説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で安定した負圧を維持し、高速化、ロングチューブ化、高粘度化に対してリフィル不足を生じないようにすることが難しい。
【解決手段】記録ヘッド10にインクを供給する第1の流路41と、インクカートリッジ76に連通する第2の流路42と、第1の流路41と第2の流路42を連通させる流路抵抗可変ユニット83を有し、第2の流路42と流路抵抗可変ユニット82とを連通するポンプ78を有する第3の流路43が設けられ、液滴を吐出するときには、流路抵抗可変ユニット83を介して記録ヘッド10とインクカートリッジ76が連通している状態で、ポンプ78によりインクをインクカートリッジ76から記録ヘッド10に送液し、また流路抵抗可変ユニット83の弁体88に傾斜面188を形成し、管部材87の傾斜面187との接触により内部の気泡141を貫通穴84を通じて排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置(単なる液体吐出装置を含む)を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を媒体に着弾させる、即ち液滴吐出装置ないし液体吐出装置と称されるものを含む)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、DNA試料、パターニング材料などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。
【0004】
記録ヘッドとして用いる液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)としては、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ液室内の体積を変化させて圧力を高め液滴を吐出させる圧電型ヘッドや、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる気泡によって液室内の圧力を高め、液滴を吐出させるサーマル型ヘッドが知られている。
【0005】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、特に画像形成スループットの向上、すなわち画像形成速度の高速化が望まれており、本体据え置きの大容量のインクカートリッジ(メインタンク)からチューブを介して記録ヘッド上部のサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクと称されるものを含む。)にインクを供給する方式が行なわれている。このようなチューブを用いてインクを供給する方式(チューブ供給方式)とすることで、キャリッジ部を軽量小型化でき、構造系、駆動系も含めて装置を大幅に小型化できる。
【0006】
ところで、チューブ供給方式では、画像形成で記録ヘッドから消費されるインクがインクカートリッジからチューブを通って記録ヘッドに供給されることになるが、例えば、柔軟性に富む細いチューブを使うと、チューブをインクが流れる際の流体抵抗が大きいため、インク供給がインク吐出に間に合わず吐出不良となる。特に、広幅の記録媒体に印字する大型マシンでは必然的にチューブが長くなりチューブの流体抵抗が大きくなる。また、高速印字する場合や高粘度のインクを吐出する場合も流体抵抗が増大し、記録ヘッドに対するインク供給不足が課題となる。
【0007】
そこで、従来、特許文献1に開示されているように、インクカートリッジのインクを加圧状態に保持すると共に、ヘッドのインク供給上流側に差圧弁を設けて、サブタンク内の負圧が所定の圧力より大きい時にインクを供給するようにすることが知られている。
【0008】
また、特許文献2に開示されているように、ヘッドの上流にばねによって負圧を得る負圧室にポンプでインクを送液して積極的にインク供給圧を制御するもの、特許文献3に開示されているように、負圧室を有していないが、同様にポンプによって積極的に圧力を制御する方式のものも知られている。
【0009】
一方、簡単な構成で負圧を得る方式としては、大気に連通したインクカートリッジと記録ヘッドをチューブで接続し、単にインクカートリッジを記録ヘッドよりも下方に配置することで、水頭差で負圧を得る方式がある。
【0010】
この方式では、負圧連動弁を用いて常時加圧する方式や負圧室を設けてポンプで送液する方式よりも圧倒的に簡易な構成でありながらもより安定な負圧を得ることができるものの、この水頭方式では前述したチューブ抵抗による圧力損失の問題がある。
【0011】
この水頭差によって負圧を得るインク供給システムでこの圧力損失を解決する技術としては、例えば、特許文献4に開示されているように、ヘッドとインクカートリッジを繋ぐチューブにポンプを設け、さらにポンプの上流側と下流側を繋ぐバイパス経路を設けて、このバイパス経路に弁を設けた構成とし、バイパス経路に設けた弁の開度を印字によって適宜制御して所望の圧力を保つものが知られている。
【0012】
一方、インク供給システムにおいて、圧力調整弁を使用した場合の混入気泡の排出に関して、特許文献5に開示されているように、圧力力調整弁をダイヤフラムで構成し、ダイヤフラムをマイナス変形させることでインクを吸引し、ダイヤフラムの押圧解除でインク供給経路に通液した後ダイヤフラムの押圧を解除することで、吸引のみによって初期充填を行う場合よりも圧力調整弁内の気泡混入量を減少しようとするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3606282号公報
【特許文献2】特開2005−342960号公報
【特許文献3】特表平5−504308号公報
【特許文献4】特開2004−351845号公報
【特許文献5】特開2006−082070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、前述したリフィル不足の問題は解決されるが、負圧を制御するための機構が複雑であり、しかも負圧連動弁のシール性能を高度に要求されるという課題がある。また、常時加圧する方式であるため、インク供給経路中にある全ての接続部の気密も高度に要求され、万一故障した際には、インクが噴出する不具合が生じるおそれがある。
【0015】
また、特許文献2、3に開示の技術では、ポンプによって積極的に圧力を制御することから、インクの消費量等に応じて正確にポンプの送液量を制御する必要があるため、負圧室の圧力を用いたフィードバック制御等が必要となる。また、例えば色の異なる複数種のインクを用いる画像形成装置に適用する場合には、色種ごとにポンプを制御することが求められ、制御が複雑で、装置が大型化するという課題がある。
【0016】
また、特許文献4に開示の技術でも、色の異なる複数種のインクを用いる画像形成装置に適用する場合には、色種ごとにポンプを制御することが求められ、装置が大型化する課題がある。
【0017】
また、特許文献5に開示の圧力調整弁内の混入気泡を減少させる技術は圧力調整弁内への初期充填に限定されるものであって、長期にわたって混入気泡を効果的に排出することはできない。
【0018】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、構成が簡単で、安定した負圧を維持し、更に高速化、ロングチューブ化、高粘度化してもリフィル不足を生じないようにするとともに、圧力調整手段を用いることで圧力調整手段内部に滞留する気泡を確実に排出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成されるとともに、前記第2の流路側に前記第1の流路側に向かって傾斜する傾斜面が形成され、
前記可動部材は、移動に伴って、前記弁体部の傾斜面が前記流路部材側の当接部に接触する状態で前記流路部材内に収容されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【0020】
ここで、前記可動部材の弁体部の傾斜面は、前記第1の流路側に向かって弁体部中央部側から弁体部外周部側に傾斜している構成とできる。
【0021】
また、前記可動部材の弁体部の傾斜面は、前記第1の流路側に向かって弁体部外周部側から弁体部中央部側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【0022】
また、前記可動部材の貫通穴は前記第1の流路側に向かって開口径が小さくなる形状である構成とできる。
【0023】
また、前記可動部材の貫通穴の前記第2の流路側の開口部には凹部が形成され、前記流路部材側の当接部には前記凹部に嵌り合う凸部が設けられている構成とできる。
【0024】
また、前記可動部材の弁体部の傾斜面に段差部が設けられている構成とできる。
【0025】
また、前記流路部材側の当接部は、前記可動部材の弁体部の傾斜面に対応する傾斜面を有している構成とできる。
【0026】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成されるとともに、前記貫通穴の前記第2の流路側の開口が前記第1の流路側の開口よりも大きく形成され、
前記可動部材は、移動に伴って、前記弁体部の前記第2の流路側の面が前記流路部材側の当接部に接触する状態で前記流路部材内に収容されている
構成とした。
【0027】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成されるとともに、前記第1の流路側に前記第1の流路側に向かって傾斜する傾斜面が形成され、
前記可動部材は、移動に伴って、前記弁体部の傾斜面が前記流路部材側の当接部に接触する状態で前記流路部材内に収容されている
構成とした。
【0028】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材及び当接部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成され、
前記可動部材及び前記当接部材は、移動に伴って、前記可動部材の弁体部の前記第2の流路側の面と前記当接部材が接触可能な状態で前記流路部材内に収容されている
構成とした。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避することができ、さらに、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成されるとともに第2の流路側に傾斜面が形成され、移動に伴って、傾斜面が流路部材側の当接部に接触する状態で流路部材内に収容されている構成としたので、可動部材の弁体部の傾斜面と当接部の接触によって流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようになる。
【0030】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避することができ、さらに、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成され、この貫通穴は第2の流路側の開口が第1の流路側の開口よりも大きく形成され、移動に伴って、傾斜面が流路部材側の当接部に接触する状態で流路部材内に収容されている構成としたので、可動部材の弁体部の傾斜面と当接部の接触によって流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようになる。
【0031】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避することができ、さらに、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成されるとともに第1の流路側に傾斜面が形成され、移動に伴って、傾斜面が流路部材側の当接部に接触する状態で流路部材内に収容されている構成としたので、可動部材の弁体部の傾斜面と当接部の接触によって流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようになる。
【0032】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避することができ、さらに、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材及び当接部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成され、可動部材及び当接部材は、移動に伴って、可動部材の弁体部の前記第2の流路側の面と当接部材が接触可能な状態で流路部材内に収容されている構成としたので、当接部材と可動部材の弁体部が接触することで流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を示す概略正面説明図である。
【図2】同じく概略平面説明図である。
【図3】同じく概略側面説明図である。
【図4】同装置の記録ヘッドの説明に供する要部拡大説明図である。
【図5】同装置のインク供給系(インク供給システム)のサブタンクの模式的断面説明図である。
【図6】同じくカートリッジホルダ部分の説明図である。
【図7】同じくポンプユニットの説明図である。
【図8】同じく圧力制御ユニットの説明図である。
【図9】同じくインク供給システムの全体説明図である。
【図10】同じく流路抵抗可変ユニットを示す説明図である。
【図11】同流路抵抗可変ユニットの弁体の平面説明図である。
【図12】同じくヘッド吐出流量とヘッド圧力損失とアシスト流量の関係の一例を示す説明図である。
【図13】同インク供給システムにおける流路抵抗可変ユニット内部での気泡滞留の説明に供する模式的説明図である。
【図14】同インク供給システムにおける本発明の第1実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図15】同流路可変抵抗ユニットの要部拡大断面説明図である。
【図16】同流路可変抵抗ユニットにおける気泡排出動作の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図17】同じく気泡排出動作の説明に供する断面説明図である。
【図18】同じく本発明の第2実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図19】同流路可変抵抗ユニットにおける気泡排出動作の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図20】同じく本発明の第3実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図21】同流路可変抵抗ユニットにおける気泡排出動作の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図22】同じく気泡排出動作の説明に供する断面説明図である。
【図23】同じく本発明の第4実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図24】同流路可変抵抗ユニットにおける気泡排出動作の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図25】同じく本発明の第5実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図26】同流路可変抵抗ユニットにおける気泡排出動作の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図27】同じく本発明の第6実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの一例を示す要部拡大断面説明図である。
【図28】同じく本発明の第6実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの他の例を示す要部拡大断面説明図である。
【図29】同じく本発明の第7実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図30】同じく本発明の第8実施形態に係る流路可変抵抗ユニットの断面説明図である。
【図31】同流路可変抵抗ユニットにおける気泡排出動作の説明に供する断面説明図である。
【図32】同インク供給システムにおける気泡排出シーケンスの一例の説明に供するフロー図である。
【図33】同インク供給システムにおける気泡排出シーケンスの他の例の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の概略正面説明図、図2は同じく概略平面説明図、図3は同じく概略側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、本体フレーム1に立設された左右の側板1L、1Rに横架したガイド部材であるガイドロッド2と、本体フレーム1に横架される後フレーム1Bに取付けられたガイドレール3とで、キャリッジ4を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ4を図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド2の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
【0035】
このキャリッジ4には、例えば、ブラック(K)のインク滴を吐出する記録ヘッド10Kと、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク滴を吐出する記録ヘッド10Cが搭載され、記録ヘッド10は複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド10Cは、少なくとも独立したCMYのインク滴を吐出する少なくとも3列のノズル列を有している。なお、以下では、記録ヘッド10K、記録ヘッド10内のC、M、Yの各色に対応する各ノズル列を、特に注記しない限り、「記録ヘッド10」と称する。
【0036】
ここで、記録ヘッド10は、図4に示すように発熱体基板12と液室形成部材13から構成され、ヘッドベース部材19に形成された流路から共通流路17及び液室(個別流路)16に順次供給されるインクを液滴として吐出する。この記録ヘッド10は、発熱体14の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室16内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル15の開口中心軸とを直角となしたサイドシュータ方式の構成のものである。
【0037】
なお、記録ヘッドとしては、圧電素子を用いて振動板を変形させ、また、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に係る画像形成装置に適用することができる。
【0038】
また、サーマル方式のヘッドの中には、他にも吐出方向が異なるエッジシュータ方式があるが、このエッジシュータ方式においては気泡が消滅する際の衝撃により発熱体14を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。これに対し、上述したサイドシュータ方式においては気泡が成長し、その気泡がノズル15に達すれば気泡が大気に通じることになり温度低下による気泡の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体14からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本インクジェット記録装置においてはサイドシュータ方式の記録ヘッドを採用している。
【0039】
一方、キャリッジ4の下方には、記録ヘッド10によって画像が形成される用紙20が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図3に示すように、用紙20は、搬送ローラ21と押えコロ22で挟持されて、記録ヘッド10による画像形成領域(印字部)に搬送され、印写ガイド部材23上に送られ、排紙ローラ対24で排紙方向に送られる。
【0040】
このとき、主走査方向へのキャリッジ4の走査と記録ヘッド10からのインク吐出を画像データに基づいて適切なタイミングで同調させ、用紙20に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙20を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。
【0041】
一方、記録ヘッド10の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンク)30が一体的に接続される。ここでいう「一体的」とは、記録ヘッド10とサブタンク30がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ4に搭載されているという意味である。
【0042】
このサブタンク30には、装置本体側の主走査方向の一端部側に設けられたカートリッジホルダ77に着脱自在に装着される各色のインクを収容した本発明における液体タンクであるインクカートリッジ(メインタンク)76からインク供給経路の一部を形成するチューブ部材であって第1の流路を形成する液体供給チューブ41を介して、各色のインクが供給される。
【0043】
また、装置本体の主走査方向の他端部側には記録ヘッド10の維持回復を行う維持回復機構51が配置されている。この維持回復機構51は、記録ヘッド10のノズル面をキャッピングするキャップ52と、キャップ52内を吸引する吸引ポンプ53と、吸引ポンプ53で吸引されたインクの廃液を排出する排出経路54などを含み、排出経路54から排出される廃液は本体フレーム1側に配置された廃液タンク56に排出される。また、後述する図9に示すように、維持回復機構51には、記録ヘッド10のノズル面をワイピングするワイパ部材57をワイピングユニット58にて保持してノズル面に対して進退可能に配設している。
【0044】
次に、このインクジェット記録装置に適用したインク供給系(インク供給システム)について図5ないし図10をも参照して説明する。なお、図5は同インク供給システムのサブタンクの模式的断面説明図、図6は同じくカートリッジホルダ部分の説明図、図7は同じくポンプユニットの説明図、図8は同じく圧力制御ユニットの説明図、図9は流路抵抗可変ユニットの一例を示す説明図である。
【0045】
まず、サブタンク30は、インク室103を形成するタンクケース101の一部の開口に外側に向かって凸状に形成された可撓性を有するゴム部材102が設けられ、インク室103の内部には記録ヘッド10との接続部の近傍にフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクを記録ヘッド10に供給する構成となっている。
【0046】
このサブタンク30には、インク供給チューブ41の一端部が接続される。インク供給チューブ41の他端部は、図1及び図2に示すように本体据え置きのカートリッジホルダ77に接続される。
【0047】
カートリッジホルダ77には、インクカートリッジ76と、送液手段であるポンプユニット80と、圧力制御ユニット81が接続されている。
【0048】
カートリッジホルダ77の内部には、図6に示すように、各色のインクに対応して内部流路70、74、79が形成され、ポンプユニット80に連通するポンプ接続ポート73a、73bと、圧力制御ユニット81に連通する圧力制御ポート72a、72b、72cを備えている。また、ポンプ接続ポート73aと圧力制御ポート72cとは内部流路70で連通している。
【0049】
ポンプユニット80は、図7に示すように、カートリッジホルダ77のポンプ接続ポート73a、73bとそれぞれ連通するポート85a、85bと、これらのポート85a、85bに連通するポンプ(アシストポンプ)78を備えている。ポンプ78としては、チュービングポンプやダイヤフラムポンプ、ギアーポンプなど様々なポンプを適用することができる。図7のポンプユニット80においては、4色のインクに対応して4つのポンプ78K、78C、78M、78Yを備えているが、これらの4つのポンプは1つのモータ82で連動して駆動する構成としている。
【0050】
圧力制御ユニット81は、図8に示すように、カートリッジホルダ77の圧力制御ポート72a、72b、72cとそれぞれ連通するポート86a、86b、86cと、これらのポート86a、86b、86cに連通する圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を備えている。
【0051】
なお、記録ヘッド10側には、前述したように維持回復機構51が配設される。この維持回復機構51には、非吐出時にインクの水分乾燥を防止すると同時に、記録ヘッド10内の気泡を取り除き、ノズルが詰まったときなどに記録ヘッド10内のインクを吸引する目的で保湿・吸引用のキャップ52が備わっている。記録ヘッド10内のインクを吸引するときは、記録ヘッド10のノズル面をキャップ52でキャッピングして、吸引ポンプ53により、インクを廃液タンク56に排出する。ここでは、キャップ52は、保湿用と吸引用を併用しているが、それぞれの役割を独立させたキャップを構成してもよい。また、吸引したインクは、廃液タンク56ではなく、インクカートリッジ76に戻す構成とすることもできる。また、廃液タンク56は、吸引動作だけではなく、記録ヘッド10からの画像形成に寄与しない空吐出滴を受ける空吐出受けとしての役割を持つことがある。また、ワイパ部材57は、ワイピングユニット58に取り付けられており、このワイパ部材57により、メンテナンス後の記録ヘッド10のノズル面を払拭することで、ノズル面のメニスカスが整えられる。
【0052】
次に、インク供給システムの全体構成及び動作について図9に示す概略構成図を参照して説明する。なお、図9ではインク供給システムの動作、作用の理解をしやすいように1つの液体吐出ヘッド(記録ヘッド)10に接続する主要構成要素のみを表している。
このインク供給システムは、記録ヘッド10に供給するインクを貯留するインクカートリッジ76と、記録ヘッド10にインクを供給する第1の流路である液体供給チューブ41と、インクカートリッジ76に連通する第2の流路42と、液体供給チューブ(以下「第1の流路」ともいう。)41と第2の流路42を連通させる圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を含む圧力制御ユニット81と、第2の流路42と圧力制御ユニット81の流路抵抗可変ユニット83とを連通する第3の流路43と、第3の流路43に設けられる送液手段であるポンプ(アシストポンプ)78とを有している。
【0053】
ここで、流路抵抗可変ユニット83は、内部を流れる液体の流れ方向や流量によって流路抵抗(流体抵抗)が変化する特性を有するものである。この流路抵抗可変ユニット83は、例えば図10に示すように、流路部材(流路形成部材)である管部材87と、管部材87内に自由状態で移動可能に収容された可動部材である弁体88とを有している。
【0054】
管部材87は、第1の流路41を接続するポート86aと、第2の流路42を接続するポート86bと、第3の流路43を接続するポート86cとを有している。可動部材である弁体88は、液体の流れの方向において径の異なる段部を有する段付き軸形状部材であり、本発明における弁体部である上部(以下「第1弁体部」という。)88t、中央部88m、下部(以下「第2弁体部」という。)88bの少なくとも3つの段部要素を有し、中央部88mの径が第2弁体部88bよりも小径に形成されている。この弁体88は、管部材87の内部で移動可能とされ、内部の流れの状態等に応じて、図10(a)の位置、図10(b)の位置、あるいはその中間の位置などの各位置に位置変化する。
【0055】
ここで、弁体88の第1弁体部88tには、図11にも示すように、インクの流れ方向に、第1の流路41と第3の流路43とを連通する連通路であって第1の絞り部となる貫通穴84が設けられている。また、弁体88の第2弁体部88bと管部材87の流路部分87bとの間で第2の絞り部182が形成され、弁体88が上述したように内部の流れの状態等に応じて移動することにより、第2弁体部88bと流路部材である管部材87の流路部分87bの壁面との間で形成される第2の絞り部182の絞り量が変化する。
【0056】
なお、ここでは、図11に示すように、貫通穴84を弁体88の中心軸回りに4等分して均等に配置したが、穴の大きさを小さくして穴の数を増やしたり、逆に穴を大きくして穴の数を減らしたりすることも適宜可能である。ただし、記録ヘッド10からのインク吐出による流れを利用して、まっすぐ弁体88を移動させるという点で、貫通穴84は弁体88の第1弁体部88tに周方向で均等に配置することが好ましい。
【0057】
そして、管部材87には、弁体88の中央部88mの位置、すなわち、第1の絞り部84と第2の絞り部182との間に第3の流路43の一部となる横穴(ポート)86cが形成されている。
【0058】
なお、この流路抵抗可変ユニット83は、図10の状態、すなわち、ポート86a側を上にしてインク供給システム内で配置される。
【0059】
図9に戻って、インクカートリッジ76には大気連通部90が設けられており、インクカートリッジ76内の液面が記録ヘッド10のノズル面よりも低い位置になるように配置されている。これにより、インクがインク供給全経路に満たされている状態では、記録ヘッド10とインクカートリッジ76の液面の水頭差hにより、記録ヘッド10は負圧に保持されるので、安定して記録ヘッド10からインク滴吐出を行うことができる。
【0060】
前述したように、吐出するインクの粘度が大きい場合や液体供給チューブ41の流体抵抗が大きい場合、例えばチューブが細かったり長かったりする場合、あるいは、インク吐出流量が大きい場合には、インク供給経路の流体抵抗によりインク供給が追いつかなくなる事態が生じる。具体的には、本インク供給システムでインク供給抵抗となる主要な要素としては、液体供給チューブ41、フィルタ109、ジョイント89がある(図9参照)。
【0061】
例えば、液体供給チューブ41の直径が2.8mm、長さが2500mmのロングチューブを備える広幅の画像形成装置において、16cPの高粘度インクを吐出した場合には、液体供給チューブ41の流体抵抗は2.7e10[Pa・s/m]となる。また、フィルタ109及びジョイント89の流体抵抗は、この実施形態では、それぞれ1e10[Pa・s/m]、2e9[Pa・s/m]のものとしている。
【0062】
ここで、記録ヘッド10から安定した吐出ができる圧力損失の限界値を2.5kPaとし、全ノズルから連続してインクを吐出した場合には0.1cc/sの吐出流量となる。その時の圧力損失は、6.9kPaである。圧力制御ユニット81がない場合でも3.94kPaとなるので、単純な水頭差インク供給システムでは自然供給することはできない。
【0063】
このようにインク供給系の抵抗により圧力損失が増大しリフィルが不足するときに、ポンプ78を駆動して第3の流路43からインクを矢印Qa(Qaはアシスト流量、あるいはアシスト用液体の流れであるが、便宜上矢印の符号としても使用する。)の方向に送り出す。このポンプ78の送液によってインクの供給不足量を補う(リフィルアシスト)ことができる。
【0064】
記録ヘッド10の吐出流量とポンプ78の送液量(アシスト流量)と記録ヘッド10の圧力の関係の一例を図12に示している。図12は、アシスト流量を0〜2cc/sとしたときのヘッド吐出流量に対するインク供給系の圧力損失の変化を示している。前述したように、アシスト流量が「0」のときは、ヘッドの圧力損失は約7kPaとなり、インクを連続吐出できず、噴射不良となってしまうが、ポンプ78によりアシストすることにより圧力損失が1kPa以下程度となり、連続吐出することができる。
【0065】
ここで、前述した図10を参照して本インク供給システムのアシスト原理について説明する。
図10(a)は記録ヘッド10から滴吐出を行っていない状態、あるいは、吐出流量が少ない条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。この状態では、弁体88はポート86b側にある。図10(a)に示すように、管部材87と弁体88の第2弁体部88bの間のギャップGbと、第1の絞り部となる貫通穴84との流体抵抗の総和が管部材87と弁体88の第1弁体部88tのギャップGtの流体抵抗よりも大きいこと、更に、ポート86aの先には図9に示すように流体抵抗の大きい液体供給チューブ(第1の流路)41やフィルタ109があるため、矢印Qaで示すポンプ78によって送液されたインクは、流れやすいポート86b側に流れる(矢印C)。したがって、ポンプ78によって発生するインクの流れは、図9におけるポンプユニット80と流路抵抗可変ユニット83で形成されるループ経路内を循環するだけであり、液体吐出ヘッド10の圧力にはほとんど影響を与えない。
【0066】
一方、図10(b)は記録ヘッド10の吐出流量が多い条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。管部材87と弁体88の第1弁体部88tのギャップGtが狭く、第1の絞り部である貫通穴84を通る、矢印Qhで示す記録ヘッド10からの滴吐出によるインクの流れによって、弁体88がポート86a側に引かれ弁体88が移動する(図で上方向に移動する。)。これにより、弁体88の第2弁体部88bが管部材87の小径部(流路部分87b:第2の絞り部182)に移動し、管部材87の流路部分87b壁面と弁体88の第2弁体部88bの間のギャップは小さいギャップGb1となる。矢印Qaで示すようにポンプ78によって送液されるインクは、この狭いギャップGb1を流れようとする(矢印D)ので、圧力が発生する。この圧力が、記録ヘッド10にインクが流れる際に発生する圧力損失を低減させ、大流量のインク供給を実現することができる。
【0067】
この流路抵抗可変ユニット83では、記録ヘッド10の吐出流量が増して圧力損失が大きくなる条件ほど、弁体88の第2弁体部88bの周面と管部材87の流路部分87bとのインクの流れ方向の対向長さ(第2の絞り部182の長さ)が長くなって、弁体88の第2弁体部88bと管部材87の狭ギャップGb1の長さが長くなり、よりポンプ(アシストポンプ)78による増圧効果を大きくする。これにより、従来のように流量調整弁を他のアクチュエータ等で制御する煩雑さがなく、簡易な構成で自動的に安定したインク供給を実現することができる。
【0068】
なお、この画像形成装置では、4色のインクを吐出させるので、図9に示す構成のインク供給システムが色別に4つ設けられる。各色のポンプ78に対応して、ポンプ78を駆動するモータ等のアクチュエータを個別に4つ設けて各記録ヘッド10のインク吐出量に応じて個別にモータを制御する方式とすることもできるが、前述した図7に示すように、色種の個数のポンプ78(78K、78C、78M、78Y)に対して共通にモータ(アクチュエータ)82を1つのみとすることもできる。
【0069】
複数の色のインク滴を吐出して画像を形成する場合、各記録ヘッド10から吐出されるインクの量はバラバラになるので、例えば、あるヘッドは全ノズルからインクを吐出する状態で、別のヘッドは非吐出の状態である場合もある。そのような場合でも、本発明のインク供給システムでは、記録ヘッド10の吐出流量によって自動的に流路抵抗可変ユニット83の流体抵抗が変化するようになっているので、各ヘッドの吐出流量に応じたポンプの制御は不要である。
【0070】
すなわち、吐出流量が少なくアシストを必要としないヘッドには少ないアシストとなり、吐出流量が多くアシストを必要とするヘッドには大きなアシストを与える制御を自動的に行なう。
【0071】
このように複数のインクを有するなど複数のインク供給系を有するシステムにおいても、全てのインク供給系のポンプを1つのアクチュエータでまとめて駆動できるので、装置の構成、制御が簡易になり、低コスト、小型の装置を実現することができる。
【0072】
また、一般的に、液体の粘度は液体の温度によって変化するので、記録ヘッド10への液体のアシストは、例えば、図2に示すようにキャリッジ4に備えた温度センサ27によって測定した装置周囲の温度や、装置内の温度、インクの温度やそれらの予測値等をフィードバックしてポンプ78の駆動を制御するようにすることが好ましい。それにより、あらゆる温度に対応した使い勝手の良い画像形成装置を実現できる。
【0073】
また、インク供給経路内に圧力センサを設けて予め決められた流量でのヘッド吐出を行ったときの圧力変化を測定できるようにすれば、それにより圧力損失に直結するインクの粘度を検出できるので、この検出した粘度に基づいてポンプ78の制御パラメータを変更でき、粘度の異なる様々なインクを用いることができる。
【0074】
また、ユーザが吐出状態を確認しながらポンプ78の制御パラメータを入力するようにすれば、前述した液体粘度の検出手段が不要となるので、装置を簡易なものとすることができる。
【0075】
このように、液体タンクから液体吐出ヘッド(記録ヘッド)に液体を供給する供給流路に圧力調整弁を設け、圧力調整弁に別の経路で液体タンクと連通する流路を設けると共にその経路に送液手段を設ける構成とし、圧力調整弁を液体吐出ヘッドに流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化するものとすると共に、少なくとも液体吐出ヘッドから液体を吐出するときには液体吐出ヘッドと液体タンクが連通している状態で送液手段により液体吐出ヘッドに向けて液体を送出するので、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加して、液体供給チューブの長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を簡易に回避することができる。
【0076】
この場合、圧力調整弁は液体吐出側の第1の絞り部と液体タンク側の第2の絞り部を有し、送液手段からの流路が第1の絞り部と第2の絞り部の間に連通され、液体吐出ヘッドに流れる液体の流量に応じて第2の絞り部の絞り量が変化する構成とすることで、流路の絞りを利用した簡易な構成で、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加することができる。
【0077】
また、圧力調整弁は可動部材を有し、可動部材が液体吐出ヘッドの吐出量に応じて移動する構成とし、可動部材の移動によって液体タンク側の第2の絞り部の絞り量が変化するようにすることで、流れによる可動部材の移動を利用した簡易な構成で、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加することができる。
【0078】
また、可動部材は、液体の流れ方向で径の異なる複数の段部を有する段付き軸状部材からなり、流路を形成する流路形成部材内に自由状態で収容されている構成とすることで、高精度な部品を容易に形成でき、高精度な特性の弁を容易に得ることができる。
【0079】
このようなインク供給システムにおいて、インクカートリッジ76を交換するときや初期充填時などに、流路抵抗可変ユニット83内に気泡が残留すると、滴吐出不良が発生することになる。
【0080】
例えば、図13に示すように、可動部材である弁体88の第1弁体部88tを平板状(フラットな形状)に形成した比較例の流路抵抗可変ユニット83を使用した場合、弁体88がポート86a方向(第1の流路方向)に引かれているとき、気泡141が第1弁体部88tと第2弁体部88bに挟まれた中央領域140に残留する。この中央領域140に気泡141が残留すると、気泡141は、その浮力により第1弁体部88tのポート86b側(第3の流路側又は第2の流路側)に溜まる。この状態で、記録ヘッド10から吐出動作を続けても、貫通穴84から離れた位置にある気泡141は、貫通穴84を通過せずに、そのまま中央領域140内に残留する。その結果、ポンプユニット80によって送液されたインクの圧力が、中央領域140内の気泡141に吸収され、記録ヘッド10が必要とする圧力が不足してしまうおそれがある。
【0081】
そこで、本発明の第1実施形態における流路抵抗ユニットについて図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同流路抵抗可変ユニットの模式的断面説明図、図15は図14の要部拡大断面説明図である。また、断面説明図であるが断面を示すハッチングの図示は見やすくするために省略する。
圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83は、前述したように、流路を形成する流路部材である管部材87内に可動部材である弁体88が移動可能に収容され、弁体88には第3の流路43側との連通部であるポート86cよりも第1の流路41側に位置する弁体部である第1弁体部88tを有し、第1弁体部88tには液体の流れの方向に貫通穴84が形成されるとともに、第2の流路42側に第1の流路41側に向かって傾斜する傾斜面188が形成されて、貫通穴84の第2の流路側(以下「入口側」という。)は傾斜面188に開口し、弁体88は、移動に伴って、第1弁体部88tの傾斜面188が流路部材である管部材87に形成された当接部である傾斜面187に接触する(当接する)状態で管部材87内に収容されている。
【0082】
ここで、貫通穴84の径方向位置は、管部材87の傾斜面187と弁体88の第1弁体部88tの傾斜面188とが接触する領域内としている。この場合、傾斜面188の傾斜終端部(第1弁体部88tの外周部)近傍とすることが好ましい。また、第1弁体部88tの傾斜面188は、第1の流路41側に向かって弁体部(第1弁体部88t)中央部側から弁体部外周部側に傾斜している傾斜面としている。また、管部材87の傾斜面187は、第1弁体部88tの傾斜面188に対応する傾きとしている。
【0083】
このような構成において、流路抵抗可変ユニット83の中央領域140内に残留している気泡141を排出させる過程について図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同ユニットの作用説明に供する要部拡大断面説明図、図17は同じく模式的断面説明図である。
まず、図16(a)は、記録ヘッド10が非吐出状態のとき、流路抵抗可変ユニット83内に残留した気泡141の移動の様子を示している。初期充填やカートリッジ交換などで生じた気泡141は、その浮力により流路抵抗可変ユニット83の中央領域141まで上昇すると、第1弁体部88tの傾斜面188を沿って第1弁体部88tの外周部側に自ずと移動する。ここで、傾斜面188の頂上付近、すなわち第1弁体部88tの外周部付近に貫通穴84を設けてあるので、気泡141は貫通穴84の入口近傍に集まる。
【0084】
そして、ポンプユニット80を稼動させることにより、弁体88がポート86b側(第2の流路42側)に位置変化(移動)すると、図16(b)に示すように、中央領域140の容積が減少し、流路抵抗可変ユニット83の第1弁体部88tの外周部側に溜まった気泡141は、第1弁体部88tの傾斜面188と管部材87の傾斜面187との接触によって挟まれる。この接触領域内に貫通穴84が形成されているので、気泡141は貫通穴84方向へ押し付けられる。
【0085】
この状態で、記録ヘッド10から大流量のインクを吐出させると、図16(c)に示すように、弁体88は、ポート86a方向(第1の流路41方向)に位置変化(移動)し、それに伴って貫通穴84の入口近傍に集められた気泡141が貫通穴84を通過して、上方に移動する。
【0086】
その結果、図17に示すように、第1弁体部88tを通過した気泡141は管部材87内部の第1の流路41側の傾斜面189に沿って移動して、流路抵抗可変ユニット83から外部の第1の流路41に排出される。
【0087】
このようにして、気泡141を貫通穴84の入口近傍に確実に集め、更に記録ヘッド10から大流量のインクを吐出させるときに、流路抵抗可変ユニット83の中央領域140内に残留した気泡141の大部分を効果的に取り除くことができる。
【0088】
なお、流路抵抗可変ユニット83から流れた気泡141は、記録ヘッド10内に移動するため、この動作の後は、必ずキャップ52によりノズル面をキャップし、吸引動作を実施して、気泡141を記録ヘッド10から排出することが好ましい。あるいは、流路抵抗可変ユニット83と記録ヘッド10の間に気液分離装置を介在させ、記録ヘッド10に気泡141が侵入しない構成にしてもよい。
【0089】
このように、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避する液体供給システムにおいて、さらに、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成されるとともに第2の流路側に傾斜面が形成され、移動に伴って、傾斜面が流路部材側の当接部に接触する状態で流路部材内に収容されている構成としたので、可動部材の弁体部の傾斜面と当接部の接触によって流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようになる。
【0090】
次に、本発明の第2実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図18及び図19を参照して説明する。なお、図18は同流路抵抗可変ユニットの模式的断面説明図、図19は図18の要部拡大断面説明図である。
ここでは、流路部材である管部材87の傾斜面187に、第1弁体部88tと同じ角度で傾斜し、かつ第1弁体部88tの貫通穴84の開口周辺部が接触する(当接する)当接部を形成する当接部材である気泡排出部材144を設けている。
【0091】
前述のように、初期充填やカートリッジ交換などで生じた気泡141は中央領域140まで上昇すると、第1弁体部88tの傾斜面188に沿って貫通穴84の入口近傍に集められる。このとき、ポンプユニット80を稼働させると、弁体88がポート86b側に位置変化する。
【0092】
この弁体88がポート86b側に移動した状態で、貫通穴84の入口近傍に集められた気泡141は、気泡排出部材144と第1弁体部88tに挟まれる。そして、記録ヘッド10からの大流量の吐出により、気泡141が貫通穴84を通じて移動して流路抵抗可変ユニット83外に排出される。
【0093】
なお、当接部を形成する気泡排出部材144の形状は、気泡排出効果を損なわなければ、どのような形状でも良い。また、気泡排出部材144の材質は、気泡排出効果を損なわなければ、どのような材質でも良いが、インクに耐性を有する部材であることが好ましい。
【0094】
次に、本発明の第3実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図20ないし図22を参照して説明する。なお、図20は同流路抵抗可変ユニットの模式的断面説明図、図21は同ユニットの作用説明に供する要部拡大断面説明図、図21は同じく模式的断面説明図である。
ここでは、可動部材である弁体88の第1弁体部88tには、第1の流路41側に向かって弁体部(第1弁体部88t)中央部側から弁体部外周部側に傾斜している傾斜面188aと、第1の流路41側に向かって弁体部(第1弁体部88t)外周部側から弁体部中央部側に傾斜している傾斜面188bを形成し、傾斜面188a、188bが突き当たる頂部近傍に貫通穴84を開口させて設けている。
【0095】
また、管部材87には第1弁体部88tの傾斜面188bと同じ傾きを持たせて当接部を形成する当接部材である気泡排出部材144を配置している。
【0096】
このような構成においては、図21(a)に示すように、記録ヘッド10が非吐出状態であるとき、初期充填やカートリッジ交換などで発生して流路抵抗可変ユニット83の中央領域140内に残留している気泡141は、その浮力により、管部材87内の中央領域140まで上昇すると、第1弁体部88tの傾斜面188a、188bの最も高い位置、すなわち貫通穴84の入口近傍に自ずと集まることとなる。このとき、第1弁体部88tの傾斜面188bは中央部から外周部側に向かうにつれて、ポート86b側(第3の流路側)に傾斜しているので、気泡141が第1弁体部88tの外周部側に移動することがなくなる。
【0097】
そして、ポンプユニット80を稼動させることにより、図21(b)に示すように、弁体88がポート86b側に位置変化(移動)すると、中央領域141の容積が減少し、貫通穴84の入口近傍に溜まった気泡141は、第1弁体部88tの傾斜面188bと気泡排出部材144の間で挟まれる。ここで、気泡141は貫通穴84方向へ押し付けられることとなる。
【0098】
この状態で、記録ヘッド10から大流量のインクを吐出させると、図21(c)に示すように、弁体88は、ポート86a方向に位置変化し、それに伴って、貫通穴84の入口近傍に集められた気泡141が貫通穴84を通過する。
【0099】
その結果、図22に示すように、第1弁体部88tの貫通穴84を通過した気泡141は、流路抵抗可変ユニット83から第1の流路41側に排出される。
【0100】
このように、気泡141を貫通穴84近傍に確実に集め、更に記録ヘッド10から大流量のインクを吐出させることができる。前述したように、流路抵抗可変ユニット83から排出された気泡141は、記録ヘッド10をキャップ50によりキャッピングし、吸引することで抜き取っても良いし、記録ヘッド10と流路抵抗可変ユニット83の間に気液分離装置を用いて、インクから取り除いてもよい。
【0101】
なお、ここでは、管部材87に気泡排出部材144を第1弁体部88tの傾斜に沿って固定したが、気泡排出部材144に代えて、第1弁体部88tの中央部方向に向かって、管部材87の傾斜面187を延ばして当接部とし、気泡排出部材144と同様の効果を得ることもできる。また、貫通穴84は、第1弁体部88tの外周部に1周だけ設けているが、圧力制御ユニット81による圧力調整作用を乱さなければ、一周に限定されない。
【0102】
次に、本発明の第4実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図23及び図24を参照して説明する。なお、図23は同流路抵抗可変ユニットの模式的断面説明図、図24は同ユニットの作用説明に供する要部拡大断面説明図である。
ここでは、弁体88の第1弁体部88tに、第1の流路41側に向かって弁体中央部から外周部に傾斜する傾斜面188に段差部188cを設けている。また、管部材87の傾斜面187にも段差部188cに対応する段差部187cを設けている。
【0103】
このように構成したので、図24に示すように、自らの浮力により第1弁体部88tの傾斜面188に沿って、第1弁体部88tの外周部側に移動した移動した気泡141は、一度貫通穴84近傍に入ると、第1弁体部88tと管部材87に設けられた段差188cに塞き止められ、貫通穴84近傍から中央部側に移動することができなくなる。
【0104】
これにより、記録ヘッド10から大流量のインクを吐出したときに、貫通穴84に入りきらなかった気泡141が、第1弁体部88tの貫通穴84近傍から離れてしまい、中央領域140に残ってしまうことを防ぐことができる。したがって、中央領域140に残留した気泡141の全てを流路抵抗可変ユニット83の外側に排出することができる。簡易な構成で気泡141を中央領域140から排出できる。
【0105】
なお、ここでは、前記第1実施形態と同様に、第1弁体部88tの中央部から外周部に向かうについてポート86a側に傾斜する傾斜面188としているが、前述した第2実施形成と同様に第1弁体部88tの外周部側から中央部に向かうにつれてポート86a側に傾斜する傾斜面188bを有する構成とすることもできる。また、傾斜面中の段差部は、第1弁体部88tの外周部側で貫通穴84より内側が好ましいが、特に限定されるものではなく、また、全体が傾斜面で複数の段差部を設けることもできる。
【0106】
また、管部材87に段差部187cを設けているが、前述した第2実施形態のような気泡排出部材144を設けて実質的に段差を設ける構成とすることもできる。
【0107】
次に、本発明の第5実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図25及び図26を参照して説明する。なお、図25は同流路抵抗可変ユニットの模式的断面説明図、図26は同ユニットの作用説明に供する要部拡大断面説明図である。
ここでは、第1弁体部88tの傾斜面188に貫通穴84が開口した部分に貫通穴84の開口よりも大きい凹部である気泡収容穴部148を形成している。一方、管部材87の傾斜面187には気泡収容穴部148と嵌合する凸部149を形成している。
【0108】
このように構成したので、自らの浮力により傾斜面188に沿って外周部側に移動した気泡141は、傾斜面188よりも高い位置(ポート86a側)にある、気泡収容穴部148内に入り込む。これにより、気泡収容穴部148に中央領域140に残留した気泡141を集めることができる。
【0109】
そして、第1弁体部88tが接触する管部材87には気泡収容穴部148と嵌合する凸部149を形成しているので、気泡収容穴148に集められた気泡141は、貫通穴84へ押し込められる。この状態で、記録ヘッド10から大流量のインクを吐出させることにより、気泡収容穴部148に収容されていた気泡141を、貫通穴84を通じて流路抵抗可変ユニット83の外部へ効果的に排出することができる。
【0110】
このように、第1弁体部88tの傾斜面188の貫通穴84の入口部分に凹部を設けるという簡易な構成で、中央領域140の気泡141を効果的に排出することができる。
【0111】
なお、ここでは、前記第1実施形態と同様に、第1弁体部88tの中央部から外周部に向かうについてポート86a側に傾斜する傾斜面188としているが、前述した第2実施形成と同様に第1弁体部88tの外周部側から中央部に向かうにつれてポート86a側に傾斜する傾斜面188bを有する構成とすることもできる。また、第1弁体部88tに傾斜が無くても、気泡141の収集効果があるため、第1弁体部88tに傾斜が無くても良い。また、気泡収容穴部148の数、内径や深さ、その他の形状が限定されるものではない。さらに、前述した第2実施形態のような気泡排出部材144を設け、この気泡排出部材144に第1弁体部88tの気泡収容穴部148に嵌合する凸部を設けることもできる。
【0112】
次に、本発明の第6実施形態における流路抵抗可変ユニットの異なる例について図27及び図28を参照して説明する。なお、図27及び図28は同流路抵抗可変ユニットの要部拡大断面説明図である。
図27に示す例は、第1弁体部88tに形成した貫通穴84の形状を、第3の流路側(中央領域140側)から第1の流路41側に向かって開口径が狭くなるテーパ穴としたものである。このように、中央領域140側の貫通穴84の穴径が大きいため、より多くの気泡141を貫通穴84内部に取り込むことができる。その結果、記録ヘッド10から大流量を吐出したときに気泡141を、貫通穴84を通じて排出することができる。
【0113】
図28に示す例は、第1弁体部88tに形成した貫通穴84の形状を、第3の流路側(中央領域140側)から第1の流路41側に向かって開口径が狭くなるホーン形状(ラッパ形状)の穴としたものである。このように、中央領域140側の貫通穴84の穴径が大きいため、より多くの気泡141を穴内部に取り込むことができる。その結果、記録ヘッド10から大流量を吐出したときに気泡141を、貫通穴84を通じて排出することができる。
【0114】
なお、ここでは、前記第1実施形態と同様に、第1弁体部88tの中央部から外周部に向かうについてポート86a側に傾斜する傾斜面188としているが、前述した第2実施形成と同様に第1弁体部88tの外周部側から中央部に向かうにつれてポート86a側に傾斜する傾斜面188bを有する構成とすることもできる。また、第1弁体部88tに傾斜が無くても、貫通穴84の入口側が出口側よりも相対的に大きな開口であるので、気泡141の収集効果があるため、第1弁体部88tに傾斜が無くても良い。
【0115】
このように、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成され、この貫通穴は第2の流路側の開口が第1の流路側の開口よりも大きく形成され、移動に伴って、傾斜面が流路部材側の当接部に接触する状態で流路部材内に収容されている構成としたので、可動部材の弁体部の傾斜面と当接部の接触によって流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。
【0116】
次に、本発明の第7実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図29を参照して説明する。なお、図29は同流路抵抗可変ユニットの模式的断面説明図である。
ここでは、可動部材である第1弁体部88tのポート86a側に、管部材87の領域153部と同一の傾斜面188dを設けている。これにより、貫通穴84を通過した気泡141を押し出することができる。
【0117】
つまり、記録ヘッド10からの大流量の吐出で生じた圧力差により、貫通穴84を通過した気泡141はポート86a方向に流れるが、このとき、管部材87の領域153部に気泡141が留まることがある。そのため、第1弁体部88tのポート86a側と管部材87とを同一の傾斜面として、領域153部に留まった気泡141をポート86a側に排出することができる。
【0118】
このように、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成されるとともに第1の流路側に傾斜面が形成され、移動に伴って、傾斜面が流路部材側の当接部に接触する状態で流路部材内に収容されている構成としたので、可動部材の弁体部の傾斜面と当接部の接触によって流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。
【0119】
次に、本発明の第8実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図30及び図31を参照して説明する。なお、図30及び図31は同流路抵抗可変ユニットの模式的説明図である。
この流路抵抗可変ユニット83では、流路を形成する流路部材である管部材87内に可動部材である弁体88及び当接部材である気泡排出部材244が移動可能に収容され、弁体88には第3の流路との連通部であるポート86cよりも第1の流路41側に位置する弁体部である第1弁体部88tを有し、第1弁体部88tには液体の流れの方向に貫通穴84が形成され、弁体88と気泡排出部材244は、移動に伴って、第1弁体部88tの第2の流路42側の面と気泡排出部材244とが接触可能な状態で管部材87に収容されている。
【0120】
つまり、ここでは、可動部材である弁体88の弁体部である第1弁体部88tは平板状(厚さをほぼ一定にしたフラットな形状)としている。そして、弁体88の中間部88mに第1弁体部88tが当接する当接部材である気泡排出部材244を自由状態で嵌装して移動可能に備え、第1弁体部88t及び第2弁体部88bと面接触できる形状としている。この気泡排出部材244は、インク内で静止状態にあるとき、図30に示すように、インクに対して沈むような比重ないし質量にとしている。
【0121】
このように構成したので、記録ヘッド10が非吐出状態もしくは吐出量が少ないときには、ポンプユニット80からの流量により、弁体88はポート86b側に位置変化するが、自由状態に保持された気泡排出部材244も、ポート86b側に位置変化する。そして、記録ヘッド10から大流量のインクを吐出すると、図31に示すように、その圧力差により、弁体88がポート86a側に位置変化する。このとき、気泡排出部材244も、圧力差により、第1弁体部88t方向に位置変化する。そして、中央領域140に残留していた気泡141は、気泡排出部材244と第1弁体部88tが当接することで押し出される形となり、貫通穴84を通過し、流路抵抗可変ユニット83の外に排出される。
【0122】
なお、記録ヘッド10の通常吐出時の流量において、気泡排出部材244が第1弁体部88t側に移動して、第1弁体部88tと密着し、貫通穴84を塞いでしまうと、正常な吐出ができなくなる。そのため、気泡を排出するシーケンスを使用して、ポート86a側流路と、弁体88内部に急激な圧力差が生じたときのみ、気泡排出部材244が第1弁体部88tに密着できるように、気泡排出部材244の比重ないし質量を調整することが好ましい。
【0123】
また、ここでは、第1弁体部88tと気泡排出部材244に傾斜が無くフラットの構成としているが、当接面に前記実施形態で説明したように傾斜面を設けても良い。すなわち、第1弁体部88tに前述した各実施形態で説明したような傾斜面188、188a、188bなどを設け、気泡排出部材244にも対応する傾斜面を設けるようにすることもできる。
【0124】
このように、圧力調整弁には流路部材内に移動可能に収容された可動部材及び当接部材を有し、可動部材は、弁体部に貫通穴が形成され、可動部材及び当接部材は、移動に伴って、可動部材の弁体部の前記第2の流路側の面と当接部材が接触可能な状態で流路部材内に収容されている構成としたので、当接部材と可動部材の弁体部が接触することで流路内部の気泡が貫通穴を通じて排出され、圧力調整弁内部での気泡の滞留を減少することができる。
【0125】
以上の説明において、気泡排出効果を効果的に実現するためには、弁体88の位置変化が重要となる。その位置変化は、ポンプユニット80、記録ヘッド10、メンテナンス用の吸引ポンプ53を主とした気泡排出シーケンスで決定される。
【0126】
そこで、気泡排出シーケンスの一例について図32を参照して説明する。
この例は、吸引ポンプ53を用いずに、記録ヘッド10の空吐出(全ノズルから大量のインクを吐出する)と、アシストポンプ78の制御により、弁体88の位置変化を行う例である。
【0127】
まず、アシストポンプ78を駆動して流路抵抗可変ユニット83のポート86cに送液することで、弁体88をポート86b側に移動させる。そして、弁体88のポート86b側の位置変化が完了するまでの所定時間T1が経過したときに、記録ヘッド10を空吐出位置に移動させ、アシストポンプ78を停止する。その後、記録ヘッド10から空吐出を行う。これにより、第1の流路41と弁体88内部に急激な圧力差が生じて、弁体88がポート86a側に移動する。そして、流体抵抗可変ユニット83内部の気泡が記録ヘッド10から排出されるまでの所定時間T2が経過した後、空吐出動作を停止し、ワイピングを実施し、最後にノズル面をキャッピングする。
【0128】
なお、所定時間T1、T2は、使用する弁体88や流路抵抗可変ユニット83の形状、インク流路長さ、インク流路径、使用インクにより決定される値である。また、このシーケンスでは、ワイピング後にヘッドキャッピングをしているが、記録ヘッド10からの吐出を続ける場合には、印字待機位置に移動し、印字動作を続けても良い。
【0129】
次に、気泡排出シーケンスの他の例について図33を参照して説明する。
この例は、記録ヘッド10の空吐出と、アシストポンプ78及び吸引ポンプ53の制御により、弁体88を位置変化させる例である。
【0130】
まず、アシストポンプ78を駆動して流路抵抗可変ユニット83のポート86cに送液することで、弁体88をポート86b側に移動させる。そして、弁体88のポート86b側の位置変化が完了するまでの所定時間T1が経過したときに、記録ヘッド10を空吐出位置に移動させ、キャップ52で記録ヘッド10のノズル面をキャッピングした後、アシストポンプ78を停止する。
【0131】
そして、記録ヘッド10から空吐出動作を行うとともに、吸引ポンプ53を駆動したノズルから吸引を行う。これにより、第1の流路41と弁体88内部に急激な圧力差が生じて、弁体88がポート86a側に移動するが、このとき、空吐出動作と吸引ポンプによる吸引動作を同時に実施しているので、前述した図31のシーケンスに比べて、ポート86a側と記録ヘッド10を連通している流路の負圧が大きくなり、弁体88とポート86a側の間に作用する圧力差も大きくなる。そして、流体抵抗可変ユニット83内部の気泡が記録ヘッド10から排出されるまでの所定時間T2が経過した後、空吐出動作を停止する。
【0132】
次いで、キャップ52内に排出されたインクが廃液タンク56へ排出されるに要する所定時間T3が経過したときに吸引ポンプを停止させ、ワイピングを実施し、ノズル面をキャッピングする。
【0133】
なお、所定時間T1、T2は、使用する弁体88や流路抵抗可変ユニット83の形状、インク流路長さ、インク流路径、使用インクにより決定される値である。また、このシーケンスでは、ワイピング後にヘッドキャッピングをしているが、記録ヘッド10からの吐出を続ける場合には、印字待機位置に移動し、印字動作を続けても良い。
【0134】
これらの各例のシーケンスでは、アシストポンプを停止させてから、ヘッド空吐出動作を行うようにしているが、気泡141が流路抵抗可変ユニット83から排出できるだけの圧力差を生じさせることができれば、アシストポンプ78を停止させなくても良い。
【0135】
なお、以上の説明においては、複数のヘッドに異なる色のインクが供給される例で本願発明の動作、効果を説明したが、同一色のインクを複数のヘッドに供給する場合や、色ではなく処方の異なるインクを複数のヘッドに供給する場合にも同様に適用することができる。また、複数のノズル列を1ヘッド内に有する液体吐出ヘッドで1ヘッドから異なる種類の液体を吐出する場合のインク供給システムについても適用することができる。また、狭義のインクを吐出する画像形成装置に限定されるものではなく、様々な液体を吐出する液体吐出装置(本発明でいう「画像形成装置」に含まれる。)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
4 キャリッジ
10 記録ヘッド
30 サブタンク
41 インク供給チューブ(第1の流路)
42 第2の流路
43 第3の流路
76 インクカートリッジ(メインタンク:液体タンク)
77 カートリッジホルダ
78 ポンプ(アシストポンプ)
80 ポンプユニット
81 圧力制御ユニット
83 流体抵抗可変ユニット
84 貫通穴
87 管部材(流路部材)
88 弁体(可動部材)
88t 第1弁体部(弁体部:弁体の上部)
88b 第2弁体部(弁体の下部)
144 気泡排出部材(当接部材:当接部)
187 傾斜面(当接部)
188 傾斜面
189 傾斜面
244 気泡排出部材(当接部材:当接部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成されるとともに、前記第2の流路側に前記第1の流路側に向かって傾斜する傾斜面が形成され、
前記可動部材は、移動に伴って、前記弁体部の傾斜面が前記流路部材側の当接部に接触する状態で前記流路部材内に収容されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記可動部材の弁体部の傾斜面は、前記第1の流路側に向かって弁体部中央部側から弁体部外周部側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記可動部材の弁体部の傾斜面は、前記第1の流路側に向かって弁体部外周部側から弁体部中央部側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記可動部材の貫通穴は前記第1の流路側に向かって開口径が小さくなる形状であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記可動部材の貫通穴の前記第2の流路側の開口部には凹部が形成され、前記流路部材側の当接部には前記凹部に嵌り合う凸部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記可動部材の弁体部の傾斜面に段差部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記流路部材側の当接部は、前記可動部材の弁体部の傾斜面に対応する傾斜面を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成されるとともに、前記貫通穴の前記第2の流路側の開口が前記第1の流路側の開口よりも大きく形成され、
前記可動部材は、移動に伴って、前記弁体部の前記第2の流路側の面が前記流路部材側の当接部に接触する状態で前記流路部材内に収容されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成されるとともに、前記第1の流路側に前記第1の流路側に向かって傾斜する傾斜面が形成され、
前記可動部材は、移動に伴って、前記弁体部の傾斜面が前記流路部材側の当接部に接触する状態で前記流路部材内に収容されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させ、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁と、
前記第2の流路又は前記液体タンクと前記圧力調整弁とを連通する第3の流路と、
前記第3の流路に設けられる送液手段と、を有し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液する画像形成装置であって、
前記圧力調整弁は、流路を形成する流路部材と、前記流路部材内に移動可能に収容された可動部材及び当接部材とを有し、
前記可動部材は、前記第3の流路との連通部よりも前記第1の流路側に位置する弁体部を有し、前記弁体部には、液体の流れの方向に貫通穴が形成され、
前記可動部材及び前記当接部材は、移動に伴って、前記可動部材の弁体部の前記第2の流路側の面と前記当接部材が接触可能な状態で前記流路部材内に収容されている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−280188(P2010−280188A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136762(P2009−136762)
【出願日】平成21年6月6日(2009.6.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】