説明

画像形成装置

【課題】ユーザが将来も使用したいと判断した原稿に対して、前段の画像処理だけを施した画像データを記憶部に保存できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置は、画像を読み取る入力装置と、読み取った画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置と、前記読み取った画像データに対して、画像の特徴を抽出し第2画像処理部にて必要となる情報を付与すると共に再利用可能な画像への画質調整を行う第1画像処理部と、前記第1画像処理部の処理結果を基に、ユーザの指定したモードに対応する画像処理とエンジン状態に合わせたハーフトーンの画像処理を行う第2画像処理部と、前記第1画像処理部の処理の途中経過を保存するか否かを設定する設定部と、を有し、前記第1画像処理部は、前記設定部によって処理の途中経過の保存が設定された場合、前記第1画像処理部の処理の途中経過および処理結果を予め設定した記憶部に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取った画像データを記憶部に保存できる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機などの画像形成装置においては、原稿画像の再生に当たり、まず、スリットから露光した光を照射しながら走査して得られた反射光を、その画像情報として、光・電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)で受光して電圧変換し、得られたアナログ画像情報をデジタル変換処理することによって原稿の画像の読取が行なわれる。
【0003】
そして、デジタル信号が光変換され、均一に静電帯電された感光体上に原稿画像に応じた静電潜像が形成される。その後、感光体上に形成された静電潜像は、トナー(「現像剤」とも称される。)で現像される。感光体上のトナー像は、記録紙上に逆極性の静電気により転写され、記録紙に転写されたトナー像は、加熱加圧されて定着されるようになっている。
【0004】
また、スキャナから読み込まれた原稿画像をコピー出力する場合、装置内に設けられた記憶装置に記憶するデータの容量が大きくなりすぎることを避けるために、また、セキュリティを強固にするために、読み取られた画像データは一旦メモリやHDDなどに記憶されるものの、コピー後には消去されている。そのため、前回読み取った画像データを再利用することができず、また同じ原稿を用いてコピーしなおさなければならなかった。
【0005】
このため、特許文献1では、スキャナで読み取った原稿画像データやPC(パーソナルコンピュータ)やファクシミリ装置から送られてくる画像データから属性データを検出し、この属性データと画像データを一旦メモリまたはHDD(ハードディスク装置)にスプールしておく。
【0006】
スプールしたメモリまたはHDDの画像データを読み出して、プリント処理やファイル送信、FAX送信等の処理を行うようにして、操作が煩雑でなく、原稿劣化がなく、原稿の手離れがよく、また、最適な画質を得ることのできるマルチ・ファンクション機能を備えた画像処理装置を提供している。
【0007】
また、特許文献2では、一回の画像読取によって得られた入力画像データに対して、ファイル出力用の変換およびプリント出力用の変換を行い、ファイル出力用画像データとプリント出力用画像データとの両者を出力することにより、簡単な操作で、且つ、作業効率を向上させている。
【特許文献1】特開2001−223828号公報
【特許文献2】特開2001−339606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、読み取った画像データおよび属性データをHDDに保存しておくため、累積したデータ量がHDDの記憶容量を圧迫するという問題がある。
ここで、読み取った画像データは、出力用に処理された最終の処理結果(例えば、色情報、解像度、領域分離)であり、再度、複写を行うには、いろいろな画像や画質に対して変更を加えることができず情報量が足りないという問題がある。
また、特許文献2では、前段および後段の画像処理後の画像データを保存するため、この画像データを用いては他の画像形成装置で最適な出力が行えないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、ユーザが将来も使用したいと判断した原稿に対して、ユーザの選択に基づいて、前段の画像処理だけを施した画像データを記憶部に保存できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画像を読み取る入力装置と、読み取った(カラー)画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置と、前記読み取った画像データに対して、画像の特徴を抽出し第2画像処理部にて必要となる情報を付与すると共に再利用可能な画像への画質調整を行う第1画像処理部と、前記第1画像処理部の処理結果を基に、ユーザの指定したモードに対応する画像処理とエンジン状態に合わせたハーフトーンの画像処理を行う第2画像処理部と、前記第1画像処理部の処理の途中経過を保存するか否かを設定する設定部と、を有し、前記第1画像処理部は、前記設定部によって処理の途中経過の保存が設定された場合、前記第1画像処理部の処理の途中経過および処理結果を予め設定した記憶部に保存するものである。
【0011】
ここで、前記第1画像処理部の画像処理は、A/D変換処理、シェーディング補正処理、入力階調補正処理を含むものとする。
また、前記第1画像処理部で一時的に記憶された処理結果は、所定時間後に消去されるものとする。
【0012】
前記第1画像処理部は、さらに、領域分離処理を施したもの、さらに、色変換処理を施すものであってもよいし、さらに、前記設定部によって処理の途中経過の保存が設定された場合、処理の途中経過および処理結果を予め設定した外部機器へ送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザが将来も使用したいと判断した原稿に対して、ユーザの選択に基づいて、前段の画像処理を施した画像データを記憶部に保存することができる。
この記憶部に記憶された画像データを使うことによって、何度も原稿を読み取る作業を省略することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置に係る好適な実施形態について説明する。
【0015】
<電子写真プロセスの構成>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置50は、外部から画像データに応じて、所定のシートに対して多色および単色の画像を形成するもので、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12と、用紙搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15等より構成された電子写真方式のカラー画像形成装置である。
【0016】
なお、本画像形成装置50において扱われる画像データは、ブラック(KあるいはBK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、本画像形成装置50には、各色に対応した4つの画像ステーションが構成されている。
【0017】
即ち、現像器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)は、各色に応じてそれぞれ4個ずつ設けられており、各色に対応した4種類の潜像が各感光体ドラム3の周面に形成される。ここで、それぞれ、符号末尾の英文字は、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに対応するものとする。
【0018】
以下、4つの画像ステーションを代表して、一つの画像ステーションについてその構成を説明する。他の画像ステーションも同様の構成を有しているので、符号末尾の英文字は省略する。
【0019】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。帯電手段としては、接触型のローラ型のほかに、ブラシ型の帯電器やチャージャ型の帯電器が用いられてもよい。
【0020】
露光ユニット1は、帯電した感光体の表面を選択的に露光する露光手段である。露光手段としては、図1に示すレーザスキャニングユニット(LSU)のほかに、ELやLEDなどの発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いてもよい。
露光ユニット1は、レーザ照射部およびポリゴンミラーを有しており、レーザ照射部からのレーザビームLを回転するポリゴンミラーに反射させて偏向し、感光体の表面を走査させる。
【0021】
レーザビームLは、原稿を読み取って生成された画像データに応じて変調されるか、あるいは、外部のコンピュータで生成された画像データに応じて変調される。画像データで変調されたレーザビームLで帯電した感光体ドラム3が走査、露光されることにより、感光体ドラム3の表面には、画像データに応じた電位の像(静電潜像)が形成される。
【0022】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、それぞれK、C、M、Yのいずれかの色のトナーにより現像(顕像化)する。
クリーナユニット4は、現像され、後述するように転写された後、感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0023】
感光体ドラム3の上方には、中間転写ベルトユニット8が配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ8−1、中間転写ベルトテンション機構8−3、中間転写ベルト従動ローラ8−2、中間転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
中間転写ベルト駆動ローラ8−1、中間転写ベルトテンション機構8−3、中間転写ローラ6、中間転写ベルト従動ローラ8−2等は、中間転写ベルト7を張架し、矢印B方向に回転駆動させる。
【0024】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構8−3の中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には、感光体ドラム3上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアス電圧が印加される。
【0025】
中間転写ベルト7は、各色用の感光体ドラム3にそれぞれ接触するように設けられている。感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像は、中間転写ローラ6に印加された転写バイアス電圧によって、中間転写ベルト7に順次転写される。これによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)が多層状に転写される。中間転写ベルト7は、厚さ50μm〜120μm程度のフィルムが無端状に形成されている。
【0026】
前述のように、中間転写ローラ6は、中間転写ベルト7の裏側に接触しており、感光体ドラム3から中間転写ベルト7へトナー像を転写させる転写手段である。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために数百ボルト程度の電圧の転写バイアス電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の電圧)が印加される。
【0027】
中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えば、ステンレス)軸をベースとし、その表面に、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)が被覆されたローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルトに対して略均一な電圧を印加することができる。本実施形態では、転写手段として転写ローラを使用しているが、それ以外にブラシ状の転写電極(転写ブラシ)を中間転写ベルト7の裏側に接触させて転写手段とすることもできる。
【0028】
中間転写ベルト7に転写されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転に伴って、2次転写ローラ11eが配置された2次転写装置11に移動する。
中間転写ベルト7と2次転写ローラ11eは、所定のニップ幅を持つように圧接されている。また、2次転写ローラ11eには、トナー像を後述するシートに転写させるための転写バイアス電圧が印加されている(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。もしくは、逆に中間転写ベルト駆動ローラ8−1から2次転写ローラ11eに向けて数百ボルト程度の電圧の転写バイアス電圧(トナーの帯電極性(−)とは同極性(−)の電圧)を印加してもよい。
【0029】
2次転写ローラ11eと中間転写ベルト駆動ローラ8−1は、その何れか一方が硬質材料(金属等)からなり、他方が芯金の表面に軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が被覆された弾性ローラである。これによって、所定幅のニップが定常的に得られる。
【0030】
感光体ドラム3の表面への接触により、シートに画像を転写する領域以外にも、中間転写ベルト7にトナーが付着する。また、2次転写ローラ11eによってシートへの転写が行われずに中間転写ベルト7上に残存するトナーが存在する。これらのトナーは、次工程でトナーの混色が発生する原因となり得る。このため、中間転写ベルトクリーニングユニット9が設けられており、中間転写ベルト7上のトナーが除去・回収される。
【0031】
中間転写ベルトクリーニングユニット9には、クリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードの端部が、中間転写ベルト7に接触してトナーを除去する。中間転写ベルトクリーニングユニット9が接触する部分において、中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ8−2で支持されている。
【0032】
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイである。給紙トレイ10は、画像形成装置50の露光ユニット1の下方に設けられている。また、本画像形成装置50の上部には、排紙トレイ15が設けられている。排紙トレイ15には、印刷済みのシートがフェイスダウンで排出されて堆積する。
【0033】
<カラー画像処理の説明>
次に、カラー画像形成装置に含まれるカラー画像処理について説明する。
カラー画像処理部100は、図2に示すように、カラー画像入力部111とカラー画像処理部100とカラー画像出力部141とを備えている。
【0034】
上記のカラー画像入力部111は、例えば、スキャナ部より構成されており、原稿からの反射光像をRGB信号(R:赤・G:緑・B:青)アナログ信号としてCCD(Charge Coupled Device)にて読み取る。
【0035】
また、カラー画像出力部141は、カラー画像処理部100にて所定の画像処理を行い、その結果を出力する。なお、上記のカラー画像出力部141は、上述した電子写真方式以外の方法、例えばインクジェット記録方式や昇華型の記録方式を用いた出力部に適用することも可能である。
【0036】
カラー画像処理部100は、A/D変換部121、シェーディング補正部122、入力階調補正部123、領域分離処理部131、色変換処理部132、黒生成/下色除去部133、空間フィルタ処理部134、出力階調補正(出力γ補正)部135、階調再現処理(中間調生成)部136から構成されている。
【0037】
カラー画像処理部100では、カラー画像入力部111にて読み取られた原稿画像のアナログ信号は、先ず、A/D(アナログ/デジタル)変換部121によりデジタル信号に変換される。そして、シェーディング補正部122にて、カラー画像出力装置の照明系・結像系・撮影系で生じる各種の歪みを取り除くためのシェーディング補正が行われる。
シェーディング補正処理後に入力階調補正部123にて、ユーザが出力画像を任意に調整したい場合のみコントラスト等の画質調整処理が実施される。
【0038】
次に、領域分離処理部131は、各画素毎に文字領域、網点領域、写真領域の何れかに分離し、その分離結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を黒生成/下色除去部133、空間フィルタ処理部134、および階調再現処理部136へとそれぞれ出力する。
【0039】
ここで、領域分離方法について以下に説明する。
まず、網点判定部ではブロック内の中央の9画素に対して信号レベルの平均値(Dave)を求め、その平均値を用いてブロック内の各画素を2値化する。また、最大画素信号レベル(Dmax)、最小画素信号レベル(Dmin)も同時に求める。
【0040】
次に、網点領域では小領域における画像信号の変動が大きいことや、背景に比べて濃度が高いことを利用して、その領域を網点領域と識別するもので、2値化されたデータに対して主走査、副走査方向でそれぞれ0から1への変化点数、1から0への変化点数を求めて、それぞれKH、KVとし、閾値TH、TVと比較して両者が共に閾値を上回った場合には網点領域とする。
【0041】
また、背景との誤判定を防ぐために、B1、B2を閾値として、
Dmax−Dave>B1、且つ、Dave−Dmin>B2、且つ、KH>TH、且つ、KV>TV
の場合には、網点領域と判断し、それ以外の場合には非網点領域と判断する。
【0042】
次に、文字エッジ判定部では、注目画素を中心とする3×3画素ブロックにおいて、注目画素とその隣接画素との濃度差をそれぞれ求め、そのいずれかひとつが閾値THc(またはTHmまたはTHy)より大きければ文字エッジ領域と判定し、閾値THc(またはTHmまたはTHy)より小さければ写真領域と判定する。
【0043】
色変換処理部132では、領域分離処理部131より送られてきたデータをもとに、忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行う。
【0044】
次いで、黒生成/下色除去部133では、色変換処理後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成、および元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する下色除去処理が行われ、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
【0045】
次に、空間フィルタ処理部134では、デジタルフィルタによる空間フィルタ処理がなされ、空間周波数特性を補正することによって出力画像のぼけや粒状性劣化を防ぐように処理される。
【0046】
そして、出力階調補正部135にて、濃度信号等の信号を画像出力の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理が行われ、さらに、階調再現処理部136にて、最終的に画像を画素に分割してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理つまり中間調処理がなされる。
【0047】
また、領域分離処理部131にて黒文字や場合によっては色文字として抽出された画像領域は、黒文字あるいは色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部134における鮮鋭度強調処理での高域周波数の強調量を大きくされる。同時に、中間調生成処理(階調再現処理部136)において高周波数再現に適した高解像のスクリーンでの二値化または多値化処理を選択するように構成する。
【0048】
一方、領域分離処理部131により網点と判別された領域に関しては、空間フィルタ処理部134において、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施される。同時に、中間調生成処理(階調再現処理部136)では、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。
【0049】
上述した各処理が施された画像データは、一時的に図示しない第1記憶手段に記憶され、所定のタイミングで読み出されてカラー画像出力部141に入力される。
尚、上記処理はCPU(Central Processing Unit)により制御される。
【0050】
<ハードウェア構成>
図3は、画像形成装置50のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置50は、CPU72、ROM(Read Only Memory)74、RAM(Random Access Memory)76、第1のHDD(Hard Disk Drive)78、第2のHDD80、操作部90、画像処理部100、スキャナ部110、出力部140、FAX部200、送受信部300を含んで構成される。ここで、第1のHDD78と第2のHDDとは、同じ記憶装置であっても、別々の記憶装置であっても構わない。
【0051】
CPU72には、共通BUSライン38Lが接続されており、この共通BUSライン38LにROM74、RAM76、HDD78、HDD80等が接続されている。
CPU72は、ROM74またはHDD78に記憶された本実施形態の画像処理を実現するためのコンピュータプログラムを実行することにより、画像処理部100の機能を実現する。
【0052】
スキャナ部110は、上記したカラー画像入力部111の機能を実行する。
画像処理部100に含まれる第1画像処理部120は、スキャナ部110で読取られた原稿画像に対して第1画像処理(読み取った画像データに対して、画像の特徴を抽出し第2画像処理部にて必要となる情報を付与すると共に再利用可能な画像への画質調整を行う画像処理)を行い、第1のHDD78に処理結果を一時的に保存する。この第1のHDD78に一時的に記憶されたデータは、出力が行われると、所定時間後に消去される。
【0053】
また、操作部90には、本発明の特徴である選択キー91が含まれている。
この選択キー91は、第1画像処理部120の処理結果を保存するか否かを設定するものであり、保存先の記録装置の指定や外部機器の転送先の指定を行うものである。
そして、原稿を読み込む前にこの選択キー91が押されていると、第1画像処理部120は、第1画像処理を行った処理結果および処理の途中経過を、保存先に設定された第2のHDD80に記憶して、印刷出力を経ることなく終了させる。
【0054】
また、画像処理部100に含まれる第2画像処理部130は、HDD78に一時的に保存された画像データに対して第2画像処理(第1画像処理部の処理結果を基に、ユーザの指定したモードに対応する画像処理とエンジン状態に合わせたハーフトーンの画像処理)を行う。
出力部140は、上記したカラー画像出力部141の機能を実行し、画像処理部100で処理された結果を記録紙に出力する。
【0055】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る画像形成装置の処理手順を、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、ユーザは、コピーに際して、操作部90を操作して、コピー条件を入力するとともに、将来も使用したいと判断した原稿の場合には選択キー91を設定し、コピー開始キー(STARTキー)を押す。この選択キー91は、第1画像処理部120の処理結果を保存するか否かを設定するものであり、保存先の記録装置の指定や転送先の外部機器の指定も行う。
【0056】
コピー開始キーが押されると、設定されたコピー条件にしたがって、スキャナ部110は原稿をRGB信号として読み込む(ステップS1)。
読み込んだ原稿のRGB信号に対して、第1画像処理(読み取った画像データに対して、画像の特徴を抽出し第2画像処理部にて必要となる情報を付与すると共に再利用可能な画像への画質調整を行う画像処理)を行い(ステップS2)、処理結果を第1記憶手段(第1のHDD78)に一時的に保存記憶する(ステップS3)。この第1記憶手段に記憶された処理結果は、出力後、所定の時間が来ると自動的に削除される。
【0057】
そして、ユーザによって選択キー91が設定されていた場合(ステップS4でYES)、第1画像処理の結果を第2記憶手段(第2のHDD80)に保存記憶し(ステップS5)、処理を終了する。
【0058】
一方、選択キー91が設定されていない場合(ステップS4でNO)、第1記憶手段(第1のHDD78)に記憶された画像データに第2画像処理(第1画像処理部の処理結果を基に、ユーザの指定したモードに対応する画像処理とエンジン状態に合わせたハーフトーンの画像処理)を施し(ステップS6)、出力部140にて第2画像処理を施された画像データを用紙等に出力し(ステップS6)、終了する。
【0059】
以上のように、コピーの操作時に、ユーザの選択に基づいて、将来も使用したいと判断した原稿の読み込んだ画像データを前段の画像処理を行って、処理結果と処理の途中経過を記憶部(第2記憶手段)に保存することができる。
これにより、スキャナで原稿を読み取ることが必要なくなるので、2度目以降のコピーの作業時間を短縮できる。また、余分な画像データを保存することがないため、記憶装置の記憶容量も抑えることができる。
【0060】
また、第1画像処理の結果を記憶するときには、領域分離処理を施してから、あるいは、さらに、色変換処理を施してから第2のHDD78に保存記憶するようにしてもよい。これにより、画像形成装置にフィットした色変換処理を終了した画像データが得られるため、後に画像出力する際にその処理を省略でき、処理時間を短縮できる。
さらに、出力部の解像度に合わせて画像データを記憶したり、空間フィルタ処理条件を変更して記憶するようにしてもよい。
【0061】
また、上記の説明では、読み込んだ画像データに第1画像処理を施した処理結果および途中経過を第2のHDD80に保存していたが、累積すればデータ量が記憶容量を圧迫することになるため、送受信部300を介して第2のHDD80に保存したデータを外部機器に送信するようにしてもよい。これにより、第2のHDD80の累積データ量を抑えることができるとともに、外部機器からも直接画像出力ができるようになる。
【0062】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】カラー画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る画像形成装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
50…画像形成装置、1…露光ユニット、2…現像器、3…感光体ドラム、4…クリーナユニット、5…帯電器、6…中間転写ローラ、7…中間転写ベルト、8…中間転写ベルトユニット、8−1…中間転写ベルト駆動ローラ、8−2…中間転写ベルト従動ローラ、8−3…中間転写ベルトテンション機構、9…中間転写ベルトクリーニングユニット、10…給紙トレイ、11…2次転写装置、11e…2次転写ローラ、12…定着ユニット、15…排紙トレイ、38L…共通BUSライン、72…CPU、74…ROM、76…RAM、78…第1のHDD、80…第2のHDD、90…操作部、91…選択キー、100…(カラー)画像処理部、110…スキャナ部(画像読取部)、111…カラー画像入力部、120…第1画像処理部、121…A/D変換部、122…シェーディング補正部、123…入力階調補正部、130…第2画像処理部、131…領域分離処理部、132…色変換処理部、133…黒生成/下色除去部、134…空間フィルタ処理部、135…出力階調補正部、136…階調再現処理部、140…出力部、141…カラー画像出力部、200…FAX部、300…送受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る入力装置と、読み取った画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置と、前記読み取った画像データに対して、画像の特徴を抽出し第2画像処理部にて必要となる情報を付与すると共に再利用可能な画像への画質調整を行う第1画像処理部と、前記第1画像処理部の処理結果を基に、ユーザの指定したモードに対応する画像処理とエンジン状態に合わせたハーフトーンの画像処理を行う第2画像処理部と、前記第1画像処理部の処理の途中経過を保存するか否かを設定する設定部と、を有し、前記第1画像処理部は、前記設定部によって処理の途中経過の保存が設定された場合、前記第1画像処理部の処理の途中経過および処理結果を予め設定した記憶部に保存することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、当該画像形成装置はカラー画像を扱うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記第1画像処理部は、さらに、領域分離処理を施すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第1画像処理部は、さらに、色変換処理を施すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第1画像処理部は、前記設定部によって処理の途中経過の保存が設定された場合、前記第1画像処理部の処理の途中経過および処理結果を予め設定した外部機器へ送信することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−4417(P2010−4417A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162724(P2008−162724)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】