説明

画像形成装置

【課題】走査露光装置からの放熱を行うとともに、高い剛性で走査露光装置を支持する筐体を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、トナー像が形成される感光体31を有する画像形成部30と、感光体31を画像データに応じて光走査する露光部33と、この露光部33を支持する筐体70とを備える。筐体70は、空所71c、71eを形成する中空部と、前記空所71c、71eに空気を流す開口部73a、73bとを有し、中空部が露光部33の周りに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、走査露光装置からの放熱を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機等の画像形成装置においては、画像データに応じて感光体を走査しつつ露光する走査露光装置を有しており、この走査露光装置の光学ケースには、回転多面鏡、モータ、結像レンズ及び反射ミラー等が収納されている。そして、レーザ光源からのレーザ光を回転多面鏡で偏向し結像レンズと反射ミラーによって感光体に導いて感光体を走査している。この回転多面鏡は、モータによって駆動されている。
【0003】
回転多面鏡のモータが駆動されると、モータ基板上の駆動用ICやモータのステータを構成するコイルから発生する熱が光学ケース内の雰囲気の温度を上昇させる。このように光学ケースの内部が高温になり、モータを使用できる環境温度の限界を超えてしまうと、モータの回転性能が劣化する。また、結像レンズ等の光学部品の光学性能が変化して、画質が著しく低下する。
【0004】
そこで、特許文献1では、レーザ光源や結像レンズ、回転多面鏡等が光学ケースの底壁に取り付けられる。光学ケースの底壁の下側に、空所を有する中空の突出部が設けられ、この空所を風路としている。風路の一端は、光学ケースの一側部に開口しており、空気を吸引するファンが設けられる。これと反対側の側部には、穴が設けられ、その穴の近傍にはルーバーが配設される。このルーバーを通して光学ケースの外側から外気が穴に送られてくる。穴に送られた外気は、光学ケース底壁の下側の風路を流動し、モータや駆動用ICを冷却し、この空気をファンによって光学ケース外部に吸引する。これによって、回転多面鏡を回転させるモータや駆動用ICの放熱を促進し、結像レンズ等の昇温を防いでいる。
【0005】
しかしながら、近年では、印刷の高速化が進み、回転多面鏡を高速で回転させなければならず、また画像形成装置が高画質化し画像の解像度を上げるのに、回転多面鏡の回転数を上昇させなければならない。この結果、回転多面鏡を回転させるモータの電力消費が増大してモータからの発熱量が一層増えることになり、従来技術以上に、走査露光装置の放熱が必要になっている。また、高画質化し、走査露光装置の感光体への高い書き込み精度を保持しなければならない。このため、結像レンズやミラー等の光学部品を高精度に支持し、また感光体に対して走査露光装置を高精度に位置決めするのに、これら部品や装置を支持する筐体に高い剛性が必要になっている。
【特許文献1】特開平11−52267号公報(段落[0033]、[0034]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、走査露光装置からの放熱を行うとともに、高い剛性で走査露光装置を支持する筐体を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、トナー像が形成される感光体を有する画像形成部と、前記感光体を画像データに応じて光走査する露光部と、前記露光部を支持する筐体とを備え、前記筐体は、空所を形成する中空部と、前記空所に空気を流す開口部とを有し、前記中空部が前記露光部の周りに配置されることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、感光体を光走査するモータが露光部内で回転すると、露光部内の温度が上昇していくが、中空部の空所を流れる空気は、露光部をその周りから冷却する。また、筐体は中空構成になっていることで、高い剛性を持って露光部を支持する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、前記中空部は、前記露光部の水平方向に配置されることを特徴としている。この構成によれば、露光部の水平方向に配置された中空部の空所を流れる空気は、露光部をその水平方向の周りから冷却する。また、筐体は水平方向に中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って露光部を支持する。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、複数の前記露光部が水平方向に並列され、前記中空部は、前記複数露光部の並列方向の一方側と他方側とに沿って夫々直線状に延びる第1空所と、前記夫々の第1空所を繋ぐ第2空所とを有することを特徴としている。この構成によれば、複数の露光部の水平方向に配置された中空部の第1空所と第2空所とに空気が流れ、この空気は複数露光部をその水平方向の周りから冷却する。また、筐体は第1空所と第2空所とを有する中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って複数の露光部を支持する。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、前記露光部は略直方体形状に形成され、前記中空部は前記露光部の水平方向の四方を囲うことを特徴としている。この構成によれば、露光部の水平方向の四方に配置された中空部の空所を流れる空気は、露光部をその水平方向の四方から冷却する。また、筐体は水平方向に中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って露光部を支持する。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、前記中空部は、前記筐体の主たる構成を形成する本体フレームと、前記露光部が取り付けられる取り付けフレームとで形成されることを特徴としている。
【0013】
また、請求項6に記載の発明では、前記空所の空気を前記開口部から排気するファンを備え、前記画像形成部が前記筐体の近傍に配置され、前記中空部は、前記画像形成部に対向する位置に前記画像形成部の空気を通す流通孔を有することを特徴としている。この構成によれば、現像器等を備える画像形成部から発生する熱は、流通孔から空所に吸引される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、感光体を光走査するモータが露光部内で回転すると、露光部内の温度が上昇していくが、露光部の周りに配置される中空部の空所を流れる空気は、露光部をその周りから冷却し、露光部の昇温を防ぐことができる。また、筐体は中空構成になっていることで、高い剛性を持って露光部を支持するので、装置が軽量であって、露光部の位置精度を安定させることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、中空部の空所を流れる空気は、露光部をその水平方向の周りから冷却し、露光部の昇温を防ぐことができる。また、筐体は水平方向に中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って露光部を支持するので、装置が軽量になって、露光部の位置精度を安定させることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、複数の露光部の水平方向に配置された中空部の第1空所と第2空所とを空気が流れ、この空気は複数露光部をその水平方向の周りから冷却する。また、筐体は第1空所と第2空所とを有する中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って複数の露光部を支持する。従って、タンデム型カラー画像形成装置に適用しても、複数の露光部の昇温を防ぐことができ、また装置が軽量になって、各露光部相互の位置精度と感光体に対する各露光部の位置精度を安定させることができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、露光部の水平方向の四方に配置された中空部の空所を流れる空気は、露光部をその水平方向の四方から冷却し、露光部の昇温を防ぐことができる。また、筐体は水平方向に中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って露光部を支持するので、装置が軽量であって、露光部の位置精度を安定させることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、中空部は、筐体の主たる構成を形成する本体フレームと、露光部が取り付けられる取り付けフレームとで形成されるので、簡単に、露光部を取り付けられるとともに、中空構成を形成することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば、現像器等を備える画像形成部から発生する熱は、流通孔から空所に吸引されるので、露光部の昇温とともに画像形成部の昇温を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すタンデム型カラープリンタの概略構成図である。図1において、画像形成装置1は、直方体形状のハウジングを有し、その内部に、用紙11を収容する給紙部10と、給紙部10の上方に配される4個の画像形成部30a〜30dと、画像形成部30a〜30dの上方に配される露光部33a〜33dと、画像形成部30a〜30dの左方に配される定着部40と、給紙部10の右方に配される用紙搬送路20と、装置の上部に用紙11を排出する排出部50とを備えている。
【0022】
給紙部10は、給紙カセット13内に積層載置された用紙11を1枚ずつ給紙カセット13の出口側(図1の右側)に繰り出すフィードローラ21を備え、繰り出した用紙を用紙搬送路20に給紙する。用紙搬送路20は搬送ローラ対及び搬送ガイド等を備えてなり、繰り出された用紙を画像形成部30a〜30dに向けて搬送するものである。また、手差しトレイ80は、給紙部10に載置されていないサイズの用紙等を別途供給するもので、フィードローラ82を備え、用紙を1枚ずつ用紙搬送路20に給紙する。
【0023】
画像形成部30a〜30dは、上流側(図1の右側)から搬送方向に沿って、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーに応じて設けられており、装置の水平方向に直列に配置されている。各画像形成部30a〜30dは、円筒状の感光体31a〜31dを有するとともに、その回転方向の周囲に上流側から順に、帯電器32a〜32dと、現像器34a〜34dと、転写ローラ35a〜35dと、クリーナー36a〜36dが配設されている。
【0024】
回転自在である感光体31a〜31dは、感光層を形成する感光材料として、アモルファスシリコン感光体が用いられ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応させて配される。感光層は有機感光体(OPC感光体)でもよい。現像器34a〜34dは、感光体31a〜31dの右方に配され、現像ローラとトナーの収容部とを有し、感光体31a〜31dにトナーを供給する。帯電器32a〜32dは感光体31a〜31d表面を一様に帯電させる。
【0025】
露光部33a〜33dは、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図略)に入力された原稿画像データに基づいて、各感光体31a〜31d表面に図1の破線で示すようにレーザ光を照射する。照射されたレーザ光により、各感光体31a〜31d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像器34a〜34dにより現像される。
【0026】
用紙搬送ベルト38は、駆動ローラ62及び従動ローラ61間に張架されるとともに、感光体31a〜31dと転写ローラ35a〜35dとの間に、用紙を搬送するベルト走行路が形成されている。各転写ローラ35a〜35dは、用紙搬送ベルト38を挟んで各感光体31a〜31dと対向して用紙搬送転写ベルト38に圧接し、転写ニップ部を形成する。この各転写ニップ部において、用紙搬送ベルト38の回転とともに所定のタイミングで、用紙搬送路20から搬送される用紙11に、各感光体31a〜31dのトナー像が順次転写されることにより、用紙11にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされ、カラートナー像が形成される。
【0027】
トナータンク39a〜39dは、画像形成部30a〜30dの上方に配され、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのいずれかの色のトナーを収容する。各色のトナーが対応する現像器34a〜34dに供給される。
【0028】
定着部40は、画像形成部30aの下流側に配され、画像形成部30a〜30dにおいてトナー像が転写された用紙11を加熱及び加圧して用紙11にトナー像を溶融定着させる。定着部40を通過した用紙11は、用紙搬送路15を介して排出部50へ排出される。
【0029】
冷却ファン78は、装置本体75の右部に配され、露光部33a〜33dと画像形成部30a〜30dに外気を送風し、熱を発生させる露光部33a〜33dと画像形成部30a〜30dとを冷却する。図示しない冷却ファンが、画像形成部30aの左側にも配され、露光部33a〜33dと画像形成部30a〜30dとを冷却する。
【0030】
装置本体75は、給紙部10と、画像形成部30a〜30dと、露光部33a〜33d、定着部40と、トナータンク39a〜39d等を単独、または組み合わせてユニットとして支持する筐体を備える。筐体70は、図1の一点鎖線で示すように、その内部に画像形成部30a〜30dと露光部33a〜33dとを固定支持し、用紙搬送ベルト38を回転可能であるように支持している。尚、この筐体70の詳細は後述する。
【0031】
次に、露光部33a〜33dについて説明する。図2は、上述の画像形成装置1に用いられる上ケースを取り外した露光部33a〜33dの構成を示す斜視図である。なお、以下の説明では、図1の画像形成部30aと相対する露光部33aの構成及び動作について説明するが、露光部33b〜33dの構成及び動作については露光部33aと同様であり説明を省略し、また各色の露光部及び画像形成部を示すa〜dの符号を省略し、必要な場合には、a〜dの符号を付与して説明する。
【0032】
露光部33は、レーザダイオード6、コリメータレンズ5、回転多面鏡2、モータ3、走査光学系4、反射ミラー7、及び走査タイミングを検出するためのミラー8とフォトセンサ9とを備え、またこれらの部材を支持する上ケースを含む光学ケース79を備えている。
【0033】
レーザダイオード6は画像データにより変調されたビーム光を照射し、コリメータレンズ5は照射されたレーザ光のビーム径を調整しながら回転多面鏡2の反射面に集光させ、回転多面鏡2はその回転によって回転多面鏡2からの反射光を偏向走査し、走査光学系4は反射ミラー7を介して偏向されたビーム光を感光体31上に等速で走査して結像させる。この走査(感光体31の軸方向の走査)と感光体31の回転とによって、感光体31上に静電潜像が形成される。
【0034】
回転多面鏡2を回転駆動するモータ3は、モータ駆動用IC(図略)とともに光学ケース79の底壁に取り付けられ、またシリンドリカルレンズ5と走査光学系4も光学ケース79の底壁に取り付けられる。走査光学系4は合成樹脂製のfθレンズやトロイダルレンズなどで構成される。モータ3が高速回転すると、光学ケース79内の温度がモータ3の近傍から徐々に上昇し、fθレンズやトロイダルレンズに熱が蓄積されていく。
【0035】
次に、光学ケース79内の熱を放散するとともに露光部33a〜33dを支持する筐体について図3〜図8に基づいて説明する。図3は露光部を支持する筐体の構成を示す斜視図であり、図4は露光部を支持する筐体の構成する部材を分解して示す斜視図であり、図5は筐体を構成する本体フレームを後方から見た斜視図であり、図6は図5のA−A部における中空部の構成を示す断面図であり、図7は図5のB−B部における中空部の構成を示す断面図であり、図8は中空部の空所における空気の流路を模式的に示す断面平面図である。尚、図3に示すように、筐体のX方向を左右方向、筐体のY方向を前後方向、筐体のZ方向を上下方向として以降説明する。
【0036】
図3に示すように、筐体70は、筐体70の骨組みとなる構造を形成する直方体状の本体フレーム71と、本体フレーム71の上部に配置される取り付けフレーム72と、本体フレーム71の左右に配置される第1長手フレーム73、第2長手フレーム74を備えて構成される。各フレーム71〜74は、鉄板を曲げ等の板金加工を施して形成され、溶接によって夫々取り付けられる。筐体70の左右方向には、冷却ファン78として、一対の吸気ファン78aと、一対の排気ファン78bとが筐体70から離間して設けられる。前後方向に長い略直方体形状の露光部33a〜33dが取り付けフレーム72上に取り付けられ、図示しない現像器等の画像形成部と用紙搬送ベルトが本体フレーム71内部に取り付けられる。
【0037】
図4に示すように、本体フレーム71は、後面に設けられる曲げ平板71gと、前面を四辺形に開放して設けられる中空の梁板71hと、下面に設けられる平板71iとを備える。曲げ平板71gと梁板71hには、前後方向に延びる断面L字状、または断面コ字状の下方外枠71j、71kと上方外枠71m、71n及び平板71iが溶接やネジ止めによって取り付けられている。
【0038】
上方外枠71m、71nと略同じ高さの水平面上には、左右方向に延びる側方中空形成部71bが曲げ平板71gに取り付けられる。また、図5に示すように、上方外枠71m、71nと略同じ高さの水平面上には、側方中空形成部71bと反対側(前面側)位置において、左右方向に延びる側方中空形成部71aが取り付けられる。側方中空形成部71a、71bは上方を開放した断面コ字状に形成されている。
【0039】
上方外枠71m、71nと略同じ高さの水平面上には、左右方向に等間隔に配される4個の長手中空形成部71dが、前後方向に延び、側方中空形成部71a、71bに取り付けられる。長手中空形成部71dは、上方を開放した断面コ字状に形成されている。側方中空形成部71a、71bの長手中空形成部71dとの当接する部分は、長手中空形成部71dの断面コ字状と同じ形状で打ち抜かれ開放されているので、長手中空形成部71dと側方中空形成部71a、71bとの空気が流通することが可能である。
【0040】
図4に戻って、取り付けフレーム72は、露光部33a〜33dを支持する面を有するケース取り付け部72aと、各露光部33a〜33dを収容する4個の穴を有するケース挿入穴部72bとを備える。露光部33a〜33dは取り付けフレーム72上にネジによって取り付けられる。また取り付けフレーム72は、矩形状の平板で形成され、本体フレーム71の側方中空形成部71a、71b及び長手中空形成部71dの上部に当接して、本体フレーム71に取り付けられる。取り付けフレーム72が本体フレーム71に取り付けられると、取り付けフレーム72上に支持された各露光部33a〜33dは、本体フレーム71の側方中空形成部71a、71bと各長手中空形成部71dで囲まれることになる。
【0041】
また、取り付けフレーム72が本体フレーム71に取り付けられると、図6に示すように、長手中空形成部71dは、取り付けフレーム72によって閉塞される。長手中空形成部71dの断面コ字状部と、取り付けフレーム72のケース取り付け部72aとによって、中空の空所71e(長手方向空所71eとする)が形成される。この長手方向空所71eは断面四角形の中空構成をなし、変形しにくく、筐体70の剛性を高めるとともに、長手方向空所71eを空気が流通することになる。また、長手中空形成部71dの下方には、流通孔71fとしての2個の孔が前後方向に並べて設けられ(図5参照)、長手中空形成部71dの下方に配置される画像形成部(図略)と、長手方向空所71eとの間でも空気が流通し、画像形成部の熱を吸引することができるようにしてある。尚、長手方向空所71eは、上下方向に長い断面四角形の中空構成でも、左右方向に長い断面四角形の中空構成でもよいが、上下方向に長い断面四角形の中空構成は一層剛性を高めることができる。
【0042】
また、取り付けフレーム72が本体フレーム71に取り付けられると、図7に示すように、側方中空形成部71a、71bは、取り付けフレーム72によって閉塞される。側方中空形成部71a、71bの断面コ字状部と、取り付けフレーム72のケース取り付け部72aとによって、中空の空所71c(側方空所71cとする)が形成される。この側方空所71cは断面四角形の中空の構成をなし、変形しにくく、筐体70の剛性を高めるとともに、側方空所71cを空気が流通することになる。尚、側方空所71cは、上下方向に長い断面四角形の中空構成でも、前後方向に長い断面四角形の中空構成でもよいが、上下方向に長い断面四角形の中空構成は一層剛性を高めることができる。
【0043】
図5に示すように、上方外枠71m、71nには、側方中空形成部71aに対向して、2個の吸気中空部71pが設けられる。各吸気中空部71pは、側方空所71c(図7参照)に対向する空所を備え、側方空所71cと空気の流通を可能にする。また、上方外枠71m、71nには、側方中空形成部71bに対向して、2個の排気中空部71qが設けられる。各排気中空部71qは、側方空所71c(図7参照)に対向する空所を備え、側方空所71cと空気の流通を可能にする。
【0044】
図4に戻って、第1長手フレーム73は、断面逆L字形状をして前後方向に延び、本体フレーム71の右方にて梁板71hと曲げ平板71gに取り付けられる。第1長手フレーム73には、吸気中空部71pの空所に対向する位置に、吸気開口部73aとしての孔が形成され、また排気中空部71qの空所に対向する位置に、排気開口部73bとしての孔が形成されている。第1長手フレーム73が本体フレーム71に取り付けられると、筐体70の前後方向に作用する外力に対して、強度補強されることになる。
【0045】
吸気ファン78aは、外気を装置内に取り込み、吸気開口部73a、吸気中空部71pを介して、外気を側方空所71cと長手方向空所71eに送る。側方空所71cと長手方向空所71eを流れる空気によって、露光部33はその周りから冷却される。排気ファン78bは、露光部33等を冷却した空気を排気中空部71q、排気開口部73bを介して、装置外に排出する。
【0046】
また、第2長手フレーム74は、断面逆L字形状をして前後方向に延び、本体フレーム71の左方にて梁板71hと曲げ平板71gに取り付けられる。第2長手フレーム74には、吸気中空部71p(図5参照)の空所に対向する位置に、吸気開口部74aとしての孔が形成され、また排気中空部71qの空所に対向する位置に、排気開口部74bとしての孔が形成されている。第2長手フレーム74が本体フレーム71に取り付けられると、筐体70の前後方向に作用する外力に対して、強度補強されることになる。
【0047】
吸気ファン78aは、外気を装置内に取り込み、吸気開口部74a、吸気中空部71pを介して、外気を側方空所71cと長手方向空所71eに送る。側方空所71cと長手方向空所71eを流れる空気によって、露光部33はその周りから冷却される。排気ファン78bは、露光部33等を冷却した空気を排気中空部71q、排気開口部74bを介して、装置外に排出する。
【0048】
空気の流れを図8に基づいて詳しく説明する。右方の吸気ファン78aから右方の排気ファン78bに空気を循環させる右方流通路と、左方の吸気ファン78aから左方の排気ファン78bに空気を循環させる左方流通路とが形成されるように、各側方空所71cの露光部33bと露光部33cと間に対応する位置には、空気の流通を遮断する2個の隔壁71wが夫々設けられている。
【0049】
右方流通路では、吸気ファン78aから外気が取り込まれ、吸気開口部73aに流入する。流入した外気は、図8の矢印に示すように側方空所71cから長手方向空所71eを流れ、さらに、側方空所71cを流れ、露光部33d、33cをその周りから冷却する。冷却した空気は、排気開口部73bを通って排気ファン78bによって吸引され、装置外に排出される。
【0050】
露光部33cはその外周四方に外気が流れて、露光部33c内の熱が放散されることになる。また、露光部33dはその外周三方に外気が流れ、露光部33d内の熱が放散されることになる。さらに、排気ファン78bの吸引によって、長手方向空所71eに形成された複数の流通孔71f(図5参照)から現像器等の画像形成部の熱が装置外に排出される。
【0051】
また、左方流通路では、吸気ファン78aから外気が取り込まれ、吸気開口部74aに流入する。流入した外気は、図8の矢印に示すように側方空所71cから長手方向空所71eを流れ、さらに、側方空所71cを流れ、露光部33a、33bをその周りから冷却する。冷却した空気は、排気開口部74bを通って排気ファン78bによって吸引され、装置外に排出される。
【0052】
露光部33aの外周四方に外気が流れて、また露光部33bの外周四方には、左方流通路の外気の流れとともに、右方流通路の長手方向空所71eの外気が流れ、露光部33a、33b内の熱を放散することになる。また、排気ファン78bの吸引によって、長手方向空所71eに形成された複数の流通孔71f(図5参照)から現像器等の画像形成部の熱が装置外に排出される。
【0053】
上記実施形態によれば、画像形成装置1は、トナー像が形成される感光体31を有する画像形成部30と、感光体31を画像データに応じて光走査する露光部33と、この露光部33を支持する筐体70とを備える。筐体70は、空所71c、71eを形成する中空部と、前記空所71c、71eに空気を流す開口部73a、73b、74a、74bとを有し、中空部が露光部33の周りに配置される。
【0054】
この構成によると、感光体31を光走査するモータ3が露光部33内で回転すると、露光部33内の温度が上昇していくが、露光部33の周りに配置される中空部の空所71c、71eを流れる空気は、露光部33をその周りから冷却し、露光部33の昇温を防ぐことができる。また、筐体70は中空構成になっていることで、高い剛性を持って露光部33を支持するので、装置が軽量であって、露光部33の位置精度を安定させることができる。
【0055】
また、上記実施形態によると、中空部は露光部33の水平方向に配置されることによって、中空部の空所71c、71eを流れる空気は、露光部33をその水平方向の周りから冷却し、露光部33の昇温を防ぐことができる。また、筐体70は水平方向に中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って露光部33を支持するので、装置が軽量になって、露光部33の位置精度を安定させることができる。
【0056】
また、上記実施形態によると、複数の露光部33a〜33dが水平方向に並列され、中空部は、複数露光部33a〜33dの並列方向の一方側と他方側とに沿って夫々直線状に延びる側方空所71c(第1空所)と、夫々の側方空所71c(第1空所)を繋ぐ長手方向空所71e(第2空所)とを有する。これによって、中空部の側方空所71cと長手方向空所71eとを流れる空気は、複数露光部33a〜33dをその水平方向の周りから冷却する。また、筐体70は側方空所71cと長手方向空所71eとを有する中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って複数の露光部33a〜33dを支持する。従って、タンデム型カラー画像形成装置に適用しても、複数の露光部33a〜33dの昇温を防ぐことができ、また装置が軽量になって、各露光部33a〜33d相互の位置精度と感光体31a〜31dに対する各露光部33a〜33dの位置精度を安定させることができる。
【0057】
また、上記実施形態によると、露光部33は略直方体形状に形成され、中空部は露光部33の水平方向の四方を囲うことによって、露光部33の水平方向の四方に配置された中空部の空所71c、71eを流れる空気は、露光部33をその水平方向の四方から冷却し、露光部33の昇温を防ぐことができる。また、筐体70は水平方向に中空構成になっていることで、垂直方向に高い剛性を持って露光部33を支持するので、装置が軽量であって、露光部33の位置精度を安定させることができる。
【0058】
また、上記実施形態によると、中空部は、筐体70の主たる構成を形成する本体フレーム71と、露光部33が取り付けられる取り付けフレーム72とで形成されることによって、簡単に、露光部33を取り付けられるとともに、中空構成を形成することができる。
【0059】
また、上記実施形態によると、長手方向空所71eの空気を排気開口部73bから排気する排気ファン78bを備え、画像形成部30が筐体70の近傍に配置され、中空部は画像形成部30に対向する位置に、画像形成部30の空気を通す流通孔71fを有するので、現像器34等を備える画像形成部30から発生する熱は、流通孔71fから長手方向空所71eに吸引され、露光部33の昇温とともに画像形成部30の昇温を防ぐことができる。
【0060】
尚、上記実施形態では、4個の露光部を夫々別に支持する筐体を備えるタンデム型カラープリンタに適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、4個の露光部を纏めて支持する筐体を備えるタンデム型カラー画像形成装置に適用してもよく、また、モノクロ画像形成装置に適用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、露光部が画像形成装置の上側に配置される構成を示したが、本発明はこれに限らず、露光部が画像形成装置の下側に配置される構成に適用してもよい。この場合も上記同様の効果を奏することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、筐体が露光部とともに画像形成部を支持する構成を示したが、本発明はこれに限らず、筐体が露光部を支持する構成にしてもよい。この場合も上記同様の効果を奏することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、空所71c、71eは断面四角形の中空構成を示したが、本発明はこれに限らず、空所71c、71eは断面丸型の中空構成にしてもよい。この場合も上記同様の効果を奏することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、複数の流通孔71fが長手方向空所71eを形成する中空部に設けた構成を示したが、本発明はこれに限らず、複数の流通孔71fが側方空所71cを形成する中空部に設ける構成にしてもよい。流通孔71fの近傍に画像形成部が配置されている場合には、画像形成部から発生する熱が側方空所71cに吸引される。また、流通孔71fの近傍に定着部が配置されている場合には、定着部から発生する熱が吸引される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、走査露光装置からの放熱を行う画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の露光部の内部構成を示す斜視図である。
【図3】は、本発明の実施形態に係る露光部を支持する筐体の構成を示す斜視図である。
【図4】は、本発明の実施形態に係る露光部を支持する筐体の構成を示す分解斜視図である。
【図5】は、本発明の実施形態に係る露光部の本体フレームの構成を示す後方から見た斜視図である。
【図6】は、本発明の実施形態に係る中空部の構成を示す断面図である。
【図7】は、本発明の実施形態に係る別の中空部の構成を示す断面図である。
【図8】は、本発明の実施形態に係る中空部の空所における空気の流路を模式的に示す断面平面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
3 モータ
30a〜30d 画像形成部
31a〜31d 感光体
33a〜33d 露光部
70 筐体
71 本体フレーム
71a、71b 側方中空形成部(中空部)
71c 側方空所(第1空所)
71d 長手中空形成部(中空部)
71e 長手方向空所(第2空所)
71f 流通孔
71m、71n 上方外枠
71p 吸気中空部
71q 排気中空部
71w 隔壁
72 取り付けフレーム(中空部)
72a ケース取り付け部
73 第1長手フレーム
73a、74a 吸気開口部
73b、74b 排気開口部
74 第2長手フレーム
78 冷却ファン
78a 吸気ファン
78b 排気ファン
79 光学ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される感光体を有する画像形成部と、前記感光体を画像データに応じて光走査する露光部と、前記露光部を支持する筐体とを備え、
前記筐体は、空所を形成する中空部と、前記空所に空気を流す開口部とを有し、前記中空部が前記露光部の周りに配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中空部は、前記露光部の水平方向に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記露光部が水平方向に並列され、前記中空部は、前記複数露光部の並列方向の一方側と他方側とに沿って夫々直線状に延びる第1空所と、前記夫々の第1空所を繋ぐ第2空所とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光部は略直方体形状に形成され、前記中空部は前記露光部の水平方向の四方を囲うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中空部は、前記筐体の主たる構成を形成する本体フレームと、前記露光部が取り付けられる取り付けフレームとで形成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記空所の空気を前記開口部から排気するファンを備え、前記画像形成部が前記筐体の近傍に配置され、前記中空部は、前記画像形成部に対向する位置に前記画像形成部の空気を通す流通孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−49042(P2010−49042A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213513(P2008−213513)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】