての現像装置17と、クリーニング手段としてのクリーニング装置19とを備えるように構成されている。
【0023】
上記感光体ドラム15としては、OPC等からなる感光体層を表面に備えた導電性ドラムが用いられ、この感光体ドラム15は、図3に示すように、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って予め定められた速度で回転駆動されるように配設されている。上記感光体ドラム15の表面は、帯電ロール16によって予め定められた電位に一様に帯電された後、この感光体ドラム15の表面には、画像露光装置13によって画像露光が施され、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15の表面に形成された静電潜像は、現像装置17によって、トナーのみからなる一成分現像剤や、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いて現像され、画像データに応じたトナー像が形成される。また、上記感光体ドラム15上に形成されたトナー像は、予め定められたタイミングで後述するように給紙カセットから供給される所望サイズ及び材質の記録媒体としての記録用紙21上に、転写手段としての転写ロール18によって転写された後、剥離除電手段としての剥離電極38によって記録用紙21の裏面が除電され、感光体ドラム15の表面から剥離されて定着装置20へと搬送される。
【0024】
上記転写ロール18は、その金属製の芯金に、転写用電源39によって、トナーの帯電極性と逆極性の+5〜24μAの定電流制御された転写電流が通電されるように構成されている。この転写ロール18には、記録用紙21が通過しないクリーニング時に、クリーニングバイアスとして、−1.35kVの定電圧制御された電圧が印加される。
【0025】
また、上記剥離電極38には、剥離用電源40によって、−2.4kV程度の定電圧制御された剥離電圧が印加されるように構成されている。さらに、上記剥離電極38と剥離用電源40との間には、剥離電極38に流れる電流をモニタ(検出)する電流検出手段としての電流モニタ41が設けられている。この電流モニタ41によって検出された剥離電流は、デジタル値に変化された後、剥離不良検出手段としても機能する制御回路42に入力されている。
【0026】
この制御回路42は、モノクロ画像形成装置全体の動作を制御するものであり、図示しないROM等に記憶されたプログラムに基づいて画像形成動作を制御する。また、この制御回路42は、感光体ドラム15等を回転駆動又は停止する制御を行うものであり、予め定められた条件を満たしたときなど、感光体ドラム15やレジストロール、定着装置20等を停止させる。さらに、上記制御回路42は、ユーザーインターフェイス43に接続されており、ユーザーインターフェイス43によって設定された画像形成動作を実行したり、ユーザーインターフェイス43に予め定められたメッセージを表示したりする動作を実行する。また、上記制御回路42は、時間を計測するソフトウエアタイマーを内蔵しており、例えば、ある信号が入力されてからの経過時間を計測するように構成されている。
【0027】
さらに、上記現像装置17には、図2及び図3に示すように、モノクロ画像形成装置本体1の内部に配設されたトナーカートリッジ21からトナー供給パイプ22を介して、予め定められたタイミングでトナーや現像剤が供給されるように構成されている。
【0028】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム15は、その表面に残留したトナーや紙粉等がクリーニング装置19によって除去されて、次の画像形成工程に備える。
【0029】
上記記録用紙21は、図2に示すように、モノクロ画像形成装置本体1の内部に配設された給紙カセット23から給紙ロール24によって給紙されるか、あるいは当該モノクロ画像形成装置本体1の下方に配設された複数段の給紙カセット25〜27から、給紙ロール28、リタードロール29及びフィードロール30によって、1枚ずつ捌かれた状態で、搬送ロール31を介してレジストロール32まで搬送され停止される。そして、上記記録用紙21は、予め定められたタイミングで回転駆動されるレジストロール32によって、感光体ドラム15上に形成されるトナー像と同期した状態で、当該感光体ドラム15の転写位置へと搬送され、転写ロール18によってトナー像が転写された後、定着装置20へと搬送されるようになっている。上記レジストロール32の回転駆動は、図示しない駆動モーターの回転駆動力を伝達したり遮断する図示しないレジクラッチを、制御回路42からの信号によってON/OFFすることで制御される。
【0030】
この定着装置20によってトナー像が定着された記録用紙21は、片面プリントの場合には、そのまま排出ロール33によって、モノクロ画像形成装置本体1の上端面に形成された排出トレイ34上に排出される。また、上記記録用紙21の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙21を、そのまま排出ロール33によって排出トレイ34上に排出せずに、当該排出ロール33によって記録用紙21の後端を挟持している状態で、排出ロール33を逆転させるとともに、定着装置20の上部に設けられた切替ゲート35を切り替えて、記録用紙21を両面用搬送路36へと搬送する。そして、上記記録用紙21は、両面用搬送路36を介して表裏が反転された状態で、再度、レジストロール32へと搬送され、記録用紙21の裏面に画像が形成されるようになっている。
【0031】
なお、図2中、37は折り畳まれた状態の手差しトレイを示している。
【0032】
ところで、上記モノクロ画像形成装置では、図2に示すように、給紙カセット23等から給紙された記録用紙21が、レジストロール32を介して感光体ドラム15の転写位置へと搬送され、当該感光体ドラム15上からトナー像が転写された後、定着装置20へと搬送されて定着処理を受けて画像が形成される。
【0033】
その際、上記記録用紙21は、トレーシングペーパー等の薄紙であったり、普通紙であっても、坪量が例えば80gsm未満と小さい比較的薄い用紙である場合、あるいは低温低湿環境等の環境条件によっては、剥離電極38によって除電した場合であっても、記録用紙21が感光体ドラム15から剥離されずに、感光体ドラム15の表面に巻き付いた状態で搬送され、クリーニング装置19の内部に突入したりする虞れがある。
【0034】
また、図1に示すように、上記感光体ドラム15の表面に巻き付いた記録用紙21を剥離する剥離爪44を備えている場合には、当該剥離爪44によって感光体ドラム15の表面から剥離されるが、感光体ドラム15の小径化に伴って、感光体ドラム15の周囲の設置スペースが狭くなる傾向にあり、剥離爪44の設置が困難な場合もある。
【0035】
この実施の形態では、感光体ドラム15の転写位置の記録用紙21の搬送方向に沿った下流側に、感光体ドラム15から剥離されなかった記録用紙21を検出する用紙検出手段や、この用紙検出手段に代替する検出手段を設置するのではなく、感光体ドラム15の転写位置の記録用紙21の搬送方向に沿った下流側に近接して配設された剥離電極38に流れる電流、あるいは剥離電極38に印加される電圧を電流モニタ41によってモニタ(検出)することにより、記録用紙21が正常に剥離されたか否かを制御回路42によって検出(判別)するように構成されている。
【0036】
図4(a)は低温低湿環境(10℃、15%RH)下において、剥離電極38に剥離用電源40によって−2.4kVの定電圧制御された剥離電圧を印加し、普通紙である記録用紙21正常に剥離された場合に、剥離電極38に流れる電流をモニタした結果を示すグラフである。なお、図4(b)は、剥離電極38を記録用紙21の移動経路から1mmだけ退避させた状態で測定したものであり、図4(a)と同様の傾向を示している。また、図5はこの図4のグラフを模式化して示したものである。なお、図4においては、マイナスのメモリを上向きにとってあるのに対して、図5においては、マイナスのメモリを下向きにとってあるため、剥離電流の曲線が逆向きとなっているが、いずれも同じ形を示していることが判る。
【0037】
これらの図4及び図5から明らかなように、普通紙である記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されると、図5に示すように、感光体ドラム15の転写位置を通過した記録用紙21が剥離電極38の近傍を通過するため、裏面が正極性に帯電した記録用紙21から剥離電極38に対して剥離電流が流れる。この剥離電流は、記録用紙21が剥離電極38の位置を通過する間、複数回にわたって流れるが、大きな特徴は、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されると、当該記録用紙21の先端が剥離電極38の近傍を通過し、剥離された直後に大きな剥離電流IDが流れることである。
【0038】
これに対して、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されない場合には、記録用紙21の先端が感光体ドラム15の表面に巻き付いて大きく湾曲した後に、記録用紙21の中間部が撓んで剥離電極38の近傍に移動して、正常に剥離された場合と比較して大幅に遅れ(ΔT)て剥離電流ID’が流れるか、感光体ドラム15の表面に巻き付いた後、剥離爪44によって感光体ドラム15の表面から剥離されて、記録用紙21の中間部が用紙の腰(剛性)によって剥離電極38の近傍に移動して、いずれにしても正常に剥離された場合と比較して大幅に遅れて剥離電流ID’が流れることになる。
【0039】
したがって、上記剥離電極38に流れる電流IDを電流モニタ41によって検出し、制御回路42によって当該剥離電流ID’の検出時期の相違を判別することにより、記録用紙21の搬送タイミング及び搬送速度から記録用紙21の先端が剥離電極38を通過すると予想される時刻に、剥離電流IDが流れるか、あるいは当該予想時刻よりも遅れて剥離電流IDが流れるかによって、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されたか否かを検出(判別)することができる。制御回路42は、記録用紙21の剥離不良であるジャムを検出すると、感光体ドラム15等を駆動する駆動モーターを直ちに停止させるとともに、ユーザーインターフェイス43に「紙詰まりが発生しました。紙詰まりした用紙を取り除いてください。」といったメッセージを表示するようになっている。
【0040】
しかも、上記剥離電極38は、感光体ドラム15を小径化した場合であっても、感光体ドラム15の転写位置の下流側近傍に配設されているため、記録用紙21が感光体ドラム15の表面から正常に剥離されたか否かを早期に検出(判別)することが可能となる。また、従来のように、記録用紙のジャムを検出する特別なセンサー等を設置する必要がないので、コストアップや設置スペースの大型化を招くことがない。
【0041】
また、ジャムが発生した場合は、ユーザーインターフェイス43に「使えない用紙の可能性があります」等のメッセージを表示したり、「薄紙モードを使用してください」等のユーザへのメッセージを表示しても良い。
【0042】
なお、転写位置の近傍にジャムセンサを持っている画像形成装置においては、感光体ドラムへの巻き付きジャムが発生した場合、感光体ドラムにダメージを与える前に停止できるという利点がある。
【0043】
さらに、例えば、薄紙モードのみや、高湿条件化の両面コピーの裏面のみ等、巻き付きジャムが発生しやすい条件でのみ、本実施の形態を実施するように構成しても良い。
【0044】
実施の形態2
図6はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、記録用紙21の先端がレジストロール32を通過したことをトリガとして制御回路42のタイマー回路を起動させ、記録用紙21の先端が剥離電極38を通過する時刻を求めるのではなく、図8に示すように、記録用紙21の先端が感光体ドラム15と転写ロール18とが当接する転写ニップ部の入口に移動した際に、図6に示すように、当該記録用紙21が抵抗を有するために転写ニップ部における転写電圧が低下した後、記録用紙21の先端が転写ニップ部を通過する際に、転写電圧が一定の値になる転写電圧の変化を記録用紙21の先端検知のトリガとしてタイマー回路を起動させるように構成したものである。
【0045】
この場合には、制御回路42のタイマー回路は、記録用紙21の先端が転写位置から剥離電極38の位置までの極短い距離を移動する時間を計測すればよく、実施の形態1のように、レジストロール32から転写位置までの記録用紙21の到達時刻のバラツキを含まないため、記録用紙21の剥離不良を高精度に検出することができる。
【0046】
また、図7は、記録用紙21の抵抗が小さい場合に、記録用紙21の先端が感光体ドラム15と転写ロール18とが当接する転写ニップ部の入口に移動した際に、図7に示すように、当該記録用紙21が抵抗を有するために転写ニップ部における転写電圧の低下が、図6と比較して小さいものの一旦低下した後に、記録用紙21の先端が転写ニップ部を通過する際に、転写電圧が一定の値になる状態を示しているものである。
【0047】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
実施の形態3
図9はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3は、中間転写体を用いた画像形成装置を示すものである。
【0049】
図9はこの発明の実施の形態3に係る画像形成装置としての4サイクル方式のフルカラープリンタを示すものである。
【0050】
図9において、101はフルカラープリンタの本体を示すものであり、このフルカラープリンタ本体101の内部には、中央よりもやや上部に、像担持体としての感光体ドラム102が回動可能に配設されている。この感光体ドラム102としては、例えば、表面に感光体層が被覆された導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しない駆動手段により、矢印方向に沿って所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0051】
上記感光体ドラム102としては、種々のものを使用することが可能であるが、例えば、感光体層の塗膜の耐久性を向上させ、長寿命化や高耐久性化を達成した感光体を使用するのが望ましい。上記感光体ドラム102の感光体層としては、例えば、高硬度化材料が選択され、この高硬度化材料の代表例は、Se、Se合金、酸化亜鉛、硫化カドミウム、a−Si等の無機材料を用いた感光体や、有機材料を用いた有機感光体層上に表面保護層と称されるオーバーコート層を付加した種々の感光体などである。また、上記表面保護層は、例えば、硬化性樹脂及び導電性粒子を含有したものが用いられ、硬化性樹脂としては、アクリル樹脂やフェノール樹脂等が挙げられる。さらに、上記表面保護層としては、シロキサン化合物、フッ素原子含有化合物の一方又は双方を含有したものが挙げられる。さらに、上記感光体ドラム2の感光体層は、例えば、20〜30μm程度の厚さに形成されたものが用いられる。
【0052】
このフルカラープリンタは、例えば、プロセススピードが約150mm/secと、同様の機種においては、比較的高く設定されており、生産性の高いものとなっている。なお、上記フルカラープリンタのプロセススピードは、例えば、白黒モードの場合には、150mm/secよりも速く設定しても勿論良い。
【0053】
上記感光体ドラム102の表面は、当該感光体ドラム2の斜め下方に配置された帯電手段としての帯電ロール103によって所定の電位に帯電された後、これ又感光体ドラム102直下の離れた位置に配置された画像露光装置104によって、レーザービーム(LB)による画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。その際、上記感光体ドラム102の表面には、帯電ロール3等による放電作用によって、オゾンや窒素酸化物等の放電生成物が付着する。上記感光体ドラム102上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器105Y、105M、105C、105Kを周方向に沿って配置した回転式の現像装置105によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0054】
上記回転式の現像装置105は、図9に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器105Y、105M、105C、105Kが、回転軸を中心にして回転する回転フレームの周方向に沿って互いに90度の角度を成すように装着されている。また、上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器105Y、105M、105C、105Kは、前記回転フレームの回転位置を、当該回転フレームに設けられたスリットの位置によって検出して制御することにより、各現像器105Y、105M、105C、105Kの開口部に設けられた現像ロールを、感光体ドラム102と対向する現像位置に停止させ、感光体ドラム102上に形成された静電潜像を所望の色のトナーによって現像するように構成されている。
【0055】
さらに、上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像器105Y、105M、105C、105Kには、当該各現像器105Y、105M、105C、105Kに隣接するように、トナーカートリッジが装着されており、当該トナーカートリッジから対応する現像器105Y、105M、105C、105Kにトナーを所定のタイミングで供給することによって、各現像器105Y、105M、105C、105K内のトナー濃度を調整することが可能となっている。
【0056】
上記感光体ドラム102の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。上記回転式の現像装置105は、対応する色の現像器105Y、105M、105C、105Kの現像ロールが、感光体ドラム102と対向する現像位置に移動する。例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム102の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、当該感光体ドラム102の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。
【0057】
上記感光体ドラム102上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム102の外周に中間転写体としての中間転写ベルト106が巻き付けられた一次転写位置において、当該中間転写ベルト106上に互いに重ね合わされた状態で、一次転写ロール107によって一次転写される。この中間転写ベルト6上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、二次転写ロール108によって、所定のタイミングで給紙される記録媒体としての記録用紙109上に二次転写位置Aにおいて一括して二次転写される。記録用紙109は、フルカラープリンタ本体101の下部に配置された給紙カセット110から、フィードロール111によって送り出されるとともに、当該フィードロール111及びリタードロール112によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、用紙搬送路113を介して、レジストロール114によって中間転写ベルト106上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト106の二次転写位置Aへと搬送される。なお、上記中間転写ベルト106から記録用紙109上にトナー像を二次転写する際に、当該中間転写ベルト106上には、現像剤としてのトナーや、トナーの外添剤等が付着して残留する。
【0058】
上記中間転写ベルト106は、図9及び図10に示すように、複数のロールによって張架されているとともに、感光体ドラム102の一次転写位置において当接されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で回転駆動するように構成されている。中間転写ベルト106は、例えば、ポリイミド樹脂等の合成樹脂によって無端ベルト状に形成されている。この中間転写ベルト106は、ドライブロール115と、感光体ドラム102上に形成されたトナー像を中間転写ベルト106上に転写する一次転写ロール107と、センサーロール116と、テンションロール117と、二次転写ロール108に中間転写ベルト106を介して当接するバックアップロール118とによって、所定の張力で張架されている。
【0059】
また、上記中間転写ベルト106は、上記の如く、複数のロール107、115〜118によって張架されているが、この実施の形態では、フルカラープリンタ本体101の小型化を図るため、中間転写ベルト106が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0060】
また、上記中間転写ベルト106のセンサーロール116と対向する位置には、中間転写ベルト106上に形成された濃度検出用パターンとしてトナーのテストパッチの濃度を検出する反射型フォトセンサからなる濃度検出手段としての自動濃度検出(ADC)センサ123が配設されている。
【0061】
さらに、上記中間転写ベルト106からトナー像が転写された記録用紙109は、図9に示すように、定着装置127へと搬送され、この定着装置127の加熱ローラ128及び加圧ベルト(又は加圧ローラ)129によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙109上に定着され、排出ロール130によって排出口131からプリンタ本体101の上部に設けられた排出トレイ132上にそのまま排出される。
【0062】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム2の表面は、当該感光体ドラム2が1回転する毎に、感光体ドラム2の斜め下方に配置されたクリーニング装置33のクリーニングブレード34によって、残留トナーなどが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0063】
ところで、この実施の形態では、図10に示すように、像担持体として中間転写ベルト106が用いられており、この中間転写ベルト106から記録用紙109が剥離される二次転写位置の下流側に、除電剥離手段としての剥離電極38が配設されている。この剥離電極38には、剥離用電源40によって、予め定められた電圧値に定電圧制御された剥離電圧が印加されるように構成されている。さらに、上記剥離離電極38と剥離用電源40との間には、剥離電極38に流れる電流をモニタ(検出)する電流検出手段としての電流モニタ41が設けられている。この電流モニタ41によって検出された剥離電流は、デジタル値に変化された後、制御回路42に入力されている。
【0064】
このように、カラープリンタの場合には、中間転写ベルト106上に転写されるトナー像の数及び量も多く、中間転写ベルト106から記録用紙109上に複数色のトナー像を転写する際に、二次転写ロール108にモノクロ画像と比較して高い転写電圧を印加する必要がある場合もある。
【0065】
そのため、二次転写位置を通過して記録用紙109から剥離電極38に流れる剥離電流をモニタ(検出)することによって、記録用紙109の剥離不良を検出することが可能である。
【0066】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
実施の形態4
図11はこの発明の実施の形態を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、転写ベルトを備えるように構成されている。
【0068】
すなわち、この実施の形態4では、記録用紙を感光体ドラム15から剥離するために、感光体ドラム15の転写位置に記録用紙21を保持した状態で搬送する転写ベルト201を備えるように構成されている。
【0069】
この実施の形態4では、転写ベルト201を用いているため、実施の形態1等と比較して、記録用紙21が感光体ドラム15に巻き付き難い構成となっているが、やはり、記録用紙21が薄紙であったり、環境条件等によっては、記録用紙21が感光体ドラム15に巻き付く虞れを有しているため、転写ベルト201の搬送方向下流側の端部に剥離電極が設けられている。
【0070】
また、この実施の形態4では、感光体ドラム15の直径が比較的大きくなっているが、転写ロール18から剥離電極38までの距離にα(ジャムタイマー)を加えた距離が、転写ロール18からドラムクリーナー又はベルトクリーナーまでの距離以下となる関係を満たしている。
【0071】
また、上記の関係を満たしていない場合であっても、転写ロール18に最も近接させて設置可能な部材は、剥離電極38であるため、当該剥離電極38に流れる電流等をモニタすることによって、記録用紙21のジャムが発生したことを早期に検出し、最も早く感光体ドラム15等を停止することができることに変わりはない。
【0072】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
なお、前記実施の形態では、転写ロールに定電流を通電し、剥離電極に定電圧を印加する場合について説明したが、これに限定されずに、転写ロールに定電圧を印加し、剥離電極に定電流を通電するように構成しても良い。
【産業上の利用分野】
【0074】
この発明は電子写真方式を採用した複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
15:感光体ドラム、18:転写ロール、38:剥離電極、40:剥離用電源、41:電流モニタ、42:制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に応じてトナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段の記録媒体の移動方向下流側に配設され、前記転写手段の転写位置を通過した記録媒体を除電することにより、当該記録媒体を前記像担持体から剥離させる除電剥離手段と、
前記除電剥離手段に流れる電流又は前記除電手段に印加される電圧を検出し、前記転写手段の転写位置で前記記録媒体が正常に剥離した場合と正常に剥離できなかった場合との前記電流又は電圧の変化によって、前記記録媒体の剥離不良を検出する剥離不良検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記除電剥離手段には、定電圧制御される電源によって一定の電圧が印加され、前記剥離不良検出手段は、前記除電剥離手段に流れる電流の変化を検出することによって、前記記録媒体の剥離不良を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像情報に応じてトナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段の記録媒体の移動方向下流側に配設され、前記転写手段の転写位置を通過した記録媒体を除電することにより、当該記録媒体を前記像担持体から剥離させる除電剥離手段と、
前記除電剥離手段に流れる電流又は前記除電手段に印加される電圧を検出し、前記転写手段の転写位置で前記記録媒体が正常に剥離した場合と正常に剥離できなかった場合との前記電流又は電圧の変化によって、前記記録媒体の剥離不良を検出する剥離不良検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記除電剥離手段には、定電圧制御される電源によって一定の電圧が印加され、前記剥離不良検出手段は、前記除電剥離手段に流れる電流の変化を検出することによって、前記記録媒体の剥離不良を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−230706(P2010−230706A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74982(P2009−74982)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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