説明

画像形成装置

【課題】両面が文書で印刷された原稿を両面印刷させる場合に、可読性の優れた両面印刷物を得ることが可能な複合機100を提供する。
【解決手段】両面画像データに基づいて両面印刷がされる際に、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する文字配置判定手段と、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合、画像データ内の複数の文字から構成される文字行の行方向が当該画像データの長手方向に対して平行か垂直かを、当該表面画像データ又は当該裏面画像データのいずれかに対して検出する行方向検出手段と、検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように、前記画像形成手段に両面印刷させる両面印刷制御手段とを備えることを特徴とする複合機100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、両面が文書で印刷された原稿を両面印刷させる場合に、可読性の優れた両面印刷物を得ることが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事務機器の合理化、経費節減等から記録用紙の両面に画像記録する画像形成装置が登場しており、表面に記録したプリント済み記録用紙を自動的に裏返して(反転して)画像記録部に送り裏面にも自動的に記録プリントを連続して行う両面プリント(両面印刷)機構を備えた画像形成装置が従来から一部で採用されている。
【0003】
両面プリントでは、記録用紙を簡単に削減出来るものの、両面プリントされた用紙の特性や両面プリントされる画像データの印字濃度(画像濃度)等に応じて、両面プリント後の印刷物の可読性が著しく悪化する場合がある。即ち、従来から存在する両面プリント機構を備えた画像形成装置では、画像濃度が濃い設定のままでユーザが記録用紙を両面プリントしようとした場合、特に記録用紙の厚さが薄い場合は、表面から見た裏面プリントの画像の裏写り(透視性)が著しく、再度、ユーザが画像濃度の設定を薄く調整して両面プリントする必要があるという問題があった。
【0004】
更に、ユーザが両面プリントの設定に気づかずにOHTシート、第二原紙等をプリントしてしまった場合、OHTシート、第二原紙はほぼ透明なため、当該OHPシート等に両面プリントがなされると、裏面プリントと表面プリントが重なり合って、裏写りが著しくなる。この場合もユーザが再度、両面プリントの設定を片面プリントの設定に変更してプリントしなければならないという問題があった。上述した問題が発生すると、ユーザの手間が掛かり、記録用紙、トナーが無駄になるという二次的問題に繋がる。
【0005】
このような問題を解決する技術として、特開平07−209924号公報(特許文献1)には、記録用紙をプリント部に給紙する給紙手段と、現像形成した画像を記録紙に転写し加熱して記録用紙に定着させる画像形成手段と、片面に画像定着させた記録用紙を裏返して画像形成手段に再給紙する両面プリント給紙手段と、発光手段により発光させた光を記録用紙に照射し照射光の記録用紙透過率を検出する検出手段と、該検出手段が検出した照射光の記録用紙透過率に基づいて画像形成の制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。当該構成により、記録用紙の厚みと、透過性を検知手段で検出することにより、記録用紙の厚み毎に適した濃度制御、定着温度制御が可能となり、その結果、厚みが薄い記録用紙が給紙されても裏写りの少ない最適なプリントが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−209924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、記録用紙に光を照射する発光手段や記録用紙に対して照射された光に基づいて記録用紙の透過率を検出するセンサーが必要となり、部品点数が増加し、コストパフォーマンスに優れないという問題がある。
【0008】
又、近年では、画像形成装置に、複数枚の印刷物を簡易パンフレットとする小冊子機能や、複数の印刷物の端部に糊付け等を施す製本処理機能が付加されてきている。このような機能を実行する場合は、通常、両面印刷機能と併用して実行するため、両面印刷された印刷物の出来具合が、そのまま小冊子や製本の品質に影響する。ここで、両面印刷された印刷物について裏写りが激しい場合、裏移りの激しい両面印刷物を小冊子又は製本すると、出来上がった小冊子又は製本の品質が非常に粗悪となるという問題がある。
【0009】
当該問題は、小部数、小ロットの印刷物を印刷するオンデマンド印刷が画像形成装置に要求されている現状では、特に顕在化し、両面印刷された印刷物の裏写りを出来るだけ防止することが非常に重要となってくる。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、両面が文書で印刷された原稿を両面印刷させる場合に、可読性の優れた両面印刷物を得ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、原稿の両面画像データに基づいて用紙に両面印刷する画像形成手段を備えた画像形成装置を前提とする。
【0012】
当該画像形成装置において、両面画像データに基づいて両面印刷がされる際に、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する文字配置判定手段を備える。又、当該画像形成装置は、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合、画像データ内の複数の文字から構成される文字行の行方向が当該画像データの長手方向に対して平行か垂直かを、当該表面画像データ又は当該裏面画像データのいずれかに対して検出する行方向検出手段を備える。更に、当該画像形成装置は、検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように、前記画像形成手段に両面印刷させる両面印刷制御手段を備える。
【0013】
又、前記画像形成装置は、更に、給紙カセットを識別する給紙カセット識別情報と、給紙カセットに収納された用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行か垂直かを示す用紙向き情報とを関連付けて記憶する給紙カセット選択記憶手段を備える。そして、前記両面印刷制御手段が、検出された画像データの文字行の行方向と、前記給紙カセット選択記憶手段の用紙向き情報の示す方向とを一致させた条件で、前記画像形成手段に両面印刷させることによって、当該画像データの文字行の行方向に対して、用紙の搬送方向が平行となるように両面印刷させるよう構成することができる。
【0014】
又、前記両面印刷制御手段は、文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行であると検出された場合、前記給紙カセット選択記憶手段の用紙向き情報を参照して、用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行であることを示す用紙向き情報に対応する給紙カセット識別情報を画像形成手段に送信する。又、前記両面印刷制御手段は、文字行の行方向が画像データの長手方向に対して垂直であると検出された場合、用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して垂直であることを示す用紙向き情報に対応する給紙カセット識別情報を画像形成手段に送信することによって、当該画像形成手段に、当該給紙カセット識別情報に対応する給紙カセットの用紙に両面印刷させるよう構成できる。
【0015】
又、前記画像形成装置は、更に、給紙カセット内の用紙が存在するか否かを検知する用紙存在検知センサーを、画像形成装置に備えられた給紙カセット毎に備える。そして、前記両面印刷制御手段は、前記画像形成手段に所定の給紙カセット識別情報を送信する際に、当該給紙カセット識別情報に対応する給紙カセットの用紙存在センサーを用いて当該給紙カセットの用紙の有無を検知し、用紙が存在する場合は、前記給紙カセット識別情報を前記画像形成手段に送信し、用紙が存在しない場合は、両面画像データの文字行の行方向に対して用紙の搬送方向が平行となる所定の向きで用紙を手差しトレイにセットすることをユーザに促す画面、又は、前記給紙カセットに用紙を補給することをユーザに促す画面を表示させるよう構成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置によれば、原稿の表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが一致する場合で、両面に文字を含む原稿で両面印刷する際に、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように両面印刷されると、印刷される表面画像の文字行の配置位置と裏面画像の文字行の配置位置とが、用紙の搬送方向と垂直な方向に対して大きく変動することがない。そのため、表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが相互に重複し、両面印刷物における裏写りが発生したとしても、例えば、ユーザが表面画像の文字行を読む際に、裏面画像の文字行の裏写りが邪魔にならず、又、裏面画像の文字行についても、表面画像の文字行の裏写りが邪魔にならない。その結果、両面印刷された印刷物の内容が見辛くなく、両面印刷物の可読性を向上させることが可能となる。又、両面印刷された印刷物の可読性を向上させるために、従来から用いられていた、用紙の透過率等を測定する部材や文字行の印字位置を補正する制御回路等を必要としないから、コストパフォーマンスに優れた画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
【図3】本発明に係る複合機の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複合機の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る実行手順を示すためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたコピー設定画面の一例を示す図(図6A)と、本発明の実施形態に係る行方向検出手段が文字行の行方向を検出する方法を説明するための一例を示す図(図6B)である。
【図7】本発明の実施形態に係る給紙カセット選択テーブルの一例を示す図(図7C)と、実施例に係る印刷物の一例を示す図(図7D1)と比較例に係る印刷物の一例を示す図(図7D2)である。
【図8】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された用紙セット促し画面の一例を示す図(図8E)と、用紙補給促し画面の一例を示す図(図8F)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0019】
<画像形成装置>
以下に、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機)について説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る複合機100の内部の全体構成を示す概念図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0021】
本発明の複合機100は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。尚、一例として複合機100を利用して原稿Pの画像に対して両面印刷処理を行う際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0022】
まず、ユーザが複合機100を使用してコピーを行う場合、原稿Pを当該複合機100の上面に備えられている原稿台101に載置し、コピー機能の設定(両面印刷、給紙トレイ等)を操作部102から入力する。さらに、ユーザは操作部102に設けられたスタートキーを押下して、複合機100に両面印刷処理を開始させる。
【0023】
両面印刷処理が開始されると、複合機100は、原稿Pの表面に描かれた画像の読み取りを開始する。まず、画像読取部103において、光源104から照射された光が、前記原稿台101に置かれた原稿Pの表面に反射される。反射された光は、ミラー105、106、107によって撮像素子108に導かれる。導かれた光は前記撮像素子108により光電変換されて、前記原稿Pの表面の画像が両面印刷される際の表面の画像データとして読み取られる。
【0024】
更に、続けて、ユーザが前記原稿Pを裏返してスタートキーを押下すると、当該原稿Pの裏面の画像が、前記と同様に、両面印刷される際の裏面の画像データとして読み取られる。読み取られた表面の画像データと裏面の画像データは、画像形成部109に送られ、トナー像として転写されることとなる。
【0025】
尚、前記画像読取部103の上方に設けられた自動原稿給紙装置103aにより、当該画像読取部103が原稿Pの両面の画像を読み取るよう構成しても構わない。当該自動原稿給紙装置103aに、例えば、プラテンカバーの内部に形成された原稿搬送路と、プラテンカバーの内部に備えられたピックアップローラや搬送ローラ等を設け、当該原稿搬送路を、原稿台101から画像読取部103で読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台に通じるよう構成する。そして、例えば、読取位置Xを介して画像読取部103に対向する位置に、原稿Pの画像を読み取る所定の読取部材を設けて、原稿Pの両面の画像を並行して読み取るよう構成しても構わない。
【0026】
さて、画像形成部109には、感光体ドラム110が備えられており、当該感光体ドラム110は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器111、露光ユニット112、現像器113、転写器114、クリーニングユニット115などが積載されている。
【0027】
前記帯電器111は、前記感光体ドラム110の表面を一様に帯電させる。前記露光ユニット112は、帯電された前記感光体ドラム110の表面に、最初に表面の画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。前記現像器113は、搬送された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、前記転写器114により、記録媒体(例えば、用紙等のシート)に転写される。前記クリーニングユニット115は、前記感光体ドラム110の表面に残された余分なトナーを取り除く。これらの一連のプロセスは、前記感光体ドラム110が回転することにより実行される。
【0028】
前記用紙は、前記複合機100に備えられた複数の給紙カセット116、例えば、上段カセット116a、中段カセット116b、下段左カセット116c、下段右カセット116dから給紙され、複数の給紙カセット116にはそれぞれ異なる紙種のシートが収容されている。シートが搬送される時は、当該シートはピックアップローラ117により何れか1つの前記給紙カセット116a〜116dから搬送路へ引き出される。シートが引き出される給紙カセット116a〜116dは、ユーザが操作部102に入力した設定に基づいて決定される。
【0029】
前記搬送路に引き出されたシートは、搬送ローラ118やレジストローラ119により、感光体ドラム110と転写器114の間に送り込まれ、当該転写器114により表面の画像データに基づいたトナー像を転写され、定着装置121に搬送される。
【0030】
前記トナー像を転写されたシートが、定着装置121に備えられた加熱ローラ122と加圧ローラ123の間を通過すると、トナー像に熱と圧力が印加されて、そのトナー像がシートに定着され、原稿Pの表面画像がシートに画像形成される。前記加熱ローラ122の熱量は紙種に応じて最適に設定され、前記定着が適切に行われる。
【0031】
表面画像が画像形成されたシートは、定着装置121から最も近接した分岐点Aまで搬送される。当該分岐点Aには、画像形成後のシートを排紙トレイ124へ搬送するための搬送路Bと、両面印刷するための両面印刷搬送路Cとが接続されている。
【0032】
次に、原稿Pの裏面の画像データに基づいて画像形成処理がなされるために、表面画像が画像形成されたシートは、両面印刷搬送路Cへ導かれて、裏返され、更に、感光体ドラム110と転写器114との間の転写点Dに搬送されることとなる。当該シートが転写点Dに搬送されるまでに、感光体ドラム110上には、裏面の画像データに基づいてトナー像が形成される。そのため、当該シートが転写点Dに搬送されると、当該シートの裏面に適切に裏面の画像データのトナー像が転写されることとなる。
【0033】
前記シートの裏面に裏面の画像データのトナー像が転写されると、転写されたシートが再び定着装置121に搬送されて、定着が行なわれ、原稿Pの裏面画像がシートに画像形成される。
【0034】
両面印刷されたシートは、定着装置121から分岐点Aまで搬送され、当該分岐点Aから排紙トレイ124に導く搬送路Bへ送り込まれ、当該排紙トレイ124に積載、収容される。
【0035】
尚、前記排紙トレイ124は、複合機100の側面に備えられているが、複合機100の胴内には、胴内トレイ125も備えられており、ユーザが操作部102に入力設定することによって両面印刷されたシートを胴内トレイ125に積載させる場合もある。
【0036】
又、複合機100の側面には、載置された用紙を、感光体ドラム110と転写器114との間に搬送するように構成された構成された手差しトレイ126が備えられており、ユーザが手差しトレイ126の上に、例えば、複数枚に渡る用紙を載置させ、所定の条件(例えば、選択用紙「手差しトレイ」)を入力し、スタートキーを押下すると、当該手差しトレイ126の近傍の搬送ローラ126Aが回転し、手差しトレイ126上の用紙が感光体ドラム110と転写器114との間に搬送される。このように、給紙トレイ内の用紙以外の用紙であっても、複合機100は当該用紙に感光体ドラム110上のトナー像を転写させることが可能となる。
【0037】
以上が、複合機100での基本的な両面印刷処理である。尚、スタートキーが押下されてから原稿Pの両面(表裏面)の画像を読み取るまでの画像読取処理を実行する手段を画像読取手段402、原稿Pの表面の画像データと裏面の画像データとに基づいてトナー像を形成し、シートの表面と裏面とに、対応するトナー像を転写するまでの画像形成処理を実行する手段を画像形成手段と称する(後述する)。尚、画像形成手段は、前記搬送路Cにシートを搬送せずに、前記搬送路Bにシートを搬送することによって、片面印刷処理を実行しても構わない。
【0038】
次に、図2を用いて、複合機100の操作部102の構成を説明する。図2は、本発明に係る操作部102の全体構成を示す概念図である。
【0039】
ユーザは、前記操作部102を用いて、上述のような両面印刷機能に関する設定条件、例えば、原稿のサイズ、シートのサイズ(用紙のサイズ)等を入力したり、入力された設定条件等を確認したりする。前記設定条件が入力される場合、前記操作部102に備えられたタッチパネル201、タッチペン202、操作キー203が用いられる。
【0040】
前記タッチパネル201には、設定条件を入力する機能と当該設定条件を表示する機能が兼ね備えられている。即ち、タッチパネル201上に表示された設定画面内のキーが押下(選択)されることによって、キーに関連付けられた設定条件が複合機100に入力される。押下されたキー等の背景色は、当該押下に連動して白色から灰色へ変更されるため、キー等の背景色によって、キー等が押下されている状態であるか否かが視認される。
【0041】
タッチパネル201の近傍には、タッチペン202が備えられており、ユーザがそのタッチペン202の先をタッチパネル201に接触させると、タッチパネル下に設けられたセンサーが接触先を検知する。タッチペンの先は、ほぼ点に近いため、前記センサーは、例えば、接触先をドット単位(最小単位)で検知することとなる。従って、例えばタッチパネル201内の位置を指で指定する場合と比較すると、タッチペン202で位置指定する方がより細かい位置を正確に指定することができる。ユーザは、指先に代えてタッチペン202によりタッチパネル201上に表示されたキー等を選択することが可能である。
【0042】
更に、タッチパネル201近傍には、所定数の操作ハードキー203が設けられ、例えば、テンキー204、スタートキー205、クリアキー206、ストップキー207、リセットキー208、電源キー209、アップハードキー210、ダウンハードキー211が備えられている。
【0043】
次に、図3を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図3は、本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0044】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305を内部バス306によって接続している。前記CPU301は、例えば、RAM303を作業領域として利用し、前記ROM302、HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ305と図示しない操作部103からのデータや指示を授受し、前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、前記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、前記CPU301がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM302、HDD304等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0045】
<本発明の実施形態>
次に図4、図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る複合機100が、両面が文書で印刷された原稿を両面印刷させる場合に、可読性の優れた両面印刷物を出力する手順について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る複合機100の機能ブロック図である。図5は、本発明の実施形態に係る実行手順を示すためのフローチャートである。
【0046】
まず、ユーザが、両面印字された、A4サイズの原稿Pを両面印刷するために、当該原稿Pを自動原稿給紙装置103aの載置トレイに縦方向に載置する。ここで、原稿Pを載置トレイに縦方向に載置するとは、原稿Pの短手方向(長手方向と垂直な方向)を当該原稿Pの搬送方向(副走査方向)に一致させた状態で当該原稿Pを載置トレイに載置することを意味する。
【0047】
そして、ユーザが、複合機100の電源を投入すると、表示受付手段401が、コピー機能に関するコピー設定画面をタッチパネル201上に表示する(図6:S101)。
【0048】
図6Aは、タッチパネル201上に表示されたコピー設定画面600の一例を示す図である。
【0049】
前記コピー設定画面600には、図6Aに示すように、ユーザにコピー機能の実行を促す旨のメッセージ「コピーできます。」601と、ユーザから用紙選択、片面/両面設定、印字濃度、印刷倍率、モノクロ/カラー設定に対応する各種機能に関する設定条件を受け付けるための設定項目キー602とが表示される。尚、コピー設定画面600が表示される場合、各種機能に関する操作条件は、ユーザ(管理者等)により予め設定された初期条件(例えば、用紙選択「A4 縦」、片面/両面設定「片面」)が設定された状態で表示される。
【0050】
ここで、ユーザが、設定項目キー602のうち、片面/両面設定の「両面」キー602aを選択(押下)すると、表示受付手段401が、「両面」キー602aの背景色を「白色」から「灰色」に変更するとともに、「片面」キーの背景色を「灰色」から「白色」に変更する。
【0051】
次に、ユーザが、用紙選択「A4 縦」、片面/両面設定「両面」の設定条件を確認してスタートキー205を選択すると、表示受付手段401が、スタートキー205の選択を検知して、当該設定条件に基づいて画像形成を開始する(図6:S102)。
【0052】
ここで、表示受付手段401は、受け付けた設定条件に含まれる片面/両面設定の条件を参照して、片面/両面設定の条件が「両面」であると判定すると(図6:S103YES)、先ず、画像読取手段402に、自動原稿給送装置103aに載置された原稿Pの両面の画像データを読み取る旨を通知する。当該通知を受けた画像読取手段402は、自動原稿給紙装置103aを作動し、原稿Pの表面画像に対応する表面画像データと、当該原稿Pの裏面画像に対応する裏面画像データとを読み取る。そして、画像読取手段402は、読み取った表面画像データと裏面画像データとを一対の両面画像データとして画像データ記憶手段403に記憶させる。
【0053】
次に、表示受付手段401は、文字配置判定手段404に、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する旨を通知する。当該通知を受けた文字配置判定手段404は、両面画像データが画像データ記憶手段403に記憶されると、先ず、当該両面画像データに対応する表面画像データ及び裏面画像データの両方に文字が含まれているか(文書画像データであるか)否かを判定する(図6:S104)。
【0054】
当該判定方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法によりなされる。
【0055】
即ち、例えば、黒色が「0」で白色が「255」である範囲の濃度値の画素から構成される画像データを前提とすると、文字配置判定手段404は、最初に、表面画像データを構成する画素の濃度値と、黒色近傍の色に対応する所定の閾値(例えば、グレー色に対応する「5」)とを比較して、当該閾値未満の濃度値を有する画素を、黒色あるいは黒色近傍の色に対応する黒色画素として抽出する。次に、文字配置判定手段404は、抽出した複数の黒色画素が相互に隣接(連続)しているか否かを判定することにより、複数の黒色画素から構成される画素領域(黒色画素領域とする)を抽出する。そして、文字配置判定手段404は、抽出した黒色画素領域が、例えば、所定の文字サイズに対応するサイズ内であるか否か、所定の文字の形状と同一又は類似の形状を有しているか否か等を判定することにより、黒色画素領域が文字であるか否かを判定する。黒色画素領域が文字であれば、表面画像データには文字が含まれていることとなり、文字配置判定手段404は、裏面画像データについても、同様の方法により、文字が含まれているか否かを判定する。
【0056】
尚、当該判定は、所定数の黒色画素領域についてなされても、所定領域内の黒色画素領域についてなされても、表面画像データの全領域内の黒色画素領域についてなされても構わない。
【0057】
前記判定の結果、表面画像データには文字が含まれていない、あるいは表面画像データには文字が含まれているが裏面画像データには文字は含まれていない場合(図6:S104NO)、このような両面画像データに基づいて両面印刷が実行されても裏写りの問題が生じないため、文字配置判定手段404は、当該表面画像データと当該裏面画像データとに基づいて両面印刷を実行するように、画像形成手段405に通知する。この場合は、画像形成手段405が、表示受付手段401から設定条件を受けるとともに、両面画像データに基づいて両面印刷を実行することになる(図6:S105)。
【0058】
一方、前記判定の結果、表面画像データと裏面画像データの両方に文字が含まれている場合(図6:S104YES)、次に、文字配置判定手段404は、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する(図6:S106)。
【0059】
当該判定方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法によりなされる。
【0060】
即ち、文字配置判定手段404が、表面画像データ内の所定の領域(例えば、表面画像データの中心位置を中心として一辺が2cmの正方形の領域)に含まれる複数の文字(例えば、9個の文字)の中心位置(XY座標値等)を文字毎に算出し、同様に、当該領域に対応する裏面画像データ内の領域に含まれる複数の文字(例えば、9個の文字)の中心位置を算出する。次に、文字配置判定手段404が、算出した表面画像データにおける複数の文字の中心位置と、裏面画像データにおける複数の文字の中心位置とを文字毎に比較して、両者が一致する文字の個数を計数し、計数した文字の個数に対して所定の領域に含まれる文字数(9個の文字)を除算した割合(以下、判定割合とする)を算出し、当該判定割合が所定の割合(例えば、70%)を超過するか否か判定する。判定割合が所定の割合を超過していれば、文字配置判定手段404は、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致したと判定する(図6:S106YES)。
【0061】
一方、当該判定の結果、判定割合が所定の割合未満の場合(図6:S106NO)、このような両面画像データに基づいて両面印刷が実行されても裏写りの問題が生じないため、文字配置判定手段404は、当該表面画像データと当該裏面画像データとに基づいて両面印刷を実行するように、画像形成手段405に通知し、当該画像形成手段405は、両面画像データに基づいて両面印刷を実行することになる(図6:S105)。
【0062】
さて、文字配置判定手段404が、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致したと判定すると(図6:S106YES)、当該判定結果を、行方向検出手段406に通知する。当該通知を受けた行方向検出手段406は、画像データ内の複数の文字から構成される文字行の行方向が当該画像データの長手方向に対して平行か垂直かを、当該表面画像データ又は当該裏面画像データのいずれかに対して検出する(図6:S107)。
【0063】
当該検出方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法によりなされる。
【0064】
図6Bは、行方向検出手段406が文字行の行方向を検出する方法を説明するための一例を示す図である。
【0065】
即ち、行方向検出手段406が、両面画像データのうち、表面画像データを選択し、選択した表面画像データから縦辺603の長さ(走査方向の長さに対応する)と横辺604の長さ(副走査方向の長さに対応する)とを比較することによって長い辺を特定し、長い辺の軸方向を表面画像データの長手方向として決定する。次に、行方向検出手段406は、表面画像データ内の所定の領域(例えば、図6Bでは、表面画像データの中心位置を中心として一辺が2cmの正方形の領域605)に含まれる複数の文字(図6Bでは、9つの文字)を選択し、選択した複数の文字のうち、中心に位置する文字(図6Bでは、「E」606)を一つ特定する。そして、行方向検出手段406は、特定した文字「E」606(特定文字とする)に対して、先ほど決定した長手方向に隣接する文字(長手方向文字とする)を1つ選択する。ここで、特定文字「E」606に対して長手方向文字が2つ存在する場合(図6Bでは、「D」607、「F」608)、行方向検出手段406は、ユーザにより予め設定された方向(図6Bでは、上方向)の長手方向文字(図6Bでは、「D」607)を1つ選択する。そして、行方向検出手段406は、特定文字「E」606と長手方向文字「D」607との間の距離LD(長手方向距離とする)を算出する。ここで、文字間の距離の算出方法は、例えば、図6Bに示すように、特定文字「E」606を囲む最小枠609と、長手方向文字「D」607を囲む最小枠610との間の距離LDを算出する方法が採用されるが、他の方法として、特定文字の中心位置と長手方向文字の中心位置との間の距離を算出する方法でも構わない。
【0066】
次に、行方向検出手段406は、特定文字「E」606に対して長手方向と垂直な短手方向に隣接する文字(図6Bでは、「E」606に対して左方向の「H」611、以下、短手方向文字とする)を1つ選択し、選択した短手方向文字「H」611と特定文字「E」606との間の距離SD(短手方向距離とする)を算出する。そして、行方向検出手段406が、算出した長手方向距離LDと短手方向距離SDとを比較して、長手方向距離LDが短い場合は、文字行の行方向が長手方向に対して平行であると検出し、短手方向距離SDが短い場合は、文字行の行方向が長手方向に対して垂直であると検出する。
【0067】
尚、表面画像データについての文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行か垂直かを検出した場合、既に、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字配置とが一致していると判定されているため、表面画像データ内の文字行の行方向と、裏面画像データ内の文字行の行方向とは、当然に一致(平行)するから、続けて、裏面画像データ内の文字行の行方向に関する検出をしなくてもよい。
【0068】
行方向検出手段406が、表面画像データについて文字行の行方向が表面画像データの長手方向に対して平行か垂直かを検出すると(図6:S107)、当該検出結果を両面印刷制御手段407に送信する。当該検出結果を受けた両面印刷制御手段407は、検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように、前記画像形成手段405に両面印刷させる。
【0069】
検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように両面印刷される方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法によりなされる。
【0070】
即ち、両面印刷制御手段407が、前記検出結果として、表面画像データの文字行の行方向が表面画像データの長手方向に対して平行か垂直かを示す検出結果情報(例えば、画像データの文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行であることを示す「1」、垂直であることを示す「0」)を受信すると、給紙カセット選択記憶手段408に記憶された給紙カセット選択テーブルを参照する。
【0071】
図7Cは、給紙カセット選択テーブル700の一例を示す図である。
【0072】
図7Cに示すように、給紙カセット選択テーブル700には、給紙カセットを識別する給紙カセット識別情報701(例えば、「A01」等)と、当該給紙カセットに収納された用紙のサイズを示す情報702(用紙サイズとする)と、当該給紙カセットに収納された用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行か垂直かを示す情報703(用紙向き情報とする)とが関連付けて記憶されている。尚、前記用紙向き情報703は、例えば、用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行であることを示す「1」、垂直であることを示す「0」が採用される。当該「1」は、設定項目の用紙選択において用紙の向き「横」に対応し、当該「0」は、設定項目の用紙選択において用紙の向き「縦」に対応する。参考に、前記給紙カセット識別情報701と前記用紙サイズ702と前記用紙向き情報703とに対応する設定項目の用紙選択を、図7Cに示す給紙カセット選択テーブル700に追加すれば、給紙カセット識別情報「A01」は、例えば、用紙選択「A4 横」に、「A02」は、「A3 横」に対応することになる。
【0073】
給紙カセット選択テーブル700を参照した両面印刷制御手段407は、受信した検出結果情報(例えば、「1」)と、用紙向き情報703(「1」又は「0」)とを比較して、両者が一致する場合に、一致する用紙向き情報703に対応する給紙カセット識別情報701と用紙サイズ702と(図7Cでは、「A01」、「A4」と、「A02」、「A3」)を給紙カセット選択テーブル700から取得する(図6:S108)。
【0074】
ここで、用紙の長手方向は両面画像データの長手方向に対応するため、前記検出結果情報と前記用紙向き情報703とが一致すること、言い換えると、用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行であり、且つ、両面画像データの文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行であることは、用紙の搬送方向が、両面画像データの文字行の行方向に対して平行であることを意味する。従って、当該取得した給紙カセット識別情報701に対応する給紙カセットから用紙が給紙され、当該用紙に両面画像データに基づいて両面印刷がなされれば、当該両面画像データの文字行の行方向に対して用紙の搬送方向が平行となるように両面印刷がなされることになる。
【0075】
さて、前記検出結果情報と前記用紙向き情報703とが一致する給紙カセット識別情報701と用紙サイズ702とを取得した両面印刷制御手段407は、表示受付手段401から設定条件の用紙選択「A4 縦」、即ち、ユーザが入力した給紙カセット識別情報「A03」(入力給紙カセット識別情報とする)と用紙サイズ「A4」(入力用紙サイズとする)とを取得する。そして、両面印刷制御手段407は、取得した入力給紙カセット識別情報「A03」に対応する入力用紙サイズ「A4」と、給紙カセット選択テーブル700から取得した用紙サイズ702(「A4」、「A3」)とを比較して、両者が一致する給紙識別情報「A01」に係る給紙カセットを、画像形成手段405が両面印刷する際に用紙を給紙する給紙カセットとして決定する(図6:S109)。
【0076】
給紙カセット識別情報701を決定すると、両面印刷制御手段407は、決定した給紙カセット識別情報701を画像形成手段405に送信する。当該給紙カセット識別情報701を受信した画像形成手段405は、当該給紙カセット識別情報701に対応する給紙カセットから用紙を給紙し、当該用紙に両面画像データに対応する両面画像を両面印刷する(図6:S105)。具体的には、画像形成手段405は、給紙識別情報「A01」(設定項目の用紙選択「A4 横」)の給紙カセットから用紙を給紙し、当該用紙に両面画像データに対応する両面画像を両面印刷する。このように、両面印刷制御手段407が、ユーザから受け付けた用紙選択の設定条件「A4 縦」を特定の設定条件「A4 横」に変更することによって、画像形成手段405が、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように、両面印刷を実行することになる。
【0077】
尚、原稿Pの片面印刷に関しては、以下の手順となる。即ち、スタートキー305の選択を検知した表示受付手段401が、受け付けた設定条件に片面/両面設定が「片面」であると判定すると(図6:S103NO)、両面印刷による裏写りの問題が生じないため、画像読取手段402に、原稿Pの片面の画像データを読み取らせるとともに、画像形成手段405に、片面の画像データに基づいて用紙に画像形成させる(図6:S110)。これは、通常の片面印刷処理である。
【0078】
<本発明の作用・効果、実施例、比較例について>
ここで、本発明の実施形態に係る複合機の作用・効果について説明する。
【0079】
まず、実施例として、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように両面印刷された場合について説明する。尚、原稿Pの表面画像の文字行のサイズ、数、配置と、裏面画像の文字行のサイズ、数、配置とが同一であることを前提に説明する。
【0080】
図7D1は、実施例に係る印刷物の一例を示す図である。尚、文字行を構成する文字の種類、サイズ等は、発明の要旨と殆ど関係ないため、省略している。又、印刷された表面画像の文字行は実線で示し、印刷された裏面画像の文字行は破線で示している。
【0081】
図7D1に示すように、印刷された表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが殆ど重複し、両者の配置位置のズレが用紙の搬送方向と垂直な方向(用紙の短手方向)に対して約0.1mmであった。このように、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように両面印刷がなされると、表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが相互に殆ど重複し、例えば、ユーザが表面画像の文字行を読む際に、裏面画像の文字行の裏写りが邪魔にならず、又、裏面画像の文字行についても、表面画像の文字行の裏写りが邪魔にならず、両面印刷された印刷物の可読性を向上させることが可能となる。
【0082】
次に、比較例として、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して垂直となるように両面印刷された場合について説明する。
【0083】
図7D2は、比較例に係る印刷物の一例を示す図である。
【0084】
図7D2に示すように、印刷された表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが殆ど重複せずに、表面画像の文字行と裏面画像の文字行とが近接(隣接)し、両者の配置位置のズレが用紙の短手方向(用紙の搬送方向)に対して約5mmであった。このように、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して垂直となるように両面印刷がなされると、表面画像の文字行と裏面文字の文字行とが相互に近接して両面印刷がなされ、例えば、ユーザが表面画像の文字行を読む際に、当該表面画像の文字行に近接する裏面画像の文字行が裏写りする(浮かび上がる)こととなり、表面画像の文字行を読むユーザが、裏面画像の文字行と表面画像の文字行とを混同し易くなる。そのため、表面画像の文字行を読み辛くなり、両面印刷された印刷物の可読性が悪くなることが理解される。
【0085】
本発明の作用・効果は、原稿Pの表面画像の文字行のサイズ、数、配置(文書フォーマット)と、裏面画像の文字行のサイズ、数、配置(文書フォーマット)とが一致していることを前提にして説明したが、両面印刷された原稿Pの表面画像の文書フォーマットと裏面画像の文書フォーマットとは、殆どの場合、同一又は類似する形態であるため、両者の文書フォーマットが多少異なっていても、前記文字配置判定手段404が両者の文字の配置が一致していると判定した範囲内における両面印刷物については、上述した作用・効果を奏する。
【0086】
ところで、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合で、用紙の搬送方向を両面画像データの文字行の行方向に対して平行とするか垂直とするかによって、印刷される表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが変動する理由は、以下の通りである。
【0087】
即ち、給紙カセットに収納された用紙を搬送する場合、給紙カセットに設けられたピックアップローラを回転することにより、当該ピックアップローラに当接する用紙が当該ピックアップローラの回転力(摩擦力)を受けて、回転方向に移動を開始し、画像形成部109に搬送される。ここで、搬送される用紙の搬送速度は、ピックアップローラから受ける摩擦力の強弱、つまり、用紙が受けるピックアップローラの当接の程度に応じて多少変動する。用紙の搬送速度が多少変動すると、給紙カセットから搬送された用紙が画像形成部109に到達するタイミングが変動することになる。一方、画像形成部109では、予め演算された、当該用紙の画像形成部109に到達するタイミングに基づいて当該用紙に画像形成するトナー像(あるいは静電潜像)を感光体ドラム110に形成することになるから、用紙に印刷された画像の文字行の配置位置は、原稿Pから読み取られた画像データの文字行の配置位置と比較すると、当該タイミングの変動に応じて用紙の搬送方向に平行に多少変動することになる。両面印刷する際に、例えば、表面画像データに基づいて画像形成された表面画像の文字行の配置位置が、用紙の搬送方向に平行に変動すると、後続の裏面画像データに基づいて画像形成する裏面画像の文字行の配置位置にも影響を及ぼす。その結果、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合であっても、印刷される表面画像の文字行の配置位置と裏面画像の文字行の配置位置とが用紙の搬送方向に平行に変動することになる。
【0088】
一方、用紙の搬送方向と垂直な方向については、上述した用紙搬送によるタイミングの変動の影響は殆ど受けることがない。そのため、例えば、上述したように、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合、外乱の影響を受けることがあっても、印刷される表面画像の文字行の配置位置と裏面画像の文字行の配置位置とは用紙の搬送方向と垂直な方向に対して殆ど一致することになる。その結果、上述した本発明の作用・効果を得ることが可能となるのである。
【0089】
このように、本発明の複合機では、両面画像データに基づいて両面印刷がされる際に、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する文字配置判定手段404と、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合、画像データ内の複数の文字から構成される文字行の行方向が当該画像データの長手方向に対して平行か垂直かを、当該表面画像データ又は当該裏面画像データのいずれかに対して検出する行方向検出手段406と、検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように、前記画像形成手段405に両面印刷させる両面印刷制御手段407とを備える。
【0090】
当該構成により、原稿の表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが一致する場合で、両面に文字を含む原稿で両面印刷する際に、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように両面印刷されると、印刷される表面画像の文字行の配置位置と裏面画像の文字行の配置位置とが、用紙の搬送方向と垂直な方向に対して大きく変動することがない。そのため、表面画像の文字行の配置と裏面画像の文字行の配置とが相互に重複し、両面印刷物における裏写りが発生したとしても、例えば、ユーザが表面画像の文字行を読む際に、裏面画像の文字行の裏写りが邪魔にならず、又、裏面画像の文字行についても、表面画像の文字行の裏写りが邪魔にならない。その結果、両面印刷された印刷物の内容が見辛くなく、両面印刷物の可読性を向上させることが可能となる。又、両面印刷された印刷物の可読性を向上させるために、従来から用いられていた、用紙の透過率等を測定する部材や文字行の印字位置を補正する制御回路等を必要としないから、コストパフォーマンスに優れた複合機を提供することが可能となる。
【0091】
尚、本発明の実施形態に係る両面印刷制御手段407は、決定した給紙カセット識別情報701を画像形成手段405にそのまま送信するよう構成したが、更に、他の構成を追加しても構わない。例えば、両面印刷制御手段407が、特定の給紙カセット識別情報701を決定すると、当該給紙カセット識別情報701に対応する給紙カセット内の用紙が存在するか否かを検知する。当該検知方法は、例えば、各給紙カセットに予め設けられた、収納された用紙から反射される光を検知することによって、用紙の存在の有無を検知する用紙存在検知センサーのオン/オフ信号を、両面印刷制御手段407が取得して、用紙の存在を検知すればよい。この際、両面印刷制御手段407は、決定された給紙カセット識別情報701に対応する給紙カセットの用紙存在検知センサーに対して、上述した検知処理を実行することになる。
【0092】
当該検知の結果、用紙が存在する場合は、両面印刷制御手段407が、給紙カセット識別情報701を画像形成手段405に送信し、用紙が存在しない場合は、両面印刷制御手段407は、表示受付手段401に、手差しトレイに所定の向きで用紙をセットする旨を表示する用紙セット促し画面をタッチパネル201上に表示させる。
【0093】
図8Eは、タッチパネル201上に表示された用紙セット促し画面800の一例を示す図である。
【0094】
前記用紙セット促し画面800には、図8Eに示すように、ユーザに両面印刷することを知らせる旨のメッセージ「両面印刷を開始します。」801と、両面画像データの文字行の行方向を示す旨のメッセージ「両面画像データの文字行の行方向が縦方向です。」802と、給紙カセットの用紙の向きを示す旨のメッセージ「給紙カセットの用紙の向きが縦方向です。」803と、ユーザに手差しトレイで用紙を横向きにセットすると裏写りを防止することが出来る旨を知らせるメッセージ「手差しトレイに、用紙の向きが横向きになるようにセットすると、両面印刷による裏写りを防止出来ます。」804と、手差しトレイにセットした用紙に両面印刷を実行させるための「手差しトレイから給紙」キー805と、手差しトレイにセットした用紙ではなく設定条件の給紙カセットの用紙に両面印刷を実行させるための「そのまま両面印刷」キー806とが表示される。
【0095】
前記用紙セット促し画面800を見ながら、例えば、ユーザが、用紙を手差しトレイ126に横向き(用紙の搬送方向と用紙の長手方向とが一致する向き)にセットして、前記「手差しトレイから給紙」キー805を選択すれば、両面印刷制御手段407は、手差しトレイ126に対応する給紙カセット識別情報を画像形成手段405に送信する。すると、当該給紙カセット識別情報を受信した画像形成手段405は、手差しトレイ126に設けられた搬送ローラ126Aを作動して、手差しトレイ126の用紙に両面印刷を実行することになる。これにより、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように両面印刷が実行され、両面印刷物の裏移りを防止することが可能となる。
【0096】
一方、裏写りが激しくてもよいと思ったユーザは、手差しトレイ126に用紙を載置させずに、前記「そのまま両面印刷」キー806を選択すれば、両面印刷制御手段407は、決定された給紙カセット識別情報(用紙不存在の給紙カセットの給紙識別情報)を画像形成手段405に送信することなく、当該画像形成手段405に、両面印刷を実行する旨を通知する。当該通知を受けた画像形成手段405は、ユーザから受け付けた設定条件、又は初期条件で指定された給紙カセットの用紙に両面印刷を実行することになる。
【0097】
当該構成により、特定の給紙カセットに用紙が存在しない場合であっても、両面印刷制御手段407が、用紙セット促し画面を用いて、ユーザに用紙を所定の向きで手差しトレイに載置するように促し、裏写りの激しさを防止することが可能となる。
【0098】
又、所定の給紙カセット識別情報に対応する給紙カセットの用紙が存在しない場合、両面印刷制御手段407は、用紙セット促し画面800に代えて、表示受付手段401に、前記給紙カセットに用紙を補給する旨を表示する用紙補給促し画面をタッチパネル201上に表示させても構わない。
【0099】
図8Fは、タッチパネル201上に表示された用紙補給促し画面807の一例を示す図である。
【0100】
前記用紙補給促し画面807には、図8Fに示すように、ユーザに両面印刷することを知らせる旨のメッセージ801と、両面画像データの文字行の行方向を示す旨のメッセージ802と、給紙カセットの用紙の向きを示す旨のメッセージ803と、ユーザに所定の給紙カセット(例えば、「A4 横」)に用紙を補給して当該給紙カセットの用紙で両面印刷すると裏写りを防止することが出来る旨を知らせるメッセージ「「A4 横」に対応する給紙カセットの用紙がありません。当該給紙カセットで両面印刷すると、裏写りを防止出来ます。」808と、所定の給紙カセットの用紙に両面印刷を実行させるための「「A4 横」で両面印刷」キー809と、用紙を補給せずに設定条件の給紙カセットの用紙に両面印刷を実行させるための「そのまま両面印刷」キー810とが表示される。
【0101】
前記用紙補給促し画面807を見ながら、例えば、ユーザが、用紙を「A4 横」の給紙カセットに補給して、前記「「A4 横」で両面印刷」キー809を選択すれば、両面印刷制御手段407は、「A4 横」に対応する給紙カセット識別情報を画像形成手段405に送信する。すると、当該給紙カセット識別情報を受信した画像形成手段405は、「A4 横」に対応する給紙カセットの用紙に両面印刷を実行することになる。これにより、用紙の搬送方向が両面画像データの文字行の行方向に対して平行となるように両面印刷が実行され、両面印刷物の裏移りを防止することが可能となる。
【0102】
一方、裏写りが激しくてもよいと思ったユーザは、前記「そのまま両面印刷」キー810を選択すれば、両面印刷制御手段407は、決定された給紙カセット識別情報(用紙不存在の給紙カセットの給紙識別情報)を画像形成手段405に送信することなく、当該画像形成手段405に、両面印刷を実行する旨を通知する。当該通知を受けた画像形成手段405は、ユーザから受け付けた設定条件、又は初期条件で指定された給紙カセットの用紙に両面印刷を実行することになる。
【0103】
当該構成でも、両面印刷制御手段407が、用紙補給促し画面を用いて、ユーザに所定の給紙カセットに用紙を補給するように促し、裏写りの激しさを防止することが可能となる。
【0104】
又、本発明の実施形態に係る文字配置判定手段404は、表面画像データ内の所定の領域に含まれる複数の文字の中心位置を文字毎に算出するとともに、当該領域に対応する裏面画像データ内の領域に含まれる複数の文字の中心位置を文字毎に算出し、当該表面画像データにおける文字の中心位置と、当該裏面画像データにおける文字の中心位置とを文字毎に比較して、両者が一致する文字の個数を計数した。ここで、両者が完全に一致する必要はなく、例えば、表面画像データの文字の中心位置と、裏面画像データの文字の中心位置との間の距離が、所定の閾値内であれば、両者は一致すると判定しても構わない。
【0105】
又、本発明の実施形態に係る文字配置判定手段404は、表面画像データにおける文字の中心位置と裏面画像データにおける文字の中心位置とが一致する文字の個数に基づいて、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定したが、他の構成でも構わない。例えば、文字配置判定手段404が、表面画像データ、裏面画像データに含まれる複数の文字を相互に連結したり、二値化処理等の画像劣化処理等を施したりして、当該表面画像データ、当該裏面画像データのそれぞれの文字配置パターンを生成し、生成した表面画像データの文字配置パターンと当該裏面画像データの文字配置パターンとが一致するか否かを判定することによって、両者の文字の配置が一致するか否かを判定するよう構成してもよい。
【0106】
又、本発明の実施形態に係る行方向検出手段406は、画像データ内の複数の文字から構成される文字行の行方向が当該画像データの長手方向に対して平行か垂直かを検出する際に、上述した長手方向距離LDと短手方向距離SDとを比較して、長手方向距離LDが短い場合は、文字行の行方向が長手方向に対して平行であると検出し、短手方向距離SDが短い場合は、文字行の行方向が長手方向に対して垂直であると検出するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、行方向を示す情報(平行か、垂直か)と、当該行方向で所定数の文字行が配置された、所定数の文字配置パターンとを関連付けたテーブルを予め用意しておき、行方向検出手段406が、表面画像データ又は裏面画像データの文字に、最短距離の文字を連結する処理を施したり、前記画像劣化処理等を施したりして、画像データの文字配置パターンを取得し、取得した文字配置パターンと、前記テーブルの文字配置パターンとを照合することで、照合した文字配置パターンの行方向を示す情報を取得して、文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行か垂直かを検出するよう構成しても構わない。又、行方向検出手段406が、表面画像データ又は裏面画像データの文字以外の領域、即ち、白色画素領域の連続した形状を抽出し、当該形状の軸方向を文字行の行方向として検出することによって、文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行か垂直かを検出するよう構成しても構わない。
【0107】
その他に、表面画像データ内の文字の配置と裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する方法、文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行か垂直かを検出する方法は、画像データの文字の特徴、例えば、文字の大きさ、文字間の距離、複数の文字から決定される文字列の直線性、文字の形状、複数の文字からなる文字配置パターン、文字以外の領域の形状、その直線性、白色領域の形状、その直線性、そのパターン等に基づいてなされても構わない。
【0108】
又、本発明の実施形態に係る両面印刷制御手段407は、検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように、用紙選択の設定条件を変更することによって、前記画像形成手段405に両面印刷させたが他の方法でも構わない。例えば、ユーザから入力された用紙選択の設定条件(例えば、「A4 横」)と、給紙カセット選択テーブルの用紙向き情報とに基づいて、用紙の搬送方向を決定し、決定された用紙の搬送方向に対して、行方向検出手段が検出した両面画像データの文字行の行方向が平行となるように、両面画像データを回転させて、画像データ記憶手段に再記憶させる(再設定させる)よう構成しても構わない。具体的には、用紙選択の設定条件が「A4 横」であれば、当該「A4 横」に係る給紙カセットに収納された用紙の搬送方向が、用紙向き情報「1」に基づいて、用紙の長手方向に対して平行である。一方、画像データ記憶手段に記憶された両面画像データの文字行の行方向が、当該両面画像データの長手方向に対して垂直である場合、両面印刷制御手段が、当該両面画像データの文字行の行方向が、当該両面画像データの長手方向に対して平行となるように、両面画像データを時計回りに90度回転、又は、反時計回りに90度回転させてから、画像データ記憶手段に再記憶させるようにする。当該構成としても、本発明の作用・効果を得ることが可能となる。
【0109】
尚、本発明の実施形態では、複合機100が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを画像形成装置に読み出させ、その画像形成装置が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、両面が文書で印刷された原稿を両面印刷させる場合に、可読性の優れた両面印刷物を得ることが可能な画像形成装置として有効である。
【符号の説明】
【0111】
100 複合機
401 表示受付手段
402 画像読取手段
403 画像データ記憶手段
404 文字配置判定手段
405 画像形成手段
406 行方向検出手段
407 両面印刷制御手段
408 給紙カセット選択記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の両面画像データに基づいて用紙に両面印刷する画像形成手段を備えた画像形成装置において、
両面画像データに基づいて両面印刷がされる際に、表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致するか否かを判定する文字配置判定手段と、
表面画像データ内の文字の配置と、裏面画像データ内の文字の配置とが一致する場合、画像データ内の複数の文字から構成される文字行の行方向が当該画像データの長手方向に対して平行か垂直かを、当該表面画像データ又は当該裏面画像データのいずれかに対して検出する行方向検出手段と、
検出された画像データの文字行の行方向に対して、両面画像データに基づいて両面印刷される用紙の搬送方向が平行となるように、前記画像形成手段に両面印刷させる両面印刷制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、給紙カセットを識別する給紙カセット識別情報と、給紙カセットに収納された用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行か垂直かを示す用紙向き情報とを関連付けて記憶する給紙カセット選択記憶手段を備え、
前記両面印刷制御手段が、検出された画像データの文字行の行方向と、前記給紙カセット選択記憶手段の用紙向き情報の示す方向とを一致させた条件で、前記画像形成手段に両面印刷させることによって、当該画像データの文字行の行方向に対して、用紙の搬送方向が平行となるように両面印刷させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記両面印刷制御手段は、文字行の行方向が画像データの長手方向に対して平行であると検出された場合、前記給紙カセット選択記憶手段の用紙向き情報を参照して、用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して平行であることを示す用紙向き情報に対応する給紙カセット識別情報を画像形成手段に送信し、
文字行の行方向が画像データの長手方向に対して垂直であると検出された場合、用紙の搬送方向が用紙の長手方向に対して垂直であることを示す用紙向き情報に対応する給紙カセット識別情報を画像形成手段に送信することによって、当該画像形成手段に、当該給紙カセット識別情報に対応する給紙カセットの用紙に両面印刷させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、給紙カセット内の用紙が存在するか否かを検知する用紙存在検知センサーを、画像形成装置に備えられた給紙カセット毎に備え、
前記両面印刷制御手段は、前記画像形成手段に所定の給紙カセット識別情報を送信する際に、当該給紙カセット識別情報に対応する給紙カセットの用紙存在センサーを用いて当該給紙カセットの用紙の有無を検知し、
用紙が存在する場合は、前記給紙カセット識別情報を前記画像形成手段に送信し、
用紙が存在しない場合は、両面画像データの文字行の行方向に対して用紙の搬送方向が平行となる所定の向きで用紙を手差しトレイにセットすることをユーザに促す画面、又は、前記給紙カセットに用紙を補給することをユーザに促す画面を表示させる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−128426(P2011−128426A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287717(P2009−287717)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】