説明

画像形成装置

【課題】 使用する用紙に、ミシン目紙、折れ線紙など、定着工程などの圧力により、折れやすい部分がある用紙を用いた場合にも、用紙のミシン目、折れ線などに起因する折れ目、破れを特別な構成をとることなく防止する。
【解決手段】 画像形成装置は、一方方向にのみミシン目や、折れ線がある用紙をトレイに用紙をセットした際に、パネルにより、ユーザが用紙種を選択し、さらに折れやすい部分の方向を、加圧部のニップと平行とならない方向にセットするように指示する。
さらに、十字にミシン目、折れ線が入っている用紙に対しては、加圧部のニップ方向と平行な側を、用紙の長手幅の長いほうになるように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を転写するためのシート状記録材料である転写材を画像転写手段へ搬送し、ミシン目紙や折れ線紙などのような折れやすい個所が材面に存在する転写材の画像形成に際して、最適な搬送をする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の、ミシン目紙や折れ線がある用紙などの、折れやすい個所が材面に存在する転写材への画像形成による、折れやすい個所の折れ防止法は、特許文献1に示されるような、搬送部において、転写材のループ量を変化させるなどして、折れやすい個所への力を軽減する方法や、特許文献2に示されるような、画像形成される紙種に応じて搬送経路を変化させる方法が取られている。
【特許文献1】特開平1-226653号公報
【特許文献2】特開平09-315669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記装置においては、定着部などの用紙に対して、高い圧力がかかる部に対して、前記圧力部のニップ方向と、用紙の折れやすい個所の方向は考慮されていないため、例えばミシン目の方向が、定着部における、定着ローラの長手方向と平行になった場合には、ミシン目のような、圧力により折れやすい個所に、定着ローラのニップ圧が集中して加圧されてしまい、折れやすいという課題を解決できない。またこの場合には、用紙上に折れやすい個所が直行する場合は考慮されていない。さらに、例えば包装紙に注意書きを設け、ユーザに注意を促した場合でも、包装紙と別梱包した場合や、ユーザが注意書きを読まなかった場合には、本問題点は解決できない。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、最適な搬送を行い良好な画像を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、像担持体上にトナー像を形成し、トナー像を転写紙に転写し、定着部において転写紙上のトナー像を転写紙へ固着させる画像形成装置において、画像形成する転写材種を、ユーザが選択できる機構を備え、選択された転写材が、転写材面に折れやすい個所が存在する種の場合に、折れやすい個所の長さが長い方を、搬送方向に対して垂直になるように給紙部に配置するようにユーザに指示をすることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
また、上記に記載の画像形成装置における指示は、操作部における表示であることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、上記に記載の折れやすい屈曲部が存在する転写材種は、ミシン目、折れ線がある転写材であることを特徴とする上記に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による画像形成装置は、一方方向にのみミシン目や、折れ線がある用紙をトレイに用紙をセットした際に、パネルにより、ユーザが用紙種を選択し、さらに折れやすい部分の方向を、加圧部のニップと平行とならない方向にセットするように指示する。
【0009】
これにより、画像形成時の転写部、定着部のようなニップ部に圧がかかるような部分の搬送時、折れやすい部分に圧が集中して、折れてしまうことを回避する。さらに、十字にミシン目、折れ線が入っている用紙に対しては、加圧部のニップ方向と平行な側を、用紙の長手幅の長いほうになるように指示する。
【0010】
以上説明したように本発明によれば、使用する用紙に、ミシン目紙、折れ線紙など、定着工程などの圧力により、折れやすい部分がある用紙を用いた場合にも、用紙のミシン目、折れ線などに起因する折れ目、破れを特別な構成をとることなく、防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0012】
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置の概略図が示されている。
【0013】
画像形成装置1は、原稿を読取る原稿読取り部4と、画像を形成する画像形成部36と、画像記録媒体としての用紙24を搬送する搬送部37と、で構成されている。
【0014】
原稿読取り部4は、原稿2を載置するためのプラテンガラス5と、プラテンカバー3とを備え、プラテンカバー3によってプラテンガラス5に載置された原稿2をプラテンガラス5に押圧して原稿2の画像を読取りやすくする。
【0015】
また、プラテンガラス5の装置内部側には、プラテンガラス5に光を照射する2つの光源6が設けられており、2つの光源6の近傍にはフルレートミラー7が設置されている。光源6が発光すると、プラテンガラス5に載置された原稿2からの反射像がフルレートミラー7に入射し、フルレートミラー7は、当該反射像を所定方向へ反射する。
【0016】
フルレートミラー7の光の反射経路には、ハーフミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系及びCCD等からなる画像読取素子11が配設されていると共に、画像処理部12が設けられており、原稿2からの反射光は縮小光学系を介して画像読取素子11に入射する。
【0017】
画像読取素子11では、原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば16ドット/mm)で読取り、所定の画像データとして画像処理部12に出力する。画像処理部12では、画像データに所定の画像処理を施す。
【0018】
また、画像読取り部4の下方には、画像形成部36が設けられている。画像形成部36は、複数の巻きかけローラ20に張架され、モータ(図示省略)の駆動により矢印Y方向に搬送される無端ベルト状の中間転写体ベルト18の長手方向に沿って、矢印X方向に所定速度で回転する像担持体としての感光体ドラム(以下、「感光体」と称す)14が配設されている。
【0019】
感光体14の周囲には、感光体14を所定の電位に帯電させる帯電器16が設けられている。また、各感光体14の上方には、帯電器16により一様に帯電された感光体14の軸線方向に、所望の画像に基づく光ビームを走査しながら照射し、感光体14上に静電潜像を形成する露光装置13が配置されている。
【0020】
また、各感光体14の周囲には、感光体14の回転方向に沿って光ビーム照射位置よりも下流側に、感光体14上に形成された静電潜像を所定色(イエロー/マゼンタ/シアン/ブラック)のトナーTによって現像してトナー像を形成させる現像器22、感光体14上のトナー像を中間転写体ベルト18に転写する第1の転写器19、及び転写後に感光体14に残留しているトナーを除去するクリーナ33、感光体14を除電する除電ランプ(図示省略)が順に配置されている。
【0021】
ここで、現像器15には、周面に等間隔で4つの現像部15Y/15M/15C/15Kが設けられており、現像器15は、回転して現像する色に応じた現像部15Y/15M/15C/15Kを感光体14に対向させる。
【0022】
感光体14が1回転する毎に現像器15を90度回転させ、1回毎に中間転写体ベルト18を巻戻す工程を4回繰り返すと、各色のトナー象は、中間転写体ベルト18のベルト面上で互いに重なり合うように中間転写体ベルト18に順次転写される。これにより、中間転写体ベルト18上にカラーのトナー像が形成される。なお、本実施の形態では、このようにして4色のトナー像が重ねて転写されたトナー像を最終トナー像と称する。
【0023】
画像形成部36の下方には、用紙搬送部37が設けられている。用紙搬送部37には、シート状記録材料としての用紙24の搬送経路に沿って、図示しないモータの駆動力によって用紙24を搬送する複数の搬送ローラ28が設けられている。搬送経路の搬送方向後端位置には、第1の用紙トレイ46、第2の用紙トレイ47及び画像形成装置1に隣接配置された用紙ストッカー48が設けられている。
【0024】
用紙ストッカー48は、使用頻度の多い用紙等を大量に積層して収容されている。また、第1の用紙トレイ46及び第2の用紙トレイ47には、種類の異なる用紙が種類毎に収容されている。
【0025】
用紙24の搬送系路は、用紙24と中間転写体ベルト18とが所定の位置で接するようになっており、当該搬送経路と中間転写体ベルト18とが接する位置には、第2の転写器25が設けられている。
【0026】
第2の転写器25では、最終トナー像が形成された中間転写体ベルト18と用紙24とを密着させながら、用紙24を所定の転写速度で搬送して中間転写体ベルト18上に形成された最終トナー像を用紙24の所定の領域に転写する。また、第2の転写器25には、第2の転写器25に付着したトナーを取り除く転写ローラ用クリーナ35が設けられ、中間ベルト18には、中間転写体ベルト18上の残留トナーを回収するベルト用クリーナ34が、それぞれ設けられている。
【0027】
第2の転写器25の用紙搬送方向下流側には、内部に熱源を有する加熱ローラ31及び加熱ローラ31を押圧する押圧ローラ32からなる定着器30が設けられており、加熱ローラ31と押圧ローラ32とで用紙24と用紙24に転写された最終トナー像を加熱しながら押圧し、最終トナー像を用紙24に融着する。
【0028】
第2の転写器25の用紙搬送方向上流側には、駆動手段(図示省略)の駆動力によって回転駆動する2つのローラで構成され、2つのローラの接点41で用紙24を挟み込んで所定の速度で搬送するレジストローラ40が設けられている。レジストローラ40は、回転を停止して搬送ローラ28及び搬送ガイドによって前記接点41に搬送されてきた用紙24の先端を停止させ、中間転写体ベルト18上の最終トナー像と用紙24の転写領域とが同時に第2の転写器25に搬送されるように所定のタイミングで回転駆動して用紙24を第2の転写器25に給紙する。
【0029】
図2には、本実施の形態に係る用紙の搬送に関するフロー図が示されている。
画像形成装置1は、ユーザーが入力操作することでプリント指示や装置の設定変更等が可能なユーザーインタフェース(以下、「UI」と称す)50が設けられている。
【0030】
UI50は、表示部を備え、図3に示すようなメニュー画面が表示されるようになっている。本画像形成装置は、ユーザにより用紙カセットに用紙がセットされたのを検知すると、当該メニュー画面に用紙選択画面が表示される。このとき、折れやすい個所が存在する紙種、本実施例では例として「ミシン目用紙」項目を選択すると、図3に示すような用紙サイズ選択画面が表示される。さらに、パターン選択画面で、用紙内のミシン目の方向を選択し、選択された状態により用紙カセットにセットする用紙方向を絵表示するようにしている。なお、本実施の形態では、折れやすい個所がある紙種として、ミシン目紙、折れ線紙とした。以下に、本実施の形態の作用について説明する。
【0031】
ユーザーがUI50を操作して画像形成指示を行う際、表示画面(図3参照)から「ミシン目用紙」項目が選択されると、用紙サイズ選択画面が表示される。さらに、パターン選択画面で、用紙内のミシン目の方向を選択し、選択された状態により用紙カセットにセットする用紙方向を絵表示するようにしている。図2を参照して本実施の形態の選択処理についてのフローについて説明する。
【0032】
ユーザにより用紙トレイに用紙がセットされたのを用紙センサにより検知すると、UI50による表示画面に用紙種一覧が表示される。このとき「ミシン目紙」、「折れ線紙」を選択した場合は、用紙サイズとさらに、用紙上のミシン目、折れ線のパターン選択を行う。
【0033】
上記にて、「ミシン目紙」、「折れ線紙」以外の紙種を選択した場合も同様に用紙サイズの選択を行うが、さらには特別な選択を行うことなく従来の画像形成へつづく。
【0034】
「ミシン目紙」、「折れ線紙」を選択した際には、先述の用紙サイズに基づいて、用紙上の折れやすい個所のパターン選択画面に移る。ここで選択されたパターンに基づいて、ユーザに対して、用紙カセットへの用紙の配置方向を指示する。
【0035】
次に、本発明におけるユーザへの用紙カセットの用紙の配置方向の指示内容について述べる。本発明において、ミシン目、折れ線のような、折れやすい個所の長さが長い方を、搬送方向に対して垂直になるように給紙部に配置するようにユーザに指示をしている。本実施例の画像形成装置のように、定着部の構成が加熱ローラと押圧ローラとで押圧する構成の場合には、加圧ローラと押し圧ローラとの接触により形成されるニップ部に、線圧として数kgf/mmの圧力がかかっている。このとき、用紙のミシン目を定着ローラと平行に搬送した場合、ミシン目のような、圧力により折れやすい個所へ記ニップ部の圧力が集中してかかり、定着後用紙が折れてしまう可能性がある。
【0036】
そのため、用紙上に折れやすい部分が一方向の場合には、搬送方向と折れやすい方向を垂直になるように表示部へ指示をする。
【0037】
また、用紙上に折れやすい部分が、十字に入っている用紙に対しては、搬送方向と平行な面を長手幅の長いほうになるように指示している。これは長手幅の短い方が定着部の圧力が、短い紙幅に対して集中してかかるようになるため、長手幅の長い方を搬送方向に平行に配置するようにし、圧力を比較的分散させるようにし、折れ、破れといった弊害を回避するためである。これにより、ユーザへ表示部から用紙をセットする方向を変えるように指示するため、特別な構成を持つことなく、折れやすい用紙への対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略図である。
【図2】本実施の形態に係る操作フローの説明図である。
【図3】本実施の形態に係る表示部の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置(シート搬送システム)
24 用紙(シート状記録材料)
25 第2の転写器(画像転写手段)
28 搬送ローラ(搬送手段)
40 レジストローラ
46 用紙トレイ(トレイ)
47 用紙トレイ(トレイ)
48 用紙ストッカ(トレイ)
50 UI(報知手段、切替手段、入力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成し、トナー像を転写紙に転写し、定着部において転写紙上のトナー像を転写紙へ固着させる画像形成装置において、
画像形成する転写材種を、ユーザが選択できる機構を備え、選択された転写材が、転写材面に折れやすい個所が存在する種の場合には、折れやすい個所の長さが長い方を、搬送方向に対して垂直になるように給紙部に配置するようにユーザに指示をすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置における指示は、操作部における表示であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
折れやすい屈曲部が存在する転写材種は、ミシン目、折れ線がある転写材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−2621(P2010−2621A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160724(P2008−160724)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】