説明

画像形成装置

【課題】装置を大型化することなく装置本体の結露を防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】排気ユニット30において、第2排出ローラ34が、第1排出ローラ33よりも排出方向下流側に配置され、上下方向に対し第1排出ローラ33と第2排出ローラ34との間に、第1排出ローラ33により排出された用紙Pを上段トレイ25aに案内可能な案内部31bが設けられ、該案内部31bに、下側搬送路5cと連通する貫通穴部43が形成されている。貫通穴部43は下方に向かって幅狭に形成され、貫通穴部43の下端部は、第2従動プーリ34bの支軸34baを固定するための保持部43aを構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機等の画像形成装置に関し、特に画像形成装置内の結露防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置では、感光体ドラム上に形成されたトナー像が用紙に転写され、定着装置によって加熱及び加圧されてトナー像が定着された用紙は、排出トレイから排出されるようになっている。ここで、定着時に用紙が加熱されると、用紙に含まれる水分が水蒸気として放出されるが、水蒸気が装置本体内に滞留すると、装置本体内で結露が生じて水滴が用紙に付着し、用紙搬送不良や用紙汚損等が生じる。このような結露を防止するためにファン等を設置すると、コストが高くなり、消費電力も増加する。
【0003】
そこで、ファンを用いることなく結露を防止する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、定着器(定着装置)の上方に開口部が形成された筐体に、定着器が加熱した記録媒体から発生する水蒸気を開口部のみから排出させる通風路を構成する通風路形成部材を設けることによって、ファンを設置することなく、開口部からの音を遮蔽して、定着器が発生した熱と記録媒体が放出した水蒸気を排出して、水蒸気による結露を防止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2007−33914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、装置本体内に、定着装置の上方に開口部と通風路形成部材とを設けるためのスペースが必要となるため、省スペース化を図ることが困難となるおそれがある。特に、上下2段のトレイを有する排出トレイを用いた場合には、かかるスペースを装置本体内に設けることは困難であり、ファンを設けて結露を防止する必要があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、装置を大型化することなく装置本体の結露を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体が排出される上段及び下段のトレイを有する排出トレイと、前記上段及び下段のトレイにそれぞれ記録媒体を排出する第1及び第2の排出手段と、画像形成部により画像形成された記録媒体を搬送するものであり、前記第1及び第2の排出手段に記録媒体を案内する第1及び第2の搬送路に分岐された搬送路と、を備えた画像形成装置において、前記第2の排出手段は、前記第1の排出手段よりも記録媒体の排出方向下流側に配置されており、上下方向に対し前記第1の排出手段と前記第2の排出手段との間に、前記第1の排出手段により排出された記録媒体を前記上段のトレイに案内可能な案内部が設けられ、該案内部に、前記第2の搬送路と連通する貫通穴部が形成されたことを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記案内部には、該案内部から下方に突設されると共に下方に向かって幅狭な前記貫通穴部が貫通し、且つ該貫通穴部の下端部で前記第2の排出手段を支持可能な支持部が形成されたことを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記支持部は、前記第2の搬送路の上側面の一部を構成するリブであることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記装置本体に胴内排出空間が設けられ、該胴内排出空間に前記排出トレイが配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、第2の排出手段を、第1の排出手段よりも記録媒体の排出方向下流側に配置し、上下方向に対し第1の排出手段と第2の排出手段との間に、第1の排出手段により排出された記録媒体を上段のトレイに案内可能な案内部を設け、該案内部に、第2の搬送路と連通する貫通穴部を形成することによって、装置本体内側で発生した水蒸気を、第2の搬送路から貫通穴部を通して装置本体外側に排出できる。これにより、装置を大型化することなく装置本体の結露を防止することができる。
【0012】
また、本発明の第2の構成によれば、第1の構成の画像形成装置において、案内部に、該案内部から下方に突設されると共に下方に向かって幅狭な貫通穴部が貫通し、且つ該貫通穴部の下端部で第2の排出手段を支持可能な支持部を形成することによって、支持部の形成と同時に貫通穴部を形成できるため、部品点数を削減できる。また、支持部と貫通穴部を兼用できるため、省スペース化を図ることもできる。
【0013】
また、本発明の第3の構成によれば、第2の構成の画像形成装置において、支持部を、第2の搬送路の上側面の一部を構成するリブとすることによって、部品点数をより削減すると共に、より省スペース化を図ることもできる。
【0014】
また、本発明の第4の構成によれば、第1〜第3のいずれかの構成の画像形成装置において、装置本体に胴内排出空間を設け、該胴内排出空間に排出トレイを配置することによって、装置本体内側に水蒸気が滞留し易い装置構成であっても、装置本体外側に水蒸気を効率的に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略断面図
【図2】排出ユニットを示す斜視図
【図3】図2のAA’断面図
【図4】図2のBB’断面図
【図5】図4から第2従動プーリを省略した図
【図6】図3のCC’断面図
【図7】水蒸気の排出経路を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略断面図である。なお、本実施形態においては画像形成装置の一例として複合機を例示している。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置(装置本体)100は、いわゆる胴内排紙型のデジタル複合機であって、大きくは、本体ハウジング20と、その上部に配設された上ハウジング21と、より構成されている。この上ハウジング21には、原稿の画像を電気信号として読み取るための後述する各種機構が設けられ、上ハウジング21の上部には原稿搬送装置3が付設されている。他方、本体ハウジング20には、読み取った原稿画像の電気信号に基づいて用紙に画像を転写、定着するための後述する各種機構が設けられている。
【0018】
本実施形態では、本体ハウジング20は、下ハウジング20aと、その上方で右側部に沿って位置し上ハウジング21に連結される連結ハウジング20bと、より構成され、下ハウジング20aには、用紙(記録媒体)Pの給紙部4や、用紙P上にトナー画像を形成する画像形成部6や、用紙上のトナー画像を定着するための定着装置7等が設けられ、他方、連結ハウジング20bには、定着後の用紙Pを搬送して本体ハウジング20から排出するための排出ユニット30が設けられている。
【0019】
また、上ハウジング21の直下における連結ハウジング20bの左側方には、左側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間(胴内排出空間)22が形成されており、この胴内排紙空間22には、連結ハウジング20bに設けられた排出ユニット(排出部)30から排出される用紙Pを受け取って積載する排出トレイ25が配置されている。
【0020】
本体ハウジング20内には、下部に配設された給紙部4と、この給紙部4の側方および上方に配設された用紙搬送路(搬送路)5と、給紙部4の上方に配設された画像形成部6と、この画像形成部6の用紙搬送方向下流側(図の右側)に配設された定着装置7とが備えられている。
【0021】
給紙部4には、用紙搬送方向下流側に給紙ローラ等の分離給送手段が設けられた複数の給紙カセット4aが備えられている。この給紙カセット4aに載置された用紙Pの束は、給紙ローラの回転動作によって、最上位の用紙Pから1枚ずつ用紙搬送路5に給紙され、給紙部4から給紙された用紙Pは、各搬送ローラ対5aによって用紙搬送路5に沿って画像形成部6へと搬送される。
【0022】
画像形成部6及び定着装置7は、装置本体100の内部で用紙搬送方向と直交する幅方向(前後方向、図1の紙面に直交する方向)に細長く配設され、下ハウジング20a内の上部において図1における左側から画像形成部6、定着装置7の順に用紙Pの搬送方向(左から右方向)に沿って並設されている。
【0023】
画像形成部6は、電子写真プロセスによって、用紙P上に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム10と、この感光体ドラム10の周囲にその回転方向に沿って配設される帯電装置11、露光装置12、現像装置13、転写装置14、クリーニング装置15及び不図示の除電装置を備えている。定着装置7は、画像形成部6においてトナー像が転写された用紙Pを、加熱ローラと加圧ローラとからなる一対の定着ローラ7aに挟持させて加熱及び加圧して、未定着トナー像を用紙P上に定着させるものである。
【0024】
上ハウジング21内には、画像読取部8が設けられている。画像読取部8は、原稿の画像情報を読み取るものであり、1枚ずつの原稿を手置きで読み取らせる場合には、原稿搬送装置3を開いて上ハウジング21の上面に設けられたコンタクトガラス8a上に原稿を載置し、原稿束から1枚ずつを自動的に読み取らせる場合には、原稿束を、閉じた状態の原稿搬送装置3の給紙トレイ上3aに載置する。原稿束が給紙トレイ3a上に載置された場合は、当該原稿束から1枚ずつの原稿が自動的に順次コンタクトガラス8a上に送り込まれるようになっている。いずれの場合でもコンタクトガラス8a上に位置した原稿に、不図示の露光ランプから光が照射され、その反射光は画像光として不図示の反射鏡及び結像レンズ等の光学系を介して光電変換部(CCD)へ導かれる。
【0025】
以下、上記のように構成された画像形成装置100の基本的な動作を説明する。先ず、図1で反時計回りに回転する感光体ドラム10の表面が帯電装置11によって一様に帯電され、引き続き画像読取部8で読み取られた画像情報に基づいて露光装置12(レーザー装置等)からのレーザービームが感光体ドラム10の周面に照射され、これによって感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置13から現像剤としてのトナーが供給されることによりトナー像が形成される。
【0026】
次いで、給紙部4からの用紙Pは、用紙搬送路5を通りレジストローラ9によってトナー像が形成された感光体ドラム10に向けて搬送され、ここで転写ローラ等からなる転写装置14により感光体ドラム10の表面のトナー像が用紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム10から分離され、定着装置7に向けて搬送され、定着ローラ7aを通過することによる加熱処理でトナー像が定着される。
【0027】
トナー像の用紙Pへの転写処理が完了した感光体ドラム10は、クリーニング装置15で周面に残留している残留トナーが取り除かれた後、除電装置(不図示)で残留電荷を除去する除電処理が施され、その後、帯電装置11により再び周面に帯電処理が施され、以下同様にして画像形成が行われることとなる。
【0028】
そして、定着装置7を通過した用紙Pは、そのまま垂直上方に向き連結ハウジング20b内に搬送される。用紙搬送路5の上部は連結ハウジング20b内では、左方に向かって上下2つに、上側搬送路(第1の搬送路)5bと下側搬送路(第2の搬送路)5cとに分岐して、排出ユニット30内に配置されている。また、排出ユニット30の下端部に配置された用紙搬送路5の分岐部17には、揺動可能な爪状の切換部材18が設けられており、切換部材18が揺動することにより、用紙Pの搬送方向が切り換えられる。
【0029】
排出ユニット30には、一対の第1排出ローラ(第1の排出手段)33と、後述するように第1排出ローラ33の下方に配置された一対の第2排出ローラ(第2の排出手段)34と、上記した用紙搬送路5と連通する上側及び下側搬送路5b、5cと、が設けられており、定着装置7から搬送された用紙Pの搬送方向が切換部材18によって切り換えられ、上側若しくは下側搬送路5b、5cを通って第1排出ローラ33若しくは第2排出ローラ34に案内される。なお、排出ユニット30の詳細は後述する。
【0030】
排出トレイ25は、上段トレイ(上段のトレイ)25aと下段トレイ(下段のトレイ)25bとから構成されており、切換部材18によって上側搬送路5bに案内された用紙Pは、第1排出ローラ33から左方に排出され、上段トレイ25aに排出される。一方、切換部材18によって下側搬送路5cに案内された用紙Pは、第2排出ローラ34によって左方に排出され、下段トレイ25bに排出される。
【0031】
次に、排出ユニット30について説明する。図2は、排出ユニットを示す斜視図であり、図3は、図2のAA’断面図であり、図4は、図2のBB’断面図であり、図5は、図4から第2従動プーリを省略した図であり、図6は、図3のCC’断面図である。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0032】
図2に示すように、排出ユニット30のフレーム31において上端部近傍には、用紙Pの排出方向(白抜き矢印方向)とは垂直方向に沿って、第1排出ローラ33が設けられている。第1排出ローラ33は、第1駆動ローラ33aと、該第1駆動ローラ33aに対して上方から圧接され第1駆動ローラ33aと従動回転する第1従動プーリ33bと、を有している。
【0033】
図3に示すように、第1駆動ローラ33aのシャフトの背面側(図の右側)端部は、フレーム31よりも外側に突出しており、かかる端部には、第1駆動伝達用ギア38が設けられている。第1駆動伝達用ギア38は、不図示のギアを介してクラッチ機構39と連結されており、不図示の駆動モータからクラッチ機構39を介して第1駆動伝達用ギア38に回転駆動が伝達されることにより、第1駆動ローラ33aが回転する。クラッチ機構39は、切換部材18の切換方向に応じて、第1駆動ローラ33aと、後述する第2駆動ローラ34aと、の間で回転駆動の伝達を切り換えるようになっている。
【0034】
フレーム31において第1駆動ローラ33aの下方直近から下方に向かって上下方向略中央部まで、上下方向に沿って且つ排出方向とは垂直方向に沿って、壁部31aが形成されている。また、壁部31aの下端から、排出方向下流側に向かって、略水平に案内部31bが突出している。排出方向において案内部31bの下流側端部は、上側トレイ25aの上流側端部と係合可能であり、案内部31bと上側トレイ25aとが係合されることにより、案内部31bは、上側トレイ25aの一部を構成し、第1排出ローラ33から排出された用紙Pを上側トレイ25aに案内する(図1参照)。
【0035】
図2に示すように、排出方向に対し案内部31bの略中央部の下方には、第2排出ローラ34が設けられている。すなわち、第1排出ローラ33よりも排出方向下流側に、第2排出ローラ34が設けられている。第2排出ローラ34は、第2駆動ローラ34aと、該第2駆動ローラ34aに対して上方から圧接され第2駆動ローラ34aと従動回転する第2従動プーリ34bと、を有している。
【0036】
図4に示すように、第2駆動ローラ34aのシャフトの背面側(図4の左側)端部は、フレーム31よりも外側に突出しており、かかる端部には、第2駆動伝達用ギア40が設けられている。第2駆動伝達用ギア40は、不図示のギアを介してクラッチ機構39と連結されており、上記した不図示の駆動モータからクラッチ機構39を介して第2駆動伝達用ギア40に回転駆動が伝達されることにより、第2駆動ローラ34aが回転する。
【0037】
また、図2に示すように、第1排出ローラ33に対し排出方向下流側には、上段トレイ25aに排出された用紙の積載量を検知する第1積載量検知センサ36aが、用紙搬送方向とは垂直方向に沿って設けられており、第2排出ローラ34に対し排出方向下流側には、下段トレイ25bに排出された用紙の積載量を検知する第2積載量検知センサ36bが設けられている。また、案内部31bの下流側端部には、用紙Pの排出を検知する排出検知センサ35が設けられている。
【0038】
図4に示すように、第2従動プーリ34bは、支軸34baに回転可能に軸支された2つのコロから形成されており、かかる第2従動プーリ34bは、排出方向とは垂直方向(図の左右方向)に沿って、2つ設けられている。案内部31bの下面には、下方に向かって、且つ排出方向(図の上下方向)に沿って突出する複数のリブ41が突設されており、リブ41は、下側搬送路5c(図1、図6参照)の上側面を形成している。
【0039】
リブ41のうち、排出方向とは垂直方向に対し第2従動プーリ34bの支軸34baの端部と対向する位置に配置された支持用リブ(支持部)41aと、案内部31bにおいて支持用リブ41aの上方に位置する部分には、案内部31b及び支持用リブ41aを上方から下方に向かって、且つ下方に向かって幅狭となるように貫通する貫通穴部43が形成されている(図6参照)。
【0040】
図6に示すように、排出方向(図の左右方向)において貫通穴部43の上端部の幅は、支軸34baの外径よりも大きく形成され、支軸34baの移動を許容するようになっている。一方、貫通穴部43の下端部の幅は、支軸34baの外径よりも小さく弾性変更により支軸34abが通過可能な程度の幅に形成され、支軸34baを貫通穴部43に押し込むと下方への通過を規制するようになっており、かかる下端部は、支軸34baの保持部43aを構成している。
【0041】
これにより、貫通穴部43に挿入された支軸34baは、保持部43aで下方への移動が規制される。また、保持部43aに嵌め合った支軸34baには、コイルバネから成る付勢部材45の一端が係合される。付勢部材45の他端側は、案内部31bの下面に突出して形成された、内径が付勢部材45の外径よりも大きい円筒壁部内(図示せず)に収納される。該円筒壁部には、支軸34baを上下方向に移動可能にガイドするための、支軸34baの外径と略同じ幅の溝が形成されている。これにより、支軸34baは、下方に付勢された状態で上下方向に移動可能に支持される。
【0042】
また、上記した様に、貫通穴部43は、ここでは支持用リブ41aの配置に合わせて形成されており、排出方向とは垂直方向に沿って4つ形成されている。また、図6に示すように、貫通穴部43は、下側搬送路5cと連通しており、かかる貫通穴部43を通して装置本体内側と外側とが連通する。
【0043】
これにより、下ハウジング20a内の定着装置7で発生した水蒸気が用紙搬送路5を通って連結ハウジング20b内の排出ユニット30に移動すると、貫通穴部43から装置本体外側へと出ようとする。その結果、水蒸気が下側搬送路5cから貫通穴部43を通って放出されるため、排出ユニット30の上端部で水蒸気が滞留することを防止できる。
【0044】
次に、本実施形態の画像形成装置による水蒸気の放出動作について説明する。図7は、水蒸気の排出経路を示す図である。下ハウジング20a内において、画像形成部6で用紙P上にトナー像が転写され、定着装置7でトナー像が用紙P上に定着される際、用紙Pの水分が蒸発して水蒸気が発生する。発生した水蒸気は、用紙搬送路5に沿って上昇し、図7に破線矢印で示すように、連結ハウジング20b内の排出ユニット30に入る際、分岐部17において下側搬送路5cに向かった後、貫通穴部43を通って装置本体外側に放出される。
【0045】
これにより、排出ユニット30で水蒸気が滞留することを防止し、装置本体内側での結露を防止することができる。また、ファン等を設けることなく、案内部31bに貫通穴部43を形成するだけで水蒸気を放出することができる
【0046】
上記した通り、本実施形態では、第2排出ローラ34を、第1排出ローラ33よりも排出方向下流側に配置し、上下方向に対し第1排出ローラ33と第2排出ローラ34との間に、第1排出ローラ33により排出された用紙Pを上段トレイ25aに案内可能な案内部31bを設け、該案内部31bに、下側搬送路5cと連通する貫通穴部43を形成したため、装置本体内側で発生した水蒸気を、下側搬送路5cから貫通穴部43を通して装置本体外側に排出できる。これにより、装置を大型化することなく装置本体の結露を防止することができる。
【0047】
また、本実施形態では、案内部31bに、該案内部31bから下方に突設されると共に下方に向かって幅狭な貫通穴部43を貫通させ、該貫通穴部43の下端部で第2従動プーリ34bの支軸34baを支持可能な支持用リブ41aを形成したため、例えば金型成形により支持用リブ41aを形成する際、金型の食い切り穴として貫通穴部43を形成できる。
【0048】
このように、支持用リブ41aの形成と同時に貫通穴部43を形成できるため、部品点数を削減できる。また、第2従動プーリ34bを支持するための支持用リブ41aと、水蒸気を放出するための貫通穴部43とを兼用できるため、省スペース化を図ることもできる。また、排出ユニット30の製作工程が簡素化されるため、効率的となる。
【0049】
なお、本実施形態では、支持用リブ41aに第2従動プーリ34bが支持される構成としたが、その他、支持用リブ41aに第2駆動ローラ34aが支持される構成とすることも、第2従動プーリ34b及び第2駆動ローラ34aの両方が支持される構成とすることもできる。
【0050】
また、本実施形態では、下側搬送路5cの上側面の一部を構成する支持用リブ41aにより、第2従動プーリ34bを支持したため、部品点数をより削減すると共に、より省スペース化を図ることもできる。しかし、第2従動プーリ34bを支持可能であれば、第2従動プーリ34bの支持方法は特に限定されるものではなく、その他の支持部をリブ41とは別途、案内部31bに形成することもできる。
【0051】
かかる場合には、貫通穴部43を、支持部を貫通することなく、案内部31bに形成することができる。また、貫通穴部43の配置、数量や形状等は、本実施形態に特に限定されるものではなく、装置本体内のレイアウトや水蒸気の発生状態等に応じて適宜設定することができる。また、貫通穴部43を、案内部31bにおいて排出方向上流側に形成する程、下側搬送路5cから貫通穴部43に至る水蒸気の排出経路が短くなり、装置本体内側の水蒸気を速やかに放出できる。かかる観点を考慮すれば、貫通穴部43を、案内部31bにおいて排出方向上流側に形成することが好ましい。
【0052】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に示した第1排出ローラ33と第2排出ローラ34との間の排出方向の間隔等は、装置構成に応じて適宜設定することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、第2従動プーリ34bを2つ設けたが、かかる数量は特に限定されるものではなく、用紙Pの排出状況等に応じて適宜設定することができ、1つの第2従動プーリ34bを設けることもできる。また、第2従動プーリ34bに設けられるコロの数も特に限定されるものでななく、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、支持用リブ41aの数量や配置等も、第2従動プーリ34bの構成等に応じて、適宜設定することができる。
【0054】
また、上記実施形態では、胴内排紙空間22が設けられた画像形成装置100を用いたため、排出ユニット30に水蒸気が滞留し易い状態であっても、貫通穴部43を通じて放出できるため、装置本体外側に水蒸気を効率的に排出することが可能となり、効果的である。しかし、その他、本発明は、装置本体の上面に排出トレイを有する画像形成装置にも適用できる。また、画像形成装置として複合機以外の、例えばレーザプリンタやファクシミリ装置等にも適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、第2の排出手段が、第1の排出手段よりも記録媒体の排出方向下流側に配置され、上下方向に対し第1の排出手段と第2の排出手段との間に、第1の排出手段により排出された記録媒体を上段のトレイに案内可能な案内部が設けられ、該案内部に、第2の搬送路と連通する貫通穴部が形成された画像形成装置である。これにより、装置を大型化することなく装置本体の結露を防止することができるため、用紙搬送不良や用紙汚損等の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
5 用紙搬送路(搬送路)
5b 上側搬送路(第1の搬送路)
5c 下側搬送路(第2の搬送路)
6 画像形成部
8 画像読取部
17 分岐部
20 本体ハウジング
20a 下ハウジング
20b 連結ハウジング
21 上ハウジング
22 胴内排紙空間(胴内排出空間)
25 排出トレイ
25a 上段トレイ(上段のトレイ)
25b 下段トレイ(下段のトレイ)
30 排出ユニット
31 フレーム
31a 案内部
33 第1排出ローラ(第1の排出手段)
34 第2排出ローラ(第2の排出手段)
34a 第2駆動ローラ
34b 第2従動プーリ
34ba 支軸
41 リブ
41a 支持用リブ(支持部)
43 貫通穴部
43a 保持部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が排出される上段及び下段のトレイを有する排出トレイと、
前記上段及び下段のトレイにそれぞれ記録媒体を排出する第1及び第2の排出手段と、
画像形成部により画像形成された記録媒体を搬送するものであり、前記第1及び第2の排出手段に記録媒体を案内する第1及び第2の搬送路に分岐された搬送路と、を備えた画像形成装置において、
前記第2の排出手段は、前記第1の排出手段よりも記録媒体の排出方向下流側に配置されており、
上下方向に対し前記第1の排出手段と前記第2の排出手段との間に、前記第1の排出手段により排出された記録媒体を前記上段のトレイに案内可能な案内部が設けられ、
該案内部に、前記第2の搬送路と連通する貫通穴部が形成されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記案内部には、該案内部から下方に突設されると共に下方に向かって幅狭な前記貫通穴部が貫通し、且つ該貫通穴部の下端部で前記第2の排出手段を支持可能な支持部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記第2の搬送路の上側面の一部を構成するリブであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置本体に胴内排出空間が設けられ、該胴内排出空間に前記排出トレイが配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−191576(P2011−191576A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58615(P2010−58615)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】