説明

画像形成装置

【課題】画像形成された用紙の冷却を十分に行うとともに、用紙上のトナー像の乱れやトナー汚れを防止して、良好に用紙搬送する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、画像形成された用紙Pの搬送を案内する搬送ガイド部材70を備える。搬送ガイド部材70は、ガイド本体71と、このガイド本体71から突出して用紙搬送路L3を形成する複数の突起部72と、用紙搬送路L3に向けてガイド本体71から外気Wを送る吹出し部73とを備え、この吹出し部73は、突起部72の用紙搬送方向上流側に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、画像形成された用紙の搬送を案内するガイド部材を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置では、高画質化とともに高速化が求められているが、トナーを用紙に定着させるためには一定の熱量が必要であり、高速化すると定着後の用紙の冷却が満足におこなわれず、用紙が排出トレイに積載され、積載された用紙同士にトナーが付着するトナーブロッキング現象が発生する。また、両面印刷では、片面を定着した高温の用紙が感光体に再度搬送され、この両面印刷が多用されると、その結果、感光体の温度上昇につながり、感光体の寿命低下やクリーニング不良等を引き起こす。
【0003】
そこで、特許文献1では、定着部の用紙搬送方向下流側に冷却ローラを設けている。この冷却ローラの端部には、フィンが設けられ、さらにこのフィンの下方からファンが送風し、常時放熱を行っている。従って、用紙は定着部を出たあと冷却ローラに密接して通過し、この冷却ローラとの密接によって、用紙に蓄積された熱が冷却ローラに放散され、冷却された用紙が排出トレイへ搬送される。
【0004】
しかしながら、近年、より高速化が要求され、さらに省エネルギーの要求により、低融点トナーが頻繁に使用されるようになってきている。上述した従来技術では、低融点トナーを使用して、大量の印刷を連続して行うと、用紙が冷却ローラに密接しながら搬送されるので、定着後の用紙上でまだ乾燥していないトナーが冷却ローラに擦られる。乾燥していないトナーが擦られると、用紙上でトナー像が乱れ、また冷却ローラにトナーが付着し、その付着したトナーが次の用紙に付着するという不都合があった。また、このようなトナー像の乱れやトナー汚れが定着後の用紙搬送に限らず、トナー像を転写された用紙を搬送する他の搬送路においても起こりうる。
【特許文献1】特開平10−69134号公報(段落[0022]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、画像形成された用紙の冷却を十分に行うとともに、用紙上のトナー像の乱れやトナー汚れを防止して、良好に用紙搬送する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、画像形成された用紙の搬送を案内する搬送ガイド部材を備えた画像形成装置において、前記搬送ガイド部材は、ガイド本体と、前記ガイド本体から突出して用紙搬送路を形成する複数の突起部と、前記用紙搬送路に向けて前記ガイド本体から外気を送る吹出し部とを備え、前記吹出し部は、前記突起部の用紙搬送方向上流側に設けられることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、画像形成された用紙は、複数の突起部に搬送される前に、吹出し部から送られる外気によって、用紙は冷却されるとともに、この外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされ、用紙搬送路では複数の突起部に擦れることはない。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、前記突起部は曲面に形成された曲面部を有し、前記曲面部は用紙搬送路を形成することを特徴としている。この構成によれば、用紙がこの曲面部を搬送されると、用紙の搬送方向が変わる。用紙搬送方向が変わるところでも、外気によって、用紙は冷却されるとともに、外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされ、複数の突起部に擦れることはない。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、前記搬送ガイド部材は、用紙上のトナー像を溶融定着させる定着部の用紙搬送方向下流側に配されることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、前記吹出し部は、用紙搬送方向下流側に頂点を形成する三角形状の開口であることを特徴としている。この構成によれば、用紙が撓んで搬送され、用紙先端部が開口に挟まっても、外気の風圧によって、また吹出し部の開口の幅が、用紙搬送方向下流側に向けて徐々に小さくなっているので、用紙は搬送されながら開口から抜け出る。
【0011】
また、請求項5に記載の発明では、用紙搬送方向と直交する方向で前記突起部に並列する複数の別の吹出し部が設けられることを特徴としている。この構成によれば、用紙搬送路を搬送される用紙は、複数の別の吹出し部から送られる外気に当たる。この外気によって、用紙は冷却されるとともに、外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされ、複数の突起部に擦れることはない。
【0012】
また、請求項6に記載の発明では、前記搬送ガイド部材の用紙搬送方向下流側に配される搬送ローラと、前記ガイド本体の空所を有する中空部を通して前記吹出し部に外気を送る冷却ファンとを備え、前記搬送ローラが用紙の先端を挟持するときに、前記冷却ファンが前記吹出し部に外気を送ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、画像形成された用紙は、複数の突起部に搬送される前に、吹出し部から送られる外気によって、用紙は冷却されるとともに、この外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされる。従って、用紙搬送路では複数の突起部に擦れることはないので、用紙上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが突起部に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、用紙がこの曲面部を搬送されると、用紙の搬送方向が変わる。用紙搬送方向が変わるところでも、外気によって、用紙は冷却されるとともに、外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされる。従って、複数の突起部に擦れることはないので、用紙上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが複数の突起部に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、定着部から搬送されてきた用紙は熱を蓄積しているが、複数の突起部に搬送される前に吹出し部から送られる外気によって、用紙搬送路に到着する前に、用紙は冷却されるとともに、外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされる。従って、用紙搬送路では複数の突起部に擦れることはないので、用紙上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが突起部に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、用紙が撓んで搬送され、用紙先端部が開口に挟まっても、外気の風圧によって、また吹出し部の開口の幅が、用紙搬送方向下流側に向けて徐々に小さくなっているので、用紙は搬送されながら開口から抜け出ていき、吹出し部でジャムするおそれがなく、良好に用紙搬送することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、用紙搬送路を搬送される用紙は、複数の別の吹出し部から送られる外気に当たる。この外気によって、用紙は冷却されるとともに、外気の風圧によって、用紙は突起部から離れる方向に動かされる。従って、複数の突起部に擦れることはないので、用紙上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが突起部に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、用紙の先端が搬送ローラに挟持された状態で冷却ファンが吹出し部に外気を送るため、用紙の先端位置が不安定になることを避けながら、用紙が突起部に摺れることを防止するとともに用紙を冷却することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の内部構成を示す平面断面図である。尚、図1の実線で示した矢印は、用紙P及び原稿の搬送方向および搬送経路を示し、図1の一点鎖線で示した矢印は、感光体に照射される光線を示す。
【0021】
図1に示すように、装置本体12の下部には、カセットタイプの給紙部14が配設されている。給紙部14は、上下2段の給紙カセット16a、16bを有し、給紙カセット16a、16bには、印刷前の用紙Pが積載して収容されている。給紙カセット16a、16bに収容された用紙Pは、それぞれ、ピックアップローラ18a、18bにより1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙Pは、さらに、1対の給紙ローラ20a、20bによって、それぞれ、用紙搬送方向下流側へと送り出される。
【0022】
手差しトレイ22が図1示す閉状態から開操作されて水平位置状態にあると、給紙カセット16a、16bと異なるサイズの用紙Pが手差しトレイ22に載置可能である。手差しトレイ22に載置された用紙Pは、ピックアップローラ24により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙Pは、1対の給紙ローラ26a、26bによって用紙搬送方向下流側へと送り出される。
【0023】
装置本体12内に用紙搬送路L1およびL2が配設されている。用紙搬送路L1は、複数の1対の搬送ローラ28を備え、給紙カセット16a、16bの左方に配置されている。用紙搬送路L2は、複数の1対の搬送ローラ30を備え、手差しトレイ22の左方に配置されている。給紙カセット16a、16bから送り出された用紙Pが、用紙搬送路L1の各搬送ローラ28を介して上方に搬送され、画像転写部36に送られる。また、手差しトレイ22から送り出された用紙Pが、用紙搬送路L2の搬送ローラ30を介して左方に向かって略水平に搬送され、画像転写部36に送られる。
【0024】
用紙搬送路L1及びL2の用紙搬送方向下流側であって、画像転写部36のすぐ上流側には、1対のレジストローラ32が配設されている。1対のレジストローラ32は、用紙Pの斜行送りを矯正した後、画像形成部34がトナー像を形成するタイミングと同期をとって、画像転写部36に向けて用紙Pを送り出す。
【0025】
一方、自動原稿給送装置37の下方には、原稿画像読取部(図示せず)が配設されている。使用者が原稿のコピーを行う場合、文字や図形、模様等の画像データを有する原稿が自動原稿給送装置37に載置され、自動原稿給送装置37から原稿が1枚ずつ分離して送り出され、原稿画像読取部によって原稿の画像データが読み取られる。
【0026】
胴内排紙部60の下方には、画像形成部34及び画像転写部36が配設されている。画像形成部34は、感光体ドラム38、帯電器40、露光器42、現像器44及びクリーニング部46を備え、感光体ドラム38の周辺に回転方向に沿って順に、帯電器40、露光器42、現像器44及びクリーニング部46が配置されている。
【0027】
感光体ドラム38表面が帯電器40によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光器42は、原稿画像読取部によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体ドラム38上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0028】
現像器44は、帯電したトナーを感光体ドラム38表面に供給し、感光体ドラム38上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。画像転写部36において、トナー像は搬送される用紙Pに転写ローラ48により転写される。トナー像が用紙Pに転写された後、クリーニング部46によって、感光体ドラム38表面に残留する残留トナーがクリーニングされ回収される。そして、トナー像が転写された用紙Pは、用紙搬送路L3を通って、定着部50へと搬送される。
【0029】
画像転写部36の用紙搬送方向下流側には、その内部に熱源を含む熱ローラ52と、熱ローラ52と対向配置される加圧ローラ54とを有する定着部50が備えられている。トナー像を担持した用紙Pは、熱ローラ52および加圧ローラ54間へと送り込まれ、熱ローラ52と加圧ローラ54によって加圧加熱され、加圧加熱されると、用紙P上にトナー像が溶融定着される。
【0030】
定着された用紙Pは、経路切り替えガイド56によって1対の排出ローラ58a、58b間に案内された後、排出ローラ58a、58bによって胴内排紙部60に排出される。
【0031】
用紙搬送路L3に沿って搬送された用紙Pは、必要に応じて、経路切り替えガイド56の搬送方向切り替えによって、搬送ローラ64a、64b間に向けて案内された後、搬送ローラ64a、64bによって、装置本体12の外部に配置されたスタックトレイ62上に排出される。
【0032】
両面印刷を行う場合には、排出排紙部60に排出させる途中において用紙Pの後端が切り替えガイド56を通過したタイミングで排出ローラ58a、58bを逆回転させて、経路切り替えガイド56及び66によって、用紙Pを用紙搬送路L3から用紙搬送路L4に向けて案内する。その後、用紙Pは、用紙搬送路L4の各搬送ローラ68の間を通って、用紙搬送路L1に合流し、1対のレジストローラ32に送り込まれた後、再度画像転写部36へ搬送される。そして、画像転写部36で用紙Pの裏面にもトナー像が転写されると、用紙Pは再度定着部50によって定着溶融され、排出される。
【0033】
図2は、上述の画像形成装置10に用いられる定着部と搬送ガイド部材を示す平面断面図である。
【0034】
定着部50の上方で、定着部50と経路切り替えガイド56との間に、搬送ガイド部材70、80が配設される。搬送ガイド部材70、80は、用紙Pを搬送させる所定の間隔を有してそれぞれ対向し、また、切り替え可能な経路切り替えガイド56に対して、用紙Pを搬送させる所定の間隔を有するように配される。
【0035】
経路切り替えガイド56が図2の実線で示す位置にあるときには、搬送ガイド部材70は、経路切り替えガイド56とともに用紙搬送路L3を形成する。用紙搬送路L3は、定着部50を通った用紙Pを定着部50の上方に案内し、さらに右方向に向きを変えて案内して、搬送ローラである排出ローラ58a、58bから胴内排紙部60に排出する経路である。また、用紙Pの裏面に画像形成する場合は、用紙後端が切り替えガイド56を通過したタイミングで排出ローラ58a、58bを逆回転させ、切り替えガイド56及び66(図1参照)によって、用紙Pを用紙搬送路L4に通して再び画像形成を行う。
【0036】
一方、経路切り替えガイド56が図2の破線で示す位置にあるときには、搬送ガイド部材80は、経路切り替えガイド56とともに用紙搬送路L4を形成する。用紙搬送路L4は、搬送ガイド部材80と経路切り替えガイド56間を通った用紙Pを上方に案内し、さらに左方向に向きを変えて案内して、搬送ローラ64a、64bを通って装置本体12の外部に配置されたスタックトレイ62上に排出する経路である。
【0037】
搬送ガイド部材70を図3、図4に基づいて詳しく説明する。図3は搬送ガイド部材の構成を示す平面断面図であり、図4は搬送ガイド部材の構成を示す側面図である。
【0038】
図3に示すように、搬送ガイド部材70は、ガイド本体71と、突起部72と、吹出し部73及び中空部74を備える。
【0039】
ガイド本体71は、搬送ガイド部材70の外郭を構成し、用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)に延びる略四半分の円柱形状にプラスチックで形成される。ガイド本体71は、その内部に空所を有する中空部74を用紙幅方向に備える。中空部74は空気を流通させられる。
【0040】
ガイド本体71の円筒面には、開口である吹出し部73が形成される。吹出し部73は、ガイド本体71の円筒面の下方(定着部50側)に用紙幅方向に複数個並べられ、中空部74の空気(外気W)を用紙搬送路L3に向けて送る。
【0041】
また、ガイド本体71の円筒面には、突起部72が配される。突起部72は、ガイド本体71の円筒面と略同曲率の曲面に形成された曲面部72aを有し、用紙Pがこの曲面部72aに沿って搬送されるように、用紙Pを案内する。突起部72は、吹出し部73の用紙搬送方向下流側で、吹出し部73の直近から形成される。その直近部では、曲面部72aの曲面とガイド本体71の円筒面とに接する面で、突起部72が形成され、搬送される用紙Pが引っ掛からないようになっている。
【0042】
図4に示すように、吹出し部73は、突起部72と同数個有し、それぞれ突起部72と用紙搬送方向で同じ直線状に並べられる。吹出し部73の開口形状は、二等辺三角形状をなし、その頂角を形成する頂点を突起部72側に向けて配置される。吹出し部73は、用紙搬送方向に細長い矩形形状の開口でもよいが、このような三角形状の開口にすると、用紙Pが定着部50側から搬送されてきたときに、吹出し部73に挟まってジャムするおそれがない。
【0043】
冷却ファン81は、装置本体12(図1参照)に設けられ、外気Wを装置本体12内に吸引する。通風路82は、冷却ファン81から吸引した外気Wを搬送ガイド部材70に送るものであり、一端を冷却ファン81に取り付けられ、他端を搬送ガイド部材70の端部に取り付けられる。
【0044】
従って、冷却ファン81から吸引した外気Wは、通風路82を通って搬送ガイド部材70の中空部74(図3参照)に送られる。中空部74の外気Wは、複数の吹出し部73から用紙搬送路L3に向けて吹き出ている。画像形成された用紙Pが、定着部50によって定着されると、熱を蓄積した状態で、定着部50から搬送ガイド部材70に搬送される。搬送ガイド部材70に用紙Pが搬送されると、まず用紙Pは、吹出し部73から吹出される外気Wによって、蓄積した熱を放散するとともに、外気Wの風圧によって、突起部72から離れる方向に動かされ、突起部72に接触して擦られることなく、用紙搬送路L3を搬送される。さらに搬送されて、用紙Pは排出ローラ58a、58b(図2参照)に案内された後、排出される。
【0045】
上記第1実施形態によれば、画像形成装置10は、画像形成された用紙Pの搬送を案内する搬送ガイド部材70を備える。搬送ガイド部材70は、ガイド本体71と、このガイド本体71から突出して用紙搬送路L3を形成する複数の突起部72と、用紙搬送路L3に向けてガイド本体71から外気Wを送る吹出し部73とを備え、この吹出し部73は、突起部72の用紙搬送方向上流側に設けられる。
【0046】
この構成によると、画像形成された用紙Pは、複数の突起部72に搬送される前に、吹出し部73から送られる外気Wによって、用紙Pは冷却されるとともに、外気Wの風圧によって、用紙Pは複数の突起部72から離れる方向に動かされる。従って、用紙搬送路L3では複数の突起部72に擦れることはないので、用紙P上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが複数の突起部72に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0047】
また、上記第1実施形態によると、複数の突起部72は曲面に形成された曲面部72aを有し、この曲面部72aは用紙搬送路L3を形成することによって、用紙Pがこの曲面部72aを搬送されると、用紙Pの搬送方向が変わる。用紙搬送方向が変わるところでも、外気Wによって、用紙Pは冷却されるとともに、外気Wの風圧によって、用紙Pは突起部72から離れる方向に動かされる。従って、複数の突起部72に擦れることはないので、用紙P上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが複数の突起部72に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0048】
また、上記第1実施形態によると、吹出し部73は、用紙搬送方向下流側に頂点を形成する三角形状の開口であることによって、用紙Pが撓んで搬送され、用紙P先端部が開口に挟まっても、外気Wの風圧によって、また吹出し部73の開口の幅が、用紙搬送方向下流側に向けて徐々に小さくなっているので、用紙Pは搬送されながら開口から抜け出ていき、吹出し部73でジャムするおそれがなく、良好に用紙搬送することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態である搬送ガイド部材の構成を示す側面図である。第1実施形態と異なる、搬送ガイド部材に設けた別の吹出し部の構成作用について説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0050】
搬送ガイド部材70は、ガイド本体71と、突起部72と、吹出し部73と、別の吹出し部77及び中空部74を備える。
【0051】
ガイド本体71は、用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)に延びる略四半分の円柱形状に形成され、その内部に空気を流通させる中空部を用紙幅方向に備える。
【0052】
ガイド本体71の円筒面には、二等辺三角形状の開口である複数の吹出し部73が形成される。また、ガイド本体71の円筒面には、吹出し部73の用紙搬送方向下流側に、ガイド本体71の円筒面から僅かに突出した複数の突起部72が形成される。突起部72の形状及び位置は第1実施形態と同じである。
【0053】
複数の突起部72の用紙幅方向両側近傍には、それぞれ別の吹出し部77がガイド本体71の円筒面に形成される。別の吹出し部77は用紙搬送方向に細長い矩形状の開口である。
【0054】
冷却ファン81から吸引した外気Wは、通風路82を通って搬送ガイド部材70の中空部に送られ、複数の吹出し部73とともに複数の別の吹出し部77から用紙搬送路L3に向けて吹き出る。画像形成された用紙Pは、吹出し部73から吹出される外気Wによって、定着部50によって蓄積した熱を放散するとともに、外気Wの風圧によって、突起部72から離れる方向に動かされる。さらに搬送されると、用紙Pは、別の吹出し部77から吹出される外気Wによって、さらに放熱するとともに、外気Wの風圧によって、突起部72から離れる方向にさらに動かされる。
【0055】
上記第2実施形態によれば、画像形成された用紙Pは、複数の突起部72に搬送される前に、吹出し部73からから送られる外気Wによって、用紙Pは放熱するとともに、外気Wの風圧によって、用紙Pは複数の突起部72から離れる方向に動かされ、さらに複数の突起部72を通過中にも、別の吹出し部77から吹出される外気Wによって、用紙Pは放熱するとともに、この外気Wの風圧によって、用紙Pは複数の突起部72から離れる方向に動かされる。従って、画像形成された用紙Pは、一層、冷却され、また複数の突起部72に擦れることはないので、用紙P上のトナー像の乱れを防止し、またトナーが複数の突起部72に付着するおそれがなく、トナー汚れを防止して、良好に用紙搬送することができる。
【0056】
上記の第2実施形態において、別の吹出し部77は吹出し部73から離れる位置(排出ローラ58a、58b寄りの位置)に配置されると、用紙搬送路下流側の水平方向に搬送される領域で、用紙の自重に抗して別の吹出し部77からの外気Wの風圧により、押し上げられることになり、一層突起部72に接触して擦れるおそれがなくなる。用紙Pの搬送方向が装置の垂直方向である場合には、別の吹出し部77は、吹出し部73の近傍に配置してもよいし、また外気を送風する風力が大きければ、吹出し部73のみでもよい。
【0057】
尚、上記第1および第2実施形態では、冷却ファン81が画像形成から用紙Pの排出までの期間駆動しており、その間常に、外気が吹出し部73から吹出す構成を示したが、本発明はこれに限らず、排出ローラ58a、58bが用紙Pの先端を挟持する(用紙P先端が排出口に到着する)まで、冷却ファン81を駆動させずに、外気Wが吹出し部73から吹出さないようし、排出ローラ58a、58bが用紙Pの先端を挟持すると(用紙P先端が排出口に到着すると)、冷却ファン81を駆動させ、外気Wが吹出し部73から吹出すように構成してもよい。この構成によれば、用紙Pの先端が排出ローラ58a、58bに挟持された状態で冷却ファン81が吹出し部73に外気を送るため、用紙Pの先端位置が不安定になることを避けながら、用紙Pが突起部72に摺れることを防止するとともに用紙Pを冷却することが可能になる。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、定着部50の用紙搬送方向下流側に設けた搬送ガイド部材に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、感光体や中間転写ベルトに形成されたトナー像を転写する画像転写部の用紙搬送方向下流側に設けた搬送ガイド部材、または両面印刷のために用紙を搬送案内する搬送ガイド部材に適用してもよい。
【0059】
また、上記第1および第2実施形態では、搬送ガイド部材が用紙の搬送方向を変える構成を示したが、本発明はこれに限らず、搬送ガイド部材は、用紙を装置の水平方向に搬送する構成でも、また装置の垂直方向に搬送する構成でも、上記と同様に効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、画像形成された用紙の搬送を案内するガイド部材を備えた画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の内部構成を示す平面断面図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の定着部と搬送ガイド部材を示す平面断面図である。
【図3】は、本発明の第1実施形態である搬送ガイド部材の構成を示す平面断面図である。
【図4】は、本発明の第1実施形態である搬送ガイド部材の構成を示す側面図である。
【図5】は、本発明の第2実施形態である搬送ガイド部材の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 画像形成装置
12 装置本体
34 画像形成部
50 定着部
56 経路切り替えガイド
58 排出ローラ(搬送ローラ)
70 搬送ガイド部材
71 ガイド本体
72 突起部
72a 曲面部
73、77 吹出し部
74 中空部
81 冷却ファン
82 通風炉
L3、L4 用紙搬送路
P 用紙
W 外気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成された用紙の搬送を案内する搬送ガイド部材を備えた画像形成装置において、
前記搬送ガイド部材は、ガイド本体と、前記ガイド本体から突出して用紙搬送路を形成する複数の突起部と、前記用紙搬送路に向けて前記ガイド本体から外気を送る吹出し部とを備え、前記吹出し部は、前記突起部の用紙搬送方向上流側に設けられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記突起部は曲面に形成された曲面部を有し、前記曲面部は用紙搬送路を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送ガイド部材は、用紙上のトナー像を溶融定着させる定着部の用紙搬送方向下流側に配されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吹出し部は、用紙搬送方向下流側に頂点を形成する三角形状の開口であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙搬送方向と直交する方向で前記突起部に並列する複数の別の吹出し部が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送ガイド部材の用紙搬送方向下流側に配される搬送ローラと、前記ガイド本体の空所を有する中空部を通して前記吹出し部に外気を送る冷却ファンとを備え、前記搬送ローラが用紙の先端を挟持するときに、前記冷却ファンが前記吹出し部に外気を送ることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−30749(P2010−30749A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195679(P2008−195679)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】