説明

画像形成装置

【課題】用いる画像データが静止画や変化の少ない動画に関するものであっても、画像に
対して人間が注目するような演出を行うことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、光を出射する光源ユニット3と、光源ユニット3から出
射した光を反射させる光反射部411eが回動可能に設けられ、その回動により、表示面
91に対して、光反射部411eで反射した光を水平方向に第1の速度で走査するととも
に水平方向に直交する垂直方向に第1の速度よりも遅い第2の速度で走査する光走査部4
と、水平方向に走査する光反射部411eの振れ角を変更することにより、表示面91に
表示される画像の水平方向での長さを変更する作動制御装置5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン等の対象物の表面に光を投影し、スクリーンの投影面に所望の画像を表示す
る装置としてプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターとして、光を1
次元または2次元に走査する光スキャナーを用いたものが実用に供されている(例えば、
特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターは、光反射部を有する可動板がx軸周りに回動する
第1の光スキャナーと、光反射部を有する可動板がx軸に直交するy軸まわりに回動する
第2の光スキャナーと、レーザーなどの光を出射する光源装置とを有している。このよう
なプロジェクターにおいては、光源装置から出射された光を第1の光スキャナーによって
走査し、その走査した光をさらに第2の光スキャナーにより走査することにより、2次元
的に光を走査し、スクリーンに所望の画像を表示する。
【0003】
このようなプロジェクターにおいては、常に、画像を表示可能な領域(描画領域)の大
きさが一定であり、その領域に、一定の解像度で画像を表示する。
ところで、近年、デジタルサイネージの分野において、例えば人通りの多い駅の構内や
ビル、ホテル等のロビー等にスクリーンを設置し、このスクリーンに上述のようなプロジ
ェクターを用いて所望の画像(プロモーション映像、CM等の映像)を表示することによ
り、スクリーン周囲の人間に宣伝・広告を行うことが提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターは、画像を表示可能な領域の大きさ
が常に一定であるため、画像の表示に用いる画像データ(映像データ)の内容によっては
、画像による演出効果が乏しく、人間を画像に注目させることが難しいと言う問題があっ
た。特に、画像データが静止画情報であったり変化の少ない動画情報であったりする場合
には、画像の変化が少なく、表示される画像に人間を注目させることが難しい。そのため
、例えば、宣伝・広告の効果(訴求効果)を十分に得ることができないと言う問題があっ
た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−116668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、用いる画像データが静止画や変化の少ない動画に関するものであって
も、画像に対して人間が注目するような演出を行うことができる画像形成装置を提供する
ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の画像形成装置は、光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射した光を反射させる少なくとも1つの光反射部が回動可能に設け
られ、その回動により、表示面に対して、前記光反射部で反射した光を第1の方向に第1
の速度で走査するとともに前記第1の方向に直交する第2の方向に前記第1の速度よりも
遅い第2の速度で走査する光走査部と、
前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角を変更することにより、前記表示面に表示
される画像の前記第1の方向での長さを変更する変更手段とを有することを特徴とする。
これにより、用いる画像データが静止画や変化の少ない動画に関するものであっても、
表示面に表示される画像に変化をもたらし、画像に対して人間が注目するような演出を行
うことができる。
【0008】
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、前記第2の方向に1回走査する間に、前
記第1の方向に複数回走査することにより、1つのフレームの画像を前記表示面に形成し
、これを繰り返すことにより複数のフレームの画像を表示面に順次形成するものであり、
前記変更手段は、隣り合う2つのフレーム間で、前記第1の方向に走査する光反射部の
振れ角を変更することが好ましい。
これにより、例えば、表示面に対して画像の表示を行わない非表示期間に、第1の方向
に走査する光反射部の振れ角を変更することができる。そのため、第1の方向に走査する
光反射部の振れ角の変更が表示面に表示される画像に悪影響を与えるのを防止することが
できる。
【0009】
本発明の画像形成装置では、前記変更手段は、前記第1の方向に走査する光反射部の振
れ角を第1の角度とすることにより第1の画像を表示する第1の状態と、前記第1の方向
に走査する光反射部の振れ角を前記第1の角度よりも小さい第2の角度とすることにより
前記第1の画像を前記第1の方向に縮小した第2の画像を表示する第2の状態とを含む複
数の状態を切り換えることが好ましい。
これにより、第1の画像と第2の画像とが同一の画像情報に基づくものであっても、第
1の画像と第2の画像とを異ならせて、表示面に表示される画像に変化をもたらすことが
できる。
【0010】
本発明の画像形成装置では、前記変更手段は、前記第2の状態から前記第1の状態へ切
り換える際に、前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角を前記第2の角度から前記第
1の角度へ連続的または断続的に漸増させることが好ましい。
これにより、第2の画像を連続的または断続的に拡大させて第1の画像を表示させるこ
とができる。このような画像の変化により、画像に対する人間の興味を高めることができ
る。
【0011】
本発明の画像形成装置では、前記光出射部は、前記画像情報の画素毎に対応した光を所
定タイミング毎に順次出射するものであり、
前記第1の状態において、前記表示面での前記画素毎の光が前記第1の方向および前記
第2の方向に互いに重ならず、前記第2の状態において、前記表示面での前記画素毎の光
が前記第1の方向に互いに重なることが好ましい。
【0012】
これにより、第2の画像の単位面積当たりの輝度を第1の画像の単位面積当たりの輝度
よりも高くすることができる。そのため、第2の画像の面積が小さくても、第2の画像の
存在が人間に認識されやすくなる。また、第2の画像は、その内容の視認が不可能または
難しくなっても、前述したように単位面積当たりの輝度を高めることにより、逆にそれが
人間の好奇心を煽り人間の興味を高めることとなる。
【0013】
本発明の画像形成装置では、前記第1の状態と前記第2の状態とで同じ画像情報を用い
たときに、
前記光出射部は、前記第1の状態における前記画素毎の光の出射タイミングと、前記第
2の状態における前記画素毎の光の出射タイミングとが同じであることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、第1の状態における表示面での画素毎の光を第1の方向お
よび第2の方向に互いに重ねずに、第2の状態における表示面での画素毎の光を第1の方
向に互いに重ねることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置では、前記第1の状態と前記第2の状態とで同じ画像情報を用い
たときに、
前記光出射部は、前記第1の状態における単位時間当たりに出射する前記光の量と、前
記第2の状態における単位時間当たりに出射する前記光の量とが同じであることが好まし
い。
これにより、比較的簡単に、第2の画像の単位面積当たりの輝度を第1の画像の単位面
積当たりの輝度よりも高くすることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置では、前記光出射部は、前記第1の状態における前記表示面での
光のスポット径と、前記第2の状態における前記表示面での光のスポット径とが同じであ
ることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、第1の状態における表示面での画素毎の光を第1の方向お
よび第2の方向に互いに重ねずに、第2の状態における表示面での画素毎の光を第1の方
向に互いに重ねることができる。
【0016】
本発明の画像形成装置では、前記変更手段は、前記第2の方向に走査する光反射部の振
れ角を変更することにより、前記表示面に表示される画像の前記第2の方向での長さを変
更する機能をも有することが好ましい。
これにより、表示面に表示される画像の変化をより大きくすることができる。そのため
、画像に対して人間の興味をより高めることができる。
【0017】
本発明の画像形成装置では、前記表示面を含んで設定された検知領域内の人間の有無を
検知する人感センサを有し、
前記変更手段は、前記人感センサの検知結果に基づいて、前記第1の方向に走査する光
反射部の振れ角を変更することが好ましい。
これにより、人間の位置に応じて、画像を変化させることができる。そのため、画像に
対する人間の興味をより効果的に高めることができる。
【0018】
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、周期的に変化する電流または電圧の供給
により前記光反射部を回動させる駆動手段を備え、
前記変更手段は、前記電流または前記電圧の大きさおよび周波数を調整することにより
、前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角を変更することが好ましい。
これにより、比較的簡単かつ確実に、光反射部の振れ角を変更することができる。
【0019】
本発明の画像形成装置では、前記光出射部は、レーザー光を出射することが好ましい。
これにより、表示面に表示される画像(特に縮小した画像)をレーザー光のスペックル
または干渉の作用により目立たせることができる。また、フォーカスフリーで、近接投射
が可能であるとともに、投射位置を設置位置に限定されず任意の位置に調整することがで
きる。また、レーザー光を用いると、平行光とするためのレンズ等の光学系を省略または
簡略化することができるため、光出射部の小型化、ひいては、画像形成装置の小型化を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の光走査部に備えられた光スキャナーの部分断面斜視図である。
【図3】図2に示す光スキャナーの動作を説明する断面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の制御系(作動制御装置、光走査部および光源ユニット)を示すブロック図である。
【図5】図1に示す画像形成装置の動作を説明するための図((a)は、第1の状態における描画領域および画像を説明する図、(b)は、第2の状態における描画領域および画像を説明する図)である。
【図6】図1に示す画像形成装置の第1の状態における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図7】図1に示す画像形成装置の第1の状態における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図8】図1に示す画像形成装置の第2の状態における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図9】図1に示す画像形成装置の第2の状態における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図10】図1に示す画像形成装置の第2の状態から第1の状態へ変化させる時における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図11】図1に示す画像形成装置の第2の状態から第1の状態へ変化させる時における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図12】図1に示す画像形成装置の動作(第2の状態から第1の状態への変化)を説明するための図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するための図((a)は、第1の状態における描画領域および画像を説明する図、(b)は、第2の状態における描画領域および画像を説明する図)である。
【図14】図13に示す画像形成装置の第2の状態における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図15】図13に示す画像形成装置の動作(第2の状態から第1の状態への変化)を説明するための図である。
【図16】本発明の画像形成装置の第3実施形態を示す図である。
【図17】図16に示す画像形成装置の制御系(作動制御装置、光走査部および光源ユニット)を示すブロック図である。
【図18】図16に示す画像形成装置の動作(第1の状態、第2の状態、および、第2の状態から第1の状態への変化)を説明するための図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置に備えられたプロジェクターの光スキャナーを示す模式的平面である。
【図20】図19中のB−B線断面図である。
【図21】図19に示す光スキャナーに備えられた駆動手段の電圧印加手段を示すブロック図である。
【図22】図21に示す電圧印加手段に備えられた第1の電圧発生部および第2の電圧発生部で発生する電圧の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明す
る。
<第1実施形態>
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す図、図2は、図1に示す画像形成
装置の光走査部に備えられた光スキャナーの部分断面斜視図、図3は、図2に示す光スキ
ャナーの動作を説明する断面図、図4は、図1に示す画像形成装置の制御系(作動制御装
置、光走査部および光源ユニット)を示すブロック図、図5は、図1に示す画像形成装置
の動作を説明するための図((a)は、第1の状態における描画領域および画像を説明す
る図、(b)は、第2の状態における描画領域および画像を説明する図)、図6は、図1
に示す画像形成装置の第1の状態における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の
可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフ、図7は、図1に示す画像形
成装置の第1の状態における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ
角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフ、図8は、図1に示す画像形成装置の第2
の状態における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振
れ角の経時的変化)を示すグラフ、図9は、図1に示す画像形成装置の第2の状態におけ
る光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的
変化)を示すグラフ、図10は、図1に示す画像形成装置の第2の状態から第1の状態へ
変化させる時における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変
遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフ、図11は、図1に示す画像形成装置の第2の状
態から第1の状態へ変化させる時における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の
可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフ、図12は、図1に示す画像
形成装置の動作(第2の状態から第1の状態への変化)を説明するための図である。なお
、以下では、説明の便宜上、図2、図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」
、左側を「左」と言う。
【0022】
図1に示す画像形成装置1は、例えばビル等の建物内の床、壁、天井や、スクリーン等
の表示対象物9の表面に設置された表示面91に、静止画や動画(特に、コマーシャル、
プロモーションビデオ)等の所定の画像を表示する装置である。
なお、画像が表示される対象となる表示面91は、床面自体、壁面自体、天井面自体で
あってもよいし、床、壁、天井の上に敷設したスクリーンの表面であってもよい。スクリ
ーンの表面を表示面91とする場合、表示面91を画像の表示に適した光学的特性とする
ことができる。そのため、画像を表示させた場所の材質等に関係なく、画像の視認性を向
上させることができる。かかるスクリーンの構成材料としては、特に限定されず、例えば
、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリ
ル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらを
主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置1は、表示面91に光を走査させて画像を表示する(
描画する)プロジェクター2と、プロジェクター2の駆動を制御する作動制御装置5とで
構成されている。
このような画像形成装置1は、光走査型のプロジェクター2を用いて画像を表示するた
め、LEDパネル、液晶パネル、有機ELパネル等のフラットパネルディスプレイを用い
たものに比し、装置が安価であり、また、設置が容易である。
【0024】
以下、画像形成装置1を構成する各部を順次詳細に説明する。
(プロジェクター)
まず、プロジェクター2について説明する。
プロジェクター2は、表示面91に形成される描画領域911に、光を走査することに
より画像を表示するように構成されている。
具体的には、図1に示すように、プロジェクター2は、光を出射する光源ユニット(光
出射部)3と、表示面91に対して光源ユニット3から出射した光を走査する光走査部4
とを有している。
【0025】
[光源ユニット(光出射部)]
図1に示すように、光源ユニット3は、各色のレーザー光源31r、31g、31bと
、各色のレーザー光源31r、31g、31bに対応して設けられたコリメーターレンズ
32r、32g、32bおよびダイクロイックミラー33r、33g、33bとを備えて
いる。
【0026】
また、各色のレーザー光源31r、31g、31bは、それぞれ、駆動回路310r、
310g、310bと、赤色の光源320r、緑色の光源320g、青色の光源320b
とを有しており(図6参照)、図1に示すように、赤色、緑色および青色のレーザー光R
R、GG、BBを出射する。レーザー光RR、GG、BBは、それぞれ、作動制御装置5
の後述する光源変調部54から送信される駆動信号に対応して変調された状態で出射され
、コリメート光学素子であるコリメーターレンズ32r、32g、32bによって平行化
されて細いビームとされる。
ダイクロイックミラー33r、33g、33bは、それぞれ、赤色レーザー光RR、緑
色レーザー光GG、青色レーザー光BBを反射する特性を有し、各色のレーザー光RR、
GG、BBを結合して1つのレーザー光(光)LLを出射する。
【0027】
なお、コリメーターレンズ32r、32g、32bに代えてコリメーターミラーを用い
ることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、各色
のレーザー光源31r、31g、31bから平行光束が出射される場合、コリメーターレ
ンズ32r、32g、32bは、省略することができる。さらに、レーザー光源31r、
31g、31bについては、同様の光束を発生する発光ダイオード等の光源に置換するこ
とができる。また、図1の各色のレーザー光源31r、31g、31b、コリメーターレ
ンズ32r、32g、32b、およびダイクロイックミラー33r、33g、33bの順
番はあくまで1例であり、各色の組み合わせ(赤色はレーザー光源31r、コリメーター
レンズ32r、ダイクロイックミラー33r、緑色はレーザー光源31g、コリメーター
レンズ32g、ダイクロイックミラー33g、青色はレーザー光源31b、コリメーター
レンズ32b、ダイクロイックミラー33b)を保持したままその順序は自由に設定でき
る。例えば、光走査部4に近い順に、青色、赤色、緑色という組み合わせも可能である。
【0028】
このような光出射部3は、前述したようにレーザー光を出射するので、表示面91に表
示される画像(特に、後述する縮小した第2の画像g2)をレーザー光のスペックルまた
は干渉の作用により目立たせることができる。また、このような光出射部3を用いたプロ
ジェクター2は、フォーカスフリーで、近接投射が可能であるとともに、投射位置を設置
位置に限定されず任意の位置に調整することができる。また、レーザー光を用いると、平
行光とするためのレンズ等の光学系を省略または簡略化することができるため、光出射部
の小型化、ひいては、画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0029】
[光走査部]
次に、光走査部4について説明する。
光走査部4は、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを表示面91に対し、水平
方向(第1の方向)に走査(水平走査:主走査)すると共に、水平方向の走査速度よりも
遅い走査速度で垂直方向(第1の方向に直交する第2の方向)に走査(垂直走査:副走査
)することで2次元的に走査するものである。
【0030】
この光走査部4は、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを表示面91に対し、
水平方向に走査する水平走査用ミラーである光スキャナー(第1の方向走査部)41と、
光スキャナー41の後述する可動板411aの角度(挙動)を検出する角度検出手段(挙
動検出手段)43と、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを表示面91に対し、
垂直方向に走査する垂直走査用ミラーである光スキャナー(第2の方向走査部)42と、
光スキャナー42の後述する可動板421aの角度(挙動)を検出する角度検出手段(挙
動検出手段)44とを有している。
【0031】
以下、光スキャナー41、42の構成について説明するが、光スキャナー41、42は
、互いに同様の構成であるため、以下では光スキャナー41について代表して説明し、光
スキャナー42については、その説明を省略する。
図2に示すように、光スキャナー41は、いわゆる1自由度振動系(1次元走査)のも
のであり、基体411と、基体411の下面に対向するよう設けられた対向基板413と
、基体411と対向基板413との間に設けられたスペーサー部材412とを有している

【0032】
基体411は、可動板411aと、可動板411aを回動可能に支持する支持部411
bと、可動板411aと支持部411bとを連結する1対の連結部411c、411dと
を有している。
可動板411aは、その平面視にて、略長方形状をなしている。このような可動板41
1aの上面には、光反射性を有する光反射部(ミラー)411eが設けられている。光反
射部411eの表面(上面)は、光を反射する反射面を構成している。光反射部411e
は、例えば、Al、Ni等の金属膜で構成されている。また、可動板411aの下面には
、永久磁石414が設けられている。
【0033】
支持部411bは、可動板411aの平面視にて、可動板411aの外周を囲むように
設けられている。すなわち、支持部411bは、枠状をなしていて、その内側に可動板4
11aが位置している。
連結部411cは、可動板411aの左側にて、可動板411aと支持部411bとを
連結し、連結部411dは、可動板411aの右側にて、可動板411aと支持部411
bとを連結している。
連結部411c、411dは、それぞれ、長手形状をなしている。また、連結部411
c、411dは、それぞれ、弾性変形可能である。このような1対の連結部411c、4
11dは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下「回動中心軸J1」と言う)を
中心として、可動板411aが支持部411bに対して回動する。
【0034】
このような基体411は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板4
11aと支持部411bと連結部411c、411dとが一体的に形成されている。この
ように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優
れた耐久性を発揮することができる。また、シリコンは微細な加工が可能であるため、基
体411をシリコンを主材料として構成することにより、基体411の寸法精度を優れた
ものとし、光スキャナー41の振動特性を優れたものとすることができる。また、光スキ
ャナー41の小型化を図ることができる。
【0035】
スペーサー部材412は、枠状をなしていて、その上面が基体411の下面と接合して
いる。また、スペーサー部材412は、可動板411aの平面視にて、支持部411bの
形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサー部材412は、例えば、各種ガラス
、各種セラミックス、シリコン、SiOなどで構成されている。
なお、スペーサー部材412と基体411との接合方法としては、特に限定されず、例
えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよいし、スペーサー部材412の構成材料な
どによっては直接接合や陽極接合などを用いてもよい。
【0036】
対向基板413は、スペーサー部材412と同様に、例えば、各種ガラス、シリコン、
SiOなどで構成されている。このような対向基板413の上面であって、可動板41
1aと対向する部位には、コイル415が設けられている。
永久磁石414は、板棒状をなしていて、可動板411aの下面に沿って設けられてい
る。このような永久磁石414は、可動板411aの平面視にて、回動中心軸J1に対し
て直交する方向に磁化(着磁)されている。すなわち、永久磁石414は、両極(S極、
N極)を結んだ線分が、回動中心軸J1に対して直交するよう設けられている。
【0037】
このような永久磁石414としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェ
ライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
コイル415は、可動板411aの平面視にて、永久磁石414の外周を囲むように設
けられている。
また、光スキャナー41は、コイル415に電圧を印加する電圧印加手段416を有し
ている。電圧印加手段416は、印加する電圧の電圧値や周波数等の各条件を調整(変更
)し得るように構成されている。電圧印加手段416、コイル415および永久磁石41
4により、可動板411aを回動させる駆動手段417が構成される。
コイル415には、電圧印加手段416から所定の電圧が印加され、所定の電流が流れ
る。
【0038】
例えば、電圧印加手段416からコイル415に交番電圧を印加すると、それに応じて
電流が流れ、可動板411aの厚さ方向(図2中上下方向)の磁界が発生し、かつ、その
磁界の向きが周期的に切り換わる。すなわち、コイル415の上側付近がS極、下側付近
がN極となる状態Aと、コイル415の上側付近がN極、下側付近がS極となる状態Bと
が交互に切り換わる。その際、電圧印加手段416は、後述する作動制御装置5により駆
動制御される。
状態Aでは、図3(a)に示すように、永久磁石414の右側の部分が、コイル415
への通電により発生する磁界との反発力により上側へ変位するとともに、永久磁石414
の左側の部分が、前記磁界との吸引力により下側へ変位する。これにより、可動板411
aが反時計回りに回動して傾斜する。
【0039】
一方、状態Bでは、図3(b)に示すように、永久磁石414の右側の部分が下側へ変
位するとともに、永久磁石414の左側の部分が上側へ変位する。これにより、可動板4
11aが時計回りに回動して傾斜する。
このような状態Aと状態Bとを交互に繰り返すことにより、連結部411c、411d
を捩り変形させながら、可動板411aが回動中心軸J1まわりに回動(振動)する。
【0040】
また、後述する作動制御装置5の制御により、電圧印加手段416からコイル415に
印加する電圧を調整することにより、流れる電流を調整することができ、これにより、可
動板411a(光反射部411eの反射面)の回動中心軸J1まわりの回動の振れ角(振
幅)を調整することができる。
なお、このような光スキャナー41の構成としては、可動板411aを回動させること
ができれば、特に限定されず、例えば、2自由度振動系を有するものであってもよく、ま
た、光スキャナー41の駆動方式は、コイル415と永久磁石414とを用いた電磁駆動
に代えて、例えば、圧電素子を用いた圧電駆動や、静電引力を用いた静電駆動等であって
もよい。
【0041】
図1に示すように、上述のような構成の光スキャナー41、42は、互いの回動中心軸
J1、J2の方向が直交するように設けられている。光スキャナー41、42をこのよう
に設けることにより、表示面91に対し、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを
2次元的に(互いに直交する2方向に)走査することができる。これにより、比較的簡単
な構成で、表示面91に2次元画像を描画することができる。
【0042】
具体的に説明すれば、光源ユニット3から出射した光は、光スキャナー41の光反射部
411eの反射面で反射し、次いで、光スキャナー42の光反射部421eの反射面で反
射し、表示面91に投射(照射)される。このとき、光スキャナー41の光反射部411
eを回動させるとともに、その角速度(速度)よりも遅い角速度で光スキャナー42の光
反射部421eを回動させる。これにより、光源ユニット3から出射したレーザー光LL
は、表示面91に対し、水平方向に走査されるとともに、その水平方向の走査速度よりも
遅い走査速度で垂直方向に走査される。このようにして、光源ユニット3から出射したレ
ーザー光LLは、表示面91に対し、2次元的に走査され、表示面91に画像が描画され
る。
【0043】
ここで、光スキャナー41の光反射部411eの角速度よりも遅い角速度で光スキャナ
ー42の光反射部421eを回動させるために、例えば、光スキャナー41を共振を利用
した共振駆動とし、光スキャナー42を共振を利用しない非共振駆動としてもよい。また
、光スキャナー41、42をともに共振駆動とする場合には、光スキャナー41の共振周
波数(可動板411aおよび連結部411c、411dからなる振動系の共振周波数)が
、光スキャナー42の共振周波数よりも高くなるように光スキャナー41、42を設計す
ればよい。
なお、光源ユニット3から出射した光が、先に、光スキャナー42の光反射部421e
で反射し、次に、光スキャナー41の光反射部411eで反射するようになっていてもよ
い。すなわち、先に、垂直走査がなされ、次に、水平走査がなされるように構成されてい
てもよい。
【0044】
次に、光スキャナー41の可動板411aの角度を検出する角度検出手段43について
説明する。なお、光スキャナー42の可動板421aの角度を検出する角度検出手段44
は、角度検出手段43と同様の構成であるため、その説明を省略する。
図2に示すように、角度検出手段43は、光スキャナー41の連結部411c上に設け
られた圧電素子431と、圧電素子431から発生する起電力を検出する起電力検出部4
32と、起電力検出部432の検出結果に基づいて可動板411aの角度を求める(挙動
を検知する)角度検知部433とを有している。
【0045】
圧電素子431は、可動板411aの回動に伴って連結部411cが捩り変形すると、
それに伴って変形する。圧電素子431は、外力が付与されていない自然状態から変形す
ると、その変形量に応じた大きさの起電力を発生する性質(言い換えると、変形量に応じ
て抵抗値が変化する性質)を有しているため、角度検知部433は、起電力検出部432
で検出された起電力(または抵抗値)の大きさに基づいて、連結部411cの捩れの程度
を求め、さらに、その捩れの程度から可動板411a(光反射部411eの反射面)の角
度を求める。また、角度検知部433は、可動板411aの回動中心軸J1を中心とする
振れ角(最大振れ角)を求める。この可動板411aの角度および振れ角の情報を含む信
号は、角度検知部433から作動制御装置5に送信される。
【0046】
なお、前記検出する可動板411aの角度の基準(0°)は、光スキャナー41の状態
がいかなるものであってもよいが、例えば、光スキャナー41が初期状態(コイル415
に電圧が印加されていない状態)であるときに設定することができる。
また、前記可動板411aの角度の検出は、リアルタイムで(連続的に)行ってもよく
、また、間欠的に行ってもよい。また、角度検出手段43としては、可動板411aの角
度を検出することができれば、本実施形態のような圧電素子を用いたものに限定されず、
例えば、光学センサを用いてもよい。
【0047】
[作動制御装置]
次に、作動制御装置5について説明する。
図4に示すように、作動制御装置5は、画像を描画する際に用いられる映像データ(画
像データ)を記憶する映像データ記憶部(映像データ記憶手段)51と、映像データ演算
部52と、描画タイミング生成部53と、光源変調部(光変調部)54と、振れ角演算部
(振幅演算部)55と、角度指示部56と、検量線を記憶する検量線記憶部(検量線記憶
手段)57とを有している。
【0048】
特に、この作動制御装置5は、水平方向(第1の方向)に走査する可動板411aの光
反射部411eの振れ角を変更することにより、表示面91に表示される画像の水平方向
での長さを変更する変更手段を構成する。これにより、用いる映像データ(画像データ)
が静止画や変化の少ない動画に関するものであっても、画像に対して人間が注目するよう
な演出を行うことができる。
【0049】
本実施形態では、作動制御装置5は、垂直方向に走査する光反射部421eの振れ角、
すなわち可動板421aの振れ角θを変更することにより、表示面91に表示される画
像の垂直方向での長さを変更する機能をも有する。
これにより、表示面91に表示される画像の変化をより大きくすることができる。その
ため、画像に対して人間の興味をより高めることができる。
【0050】
このような作動制御装置5によるプロジェクター2の制御においては、まず、プロジェ
クター2に映像データが入力される。入力された映像データは映像データ記憶部51に一
時的に記憶され、その映像データ記憶部51から読み出された映像データを用いて画像の
描画が行われる。この場合、映像データのすべてが映像データ記憶部51に記憶された後
に、画像の描画を開始してもよく、また、映像データの一部が映像データ記憶部51に記
憶された後に、画像の描画を開始し、その画像の描画と並行して続きの映像データを映像
データ記憶部51に記憶するようにしてもよい。
【0051】
映像データの一部が映像データ記憶部51に記憶された後に画像の描画を開始する場合
は、初めに、少なくとも1フレーム分の映像データを映像データ記憶部51に記憶し、そ
の後に画像の描画を開始する。
描画タイミング生成部53では、描画タイミング情報および描画ライン情報がそれぞれ
生成される。描画タイミング情報は、映像データ演算部52に送出され、描画ライン情報
は、振れ角演算部55に送出される。
【0052】
描画タイミング情報には、描画を行うタイミングの情報等が含まれる。また、描画ライ
ン情報には、描画を行う描画ラインLの垂直方向の位置(可動板421aの角度)の情報
等が含まれる。なお、描画ラインLのいずれの部位の位置を前記描画ラインLの垂直方向
の位置として設定してもよいが、例えば、左側の先端、右側の先端、中央等が挙げられる

【0053】
映像データ演算部52は、描画タイミング生成部53から入力された描画タイミング情
報に基づいて、映像データ記憶部51から描画する画素に対応する映像データを読み出し
、各種の補正演算等を行った後、各色の輝度データを光源変調部54に送出する。
光源変調部54は、映像データ演算部52から入力された各色の輝度データに基づいて
、各駆動回路310r、310g、310bを介して各光源320r、320g、320
bの変調を行う。すなわち、各光源320r、320g、320bのオン/オフや、出力
の調整(増減)等を行う。
【0054】
これにより、光出射部3は、映像データ(画像情報)の画素毎に対応した光を所定タイ
ミング毎に順次出射する。
光スキャナー41側の角度検出手段43は、その可動板411aの角度および振れ角を
検出し、その角度および振れ角の情報(可動板411aの角度情報)を作動制御装置5の
描画タイミング生成部53および振れ角演算部55に送出する。また、光スキャナー42
側の角度検出手段44は、その可動板421aの角度を検出し、その角度の情報(可動板
421aの角度情報)を作動制御装置5の角度指示部56に送出する。
【0055】
描画タイミング生成部53は、現在の描画ラインLの描画が終了し、角度検出手段43
から可動板411aの振れ角の情報が入力されると、それに同期して、角度指示部56に
、次に描画を行う描画ラインLの描画開始点にレーザー光LLが照射されるときの可動板
421aの目標角度を示す目標角度情報(角度指示)を送出する。その可動板421aの
目標角度は、隣り合う描画開始点の垂直方向の間隔が一定になるように設定される。角度
指示部56は、角度検出手段44で検出された可動板421aの角度と、前記可動板42
1aの目標角度とを比較して、その差が0になるような補正を行い、光スキャナー42の
駆動手段427に駆動データを送出する。
【0056】
駆動手段427は、前記駆動データに基づいて、光スキャナー42を駆動する(コイル
に電圧を印加する)。これにより、描画開始点にレーザー光LLが照射されたとき、可動
板421aの角度は、前記目標角度になる。
なお、本実施形態では、各描画ラインLにおいて、描画開始点から描画終了点まで、可
動板421aの角速度を一定とし、レーザー光LLの垂直方向の走査速度を一定としても
よく、また、可動板421aの角速度を徐々に変化させ、レーザー光LLの垂直方向の走
査速度を徐々に変化さてもよい。
【0057】
また、描画タイミング生成部53は、振れ角演算部55に、描画ライン情報、すなわち
、次に描画を行う描画ラインLの垂直方向の位置の情報を送出する。この描画タイミング
生成部53は、後述する第1、2の状態を含む複数の状態毎に対応した描画ライン情報お
よび描画タイミング情報を生成可能である。本実施形態では、所定時間毎に、送出する描
画ライン情報および描画タイミング情報の種類が切り換えられる。
振れ角演算部55では、検量線記憶部57から読み出された検量線を用い、描画タイミ
ング生成部53から入力された次に描画を行う描画ラインLの垂直方向の位置の情報に基
づいて、次に描画を行う描画ラインLにおける可動板411aの目標振れ角を求める。
【0058】
検量線記憶部57には、光出射状態でレーザー光LLの振れ幅が垂直方向に沿って所望
の状態となるように設定された検量線が記憶(格納)されている。この検量線は、表示面
91に走査するレーザー光LLの表示面91上の垂直方向の位置(描画ラインLの垂直方
向の位置)と、可動板411aの振れ角との関係を示すテーブルや演算式(関数)等で構
成されている。また、検量線を構成するテーブルや演算式等は、後述する第1、2の状態
を含む複数の状態毎に設定されている。画像を描画する際は、その検量線を用い、表示面
91に走査するレーザー光LLの表示面91上の垂直方向の位置に基づいて、前記振れ角
の目標値(目標振れ角)を求める。なお、検量線は、計算で求めることができ、予め、検
量線記憶部57に記憶される。
【0059】
そして、角度検出手段43から入力された可動板411aの振れ角の情報と、前記可動
板411aの目標振れ角とに基づいて、可動板411aの振れ角が目標振れ角となるよう
に、光スキャナー41の駆動手段417に駆動データを送出する。
駆動手段417は、前記駆動データに基づいて、コイル415に、光スキャナー41の
共振周波数と同じ周波数の実効電圧を印加して電流を流し、所定の磁界を発生させ、実効
電流の大きさや光スキャナー41と駆動波形との位相差を変化させる事で、光スキャナー
41にエネルギーを供給したり、逆に、光スキャナー41からエネルギーを奪ったりする
。これにより、共振運動している可動板411aの振れ角は、前記目標振れ角になる。こ
のようにして、角度検出手段43により検出された可動板411aの振れ角の情報(検出
結果)と、前記目標振れ角(目標値)とに基づいて、可動板411aの振れ角が目標振れ
角になるようにその可動板411aの振れ角を調整しつつ、描画領域911の各描画ライ
ンL上に、順次、レーザー光LLを走査し、画像を描画してゆく。
【0060】
このように作動制御装置5は、駆動手段417の電圧印加手段416が発生する電流ま
たは電圧の大きさおよび周波数を調整することにより、水平方向に走査する光反射部41
1eの振れ角を変更する。これにより、比較的簡単かつ確実に、光反射部411eの振れ
角を変更することができる。
また、作動制御装置5は、駆動手段427の電圧印加手段(図示せず)が発生する電流
または電圧の大きさおよび周波数を調整することにより、垂直方向に走査する光反射部4
21eの振れ角を変更する。これにより、比較的簡単かつ確実に、光反射部421eの振
れ角を変更することができる。
【0061】
例えば、図5(a)に示すように、表示面91上でのレーザー光LLの軌跡である複数
の描画ライン(走査ライン)Lは、ジグザグ状に配置される。
具体的には、描画領域911の左上から描画を開始し、ジグザグに右下まで描画し、1
つのフレームにおける描画を終了する。そして、以降の各フレームについても、同様にし
て描画を行う。
【0062】
このように、光走査部4は、垂直方向に1回走査する間に、水平方向に複数回走査する
ことにより、1つのフレームの画像を表示面91に形成し、これを繰り返すことにより複
数のフレームの画像を表示面91に順次形成する。
複数の描画ラインLの長さは、各フレーム内において、互いに等しくなっている。すな
わち、各フレーム内において、光源ユニット3からレーザー光LLを出射した光出射状態
(以下、単に「光出射状態」とも言う)で表示面91上でのレーザー光LLの水平方向の
振れ幅(以下、単に「レーザー光(光)LLの振れ幅」とも言う)が一定となっている。
【0063】
なお、レーザー光の振れ幅(走査範囲)とは、光出射状態で、可動板411aが図3に
て時計回り(所定方向)に最大角度まで回動したときの表示面91と同一平面上でのレー
ザー光LLの位置と、それに続いて可動板411aが図3にて反時計回り(前記と逆方向
)に最大角度まで回動したときの表示面91と同一平面上でのレーザー光LLの位置との
水平方向の距離(間隔)、すなわち、図7に示すように、光出射状態でそのレーザー光L
Lを表示面91上に2次元的に走査したときの、表示面91上でのレーザー光LLの軌跡
である複数の描画ライン(走査ライン)Lのそれぞれの水平方向の長さである。
【0064】
このような描画ラインLの長さは、可動板411aの回動中心軸J1を中心とする振れ
角(以下、単に「可動板411aの振れ角」とも言う)を変更することにより、変更する
ことができる。
そこで、作動制御装置5は、可動板411aの振れ角、すなわち可動板411aの光反
射部411eの振れ角を変更することにより、表示面91に表示される画像の水平方向で
の長さを変更する。
【0065】
また、描画ラインLのピッチは、可動板421aの回動中心軸J2を中心とする振れ角
(以下、単に「可動板421aの振れ角」とも言う)を変更することにより、変更するこ
とができる。
そこで、作動制御装置5は、可動板421aの振れ角、すなわち可動板421aの光反
射部421eの振れ角を変更することにより、表示面91に表示される画像の垂直方向で
の長さを変更する。
【0066】
より具体的に説明すると、作動制御装置5は、光反射部411eの振れ角θを角度θ
11とするとともに光反射部421eの振れ角θを角度θ21とすることにより第1の
画像g1を表示する第1の状態(以下、単に「第1の状態」とも言う)と、光反射部41
1eの振れ角θを角度θ11よりも小さい角度θ12とするとともに光反射部421e
の振れ角θを角度θ21よりも小さい角度θ22とすることにより第1の画像g1を縮
小した第2の画像g2を表示する第2の状態(以下、単に「第2の状態」とも言う)とを
含む複数の状態を切り換える。
【0067】
これにより、第1の画像g1と第2の画像g2とが同一の画像情報に基づくものであっ
ても、第1の画像g1と第2の画像g2とを異ならせて、表示面91に表示される画像g
に変化をもたらすことができる。
本実施形態においては、このような複数の状態を所定時間毎に切り換える。具体的には
、前述した作動制御装置5において、所定時間毎に、振れ角演算部55が検量線記憶部5
7から読み出す検量線、描画タイミング生成部53が生成する描画ライン情報等を変更す
る。
【0068】
(第1の状態)
第1の状態においては、例えば、図5(a)に示すように、描画ラインLの長さおよび
ピッチが比較的大きく設定される。これにより、表示面91上に形成される描画領域91
1の面積は比較的大きいものとなる。また、画像gを表示するための映像データに基づい
て各光源320r、320g、320bを変調して、第1の画像g1を表示する。このと
き、第1の画像g1は、画像gと同一形状または相似形状となる。
また、このとき、描画領域911および第1の画像g1の大きさは、特に限定されない
が、それぞれ、第1の画像g1を十分に視認し得る程度に設定される。また、描画ライン
Lのピッチおよび長さは、それぞれ、表示面91上にレーザー光LLの照射により形成さ
れるスポット同士が重ならないように設定される。
【0069】
水平走査は前述したように各フレーム内において複数回行われるが、このような第1の
状態における水平走査では、図6に示すように、可動板411aの振れ角θは一定(角
度θ11)となっている。なお、ここで、「可動板411aの振れ角θ」とは、図3に
て時計回り(一方の方向)へ最大角度(θ/2)まで回動したときの可動板411aと
、可動板411aが図3にて反時計回り(他方の方向)へ最大角度(θ/2)まで回動
したときの可動板411aとのなす角度(最大振れ角)を言う(図8、10において同じ
)。
なお、各フレームの表示期間における可動板411aの振れ角θは、本実施形態では
一定であるが、台形補正を要する場合等には漸減または漸増させるように変化させてもよ
い。
【0070】
また、垂直走査は前述したように各フレーム内において1回行われるが、第1の状態に
おける垂直走査では、可動板421aの振れ角θ(最大振れ角)は一定(角度θ21
である。より具体的には、図7に示すように、可動板421aの角度θは、1フレーム
内において、画像の表示を行う表示期間では最小振れ角から徐々に増大し、最大振れ角に
到達した後、急激に減少する。そして、以降の各フレームにおいては、同様に、前記動作
を繰り返す。なお、図7では、各フレーム内における可動板421aが一方の方向へ最大
角度(最小振れ角)まで回動したと他方の方向へ最大角度(最大振れ角)まで回動したと
きとの間の可動板421aの回動角の変遷を示している。また、可動板421aの振れ角
θが、前述したように急激に減少する期間を「垂直帰線期間」と言う。この垂直帰線期
間は、隣接する2つのフレーム間近傍に設定される。
【0071】
(第2の状態)
一方、第2の状態においては、例えば、図5(b)に示すように、描画ラインLの長さ
およびピッチが比較的小さく設定される。これにより、表示面91上に形成される描画領
域911の面積は比較的小さいものとなる。本実施形態では、このとき、描画領域911
が点状または比較的小さな四角状をなすものとなるように、描画ラインLの長さおよびピ
ッチを設定する。また、画像gを表示するための映像データに基づいて各光源320r、
320g、320bを変調して、第2の画像g2を表示する。このとき、各光源320r
、320g、320bの変調は、前述した第1の状態で変調する場合と同じに設定する。
これにより、第2の画像g2は、第1の画像g1を水平方向および垂直方向に潰したよう
な形状となる。したがって、このとき、第2の画像g2は、その内容を人間が認識するの
は不可能または難しい状態となる。
【0072】
しかし、第2の画像g2の全体の光量は第1の画像のg1の全体の光量と同じとなるの
で、第2の画像g2の単位面積当たりの光の強度は極めて高くなる。このことに加えて、
前述したように第2の画像g2の画像の内容を人間か認識するのが不可能または難しい状
態となることにより、第2の画像g2に対して人間が興味または関心を持つようになる。
このような第2の状態における水平走査では、図8に示すように、可動板411aの振
れ角θは、一定(角度θ12)であるが、前述した第1の状態における可動板411a
の振れ角θ(角度θ11)よりも小さくなっている。
【0073】
この第2の状態における可動板411aの振れ角θ(θ12)は、第1の状態におけ
る可動板411aの振れ角θ(θ11)に対して(θ11を1としたときに)、0〜0
.5であるのが好ましく、0〜0.3であるのがより好ましく、0.01〜0.1である
のがさらに好ましい。これにより、第1の画像g1と第2の画像g2との大きさの差を大
きくすることができる。
また、このような第2の状態における垂直走査では、図9に示すように、可動板421
aの振れ角θは、一定(角度θ22)であるが、前述した第1の状態における可動板4
21aの振れ角θ(角度θ21)よりも小さくなっている。
【0074】
この第2の状態における可動板421aの振れ角θ(θ22)は、第1の状態におけ
る可動板421aの振れ角θ(θ21)に対して(θ21を1としたときに)、0〜0
.5であるのが好ましく、0〜0.3であるのがより好ましく、0.01〜0.1である
のがさらに好ましい。これにより、第1の画像g1と第2の画像g2との大きさの差を大
きくすることができる。
このような第1の画像g1と第2の画像g2とを切り換えて表示することにより、表示
面91に表示される画像に変化を生じさせる。そのため、用いる映像データ(画像データ
)が静止画や変化の少ない動画に関するものであっても、画像に対して人間が注目するよ
うな演出を行うことができる。
【0075】
特に、前述したように、第1の状態において、表示面91での光出射部3からの画素毎
の光が水平方向および垂直方向に互いに重ならず、第2の状態において、表示面91での
画素毎の光が水平方向および垂直方向の少なくとも一方の方向に互いに重なるように、可
動板411aの振れ角を設定するのが好ましい。
これにより、第1の画像g1の全体の光量と第2の画像g2の全体の光量とが同じであ
っても、第2の画像g2の単位面積当たりの輝度を第1の画像g1の単位面積当たりの輝
度よりも高くすることができる。そのため、第2の画像g2の面積が小さくても、第2の
画像g2の存在が人間に認識されやすくなる。また、第2の画像g2は、その内容の視認
が不可能または難しくなるが、前述したように単位面積当たりの輝度を高めることにより
、逆にそれが人間の好奇心を煽り人間の興味を高めることとなる。
【0076】
また、第1の状態と第2の状態とで同じ画像情報を用いたときに、光出射部3は、前述
したように、第1の状態における画素毎の光の出射タイミングと、第2の状態における画
素毎の光の出射タイミングとが同じである。
これにより、比較的簡単に、第1の状態における表示面91での画素毎の光を水平方向
および垂直方向に互いに重ねずに、第2の状態における表示面91での画素毎の光を水平
方向および垂直方向の少なくとも一方の方向に互いに重ねることができる。
【0077】
また、第1の状態と第2の状態とで同じ画像情報を用いたときに、光出射部3は、前述
したように、第1の状態における単位時間当たりに出射する光の量と、第2の状態におけ
る単位時間当たりに出射する光の量とが同じである。言い換えると、第1の画像g1の全
体の光量と、第2の画像g2の全体の光量とが同じである。
これにより、比較的簡単に、第2の画像g2の単位面積当たりの輝度を第1の画像g1
の単位面積当たりの輝度よりも高くすることができる。
【0078】
また、光出射部3は、第1の状態における表示面91での光のスポット径と、第2の状
態における表示面91での光のスポット径とが同じであるのが好ましい。
これにより、比較的簡単に、第1の状態において表示面91での画素毎の光を水平方向
および垂直方向に互いに重ねずに、第2の状態において表示面91での画素毎の光を水平
方向および垂直方向の少なくとも一方の方向に互いに重ねることができる。
【0079】
(第2の状態から第1の状態への移行)
また、図10に示すように、作動制御装置5は、第2の状態から第1の状態へ切り換え
る際に、水平方向に走査する光反射部411eの振れ角を角度θ12(第2の角度)から
角度θ11(第1の角度)へ連続的または断続的に漸増させる。
また、図11に示すように、作動制御装置5は、第2の状態から第1の状態へ切り換え
る際に、垂直方向に走査する光反射部421eの振れ角を角度θ22(第2の角度)から
角度θ21(第1の角度)へ連続的または断続的に漸増させる。
【0080】
このように振れ角を漸増させることにより、第2の画像g2を連続的または断続的に拡
大させて第1の画像g1を表示させることができる。このような画像の変化により、画像
に対する人間の興味を高めることができる。
より具体的に説明すると、第2の状態から第1の状態へ移行する際には、図10、11
に示すように、可動板411aの振れ角θおよび可動板411aの振れ角θは、それ
ぞれ、所定のフレーム数の時間毎に大きくする。なお、図10、11においては、説明の
便宜上、1フレーム毎に、可動板411aの振れ角θおよび可動板411aの振れ角θ
がそれぞれ大きくなっているが、複数のフレーム数毎(例えば2〜5フレーム毎)に、
可動板411aの振れ角θおよび可動板411aの振れ角θをそれぞれ大きくしても
よい。また、このとき、各フレームの表示期間における可動板411aの振れ角θは、
本実施形態では一定であるが、台形補正を要する場合等には漸減または漸増させるように
変化させてもよい。
【0081】
特に、作動制御装置5は、隣り合う2つのフレーム間で、水平方向に走査する光反射部
411eの振れ角θを変更する。また、作動制御装置5は、隣り合う2つのフレーム間
で、垂直方向に走査する光反射部421eの振れ角θを変更する。
これにより、例えば、表示面91に対して画像の表示を行わない非表示期間に、光反射
部411eおよび光反射部421eの振れ角をそれぞれ変更することができる。そのため
、光反射部411eおよび光反射部421eの振れ角の変更が表示面91に表示される画
像に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0082】
このように可動板421aの振れ角θを変化させることにより、図12(a)〜図1
2(d)に示すように、描画ラインLの長さおよびピッチを徐々に大きくする。これによ
り、表示面91上に形成される描画領域911の面積が徐々に大きくなる。また、画像g
を表示するための映像データに基づいて各光源320r、320g、320bを変調する
。このとき、各光源320r、320g、320bの変調は、前述した第1の状態で変調
する場合と同じに設定する。これにより、図12(a)に示す第2の状態の画像g2から
、図12(b)に示す状態の画像g、図12(c)に示す状態の画像gを経て、図12(
d)に示す第1の状態の第1の画像g1へ変化する。
【0083】
このような第2の状態から第1の状態への切り換えに要する時間、すなわち、第2の画
像g2が第1の画像g1へ変化するのに要する時間は、特に限定されないが、1〜10秒
であるのが好ましく、2〜5秒であるのがより好ましい。これにより、第2の画像g2か
ら第1の画像g1への変化を人間が認識し得るものとしつつ、表示面に形成される画像に
対して人間の興味を高めることができる。
【0084】
これに対して、かかる時間が前記下限値未満であると、第2の画像g2から第1の画像
g1への変化する途中の状態を人間が視認することができず、前述したような画像に対す
る人間の興味を高める効果を得ることが難しい。一方、かかる時間が前記上限値を超える
と、表示面に形成される画像の変化が乏しく、前述したような画像に対する人間の興味を
高める効果を得ることが難しい。
【0085】
以上説明したような第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、水平方向に走査する
光反射部411eの振れ角および垂直方向に走査する光反射部421eの振れ角をそれぞ
れ変更することにより、表示面91に表示される画像の大きさを変更することができる。
これにより、用いる映像データが静止画や変化の少ない動画に関するものであっても、画
像に対して人間が注目するような演出を行うことができる。
【0086】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するための図((a
)は、第1の状態における描画領域および画像を説明する図、(b)は、第2の状態にお
ける描画領域および画像を説明する図)、図14は、図13に示す画像形成装置の第2の
状態における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ
角の経時的変化)を示すグラフ、図15は、図13に示す画像形成装置の動作(第2の状
態から第1の状態への変化)を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上
、図11中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0087】
以下、第2実施形態の画像形成装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心
に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の画像形成装置は、第2の状態における可動板421aの振れ角が異なる
以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図13〜15にて、前述した実施形態と
同様の構成には、同一符号を付してある。
より具体的に説明すると、例えば、第1の状態においては、図13(a)に示すように
、前述した第1実施形態と同様、描画ラインLの長さおよびピッチが比較的大きく設定さ
れる。
【0088】
一方、第2の状態においては、例えば、図13(b)に示すように、描画ラインLの長
さが比較的小さく設定される。これにより、表示面91上に形成される描画領域911の
面積は比較的小さいものとなる。本実施形態では、このとき、描画ラインLのピッチを第
1の状態と同じに設定する。また、本実施形態では、このとき、描画領域911が垂直方
向に延びる線状または帯状をなすものとなるように、描画ラインLの長さを設定する。ま
た、画像gを表示するための映像データに基づいて各光源320r、320g、320b
を変調して、第2の画像g2を表示する。このとき、各光源320r、320g、320
bの変調は、前述した第1の状態で変調する場合と同じに設定する。これにより、第2の
画像g2は、前述した第1の画像g1を水平方向に潰したような形状(扁平形状)となる
。したがって、このとき、第2の画像g2は、その内容を人間が認識するのは不可能また
は難しい状態となる。
【0089】
本実施形態では、前述した第1実施形態と同様、第2の状態における可動板411aの
振れ角θを、第1の状態における可動板411aの振れ角θよりも小さくする。
また、本実施形態では、図14に示すように、第2の状態における垂直走査では、可動
板421aの振れ角θは、一定であり、また、第1の状態における可動板421aの振
れ角θ21と同じである。
【0090】
また、前述した第1実施形態と同様、第2の状態から第1の状態へ移行する際には、可
動板411aの振れ角θを徐々に大きくする。
具体的には、第2の状態から第1の状態へ移行する際には、図15(a)〜図15(d
)に示すように、描画ラインLの長さを徐々に大きくする。これにより、表示面91上に
形成される描画領域911の面積が徐々に大きくなる。また、画像gを表示するための映
像データに基づいて各光源320r、320g、320bを変調する。このとき、各光源
320r、320g、320bの変調は、前述した第1の状態で変調する場合と同じに設
定する。これにより、図15(a)に示す第2の状態の第2の画像g2から、図15(b
)に示す状態の画像g、図15(c)に示す状態の画像gを経て、図15(d)に示す第
1の状態の第1の画像g1へ変化する。
【0091】
なお、本実施形態では、第2の状態から第1の状態へ移行する際、可動板421aの振
れ角θは、一定であり、また、第1の状態における可動板421aの振れ角θと同じ
である。
以上説明したような第2実施形態に係る画像形成装置によっても、前述した第1実施形
態と同様の効果を発揮することができる。
【0092】
<第3実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第3実施形態について説明する。
図16は、本発明の画像形成装置の第3実施形態を示す図、図17は、図16に示す画
像形成装置の制御系(作動制御装置、光走査部および光源ユニット)を示すブロック図、
図18は、図16に示す画像形成装置の動作(第1の状態、第2の状態、および、第2の
状態から第1の状態への変化)を説明するための図である。
【0093】
以下、第3実施形態の画像形成装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心
に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態の画像形成装置は、人感センサを備え、その検知結果に基づいて第1の状
態、第2の状態を含む複数の状態の切り換えを行う以外は、第1実施形態とほぼ同様であ
る。なお、図16〜図18にて、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付して
ある。
【0094】
本実施形態に係る画像形成装置1Aは、図16に示すように、光出射部3および光源ユ
ニット3を備えるプロジェクター2と、作動制御装置5と、人感センサ7とを有している

そして、本実施形態では、作動制御装置5は、人感センサ7の検知結果に基づいて、プ
ロジェクター2の駆動を制御し得るように構成されている。
【0095】
例えば、作動制御装置5は、人感センサ7の検知結果に基づいて、振れ角演算部55が
検量線記憶部57から読み出す検量線の種類、描画タイミング生成部53が生成する描画
ライン情報等を変更する(図17参照)。
特に、作動制御装置5は、人感センサ7の検知結果に基づいて、水平方向に走査する光
反射部411eの振れ角を変更する。
【0096】
これにより、人間の位置に応じて、画像を変化させることができる。そのため、画像に
対する人間の興味をより効果的に高めることができる。
より具体的に説明すると、図18に示すように、人感センサ7は、後述する第1の検知
領域S1および第2の検知領域S2の両領域について、それぞれその領域内に人間が存在
するか否かを検知する機能を有している。
【0097】
このような人感センサ7は、センサ部71と、記憶部72と、判断部73とを有してい
る。
センサ部71は、例えば、壁Wの壁面上に設置された表示対象物9の近傍に設けられて
いる。なお、本実施形態では、表示対象物9は、スクリーンであり、表示面91は、その
スクリーンの表面である。
【0098】
センサ部71は、センサ部71付近の人間の存在の有無を検知することができ、さらに
、センサ部71と検知した人間との離間距離を計測できるようになっている。このセンサ
部71としては、上述した機能を発揮することができれば特に限定されず、例えば赤外線
を利用した赤外線型センサや、超音波を利用した超音波型センサを用いることができる。
さらには、赤外線型センサと超音波型センサとを組み合わせたセンサを用いることもでき
る。
【0099】
赤外線センサは、雰囲気温度と温度差のある物体(人間)が感知エリア内で移動したと
きに、その温度変化を赤外線を利用して検知することにより、センサ部71付近の人間の
存在の有無や、人間までの距離を検知するセンサである。一方の超音波センサは、送波器
により超音波を発信し、反射波を受波器で受信し、発信から受信までに要した時間と音速
との関係を演算することにより、センサ部71付近の人間の有無や、人間までの距離を検
出するセンサである。
また、記憶部72には、人間の存在の有無を判断する領域である第1の検知領域S1お
よび第2の検知領域S2が設定されている。
【0100】
図18に示すように、第1の検知領域S1は、鉛直線方向から見たときに、表示面91
を含むように設定されている。このように、第1の検知領域S1を表示面91を含むよう
に設定することにより、表示面91付近の人間の存在を見逃すことなく確実に検知するこ
とができる。
また、第1の検知領域S1は、鉛直方向から見たときに、描画領域911の中央部を中
心とする半円形状をなしている。これにより、描画領域911の中央部を起点とする放射
方向のいずれの方向においても第1の検知領域S1の縁までの距離をほぼ等しくすること
ができる。そのため、表示面91付近の人間の存在を、見逃すことなく確実に検知するこ
とができる。なお、第1の検知領域S1の形状としては、特に限定されず、例えば、長方
形、正方形等の多角形であってもよく、描画領域911の中央部を中心とする円形、扇型
であってもよい。
【0101】
第2の検知領域S2は、表示面91に対して第1の検知領域S1よりも遠位な位置に設
定されている。具体的には、第2の検知領域S2は、第1の検知領域S1の外周(縁)に
接し、かつ外周を囲むように設定されている。また、第2の検知領域S2は、第1の検知
領域S1と同心的な半円環状をなしている。
このような第2の検知領域S2の大きさ(外周の半径)は、表示面91の描画領域91
1の大きさ(サイズ)によっても異なり、特に限定されないが、第1の状態において、第
2の検知領域S2の表示面91から最も遠位な位置にいる人間からでも、描画領域911
に表示された画像の内容を認識(識別)できる程度の大きさであることが好ましい。これ
により、第2の検知領域S2および第1の検知領域S1内に位置する全ての人間が、描画
領域911に表示された画像の内容を認識することができることとなる。ここで、「識別
できる程度」とは、例えば、描画領域911に表示された画像が人間の顔であった場合に
は、性別、おおよその年齢等を判別できたり、描画領域911に表示された画像が文字で
あった場合には、その文字が認識できたりすればよいことを意味している。
【0102】
また、第1の検知領域S1の半径をRS1とし、第2の検知領域S2の外周の半径をR
S2としたとき、RS1とRS2との関係は、特に限定されないが、RS1が0.4RS
2以上、0.7RS2以下程度であることが好ましい。RS1を上記のような数値範囲と
することにより、第1の検知領域S1と第2の検知領域S2とをバランスよく設定するこ
とができる。
【0103】
また、判断部73は、センサ部71が人間を検知した場合に、前記人間とセンサ部71
の離間距離(以下、単に「離間距離D」とも言う)に基づいて、前記人間が記憶部72に
記憶された第1の検知領域S1および第2の検知領域S2のどちらの領域内に位置してい
るのかを判断する。そして、判断部73は、この判断結果を作動制御装置5に送信する。
このような判断部73による判断は、リアルタイムで(連続的に)行ってもよく、また、
間欠的に行ってもよい。
【0104】
具体的には、記憶部72には、第1の検知領域S1の半径RS1および第2の検知領域
S2の外周の半径RS2が記憶されており、判断部73は、離間距離Dが半径RS1より
も小さければ、前記人間が第1の検知領域S1に位置していると判断し、離間距離Dが半
径RS1よりも大きく半径RS2よりも小さければ、前記人間が第2の検知領域S2に位
置していると判断する。なお、本実施形態では、センサ部71は、表示面91の近傍に設
けられているため、離間距離Dを表示面91(描画領域911の中心)と前記人間との離
間距離とみなすことができる。そのため、上記のような判断方法によれば、より正確に、
前記人間が第1の検知領域S1および第2の検知領域S2のいずれの領域に位置している
のかを正確に判断することができる。
【0105】
以上、人感センサ7について説明したが、人感センサ7の構成としては、上記の構成に
限定されない。例えば、センサ部71として、検知した人間との離間距離を測定すること
ができないセンサを用いてもよい。この場合には、第1のセンサと、第1のセンサよりも
有効検知領域の広い第2のセンサとを用意する。これら第1のセンサと第2のセンサとを
互いに接近させて配置し、第1のセンサの有効検知領域を第1の検知領域S1とし、第2
のセンサの有効検知領域から第1のセンサの有効検知領域を除いた領域を第2の検知領域
S2とする。そして、第1のセンサおよび第2のセンサの両センサが人間を検知した場合
には、第1の検知領域S1に前記人間が位置していると判断し、第2のセンサのみが人間
を検知した場合には第2の検知領域S2に人間が位置しいていると判断すればよい。この
場合には、記憶部72を省略することができる。
【0106】
また、例えば、センサ部71として、第1の検知領域S1の床下に設置された1つまた
は複数の第1の圧力センサと、第2の検知領域S2の床下に設置された1つまたは複数の
第2の圧力センサとを用いてもよい。この場合には、第1の圧力センサが反応すれば、第
1の検知領域S1に人間が位置していると判断し、第2の圧力センサが反応すれば第2の
検知領域S2に人間が位置していると判断すればよい。この場合にも、記憶部72を省略
することができる。
【0107】
また、センサ部71の数としては、本実施形態のような1つに限定されず、2以上のセ
ンサ部71を配置してもよい。1つのセンサ部71では、第1の検知領域S1および第2
の検知領域S2の全域をカバーできない場合などに有利である。
このような人感センサ7の検知結果に基づいて、作動制御装置5はプロジェクター2の
駆動を制御する。
【0108】
具体的に説明すると、作動制御装置5は、例えば、人感センサ7が第1の検知領域S1
内の人間の存在を検知した場合には、第1の状態となるようにプロジェクター2の駆動を
制御し、人感センサ7が第2の検知領域S2内の人間の存在を検知した場合には、第2の
状態となるようにプロジェクター2の駆動を制御する。
また、作動制御装置5は、人感センサ7が第2の検知領域S2内の人間を検知した後に
第1の検知領域S1内の人間の存在を検知した場合、すなわち、第2の状態から第1の状
態へ切り換える際には、前述した実施形態と同様、光出射部の振れ角が連続的または断続
的に漸増させるように、プロジェクター2の駆動を制御する。
【0109】
このような制御により、表示面91に表示される画像を認識する可能性がある人間に対
して効果的に画像の存在をアピールすることができる。
なお、作動制御装置5は、人感センサ7が第1の検知領域S1および第2の検知領域S
2のいずれの領域内の人間の存在を検知しない場合には、第1の状態および第2の状態を
含む複数の状態のうちの1つの状態とするようにプロジェクター2の駆動を制御してもよ
いし、前記複数の状態のうちの2以上の状態を所定時間毎に切り換えるようにプロジェク
ター2の駆動を制御してもよい。
以上説明したような第3実施形態に係る画像形成装置によっても、前述した第1実施形
態と同様の効果を発揮することができる。特に、本実施形態では、表示面91の近傍に存
在する人間の位置に応じて、第1の状態および第2の状態を含む複数の状態を切り換える
ので、当該人間が画像に対して注目するような演出を効果的に行うことができる。
【0110】
<第4実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第4実施形態について説明する。
図19は、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置に備えられたプロジェクターの光
スキャナーを示す模式的平面、図20は、図19中のB−B線断面図、図21は、図19
に示す光スキャナーに備えられた駆動手段の電圧印加手段を示すブロック図、図22は、
図21に示す電圧印加手段に備えられた第1の電圧発生部および第2の電圧発生部で発生
する電圧の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図19中の紙面手前側
を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図20中の上側を「
上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0111】
以下、第4実施形態の画像形成装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心
に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態の画像形成装置は、プロジェクターが備える光スキャナーの構成が異なる
以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図21にて、前述した実施形態と同様の
構成には、同一符号を付してある。
【0112】
本実施形態に係る光走査部は、いわゆる2自由度振動系(2次元走査)の1つの光スキ
ャナー45を有している。
光スキャナー45は、図19に示すような第1の振動系46aと第2の振動系46bと
支持部46cとを備える基体46と、基体46と対向配置された対向基板47と、基体4
6と対向基板47との間に設けられたスペーサー部材48と、永久磁石491と、コイル
492とを備えている。
【0113】
第1の振動系46aは、枠状の支持部46cの内側に設けられた枠状の駆動部461a
と、駆動部461aを支持部46cに両持ち支持する1対の第1の連結部462a、46
3aとで構成されている。
第2の振動系46bは、駆動部461aの内側に設けられた可動板461bと、可動板
461bを駆動部461aに両持ち支持する1対の第2の連結部462b、463bとで
構成されている。
【0114】
駆動部461aは、図19の平面視にて、円環状をなしている。なお、駆動部461a
の形状は、枠状をなしていれば特に限定されず、例えば、図19の平面視にて、四角環状
をなしていてもよい。このような駆動部461aの下面には、永久磁石491が接合され
ている。
第1の連結部462a、463aは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能
である。第1の連結部462a、463aは、それぞれ、駆動部461aを支持部46c
に対して回動可能とするように、駆動部461aと支持部46cとを連結している。この
ような、第1の連結部462a、463aは、互いに同軸的に設けられており、この軸(
以下、「回動中心軸J3」という)を中心として、駆動部461aが支持部46cに対し
て回動するように構成されている。
【0115】
第1の連結部462aには、駆動部461aの角度(回動中心軸J3まわりの回動角)
(挙動)を検出するための圧電素子465aが設けられている。
可動板461bは、図19の平面視にて、円形状をなしている。なお、可動板461b
の形状は、駆動部461aの内側に形成することができれば特に限定されず、例えば、図
19の平面視にて、楕円形状をなしていてもよいし、四角形状をなしていてもよい。この
ような可動板461bの上面には、光反射性を有する光反射部464bが形成されている

【0116】
第2の連結部462b、463bは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能
である。第2の連結部462b、463bは、それぞれ、可動板461bを駆動部461
aに対して回動可能とするように、可動板461bと駆動部461aとを連結している。
このような第2の連結部462b、463bは、互いに同軸的に設けられており、この軸
(以下、「回動中心軸J4」という)を中心として、可動板461bが駆動部461aに
対して回動するように構成されている。
第2の連結部462bには、可動板461bの角度(回動中心軸J4まわりの回動角)
(挙動)を検出するための圧電素子465bが設けられている。
【0117】
図19に示すように、回動中心軸J3と回動中心軸J4とは、互いに直交している。ま
た、駆動部461aおよび可動板461bの中心は、それぞれ、図19の平面視にて、回
動中心軸J3と回動中心軸J4との交点上に位置している。なお、以下、説明の便宜上、
回動中心軸J3と回動中心軸J4との交点を「交点G」ともいう。
図20に示すように、以上のような基体46は、スペーサー部材48を介して対向基板
47と接合している。対向基板47の上面には、永久磁石491に作用する磁界を発生さ
せるコイル492が設けられている。
【0118】
永久磁石491は、図19の平面視にて、交点Gを通り、回動中心軸J3および回動中
心軸J4のそれぞれの軸に対して傾斜した線分(この線分を「線分M」とも言う)に沿っ
て設けられている。このような永久磁石491は、交点Gに対して長手方向の一方側がS
極、他方側がN極となっている。図20では、永久磁石491の長手方向の左側がS極、
右側がN極となっている。
【0119】
図19の平面視にて、線分Mの回動中心軸J3に対する傾斜角θは、30〜60度であ
るのが好ましく、40〜50度であるのがより好ましく、ほぼ45度であるのがさらに好
ましい。このように永久磁石491を設けることで、円滑に、可動板461bを回動中心
軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。本実施形
態では、線分Mは、回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸に対して約45
度傾斜している。
【0120】
また、図20に示すように、永久磁石491の上面には、凹部491aが形成されてい
る。この凹部491aは、永久磁石491と可動板461bとの接触を防止するための逃
げ部である。このような凹部491aを形成することにより、可動板461bが回動中心
軸J3まわりに回動する際、永久磁石491と接触してしまうことを防止することができ
る。
【0121】
コイル492は、図19の平面視にて、駆動部461aの外周を囲むように形成されて
いる。これにより、光スキャナー45の駆動の際、駆動部461aとコイル492との接
触を確実に防止することができる。その結果、コイル492と永久磁石491との離間距
離を比較的短くすることができ、コイル492から発生する磁界を効率的に永久磁石49
1に作用させることができる。
コイル492は、電圧印加手段493と電気的に接続されていて、電圧印加手段493
によりコイル492に電圧が印加されると、コイル492から回動中心軸J3および回動
中心軸J4のそれぞれの軸に直交する軸方向の磁界が発生する。
【0122】
図21に示すように、電圧印加手段493は、可動板461bを回動中心軸J3まわり
に回動させるための第1の電圧V1を発生させる第1の電圧発生部493aと、可動板4
61bを回動中心軸J4まわりに回動させるための第2の電圧V2を発生させる第2の電
圧発生部493bと、第1の電圧V1と第2の電圧V2とを重畳し、その電圧をコイル4
92に印加する電圧重畳部493cとを備えている。
【0123】
第1の電圧発生部493aは、図22(a)に示すように、フレーム周波数の倍の周期
T1で周期的に変化する第1の電圧V1(垂直走査用電圧)を発生させるものである。
第1の電圧V1は、鋸波のような波形をなしている。そのため、光スキャナー45は、
効果的に光を垂直往復走査(副走査)することができる。なお、第1の電圧V1の波形は
、これに限定されない。ここで、第1の電圧V1の周波数(1/T1)は、垂直走査に適
した周波数であれば、特に限定されないが、15〜40Hz(30Hz程度)であるのが
好ましい。
本実施形態では、第1の電圧V1の周波数は、駆動部461aと1対の第1の連結部4
62a、463aとで構成された第1の振動系46aのねじり共振周波数と異なる周波数
となるように調整されている。
【0124】
一方、第2の電圧発生部493bは、図22(b)に示すように、周期T1と異なる周
期T2で周期的に変化する第2の電圧V2(水平走査用電圧)を発生させるものである。
第2の電圧V2は、正弦波のような波形をなしている。そのため、光スキャナー45は
、効果的に光を主走査することができる。なお、第2の電圧V2の波形は、これに限定さ
れない。
【0125】
また、第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数より高く、かつ、水平走査
に適した周波数であれば、特に限定されないが、10〜40kHzであるのが好ましい。
このように、第2の電圧V2の周波数を10〜40kHzとし、前述したように第1の電
圧V1の周波数を30Hz程度とすることで、表示面91での描画に適した周波数で、可
動板461bを回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸まわりに回動させる
ことができる。ただし、可動板461bを回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞ
れの軸まわりに回動させることができれば、第1の電圧V1の周波数と第2の電圧V2の
周波数との組み合わせなどは、特に限定されない。
【0126】
本実施形態では、第2の電圧V2の周波数は、可動板461bと1対の第2の連結部4
62b、463bとで構成された第2の振動系46bのねじり共振周波数と等しくなるよ
うに調整されている。これにより、可動板461bの回動中心軸J3まわりの回動角を大
きくすることができる。
また、第1の振動系46aの共振周波数をf[Hz]とし、第2の振動系46bの共
振周波数をf[Hz]としたとき、fとfとが、f>fの関係を満たすことが
好ましく、f≧10fの関係を満たすことがより好ましい。これにより、より円滑に
、可動板461bを回動中心軸J3まわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回
動中心軸J4まわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
【0127】
第1の電圧発生部493aおよび第2の電圧発生部493bは、それぞれ、作動制御装
置5に接続され、この作動制御装置5からの信号に基づき駆動する。このような第1の電
圧発生部493aおよび第2の電圧発生部493bには、電圧重畳部493cが接続され
ている。
電圧重畳部493cは、コイル492に電圧を印加するための加算器493dを備えて
いる。加算器493dは、第1の電圧発生部493aから第1の電圧V1を受けるととも
に、第2の電圧発生部493bから第2の電圧V2を受け、これらの電圧を重畳しコイル
492に印加するようになっている。
【0128】
以上のような構成の光スキャナー45は、次のようにして駆動する。
例えば、図22(a)に示すような第1の電圧V1と、図22(b)に示すような第2
の電圧V2とを電圧重畳部493cにて重畳し、重畳した電圧をコイル492に印加する
(この重畳された電圧を「電圧V3」ともいう)。
すると、電圧V3中の第1の電圧V1に対応する電圧によって、永久磁石491のS極
側をコイル492に引き付けようとするとともに、N極側をコイル492から離間させよ
うとする磁界と、永久磁石491のS極側をコイル492から離間させようとするととも
に、N極側をコイル492に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより
、第1の連結部462a、463aを捩れ変形させつつ、駆動部461aが可動板461
bとともに、第1の電圧V1の周波数で回動中心軸J3まわりに回動する。
【0129】
なお、第1の電圧V1の周波数は、第2の電圧V2の周波数に比べて極めて低く設定さ
れており、また、第1の振動系46aの共振周波数は、第2の振動系46bの共振周波数
よりも低く設計されている。そのため、第1の振動系46aは、第2の振動系46bより
も振動しやすくなっており、第1の電圧V1によって、可動板461bが回動中心軸J4
まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0130】
一方、電圧V3中の第2の電圧V2に対応する電圧によって、永久磁石491のS極側
をコイル492に引き付けようとするとともに、N極側をコイル492から離間させよう
とする磁界と、永久磁石491のS極側をコイル492から離間させようとするとともに
、N極側をコイル492に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、
第2の連結部462b、463bを捩れ変形させつつ、可動板461bが第2の電圧V2
の周波数で回動中心軸J4まわりに回動する。
なお、第2の電圧V2の周波数が第2の振動系46bのねじり共振周波数と等しいため
、第2の電圧V2によって、支配的に、可動板461bを回動中心軸J4まわりに回動さ
せることができる。そのため、第2の電圧V2によって、可動板461bが駆動部461
aとともに回動中心軸J3まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0131】
以上のような光スキャナー45によれば、1つのアクチュエーターで2次元的にレーザ
ー光(光)を走査でき、光走査部4の省スペース化を図ることができる。また、例えば、
第1実施形態のように1対の光スキャナーを用いる場合には、これら光スキャナーの相対
的位置関係を高精度に設定しなければならないが、本実施形態ではその必要がないため、
製造の容易化を図ることができる。
【0132】
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができ
る。
以上、本発明の画像形成装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換
することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、
本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたもので
あってもよい。
【0133】
また、前述した実施形態では、描画領域911の左上から右下まで描画することを繰り
返して複数のフレームの画像を表示する場合を説明したが、描画領域911の左上から右
下まで描画するフレームと、描画領域911の右下から左上まで描画するフレームとを交
互に繰り返して、複数のフレームの画像を表示してもよい。この場合、偶数番目のフレー
ムと奇数番目のフレームとでは、映像データ記憶部51から読み出される映像データ(画
素データ)の順番を逆にすればよい。
【0134】
また、本実施形態では、各フレームについて描画を開始する位置が左上である場合を説
明したが、これに限らず、例えば、各フレームについて描画を開始する位置は、右上、左
下、右下等であってもよい。
また、前述した実施形態では、説明の便宜上、プロジェクターから出射される光が表示
面に対してほぼ直交する場合を例に説明したが、プロジェクターから出射される光が表示
面に対して傾斜する場合についても本発明を適用することができる。この場合、必要に応
じて、垂直方向および水平方向の少なくとも一方の方向における可動板の振れ角を調整す
るか、あるいは、光出射部の変調を調整して、いわゆる台形補正を行う。
【0135】
また、前記第1実施形態では、光走査部として、1対の光スキャナーを用いたが、これ
に限定されず、例えば光スキャナーと、ガルバノミラーとを用いてもよい。この場合には
、ガルバノミラーを垂直走査用とするのが好ましい。
また、前述した実施形態では、画像形成装置が1つのプロジェクターを備える場合を説
明したが、これに限定されず、画像形成装置が備えるプロジェクターの数は、2つ以上で
あってもよい。この場合、複数のプロジェクターを同期させて作動させることができる。
【0136】
また、本実施形態では、第1の方向を「水平方向」、第2の方向を「垂直方向」とした
が、本発明では、これに限らず、例えば、第1の方向を「垂直方向」、第2の方向を「水
平方向」としてもよい。
また、前記実施形態では、3つのダイクロイックミラーを用いて、赤色レーザー光、緑
色レーザー光、青色レーザー光を結合して1つのレーザー光(光)を出射しているが、ダ
イクロイックプリズム等を用いて結合しても良い。
【0137】
また、前述した実施形態では、光源ユニット3が、赤色のレーザーを出射するレーザー
光源と、青色のレーザーを出射するレーザー光源と、緑色のレーザーを出射するレーザー
光源とを有する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、赤色のレーザーを
出射するレーザー光源と、青色のレーザーを出射するレーザー光源と、紫外のレーザーを
出射するレーザー光源とを備えていてもよい。この場合、表示面に、紫外レーザーが照射
されることにより緑色の蛍光を発生する蛍光体を含んでおく。これにより、表示面にフル
カラーの画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0138】
1……画像形成装置 1A……画像形成装置 2……プロジェクター 3……光源ユニッ
ト 4……光走査部 5……作動制御装置 7……人感センサ 9……表示対象物 31
b……レーザー光源 31g……レーザー光源 31r……レーザー光源 32b……コ
リメーターレンズ 32g……コリメーターレンズ 32r……コリメーターレンズ 3
3b……ダイクロイックミラー 33g……ダイクロイックミラー 33r……ダイクロ
イックミラー 41……光スキャナー 42……光スキャナー 43……角度検出手段
44……角度検出手段 45……光スキャナー 46……基体 46a……第1の振動系
46b……第2の振動系 46c……支持部 47……対向基板 48……スペーサー
部材 51……映像データ記憶部 52……映像データ演算部 53……描画タイミング
生成部 54……光源変調部 55……振れ角演算部 56……角度指示部 57……検
量線記憶部 71……センサ部 72……記憶部 73……判断部 91……表示面 3
10r、310g、310b……駆動回路 320b……光源 320g……光源 32
0r……光源 411……基体 411a……可動板 411b……支持部 411c…
…連結部 411d……連結部 411e……光反射部 412……スペーサー部材 4
13……対向基板 414……永久磁石 415……コイル 416……電圧印加手段
417……駆動手段 421a……可動板 421e……光反射部 427……駆動手段
431……圧電素子 432……起電力検出部 433……角度検知部 461a……
駆動部 461b……可動板 462a、463a……第1の連結部 462b、463
b……第2の連結部 464b……光反射部 465a……圧電素子 465b……圧電
素子 491……永久磁石 491a……凹部 492……コイル 493……電圧印加
手段 493a……第1の電圧発生部 493b……第2の電圧発生部 493c……電
圧重畳部 493d……加算器 911……描画領域 BB……青色レーザー光 D……
離間距離 g……画像 g1……第1の画像 g2……第2の画像 G……交点 GG…
…緑色レーザー光 J1……回動中心軸 J2……回動中心軸 J3……回動中心軸 J
4……回動中心軸 L……描画ライン LL……レーザー光 M……線分 RR……赤色
レーザー光 S1……第1の検知領域 S2……第2の検知領域 T1……周期 T2…
…周期 V1……第1の電圧 V2……第2の電圧 V3……電圧 W……壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射した光を反射させる少なくとも1つの光反射部が回動可能に設け
られ、その回動により、表示面に対して、前記光反射部で反射した光を第1の方向に第1
の速度で走査するとともに前記第1の方向に直交する第2の方向に前記第1の速度よりも
遅い第2の速度で走査する光走査部と、
前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角を変更することにより、前記表示面に表示
される画像の前記第1の方向での長さを変更する変更手段とを有することを特徴とする画
像形成装置。
【請求項2】
前記光走査部は、前記第2の方向に1回走査する間に、前記第1の方向に複数回走査す
ることにより、1つのフレームの画像を前記表示面に形成し、これを繰り返すことにより
複数のフレームの画像を表示面に順次形成するものであり、
前記変更手段は、隣り合う2つのフレーム間で、前記第1の方向に走査する光反射部の
振れ角を変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角を第1の角度とすること
により第1の画像を表示する第1の状態と、前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角
を前記第1の角度よりも小さい第2の角度とすることにより前記第1の画像を前記第1の
方向に縮小した第2の画像を表示する第2の状態とを含む複数の状態を切り換える請求項
1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記第2の状態から前記第1の状態へ切り換える際に、前記第1の方
向に走査する光反射部の振れ角を前記第2の角度から前記第1の角度へ連続的または断続
的に漸増させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光出射部は、前記画像情報の画素毎に対応した光を所定タイミング毎に順次出射す
るものであり、
前記第1の状態において、前記表示面での前記画素毎の光が前記第1の方向および前記
第2の方向に互いに重ならず、前記第2の状態において、前記表示面での前記画素毎の光
が前記第1の方向に互いに重なる請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の状態と前記第2の状態とで同じ画像情報を用いたときに、
前記光出射部は、前記第1の状態における前記画素毎の光の出射タイミングと、前記第
2の状態における前記画素毎の光の出射タイミングとが同じである請求項5に記載の画像
形成装置。
【請求項7】
前記第1の状態と前記第2の状態とで同じ画像情報を用いたときに、
前記光出射部は、前記第1の状態における単位時間当たりに出射する前記光の量と、前
記第2の状態における単位時間当たりに出射する前記光の量とが同じである請求項5また
は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記光出射部は、前記第1の状態における前記表示面での光のスポット径と、前記第2
の状態における前記表示面での光のスポット径とが同じである請求項5ないし7のいずれ
かに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記変更手段は、前記第2の方向に走査する光反射部の振れ角を変更することにより、
前記表示面に表示される画像の前記第2の方向での長さを変更する機能をも有する請求項
1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記表示面を含んで設定された検知領域内の人間の有無を検知する人感センサを有し、
前記変更手段は、前記人感センサの検知結果に基づいて、前記第1の方向に走査する光
反射部の振れ角を変更する請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記光走査部は、周期的に変化する電流または電圧の供給により前記光反射部を回動さ
せる駆動手段を備え、
前記変更手段は、前記電流または前記電圧の大きさおよび周波数を調整することにより
、前記第1の方向に走査する光反射部の振れ角を変更する請求項1ないし10のいずれか
に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記光出射部は、レーザー光を出射する請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形
成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−221216(P2011−221216A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89274(P2010−89274)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】