説明

画像形成装置

【課題】外観品質を損なうことなく、装置内部への埃等の異物の侵入を軽減させて、装置内部を冷却する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、外観を形成する外装部材71と、装置内部を開放するカバー開口71dと、カバー開口71dを開閉自在に覆う手差トレイ22と、カバー開口71dの内部に設けられ、装置内部と外部との間で空気を流通する冷却ファン75とを備える。手差トレイ22は、装置内部に対向する内面部22bと、所定の隙間をもってカバー開口71dの側面に対向する側面部22cと、装置外部に対向する外面部22aを有し、内面部22bから側面部22bにかけて溝部73b、73cが設けられ、溝部73b、73cと隙間により装置内部と外部との通風路が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、装置本体内に外気を取り入れる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置では、原稿照射用の光源としてのランプや、用紙上に転写されたトナー像を溶融定着するためのヒータ等、機内の温度を上昇させる熱源が含まれている。外装カバーで包囲された装置内の温度がこのような熱源によって上昇することを防ぐために、換気ファンが設けられるのが一般的である。この場合、外装カバーには外気を吸引するための吸気口と、装置内の空気を排出するための排気口とが設けられている。吸気口には装置外部から装置内に埃等の異物が入り込むことを防止するために、防塵フィルタが取り付けられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、画像形成装置の外装を構成する側面カバーに、吸気口となる孔状のルーバーが設けられ、このルーバーに対応する装置内部の位置に吸気用の貫通口とファンが設けられ、ルーバーと貫通口との間にはフィルタ取り付け部が設けられている。このフィルタ取り付け部には、挿脱可能な防塵フィルタが装着される。防塵フィルタによって装置内に埃等の異物が侵入することを防ぎ、埃等の異物を侵入させることなく外気を吸引して装置内の冷却を行い、かつ埃等の異物が防塵フィルタに溜まるとメンテナンス時に防塵フィルタを清掃するようにしている。
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、吸気口が外装を構成する側面カバーに露出するので、外気とともに埃等の異物が入りやすく、埃等の異物が留まった防塵フィルタを頻繁に清掃することになり、また、外観品質を損ねるという問題点があった。
【特許文献1】特開平10−207308号公報(段落[0013]〜[0018]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外観品質を損なうことなく、装置内部への埃等の異物の侵入を軽減させて、装置内部を冷却する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、画像形成装置であって、外観を形成する外装部材と、装置内部を開放する開口部と、前記開口部を覆うカバー部材と、前記開口部の内部に設けられ、装置内部と外部との間で空気を流通する冷却ファンとを備え、前記カバー部材は、装置内部に対向する内面部と、所定の隙間をもって前記開口部の側面に対向する側面部と、装置外部に対向する外面部を有し、前記内面部から前記側面部にかけて溝部が設けられ、前記溝部と隙間により装置内部と外部との通風路が形成されることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、カバー部材の外面部は外装部材とともに画像形成装置の外観を形成し、外観を形成しない側面部に形成された溝部から、空気が装置本体と外部に流通する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、前記カバー部材は、前記外装部材に開閉自在に取り付けられることを特徴としている。この構成によれば、カバー部材が開いているときに、例えばジャム処理や給紙等が行われ、カバー部材が閉じているときに、側面部に形成された溝部から、空気が装置本体と外部に流通する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、前記外装部材及び前記カバー部材は装置の垂直方向に設けられ、前記溝部は前記カバー部材の上部に設けられることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、前記外装部材及び前記カバー部材は装置の垂直方向に設けられ、前記溝部は前記カバー部材の側部に設けられることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5に記載の発明では、前記溝部は複数のスリットであることを特徴としている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明では、画像形成装置であって、外観を形成する外装部材と、装置内部を開放する開口部と、前記開口部を開閉自在に覆うカバー部材と、前記開口部の内部に設けられ、装置内部と外部との間で空気を流通する冷却ファンとを備え、前記カバー部材は、装置内部に対向する内面部と、装置外部に対向する外面部と、開閉操作可能にする凹部状の取っ手部とを有し、前記取っ手部の凹部内の上部に、前記内面部に連通する溝部が設けられ、前記溝部により装置内部と外部との通風路が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、カバー部材の外面部は外装部材とともに画像形成装置の外観を形成し、外観を形成しない側面部に形成された溝部から、空気が装置本体と外部に流通するので、外観品質を損なうことなく、装置内部への埃等の異物の侵入を軽減させて、装置内部を冷却させることができる。また、画像形成装置の外観を形成する部材のどこにでも簡単に溝部を形成することができるので、大量の空気を装置本体と外部に流通させることができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、カバー部材が開いているときに、例えばジャム処理や給紙等が行われ、カバー部材が閉じているときに、側面部に形成された溝部から、空気が装置本体と外部に流通するので、外観品質を損なうことなく、装置内部への埃等の異物の侵入を軽減させて、装置内部を冷却させることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、装置の垂直方向に設けられるカバー部材の上部に設けられることで、埃等の異物とともにクリップやステイプル芯等の落下物の侵入を軽減させることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、装置の垂直方向に設けられるカバー部材の側部に設けられることで、埃等の異物とともにクリップやステイプル芯等の落下物の侵入を軽減させることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、溝部が複数のスリットであると、溝部を簡単に形成することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、外装を構成しない凹部内に形成された溝部から、空気が装置本体と外部に流通するので、外観品質を損なうことなく、装置内部への埃等の異物の侵入を軽減させ、装置内部を冷却させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である胴内排紙方式の画像形成装置の全体を示す斜視図である。
【0021】
画像形成装置10は、画像形成のための各種部材が収納される装置本体12を備える。この装置本体12の前面下部には、カセットタイプの給紙部14が配設されている。給紙部14は、上下2段の給紙カセット16a、16bを有する。これら給紙カセット16a、16bは、上下方向2段に隣接して並設され、装置本体12への収納位置から前面側に、引き出すことが可能である。
【0022】
装置本体12の右側面部の外部には、手差しトレイ22(カバー部材)が開閉自在に配設されている。手差しトレイ22には、給紙カセット16a、16bに収容された記録シート材とは異なるサイズの普通紙、またはOHPシート等の記録シート材が載置される。
【0023】
装置本体12の上部には、原稿を自動で読取位置に搬送することができる自動原稿給送装置37が取り付けられている。
【0024】
給紙部14と自動原稿給送装置37との間には、装置本体12の前面と右側面に開放された空間が形成され、この空間には、画像形成された記録シート材を排出する胴内排紙部60が配設されている。
【0025】
装置本体12の前面部において、給紙カセット16aと胴内排紙部60との間には、フロントカバー(外装部材71)が取り付けられている。また、装置本体12の右側面部において、手差しトレイ22の周りにはサイドカバー(外装部材71)が取り付けられている。さらに装置本体12の左側面部及び後面部においても、図示しないサイドカバー及びリアカバー(外装部材71)が取り付けられている。これらの外装部材71は、装置本体12にネジ等により固定して取り付けられ、定着部や画像形成部を収納する装置本体12を覆っている。
【0026】
図2は、画像形成装置の内部構成を示す平面断面図である。尚、図2の実線で示した矢印は、記録シート材P及び原稿の搬送方向および搬送経路を示し、図2の一点鎖線で示した矢印は、感光体に照射される光線を示す。
【0027】
図2に示すように、給紙カセット16a、16bには、印刷前の記録シート材Pが積載して収容されている。給紙カセット16a、16bに収容された記録シート材Pは、それぞれ、ピックアップローラ18a、18bにより1枚ずつ繰り出され、繰り出された記録シート材Pは、さらに、1対の給紙ローラ20a、20bによって、それぞれ、搬送方向下流側へと送り出される。
【0028】
手差しトレイ22が図2示す閉状態から開操作されて水平位置状態にあると、手差しトレイ22にはOHPシート等の記録シート材Pが載置される。手差しトレイ22に載置された記録シート材Pは、ピックアップローラ24により1枚ずつ繰り出され、繰り出された記録シート材Pは、1対の給紙ローラ26a、26bによって搬送方向下流側へと送り出される。
【0029】
装置本体12内に搬送路L1およびL2が配設されている。搬送路L1は、複数の1対の搬送ローラ28を備え、給紙カセット16a、16bの左方に配置されている。搬送路L2は、複数の1対の搬送ローラ30を備え、手差しトレイ22の左方に配置されている。給紙カセット16a、16bから送り出された記録シート材Pが、搬送路L1の各搬送ローラ28を介して上方に搬送され、画像転写部36に送られる。また、手差しトレイ22から送り出された記録シート材Pが、搬送路L2の搬送ローラ30を介して左方に向かって略水平に搬送され、画像転写部36に送られる。
【0030】
搬送路L1及びL2の搬送方向下流側であって、画像転写部36のすぐ上流側には、1対のレジストローラ32が配設されている。1対のレジストローラ32は、記録シート材Pの斜行送りを矯正した後、画像形成部34がトナー像を形成するタイミングと同期をとって、画像転写部36に向けて記録シート材Pを送り出す。
【0031】
一方、自動原稿給送装置37の下方には、原稿画像読取部(図示せず)が配設されている。使用者が原稿のコピーを行う場合、文字や図形、模様等の画像データを有する原稿が自動原稿給送装置37に載置され、自動原稿給送装置37から原稿が1枚ずつ分離して送り出され、原稿画像読取部によって原稿の画像データが読み取られる。
【0032】
胴内排紙部60の下方には、画像形成部34及び画像転写部36が配設されている。画像形成部34は、感光体ドラム38、帯電装置40、露光装置42、現像装置44及びクリーニング装置46を備え、感光体ドラム38の周辺に回転方向に沿って順に、帯電装置40、露光装置42、現像装置44及びクリーニング装置46が配置されている。
【0033】
感光体ドラム38表面が帯電装置40によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光装置42は、原稿画像読取部によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体ドラム38上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0034】
現像装置44は、帯電したトナーを感光体ドラム38表面に供給し、感光体ドラム38上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。画像転写部36において、トナー像は搬送される記録シート材Pに転写ローラ48により転写される。トナー像が記録シート材Pに転写された後、クリーニング装置46によって、感光体ドラム38表面に残留する残留トナーがクリーニングされ回収される。そして、トナー像が転写された記録シート材Pは、搬送路L3を通って、定着部50へと搬送される。
【0035】
画像転写部36の搬送方向下流側には、その内部に熱源を含む熱ローラ52と、熱ローラ52と対向配置される加圧ローラ54とを有する定着部50が備えられている。トナー像を担持した記録シート材Pは、熱ローラ52および加圧ローラ54間へと送り込まれ、熱ローラ52と加圧ローラ54によって加圧加熱され、加圧加熱されると、記録シート材P上にトナー像が溶融定着される。
【0036】
記録シート材Pは、経路切り替えガイド56によって1対の排出ローラ58a、58b間に案内された後、排出ローラ58a、58bによって胴内排紙部60に排出される。
【0037】
搬送路L3に沿って搬送された記録シート材Pは、必要に応じて、経路切り替えガイド56の搬送方向切り替えによって、排出ローラ64a、64b間に向けて案内された後、排出ローラ64a、64bによって、装置本体12の外部に配置されたスタックトレイ62上に排出される。
【0038】
両面印刷を行う場合には、経路切り替えガイド56及び66によって、記録シート材Pを搬送路L3から搬送路L4に向けて案内する。その後、記録シート材Pは、搬送路L4の各搬送ローラ68の間を通って、搬送路L1に合流し、1対のレジストローラ32に送り込まれた後、再度画像転写部36へ搬送される。そして、画像転写部36で記録シート材Pの裏面にもトナー像が転写された後、記録シート材Pは、再度定着部50によって定着溶融され、排出される。
【0039】
次に図3、図4に基づいて、カバー部材である手差トレイ22と外装部材71(サイドカバー)の構成及びその周辺部材の配置について詳しく説明する。図3は閉じた状態にある手差しトレイと外装部材を示す平面断面図であり、図4は開いた状態にある手差しトレイと外装部材を示す斜視図である。
【0040】
図3に示すように、画像形成装置10は、装置本体12を覆う外装部材71と、外装部材71に開閉自在に取り付けられる手差しトレイ22と、装置本体12に取り付けられる冷却ファン75、露光装置42及び搬送路L2とを備える。
【0041】
外装部材71は、外面71aによって画像形成装置10の垂直方向面の外装をなし、装置本体12に固定して取り付けられる。また、外装部材71は、閉じた状態の手差しトレイ22の配置位置にカバー開口71dを有する。カバー開口71dの下部には、手差しトレイ22を回転自在に保持する軸受けが設けられ、カバー開口71dの上部には、内面71bと側面71cが形成され、カバー開口71dの左右の側部(図3の紙面方向)にも、図示しないが、内面71bと側面71cが形成されている。内面71bは外面71aから凹んだ位置に垂直面で形成され、側面71cは、内面71bと外面71aとの周りを連結する水平面と、図示しない垂直面で形成されている。
【0042】
手差しトレイ22は、回転軸76と、トレイ外カバー77と、トレイ内カバー78を備える。
【0043】
トレイ外カバー77は樹脂で矩形平板状に形成され外面部22aを備える。外面部22aは、手差しトレイ22が閉じられた状態で、画像形成装置10の垂直方向面の外装をなし、外装部材71の外面71aと略同一平面上の位置に配される。
【0044】
回転軸76は、トレイ外カバー77の下部に一体に設けられ、外装部材71のカバー開口71dの下部位置で、外装部材71に回転自在に保持されている。
【0045】
トレイ内カバー78は、樹脂で形成され、矩形平板部と、その上部(図3に示すトレイ内カバー78の上部)と左右の側部(図3の紙面方向)の三方外周にトレイ外カバー77に向けて突出する凸部とを有する。この凸部において、トレイ内カバー78は、トレイ外カバー77に当接して固定保持される。トレイ内カバー78は、トレイ外カバー77の外面部22aに対して反対側の面に内面部22bを備える。内面部22bとトレイ外カバー77の外面部22aとの三方外周を連結する部分には、側面部22cが形成されている。手差しトレイ22が閉じられた状態で、側面部22cは、外装部材71の側面71cに対して所定の隙間を形成している。
【0046】
側面部22cには、溝部を形成する側面スリット73cが側面部22cの三方外周の上部(図3に示すトレイ内カバー78の上部)に形成され、内面部22bには、側面スリット73cに連通する内面スリット73b(溝部)が形成される。
【0047】
内面スリット73bと側面スリット73cは、図4に示す左右方向(図3では上下方向)に細く延びるスリット形状であり、複数本平行に配される。この複数のスリットは、トレイ内カバー78を所定の外形形状に樹脂成形されるときに、同時に成形される。
【0048】
図3に示すように、手差しトレイ22が閉じられた状態では、内面部22bは外装部材71の内面71bに当接し、側面部22cは外装部材71の側面71cと所定の隙間を有して略平行に位置することになる。この状態において、装置外部の空気(外気)が側面スリット73cから、内面71bに当接しない内面部22bの内面スリット73bを通って装置本体12内に入る。
【0049】
冷却ファン75は、外装部材71のカバー開口71dの近傍に設けられ、側面スリット73cから内面スリット73bに入った外気を装置本体12内の露光装置42等画像形成部や定着部に送り込む。尚、装置本体12内における画像形成部や定着部等の各種部材の配置に応じて、冷却ファン75は、外装部材71のカバー開口71dの近傍位置に限らず、装置本体12内に適宜配置される。
【0050】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態である画像形成装置の手差トレイと外装部材の要部を示す平面断面図である。第1実施形態と異なる、手差トレイの構成について説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0051】
外装部材71は、外面71aによって画像形成装置10の垂直方向面の外装をなし、装置本体(図略)に固定して取り付けられる。また、外装部材71は、手差しトレイ22の配置位置にカバー開口71dを有する。カバー開口71dの下部には、手差しトレイ22を回転自在に保持する軸受け(図略)が設けられ、カバー開口71dの上部及び左右の側部(図5の紙面方向)には、内面71bと側面71cが形成される。内面71bは外面71aから凹んだ位置に垂直面で形成され、側面71cは、内面71bと外面71aとの周りを連結する水平面と、図示しない垂直面で形成されている。
【0052】
手差しトレイ22は、トレイ外カバー81と、トレイ内カバー82を備える。
【0053】
トレイ内カバー82は、樹脂で矩形平板状に形成され内面部22bを備える。内面部22bは、手差しトレイ22が閉じられた状態では、外装部材71の内面71bに当接する。
【0054】
トレイ外カバー81は、樹脂で形成され、外面部22aを備える矩形平板と、その上部(図5に示すトレイ外カバー81の上部)と左右の側部(図5の紙面方向)の三方外周にトレイ内カバー82に向けて突出する凸部とを有する。外面部22aは、画像形成装置10の垂直方向面の外装をなし、外装部材71の外面71aと同一平面上の位置に配される。トレイ外カバー81の凸部内周において、トレイ内カバー82の外周が当接して、トレイ外カバー81はトレイ内カバー82を固定保持すると、トレイ内カバー82とトレイ外カバー81との内部には、空間83が形成される。そして、トレイ外カバー81の凸部には、外面部22aと内面部22bとの三方外周を連結する側面部22cが形成されている。側面部22cは、外装部材71の側面71cに対して所定の隙間を形成している。
【0055】
側面部22cには、溝部を形成する側面スリット73cが側面部22cの三方外周の上部(図5に示すトレイ内カバー82の上部)に形成され、内面部22bには、外装部材71の内面71bに当接しない位置に内面スリット73b(溝部)が形成される。側面スリット73cは複数のスリットであり、内面スリット73bは複数の丸孔である。手差しトレイ22が閉じられた状態では、装置外部の空気(外気)が側面スリット73cから空間83を介して内面スリット73bを通って装置本体内に送り込まれる。
【0056】
上記第1及び第2実施形態によれば、画像形成装置10は、画像形成する部材を収納する装置本体12と、この装置本体12内に外気を吸入する冷却ファン75と、装置本体12を覆う手差しトレイ22と外装部材71とを備える。手差しトレイ22は、外装部材71に開閉自在に取り付けられ、装置外部に露出する外面部22aと、装置本体12に対面する内面部22bと、外面部22aと内面部22bとの周りを連結する側面部22cとを有る。外面部22aは外装部材71の外面71aと略同一平面上に位置し、側面部22cは、外装部材71の側面71cに対して隙間を形成し、この隙間から外気を取り入れる側面スリット73cを有し、内面部22bは側面スリット73cに連通する内面スリット73bを有する。
【0057】
この構成によると、手差しトレイ22が開いているときに、給紙を行うことができ、手差しトレイ22が閉じているときには、手差しトレイ22の外面部22aは外装部材71とともに画像形成装置10の外観を形成し、外観を形成しない側面部22cに形成された側面スリット73cから内面スリット73bに取り入れられた外気は、冷却ファン75の吸入によって内面スリット73bから装置本体12内に流れ込むので、外観品質を損なうことなく、装置内部11への埃等の異物の侵入を軽減させ、装置内部を冷却させることができる。
【0058】
また、上記第1及び第2実施形態によると、手差しトレイ22及び外装部材71は画像形成装置10の垂直方向に設けられ、側面スリット73cは閉じた状態の手差しトレイ22の上部に設けられることによって、埃等の異物とともにクリップやステイプル芯等の落下物の侵入を軽減させることができる。
【0059】
また、上記第1及び第2実施形態によると、側面スリット73cが複数のスリットであると、側面スリット73cを簡単に形成することができる。
【0060】
第1及び第2実施形態では、カバー部材を回転自在な手差しトレイ22に適用し、外装部材をサイドカバーに適用したが、本発明はこれに限らず、カバー部材を、ジャム処理を行う際に開閉する開閉カバーに適用し、カバー部材を、開閉カバーを回転自在に保持するカバー部材に適用してもよい。また、給紙カセットと、給紙カセットをスライド自在に収納するカバーとに適用し、給紙カセットがスライドするフロントカバーの側面部に側面スリットを形成しても、側面スリットから外気を装置内部に取り入れることができる。
【0061】
(第3実施形態)
図6〜図8に基づいて、本発明の第3実施形態である画像形成装置の手差トレイについて説明する。図6は手差しトレイに設けた取っ手部を示す斜視図であり、図7は手差トレイの内面側から見た側面図であり、図8は手差トレイの要部を示す断面平面図である。
【0062】
第3実施形態では、図6及び図8に示すように、手差しトレイ22のトレイ外カバー85には、外面部22aから凹んで形成される取っ手部87が設けられる。トレイ内カバー86の円筒状の鍔部86aは凹部88を形成している。凹部88内の上部の鍔部86aには、複数のスリット89が形成される。図7及び図8に示すように、トレイ内カバー86には、スリット89に連通する内面スリット73bが内面部22bに形成される。スリット89と、スリット89に連通する内面スリット73bが溝部を構成する。手差しトレイ22が閉じられた状態では、装置外部の空気(外気)がスリット89から内面スリット73bを通って装置本体内に入る。従って、スリット89は装置外部から目立たないので、外観品質を損なうことなく、また装置内部への埃等の異物の侵入を軽減させ、スリット89から外気を取り入れ、装置内部を冷却させることができる。
【0063】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態である画像形成装置のカバー部材と外装部材の要部を示す平面断面図である。第4実施形態は、外装部材はフロントカバーを構成し、カバー部材は、外装部材と同じくフロントカバーを構成し、カバー部材と外装部材との結合部分の隙間に外気を取り入れる側面スリットを設けるものである。
【0064】
外装部材71は、外面71aと、内面71bと、側面71c、及び突き当て面71eを備える。外面71aは、画像形成装置10の垂直方向面の外観を形成し、装置本体(図略)に固定して取り付けられる。内面71bは、外面71aの反対側に形成される垂直な面であり、カバー部材91が当接する。側面71cは、内面71bと外面71aを連結する水平な面である。突き当て面71eはカバー部材91に当接する。
【0065】
カバー部材91は、外面部91aと、内面部91bと、側面部91cと、当接部91d、及び突き当て部91eを備える。
【0066】
外面部91aは、外装部材71の外面71aとともに画像形成装置10の垂直方向面の外観を形成し、外装部材71の外面71aと略同一平面上の位置に配される。内面部91bは、外面部91aの反対側に形成される垂直な面であり、装置本体(図略)に対面する。当接部91dは、垂直な面であり、外装部材71の内面71bに当接する。突き当て部91eは、外装部材71の突き当て面71eに当接する。側面部91cは、当接部91d及び突き当て部91eとともに外面部91aと内面部91bとを連結する水平な面である。
【0067】
当接部91dと内面71b、及び突き当て部91eと突き当て面71eとが当接した状態で、カバー部材91と外装部材71がネジ等の固定具によって固定されると、側面部91cは外装部材71の側面71cとの間に所定の隙間を形成する。
【0068】
側面部91cには、溝部を形成する側面スリット92cが形成され、内面部91bには、側面スリット92cに連通する内面スリット92b(溝部)が形成される。側面スリット92cと内面スリット92bは、縦長のスリット状に形成され、図9の紙面方向に複数並べられる。尚、側面スリット92cと内面スリット92bとを連通する部分は、当接部91dと突き当て部91eまで延びて形成されているが、側面部91cの直ぐ上側までの連通孔にしてもよい。
【0069】
装置外部の空気(外気)が側面スリット92cから内面スリット92bを通って装置本体内に入る。
【0070】
上記第4実施形態によると、画像形成装置10は、画像形成する部材を収納する装置本体12と、この装置本体12内に外気を吸入する冷却ファン75と、装置本体12を覆うカバー部材91及び外装部材71とを備える。カバー部材91は、装置外部に露出する外面部91aと、装置本体12に対面する内面部91bと、外面部91aと内面部91bとを連結する側面部91cとを有する。外面部91aは外装部材71の外面71aと略同一平面上に位置し、側面部91cは、外装部材71の側面71cに対して隙間を形成し、この隙間から外気を取り入れる側面スリット92cを有し、内面部91bは側面スリット92cに連通する内面スリット92bを有する。
【0071】
この構成によると、カバー部材91の外面部91aは外装部材71とともに画像形成装置10の外観を形成し、外観を形成しない側面部91cに形成された側面スリット92cから内面スリット92bに取り入れられた外気は、冷却ファン75の吸入によって内面スリット92bから装置本体12内に流れ込むので、外観品質を損なうことなく、装置内部11への埃等の異物の侵入を軽減させて、装置内部を冷却させることができる。
【0072】
第4実施形態ではカバー部材91と外装部材71をフロントカバーに適用したが、本発明はこれに限らず、サイドカバー部材、またはフロントカバーとサイドカバー等画像形成装置の外装部材を構成する二つのカバー部材に適用してもよい。また、カバー部材91と外装部材71は、垂直方向の面を構成するのに、上下に配置される構成を示したが、本発明はこれに限らず、垂直方向の面を左右(前後)方向に配置する構成にして、二つの外装部材を結合する部分の隙間に外気を取り入れる側面スリットを設けてもよいので、外装部材のどこにでも簡単に側面スリットを形成することができ、大量の外気を装置内部に取り入れることができる。
【0073】
上記実施形態では、閉じた状態の手差しトレイ22の上部に、側面スリット92cを設ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、閉じた状態の手差しトレイ22の左右の側部に側面スリットを設けても、埃等の異物とともにクリップやステイプル芯等の落下物の侵入を軽減させることができる。また、手差しトレイ22に限らず、フロントカバー等の外装部材の上部または側部に側面スリットを設けても同じ効果を奏する。
【0074】
また、上記実施形態では、溝部が複数のスリットである構成を示したが、本発明はこれに限らず、溝部が矩形孔、丸孔等で構成するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、外装部材が装置本体と別体である構成を示したが、本発明はこれに限らず、装置本体の一部が外装部材を構成するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、冷却ファンが外気を吸引する構成を示したが、本発明はこれに限らず、冷却ファンが画像形成時等に装置内部に発生する熱を装置外部に排出する構成であっても、上記と同じ効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、装置本体内に外気を取り入れる画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の全体を示す斜視図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の内部構成を示す平面断面図である。
【図3】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置のカバー部材と外装部材を示す平面断面図である。
【図4】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置のカバー部材を開いた状態を示す斜視図である。
【図5】は、本発明の第2実施形態である画像形成装置のカバー部材と外装部材の要部を示す平面概略図である。
【図6】は、本発明の第3実施形態である画像形成装置のカバー部材の要部を示す斜視図である。
【図7】は、本発明の第3実施形態である画像形成装置のカバー部材を示す側面図である。
【図8】は、本発明の第3実施形態である画像形成装置のカバー部材の要部を示す平面図である。
【図9】は、本発明の第4実施形態である画像形成装置の外装部材の要部を示す平面断面図である。
【符号の説明】
【0079】
10 画像形成装置
12 装置本体
14 給紙部
22 手差トレイ(カバー部材)
22a 外面部
22b 内面部
22c 側面部
34 画像形成部
50 定着部
60 胴内排紙部
71 外装部材
71a 外面
71b 内面
71c 側面
71d カバー開口(開口部)
71e 突き当て面
73b、92b 内面スリット(溝部)
73c、92c 側面スリット(溝部)
75 冷却ファン
76 回転軸
77、81、85 トレイ外カバー
78、82、86 トレイ内カバー
87 取っ手部
88 凹部
89 スリット(溝部)
91 カバー部材
91a 外面部
91b 内面部
91c 側面部
91d 当接部
91e 突き当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、外観を形成する外装部材と、装置内部を開放する開口部と、
前記開口部を覆うカバー部材と、
前記開口部の内部に設けられ、装置内部と外部との間で空気を流通する冷却ファンとを備え、
前記カバー部材は、装置内部に対向する内面部と、所定の隙間をもって前記開口部の側面に対向する側面部と、装置外部に対向する外面部を有し、
前記内面部から前記側面部にかけて溝部が設けられ、前記溝部と隙間により装置内部と外部との通風路が形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記外装部材に開閉自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外装部材及び前記カバー部材は装置の垂直方向に設けられ、前記溝部は前記カバー部材の上部に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外装部材及び前記カバー部材は装置の垂直方向に設けられ、前記溝部は前記カバー部材の側部に設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記溝部は複数のスリットであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置であって、外観を形成する外装部材と、装置内部を開放する開口部と、
前記開口部を開閉自在に覆うカバー部材と、
前記開口部の内部に設けられ、装置内部と外部との間で空気を流通する冷却ファンとを備え、
前記カバー部材は、装置内部に対向する内面部と、装置外部に対向する外面部と、開閉操作可能にする凹部状の取っ手部とを有し、
前記取っ手部の凹部内の上部に、前記内面部に連通する溝部が設けられ、前記溝部により装置内部と外部との通風路が形成されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−25960(P2010−25960A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183412(P2008−183412)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】