説明

画像形成装置

【課題】集約画像の画像データを分割し、空白ページを自動的に判別し、空白ページ部分を破棄し、使用者の利便性を向上させつつ、空白ページが印刷される無駄をなくす。
【解決手段】画像形成装置は、画像データ取得部と、画像データに基づき画像を形成する画像形成部5aと、装置の動作に関する設定入力を受け付ける設定入力部と、集約画像の画像データを分割する分割処理部74と、集約画像から分割された画像データのうち、伝達する情報の記載のない空白ページに相当する画像データを判定する空白ページ判定部75と、空白ページの画像データを破棄する空白ページ破棄部76と、画像データを拡大処理する拡大処理部77と、を備え、画像形成部5aは、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データに基づき、画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数ページ分の画像が集約された集約画像の画像データを分割して画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート消費量や総ページ数の低減のため、複数ページ分の画像を1ページに集約して印刷が行われることがある。又、原稿をスキャンして画像データを保存する場合、複数ページの画像を1ページ分として集約して保存することもあり、この集約された画像データの印刷を行っても、複数ページ分の画像が集約された印刷結果が得られる。
【0003】
そして、集約では、レイアウトの都合上、例えば、2ページ分や4ページ分など、偶数ページ分の画像を1枚に集約する(例えば、2in1、4in1などと呼ばれることがある)。しかし、集約では、もとの画像を縮小するので、読みにくい場合(文字がつぶれる等)や、集約されすぎて1ページ分が小さすぎる場合があり(例えば、8in1や16in1など)、集約されている各ページを分割して1枚ずつ印刷したいという要望がある。
【0004】
このような要望に応える発明が特許文献1に記載されている。具体的に、特許文献1には、原画像データに基づいて書き込み手段に入力する画像データを生成する画像処理手段を備えた画像形成装置において、画像処理手段は、画像データを原画像の各領域に対応して分割し、分割領域単位で個別の書き込み画像データを生成し、得られた画像データを書き込み手段に入力する画像形成装置が記載されている。これにより、一枚の原画像に集約されていた分割領域単位の画像を利用に便利な形態に作成し直そうとする。(特許文献1:請求項1、段落[0037]等参照)。
【特許文献1】特開2000−350000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、通常、1枚の用紙に偶数ページが集約されるが、集約するページ数が集約での単位ページ数で割り切れない場合がある。例えば、4in1では、単位ページ数の4の倍数以外の枚数を集約する場合、あまりが出る(例えば、集約するページ数が1、2、3、5、6、7、9、10枚など無数)。そうすると、集約された印刷物や画像データには、何ら情報を伝達しない空白ページの領域が存在する。そして、集約画像から各ページの分割印刷をする場合、印刷の必要のない空白ページを印刷すれば、無駄が生じる。
【0006】
この問題点につき、特許文献1記載の発明によれば、画像処理手段は、分割領域単位で領域を指定する手段を備え、指定された領域の画像データについて書き込み画像データを生成することで、空白ページ印刷を防ぐが(特許文献1:請求項2等参照)、使用者は空白ページを自ら指定する必要がある。そうすると、集約画像の画像データが10枚、20枚といった複数枚分ある場合、各集約画像について指定することは利便性が悪く、かつ、利便性の悪さのため、使用者の入力ミスも生じやすく、空白ページの印刷を的確に防ぐことが難しいという問題がある。
【0007】
尚、特許文献1記載の発明では、集約されている各ページを1枚ずつしか印刷できず、1枚のシートに集約されるページ数を減らして印刷したい(例えば、4in1を2in1に)という要望には応えられないという問題もある。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、集約画像の画像データを分割し、その分割された画像データの中から、空白ページに該当する領域を自動的に判別し、その空白ページ部分を破棄して使用しないようにすることで、使用者の利便性を向上させつつ、空白ページ部分が印刷される無駄をなくすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題解決のため、請求項1に係る画像形成装置は、複数ページの画像が集約された集約画像の画像データを取得する画像データ取得部と、画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、装置の動作に関する設定入力を受け付ける設定入力部と、集約画像の画像データを分割する分割処理部と、集約画像から分割された画像データのうち、伝達する情報の記載のない空白ページに相当する画像データを判定する空白ページ判定部と、前記空白ページと判定された画像データを破棄する空白ページ破棄部と、画像データを拡大処理する拡大処理部と、を備え、前記画像形成部は、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データに基づき、画像形成を行うこととした。
【0010】
この構成によれば、空白ページに相当する画像データを判定する空白ページ判定部と、空白ページと判定された画像データを破棄する空白ページ破棄部とを備えるので、集約画像から分割された画像データを利用して印刷を行う場合、空白ページを印刷する無駄をなくすことができる。従って、シートや電力消費の無駄を削減することができる。又、空白ページの破棄は、自動的に行われ、使用者が空白ページ部分を指定する必要が無く、使用者の利便性が高い。
【0011】
又、請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記設定入力部は、集約画像の画像データ内に集約されているページ数である集約ページ数の入力を受け付け、前記分割処理部は、前記設定入力部に入力された前記集約ページ数で、集約画像の画像データを分割することとした。この構成によれば、分割処理部は、設定入力部に入力された集約ページ数で、集約画像の画像データを分割するので、集約画像の画像データを、集約されているページ数で確実に分割することができる。従って、的確に空白ページを自動的に破棄することができる。
【0012】
又、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記設定入力部は、集約画像の画像データ内におけるページの順番を指定する入力を受け付け、前記空白ページ判定部は、集約画像の画像データから分割された画像データのうち、最終ページから、先頭ページに向けて、順番に分割された画像データ空白ページか否かを判定し、分割された画像データが空白ページでないと判定された時点で判定動作をやめることとした。
【0013】
一連の(一続きの)文書(例えば、複数ページにわたる記事、報告書や論文等)の集約画像の画像データである場合、通常、途中に空白ページはなく、空白ページは、集約画像の画像データ中の最後のページあたりに存在する。そして、この構成によれば、空白ページ判定部は、分割画像データのうち、最終ページから、先頭ページに向けて、順番に空白ページか否かを判定し、分割された画像データが空白ページでないと判定された時点で判定動作をやめるので、全ての分割画像データに判定処理を行う場合に比べ、処理時間や処理データ量を減らすことができる。
【0014】
又、請求項4に係る発明は、請求項1記載の発明において、集約画像の画像データ内に集約される集約ページ数を判定するページ数判定部を有し、前記分割処理部は、前記ページ数判定部の判定結果に基づき、集約画像の画像データを分割することとした。この構成によれば、集約画像の画像データ内に集約される集約ページ数を判定するページ数判定部を有するので、集約画像に集約された画像データのページ数を自動的に認識することができる。従って、集約画像の画像データの分割を適切に、自動的に行うことができる。
【0015】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記拡大処理部は、印刷を行うシートの大きさに合わせて、もとの集約画像から分割された画像データをそれぞれ拡大し、前記画像形成部は、拡大後の画像データに基づき、集約画像から分割された1つの画像データに対し、1枚の用紙に画像形成を行うこととした。この構成によれば、画像形成部は、拡大後の画像データに基づき、集約画像から分割された1つの画像データに対し、1枚の用紙に画像形成を行うので、各画像データは、シートからはみ出ない範囲で拡大され、印刷結果の視認性が向上する。
【0016】
又、請求項6に係る発明は、請求項2乃至5の発明において、前記設定入力部は、分割された画像データを集約数を変更して、再度形成する集約画像の集約ページ数を指定する入力を受け付け、前記拡大処理部は、前記設定入力部への入力により指定されたシート1枚に集約するページ数に合わせて、もとの集約画像から分割された各画像データを拡大し、前記画像形成部は、シート1枚に集約するページ数の指定と、拡大後の画像データに基づき、集約画像の形成を行うこととした。この構成によれば、拡大処理部は前記設定入力部への入力により指定されたシート1枚に集約するページ数に合わせ、もとの集約画像から分割された各画像データを拡大するので、1ページでの集約数を落とすことができる。又、集約数が少なくなるので、各ページ部分は拡大され、視認性が向上する。
【0017】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記空白ページ判定部は、地肌色の画素と異なる色の画素をカウントし、空白ページか否かを判定することとした。この構成によれば、空白ページ判定部は、地肌色の画素と異なる色の画素をカウントして、空白ページか否かを判定するので、空白部分が白に限らず、色付きでも、伝達する情報がなければ空白ページとして認定し、無駄な印刷をなくすことができる。
【0018】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至7の発明において、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを記憶するための記憶部、及び/又は、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを外部に出力するデータ出力部を備えることとした。この構成によれば、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを記憶するための記憶部、及び/又は、データ出力部を有するので、集約画像を分割した画像データを装置本体や外部の端末に記憶することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明によれば、集約画像を分割して印刷等を行う場合、使用者に操作負担をかけず、自動的に不要な空白ページを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜8に基づき、複合機1(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0021】
(複合機1の概略構成)
まず、図1に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の概略を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の模型的正面断面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の複合機1は、最上部に、原稿搬送装置2が取り付けられ、複合機本体には、画像読取部3(画像データ取得部に相当)、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b等が設けられる。
【0023】
原稿搬送装置2は、原稿を1枚ずつ、自動的に連続して読取位置に搬送し、原稿搬送方向上流側から順に、原稿載置トレイ21、原稿供給ローラ22、原稿搬送路23、原稿搬送ローラ対24、原稿排出ローラ対25、原稿排出トレイ26等を備える。又、原稿搬送装置2は、図1の紙面奥側を支点として画像読取部3に上下方向に開閉自在に取り付けられ、画像読取部3のコンタクトガラス31(送り読取用コンタクトガラス31a及び載置読取用コンタクトガラス31b)を上方から押さえるカバーとして機能する。
【0024】
原稿載置トレイ21は複数枚の原稿を載置可能であり、原稿搬送路23の上流端に接続される。そして、原稿供給ローラ22は、最上位の原稿に当接し、回転駆動し原稿搬送路23に原稿を送り出す。その原稿は、原稿搬送ローラ対24やガイドに導かれ、画像読取部3の送り読取用コンタクトガラス31aの上面を通過し、この通過時、画像読取部3が読取を行う。又、読取後の原稿は、原稿排出ローラ対25から原稿排出トレイ26に排出される(原稿搬送経路を2点鎖線で図示)。尚、原稿載置トレイ21には、原稿の載置の有無を検出する原稿センサ27(例えば、反射型光センサ)を設けることができる。
【0025】
次に、画像読取部3は、図1に示すように、箱形の筐体を有し、上面に送り読取用コンタクトガラス31aと、文書、書籍、新聞等の原稿を1枚ずつ読み取る際に原稿を載置する載置読取用コンタクトガラス31bが配される。載置読取用コンタクトガラス31bには、原稿搬送装置2を持ち上げ、読取面を下向きにして原稿が載置される。
【0026】
そして、画像読取部3内に、第1移動枠32、第2移動枠33、ワイヤ34、巻取ドラム35、レンズ36と、1ライン毎に原稿を読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサ37等が配される。イメージセンサ37は、例えば、ライン状に光電変換素子を並べたCCD(Charge Coupled Device)で構成され、原稿の反射光を元に、1ライン毎に原稿を読み取る(白黒画像に加えカラー画像も読取可能)。
【0027】
上述の第1移動枠32は、原稿に光を照射するランプ38と、その下方に第1ミラー39aを支持する。一方、第2移動枠33は、第1移動枠32の下方に配され、上方に第2ミラー39bを、下方で第3ミラー39cを支持する。この第1移動枠32及び第2移動枠33には複数本のワイヤ34が取り付けられ(尚、図1では、便宜上1本のみ図示)、ワイヤ34の他端が巻取ドラム35に接続され、巻取モータ(不図示)を駆動源として、巻取ドラム35が正逆回転し、第1移動枠32と第2移動枠33が水平方向に移動する。
【0028】
ここで、具体的な原稿読取動作の一例を説明する。まず、原稿搬送装置2を用いた原稿読取の場合、原稿載置トレイ21からの原稿は、送り読取用コンタクトガラス31aの上面を通過しつつ搬送される。この時、送り読取用コンタクトガラス31aの下方位置(読取位置)に、第1移動枠32と第2移動枠33が固定され、通過する原稿にランプ38が光を照射する。ランプ38から発せられた光は、原稿に当たり、その反射光を第1ミラー39a、第2ミラー39b、第3ミラー39cでレンズ36に導く。レンズ36は、反射光をイメージセンサ37に入射し、イメージセンサ37は、反射光を画像濃度に応じたアナログの電気信号に変換し、その後、量子化を行い画像データを得る。即ち、主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向)にライン単位で読取を行い、ライン単位の読取を副走査方向(原稿搬送方向)に繰り返し行って1枚の原稿が読み取られる。
【0029】
一方、コンタクトガラス31上に載置された原稿を読み取る場合、第1移動枠32及び第2移動枠33を巻取ドラム35やワイヤ34等により、ホームポジションから図1の右方向に水平に移動させ、走査を順次原稿端部まで連続的に行って、原稿画像全体が読み取られ、原稿画像が電気信号に変換される。
【0030】
尚、本実施形態の原稿搬送装置2内には、原稿搬送路23に沿い(本実施形態では、原稿排出ローラ対25の手前)、イメージセンサ37の読取面の裏面を読み取るCISユニット28(画像データ取得部に相当)が設けられる。CISユニット28は、ランプ、レンズ、イメージセンサ(いずれも不図示)を備え、画像読取部3と同様、原稿を読み取って画像データを得ることができる(白黒画像に加えカラー画像も読取可能)。このCISユニット28により、スイッチバック等の搬送動作なしに両面読取を行うことができる。従って、複合機1では、画像読取部3やCISユニット28が、複数ページの画像が集約された集約画像の画像データを取得する画像データ取得部となる。
【0031】
次に、給紙部4aは、記録媒体としての複数の用紙(例えば、コピー用紙、再生紙、厚紙、OHPシート等)を収容し、印刷時、1枚ずつ搬送路4bに用紙を送り込む。給紙部4aは、用紙が積載されるカセット41と、回転駆動する給紙ローラ42を備える。例えば、印刷時、給紙ローラ42が駆動し、用紙が1枚ずつ搬送路4bに送り出される。又、カセット41には、収容される用紙のサイズを検出する用紙サイズセンサ43が設けられる。例えば、可変抵抗方式の用紙サイズセンサ43であれば、カセット41内で用紙の位置を規制し、用紙サイズに合わせスライドする各規制板44(図1では、用紙を縦方向で規制する規制板44aと横方向で規制する規制板44bを図示)と可変抵抗が接続され、各規制板44のスライド位置により抵抗値の変化に伴う用紙サイズセンサ43の出力変化により用紙サイズが検出される。尚、1又は複数の給紙部4aが増設されても良い。
【0032】
搬送路4bは、給紙部4aから排出トレイ48まで、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路4bに、用紙の案内のためのガイド板45や、用紙搬送時に回転駆動する搬送ローラ対46や、搬送される用紙を画像形成部5aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせ用紙を送り出すレジストローラ対47等が設けられる。
【0033】
画像形成部5aは、画像データに基づき画像(トナー像)を形成し、用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部5aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム51、及び、感光体ドラム51の周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラ55、清掃装置56等を備える。
【0034】
画像形成プロセスを説明すると、所定方向に回転駆動する感光体ドラム51を、感光体ドラム51の右斜上方の帯電装置52が所定電位に帯電させる。露光装置53は、図1において、帯電装置52の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光Lを点消灯しつつ出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。そして、図1において、感光体ドラム51の右斜下方の現像装置54は、感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像が形成される。
【0035】
一方、感光体ドラム51の左方の転写ローラ55は感光体ドラム51に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラ対47がタイミングを図り、トナー像と同時に用紙をニップに進入させる。用紙とトナー像のニップ進入時、転写ローラ55には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム51上のトナー像が転写される。清掃装置56は、転写後に感光体ドラム51に残留するトナー等を除去する。
【0036】
定着部5bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部5bは、主として、発熱体を内蔵する加熱ローラ57とこれに圧接する加圧ローラ58で構成される。そして、用紙が、加熱ローラ57と加圧ローラ58のニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。定着後の用紙は、排出トレイ48が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の利用時、印刷が行われる。
【0037】
(ハードウェア構成)
次に、図2に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の構成の一例を示すブロック図である。尚、図2では、制御用信号の流れを実線矢印で示し、画像データの流れの一例を破線矢印で示している。
【0038】
本実施形態の複合機1では、機内の基板上に、制御部6が設けられ、制御部6は、複合機1の動作を制御し、例えば、CPU61、記憶部62等から構成される。CPU61は記憶部62に格納され、展開される制御プログラムに基づき演算等を行い、複合機1の各部を制御する。記憶部62は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。この記憶部62には、複合機1の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶できる。
【0039】
そして、制御部6は、操作パネル8(詳細は後述)、画像読取部3、原稿搬送装置2、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b等の各部と信号線等で接続され、複合機1の動作を制御する。又、画像読取部3等で取得された原稿の画像データを受け取る。又、制御部6は、原稿センサ27の出力を受け取り、載置される原稿の有無を認識する。又、制御部6は、用紙サイズセンサ43の出力を受け取り、カセット41に収容される用紙のサイズを認識する。
【0040】
更に、制御部6は、各種コネクタ、ソケットやFAXモデム等を備えたインターフェイス部(以下、I/F部63という。画像データ取得部、データ出力部に相当)と接続される。I/F部63はネットワークや公衆回線等により複数のユーザ端末100や相手方FAX装置200(図2では、いずれも便宜上1つのみ図示)と接続される。例えば、画像読取部3で得られた画像データをユーザ端末100や相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、ユーザ端末100や相手方FAX装置200から送信され、複合機1に入力される画像データに基づき印刷、FAX送信等を行うこともできる(プリンタ機能、FAX機能)。従って、画像データ取得部としては、画像読取部3の他、I/F部63が存在する。
【0041】
次に、画像処理部7を説明する。画像処理部7は、画像読取部3やCISユニット28での読み取りで得られた画像データや、記憶部62内の画像データや、ユーザ端末100から受信した画像データや、FAX送受信用の画像データを制御部6から受け取り、各種画像処理を施した後、制御部6や画像形成部5a(露光装置53)等に引き渡す。
【0042】
画像処理部7は、例えば、画像処理に関する複数機能の演算回路を1つにまとめた集積回路であるASIC71(Application Specific Integrated Circuit)や、画像処理を施す、若しくは、処理後の画像データを一時的に記憶する画像メモリ72を有する。これら、ASIC71や画像メモリ72等により、画像処理部7は、γ補正処理、濃度変換処理、拡大縮小処理、枠消し処理、鏡像処理等の各種画像処理を実行できる。尚、画像処理部7の行う画像処理は多岐にわたるので、本発明に関する集約画像の分割以外については、公知のものを適用するものとし、詳細な説明は割愛する。又、画像処理部7は、制御部6と別回路として構成されても良いし、制御部6のCPU61や記憶部62とプログラム等により機能的に実現されてもよい。
【0043】
そして、本発明の集約画像の分割に関し、画像処理部7内に回路、又は、ソフトウェア的に実現されるページ数判定部73、分割処理部74、空白ページ判定部75、空白ページ破棄部76、拡大処理部77、回転処理部78、レイアウト部79等が備えられる。
【0044】
いずれも動作の詳細は後述するが、ページ数判定部73は、集約画像の画像データ内に集約される集約ページ数を自動判定する場合に動作する。分割処理部74は、複数ページの画像が集約された集約画像の画像データを、集約されているページ数で分割する(例えば、2in1の集約画像ならば2分割、4in1の集約画像ならば4分割)。空白ページ判定部75は、集約画像から分割された画像データ(以下、「分割画像データ」と称する。)のうち、伝達する情報の記載のない空白ページに相当する画像データを判定する。空白ページ破棄部76は、空白ページと判定された画像データを以後使用しないように破棄する。拡大処理部77は、分割画像データなどの画像データを拡大処理する。回転処理部78は、分割画像データを必要に応じて回転させる(例えば、90度の回転)。レイアウト部79は、分割画像データを印刷するシートの向きに合わせてレイアウトする。
【0045】
(本発明に係る集約分割の概要)
次に、図3乃至図5に基づき、本発明の第1の実施形態に係る集約分割の処理の概要を説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る集約分割処理の概要を示す説明図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る集約分割処理の設定に用いる操作パネル8の一例を示す説明図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る集約分割処理の画像処理の設定画面の一例である。
【0046】
まず、図3(a)を説明する。図3(a)の左側には、10ページ分の画像を4ページ単位(即ち、4in1)で集約した集約画像の画像データを示している。この集約印刷は用紙消費量削減等の観点から、従来から行われている。ここで、図3(a)では、4in1を例に挙げているが、その他、2in1、8in1、16in1、32in1など、偶数ページ分を1ページに集約することが一般的である。
【0047】
しかし、集約画像の画像データでは、元の(オリジナルの)画像を縮小するので、集約画像の印刷物では、見にくいと感じられる場合がある。そこで、本実施形態の複合機1は図4(a)の右側に示すように、集約画像の画像データを集約ページ数で分割して、1枚ずつ印刷することが可能である。
【0048】
具体的には、画像処理部7の分割処理部74が、1枚分の集約画像の画像データを、集約ページ数単位で分割し(例えば、集約ページ数で等分、4in1なら4等分)、拡大処理部77が、印刷する用紙のサイズに収まるように、分割画像データを拡大する(例えば、集約画像の画像データがA4サイズの4in1であり、A4用紙に印刷する場合、倍率は200%となる。)。そして、レイアウト部79が拡大後の分割画像データの位置を調整し、その調整後の分割画像データを画像形成部5aの露光装置53に出力する。その後、露光装置53がその画像データに合わせて静電潜像を形成し、その結果、集約画像を分割し、拡大した印刷物が得られる。尚、集約画像の画像データの取得については、画像読取部3やCISユニット28で、集約画像の印刷物を読み取ることで、集約画像の画像データを複合機1は取得できる。
【0049】
次に、図3(b)を説明する。図3(a)と同様に、図3(b)の左側には、10ページ分の画像を4ページ単位(即ち、4in1)で集約した集約画像の画像データを示している。そして、本実施形態の複合機1では、図3(b)の右側に示すように、集約画像の画像データを分割しつつも、集約画像の集約度を落として、別の集約画像を印刷することができる(図3(b)では、4in1→2in1の場合を図示)。
【0050】
具体的に、集約画像の集約度を落として、別の集約画像を印刷する場合、分割処理部74が、1枚分の集約画像の画像データごとに、集約ページ数単位で分割し、拡大処理部77が、新たな集約度と印刷する用紙のサイズに収まるように、分割画像データを拡大する(例えば、集約画像の画像データがA4サイズの4in1であり、A4用紙で2in1の集約度で印刷する場合、A5→A4の拡大と同様なので、倍率は約141%となる。)。そして、回転処理部78やレイアウト部79が拡大後の分割画像データの向き、位置を調整し、その調整後の分割画像データを露光装置53に出力する。その結果として、もとの集約画像の集約度を落とし、集約画像内のページが拡大された印刷物が得られる。
【0051】
次に、図4及び図5に基づき、集約分割における設定方法の一例を説明する。本実施形態の複合機1は、例えば、正面上方位置に、図4に示すような操作パネル8(設定入力部に相当)を有する。操作パネル8は、複合機1の使用する機能(コピー、プリンタ、スキャナ、FAX)を選択するための機能選択キー群81や、各種メニューを表示し、タッチパネルにより使用者が動作の設定入力可能な液晶表示部82や、数字等を入力するためのテンキー部83や、設定した動作の実行開始を指示するスタートキー84等を有する。即ち、操作パネル8は、装置の動作に関する設定入力を受け付ける。そして、図5に示すように、使用者は、液晶表示部82に、集約分割に関する設定入力が可能である。
【0052】
まず、図5(a)は、集約分割における集約画像の画像データに関する情報を入力する画面の一例である。この図5(a)では、液晶表示部82に表示される区分線L1の左側に、分割対象の集約画像の画像データの1ページあたりの集約ページ数を入力するためキーが複数配される。例えば、図5(a)に示すように、2in1キーK1、4in1キーK2、8in1キーK3、16in1キーK4、32in1キーK5が配される。又、押されたキーは、例えば、白黒反転し、押下キーに応じた集約ページ数で、分割処理部74は、集約画像の画像データを分割する(例えば、4in1キーK2が押されれば4分割、8in1キーK3が押されれば8分割)。即ち、操作パネル8は、集約画像の画像データ内に集約されているページ数である集約ページ数の入力を受け付け、分割処理部74は、操作パネル8に入力された集約ページ数で、集約画像の画像データを分割する。
【0053】
尚、自動判別キーK6は、ページ数判定部73に集約画像の画像データ内の各ページの境界に相当する余白を探し出し、余白の位置や大きさから、適切な分割数を自動的に判別させる際に押下される。即ち、複合機1は、集約画像の画像データ内に集約される集約ページ数を判定するページ数判定部73を有し、分割処理部74は、ページ数判定部73の判定結果に基づき、集約画像の画像データを分割する。
【0054】
又、両面キーK7は、原稿搬送装置2に載置された集約画像の原稿が両面印刷されたもので、画像読取部3とCISユニット28を用いて読み取りを行うことを指示するキーである。又、一連文書キーK8は、原稿搬送装置2で複数枚の集約画像の原稿を連続して読み取る場合、原稿の途中に空白ページがない一連の(一続きの)原稿であることを制御部6等に知らせるキーである。
【0055】
そして、図5(a)に示す区分線L1の右側には、集約画像におけるページの順序を指定するためのチェックボックスC(Ca、Cb、Cc、Cd)が配される。チェックボックスCaはZ型のページの順序である場合、チェックボックスCbは逆N型のページの順序である場合、チェックボックスCcは逆Z型のページの順序である場合、チェックボックスCdは、N型のページの順序である場合に押され、各チェックボックスCにレ字状のチェックが表示される。そして、この各チェックボックスCで指定されてページの順番に従い、集約画像の分割印刷での印刷やレイアウトでの順番が定まる。又、図5(a)に示す液晶表示部82の表示におけるOKキーK9が押されれば、図5(b)の画面が表示される。尚、キャンセルキーK10は、設定をキャンセルする場合に押下される。
【0056】
そして、液晶表示部82に表示される図5(b)は、分割画像データの印刷における設定画面である。図5(b)の表示における区分線L2の上側には、分割画像データのそれぞれを1枚のシートに印刷することを指定する個別印刷キーK11が表示される。個別印刷キーK11が押された場合、拡大処理部77は、印刷を行うシートの大きさに合わせ、分割された画像データをそれぞれ拡大し、画像形成部5aは、拡大後の画像データに基づき、集約画像から分割された1つの画像データに対し、1枚の用紙に画像形成を行う。
【0057】
一方、図5(b)の区分線L2の下方に、もとの集約画像から集約度を下げて別の集約画像を形成する場合に選択可能なキー(図5(b)では、一例として2in1キーK12を表示)が表示される。この図5(b)の設定画面では、例えば、元の集約画像よりも集約ページ数が少なくなるように、キーが自動的に表示される(図5(b)の例では、元の集約画像が4in1)。例えば、元の集約画像が、32in1であれば、図5(b)では、2in1キーK12の他、4in1キー、8in1キー、16in1キーが表示され、元の集約画像が、2in1であれば、これ以上、1ページ内の集約ページ数を少なくできないので、集約画像を形成するためのキーは表示されない。即ち、操作パネル8は、集約数を変更して、再度形成する集約画像の集約ページ数を指定する入力を受け付け、拡大処理部77は、設定入力部への入力により指定されたシート1枚に集約するページ数に合わせて、もとの集約画像からの各分割画像データを拡大し、画像形成部5aは、シート1枚に集約するページ数の指定と、拡大後の画像データに基づき、集約画像の形成を行う。
【0058】
又、図5(b)に示すように、2in1キーK12の右方には、例えば、分割画像データを用いた別の集約画像を形成時のページの配列順を指定するチェックボックスCe、Cfが表示される。そして、図5(b)において、OKキーK9が押されると、液晶表示部82の表示は、例えば、図5(c)の表示に切り換えられる。
【0059】
次に、図5(c)の画面では、印刷等を行う場合における用紙サイズが指定される。この画面で選択された用紙のサイズに合わせて、拡大処理部77が分割画像データの拡大を行う。尚、この図5(c)の表示では、現在、カセット41に収容されている用紙サイズのみ表示されても良い(例えば、用紙サイズセンサ43により検出)。
【0060】
(空白ページ処理部の動作)
ここで、図3(a)及び(b)の左側の最下段に示すように、4in1で集約画像を生成する際、例えば、集約するページが10ページであれば、10を4で割った余りである2ページ分の空白ページが生ずる(集約画像上では半ページ)。そして、このような集約画像の画像データに基づき、集約分割の印刷を行うと、図3(a)及び(b)の右側の図において破線×印で示すように、何ら情報を伝達しない無駄な用紙を印刷してしまう。
【0061】
そこで、本発明では、空白ページ判定部75は、各分割画像データについて、空白ページか否かを自動的に判定し、空白ページと判定された場合、空白ページ破棄部76が、空白ページを自動的に破棄して使用しないようにする点に特徴がある。即ち、画像形成部5aは、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データに基づき、画像形成を行う。これにより、空白ページが原稿の各ページで混在している複数枚の集約画像の集約分割を行っても、空白ページ部分の印刷を防ぐことができる。
【0062】
そこで、図6に基づき、空白ページ判定部75の判定の一例を説明する。図6(a)は4in1の集約画像の画像データの一例を示し、(b)は、集約画像内で集約された画像のうちの1ページ分の領域を拡大した図である。尚、本例では、4in1の集約画像の画像データを例に挙げて説明する。
【0063】
まず、空白ページ判定部75は、集約画像からの分割画像データについて、例えば、図4(b)にしめすライン(行)の方向での地肌と異なる色の画素の存在を確認する。尚、ここでは、説明の簡易化のため、分割画像データが白黒2値画像である場合を例に挙げ、説明する。従って、白黒2値画像では、地肌の色は基本的に白である。
【0064】
そして、ラインごとに地肌の色と異なる画素の数を確認するとともに、ラインの方向と垂直な方向に向かって、分割画像データ内の全ラインについて、1ラインごとに地肌の色と異なる画素の数を確認する。即ち、図6(b)に示す走査方向に向け、各ライン単位で地肌の色と異なる画素をカウントしつつ走査する。
【0065】
そして、空白ページ判定部75は、分割画像データ内において、1ライン中で、地肌の色と異なる色のドット数が所定の閾値以上(例えば、10〜50画素以上)のラインを確認し、そのライン数が、所定のライン数(例えば、10〜50ライン)を超えるか否かを確認する。もし、所定の閾値以上のラインが所定のライン数を超えれば、分割画像データには、何らかの情報を伝達するための記号、文字、図形等があると考えられるので、空白ページと判定しない。一方、閾値以上のラインが所定のライン数を超えなければ、何ら情報を伝達する要素が無く、空白ページと判定する。即ち、空白ページ判定部75は、地肌色の画素と異なる色の画素をカウントして、空白ページか否かを判定する。
【0066】
尚、所定の閾値や所定のライン数は、もとの集約画像の印刷時に空白ページに黒点等のノイズがのった場合に、空白ページでないとの判定ミス発生を防ぐものである。従って、上述した数値は一例に過ぎず、集約画像からの分割数(4分割や8分割など)や、分割画像データの解像度(例えば、画像読取部3の一般的な読取解像度としての600dpiや画像データにおけるその他の解像度等)や、原稿画像の取得先(例えば、画像読取部3、CISユニット28、更には、第2の実施形態として説明するユーザ端末100、FAX装置200等の画像データの取得先)により閾値やライン数が個別設定されても良い。そのため、画像データの解像度や、分割画像データの大きさに合わせ、所定の閾値や所定のライン数を決定するためのデータテーブルを記憶部62に記憶させておいても良い。
【0067】
尚、地肌の色の認定では、画像処理部7や空白ページ判定部75が認定可能であるが、白黒2値画像では地肌は白色であり、グレースケール画像であれば、地肌は通常、白又は灰色であり、カラー画像であれば、地肌は白色であることもあるし、色付きである場合もある。グレースケール画像や色つき画像での地肌の色の認定は、多種の方法があるが、一例を挙げると、グレースケールでは各画素の輝度情報から、カラー画像では各画素の色情報(画像データがRGB形式である場合、R、G、Bの各画素値)に基づき、分割画像データ内の各画素の画素値のヒストグラムを生成し、その内、頻度の高い画素値を地肌の色と認定することができる。尚、地肌の色の認定は、他の方法を用いてもよい。
【0068】
(集約分割処理の制御の流れ)
次に、図7に基づき、本発明の第1の実施形態に係る集約分割処理の制御の流れを説明する。図7は、本発明の第1の実施形態に係る集約分割処理の制御の一例を示すフローチャートである。尚、この制御では、1つの(1枚の)集約画像ごとに画像読取部3等で読み取りを行って処理を繰り返す場合を説明する。
【0069】
まず、図7のスタートは、操作パネル8で集約分割の処理を行う旨の設定入力がなされ、原稿搬送装置2や載置読取用コンタクトガラス31bに、集約画像の原稿が載置された状態で、コピー実行の指示が入力された時点である。
【0070】
次に、画像読取部3を用い、集約画像の原稿を読み取り、集約画像1枚分の画像データを取得する(ステップ♯1)。尚、この時、両面キーK7が押されていれば、CISユニット28を用いて両面読取を行う。次に、集約画像の画像データは、画像処理部7に送られ、分割処理部74が操作パネル8の入力や自動判別で、集約画像の画像データを分割する(ステップ♯2)。
【0071】
次に、制御部6は、空白ページ判定部75に、集約画像から分割された各画像データの空白ページであるか有無を判定させる(ステップ♯3)。そして、空白ページが存在すれば、空白ページ破棄部76が空白ページを破棄する(ステップ♯4)。そして、その後、拡大処理部77は、印刷するシートの大きさに合わせて、破棄されなかった各分割画像データについて拡大処理を行う(ステップ♯5)。そして、回転処理部78は、必要に応じて(例えば4in1から2in1への集約数の変更の場合)、各分割画像データを回転させる処理を行う(ステップ♯6)。そして、レイアウト部79が液晶表示部82に指定された順序に従い、各分割画像データの出力順序を整理や、集約画像を再度印刷する場合には、液晶表示部82で指示された順番で各分割画像データが印刷されるように配置を整理する(ステップ♯7)。
【0072】
整理が完了すれば、レイアウト部79から、画像形成部5aの露光装置53に向けて順次画像データが出力される(ステップ♯8)。その後、制御部6は、原稿搬送装置2に原稿が残っているかを確認する等により、全ての集約画像の原稿について処理が完了したかを確認する(ステップ♯9)。処理が完了すれば(ステップ♯9のYes)、エンドとなり、完了していなければ(ステップ♯9のNo)、ステップ♯1に戻る。
【0073】
尚、もし、設定において、一連文書キーK8が押されていた場合、空白ページは、読み取られた複数枚分の集約画像のうち、最終枚にのみ存在する可能性が高い。そこで、一連文書キーK8が押されていた場合、図7に示した処理に、ステップを追加して、複数枚分の集約画像のうち、最終枚にのみ空白ページの有無を判定すれば、データ処理量の低減や処理速度を高められる場合がある。
【0074】
そこで、図7に示した制御にステップを追加した例を図8に示す。図8は、図7に示した制御にステップを追加した一例のフローチャートである。尚、図7からの追加は、ステップ♯20〜26である。具体的に、ステップ♯20では、制御部6は、途中に空白ページのない一連文書であることを指示する一連文書キーK8が押されていたかを確認する。そして、ステップ♯21で、原稿センサ等を利用して、読み取る集約画像の原稿がまだ残っているかを確認する。これは、まだ原稿が残っていれば、現在処理中の集約画像の画像データには空白ページがない可能性が高いためである。残っていれば(ステップ♯21のYes)、空白ページ判定部75は空白ページの有無を判定しない(ステップ♯22)。
【0075】
一方、残っていなければ、空白ページ判定部75は、チェックボックスCa〜Cd等の操作パネル8での集約画像内でのページ順に基づき、最後のページに相当するページから順に空白ページか否かを判断する(ステップ♯23)。そして、判定した分割画像データが空白ページか否かを確認し(ステップ♯24)、空白ページならば(ステップ♯24のYes)、その空白ページを破棄し(ステップ♯25)、空白ページでなければ(ステップ♯24のNo)、その時点で空白ページ判定部75は判定動作を停止する(ステップ♯26)。即ち、操作パネル8は、集約画像の画像データ内でのページの順番を指定する入力を受け付け、空白ページ判定部75は、集約画像の画像データから分割された画像データのうち、最終ページから先頭ページに向け、順番に分割された画像データ空白ページか否かを判定し、分割された画像データが空白ページでないと判定された時点で判定動作をやめる。ステップ♯22、26の後、ステップ♯5に移行し、以後、図7と同様である。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、図2、図5を利用して、本発明の第2の実施形態を説明する。尚、第2の実施形態では、集約画像の印刷物を原稿として画像読取部3やCISユニット28で読み取った画像データを用いて印刷するのではなく、ユーザ端末100やFAX装置200から送信された集約画像の画像データや、記憶部62に集約画像の形式で保存されている画像データに対し、集約分割を行って印刷を行う点で異なるのみであり、他の点については、第1の実施形態と同様である。そのため、第1の実施形態と同一の符号を用いて説明を行う。
【0077】
画像読取部3でスキャンした画像データや、ユーザ端末100で生成される電子文書(例えば、PDFファイル)では、複数ページを1ページに収めて、集約画像の形式で保存される場合がある。このような、画像データや電子文書を印刷する場合にも、本発明は適用することができる。
【0078】
例えば、図2に示すように、ユーザ端末100は、I/F部63を介して接続されるので、ユーザ端末100に記憶され、印刷を行う画像データや電子文書が複合機1のI/F部63に送信され、これにより、複合機1は、印刷を行う集約画像の画像データを受け付ける。そして、この画像データに対し、分割処理部74等での処理を行うことにより、集約画像に集約された各画像の各ページについて分割処理して、印刷を行うことができる。
【0079】
そして、通常、ユーザ端末100は、HDD等を有し、複合機1を利用するためのドライバソフトウェアがインストールされている。従って、ドライバソフトウェアを利用し、第1の実施形態では、液晶表示部82に表示される図5に示すような集約分割の設定の表示を、ユーザ端末100のディスプレイに表示させ、マウスやキーボード等の入力装置を利用し、集約分割に関する設定を可能とすることができる。そして、集約分割に関する設定データが集約画像の画像データとともに、I/F部63(設定入力部に相当)に入力され、設定データに基づき、複合機1はプリンタとして動作する。即ち、I/F部63も複数ページの画像が集約された集約画像の画像データを取得する画像データ取得部として機能し、複合機1の動作に関する設定入力を受け付ける設定入力部としても機能する。
【0080】
尚、複合機1内の記憶部62に記憶される集約画像の画像データを印刷する場合、集約分割して印刷する画像データを液晶表示部82で指定しても良いし、ユーザ端末100のドライバソフトウェアで指定しても良い。例えば、使用頻度の高い文書のひな形を集約画像の画像データの形式で保存しておき、集約分割で1ページずつ分割して印刷すれば、記憶部62の記憶容量を見かけ上、増加させることができる。この場合、集約分割の印刷設定は、液晶表示部82で行ってもよいし、ユーザ端末100のディスプレイ上で設定可能としても良い。
【0081】
次に、FAX装置200で受信した画像データの集約分割について説明する。図2に示すように、複合機1のI/F部63(モデム機能を搭載)は、公衆回線等に接続される相手方FAX装置200とFAX通信が可能である。しかし、一般に、FAX装置200で受信した画像データが集約画像であることは、FAX装置200における解像度等の関係から比較的少ない。
【0082】
しかし、FAX装置200での送信を例えば、2in1の集約画像で送信し、受信した画像データを、1ページずつ集約分割して拡大して印刷すれば、FAX送信費用を削減でき、更に、拡大するので、ある程度の視認性も確保することができる。尚、本実施形態の複合機1はインターネットFAX装置200としても機能も有するので、インターネットFAX装置200として画像データを受信した場合は、添付された画像データが集約画像であれば、液晶表示部82等を利用して、集約分割の設定を行えばよい。
【0083】
このようにして、第1及び第2の実施形態によれば、空白ページ判定部75と、空白ページ破棄部76とを備えるので、集約画像から分割された画像データを利用して印刷を行う場合、空白ページを印刷する無駄をなくすことができる。従って、シートや電力消費の無駄を削減することができる。又、空白ページの破棄は、自動的に行われ、使用者が空白ページ部分を指定する必要が無く、使用者の利便性が高い。又、分割処理部74は、設定入力部(例えば、操作パネル8)に入力された集約ページ数で、集約画像の画像データを分割するので、集約画像の画像データを、集約されているページ数で確実に分割することができる。従って、的確に空白ページを自動的に破棄することができる。
【0084】
又、一連の(一続きの)文書(例えば、複数ページにわたる記事、報告書や論文等)の集約画像の画像データである場合、通常、途中に空白ページはなく、空白ページは、集約画像の画像データ中の最後のページあたりに存在する。そして、この構成によれば、空白ページ判定部75は、分割画像データのうち、最終ページから、先頭ページに向けて、順番に空白ページか否かを判定し、分割された画像データが空白ページでないと判定された時点で判定動作をやめるので、全ての分割画像データに判定処理を行う場合に比べ、処理時間や処理データ量を減らすことができる。
【0085】
又、集約画像の画像データ内に集約される集約ページ数を判定するページ数判定部73を有するので、集約画像に集約された画像データのページ数を自動的に認識することができる。従って、集約画像に集約された画像データの分割を全て、適切に、自動的に行うことができる。又、画像形成部5aは、拡大後の画像データに基づき、集約画像から分割された1つの画像データに対し、1枚の用紙に画像形成を行うので、各画像データは、シートからはみ出ない範囲で拡大され、印刷結果の視認性が向上する。
【0086】
又、拡大処理部77は、設定入力部への入力により指定されたシート1枚に集約するページ数に合わせて、もとの集約画像から分割された各画像データを拡大するので、1ページあたりの集約数を落とすこともできる。又、集約数が少なくなるので、集約画像内の各ページ部分は拡大され、視認性が向上する。又、空白ページ判定部75は、地肌色の画素と異なる色の画素をカウントして、空白ページか否かを判定するので、空白部分が白に限らず色付きでも、伝達する情報がなければ空白ページとして認定し、無駄な印刷をなくすことができる。
【0087】
次に、他の実施形態について、説明する。上記の実施形態では、集約画像を分割して印刷する場合について説明したが、例えば、集約画像の印刷物をスキャンして得た画像データを、1ページ分ずつ分割し、若しくは、1ページに集約されるページ数を変更した画像データを形成し、記憶部62やユーザ端末100に送信できるようにしてもよい。即ち、複合機1は、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを記憶するための記憶部62や、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを外部に出力するデータ出力部を備える。この場合、図5に示す同様の設定を、集約画像を分割して(画像データとして保存する場合にも行うことができる。この構成によれば、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを記憶するための記憶部62、及び/又は、データ出力部(I/F部63)を有するので、集約画像を分割した画像データを装置本体や外部の端末に記憶することができる。
【0088】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、集約画像を分割して印刷等する複合機、複写機、プリンタ等の画像形成装置などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施形態に係る複合機の模型的正面断面図である。
【図2】実施形態に係る複合機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る集約分割処理の概要を示す説明図である。
【図4】実施形態に係る集約分割処理の設定に用いる操作パネルの一例を示す説明図である。
【図5】実施形態に係る集約分割処理の画像処理の設定画面の一例である。
【図6】(a)は、4in1の集約画像の画像データの一例を示し、(b)は、集約画像内で集約された画像のうちの1ページ分の領域を拡大した図である。
【図7】実施形態に係る集約分割処理の制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示した制御にステップを追加した一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 複合機(画像形成装置) 28 CISユニット(画像データ取得部)
3 画像読取部(画像データ取得部) 5a 画像形成部
62 記憶部 63 I/F部(画像データ取得部、設定入力部、データ出力部)
8 操作パネル(設定入力部) 74 分割処理部
75 空白ページ判定部 76 空白ページ破棄部
77 拡大処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページの画像が集約された集約画像の画像データを取得する画像データ取得部と、
画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、
装置の動作に関する設定入力を受け付ける設定入力部と、
集約画像の画像データを分割する分割処理部と、
集約画像から分割された画像データのうち、伝達する情報の記載のない空白ページに相当する画像データを判定する空白ページ判定部と、
前記空白ページと判定された画像データを破棄する空白ページ破棄部と、
画像データを拡大処理する拡大処理部と、を備え、
前記画像形成部は、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データに基づき、画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定入力部は、集約画像の画像データ内に集約されているページ数である集約ページ数の入力を受け付け、
前記分割処理部は、前記設定入力部に入力された前記集約ページ数で、集約画像の画像データを分割することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定入力部は、集約画像の画像データ内におけるページの順番を指定する入力を受け付け、
前記空白ページ判定部は、集約画像の画像データから分割された画像データのうち、最終ページから、先頭ページに向けて、順番に分割された画像データ空白ページか否かを判定し、分割された画像データが空白ページでないと判定された時点で判定動作をやめることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
集約画像の画像データ内に集約される集約ページ数を判定するページ数判定部を有し、
前記分割処理部は、前記ページ数判定部の判定結果に基づき、集約画像の画像データを分割することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記拡大処理部は、印刷を行うシートの大きさに合わせて、もとの集約画像から分割された画像データをそれぞれ拡大し、
前記画像形成部は、拡大後の画像データに基づき、集約画像から分割された1つの画像データに対し、1枚の用紙に画像形成を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記設定入力部は、分割された画像データを集約数を変更して、再度形成する集約画像の集約ページ数を指定する入力を受け付け、
前記拡大処理部は、前記設定入力部への入力により指定されたシート1枚に集約するページ数に合わせて、もとの集約画像から分割された各画像データを拡大し、
前記画像形成部は、シート1枚に集約するページ数の指定と、拡大後の画像データに基づき、集約画像の形成を行うことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記空白ページ判定部は、地肌色の画素と異なる色の画素をカウントし、空白ページか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを記憶するための記憶部、及び/又は、集約画像から分割され、かつ、破棄されなかった画像データを拡大処理した画像データを外部に出力するデータ出力部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−98680(P2010−98680A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269923(P2008−269923)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】