説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体に対して開閉自在な電装部の開閉角度を大きく保ちつつ、電装部に接続される複数の配線を小さくまとめることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成装置本体16と、この画像形成装置本体16に設けられた電装部60と、この電装部60を前記画像形成装置本体16に対して回転自在に支持する支持部68,68と、画像形成装置16本体側と電装部60側とを電気的に接続する複数の配線74a〜74dと、複数の配線74a〜74dを束ねる配線集合部材76と、を有し、配線集合部材76が前記支持部68,68の軸線L上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、開閉可能な電装部を備えた画像形成装置において、部品点数を低減するため、電装部から装置本体へ配線された電線が、電装部を開く方向に押圧し、電装部の開状態を保持するように構成したものを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−114273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置本体に対して開閉自在な電装部の開閉角度を大きく保ちつつ、電装部に接続される複数の配線を小さくまとめることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、画像形成装置本体と、この画像形成装置本体に設けられた電装部と、この電装部を前記画像形成装置本体に対して回転自在に支持する支持部と、前記画像形成装置本体側と前記電装部側とを電気的に接続する複数の配線と、前記複数の配線を束ねる配線集合部材と、を有し、前記配線集合部材が前記支持部の軸線上に配置されている画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記複数の配線は、太さが異なる少なくとも2つの配線を含み、前記電装部の開閉に伴って曲げられる場合、太い配線が細い配線よりも少ない曲がり度合いとなるように配置されている請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記配線集合部材から前記電装部に向けて複数の配線を分岐させる分岐部をさらに有する請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記配線集合部材は、複数の配線が該配線集合部材内で移動可能に構成されている請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記配線集合部材は、前記複数の配線を挟むように対向して設けられた案内部を有する請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記配線集合部材は、前記案内部のいずれか一方に、前記案内部の他方に向けて突出するように設けられ、前記配線が前期配線集合部材から抜けるのを防止する配線抜け防止部を有する請求項5記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記配線集合部材は、前記電装部の開閉に伴って前記画像形成装置本体に当たるのを避けるように曲面状に形成され本体側側面を有する請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、前記電装部の外側を覆う被覆部をさらに有し、前記配線集合部材は前記被覆部が当たるのを防止するように曲面状に形成された被覆部側側面を有する請求項1乃至7いずれか記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によれば、画像形成装置本体に対して開閉自在な電装部の開閉角度を、本構成を有しない場合と比較して大きく保ちつつ、電装部に接続される複数の配線を、本構成を有しない場合と比較して小さくまとめることができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、電装部の開閉に伴う配線の曲げに対する負荷を、本構成を有しない場合に比較して少なくすることができる。
【0015】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、配線の電装部に対する接続作業を、本構成を有しない場合に比較して容易にすることができる。
【0016】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1乃至3いずれかに係る本発明の効果に加えて、電装部の開閉に伴う配線の移動による配線の負荷を吸収することができる。
【0017】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4いずれかに係る本発明の効果に加えて、電装部の開閉に伴う配線の移動方向を規制することができる。
【0018】
請求項6に係る本発明によれば、請求項5に係る本発明の効果に加えて、電装部の開閉に伴って配線が配線集合部材から外れるを防止することができる。
【0019】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1乃至6いずれかに係る本発明の効果に加えて、電装部の開閉に伴って配線集合部材が画像形成装置本体に当たるのを避けることができる。
【0020】
請求項8に係る本発明によれば、請求項1乃至7いずれかに係る本発明の効果に加えて、配線集合部材が被覆部が当たるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、電装部を開いた場合の電装部付近を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、電装部を閉じた場合の電装部付近を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた配線集合部材を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた配線集合部材を示し、図4のA方向から見た側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた配線集合部材を示し、図5のB−B線断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた分岐部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要を示す側面図である。画像形成装置10は、例えばカラー用の電子写真方式のもので、画像形成部12と、原稿読取装置14とを有する。
【0023】
画像形成部12は、画像形成装置本体16を有し、この画像形成装置本体16内に、像保持体としての感光体18と、この感光体18を一様に帯電する帯電器20と、この帯電器20により一様に帯電された感光体18に潜像を形成する露光装置(光書込み装置)22と、この露光装置22により形成された感光体22上の潜像をトナーで可視化する現像装置24と、この現像装置24により形成されたトナー像が転写される中間転写体26とを有する。
【0024】
現像装置24は、例えばロータリー式であり、イエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の4色のトナーを収容するトナーカートリッジ28を備え、回転支軸30を中心として一方向(図1において時計方向)へ回転駆動するようになっている。
【0025】
4色のトナーカートリッジ28は、回転支軸30を中心に90°間隔で配置されると共に、それぞれ現像ロール32を備えている。この現像ロール32が、感光体18へトナーを供給するように構成されている。
【0026】
中間転写体26は、一次転写ロール34、二次転写バックアップロール36、及び複数(例えば、3つ)の張架ロール38で張架され、一方向(図1において時計方向)へ回転駆動するようになっている。
【0027】
画像形成装置本体16の下部には、用紙収容部40が設けられている。また、画像形成装置本体12の上部には、用紙排出部42が設けられている。用紙収容部40から上方に向けて用紙搬送路44が形成されている。
【0028】
用紙収容部40に収容された用紙は、送り出しロール46により送り出され、用紙搬送路44に設けられた搬送ロール48により搬送され、同じく用紙搬送路44に設けられたレジストロール50で一時待機され、二次転写バックアップロール36に対向して設けられた二次転写ロール52と中間転写体26との間を通ることにより中間転写体26上のトナー像が転写され、同じく用紙搬送路44に設けられた定着装置54によりトナー像が定着され、排出ロール56により用紙搬出部42へ排出される。
【0029】
原稿読取装置14は、原稿を光学的に読み取るもので、用紙排出部42の上方に設けられている。この原稿読取装置14の例えば台座部分に操作表示装置(ユーザインターフェイス装置)58が配置されている。
【0030】
電装部60は、画像形成装置本体16内にあって、例えば反用紙搬送路側の側面に沿って設けられている。
【0031】
電装部60の周辺の構成について詳述する。図2は、電装部60を開いた場合の電装部付近を示す斜視図である。図3は、電装部60を閉じた場合の電装部付近を示す斜視図である。
【0032】
前述した画像形成装置本体16には本体側フレーム62が設けられている。一方、電装部60は、配線基板64と、この配線基板64を保持する配線基板保持部66とを有する。本体側フレーム62と配線基板保持部64とは支持部68,68を介して回転自在に連結され、これにより画像形成装置本体16に対して電装部60が回転自在となっている。この電装部60の開閉は、画像形成装置のメンテナンスをする場合などに行われる。
【0033】
支持部68,68は、例えば、鉛直方向に2つ設けられたヒンジから構成されている。即ち、例えば本体側フレーム62にヒンジ受け70,70が設けられ、基板保持部66に挿入部72,72が設けられ、挿入部72,72がヒンジ受け70,70に回転自在であるように挿入されて構成されている。この支持部68,68の回転中心となる軸線がLとして図2に表示されている。
【0034】
複数の配線74a,74b,74c,74d(任意の配線を表示する場合は配線74とする。)は、本体側と電装部60の配線基板64とを電気的に接続する。例えば配線74aはユーザインターフェイス用で、前述した表示操作装置58と配線基板64とを接続する。例えば配線74bは読取画像の伝送用で、前述した原稿読取装置14と配線基板64とを接続する。例えば配線74cはUSB用で、図示しないUSB接続部と配線基板64とを接続する。例えば配線74dは画像読取装置制御信号伝送用で、原稿読取装置14と配線基板64とを接続する。
【0035】
配線集合部材76は、複数の配線74を束ねて保持する。この配線集合部材76は、配線基板保持部66に固定され、電装部70が開閉される場合は電装部70と共に回転する。この配線集合部材76は、上方に位置する支持部68よりも上部に設けられている。さらにこの配線集合部材76は、前述した支持部68,68の軸線L上に配置されている。ここで、軸線L上に配置されているとは、軸線Lが少なくとも配線集合部材76の一部に当たることを意味する。電装部60が開閉された場合、配線74は、配線集合部材76に保持された部分を中心として回転し、曲げられると共に軸方向に移動するが、配線集合部材76が支持部68,68の軸線L上に配置されているので、配線74の移動量が少なくなっている。
【0036】
分岐部78は、配線基板保持部66にあって、配線集合部材76と配線基板64との間に設けられている。この分岐部78は、配線集合部材76により束ねられた各配線74を分岐し、分岐された配線74が配線基板64に接続しやすくしてある。
【0037】
配線74は太さが異なる。即ち、この実施形態においては、ユーザインターフェイス用の配線74aが他の配線74b〜74dと比較して最も太いが、この配線74aは、本体側では他の配線74b〜74dよりも上方に位置し、分岐部78では他の配線74b〜74dよりも下方に位置する。このため、電装部60が開閉された場合、配線74aの曲げ度合いが他の配線74b〜74dよりも小さく、配線74aに対する負荷が少なくなるようにしてある。
【0038】
なお、図3に示すように、電装部60が閉じられている場合は、電装部60の周囲はカバー(被覆部)80に覆われている。このカバー80は、本体側フレーム62に着脱自在にはめ込まれる。
【0039】
次に配線集合部材76について詳述する。
図4は、配線集合部材76の平面図であり、図5は、図4のA方向から見た側面図であり、図6は、図5のB−B線断面図である。
【0040】
配線集合部材76は、上下に対向する案内部82,82を有する。この案内部82,82の間の空間に配線74が挿入され、配線74の上下方向の移動を規制するようになっている。また、配線集合部材76は、カバー側側面84、本体側側面86及び基板回路側側面88を有する。カバー側側面84は、案内部82,82間を閉鎖接続する接続壁90を有する。このカバー側側面84は、内側に凹むように曲面状に形成されており、図3に示すように、カバー80の角部分が当たるのを防止するようにしてある。また、このカバー側側面84の接続壁90により案内部82,82間に挿入された配線74のカバー側への移動が規制される。
【0041】
本体側側面86は本体側に向けて開放され、配線74の入口となっている。この本体側側面86は、外側へ突出するように曲面状に形成されており、図3に示すように、電装部60の開閉に伴って本体側フレーム62に当たるのを避けるようにしてある。基板回路側側面88は分岐部78に向けて開放され、配線74の出口となっている。
【0042】
上方の案内部82のカバー側側面84の反対側の端部には、配線抜け防止部92が下側に突出するように設けられている。この配線抜け防止部92は、配線74が配線集合部材76から抜けるのを防止する。
なお、この実施形態においては、配線抜け防止部92を上方の案内部82に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば下方の案内部82に上側に突出するように形成してもよく、また、両方の案内部82,82に形成してもよい。
【0043】
次に分岐部78について詳述する。
図7は、分岐部78を示す側面図である。
分岐部78は、配線集合部材76に対向して狭く形成された入口部94と、配線基板64に対向して扇状に広げられた出口部96とを有する。この分岐部78には、配線74a,74b,74c,74dをそれぞれ固定するために複数の案内壁98と固定爪100とが設けられている。この実施形態においては、出口部96では上方から読取画像の伝送用配線74b、画像読取装置制御信号伝送用配線74d、USB用配線74c、ユーザインターフェイス用配線74aの順で配置されており、同様の順序で配置された配線基板64の接続口に接続されるようになっている。
【0044】
なお、上記実施形態においては、配線集合部材76を電装部60側に固定したが、他の実施形態として本体側に固定してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 画像形成装置
12 画像形成部
14 原稿読取装置
16 画像形成装置本体
58 操作表示装置(ユーザインターフェイス装置)
60 電装部
62 本体側フレーム
64 配線基板
74a,74b,74c,74d 配線
76 配線集合部材
78 分岐部
80 被覆部(カバー)
82 案内部
84 カバー側側面
86 本体側側面
92 配線抜け防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
この画像形成装置本体に設けられた電装部と、
この電装部を前記画像形成装置本体に対して回転自在に支持する支持部と、
前記画像形成装置本体側と前記電装部側とを電気的に接続する複数の配線と、
前記複数の配線を束ねる配線集合部材と、を有し、
前記配線集合部材が前記支持部の軸線上に配置されている画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の配線は、太さが異なる少なくとも2つの配線を含み、前記電装部の開閉に伴って曲げられる場合、太い配線が細い配線よりも少ない曲がり度合いとなるように配置されている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記配線集合部材から前記電装部に向けて複数の配線を分岐させる分岐部をさらに有する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記配線集合部材は、複数の配線が該配線集合部材内で移動可能に構成されている請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記配線集合部材は、前記複数の配線を挟むように対向して設けられた案内部を有する請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記配線集合部材は、前記案内部のいずれか一方に、前記案内部の他方に向けて突出するように設けられ、前記配線が前期配線集合部材から抜けるのを防止する配線抜け防止部を有する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記配線集合部材は、前記電装部の開閉に伴って前記画像形成装置本体に当たるのを避けるように曲面状に形成され本体側側面を有する請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電装部の外側を覆う被覆部をさらに有し、前記配線集合部材は前記被覆部が当たるのを防止するように曲面状に形成された被覆部側側面を有する請求項1乃至7いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−22450(P2011−22450A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168687(P2009−168687)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】