説明

画像形成装置

【課題】印刷条件が自動的に設定されるようにした場合、使用者が望まない印刷条件で出力が行われたり、出力されては都合の悪い条件で印刷されることがある。
【解決手段】使用者が印刷条件の変更を要求すると、当該使用者のユーザIDと使用権限表から当該使用者の現在の使用権限を取得し、要求された印刷条件の変更が、当該使用者の使用権限によって可能か否かを判別し、変更可能な使用権限を有する使用者であれば、要求された内容に印刷条件の設定を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に使用者に曜日や時間によって変動する使用権限を設定して、使用権限のあるときには設定変更可能とし、使用権限のないときには設定変更を不可とする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。また、本願の「画像形成装置」には液体吐出方式のものに限らず、電子写真方式で画像形成を行なうものなども含まれるが、以下では液体吐出方式の画像形成装置で説明する。
【0004】
従来、曜日や日時によって装置の設定を変更するものとして、例えば、予め装置の使用頻度を装置本体に設定しておき(もしくは装置本体に学習させ)、その設定内容とリアルタイムクロック(RTC)の取得時間を照らし合わせ、装置があまり使われない時間帯は省エネモードへの移行時間を短くし、装置が良く使われる時間帯は同移行時間を長くするものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−101919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、画像形成装置による印刷の条件をホスト側からの指示に関係なく曜日や時間に応じて予め定めた条件に自動的に設定するように構成することが考えられる。例えば、装置の印刷条件を、モノクロ印刷、両面印刷、集約印刷に強制的に設定し、ホスト側からカラー印刷が指示されても、モノクロ印刷で出力するようにするというものである。このような構成を採用することで、消耗品(記録剤や用紙)の無駄な消費を抑えることができる。
【0007】
しかしながら、他方、このような構成を採用すると、使用者が望まない印刷条件で出力が行われたり、出力されては都合の悪い条件で印刷されることがあるという課題が生じる。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、印刷条件が自動的に設定される場合でも印刷条件の変更を可能とするとともに、印刷条件の不必要な変更が行われないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
使用者を識別する識別手段と、
現在の日付、曜日及び時間情報を取得する取得手段と、
前記取得した現在の日付、曜日及び時間情報に応じて予め定めた印刷条件に設定する印刷条件設定手段と、
曜日及び時間毎に割り当てられた使用権限情報を保持する保持手段と、
使用者から前記印刷条件の変更を指示されたときに、前記識別手段と前記保持手段に保持された使用権限情報に基づいて変更を指示した当該使用者が使用権限を有するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別の結果、前記変更を指示した当該使用者が使用権限を有するときには、指示された内容に前記印刷条件を変更する手段と、を備えている
構成とした。
【0010】
ここで、前記使用権限の内容が前記使用者に応じて異なる構成とできる。
【0011】
また、緊急出力が指示されたときには、使用権限を有しない当該使用者による指示された内容に前記印刷条件を変更する構成とできる。
【0012】
この場合、前記緊急出力が指示されて指示された内容に印刷条件を変更して印刷を行なうとき、印刷可能な回数を制限する構成とできる。
【0013】
また、前記緊急出力が指示されて指示された内容に変更して印刷を行なうとき、印刷出力に緊急印刷であること示す情報を付加して印刷を行う構成とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置によれば、使用者を識別する識別手段と、現在の日付、曜日及び時間情報を取得する取得手段と、前記取得した現在の日付、曜日及び時間情報に応じて予め定めた印刷条件に設定する印刷条件設定手段と、曜日及び時間毎に割り当てられた使用権限情報を保持する保持手段と、使用者から前記印刷条件の変更を指示されたときに、前記識別手段と前記保持手段に保持された使用権限情報に基づいて変更を指示した当該使用者が使用権限を有するか否かを判別する判別手段と、前記判別手段の判別の結果、前記変更を指示した当該使用者が使用権限を有するときには、指示された内容に前記印刷条件を変更する手段と、を備えている構成としたので、印刷条件が自動的に設定される場合でも印刷条件の変更が可能となるとともに、印刷条件の不必要な変更が行われないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す外観斜視説明図である。
【図2】同装置の機構部の側面説明図である。
【図3】同じく平面説明図である。
【図4】同じく制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図5】印刷条件の設定の説明に供するフロー図である。
【図6】印刷条件の変更要求処理の説明に供するフロー図である。
【図7】同じく図6の使用権限表の一例の説明に供する説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態における緊急印刷時設定変更処理の説明に供するフロー図である。
【図9】本発明の第3実施形態における緊急設定変更印刷処理の説明に供する説明図である。
【図10】同じく使用権限と累計使用回数の説明に供する説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態における緊急設定変更印刷の他の例の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の外観斜視説明図、図2は同装置の機構部の側面説明図、図3は同じく平面説明図である。
【0017】
この画像形成装置は、図1に示すように、画像形成を行う装置本体1の上部に画像を読取る画像読取り手段(スキャナ手段)2を備えている。装置本体1には、機構部に給紙する用紙をストックする給紙カセット3が着脱自在に装着され、給紙カセット3の上方には画像が形成されて排出される用紙をストックする排紙トレイ4が装着されている。また、装置本体1の前面側にはインクカートリッジを装着するカートリッジ装着部5を有し、更に各種操作信号の入力や表示情報を表示する操作/表示部(操作パネル)6が配置されている。
【0018】
そして、装置本体1の内部には、図2及び図3に示すように、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0019】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0020】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、記録ヘッド34としては、1つのノズル面に複数のノズルを並べた各色のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
【0021】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部としてのサブタンクであるサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0022】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0023】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送する搬送ベルト51を備えている。
【0024】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0025】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0026】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。
【0027】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0028】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。そして、帯電された搬送ベルト51に用紙42が吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0030】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0031】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0032】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司る本発明に係る各種制御を行う手段を兼ねたCPU501と、CPU501が実行する本発明に係る制御を行なうためのプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505と、ホストI/O106と、現在の日付、曜日、時間(時刻)を計時するリアルタイムクロック(RTC)507と、スキャナ手段2を制御するスキャナ制御部516とを備えている。
【0033】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511などを備えている。
【0034】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0035】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。また、スキャナ2からの原稿画像の読取り情報をスキャナ制御部516を介して取り込む。
【0036】
そして、制御部500のCPU501は、ホスト側からの受信データに関しては、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。また、スキャナ2からの原稿画像の読取りデータについては、必要な入力補正処理、出力処理を行って画像データを生成し、印刷制御部508に転送する。
【0037】
印刷制御部508は、上述した画像データをヘッドドライバ509にシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0038】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0039】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0040】
この制御部500におけるCPU501は、使用者を識別する識別手段と、RTC507を通じて現在の日付(年月日)と時刻(時分秒)の情報を取得して、現在の日付、曜日及び時間情報を取得する取得手段と、取得した現在の日付、曜日及び時間情報に応じて予め定めた印刷条件に設定する印刷条件設定手段と、使用者から印刷条件の変更を指示されたときに、識別手段とVRAM505などの保持手段に保持された使用権限情報に基づいて変更を指示した当該使用者が使用権限を有するか否かを判別する判別手段と、判別手段の判別の結果、変更を指示した当該使用者が使用権限を有するときには、指示された内容に印刷条件を変更する手段を兼ねている。
【0041】
次に、この画像形成装置における印刷条件の設定について図5のフロー図を参照して説明する。
制御部500のCPU501は、RTC507から現在の曜日及び時刻情報を取得し、予めVRAM505などに格納保持されている印刷条件変更タイミングになったか否かを判別し、印刷条件変更タイミングであれば、現在の曜日及び時刻における印刷条件に装置の状態を設定する。
【0042】
なお、設定する印刷条件は、例えば、管理者が予め装置本体の操作パネル514を操作して、或いは、外部装置(PCなど)から印刷条件を入力して設定を行っている。また、画像形成装置が、変更タイミングになったときに外部装置(サーバ)にアクセスして印刷条件を取得して設定することなどもできる。また、RTC507として曜日を計時しないものを使用するときには、年月日とカレンダ情報から曜日を取得すればよい。
【0043】
次に、印刷条件の変更要求処理について図6のフロー図及び図7の説明図を参照して説明する。
使用者(ユーザ)がこの画像形成装置に対してプリント設定(印刷条件)の変更を要求すると、当該使用者を判別するために、ユーザIDを確認する。ユーザIDは、例えばIDカードなどのメディアからホストI/F506を通じて装置本体に送信される。
【0044】
そして、使用権限表を確認するためにRTC507より現在の曜日及び時刻を取得し、取得したユーザIDと曜日及び時間をもとに、予めROM501、VRAM505などの保持手段に保持(格納)されている使用権限情報としての使用権限表から当該使用者の現在の使用権限を取得する。
【0045】
ここで、使用権限表は、例えば図7に示すように、使用者毎に、各曜日及び時間(時刻)における使用権限を表した表であり、この例では「使用権限」を数字で表し、数字が大きいほど高い使用権限であることを示すものとしている。使用権限が高いとは、印刷条件として設定できる項目の範囲が広いことを意味する。例えば、「3」であればすべての印刷条件の設定を変更可能、「2」であればモノクロ印刷、カラー印刷の設定のみ変更可能、「1」であればすべての印刷条件を変更不可能、というように定めている。
【0046】
そして、要求された印刷条件の変更が、当該使用者の使用権限によって可能か否かを判別し、変更可能な使用権限を有する使用者であれば、要求された内容に印刷条件の設定を変更する。
【0047】
このように、使用者を識別する識別手段と、現在の日付、曜日及び時間情報を取得する取得手段と、前記取得した現在の日付、曜日及び時間情報に応じて予め定めた印刷条件に設定する印刷条件設定手段と、曜日及び時間毎に割り当てられた使用権限情報を保持する保持手段と、使用者から前記印刷条件の変更を指示されたときに、前記識別手段と前記保持手段に保持された使用権限情報に基づいて変更を指示した当該使用者が使用権限を有するか否かを判別する判別手段と、前記判別手段の判別の結果、前記変更を指示した当該使用者が使用権限を有するときには、指示された内容に前記印刷条件を変更する手段を備えている構成とすることで、印刷条件が自動的に設定される場合でも印刷条件の変更が可能となるとともに、印刷条件の不必要な変更が行われないようにすることができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態における緊急印刷時設定変更処理について図8のフロー図を参照して説明する。
ここでは、前記第1実施形態において、当該使用者の使用権限が印刷条件の設定変更が可能な権限でないときに、緊急時か否かを判別する。例えば、緊急時判断の判断基準としては、装置が操作パネル514やホスト600の画面に緊急時であるかどうかの質問を出力表示し、使用者が緊急時である旨を入力することで判別する。そして、緊急時権限があれば緊急設定変更印刷を行なう。
【0049】
このとき、緊急時であれば、当該使用者が緊急時権限を有する使用であるかを確認する。この緊急時権限は、前記図7で説明したような使用権限とは別のものであり、特定の使用者のみに与えられたパスワードなどがこれに該当する。そして、緊急時権限を確認できれば、緊急設定変更印刷処理へ移行する。なお、緊急時でなければ設定変更を行なわない。
【0050】
つまり、前述したように、当該使用者の使用権限が印刷条件の設定変更が可能な権限でないときに、当該使用者が印刷条件の変更を行なうことができない。しかしながら、緊急時にあっては、印刷条件の設定変更及び印刷を行えるようにする必要がある。そこで、特定の権限を持つ使用者からは緊急時において設定変更をすることができる、言い換えれば、使用権限表によって設定変更が不可となっているときも、緊急時には使用権限表に制限を一時的に無効にすることで設定変更を可能としている。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態における緊急設定変更印刷処理について図9のフロー図及び図10の説明図を参照して説明する。
ここでは、上記第2実施形態の緊急設定変更時印刷の多用を避けるため、緊急設定変更印刷の使用回数に制限を設けるようにしている。
ている。すなわち、緊急設定変更印刷が無制限に使われてしまうと、使用権限のない使用者が緊急設定変更印刷を行なうことで印刷条件の設定を変更できるようになる可能性があり(緊急時権限の制限があるとしても)、使用権限の振り分けが無意味になってしまう。そこで、緊急設定変更印刷を多用できないように使用回数を制限している。
【0052】
つまり、図9を参照して、緊急設定変更印刷が要求されると、当該要求を行なった使用者の最大使用回数(最大回数)と緊急設定変更の累計使用回数(類型印刷回数)を比較し、緊急設定変更の累計使用回数が最大使用回数以上になっている場合は設定変更や印刷をせずに、処理を終了する。
【0053】
一方、緊急設定変更の累計使用回数が最大使用回数未満の場合は、印刷設定を当該使用者の指定に従って変更した後、印刷を行い、緊急設定変更の累計印刷回数を印刷した枚数だけ増加させる。
【0054】
ここで、累計使用回数はVRAM505などに格納保持され、例えば図10に示すように各使用者ごとの累計使用回数を前述した使用権限表に追加したような形式で更新しながら格納保持される
【0055】
これによって、使用者がむやみに緊急設定変更印刷を使うことができなくなる。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態における緊急設定変更印刷の他の例ついて図11のフロー図を参照して説明する。
ここでは、緊急設定変更印刷処理への移行後、印刷の前に印刷画像を加工している。これは、出力される印刷物が緊急設定変更印刷であることがすぐに分かる情報であるものとする。例えば、コピー防止用印刷を施す、原稿に干渉しない位置に緊急設定変更の累計使用回数を印刷するなどが挙げられる。
【0057】
なお、上述した実施形態における印刷条件の設定、変更、緊急設定変更印刷などの各種制御はROMなどに格納されたプログラムによってコンピュータに行なわせている。このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或いはインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供される。また、上記実施形態で説明した画像形成装置とホスト側(情報処理装置)とを組み合わせ画像形成システムを構成することもできる。また、前述したように本発明を適用する画像形成装置等は画像形成手段が滴吐出手段であるものに限らず、その他の画像形成手段を用いるものであって同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
500 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を識別する識別手段と、
現在の日付、曜日及び時間情報を取得する取得手段と、
前記取得した現在の日付、曜日及び時間情報に応じて予め定めた印刷条件に設定する印刷条件設定手段と、
曜日及び時間毎に割り当てられた使用権限情報を保持する保持手段と、
使用者から前記印刷条件の変更を指示されたときに、前記識別手段と前記保持手段に保持された使用権限情報に基づいて変更を指示した当該使用者が使用権限を有するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別の結果、前記変更を指示した当該使用者が使用権限を有するときには、指示された内容に前記印刷条件を変更する手段と、を備えている
ことを特徴とする
画像形成装置。
【請求項2】
前記使用権限の内容が前記使用者に応じて異なることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
緊急出力が指示されたときには、使用権限を有しない当該使用者による指示された内容に前記印刷条件を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記緊急出力が指示されて指示された内容に印刷条件を変更して印刷を行なうとき、印刷可能な回数を制限することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記緊急出力が指示されて指示された内容に変更して印刷を行なうとき、印刷出力に緊急印刷であること示す情報を付加して印刷を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−189582(P2011−189582A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56763(P2010−56763)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】